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交換レンズの手入れと保管

中古レンズが増殖中で、保管を真剣に検討

 中古レンズにハマってから、レンズがどんどん増えてしまいました。古いレンズも多く、きちんと手入れや保管しなければ、長く使い続けることはできません。少しでも良い状態を保つにはどうしたらよいのか、あるとき真剣に考えてみました。

 ネットや本でいろいろ調べたり、中古屋さんの詳しい店員に教えてもらったりして、大まかな方向性が定まりました。最良の方法だとの確信を持てませんが、自分なりに納得している方法を紹介します。誰かの参考にはなるでしょうから。

 なお、使えるお金に限りがあるため、贅沢な方法は選べません。たとえば、防湿庫などは、部屋のスペースと金銭的な問題で、最初から除外してあります。

 関連する話題として、レンズ購入時やレンズ使用後のメンテナンスも加えました。これも、誰かの参考になるでしょう。

レンズの保管は、安いアルミケースが中心

 レンズを入れているのは、主にアルミケースです。しかも、一番安いアルミケースを使っています。それでもアルミケースが数個になり、余ったレンズはドライボックスに入れています。ドライボックスを選んだのは、アルミケースよりも安いからです。

 アルミケースに入れるのは、レンズの取り出しやすさを重視してのことです。そのため、平べったいタイプのアルミケースを買っています。このタイプにも、まあまあ安い商品があったので助かりました。ドライボックスとの使い分けでは、使用頻度の高いレンズをアルミケースに、そうでないレンズをドライボックスに入れています。

 アルミケースが数個あるため、入れるレンズを何らかの基準で分けなければなりません。マウントアダプタを介してE-1に接続するため、マウントごとに分けて入れる方法が一番使いやすいと決めました。実際に試してみて、この方法が使いやすいと感じています。

 アルミケースにもドライボックスにも、除湿剤と防カビ剤を入れています。古いレンズにはカビの心配があるため、除湿剤だけでは不安ですから。両剤とも、使い始めた日付を記入し、有効期限前に交換しています。とくに除湿剤は、保管ケースの開け閉めの回数が多いと、有効期限前に効果がなくなります。手で振ってカサカサ音を確認し、早めの交換を心掛けています。

多くのレンズをできるだけ使い、定期的な殺菌も

 カメラやレンズは、風通しの良いところに置いて、定期的に使うのが一番良いそうです。でも、レンズの数が多くなると、全部を定期的に使うのは困難です。それでも、できるだけ多くのレンズを使おうと努力しています。使うレンズの種類が多いほど表現の幅も広がり、良い刺激にもなると思いながらです。

 だとしても、持っているレンズの数が多すぎます。定期的なメンテナンスは必須といえるでしょう。除湿剤を入れてますから、湿気による被害は少ないと思います。それ以外で一番怖いのは、カビの繁殖でしょう。もちろん、防カビ剤も入れてるので、そう簡単には繁殖しないと思います。それでも心配なので、レンズの殺菌を半年に1回のサイクルで行なっています。全部のレンズに対して。

 殺菌に用いているのは、商品名が「ポケクリーン」という、携帯型の殺菌用紫外線照射灯です。もともとは、身の回りの日用品や料になどに照射し、ばい菌を殺菌するための道具ですが、レンズのカビ菌を殺す目的で使っている人が何人もいるみたいです。照射部が半導体なので交換の必要がなく、半永久的に使えるとか。携帯型なので、電源が単4電池4本なのも嬉しい点です。

 使ってないレンズで心配なのは、絞りやピントリングの動作です。絞りを長く使わないと、絞りに油が出てきたり、絞りが動きにくくなったりします。そうならないために、絞りを何回も動かすことを、最低でも半年に1回のサイクルで行なっています。ピントリングも同様のサイクルで動かしています。

中古レンズ購入時も、簡単にメンテナンスして保管

 以上のように保管していると、中古レンズを購入したときも、注意しなければなりません。レンズの描写テスト、清掃、殺菌の3つを実施し、保管用のケースへ入れるようにしています。

 一番最初は、レンズの描写テストです。清掃が一番最初だと思われるかも知れませんが、清掃で変になる可能性もゼロではないですから、買った状態のまま簡単な描写テストをしてみます。ここで問題が発生したら(問題あることはまれです)、清掃せずに販売店に持って行きます。描写に問題がないなら、レンズを清掃してから、ポケクリーンによる殺菌を経て、保管用ケースに入れます。

 カビ菌の対策では、保管用ケースへ新たに進入させないことが大切です。中古レンズの販売状態では、カビの付いたレンズと一緒に並べてあり、そのレンズにカビが付いてないからといっても、安心できません。ポケクリーンで殺菌すれば、ほとんどのカビ菌を殺せるので、ほぼ安心して保管できるはずです。

撮影後にもレンズの手入れを

 撮影に使ったレンズも、そのまま保管用ケースに入れるわけではありません。簡単な清掃をしてから、入れることにしています。

 最初に行なうのは、ブロアーでほこりを払うことです。レンズのフロントキャップを外してブロアー、リアキャップを外してブロアーします。フロントキャップを外した状態では、レンズにキズや汚れがないかも確認します。もし大きな汚れを見付けたときは、クリーニング用品で清掃します。

 ただし、レンズ表面のクリーニング回数は増やしたくありません。回数が増えるほど、傷を付ける可能性も高まるからです。小さな水滴の乾燥跡が少し付いたぐらいだと、そのままにしておきます。レンズの写りには、ほとんど影響ないですし。乾燥跡などの汚れがある程度増えてから、まとめて清掃するようにしています。

保護フィルターの代わりに、フィルター枠のみ付ける

 レンズの数が多いこともあって、保護フィルターは基本的に付けていません。例外は、入手が困難な一部のレンズだけです。

 保護フィルターを付けないことに決めたのは、まずレンズの数が多いからです。また、過去にレンズを傷つけた経験がないので、付けなくても大丈夫だと思っています。最後の理由は、逆光で撮ることが多いからです。最近の保護フィルターは性能が向上しているので、順光で写す限り、画質低下はほとんどないでしょう。ところが、逆光で撮影すると、レンズやフィルターによっては画質が低下します。逆光で写す機会が多いので、保護フィルタを付けないことにしました。

 保護フィルターを付けてないので、撮影中にレンズの前玉が傷付かないようにと注意はしています。撮影中に常時注意し続けるのではなく、大きめのフードを付けることで。また、撮影してないときは、できるだけレンズを下に向けています。

 それでも、不注意でレンズ表面を傷つける心配はあります。フードを取り付けたり外すときなどに。そんな心配を減らそうと、保護フィルターの代わりに、フィルターの枠だけ付けています。枠だけというのは、フィルターのガラスを外した枠のことです。ジャンクのフィルターを安く買ってきて、ガラスを外して使います。もちろん、全部のレンズに付けるわけではありません。前玉が大きかったり、フィルター取り付け部に前玉が近いレンズだけです。50mm F1.2のレンズとか。

 フィルター枠を、通常のフィルターと区別するため、フィルター枠の外側を黒く塗りつぶしています。フィルター自体は黒く、印刷してある文字だけが白いので、文字の部分だけ黒く塗りつぶせば済みます。これで簡単に見分けられます。

どのレンズも大切に使ってます

 以上のように、集めたレンズをメンテナンスしながら、大切に使っています。レンズ筐体に傷が付くのは気にしませんが、レンズ玉だけは傷つけたり汚れないように、注意しながら。たとえ2100円で買ったレンズでもです。どのレンズも、作品を生み出す大切な道具ですから。

(作成:2005年5月6日)
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