書 名:ワンダフル・ライフ / Wonderful Life
著 者:スティーブン・ジェイ・グールド / Stephen Jay Gould
訳 者:渡部 政隆
出版社:早川書房 1993/4/15 初版
ISBN 4-15-203556-0 C1045
スティーブン・ジェイ・グールドは、R.ドーキンスと並んで有名な 生物学・進化学者。原著英語版は1989秋、日本語訳出版が1993年。
表紙に CG で描かれている奇妙な物体、これがハルキゲニアと呼ばれる
謎の生物である (これが生物だって!?)。
ハルキゲニアやアノマロカリスに象徴される、カナダのバージェス頁岩から
発見された古生代カンブリア紀の奇妙な生物化石群についての考察を通して、
独自の進化論を展開する。
バージェス生物群をめぐる歴史的発見の経緯をつづる物語であり、
かつ科学的に新たな進化論の観点を提示する。
それはダーウィニズムに基づきながらも、進化は連続的にゆっくり 進むのではなく、ある時に爆発的に発展することがあり、生物進化の 初期には最も多様性が大きかったのだと主張する。また、生物進化の 歴史は、リプレイしても同じことが起こらない、一度きりの物語 だとも言う。
映画 「素晴らしき哉、人生 / It's A Wonderful World」 を例にあげて、この映画で主人公がいたかいないかで街の様子が 大きく変わってしまうのと同じように、 この現実世界の生物の様子も、実はちょっとした偶然の積み重ねで 今のようになっていて、もし大昔にちょっとした何かが 「起こらなかったら」今とは全く違った世界になっていたはずだ、 という説明をしています。NHK「生命 40億年はるかな旅」第2回の放送「進化の不思議な 大爆発」はほとんどこの本に沿って製作されたものでしょう。
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp