■バブル時代にて
時代はまだバブルで好景気だった。しかし崩壊までのタイマーは既に作動していた。
ここで手を打たないと大変な事になる。いや、もう遅いかもしれない・・・。
この時代はまともに営業活動なんかしなくても、お客が仕事を引き受けてもらいたくて
わざわざ会社まで頼みにくる時代だった。いい時代だったとも言えるが恐ろしい時代
だった。これに慣れてしまって当然のように思ってしまった会社は後のバブルの崩壊
とともに去ってしまっているだろう。そうならない為には・・・。
◇ ◇ ◇
■負けるもんか!
艱難辛苦(かんなんしんく)という言葉がある。苦しみ悩むという意味の熟語である。
この時の私はまさにこれに該当する。仕事とプライベートの両面で、悪魔のような壁が
目の前に立ちはだかった。ちょうど25歳。男の最初の厄年かいな。
もう一歩も前に進めず、体も痩せ細り、どうにかなってしまいそうだった。
ダメだと思うならいっそ全部投げ出すかい? そう自分に言い聞かせると悔しくて、
なけなしの闘志が沸いてくる。しがみつく思いでギリギリのところでやるしかない。
この身が果ててもかまわないから前に進もう。生まれて初めてそんな風に思った。
この時から十年以上経過して今これを書いているが、これまでの人生の中でこの時が
最大の難関だった。
この苦難はその後二年近く続いたが、ボロボロになっても最後まで諦めなかった。
そして最後に、とうとう最後にこれを乗り越えてやった。今の自分の全ては
この時の経験で成り立っている。
負けるもんかって気持ちは無くしたくないね。
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