二股ラジウム温泉★★★★★


巨大石灰華で有名な秘湯

■概要

二股ラジウム温泉は北海道の有名な秘湯のひとつだ。道南の交通の要所である長万部(おしゃまんべ)から山奥へ18kmほど入ったところにある一軒宿の温泉である。周囲は深い原生林で、ここへの林道にはキタキツネがよく現れる。

温泉の泉質は特異で炭酸カルシウムが大量に含まれ、それによって巨大な石灰華(石灰の湯の花)ができている。この石灰華の上に温泉宿がある。宿はずいぶ古びた湯治宿である。明治時代に開かれ、今でも重い病気の治療のために熱心に湯治する人がいる。



内風呂が2つ(湯船は3つと1つ)ある。渡り廊下の先にドーム屋根の湯小屋(湯船4つ)があり、湯小屋の外に露天風呂(湯船は3つ)がある。内風呂の1つが女性専用の他はすべて混浴だ。湯船は石灰華を掘って作られている。

■所在地

北海道山越郡長万部町字大峯30
TEL:01377−2−4383



■印象

温泉に着くなり湯治客の声が耳に入った。「お風呂にヘビが出たそうよ」。宿のおじさんは「暖かいから、たまに来るんだよね」といって探しに行った。クマコは長いものが嫌いなので今回は見学でいいと言う。クマオがお湯に入ることにした。

浴室はいたるところが赤褐色になっている。手すりの鉄パイプや桶まで湯花がついている。浴槽にも分厚く湯花がついて表面が凸凹している。お湯は赤褐色に濁っていて心持ちぬるめだ。ゆっくり浸かる湯治には最適だ。泉質は含ラジウム炭酸カルシウム泉、源泉の温度は50度である。タオルもすぐに茶色に染まってしまった。



露天風呂は石灰華をちょうど見られる位置に造られている。深めの湯船に入って原生林と石灰の巨岩を眺めていると不思議な感じがする。

有名な秘湯で温泉の効能はすばらしいと言われている。特殊な景観はやはり驚くところだ。お勧めする。

(ヘビは結局みつかりませんでした。毒ヘビではないそうなのでご心配なく。)

■営業

営業時間 7:00−21:00
休館日 無休
料金 1000円

交通

道央自動車道の長万部ICから国道5号線を小樽方向に10km程度で二股ラジウム温泉の案内板を見つけて左折。二股川を遡って8kmほど林道を走る。林道はほとんど舗装されていて、最後の2kmほどがダート。
駐車場は広い。



調査日:1999年8月

電車の場合は特急列車に合わせて長万部への送迎車がある。宿泊は、かなり古い建物なので5〜6000円程度である。
二股ラジウム温泉のパノラマ(81kB)もご覧下さい。

追加情報

料金は1000円になっていた。貴重品ロッカー(100円要)もあった。(情報提供:伏見さん2000年9月)

北海道長万部の二股温泉ですが、現在工事中です。ドームの老朽化により危険な状態となり、ドーム風呂と露天風呂は9月27日現在重機により跡形も無く破壊されていました。内風呂熊の湯と熊の湯の窓から行くブロックの露天風呂のみ入れます。それでも1000。11月にはリニューアルオープンするそうです。(情報提供:kozawaさん2000年10月)


温泉の由来

少し長いが温泉にあった来歴の説明を引用する。

二股ラジウム温泉は北海道長万部二股駅より約8km二股川上流カシュリナイ川のほとりに湧出する温泉で純度の高い鉱泉水の湧出により、その沈殿物である温泉湯華の巨大なドームが形成されその大積層は雄大そのものであります。この種の温泉湯華は世界中でも珍しく、アメリカの国立イエローストン公園のマンモス温泉郡と二股温泉の二ヶ所のみと云われております。大正九年に東京帝国大学の脇水鉄五郎教授によって初めて科学的に調査研究されました。それによると温泉沈殿物は炭酸及びカルシウムが主成分で、貴重な有効ミネラル成分のみである事が解明され、さらに5.47マツヘというラジウムが含まれている事であります。これにより脇水博士は当温泉沈殿物にラジオシンターと命名されたのであります。


石灰華

石灰華は温泉水に含まれた炭酸石灰成分が湧出によって温度圧力が下がって沈殿したものだ。非常に巨大で、説明によると長さ400m、幅200m、厚さ25mである。川上側は草に覆われているが、川下側の石灰華が成長している部分は半ドーム状になっている。

写真は駐車場からみた石灰華ドームの先端。二股ラジウム温泉の石灰華は北海道の天然記念物に指定されている。温泉の湯船は天然記念物に刻まれていることになる。
湯華の置物

温泉の廊下に茶褐色の花瓶がたくさん並べて売られている。これは温泉の湯花を沈殿させて造ったものだ。よく見ると日本酒のガラスのコップや、ドリンク剤の瓶が原料のようだ。コップや瓶に分厚く湯花がついている。説明によると流れるお湯に1ヶ月間浸けておくだけでできるそうだ。この温泉の特殊性がよくわかる。



その後の温泉のようす

新装後の二股ラジウム温泉にイッサキさんが2001年7月6日に訪問してレポートしてくれました。写真はイッサキさん提供のものです。

<イッサキさんレポート>

国道5号から山々に囲まれた二股川上流方面に舗装路で上って行くと、10分程で二股ラジウム温泉に到着した。みしゅらんレポートの写真に出ていたトタン外装の様な旅館建物は残っているが、横には4月15日にオープンした新館が出来、秘湯のイメージが無くなっている。 



入浴料1000円を払い、階段を降りて行くと浴室手前左奥には休憩所が設けられており、民間日帰り温泉にでも来たような感じだ。





露天風呂


プール

浴室も昔の写真の面影はなく、深さ120cmの熱い湯の内湯と湯の溜まっていない内湯、表には木製浴槽の露天風呂ができていた。笑ってしまうのは、リゾートホテルではないのに10mのプールまで備わっているではないか。

何か中途半端な秘湯にがっかり。パンフレットに『2週間以上泊まられて良化の兆候がない場合全額返金いたします(社長より)』と自信満々のコメントが載っていた。
【ナトリウム・カルシウム−塩化物泉/AM7時〜PM9時/01377-2-4383】
みしゅらん掲示板2001.7.12


<やませみさんコメント>

新経営者なりに、リハビリ療養の温泉として改修しているそうで、お風呂を深くしたのは、立位浴用でリウマチで膝が曲がらない人(座浴が苦しい)への対応。プールは泳ぐためでなくて、歩行浴用なんだそうです。ふ〜む。
みしゅらん掲示板2001.7.13

<T4Uさんコメント>


私もイッサキさんに遅れること2日、「二股らぢうむ温泉」に行ってきました。温泉への急な坂を上って先ず目に入るのが、新しく建てられた木造2階建ての宿泊棟。崖に沿って建っているので、以前のように駐車場から例の石灰の山を見下ろすことはできない。まずここでがっかりした。

1,000円を払って階段を降りる。降りきった右手に男専用の小さな内湯。左手に男女別の脱衣室。脱衣室を出てさらに階段を降りると混浴の大浴場で、この辺のアプローチは前といっしょ。つまりドーム浴場やらコンクリートの廃墟やらは跡形も無く壊され、そこに全く新しく建てられてるって訳です。…壁天井がプラスチック板張りの大浴場が。


T4Uさん提供 浴室外観

露天風呂に出てみると、右手に石灰の山は健在。ぬるめのいいお湯にゆっくり浸かり、緑の谷を見下ろして北海道のさわやかな風に吹かれながら、余りに強烈だった以前の「二股ラジウム」の数々の残像を蘇らせてみるというのが、ここでの新しい入浴作法かもしれません。

床や浴槽に着きはじめた強力な湯の花だけは以前と同じでした。女性専用の内湯、露天風呂もあるようです。
みしゅらん掲示板2001.7.14

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