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「ペルソナの鎖」 ★☆ | |
2013/10/15
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警察もの長編サスペンス。 主人公である氷室諒は、警視庁捜査一課の刑事。いわゆる“熱血刑事”としてTV番組にも取り上げられ、息子にもヒーロー扱いされたところ。ところが少女に対する不信行為で取り調べを受けている男から指名されて出会った男の罠に嵌められ、暴力刑事として自宅謹慎を命じられてしまう。その男=土谷誠は中学時代、苛めの対象となっていた同級生だった。 その直後、土谷が姿をくらましたことをきっかけに少女アイドルの誘拐、小児性愛者による難事件の幕が切って落とされます。 氷室は自宅謹慎の身ながら、氷室を慕う後輩女性刑事の協力を得つつ、上司の命令を無視して単身犯人追跡に執念を燃やす、というストーリィ。 ダーティ刑事ものに、今や珍しいものではなくなった性的倒錯者による事件、それに家族問題を足したサスペンス、と言えるでしょう。 本書の氷室諒、原型はクリント・イーストウッド主演の映画“ダーティ・ハリー”にあるのではないかと思います。 刑事ながら自分勝手な性格というところが本作品の妙味かもしれませんが、ダーティ・ハリーに比較すると、夫であり父親という立場を与えたためにダーティさは中途半端に終わったかなぁと感じないでもありません。 真相は一転二転、容疑者・関係者として登場する人物が次々と小児性愛者(ただしタイプはそれぞれ)と判るという展開は、小児性愛の世界に迷い込んでしまったような気分です。 一転二転は、それだけスリリングということでもありますが、最後は怪しかった人物がやはり・・・という展開でそのくせあっさりと、という結末には少々物足りなさを感じます。 ※ちなみに「ペルソナ」とは内心とは別に、周囲に適応して硬い仮面を被っていること、というような意味のようです。 |