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circulation/循環系の巻 ......

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キモ男:キモ子、心臓の弁っていくつあるんだけっけ?
キモ子:えーと、大動脈弁と肺動脈弁と僧帽弁と三尖弁だっけ?
キモ男:そうだね。 心臓の模式図見ながら行くか。。あとの二つをまとめて房室弁って言うよね。大人もこどもも弁膜症は非常に大切だ。その中で、こども特有なものとして、遺伝的な疾患と心奇形の関係があるよね。
キモ子:ダウン症とファロー4徴症とか?
キモ男:そうそう。そういう有名なもの以外にも、僧帽弁逸脱症なんてのもあるんだ。僧帽弁逸脱症は生理的なものから、異状(Marfan,Ehlers-Danlos,Hurler症候群に伴い)までさまざまで。 心雑音の鑑別でも、超音波診断でも割りと多いので、あんまり簡単に考えない方がいい状態だね。
キモ子:うーん、難しいなあ。だいじょうって言われて、突然死とか?
キモ男:突然死とはあまり関係ないけど、例えばMarfan症候群自体が突然死がある病気だからねえ。それまで、元気な若い運動選手の突然死の原因には、肥大型心筋症、冠動脈異常、QT延長やWPWなどがある。特に肥大型心筋症は、これまた60%が常染色体優性で、運動時の胸部不快、めまい、呼吸困難、失神、動悸などが前兆であることもあって、注意が必要だね。あと、QT延長症候群にはけいれんの既往があることがあるんだ。
キモ子:前兆か。突然死だって、気を付けてれば、そういうのがあるかもしれない訳ね。あと、普段気を付けてれば、わかる病気ってないの?
キモ男:そうだねえ、、年長児の大動脈縮窄症では、腕の血圧が、足の血圧より高いのは必ずみられるとか。あと、母体と心奇形では、予兆っていうより、母体の感染や服用中の薬剤で、予想がつくものも多い。
キモ子:例えば、風疹?
キモ男:そうだね。新生児の心疾患と関連が高い母胎の要因では、糖尿病、全身性エリテマト−デス、風疹、アルコ−ル、抗てんかん薬(トリメタジオン)リチウム、外国で多いアスピリン乱用、コクサッキ−B感染などがある。さて、話は変わって、チアノーゼとか心臓由来の症状があるとき、心電図以外に、レントゲンを取るよね?なぜだろう。
キモ子:肺のうっ血がわかるとか?
キモ男:そうだね。心臓に血液が流れにくい要因があるために、肺ー>心臓の循環が阻害された状態だよね。たとえば、チアノ−ゼの新生児なんか、レントゲンを見たとき、肺血管陰影の減少では、肺動脈弁狭窄、ファロ-4徴症、増加では、大血管転移や総肺静脈還流異常などが分かることがある。心臓の形からわかる例としては、ブ−ツ型のファロ−4徴症、雪だるま型の総肺静脈還流異常症などが有名なんだ。動脈弓ってどういう風に見える?
キモ子:むかって右のてっぺんから傘の柄みたいに曲がって、胸椎の左側に下るところでしょう?
キモ男:あのね、向かって右とか左とかいわず、レントゲンを向かい合って言う患者さんに見立てて、患者さんの左、右って表現してね。
キモ子:あっそう。どもども。
キモ男:どもじゃないだろ。大動脈弓の逆のものを右動脈弓っていうんだ。右動脈弓としては、ファロ-や単心室などがある。こんな風に、カタチで、見分けられる場合もあるよね。遺伝と心臓はもっとも小児科らしい部分だね。ところで、先天性心疾患を合併することがある症候群としては、Down(ダウン)症候群(21トリソミ-:21番染色体が1本余分で3本ある)が有名だが、その合併率は約半分なのに対して13や18トリソミ-では80%以上の合併率なんだ。
キモ子:ふーん、染色体異常ってそんなに、心臓やられるんだね。 キモ男:そう。では実践編。では、まず、ファロ-4徴症で、突然のチアノーゼ発作(Tet Spell)が起こったときはどうする?
キモ子:まず、なだめて、落ち着かせる、しゃがませるようにして頭に血が行きやすいようにしてあげる。
キモ男:良くできました。それでもダメならば、酸素やモルフィネの使用を考えよう。あとはどうする?
キモ子:聴診する。雑音があるとか、ないとか。
キモ男:心雑音か。大切だね。新生児期以降で聴診上に雑音が認められないけど、うっ血性心不全や、心肥大がある場合は心筋疾患、糖原病、冠動脈の疾患や乳児の大動脈縮窄とエプシュタイン奇形などのまれな疾患で、多くの先天性心疾患では雑音が聞かれるね。あと、先天性心疾患による見た目の心不全の徴候としては、喘鳴や呼吸困難、チアノ−ゼなどがあるけど、何か、すぐわかる客観的な検査がある?
キモ子:あれでしょう、血液ガス。
キモ男:そう。まず血液ガスだね。血液ガスの異常では、軽いもので、呼吸が増えるための呼吸性アルカローシス、ひどくなると、肺浮腫と肺が硬くなるために起こる代謝性アシド−シスなど認められる。
キモ子:そういえば、運動中に心臓がドキドキして止まらなくなったって子が外来に来てた。発作性頻拍って言ってた。なんか、頭をタオルで冷やせって言われたわ。
キモ男:正解。発作性上室性頻拍症は4歳以下では氷で冷やしたタオルを額や鼻におく、舌圧子で嘔吐反射を起こす、なんて、看護師がすぐ出来る処置だね。両目を抑えたりはしないようにね! キモ子:どうして?
キモ男:網膜を傷つけたりするんだ。もっと大きい小児では一側の頚動脈マッサージやバルサルバ手技(息をこらえたまま、いきむ)、逆立ちなどが有効だよ。残念ながら時間が経って、全身状態も不良になってきたらいろいろ考えるより、同期直流放電がいい。そこまで行かないで元気だけど、応急処置に反応のないときは、アデノシンの急速静注を行うと止まることがある。
キモ子:そうなんだ。