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カペレ橋とピラトゥスは本当に絵になるなぁと感心しましたし、夢中になってカメラのシャッターを押し続けました。
ルツェルンではロイス川沿いのデス・アルプというホテルに四泊ほどしたと思いますが、土曜日の朝の朝市など、とても面白いものでした。特にイエズス教会側の岸に並んだガラクタ市が面白かったです。その後何度かルツェルンに滞在した折に見ましたが、何度見ても面白い市でした。日本のものを探してみましたが、そんなものを探すというのも、何週間も日本を一人ではなれたホーム・シックみたいなものだったのかも知れません。
ルツェルンで最も印象的だったのはワーグナー博物館とイエズス教会でありました。ワーグナー博物館については別に述べましたので、ここではイエズス教会について。
この美しいバロック調の建築は、スイスの教会建築の中でも最も美しいものの一つでしょう。軽やかな色調と高い窓からの十分な明かりが、極めてデリケートにバランスしたこの建築はソロトゥルンのイエズス教会と同じ設計者のハインリッヒ・マイヤーの設計によるものと伝えられています。
完成は1678年だそうです。
パイプ・オルガンは一台、入り口の上に設置されていて、新しいもののようですが、詳しくはわかりません。ECMレーベルに何枚か、現代作品の録音がありますが、1992年と1994年にここで聞いたオルガンの響きの美しかったこと!!響きの大変多いドーム型でありますが、響きが天に抜けていくような、あるいはそこから響きが降り注ぐような、素晴らしい体験でありました。
オルガンでは、ホーフ教会のバロックオルガンが有名で、こちらの方もCDが出ておりますので、聞かれた方もいるのではないでしょうか。
さて、今月、ART HAUS MUSIKからシュライヤー指揮スコットランド室内管とスイスの名歌手マティス他の独唱とルツェルン祝祭合唱団の演奏で、このルツェルンのイエズス教会で録画されたハイドンのオラトリオ「天地創造」が発売となったからです。DVDで、日本語の字幕等はありませんが、NTSC方式のソフトですから、日本のテレビで大丈夫です。
あの美しい教会に響くハイドンの畢生の名作は実に感動的であります。演奏、特に管楽器のソロなどにやや難がありますし、マティスの他のソリストにやや不満があったり、シュライヤーの整いすぎた指揮に多少燃えきらないものを感じますが、曲があまりに素晴らしく、更に合唱の素晴らしさ故に、ぜひに薦めたい1枚としてここに紹介する次第です。
少々の難はあっても、結構楽しめる音楽というのは存在しますが、ハイドンの「天地創造」はそういったたぐいのようです。実際、簡単そうに聞こえて実は細かく見ていくと、とても複雑で、色々な工夫をハイドンはしていて、それが一筋縄で絶対いかない、ハイドンの世界を作り出しているのですが、あまりによく書けているために、何とか聞かせてしまうのです。
こういった作曲家は他にブラームスなどがいます。だから良い演奏で聞くと更に素晴らしい成果があがるのですがね。
指揮者のシュライヤーの頭上にあの美しい響きを聞かせてくれたオルガンが見え、逆に客席から演奏者たちを撮ったところは、おそらくオルガン席のある2階部分にカメラがあったのでしょうが、あの美しい内陣が見渡せます。
ああ、これが見たくって、このDVDを買う人も少ないでしょうが、私には何にも替えがたい1枚となりました。スイス好き、ルツェルンの思い出にいかがでしょうかね。 |
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