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「きみの呼ぶ声」 ★☆ | |
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高校2年生の主人公=「僕(智之)」は、校舎の片隅でひとりぼっちの幽霊「真帆」と過ごすのが常。 しかし、3年生の9月だというのに転校してきた「はるか」という女生徒が、真帆と僕との間に入り込んできたことから、これまでの穏やかな状態に揺らぎが生じます。 真帆は何故ここで幽霊になったのか。 智之は何故、真帆に寄り添っているのか。 そしてはるかは、何を目的に転校して来たのか。 少なくとも智之が抱える悲しさの理由は、もう会えなくなってしまった幼い妹と関わるらしいことは明らかです。 3人それぞれの思いが交錯するストーリィ。 もちろん事態を動かしているのは、新たに登場してきた人物、はるかであることに疑いはありません。 そのはるかが解き明かした事実は、思いがけなくも・・・・。 幽霊であるかどうかに関わりなく、3人が抱える切ない痛みを奏でる青春譜、と言うに相応しいストーリィ。 小品というべき作品ですが、読後感は切なく清らかです。 |