◆ 生命のはなし (8) ◆
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■ ダンゴムシの戦略
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「教えて!ガリレオ」というテレビ番組で、面白い実験を見ました。
問題:次のような迷路にダンゴムシを入れた時、
ダンゴムシはどのように行動するでしょうか?
答え:AまたはBに出ます。
その時の軌跡は、以下のようになります。
最初に壁にぶつかった時には、右左どちらに曲がるかわかりませんが、
一回どちらかに曲がると、次に壁にぶつかった時に、前に曲がった方向とは
逆の方向に曲がります。
のどちらかのパターンになります。
これを、学術用語で「交換性なんとやら」
というそうですが、忘れました。
このことは、Worms プログラム(虫の行動を進化させる人工生命プログラム)
に対するひとつの答を示しています。
ダンゴムシは比較的単純な虫で、その行動パターンはすべて遺伝子に
プログラムされていて、学習はしないのでしょう。
上記のような迷路問題の場合、単純な戦略としてはいくつか考えられます。
例えば、壁にぶつかった場合に、
- 常に右に曲がる。(…・右・右・右・…)
- 常に左に曲がる。(…・左・左・左・…)
- 右左をランダムに選ぶ。
- 右、左に順番に曲がる。(…・右・左・右・左・…)
- 右、左、右の3つの繰り返し。(…・右・左・右・右・左・右・…)
- 左、右、左の3つの繰り返し。(…・左・右・左、左、右・左・…)
- 右、右、左・左・の繰り返し。(…・右・右・左・左・…)
- ……
などなどがあり、これらは歴史の中でいろいろ試されただろうと思いますが、
おそらく、「右左順番」以外の行動をとる個体は
うまく生きられずに早く死んでしまった。残れなかった。
つまり、右・左・右・左、という行動は、餌を探すのに、または居心地の
良い場所を探すのに、単純で有効な行動パターンとして遺伝子的に
選択された結果のものなのです。
もっと高等な、視覚や触覚、嗅覚を備えた生物では、その多数のセンサ入力に
よって行動を選択するようになるので、行動は複雑になってしまいます。
Worms などのプログラムでシミュレーションできるのは、入力すセンサが
数個程度の下等な昆虫レベルまででしょう。
* 近くの公園に行って、ダンゴムシを観察してみた。
ダンゴムシは亀と同じで、ひっくり返ると起き上がれない。(^_^)
* 名前が分かりました。「交替制転向反応」と言うそうです。(2004/05/12)
1993/08/19 Takakuni Minewaki
2004/05/12 last modified Takakuni Minewaki
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