- 初日、奥只見丸山スキー場は、みぞれ気味の雨だった。レインウェアを着て出発した。ダムの管理道路はた。積雪約1mだった。只見川が近づくと岩壁から雪がなだれ落ちていた。河原を迂回した。その後、雪崩の跡を何度も通った。
- 上大鳥橋を過ぎ、白滝沢の先の小沢の所にピンクテープが有った。小沢のなだれ落ちた雪を登り始めた。すぐに雪がなくり涸れ沢になった。急になったところで右手の尾根に取り付いた。ヤブの尾根を登った。標高690m付近からは雪面の登りになった。標高1020mまで登り、風の避けられる窪地にテントを張った。みぞれは雪に変わり、体はずぶ濡れになった。
- 二日目は晴れだった。テント内は4度だった。体が濡れていたので寒く感じた。テントの周りには約10cmの新雪が積もっていた。新雪を踏みながら登っていった。尾根に出る手前が急登で、少しヤブも出ていた。尾根に出ると展望が開けた。
- 尾根の登りは左手の霧氷がきれいだった。朝日に輝いていた。1395m峰を過ぎると少し気温が上がってきて木々から霧氷の氷がばらばらと落ちてきた。村杉岳手前は約20cmの新雪の登りに苦しんだ。たどり着いた村杉岳は展望が良かった。
- 村杉岳から1508m峰まで快適な稜線だった。1508m峰で休んでいると村杉岳からスキーヤーが一人来るのが見えた。
- 1508m峰からの下りでスキーヤーに追い越された。日焼けした中背の若者でショートスキーを履いていた。背中にはピッケルを付けた40リットル位のザックを背負っていた。朝、駐車場を出発し、日帰りで往復するとの事だった。我々のテントの跡には気が付いたとの事だったので同じルートを登ってきた様子だった。どこまで行くのか尋ねると、「この先で引き返します」との返事だった。我々を追い抜くと、さっと先へ滑って行った。
- 標高1390m地点からは急な下りで少しヤブも有った。1354m峰手前の鞍部で先ほどの若者が戻ってきた。やけにスムーズに登り下りしているので、「シールを付けないで登っているのですか?」と尋ねると、「シールは付けっぱなしなんです。下りは結構滑りづらいんです」と片足を持ち上げてスキーの底面を見せてくれた。
- 1354m峰を過ぎると雪庇はほどんど崩れていてヤブが続いた。大川猿倉山への登りになり、ようやく雪面を登れるようなった。山頂まで残り標高差100m地点で雪の斜面を整地してテントを張った。
- 三日目も晴れだった。ウグイスやクロジが鳴いていた。テントに荷物を置き、アイゼンを効かせて大川猿倉山に登った。低い潅木に覆われた山頂は眺めが良かった。更に稜線を北に進み猿倉山から横山まで行く予定だったが、50mほど下った所で稜線が切れ落ちていた。危険を感じたため引き返した。
- テントを撤収し、アイゼン、ストックをザックにしまって出発した。再びヤブを通って1508m峰まで戻りテントを張った。曇り空になっていた。風が有ったので潅木に濡れたシュラフを引っかけて乾かした。テントから20mほどの所には昨日は無かった熊の足跡が有った。
- 最終日は雨だった。風が強かったのでテントを注意して畳んだ。西の尾根に向かい、1413m地点から南に方向を転じた。周囲はブナの森で雪の上にブナの実がたくさん落ちていた。標高850m付近でヤブになり尾根も不明瞭になった。霧も出てきて進む方向が分かりにくくなった。何度も登り下りして、ようやく正しい尾根を見つけ、村杉沢出合に無事下り立つことができた。
- ダムの管理道路を奥只見丸山スキー場に戻った。結局、山中で出会った登山者は二日目のスキーヤー1人だけだった。