【民芸館】......全国郷土玩具の旅


三重県篇(1)ー2

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伊勢の竹製玩具(竹笛・横笛・うぐいす笛・竹へび)■
 「水谷竹笛製作所」(水谷清五郎さん)で作られている竹笛は、家内手工業で、いまでも一本一本、試し吹きをしながら手づくりされています。この笛には、「参宮みやげ」の文字と鳥居の絵などが印刷され、50年以上も、以前と変わらないデザインで売られています。
  水谷竹笛製作所:水谷清五郎..度会郡小俣町小俣38..Tel:0596-22-3287

伊勢の挽き物細工
 ここには掲載できなかったのですが、木製のヨーヨー・コルク鉄砲・独楽など、この地方では「刳り物(くりもの)」と呼ばれているロクロで木を挽いて作る玩具があります。
  制作者:上地竹三(上地木工):伊勢市宇治今在家町20..Tel:0596-22-2927
      上地和夫:伊勢市宇治今在家町144..Tel:0596-25-5789


このヨーヨーは、昔は「手車」と云われ「嬉遊笑覧」という本に、「亨保(1716〜36)の初め手車といふ物売る翁あり糸もて廻し..(中略)..童部(わらべ)買てもてあそぶ----」と 書かれています。

■伊勢土産の諸玩具は、伊勢神宮の内宮の鳥居前に、古くからある土産物店街、通称「おはらい町通り」や、二見岩前の土産物店で売られています■




二見の蛙
 夫婦岩(めおといわ)で有名な二見が浦の、二見興玉神社のお守りに「二見の蛙」あります。神社では交通安全のお守りとして「二見の蛙」と書いた袋にいれて授与しています。
 この神社は、航海をする人達の信仰が厚いところから、「無事帰るは蛙に通ずる」として奉納されたという由来の説があります。

蘇民将来の木札
 松阪市から伊勢市にかけて、また渡会(わたらい)郡の家々の玄関の軒に、この木札の付けられた注連縄(しめなわ)を見かけることができます。この正月飾りの注連縄に「蘇民将来の木札」がつけられているのは、この地方のみにみられる風習です。
 この地方の蘇民信仰のもとは、二見が浦から鳥羽方向に2キロほど行くと、こんもりと茂った森がありますが、これを蘇民の森と呼んでいます。その昔、蘇民がここに住んでいたと伝えられ、木札の護符はその蘇民の伝説に由来するものです。
今は森の中に、松下社の社殿があります。

斎王鈴
 伊勢市の隣の多気(たき)郡明和町は、史跡の斎宮跡として近年注目されるようになりました。ここで、同跡にゆかりのある斎王を土鈴にした斎王鈴が作られています。
 この土鈴は「伊勢物語」に登場する斎王(恬子内親王)と在原業平の悲恋物語をもとにして、男女二体を一対にして、斎宮歴史博物館の売店で売られています。
斎宮歴史博物館:多気郡明和町竹 TEL:05965-2-3800

「斎王:(いつきのみこ)。伊勢神宮祭祀のため、京よりつかわされた未婚の内親王または女王。


松阪の猿弾き(さるはじき)
 松阪市は伊勢参りの街道筋にあり、早くから旅人の往来により繁盛した町で、伊勢土産と同様に、昔はいろいろな玩具類がありましたが、今はほとんど見られなくなりました。
 「猿弾き」は、古くから売られていた玩具で、竹軸の下の竹弓をはじくと、括り猿(くくりさる)が、上の方へはね上がるという仕掛けです。
 この猿弾きは、松阪駅近くの、岡寺山継松寺(岡寺観音)の初午の日に、門前の投餅などを売る店と軒を連ねて売られます。厄年にあたる人は厄除けの縁起ものとして買って帰ります。
 松阪駅前の、「松阪市観光情報センター(Tel:0598-53-4406)」へ行けば、これは常時手に入れることができます。
  制作者:山崎正雄..松阪市小阿坂587-2


多度の弾き猿(はじきさる)
 桑名郡多度町、多度神社の例祭(5月5日)に、「弾き猿」が境内の露店で売られています。 これも、松阪の猿弾きと同じような作りですが、竹軸の先に太鼓がついていて、赤い括り猿が跳び上がると、太鼓の縁に当り、ボンとにぶい音を響かせる、郷土玩具の名にふさわしい玩具です。  紙張りの太鼓は中央が墨で丸く描かれていますが、これは、多度神社の流鏑馬(やぶさめ)の弓の的になぞらえたものということです。
  制作者:水谷復四郎(宮川屋)..桑名郡多度町多度1189 


---三重県篇、第1回...終り---


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(1998.5.11掲載)

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