クリプッシュ R-51M スピーカー
    
    海外ドラマ SUITS にすっかりはまって、オフィスにレコードプレーヤーを入れたのですが、ドラマで目立っていたプレーヤーとは別に、主人公の剛腕弁護士、ハービー・スペクターのオフィスに、さりげなく置いてあったのが、カッパー色のコーンがおしゃれな、Klipschのスピーカー。 
     
     Klipschの歴史は長く、全帯域ホーン構成のオールホーンスピーカーで有名。クリプッシュ・ホーンという名前が、今も残っています。 
     
     最近、Klipschは、オンキョー・パイオニアが代理店になって、買いやすくなったようので、SUITSへのハマりついでに、ハービーのとよく似たブックシェルフ型の最新機、Klipsch R-51Mを買ってみました。これまで使っていたJBLの Stage A120 と入れ替えです。 
     
     R-51Mは、2台セット税込み送料込みで3万9800円。しかも、正規品のため、ヨドバシカメラで買えたので、10%ポイント付。 
     
     幅はA120とほぼ同じですが、奥行きと高さが大きい。価格に比例して、体積は2倍くらい。 
     
     
      
     
      
     
      
     
     高域は、指向性を調整するTractrixホーンがついたアルミ製ドームツィータ。ウーハーは、SPUN Copper IMGウーハーと称する銅色のメタリック風コーン。価格からすると、なかなか良い出来に見えます。 Klipschは、米国では非常によく売れているメーカーなので、量産効果で低価格高品質を実現しているのかもしれませんね。 
     
     
    その音は 
     早速、TU-8200Rに繋いで、聴いてみました。 
     価格が半分のA120 と比べるのはフェアじゃないですが、とにかく、コルトレーンのサックスが、色濃く、深みのある音に変わります。シンバルの小さな響きも最後まで拾う。クラシックもかなり行けます。超低域はもちろん出ませんけれど、良いバランスです。 
     
     ネットでは、ロック用に良いと書いてあったりするので、もうすこしドンシャリかと思っていましたが、これはオーディオ的に正統派です。いわゆる良い音と言ってよかろうと思います。あまりオーディオ誌で見かけませんけれど、4万円以下で買えるのは、かなりお買い得な気がします。 
     
     箱も、リアルウッドの塗装仕上げで、木目シート貼りの仕上げとは、印象が違いますね。コーンの先進感と対照的に、クラシックな感じです。 
     
      
     
     カッパー色コーンが、すごくおしゃれです。A120の兄貴分、 A130だと、台座にしているコンクリートブロックからはみ出してしまうのですが、幅の狭いR-51Mは、ぴったりうまく収まりました。 
     
      
     
    念のために申し添えますが、PIEGA COAX 711でも、38cmウーハーがないと低域が出ないなあ、とか言っているのと同じ基準で、このR-51Mを評価しているのではありません。そこは、質・量ともに、まったく比較にならないです。ただ、これはこれで、オーディオ的には非常に好きです。 
     
     
    インピーダンスは8オーム 
     実は、買う前には、「おっと、A120は4オームなのに、R-51Mは8オームか、TU-8200Rの出力インピーダンスを切り替えねば」、と、ちゃんと思っていたのですが、実際の取付では、それをうっかり忘れました。 
     その結果、出てきた音は、なんか高域はひずみっぽい。低音も出ないし、はっきり言って、耳障りな、まったく好きになれない音だったのです。「なんだよこれ、バーンインが進めばちょっとは良くなるのか?」とか思いながら、二枚ほどLPを聴いたところで、思いついたのです。あれ、アンプ側のインピーダンスを8オームに変えてなかったね・・・。 
     8オームのスピーカーを4オーム用の出力に繋いでも、最大音量が変わる、とかの微細な差かと、思っていたのですが、正しく8オームに設定しなおした直後に出てきた音には、びっくり。こんなに違うもんなの・・・。 
     
     インピーダンスで音が変わったのかはわかりません。実際の症状としては、4オーム設定のままだと、感度が高すぎて、ボリュームの一番低いところからちょっと回したところで聴くことになります。こういう聞き方は大抵は音が悪いですよね。このせいなのかもしれない。8オームに切り替えてからは、A120の時と同じくらい(ボリュームは8時半から9時くらい)の位置になりました。 
     
     いずれにしても、大切なのですねえ、真空管アンプの出力インピーダンス。半導体アンプに慣れ切っていて、甘く見ていました。 
     
     
    特性の実測結果 
     雑誌「アナログ」Vol.73(2021/10/5発売)を読んでいたら、Klipsch R-51M が、A級シングル(すなわち小出力)の真空管アンプと相性がよい、という記事がありました。しかもテストで使っているのが、私と同じTU-8200R。どちらも雑誌には滅多に出てこない機種なので、ちょっと意外。 
     
     そこで思い出したのですが、R-51M+TU-8200Rでの特性を計測していませんでした。確かに、記事の指摘通り、効率が93dBと小型スピーカーとしてはかなり良いので、十分な音量が楽々でます。 
     
     効率は1kHzで測るので、大抵は低域を犠牲にして効率をあげているものですが、R-51Mはベースの音もズシンときて、低域は痩せないし、シャリシャリした音でもない。大型機を聴きなれた私でも、BGMとして聴いている限り、不満がない音なのでした。そこで計ってみました。 
     
      
     
    え?、というほど低音が出てます。小型機って大抵は100Hzから下は落ち始めるもの。それを200Hzくらいを盛り上げて低音感を稼ぐ、っていうスタイルが多い。Klipsch R-51Mは違いますね。100Hz以下が十分に出ている。250〜400Hzが少し下がって、500Hzより上はほぼフラット。ドンシャリといえばそうかもしれませんが、DEQ2496などは入れていない素特性ですから、小音量での特性でみれば、「これは大型機か?」ってほどの特性です。どおりでいい音で鳴るわけなのでした。 
     なお160Hzのピークは、部屋の上下方向二次定在波のせいだろうと思います。大音量でブーミーになる原因ですが、今のところ、むしろ低域の強化に役立っているようです。 
     
     もっと話題になってもよいスピーカーである気がします。TU-8200R (+ KT-88真空管)との組み合わせも、まぐれ当たりですが、良かったらしい。これだから、オーディオは面白いですね。 
     
     
     
    (2020年11月19日記) 
    (2021年10月24日追記) 
    
         
          
     
      
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