もしやこれこそが我々の追い求めていた『角のある兎』ではあるまいか。間違いない。うさぎ特有の長い耳、そのすぐ前に鹿のものに似た立派な角が生えているではないか。

 驚くべき事に、この店内にはつがいの『角のある兎』の姿までがあった。
 角を持った雄に寄り添うようにしている雌には角はなく、一見したところごく普通の兎に見える。
 どうやら角があるのは雄だけであるらしいのだ。
『角のある兎』にまつわる驚異はそれだけにとどまらない。
 なんとこの兎はこの店の商品だったのである!
 我々黄色い三月兎北米支社『角のある兎』取材班としては、さまざまな苦難の末にようやく巡り会えたこの兎を、ぜひとも購入して日本の本社に持ち込みたいと考えた。しかし、これまでの必死の取材にも関わらず、野生の『角のある兎』が見つからなかった事実からして、彼らがいまや個体数の減少から絶滅の危機に瀕していることは想像に難くない。
 取材班は野生動物の保護を目的とするワシントン条約の精神に則り、この『角のある兎』の入手は断念したのであった。決して$290と言う価格にひるんだわけではない。こうして『角のある兎』の実在を証明する、確固とした証拠を手にした以上、目的は充分に達している。

 そう、『角のある兎』は確かに実在したのだ。










































うっそぴょ〜ん!

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