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1.終の住処 2.電車道 |
「終の住処(ついのすみか)」 ★★ 芥川賞 |
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2012年09月
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不思議な小説。 主人公と妻は、共に30歳を過ぎてからの結婚。各々20代の、長く続いた恋愛に敗れた後で。 結婚によって主人公の孤独感は、むしろ深まったように感じられます。 本作品が何を描こうとしたのか、理解するには及びませんでしたが、主人公に流れる時間は悠久に通じているかのように感じられます。それが印象的。 終の住処/ペナント |
「電車道」 ★★☆ |
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2017年11月
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明治〜昭和に亘る時間の流れを、鉄道事業の発展に沿わせて描いた、味わいある長編。 まずは新橋〜横浜間を汽車が走り始めたことを皮切りにしつつ、家族を残して出奔した薬屋の男と、議員選挙に落選して出奔した元銀行員の男のその後の足取りが描かれます。 鉄道事業の発展、2人の男をルーツとしたドラマ、そして長い時間の流れ、それら3要素を巧みにブレンドして絶妙なる味わいを生み出しているところが、本作品の魅力です。 初期鉄道事業の様子も興味深いのですが、本作品については小説としての構成、見せ処にこそ稀なる面白さがあります。お薦め。 |