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1.サマーサイダー 3.2.43 清陰高校男子バレー部 second season
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「サマーサイダー Summer Cider」 ★★ | |
2014年04月
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女子の倉田ミズ、男子の三浦誉、恵悠という3人は、小学校以来の幼馴染で、今は高校1年生。 幼馴染の男女3人がお互いに隠し合っている秘密、そして1年前の事件の秘密が、3人が作業を続ける中で徐々に露わになっていきます。 ホラー、ミステリ、青春、3人が各々抱える思い、それらのストーリィ要素が見事に合わさって終始スリリング、どんな展開になるのやらまるで予想がつかない、というストーリィ。 |
「2.43 清陰高校男子バレー部」 ★★☆ | |
2015年03月
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熱い高校青春スポーツ小説、男子バレー編。 個性的なメンバーとチームという組み合わせは、小瀬木麻美「ラブオールプレー」に似たところがあります。 でも本書、すこぶる楽しいのです。チームとしてではなく、まず一人一人がバレーに夢中になる過程を描いているというストーリィがそこに展開されているからでしょう。 それにしても、性格的に難があるのは灰島の方ですが、より心配なのはどうもユニの優柔不断な性格の方のようです。 ※ちなみに「2.43」とは高校バレー全国大会でのネットの高さ。 プロローグ:冷たい指/少年ユニチカ/ドラキュラといばら姫/犬の目線とキリンの目線/漂流ユニチカ/スタンド・バイ・ミー/エピローグ:つなぐ/「2.43」がもっとわかるバレーボール初級講座 |
「2.43 清陰高校男子バレー部 second season」 ★★ (文庫改題:2.43 清陰高校男子バレー部 代表決定戦編) |
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2017年11月
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高校スポーツ、男子バレー部編「2.43−清陰高校男子バレー部」の続編。 いよいよ春高バレー大会に向けて県内大会が始まります。 そこで清陰高校の前に立ち塞がるのが、福井県下で8年連続優勝を遂げている常勝校、絶対的エース=三村統(すばる)を擁する福峰工業高校。 元々清陰高校には、部員がたった8名というハンデあり。そのうえ主将の小田は 163cmと小柄。 それでも天才セッターの灰島公誓と伸び盛りのエースアタッカー=黒羽祐仁を核にしたチームワークがあれば十分戦える筈。 ところが、実際は計算どおりにいかないもの。灰島と他のメンバーとの呼吸が乱れ始め、さらに黒羽がまたしても自信喪失に陥るという具合。 まぁ、そう簡単に勝ち進んでしまっては小説として成り立たないとい言えばその通りなのですが。 そうした苦労あっても決勝戦、相手は三村統が率いる強豪=福峰工業高。案の定、清陰は絶対絶命のピンチに追い込まれていきます。さてそこから逆転なるのか、清陰高校・・・。 そこはそれ、高校生たちが主人公ですから、ちょっとしたことで心揺れ、チームの雰囲気も左右されるというもの。 しかし本書ではそれを超えて、ピンチに追い込まれてからの清陰と福峰の一進一退、白熱の激戦が圧巻! 詠み終えた後は、まさに現実のチーム試合を観終わった後のような気分。スポーツ小説好きな方には読み応えたっぷり! プロローグ:真ん中の罠/1.笑うキングと泣き虫ジャック/2.ユニチカ包囲網/3.いばら姫はドラキュラのXXで目覚める/4.英雄と天才/エピローグ:ジャンプ/「2.43」がもっとわかるバレーボール初級講座 |
「空への助走−福蜂(ふくほう)工業高校運動部−」 ★★☆ | |
2023年03月
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いいなァ。 部活スポーツまっしぐらの高校生たちを描いたスポーツ小説だろうと思ったのですが、それがちと違った・・・。 各篇での主人公たちが自分はトップではないことにちょっぴり挫折感を抱いている、そんな設定がとても良い。スポーツに秀でているという点を抜かせば、皆同じ高校生なのですから。 福井県にある高校の運動部を主体にした連作もの。全て福蜂工業高校かと思ったらそうではなく、他の高校運動部も登場。そんな融通無碍さ、枠に捉われていないところも好感。 スポーツ中心だけれど、自分への戸惑いや恋愛感情も描かれていて、スポーツ小説というよりごく普通の高校生たちの青春ストーリィという印象の方が濃い。 どの篇も、ドラマ・読み処ともたっぷりで、中編というページ数がぴったり。まさにお読み得、と言って良い一冊です。 ・「強者の同盟」:男子バレー部。中学までは絶対的なエースアタッカー。でも高校に入ると同じ部に更なる上がいて・・・。頑張る意味を新たに見つけるストーリィ。 ※「2.43」に登場した三村統が率いるバレー部の前日譚。 ・「空への助走」:陸上部。ずっと憧れの先輩を見続けてきて、今や自分も引退の時期。気づくと自分が逆に後輩から憧れの目で見られていた・・・。自分の価値を認識、新たな可能性に向けて踏み出すストーリィ。 ・「途中下車の海」:柔道部。冒頭の挫折きっかけが噴飯もの。そこから釣り部が登場してくるという展開が何ともはや。今、自分にとって何が大事なのか、に気づくストーリィ。 ・「桜のエール」:大団円的エピローグ篇。 「強者の同盟」において脇役なのですが、写真係のはっちこと初田稚以子が見逃せません。平均的な高校生像から一歩も二歩も抜き出たところがあり、今は彼らの先を進む、そして彼らの目指すべき将来像とも言えるところが魅力です。 赤緒梓といい、古賀あゆみといい、総体的に男子より女子の方が元気良く、ずっと逞しいなぁ。 強者の同盟/空への助走/途中下車の海/桜のエール |
「2.43 清陰高校男子バレー部 春高編」 ★★ | |
(1)2021年02月
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シリーズ第3弾。 前巻で福井県代表の座を勝ち取った清陰高校男子バレー部、いよいよ<春の高校バレー全国大会>に出場です。 初出場にして部員は僅か8名。 何の注目も集めていなかったそんな清陰高校男子バレー部が予想外に勝ち進み、また激戦を展開するにつて、注目を惹きつけていきます。 実況中継さながらに、激闘をつぶさに、リアルに、そして選手の心理状況まで手に取るように秒単位さらながで描いていく故に、興奮尽きず、頁をめくる手が止まりません。 本作はそんな一冊。 冒頭のプロローグではまず、本大会で優勝を争うに違いない有力校、浅野直澄率いる東京都の新興:景星高校と、弓掛篤志率いる福岡県の古豪:箕宿(みぼし)高校の2校の様子が描かれます。 それに対して1年生部員の2人=天才セッター灰島公誓(チカ)とアタッカー黒羽祐仁(ユニ)が躍動する清陰高校バレー部は、激戦をどう戦っていくのか、上記の景星高校、箕宿高校とコートで相まみえることがあるのか、そこが興味処です。 本作の最後に描かれる彼らの1年後の姿に得心できるかどうかは読み手の好み次第だと思いますが、本作の真価は相次ぐ激戦の様子を迫真の圧倒感をもって描き出したところにあり、それに尽きるといって過言ではありません。 エピローグは、その興奮なかなか止まない熱を冷まし、シリーズの終幕を告げる場面かなと感じた次第です。 プロローグ.星の激突/1.ユニチカ出航!綺羅星の海へ/2.星を射る勇者/3.覇道に清き帆をあげて/4.スノードームに宇宙を抱く/エピローグ.スイングバイ |
「2.43 清陰高校男子バレー部 next 4years T」 ★★ | |
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「2.43」新シリーズ、大学篇の幕開けとなる巻。 高校では別の道を歩んだ灰島公誓(チカ)と黒羽祐仁(ユニ)でしたが、大学は同じ<欅舎大>へ進み、コンビ復活。 先に大学の関東一部リーグに進んだ、かつてのライバルたちと相見え、高校時代以上の激戦を繰り広げます。 ただし、ややこしいのは高校時代のライバルが同じチームとなったり、高校時代は同じチームだった仲間がライバルチームになったりしていること。 現に、欅舎大で灰島と黒羽は、福峰工業高校の絶対的エースであった三村統と同じチームになりますし、 灰島に正セッターの座を奪われた山吹誠次郎ら、景星学園でチームメンバーだった何人かは弓掛篤志を有する<慧明大>へ。 そして、最大の強敵として立ち塞がる<八重洲大>には、シニア日本代表にも選ばれている破魔清央ら“大魔神”3人の他、景星学園で主将だった浅野直澄、アナリストとして福峰工業で三村と仲間だった越智光臣が顔を揃えると、結構ややこしい。 本巻、まずは大学リーグ冒頭の巻として、その辺りの紹介をかなり含んでいます。 でも、それだけではありません。 「砂漠を進む英雄」では、新入り1年生ながら、途中出場した灰島と黒羽が、圧倒的な強さを誇る<八重洲大>との激戦を繰り広げます。 これが本当に面白い、まさに手に汗握るスリリングさ。 そして「鋼と宝石」では、弓掛が引っ張る<慧明大>と<八重洲大>の激戦が繰り広げられる展開で、まさに興奮尽きません。 また、無名の存在だった<八重洲大>の太明倫也が主将になるまでの過程や、“山吹伝説”を広める元になった中学時代の山吹誠次郎のエピソードも、試合に劣らない面白さ。 スポーツ小説、本当に面白いです。 なお、注目すべき越智ら“アナリスト”の存在。興味大です。 プロローグ.スイングバイ/1.砂漠を進む英雄/2.鋼と宝石/ 「2.43」がもっとわかるバレーボール初級講座 |
「2.43 清陰高校男子バレー部 next 4years U」 ★☆ | |
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大学の後半。 関東一部<春季リーグ>の最終盤、“ターミネーター”こと破魔と金髪のリベロ=太明が属する大学王者の八重洲大チームと、“九州の弩級”こと弓掛が引っ張る慧明大チーム、そして“悪魔のバズーカ”こと三村統と“ユニチカ”こと灰島公誓&黒羽祐仁が属する欅舎大チームが、優勝を賭けて三つ巴の激闘を繰り広げます。 まずは八重洲大対慧明大、ついで慧明大対欅舎大の試合。 本作は、その2つの試合をつぶさに、一球一球を追い、選手の僅かな動き、その微妙な心理までを克明に描き出していきます。 まるで実際の試合を見る以上にリアル。 もちろんそれに対して+αのドラマもあるものの、ストーリィの殆どは試合の実況中継で終わってしまった、という気がしないでもありません。 読んでいる最中は手汗握る展開にその虜になっていますが、読み終えたときには、あぁ全て終わった、という気分。 読み応えがあったと言うべきか、それとも読み応えがなかったと思うべきなのか、微妙な処。 前作がここに至るまでの道のりを描いているのに対し、本作は、彼らの今後歩んでいく道も描いている処は評価したい。 ともかくも、本シリーズ、本巻で完結とのこと。 2.鋼と宝石(続)/intermission 清陰の、あれから/3.王者はいない/エピローグ.スタンド・バイ・ミー 「2.43」がもっとわかるバレーボール初級講座 |