有効積算温度生物は子孫を残すことが生きていく第一の目的です。 <図−2>は、1年1化で春に孵化して蛹化まで有効積算温度70度が必要な虫を想定しています。もちろんこれはモデルですので実際このような虫がいるということではありません。青い部分は温度を示しています。式で現わすと次のようになります。 有効積算温度(=70)=Σ(T−t)、但しT−tは正または0 ![]() 上段と下段とは同じ環境ですが、産卵された場所やらなにかの事情で、上段のAの個体の方が下段のBの個体より6日早く孵化したとします。季節は春ですから気温は右上がりに上がっていきます。 図に挙げたモデルは非常に簡素化したものですが、孵化の日に差があっても、結果的にその差は縮まるという仕組みは理解されたことと思います。 実例としては、3月中旬に人工孵化させ室内飼育したメスアカミドリシジミ幼虫と4月末に野外採集後室内飼育した同種の幼虫の幼虫期間は明らかに後者が短く、またヒサマツミドリシジミやアイノミドリシジミなどでも人工孵化した同じ母の幼虫達が、孵化時期にばらつきがあっても蛹化時期はそれほど変わらないということを経験しています。 |
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