クワガタ英語講座
coelacanth
海外のおっともだちと虫の事を語る場合に必要になるのが英語、しかも虫関係の
へんてこりんな単語や、その使い方には結構悩んでしまいますよね。松田、谷田
の両ページを翻訳したり、監修したり更には自分でも文通してるうちに結構そこ
いら方面の知識も身について来ました。
なんぼ私でも専門用語オンパレードの分野の翻訳なんてのには本来専門用語の辞
典が必要になるわけですが、仕事でもないしそんなの無しで今までてけとーにや
ってきました(そもそもあるのか昆虫和英専門辞書!)が、まぁ完全じゃなくて
も常に「ちゃんと通じる」レベルの自信はありました。言い回しや単語がわから
なければ適当に説明しちゃえばいいわけです。第一、正しい専門用語を使えばい
いというものでもなく、そもそもネイティブだって普通の人はそんな専門用語知
らないわけです。学者ならともかく趣味で甲虫を飼う、なんて連中はそういう場
合も多いわけですからね。普通の日本人だって「頭楯」だの「小楯板」だの言っ
ても全然通じないですものね。そういう専門語なら例のクワガタ大図鑑の英文の
あたりを調べると載っているだろう。
そういうわけで適当に思いついた単語を用法等と共に並べて見ます。英作文の基
礎講座じゃないので、作文の基礎からやるわけではありません。思いつきでやっ
てるので必ずしも網羅的でないし、いい加減です(いつもの事か?)。専門用語
には複数が変てこりんなのが多いのでそういう複数形は()に示します。
- <飼う>rear
最初、これが結構困った。動物ならfeed(食わせる、な
ので虫相手だとちょっとふざけた感じだが)とかhave -- as
petとかも言うが虫だしねぇ。「面倒を見る」って意味じゃcare forもありだが、これは単純に「欲しい」という意味もあ
るしな。
んで「増やす」「養殖する」って感じだとbreedが一番
適当なんで(ブリーダーっつうもんね)これも使える。
しかし単純に趣味で育てて、というニュアンスでいくとrearが一番普通みたいですね。最近多用しとります。raiseも似たようなもんだが、犬を大きく育てて芸をしこむみ
たいなニュアンスとか他の意味も多いからちょっとタルい。
growとかcultivateっつーとど
うも植物を対象とする場合が多いみたいです。
- <採集>catch
これがまた困った。collectというといわゆるコレクタ
ーというか、「収集」というニュアンスも出るからいかにも生きている昆虫を採
集に行くという感じにならない場合がある。切手収集みたいな感じの標本集めと
は違うもんねぇ。まそれも含む場合は完璧なんだが。そもそも西洋人は昆虫採集
なんかしないからしっくりくる言葉はないのだろう。集めるとしたら標本なんだ
わ。
かと言ってhuntっつーとほんとに「狩り」って感じにな
っちゃうから不適当。でも朽ち木割なんて鉈持って行くし、なんかちょっと狩り
っぽい。しかし実際には相手は隠れているだけなんで、これもfindとかcollectが適当だろう。
collect larvae in decayed woods位か。
catchなら「捕まえる」って感じがいい。ただまぁ蝶や
らトンボやら飛んでるものを捕まえるって感じなのでクワガタだとちょっと?
gatherがまた「集める」なんだけど、これもなんか困っ
たもんだ。そこら辺に落ちているものをわさわさっと寄せる、みたいな感じに聞
こえるがそういうもんじゃないからね。鉱物採集とか植物採集なら完璧なんだが
。
灯火採集となるとこりゃもうattract insects with
lightってな事になるので、名詞だとinsect attraction
with lightってな事になってしまう。
- <体>body
さて、体の部分となるとhead(頭)、chestまたは専門的にはthorax(胸)
、abdominal region(腹)あたりはまず基本ですね。
虫なんで、arm(腕)っつーのはなくて、foreleg、middle leg、hind legってーのが脚で更に先っぽの
部分(ふ節)は専門用語でtarsus(tarsi)、けい節は
tibia (tibiae)、たい節はfemur
(femora) ですが、専門的過ぎて一般民間人にはかえって通じないかも。
lower/middle/upper part of leg、でも十分でしょう。
付け根に近いほう(たい節)がupperです。あと爪は
clawですかね。
背中はbackだし、鞘羽はsheathですが専門的にはelytron
(elytra)、中の羽はwingsでしょう。中には鞘羽
をshellなんていうアメリカ人もいるでしょう。連中は
甲羅や貝殻や固い覆いはなんでも一緒くたにそう呼ぶ傾向があります。
更に触覚は俗称feelers、専門語ではantenna (antennae)、大アゴはmandibles、生殖器はgenitals、飼育
に失敗した小型個体をmidgetなんて呼びます。横に開く
アゴはjawとは呼ばないみたいですね。歯はteethで問題ないでしょう。
あとは、体の形状の説明をするのに、projectionか
protruberance(突起)、hump
(コブ)、branch(枝分かれ)、stag(牡鹿)、dimple(へこみ)、
wrinkle(シワ)なんてのも役に立つかも。
- <変態>metamorphosis
変態はmetamorphosis(虫と関係ない方ではpervertっつーのもありますが間違って使わないように)、完
全変態のならholomorphicで不完全ならhomomorphic、卵、幼虫、蛹、成虫はそれぞれegg、larva (larvae)、pupa (pupae)、imago (imagoes)、で幼
虫の「齢」にあたるのがinstarで 2nd
instar larva (2齢幼虫)みたいな感じで使います。「3齢の時に」ってな
感じだとin its 3rd instar stageですかね。「皮を脱
ぐ」はshed the previous skinってな事になるでしょう
。
卵が孵化するのはhatchで、それまでに暖める(虫の場
合はあんまり暖めないか?でも管理するという感じで)のがincubateで、蛹化するのはpupate、
前蛹はprepupaで、蛹室はpupation
chamberでいいんじゃないかな。羽化するはemergeですが、単に出現するって意味もあるのでややっこしい
ですね。
産卵するのはlay eggsで産卵痕はegg
mark、各変態の際に起こるのが脱皮つまりecdysisですね。不完全変態の羽化直前の若虫をnymphといい、蝶みたいなのの蛹はchrysalisと呼びます。cocoonだと蛾
の繭みたいな感じになっちゃいますね。
- <生活>life
冬眠するのはhibernate、住んでいるのはinhabit(他動詞なのでinhabit this
regionみたいに使います)、分布というならdistributionですね。
人が虫をペアリングするのはpairまたはmate(他動詞)でいいんですけど、虫同士が自分達でpairする事はなくて、そういうのはmate(自動詞)と言いますね。
食事はeatでもいいですけど、汁を吸うって感じだと
sip、で樹液はlymphとかsapってな感じですかね。ingestとい
う単語ならどういう形態で食ってようが「養分を取る」という意味でオッケーで
す。「バナナを食わせている」という場合よくfeed them
bananaとか逆にしてbred/raised on bananaみた
いな感じでも言います。
がさごそ言うって感じはrustle、分泌するはsecrete(分泌物secretion)。排泄
するのはexcrete(排泄物excreta)ですね。
- <標本>specimen
植物界はflauraで動物界はfauna、無脊椎動物はinvertebrateで
す。
分類するのはclassify、sortなんてのがあります。種は
species、kind、属ならfamily
でしょう。
ピンに刺したのはpinnedで、脱水、加水はそれぞれ
dehydrate、hydrateってな所でしょう。
薬物では酢酸エチルがethyl acetate、薬瓶の小さいの
はvialとかpill caseなんて言
いますね。
- <餌>food
添加物というか栄養剤という意味でnutrient、成分なら
ingredient、化合物はcompound、味の素はSG (sodium
glutaminate)と呼ばれています。
小麦粉はflour、キノコはmushroomですけど菌類という感じでfungus
(fungi)と言った方がクワガタ関係では適切に思えます。
マットはmatですが、どうもflakes、
wood flakesと言った方がしっくり来ますね。餌のゼリーはjellyです。
産卵木は、そんな言葉はそもそも無い感じですけど以前私はbed
woodと訳し、大体それでおっけーな感じだと思います。
さて木が「腐る」という言い方はrotだとどうも「腐敗
」という感じなんで私はいつもdecayを使います。rotten woodは「腐った木」、decayed
woodなら「朽ち木」位な感じがするわけです。更に「発酵」ならfermentという言葉になります。
植物を食うのはherbivorous、肉食ならcarnivorousです。
後は学名になりますが、椎茸(Lentinus edodes)、カ
ワラタケ(Coriolus versicolor と
Trametes versicolorがあって種類が違うようだがよくわからん)、オオ
ヒラタケあるいはアワビタケ(Pleurotus abalonus)、
クヌギ(Quercus acutissima)、エノキ(Celtis sinensis)なんて所も押さえておくといいでしょう
。
広葉樹はbroad leaf tree、針葉樹はneedle leaf tree、一般にドングリの木はacorn treeです。エノキはhackberry
treeの方が学名より通じるかも。
- <容器>case
容器はなんでもcontainerかcaseでいいと思いますが、bottle、
lid(ふた)、あたりも必要ですかね。
材質はプラスチックやビニールみたいなものはぜーんぶplasticであとはglassかwooden位でしょう。
- <その他>others
beetleは甲虫全般で専門的にはcoleopteraと言います。クワガタはstag
beetleですが、lucanidとかlucanidaeとか色々総称されます。どうかするとでかい甲虫は
なんでもscarabedaeにひっくるめられてる場合がありま
すが、昔のいい加減な分類では色々混乱もしていたみたいです。
その他カブト類はサイ(rhinoceros)beetleと呼ばれ、
糞虫はdung beetle、カミキリはlonghorn beetle、ハンミョウはtiger
beetle、カナブンはdrone beetle、ハナムグリ
はflower beetleなんて呼ばれる事が多いみたいです。
あとは日本の代表的なカブトやクワガタは学名で覚えておきましょう。Prosopocoilus inclinatus(ノコギリクワガタ)、Lucanus maculifemoratus(ミヤマクワガタ)、Dorcus curvidens(オオクワガタ)、Dorcus
rectus(コクワガタ)、Allomyrina dichotoma
(カブトムシ)。
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