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3.珍プレー殺人事件 4.ららのいた夏 5.雨鱒の川 7.翼はいつまでも 8.ラストボール伝説 9.地図にない国 10.ビトウィン |
四月になれば彼女は、渾身、ナイン、祭り囃子がきこえる、あのフェアウェイへ、月の魔法、朝ごはん、ライバル、トッピング |
●「跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ」● ★★ 小説現代新人賞 |
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2002年06月
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川上さんのデビュー作を含む、8作品を収録した短篇集。 「オレンジ色のロリポップ」はちょっと異色。 オレンジ色のロリポップ/マッケンローのように/打ってみやがれ!/タイトルマッチ/熱いトライ/新顔/スーパー・クロス・プレー/跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ |
●「宇宙のウインブルドン」● ★★ |
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1988年07月
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痛快、抱腹絶倒のスポーツ小説!、テニス版。 ジャパン・オープン/ウィンブルドン |
●「珍プレー殺人事件」● |
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プロ野球公式戦の試合真っ最中、ロッカールームで東京ビーバーズ・球団オーナーが死体となって発見されます。 しかも、試合の直前チームの監督、主力選手等中心人物がオーナーに一人一人呼び込まれ、皆激昂していたばかり。 ピッチャー・三野田秀丸、キャッチャー・三島耕平の2人は、試合中だというのに、犯人探しを始めます。 本作品における中心人物となるのが三野田秀丸ですが、これがまぁ、ハチャメチャ、自分勝手、という人物。その秀丸が、滅茶苦茶な論理で犯人探しを展開するのですから、本作品については軽ミステリ、あるいはユーモア・ミステリと解すべし。 |
●「ららのいた夏」● ★★★ |
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2002年01月
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爽快な青春ストーリィ。
野球部ピッチャーの小杉純也が運動会マラソンでぶっちぎりのトップを走っていると、背後から軽快な足音が聞こえてくる。思わず振り返ると、スタイルの良い、きれいな女の子が走ってきた。純也はその子と走りながら言葉を交わす、というのが本ストーリィの出だし。 運動会/ロードレース/駅伝/フルマラソン/国際マラソン/約束 |
●「雨鱒の川」● ★★☆ |
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1994年09月
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東北の小さな村を舞台にした、主人公と少女の純愛ストーリィ。今頃、なんて古風な、と感じるようなストーリィですけれど、読み手の心の琴線に触れてきます。 他のユーモラスな作品と異なり、ちょっとシリアスな作品。 主人公・心平は、母親と2人暮らし。川で魚を獲ることと、絵を描くことに夢中な小学校3年生。そんな心平といつも一緒にいる小百合は、聴覚が不自由な少女。しかし、お互いの心は通い合っていて、2人には何の支障もありません。 本書の魅力は、豊かな自然の描写にもありますが、2人よりちょっと年上の英蔵という少年の存在が欠かせません。小百合をやはり愛しながら、切なさに耐えるという人物造形がお見事。心平、小百合に負けないくらい、英蔵も愛しい登場人物です。 |
●「このゴルファーたち」● ★ |
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2002/10/26 |
ニューヨーク郊外にあるパブリックのゴルフコースを舞台にした短篇集。 主人公はいずれも同一人物の「ぼく」。毎回の冒頭、クラブハウス食堂の従業員、スペイン系の娘マリア、そ父親とぼくとの間で交わされるやり取りもまた楽しい。 フォアー!/アウト・オブ・バーンズ/サドンデス/ミスショット/ワン・ペナルティー/フックボール/プロフェッショナル |
●「翼はいつまでも」● ★★★ 坪田譲治文学賞 |
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2004年05月
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久しぶりに良質の本を読んだ、という気持ちです。 最初は、懐かしい中学校時代の物語から始まり、気持ち良く読み進んでいると、何時の間にか大きなうねりの中に巻き込まれ、押し寄せる感動に胸がいっぱいになる。そして最後では、感動が気持ち良く身体を突き抜けて昇華していく。本書は、そんな作品です。 少年物語の傑作は、幾つもあります。古く坪田譲治作品に遡らなくとも、私の好きなところで、灰谷健次郎「天の瞳」、森絵都「カラフル」といった作品があります。ただ、こんなに気持ち良く、清々しい気持ちになる作品はあまりない、そんな思いです。 今月初めて川上作品を読み、続けて読んで本書が3冊目。本書は11年ぶりに書かれた作品ということですが、既にファンだった人にとって本書を手にした喜びは、さぞ大きかったことでしょう。 主人公は青森県十和田市の中学生、時代は1960年代です。 ストーリィ自体、格別のものはありませんが、感動は計り知れない。是非お薦めしたい一冊です。 お願い・お願い・わたし/十和田湖/終章 |
●「ラストボール伝説」● ★☆ |
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「監督と野郎ども」(1986年集英社文庫)を加筆訂正した作品。 セ・リーグのお荷物球団・札幌ベアーズを描く、ただ単純に楽しいプロ野球小説。 ダイビング・キャッチ/二十七人目のバッター/泣くなピッチャー/四番バッターが恋をした/鉄子の部屋 |
●「地図にない国」● ★ |
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スペインはバスク地方のパンプローナ。そこで行われるサン・フェルミンの祭り(牛追い祭り)が本小説の舞台。 牛を街路に放ち、闘牛場までその牛の前を人が駆け抜けるという派手な趣向(エンシエロ)が有名な祭り。 【参考】バスク地方 |
●「ビトウィン」● ★★ |
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2008年08月
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「雨鱒の川」のあと肝臓を悪くして、川上さんは「翼はいつまでも」迄の10年間執筆活動から離れていたそうです。 その雌伏の10年間は、失意の時どころか、貧乏生活ではあるものの家族3人で楽しく愉快な地方生活を送っていたらしい。 本書はそんな南アルプス山麓の高原での日々を大らかに語ったエッセイ本です。 とにかく定収入がなく、執筆活動もまるでしなかったというのですから、赤貧生活であったというのも当然でしょう。でも、それ故の暗さが川上さんにも家族にも全くないところが、呆れるくらいに素晴らしい。 本書の中では、ズキちゃんの健気さが発揮される「小さな駅」が素晴らしい。それと「父親自慢大会」も。 ビトウィン生活/選挙はフェスティバルだ!/釣りの神様/至高の闘い/海へ/小説の順位/松茸クラブ大冒険/虫歯男/小さな駅/午後のティータイム/ステキな出会い/父親自慢大会/涙のプレゼント/ベスト・ワン/あとがき |