SHOH's LIVE REPORTS

Jeff Buckley (Jan 31,1995 at Nihon Seinenkan,Tokyo)


のうとはまったく雰囲気が違うライブ。

オールスタンディングの小さなクラブと、椅子席のあるホールとの違いだけでなくて、客層もかなり違っていたような気がします。きょうのほうが圧倒的に年齢層が高かった。業界関係者も多かったみたいだし。

おまけにきょうは、MTVの録画撮りが入っていた(4月8日21:30〜22:00放映予定)ので、本人も「UNCONFORTABLE」と言っていたけれど、なんとなくあがっているような感じでした。

でも、ジェフの声は相変わらず驚異的で、客席からは拍手以外はほとんど聞こえないくらい緊迫した雰囲気。その緊張感をゆるめるのが、ギターをチェンジしたりワインを飲んだりするたびにおどけてみせるジェフの子どもっぽさ。なんというのか、歌っているときの「おとなの男性」と、ふざけているときのガキんちょジェフとのギャップが大きすぎて、見てるこちらはとまどってしまいます。

アンコールのとき、客席から花束を投げた女性ファンがいて、その花束の中に入っていた手紙をその場で読んだジェフは、スタッフを読んでペンを借り、その場でお返事を書いてその女性に返したのでした。「あとで、と思ってると、ぼく、絶対に忘れちゃうからね」と言いながら。イラスト入りの彼からの返事を受け取った彼女は、感激のあまり泣いていました。そして始まったのが「HALLELUJAH」。彼女にとって、一生忘れられない曲になったんじゃないかしら。

ほとんど最後まで客席のほとんどが座ったまま、という、最近のロック・コンサートでは珍しい形でしたけれど、きのうとはまた違う、「歌だけで真剣勝負」といった気迫が感じられるライブでした。

ああ、でも、もう終わっちゃったのね、と思うと、悲しくて涙が出てきてしまいます。

「今度はいつ来るの?」という客席からの声に「そんなのわかんないよ。なんてったって今回初めて来たんだからね。でも、また来たいと思ってるよ」と言っていたジェフ君ですが、はたして次は・・・いつまでも待ってるからね!



*JEFF BUCKLEYは1997年6月4日、メンフィス港で溺死体で発見されました。新譜をレコーディング中の出来事で、食事のあとスタジオにもどる途中の事故だったようです。享年30歳。今世紀最後の吟遊詩人と信じていたのに・・・


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