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●「脱獄者は白い夢を見る」● ★★ | |
2012/09/16
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出版社のサイトに、「フランス・ミステリ風の目眩む展開」という題名で池上冬樹さんの書評が掲載されていたので、どんなに複雑で心理的なミステリかと思っていましたが、左程のことはなく結構読みやすいサスペンス。 主人公は矯正処遇官の職位にある結城桐子。その桐子、普段大人しい受刑者2人が、時を別にするものの突然暴れ出すという事件の原因を調べることになります。そんな中で桐子が注意を引きつけられたのは、60代過ぎの受刑者=広瀬はしめ。 本書の魅力は、広瀬はしめ、桐子と後輩刑務官の小野春香という3人のキャラクターにあります。広瀬はしめは本作品における準主役ですから当然のことですが、一方の桐子と小野春香に関しては、本書一作限りでは十分その持ち味が発揮されたとは言えませんし、一作だけで終わるには余りに勿体ないキャラクター。 |