- 身延駅からのバスには、他に3人の地元の客が乗っているだけだった。終点の身延山バス停で下車して閑散とした土産物屋街を登って行った。山門をくぐり急な階段を登り詰めると久遠寺(くおんじ)本堂に着いた。4人のハイカーがちょうど本堂から出てくるところだった。それ以外は、人影はまばらだった。
- ロープウェイ乗り場への道を分け表参道を登り始めた。コンクリート舗装された道だった。すぐに高さ90cmほどの何丁目かを表す石柱が建っていた。七丁と書かれていた。周囲は杉木立だった。十四丁には石柱が密集して立っている場所が有った。
- 途中の三光堂(さんこうどう)手前で郵便配達のバイクが登って行き下ってきた。三光堂まで登るとベンチが有った。座って休んでいると後から年配の男性ハイカーが2人登って来た。後どれくらいか尋ねられたので「半分くらいと思います」と答えた。三光堂の脇には梅が咲いていた。
- 三光堂からは未舗装の幅広の山道になった。次第に急になった。法名坊(ほうみょうぼう)にもベンチが有った。風が少し出てきたのでウールの帽子と手袋を付けた。法名坊からは斜面を横切る道になった。時々木の間から富士山が見えてきた。
- 登りつめると奥ノ院に着いた。南側を望む展望台が有った。先ほど抜いていった2人のハイカーの他、2人の女性ハイカーがいた。どうやら4人グループらしく、女性2人はロープウェイで登った様子だった。お昼のパンを食べながら、しばらく富士山と富士川の展望を楽しんだ。
- 奥ノ院の裏手の階段を登ると山頂の思親閣(ししんかく)だった。読経の声が小さく聞こえた。建物脇を奥へ進むと最高点だった。杉の樹林に囲まれていた。最高点の少し下にある北側展望台へ行き展望を楽しんだ。南アルプス高峰の山頂部が白く見えた。しばらくするとロープウェイで来たらしい4人の若者がやってきた。
- 帰りは裏参道を下った。途中の感井坊(かんせいぼう)で休んでいると中からお坊さんが出てきた。「下りですか」と聞かれ「はい」と答えた。お坊さんは会話をするでもなく、じっと建物の外に立っていた。どうやら私が立ち去るまで外にいるつもりらかった。袈裟を着ているだけで寒そうな感じがした。少し気の毒になり、ポットのお湯を飲んだだけで早々に立ち去る事にした。「どうも」と挨拶して立ち上がると「お気を付けて」と挨拶された。
- 千本杉と名付けられた杉の巨木群が有った。更に下ると松樹庵(しょうじゅあん)で、梅が咲いていた。妙石坊(みょうせきぼう)にもベンチが有り一休みした。ちょうど軽自動車に乗った3人の来客がやって来て、すぐに帰って行った。
- 身延山バス停では少し時間が有った。誰もお客のいない土産物屋に入り、とち餅をお土産に購入してから帰りのバスに乗り込んだ。バスの乗客は他に一人だけだった。