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更新日時2016年月7月23日 (1ケ所) 

 

2コリ 2章14節

 

薫り → 薫

 

 

 塚本虎二訳新約聖書・電子版03版(高橋照男・私家版)1.14MB      1999.5.30

底本 福音書(岩波文庫昭和38年発行) 使徒のはたらき(岩波文庫昭和52年発行)
   ローマ人へ(聖書知識社分冊昭和41年発行) 1,2コリント(聖書知識社別冊
   岩永恭整理 平成1年発行) ガラテヤ、ヘブル(聖書知識社第5分冊昭和50年
   発行 本文と敷衍の分割は「続・塚本虎二著作集第8卷」による) ピレモン、ヨ
   ハネの手紙((聖書知識社第5分冊昭和50年発行 本文と敷衍の分割は高橋照男
   の責任作業による) 上記以外(聖書知識社第6分冊昭和51年発行 昭和19年
   に完成した口語試訳の旧漢字旧カナを改めたもの)
初期入力作業(「バイブルリサーチセンター」大野キリスト教会内、代表中沢啓介牧師・
             
作業主務者 棚田真幸)
校正及再入力(高橋照男)
章節先頭コード マタイ40 マルコ41 ルカ42 ヨハネ43 使徒44 ローマ45
        1コリ46 2コリ47 ガラ48 エペソ49 ピリ50 コロサ51
        1テサ52 2テサ53 1テモ54 2テモ55 テト56 ピレ57
        ヘブル58 ヤコブ59 1ペテ60 2ペテ61 1ヨハ62
        2ヨハ63 3ヨハ64 ユダ65 モクシ66 

マタイ福音書
"400101","
アブラハムの末のダビデの末のイエス・キリストの系図──"
"400102","
アブラハムの子はイサク、イサクの子はヤコブ、ヤコブの子はユダとその兄弟
たち、"
"400103","
ユダの(その嫁)タマルによる(不倫の)子はパレスとザラ、パレスの子はエ
スロン、エスロンの子はアラム、"
"400104","
アラムの子はアミナダブ、アミナダブの子はナアソン、ナアソンの子はサルモ
ン、"
"400105","
サルモンの(遊女)ラハブによる子はボアズ、ボアズの(異教国モアブの女)
ルツによる子はオベデ、オベデの子はエッサイ、"
"400106","
エッサイの子はダビデ王である。ダビデの(将軍)ウリヤの妻による子はソロ
モン、"
"400107","
ソロモン(王)の子はレハベアム、レハベアム(王)の子はアビヤ、アビヤ(王)
の子はアサ、"
"400108","
アサ(王)の子はヨサパテ、ヨサパテ(王)の子はヨラム、ヨラム(王)の子
はウジヤ、"
"400109","
ウジヤ(王)の子はヨタム、ヨタム(王)の子はアハズ、アハズ(王)の子は
ヒゼキヤ、"
"400110","
ヒゼキヤ(王)の子はマナセ、マナセ(王)の子はアモン、アモン(王)の子
はヨシヤ、"
"400111","
ヨシヤ(王)の子は、バビロン追放の当時、エコニヤ(王)とその兄弟たちで
あった。"
"400112","
バビロン追放の後、エコニヤの子はサラテル、サラテルの子はゾロバベル、"
"400113","
ゾロバベルの子はアビウデ、アビウデの子はエリヤキム、エリヤキムの子はア
ゾル、"
"400114","
アゾルの子はサドク、サドクの子はアキム、アキムの子はエリウデ、"
"400115","
エリウデの子はエレアザル、エレアザルの子はマタン、マタンの子はヤコブ、"
"400116","
ヤコブの子はマリヤの夫ヨセフで、このマリヤから救世主と呼ばれるイエスが
お生まれになった。  "
"400117","
すなわち、アブラハムからダビデまで合計十四代、ダビデからバビロン追放ま
で十四代、バビロン追放から救世主まで十四代である。"
"400118","
さてイエス・キリストの誕生はこのようであった。──イエスの母マリヤがヨ
セフと婚約の間柄で、まだいっしょにならないうちに、聖霊によって身重となっているこ
とが知れた。"
"400119","
夫ヨセフはあわれみぶかい人であったので、(これを公沙汰にして)女を晒し者
にすることを好まず、内緒で離縁しようと決心した。"
"400120","
しかし(なおも)そのことを思案していると、主の使いが夢でヨセフに現われ
て言った、「ダビデの末なるヨセフよ、心配せずにあなたの妻マリヤを(家に)迎えよ。
胎内にやどっている者は、聖霊によるのである。"
"400121","
男の子が生まれるから、その名をイエス(訳すると、神はお救いになる)とつ
けよ。この方がその民を罪からお救いになるのだから。」"
"400122","
これはみな、主が預言者(イザヤ)をもって言われた言葉が成就するためにお
こったのである。──"
"400123","
“見よ、乙女が身重になって男の子を産み、人はその(子の)名をインマヌエ
ルと呼ぶであろう。”インマヌエルを訳すると“神はわれらと共なり”である。"
"400124","
ヨセフは眠りから覚めると、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を(家
に)迎えた。"
"400125","
しかし、子が生まれるまでは、一緒にならなかった。そして(子が生まれると、)
その名をイエスとつけた。"
"400201","
さてイエスはヘロデ(大)王の代にユダヤのベツレヘムでお生まれになったが、
そのとき、東の国の博士たちがエルサレムに来て"
"400202","
言った、「(今度)お生まれになったユダヤ人の王[救世主]はどこにおられる
か。われわれはそのお方の星が出るのを見たので、おがみにまいった。」"
"400203","
(救世主が生まれたと)聞いて、ヘロデ王はもちろんエルサレム中の人々も王
と共にうろたえた。"
"400204","
そこで王は国の大祭司連、聖書学者たちを全部集めて、救世主はどこで生まれ
るべきであるかとたずねた。"
"400205","
彼らはこたえた、「ユダヤのベツレヘムで。預言者(ミカ)によって、こう書か
れているからです。"
"400206","
“お前、”ユダの地なる“ベツレヘムよ、お前はユダの町々の中で、最も劣って
いるものでは”決してない。“一人の偉大なる支配者がお前の中から出て、わが民イスラ
エルを牧するのだから。”」"
"400207","
そのあとヘロデは内証で博士たちを呼びよせ、(最初に)星の現われた時間を彼
らに確かめた上で、"
"400208","
こう言ってベツレヘムへやった、「行って幼児の居所を丹念に捜し、見つけ次第、
報告せよ。自分も言っておがみたいから。」"
"400209","
王の言葉を聞いて博士たちが出かけると、見よ、(前に東の国で)出るのを見た
星が彼らの先に立って、幼児のいる所の上まで行って止まった。"
"400210","
彼らはその星を見たとき、大喜びに喜んだ。"
"400211","
家に入って、幼児が母マリヤと共にいるのを見ると、ひれ伏しておがみ、宝箱
を開いて、“黄金、乳香、”没薬を“贈物として”捧げた。"
"400212","
それから夢で、ヘロデの所へ引き返すなとのお告げを受けたので、ほかの道か
ら国へ帰っていった。"
"400213","
博士たちが帰ってゆくと、見よ、主の使いが(また)夢でヨセフに現われて言
った、「起きて幼児とその母とを連れてエジプトに逃げ、わたしが言うまでそこにおれ。
ヘロデがその幼児をさがして殺そうともくろんでいるから。」"
"400214","
そこでヨセフは起きて、夜のあいだに幼児とその母とを連れてエジプトに立ち
のき、"
"400215","
ヘロデが死ぬまでそこにいた。主が預言者(ホセア)をもって“わたしはエジ
プトからわが子を呼び出した”と言われた言葉が成就するためであった。"
"400216","
あとでヘロデは、博士たちに出し抜かれたことを知って非常に怒り、ベツレヘ
ムをはじめ、その地方全体にいる男の子のうち、(前に)博士たちに確かめておいた時間
で計算して、二歳以下の者を、一人のこらず殺させた。"
"400217","
その時、預言者エレミヤをもって言われた言葉が成就したのである。──"
"400218","
“声がラマに聞えた、──(ラケルの)”はげしい“わめきと、なげきの声であ
る。ラケルはその子らのために泣くばかりで、慰められようとしない、子らがもういない
ので。”"
"400219","
ヘロデが死ぬと、主の使いが夢でエジプトのヨセフに現われて"
"400220","
言った、「起きて、幼児とその母とを連れて、イスラエル(の民)の地に行け。
その幼児の命をねらっていた者は死んだから。」"
"400221","
そこでヨセフは起きて、幼児とその母とを連れて、イスラエルの地にかえった。
"
"400222","
しかしアケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めていると聞き、恐ろしくな
ってユダヤへ行かずにいると、また夢でお告げを受けたので、(ユダやをやめて)ガリラ
ヤ地方に引っ込み、"
"400223","
ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレ人と言われる」と、預言者たちを
もって言われた言葉が成就するためであった。"
"400301","
そのころ、洗礼者ヨハネがあらわれて、ユダヤの荒野で教えを説いて、"
"400302","
言う、「悔改めよ、天の国は近づいた。」"
"400303","
この人は、預言者イザヤによってこう言われた人である。──“荒野に叫ぶ者
の声はひびく、「主の道を用意し、”その“道筋をまっすぐにせよ。」”"
"400304","
このヨハネは駱駝の毛の外套を着、腰のまわりに皮の腰衣をつけ、蝗と野蜜と
がその食べ物であった。"
"400305","
するとエルサレムをはじめとしてユダヤ全体、またヨルダン川沿岸の地全体の
人々がヨハネの所にでて来て、"
"400306","
自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。"
"400307","
ヨハネは大勢のパリサイ人とサドカイ人とが洗礼を受けに来るのを見て言った、
「蝮の末ども、(わたしから洗礼を受けて)来るべき(神の)怒り(の裁き)を免れるよ
うにと、だれがおしえたのか。"
"400308","
(ほんとうに悔改めたのか。)それなら(洗礼を受けるだけでなく)、悔改めに
ふさわしい実を結べ。"
"400309","
『われわれの先祖はアブラハムである(から大丈夫だ)』などと考えてはならな
い。わたしは言う、神はそこらの石ころからでも、アブラハムの子供を造ることがお出来
になるのだ。"
"400310","
斧はすでに木の根に置いてある。だから、良い実を結ばない木はどんな木でも、
切られて火の中に投げ込まれる。"
"400311","
わたしは悔改めのために水で洗礼を授けているが、わたしのあとから来られる
方はわたしよりも力がある。わたしはその靴をぬがしてあげる値打もない者である。その
方は聖霊と(裁きの)火とで洗礼をお授けになる。"
"400312","
その手に箕をもっておられるので、(すぐ)脱穀場の掃除をされる。すなわち麦
は集めて倉にいれ、籾殻は消えぬ火で焼きすてられるであろう。(聖霊と火の洗礼とはこ
れである。)」"
"400313","
ほどなくイエスはガリラヤからヨルダン川のヨハネの所に来られる。彼から洗
礼を受けるためであった。"
"400314","
しかしヨハネは、「わたしこそあなたから洗礼を受けるべきであるのに、あなた
がわたしの所に来られるのか」と言って、しきりに辞退したが、"
"400315","
イエスは答えられた、「さあ、そう言わずに!こうして、せねばならぬことをな
んでも為遂げることは、われわれ(二人)にふさわしいのだから。」そこでヨハネが譲っ
た。"
"400316","
イエスは洗礼を受けて、すぐ水から上がられた。すると、みるみる天が開けて、
神の御霊が鳩のように自分の上に下って来るのを御覧になった。"
"400317","
するとその時、「これは(いま)わたしの“最愛の子、”“わたしの心にかなった”」
と言う声が天から出た。"
"400401","
間もなくイエスは悪魔の誘惑にあうため、御霊につれられて荒野に上られた。 "
"400402","
四十日四十夜断食をされると、ついに空腹を覚えられた。"
"400403","
すると誘惑する者[悪魔]が進み寄って言った、「神の子なら、(そんなにひも
じい思いをせずとも、)そこらの石ころに、パンになれと命令したらどうです。」"
"400404","
しかし答えられた「“パンがなくとも人は生きられる。(もしなければ、)神はそ
のお口から出る言葉のひとつびとつで(パンを造って、)人を生かしてくださる”と(聖
書に)書いてある。」"
"400405","
そこで悪魔はイエスを聖なる都(エルサレム)に連れてゆき、宮の屋根の上に
立たせて"
"400406","
言った、「神の子なら、下へ飛びおりたらどうです。“神は天使たちに命じて、
手にてあなたを支えさせ、足を石に打ち当てないようにしてくださる。”と(聖書に)書
いてあります。(人々はそれを見て信じ、たちどころにあなたの国が出来ます。)」"
"400407","
イエスは言われた、「ところが、“あなたの神なる主を試みてはならない”とも
書いてある。」"
"400408","
悪魔はまたイエスを非常に高い山に連れてゆき、世界中の国々と、栄華とを見
せて"
"400409","
言った、「あれを皆あげよう、もしひれ伏してわたしをおがむなら。」"
"400410","
そこでイエスは言われる、「引っ込んでいろ、悪魔!(聖書に)“あなたの神な
る主をおがめ、”“主に”のみ“奉仕せよ”と書いてあるのだ。」"
"400411","
そこで悪魔が離れると、たちまち天使たちが来てイエスに仕えた。"
"400412","
イエスは(洗礼者)ヨハネが牢に入れられたと聞くと、(郷里)ガリラヤ(のナ
ザレ)に引っ込まれた。"
"400413","
それから(間もなく)ナザレを去って、(昔)ゼブルン(族)とナフタリ(族)
との(領地であった)地方にある、(ガリラヤ)湖畔の(町)カペナウムに行って住まれ
た。"
"400414","
預言者イザヤをもって言われた言葉が成就するためであった。──"
"400415","
“(ガリラヤの)湖に向かった、ゼブルン(族)の地とナフタリ(族)の地、ヨ
ルダン川の向こう(のペレヤ)、異教人の(住む)ガリラヤ──"
"400416","
暗闇に住まう(これらの地方の)民は大いなる光を見、死の陰の地に住まうこ
の人々に光がのぼった、”"
"400417","
この時から、イエスは「悔改よ、天の国は近づいた」と言って、教えを説き始
められた。"
"400418","
ガリラヤ湖のほとりを歩いておられるとき、二人の兄弟、ペテロと言われたシ
モンとその兄弟アンデレとが、湖で網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。"
"400419","
「さあ、ついて来なさい。人間の(漁をする)漁師にしてあげよう」と言われ
ると、"
"400420","
彼らはすぐ網をすててイエスに従った。"
"400421","
またそこから進んでいって、ほかの二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄
弟のヨハネとが、父ゼベダイと一しょに舟で網を繕っているのを見て、お呼びになった。"
"400422","
彼らはすぐ舟と父とをのこして、イエスに従った。"
"400423","
それからガリラヤ中を回りながら、その礼拝堂で教え、御国の福音を説き、ま
た人々の中のありとあらゆる病気や煩いをなおされた。"
"400424","
そこでイエスの評判が全シリヤに広まり、人々がさまざまな病気や痛みに苦し
む病人、(中でも)悪鬼につかれた者、癲癇、中風の者を皆イエスのところにつれて来た
ので、それをなおされた。"
"400425","
ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、およびヨルダン川の向こう(の
ペレヤ)から来た大勢の群衆が、イエスについって回った。"
"400501","
イエスはこれらの群衆を見て、(近くの)山に上られた。お坐りになると、弟子
たちがそばに来たので、"
"400502","
口を開き、こう言って教えられた。(群衆も集まってきて聞いた。)──"
"400503","
ああ幸いだ、神に寄りすがる“貧しい人たち、”天の国はその人たちのものとな
るのだから。"
"400504","
ああ幸いだ、“悲しんでいる人たち、”、(かの日に)“慰めていただく”のはその
人たちだから。"
"400505","
ああ幸いだ、“(踏みつけられて)じっと我慢している人たち、”、“(約束の)地
(なる御国)を相続する”のはその人たちだから。"
"400506","
ああ幸いだ、(神の)義に飢え渇いている人たち、(かの日に)満足させられる
のはその人たちだから。"
"400507","
ああ幸いだ、憐れみ深い人たち、(かの日に)憐れんでいただくのはその人たち
だから。"
"400508","
ああ幸いだ、“心の清い人たち、”(御国に入って)神にまみえるのはその人たち
だから。"
"400509","
ああ幸いだ、平和を作る人たち、神の子にしていただくのはその人たちだから。
"
"400510","
ああ幸いだ、信仰のために迫害される人たち、天の国はその人たちのものとな
るのだから。"
"400511","
わたしゆえに罵られたり、迫害されたり、あらん限りの根も葉もない悪口を言
われたりする時、あなた達は幸いである。"
"400512","
小躍りして喜びなさい、褒美がどっさり天であなた達を待っているのだから。
あなた達より前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。"
"400513","
(預言者と同じく)あなた達は地の塩である。(世の腐敗を防ぐのが役目であ
る。)しかしもし塩が馬鹿になったら、何で(もう一度)塩気をもどすか。外に捨てられ
て人に踏まれるほか、もはや何の役にも立たない。"
"400514","
あなた達は世の光である。山の上にある町は隠れていることは出来ない。"
"400515","
また、(せっかく)明りをともして枡をかぶせる者はない。かならず燭台の上に
置く。すると、家の中におる人を皆照らすのである。"
"400516","
そのようにあなた達も、その光を世の人の前に輝かし、人があなた達の良い行
ないを見て、あなた達の天の父上をあがめるようにせよ。"
"400517","
わたしが律法や預言書[聖書]を廃止するために来たと思ってはならない。廃
止するどころか、成就するために来たのである。"
"400518","
アーメン、わたしは言う、天地が消え失せても、(そこに書かれている)すべて
のことが実現するまでは、律法(と預言書)から、その一点一画といえども決して消え失
せない。"
"400519","
だから、これらの掟の中で一番小さいものを一つでも破り、またそのように人
に教える者は、天の国で一番小さい者となり、反対に、これを行ない、また(そのように
人に)教える者は、天の国で一番大きい者となろう。"
"400520","
わたしは言う、あなた達の行ないが聖書学者やパリサイ人以上にりっぱでなけ
れば、決して天の国に入ることはできない。"
"400521","
(だからわたしの戒めは彼らよりもきびしい。)──あなた達は昔の人が(モー
セから、“人を)殺してはならない、”殺した者は裁判所で罰せられる、と命じられたこと
を聞いたであろう。"
"400522","
しかしわたしはあなた達に言う、兄弟に腹をたてる者は皆、(ただそれだけの理
由で、天国の)裁判所で罰せられる。兄弟に馬鹿と言う者は、最高法院で罰せられる。畜
生と言う者は、火の地獄で罰せられる。"
"400523","
だからもし、あなたが祭壇に供え物を捧げるとき、そこで兄弟に恨まれている
ことを思い出したなら、"
"400524","
供え物をそこに、祭壇の前に置き、まず行ってその兄弟と仲直りをし、それか
らかえって来て供え物を捧げよ。"
"400525","
また告訴人とは、一しょに(裁判所へ)行く途中で、早く示談にするがよい。
そうでないと、告訴人は裁判官に、裁判官は下役にあなたを引き渡して、牢に入れられる
にちがいない。"
"400526","
アーメン、わたしは言う、最後の一コドラント[十円]を返すまでは、決して
そこから出ることはできない。"
"400527","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“姦淫をしてはならない”と命じられたこ
とを聞いたであろう。"
"400528","
しかしわたしはあなた達に言う、情欲をもって人妻を見る者は皆、(見ただけ
で)すでに心の中でその女を姦淫したのである。"
"400529","
それで、もし右の目があなたを罪にいざなうなら、くじり出して捨てよ。体の
一部が無くなっても、全身が地獄に投げ込まれない方が得であるから。"
"400530","
もしまた右の手があなたを罪にいざなうなら、切り取って捨てよ。手足が一本
無くなっても、全身が地獄へ行かない方が得であるから。"
"400531","
また(昔の人は)、“妻を離縁する者は離縁状を渡せ”と命じられた。"
"400532","
しかしわたしはあなた達に言う、不品行以外の理由で妻を離縁する者は皆、そ
の女に姦淫を犯させるのである。離縁された女と結婚する者も、姦淫を犯すのである。"
"400533","
さらにあなた達は昔の人が(モーセから)、“偽りの誓いをしてはならない、”ま
た“誓ったことは主に対して果たさねばならない”と命じられたことを聞いたであろう。"
"400534","
しかしわたしはあなた達に言う、いっさい誓ってはならない。神の御名はもち
ろん、“天”にかけても(誓ってはならない)。(天は)“神の御座である”から。"
"400535","
“大地”にかけても。(大地は)“神の足台である”から。エルサレムにかけて
も。(エルサレムは)“大王(なる神)の都”であるから。"
"400536","
自分の頭にかけても誓ってはならない。(頭は神のもので、)あなたは髪の毛一
本を、白くも黒くも出来ないのであるから。"
"400537","
あなた達はただはっきり『はい』とか、『いいえ』とだけ言え。これ以上は悪魔
が言わせるのである。"
"400538","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“目には目、歯には歯”──(人の目をつ
ぶした者は自分の目で、人の歯を折った者は自分の歯で、つぐなわなければならない)と
命じられたことを聞いたであろう。"
"400539","
しかしわたしはあなた達に言う、悪人に手向かってはならない。だれかがあな
たの右の頬を打ったら、左をも向けよ。"
"400540","
(裁判所に)訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせてやれ。"
"400541","
だれかが無理に一ミリオン[一キロ半]行かせようとするなら、一しょに二ミ
リオン行ってやれ。"
"400542","
求める者には与えよ、借りようとする者を断るな。"
"400543","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“隣の人を愛し、”敵を憎まねばならない、
と命じられたことを聞いたであろう。"
"400544","
しかしわたしはあなた達に言う、敵を愛せよ。自分を迫害する者のために祈れ。
"
"400545","
あなた達が天の父上の子であることを示すためである。父上は悪人の上にも善
人の上にも日をのぼらせ、正しい人にも正しくない人にも、雨をお降らしになるのだから。
"
"400546","
自分を愛する者を愛したからとて、なんの褒美があろう。(人でなしと言われる
あの)税金取りでも同じことをするではないか。"
"400547","
また兄弟にだけ親しくしたからとて、なんの特別なことをしたのだろう。異教
人でも同じことをするではないか。"
"400548","
だからあなた達は、天の父上が完全であられるように“完全になれ。”"
"400601","
(しかし戒めだけでなく、行ないにおいても聖書学者、パリサイ人以上でなけ
ればならない。すなわち)見せびらかすために、人の見ている前で善行をしないように気
をつけよ。そうでないと、あなた達の天の父上の所で褒美をいただくことはできない。"
"400602","
だからあなたが施しをする時には、偽善者のように、自分の前にラッパを吹き
ならして(吹聴して)はならない。彼らは人に褒められようとして、礼拝堂や町の中でそ
うするのである。アーメン、わたしは言う、彼らは(褒められたとき、)すでに褒美をも
らっている。"
"400603","
あなたは施しをするときに、右の手のすることを左に悟られてはならない。"
"400604","
これは施しを隠しておくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる
あなたの父上は、褒美をくださるであろう。"
"400605","
また祈る時には、偽善者のようにしてはならない。彼らは人に見せようとして、
礼拝堂や大通りの角に立って祈ることを好むのである。アーメン、わたしは言う、彼らは
(褒められた時、)すでに褒美をもらっている。"
"400606","
あなたが祈る時には、“奥座敷に入り、部屋をしめきった上で、”隠れた所にお
いでになるあなたの父上に“祈れ。”そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父
上は、褒美をくださるであろう。"
"400607","
また祈るとき、異教人のようにベラベラしゃべるな。彼らは口数が多ければ、
聞いてもらえるものと思っている。"
"400608","
彼らの真似をしてはならない。神はあなた達の父上である。求める前から、あ
なた達に必要なものをよく御承知である。"
"400609","
だからあなた達は、このように祈りなさい。──、わたしたちの天のお父様、
お名前がきよまりますように。"
"400610","
お国が来ますように。お心が行われますように、天と同じに、地の上でも。"
"400611","
その日の食べ物をきょうも、わたしたちに戴かせてください。"
"400612","
罪を赦してください、わたしたちも罪を犯した人を赦しましたから。"
"400613","
わたしたちを試みにあわせないで、悪から守ってください。"
"400614","
(祈る前に、まず人の罪を許さねばならない。)あなた達が人の過ちを赦してや
れば、天の父上もあなた達を赦してくださるが、"
"400615","
人を赦さないならば、父上もあなた達の過ちを赦してくださらないであろう。"
"400616","
また断食をしている時には、偽善者のように陰気な顔つきをしてはならない。
彼らは断食をしていることを人に見せようとして、(顔を洗わず、髭をそらず、わざと)
顔を見苦しくするのである。アーメン、わたしは言う、彼らは(褒められた時、)すでに
褒美をもらっている。"
"400617","
あなたが断食をするときは、頭に油をぬり、顔を洗いなさい。"
"400618","
これは断食をしていることを人に見せず、隠れた所においでになるあなたの父
上に、見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父上は、
褒美をくださるであろう。"
"400619","
(このように、何事も天の父上相手でなければならない。たとえば)あなたた
ちは衣魚や虫が食い、また泥坊が忍び込んで盗むこの地上に宝を積まず、"
"400620","
衣魚も虫も食わない、また泥坊が忍び込むことも盗むこともない天に、宝を積
んでおきなさい。(そうでないと、心が天に向かないであろう。)"
"400621","
宝のある所に、あなたの心もあるのだから。"
"400622","
目は体の明りである。だからあなたの目が澄んでおれば、体全体が明るいが、"
"400623","
目が悪いと、体全体が暗い。だから(天に宝を積まないため、)もしあなたの内
の光(である目、すなわち心)が暗かったら、その暗さはどんなであろう。"
"400624","
(わたし達の心は天か地かに引かれる。)だれも(同時に)二人の主人に仕える
ことは出来ない。こちらを憎んであちらを愛するか、こちらに親しんであちらを疎んじる
か、どちらかである。あなた達は神と富とに仕えることは出来ない。"
"400625","
だから、わたしは言う、何を食べようかと命のことを心配したり、また何を着
ようかと体のことを心配したりするな。命は食べ物以上、体は着物以上(の賜物)ではな
いか。(命と体とを下さった天の父上が、それ以下のものを下さらないわけはない。)"
"400626","
空の鳥を見てごらん。まかず、刈らず、倉にしまいこむこともしないのに、天
の父上はそれを養ってくださるのである。あなた達は鳥よりも、はるかに大切ではないの
だろうか。"
"400627","
(だいいち、)あなた達のうちのだれが、心配して寿命を一寸でも延ばすこと
が出来るのか。"
"400628","
また、なぜ着物のことを心配するのか、野の花の育つのを、よく見てごらん、
苦労をせず、紡ぐこともしない。"
"400629","
しかし、わたしは言う、栄華を極めたソロモン(王)でさえも、この花の一つ
ほどに着飾ってはいなかった。"
"400630","
きょうは花咲き、あすは炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこんなに装って
くださるからには、ましてあなた達はなおさらのことではないか。信仰の小さい人たちよ!
"
"400631","
だから、『何を食べよう』とか、『何を飲もう』とか、『何を着よう』とか言って、
心配するな。"
"400632","
それは皆異教人のほしがるもの。あなた達の天の父上は、それが皆あなた達に
必要なことをよく御承知である。"
"400633","
あなた達は何よりも、御国と、神に義とされることとを求めよ。そうすれば(食
べ物や着物など)こんなものは皆、(求めずとも)つけたして与えられるであろう。"
"400634","
だから、あしたのことを心配するな。あしたはあしたが自分で心配する。一日
の苦労はその日の分で沢山である。"
"400701","
(人を)裁くな、自分が(神に)裁かれないためである。"
"400702","
(人を)裁く裁きで、あなた達も裁かれ、(人を)量る量りで、あなた達も量ら
れるからである。"
"400703","
なぜあなたは、兄弟の目にある塵が見えながら、自分の目に梁があるのに気付
かないのか。"
"400704","
また、どうして兄弟にむかって、『あなたの目の塵を取らせてくれ』と言うのか。
そら、自分の目に梁があるではないか。"
"400705","
偽善者!まず自分の目の梁を取ってのけよ。その上で、兄弟の目の塵を(取っ
てやれるなら、)取ってやったらよかろう。"
"400706","
(とはいえ、正しい判断は出来ねばならない。神に供えた肉など)神聖な物を
犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。豚はそれを足で踏みつけ、向き直ってあなた
達を噛み裂くかも知れない。"
"400707","
(ほしいものはなんでも天の父上に)求めよ、きっと与えられる。さがせ、き
っと見つかる。戸をたたけ、きっとあけていただける。"
"400708","
だれであろうと、求める者は受け、さがす者は見つけ、戸をたたく者はあけて
いただけるのだから。"
"400709","
あなた達のうちには、自分の子がパンを求めるのに、石をやる者がだれかある
だろうか。"
"400710","
また魚を求めるのに、蛇をやる者があるだろうか。"
"400711","
してみると、あなた達は悪い人間でありながらも、自分の子に善い物をやるこ
とを知っている。ましてあなた達の天の父上が、求める者に善い物を下さらないことがあ
るだろうか。"
"400712","
だから、何事によらず自分にしてもらいたいと思うことを、あなた達もそのよ
うに人にしなさい。これが律法と預言書(と[聖書]の精神)である。"
"400713","
狭い門から入りなさい。滅びに至る道は大きく、かつ広く、ここから入る者が
多いのだから。"
"400714","
命にいたる門はなんと狭く、道は細く、それを見つける者の少ないことであろ
う!"
"400715","
偽預言者に用心せよ。(やさしい)羊の皮をかぶって来るが、内側は強盗の狼で
ある。"
"400716","
(結ぶ)実で偽預言者はわかる。茨から葡萄が、薊から無花果がとれようか。"
"400717","
(そのように、)善い木は皆良い実を結び、わるい木は悪い実を結ぶ。"
"400718","
善い木に悪い実がなることは出来ず、わるい木に良い実がなることも出来ない。
"
"400719","
良い実を結ばない木はどんな木でも、切られて火の中に投げ込まれる。"
"400720","
それだから、(結ぶ)実で、偽預言者はわかるのである。"
"400721","
わたしに『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るのではない。わたしの天
の父上の御心を行う者(だけ)が入るのである。"
"400722","
(最後の裁きの)かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、(入れてく
ださい。)“わたし達はあなたの名で伝道し、”あなたの名で悪鬼を追い出し、あなたの名
で奇蹟を沢山行ったではありませんか』と言うであろう。"
"400723","
その時わたしは、はっきり彼らに言おう、『かってお前たちを弟子にした覚えは
ない。“この不届者、わたしを離れよ!”』と。"
"400724","
だから、以上のわたしの話を聞いてそれを行う者は皆、岩の上に家を建てた賢
い人に似ている。"
"400725","
雨が降って、大水が出て、風が吹いて、その家に襲いかかったが、倒れなかっ
た。岩の上に土台があったからである。"
"400726","
また、わたしの話を聞くだけでそれを行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚
かな人に似ている。"
"400727","
雨が降って、大水が出て、風が吹いて、その家にうちつけると、倒れてしまっ
た。ひどい倒れ方であった。」"
"400728","
イエスがこれらの話を終えられた時、一しょに聞いていた群衆はその教えに感
心してしまった。"
"400729","
自分たちの聖書学者のようでなく、権威を持つ者のように教えられたからであ
る。"
"400801","
イエスが山を下りてこられると、多くの群衆がついて来た。"
"400802","
すると一人の癩病人が近寄ってきて、しきりに願って言った、「主よ、(清めて
ください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから。」"
"400803","
イエスは手をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、た
ちまち癩病が清まった。"
"400804","
イエスはその人に言われる、「だれにも言わないように気をつけよ。ただ(全快
したことを)世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モー
セが命じた供え者を捧げよ。」"
"400805","
カペナウムに帰られると、一人の百卒長がそばに来て願って"
"400806","
言った、「主よ、うちの下男が中風で家にねていて、ひどく苦しんでおります。
……」"
"400807","
彼に言われる、「(ユダヤ人の)このわたしが、(異教人のあなたの家に)行って
なおすのか。」"
"400808","
百卒長は答えた、「主よ、わたしはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるよ
うな者ではありません。(ここで)ただ一言、言ってください。そうすれば下男は直りま
す。"
"400809","
というのは、わたし自身も指揮権の下にある人間であるのに、わたしの下にも
兵卒がいて、これに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、また僕に『こ
れをしろ』と言えば(すぐ)するからです。(ましてあなたのお言葉で、病気が直らない
わけはありません。)」"
"400810","
イエスは聞いて驚き、ついて来た人たちに言われた、「アーメン、わたしは言う、
イスラエル人の中でも、こんなりっぱな信仰をもっている者を一人も見たことがない。"
"400811","
わたしは言う、(最後の日には、このような信仰のあつい)大勢の人が“東から
西から”来て、天の国でアブラハムやイサクやヤコブと共に宴会につらなり、"
"400812","
(かんじんのイスラエル人、すなわち)御国の子供たちは外の真暗闇に放り出
され、そこでわめき、歯ぎしりするであろう。」"
"400813","
それからイエスは百卒長に言われた、「お帰り。あなたの信じたとおりに成れ。」
するとちょうどその時に、下男は直った。"
"400814","
イエスはペテロの家に行って、その姑が熱病でねているのを御覧になった。"
"400815","
その手におさわりになると、熱が取れ、彼女は起き上がってイエスをもてなし
た。"
"400816","
夕方になると、人々は悪鬼につかれた者を大勢イエスのところにつれて来た。
イエスは言葉をもって霊どもを追い出し、また一人のこらず病人をなおされた。"
"400817","
“彼はわたし達の煩いを除き、病気を取り去るであろう”と、預言者イザヤを
もって言われた言葉が成就するためであった。"
"400818","
イエスは自分のまわりの群衆を見ると、向う岸に行くようにと(弟子たちに)
命じられた。"
"400819","
すると一人の聖書学者が進み出て言った、「先生、どこへでもおいでになる所へ
お供をします。」"
"400820","
イエスはその人に言われる、「狐には穴がある、空の鳥には巣がある。しかし人
の子(わたし)には枕する所がない。(その覚悟があるか。)」"
"400821","
またほかの一人の弟子が言った、「主よ、(お共をする)その前に、父の葬式を
しに行かせてください。」"
"400822","
イエスはその人に言われる、「(今すぐ)わたしについて来なさい。死んだ者の
葬式は、死んだ者にまかせよ。」"
"400823","
舟に乗られると、弟子たちも従った。"
"400824","
するとにわかに湖に激しい嵐がおこって、ついに舟は波をかぶった。しかしイ
エスは眠っておられた。"
"400825","
弟子たちがそばに来て、「主よ、お助けください、溺れます」と言って起した。
"
"400826","
彼らに言われる、「なんでそんなに臆病なのか、信仰の小さい人たちよ!」それ
から起き上がって風と湖とを叱りつけられると、(たちどころに)大凪になった。"
"400827","
人々は驚いて、「この方はどうした人だろう、風も湖も、その言うことを聞くの
だが」と言った。"
"400828","
かくて向う岸、ガダラ人の地にお着きになると、悪鬼につかれた者が二人、墓
場から出てきてイエスを迎えた。彼らは非常に狂暴で、だれもその道を通ることが出来な
かった。"
"400829","
彼らはいきなり叫んだ、「神のお子様、“放っておいてください。”まだ時でもな
いのに、わたしどもを苦しめるためにここに来られたのか。」"
"400830","
折から、はるかかなたに多くの豚の群が草を食っていた。"
"400831","
悪鬼どもは、「わたしどもを追い出されるなら、あの豚の中にやってください」
と願った。"
"400832","
イエスが「行ってよろしい」と言われると、悪鬼どもは(二人から)出ていっ
て豚に入った。すると群は皆(気がちがったように)けわしい坂をどっと湖へなだれこ
み、水の中で死んでしまった。"
"400833","
豚飼たちは逃げ出して町に行き、ことの一部始終、ことに悪鬼につかれていた
者に起ったことを知らせた。"
"400834","
すると町中(の者)がイエスに会いに出てきて、イエスに会うと、その土地を
去られるようにと頼んだ。"
"400901","
それから舟に乗って(湖を)渡り、自分の町(カペナウム)に来られた。"
"400902","
するとそこに、人々が寝床にねている一人の中風の者をつれて来た。イエスは
その人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われた、「子よ、安心せよ、いまあなたの
罪は赦された。」"
"400903","
すると数人の聖書学者がひそかに思った、「この人は神を冒涜している。」"
"400904","
イエスは彼らの考えを知って言われた、「なぜ悪いことを心の中で考えているの
か。"
"400905","
あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、いったいどち
らがたやすい(と思う)か。"
"400906","
では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていることを知らせてや
ろう」と言っておいて、中風の者に言われる、「起きて寝床をかついで、家に帰りなさい。」
"
"400907","
すると彼は起き上がって、家に帰って行った。"
"400908","
群衆はそれを見て恐ろしくなり、こんな全権を人に授けられた神を賛美した。"
"400909","
イエスはそこから出かけて、(湖のほとりで)マタイという人が税務所に坐って
いるのを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、立って従った。"
"400910","
イエスが家で食卓についておられるたときのこと、大勢の税金取りや罪人も来
て、イエスや弟子たちと同席していた。"
"400911","
パリサイ人はこれを見て、弟子たちに言った、「なぜあなた達の先生は、税金取
りや罪人と一しょに食事をするのか。」"
"400912","
聞いて言われた、「丈夫な者に医者はいらない、医者のいるのは病人である。"
"400913","
“わたしは憐れみを好み、犠牲を好まない”という(神の言葉の)意味を、行
って、勉強したがよかろう。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招きに来
たのである。」"
"400914","
そのあと、洗礼者ヨハネの弟子がイエスの所に来て言う、「わたし達とパリサイ
人とは断食をするのに、なぜあなたの弟子は断食をしないのか。」"
"400915","
イエスは言われた、「婚礼の客は花婿がまだ一しょにいる間に、(断食をして)
悲しむことが出来ようか。しかしいまに花嫁を奪いとられる時が来る。すると彼らは(い
やでも)断食をするであろう。"
"400916","
真新しい布切で古い着物に継ぎをする者はない。当て切は着物をひきさき、裂
け目はますますひどくなるからである。"
"400917","
新しい酒を古い皮袋に入れることもしない。そんなことをすれば、皮袋が破れ
て酒は流れ出し、皮袋もだめになる。新しい酒は新しい皮袋に入れる。そうすれば両方と
も安全である。」"
"400918","
こう話しておられると、そこに一人の(礼拝堂の)役人が進み出て、しきりに
願って言った、「わたしの娘がたったいま死にました。それでも、どうか行って、手をの
せてやってください。そうすれば生き返りますから。」"
"400919","
イエスは立ち上がって彼について行かれた、弟子たちも一しょに。"
"400920","
するとそこに、十二年も長血にかかっていた女が近寄ってきて、後ろからイエ
スの上着の裾にさわった。"
"400921","
「お召物にさわるだけでも、なおるにちがいない」と、ひそかに思ったのであ
る。"
"400922","
イエスは振り向いて、女を見ながら言われた、「娘よ、安心しなさい、あなたの
信仰がなおした。」するとちょうどその時から、女はなおった。"
"400923","
やがてイエスは役人の家に着いて、笛吹き男と騒いでいる群衆とを見ると、"
"400924","
言われた、「あちらに行っておれ。少女は死んだのではない、眠っているのだか
ら。」人々はあざ笑っていた。"
"400925","
群衆が外に出されると、イエスは(部屋に)入っていって少女の手をお取りに
なった。すると少女は起き上がった。"
"400926","
この評判がその土地全体に広まった。"
"400927","
そこから出かけられると、二人の盲人が「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」
と言って叫びながら、イエスについて来た。"
"400928","
そして家にかえられると、盲人たちがそばに来たので、イエスが言われる、「わ
たしにそれが出来ると信じるのか。」「はい、主よ」と二人がこたえる。"
"400929","
そこで彼らの目にさわり、「あなた達の信仰のとおりに成れ」と言われると、"
"400930","
二人の目があいた。するとイエスは(急に)いきり立ち、二人にむかって、「気
をつけて、だれにも知られないようにせよ」と言われた。"
"400931","
しかし彼らは出てゆくと、その土地全体にイエスのことをふれまわった。"
"400932","
ちょうど二人と入れ違いに、人々が悪鬼につかれた唖をつれて来た。"
"400933","
悪鬼が追い出されると、唖が物を言うようになった。群衆が驚いて、「こんなこ
とはかってイスラエル人の中で起ったためしがない」と言った。"
"400934","
しかしパリサイ人は、「あれは悪鬼どもの頭(である悪魔)を使って悪鬼を追い
出しているのだ」と言った。"
"400935","
それからイエスは町や村をのこらず回りながら、その礼拝堂で教え、御国の福
音を説き、またありとあらゆる病気や煩いをなおされた。"
"400936","
そして“羊飼いのいない羊が”疲れきって、(地に)倒れている“ような”群衆
を見られて、かわいそうに思われた。"
"400937","
そこで弟子たちに言われる、「刈入れは多いが、働き手は少ない。"
"400938","
だから刈入れの主人に、刈入れのため(多くの)働き手を送られるよう、お願
いしなさい。」"
"401001","
そこで十二人の弟子を呼びよせて、汚れた霊を追い出し、またあらゆる病気、
あらゆる煩いをなおす全権を授けられた。"
"401002","
十二使徒の名はこれである。──まず、ペテロと言われたシモンとその兄弟の
アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟のヨハネ、"
"401003","
ピリポとバルトロマイ、トマスと税金取りマタイ、アルパヨの子ヤコブとタダ
イ、"
"401004","
熱心党のシモンと(あとで)イエスを売ったイスカリオテのユダ。"
"401005","
イエスはこの十二人に次のように命じて(伝道に)派遣された。──「(国を離
れてはいけない。)異教人の所へ行くな、またサマリヤ人の町に入るな。"
"401006","
ただ、イスラエルの家のいなくなった羊(だけ)に行け。"
"401007","
行って、『天の国は近づいた』と説け。"
"401008","
病人をなおし、死人を生きかえらせ、癩病人を清め、悪鬼を追い出せ。(福音も
病気もなおす力も、みな神から)ただで戴いたのだ、ただで与えよ。"
"401009","
(旅行に支度はいらない。)金貨も銀貨も銅貨も、帯の中に入れてゆくな。"
"401010","
旅行には旅行袋も、着替えの下着も、靴も、杖も(なんの用意も)いらない。
働く者が食べ物をいただくのは当然だから。"
"401011","
町なり村なりに入ったら、そこで然るべき人を捜して、(その土地を)立ってゆ
くまではその家に泊まっておれ。"
"401012","
家に入ったらば、まず平安を祈れ。"
"401013","
もしその家が(その祈りをうけるのに)ふさわしければ、あなた達の(祈った)
平安はかならずその家に臨み、もしふさわしくなければ、その平安はあなた達にもどって
くる。(そしてあなた達のものとなるのである。)"
"401014","
しかし人があなた達を歓迎せず、あなた達の言葉に耳をかたむけないなら、(す
ぐ)その家なり町なりを(出てゆけ。そして)出てゆくとき、(縁を切った証拠に)足の
埃を払いおとせ。"
"401015","
アーメン、わたしは言う、(最後の)裁きの日には、あの(堕落町)ソドムやゴ
モラの地の方が、まだその町よりも罰が軽いであろう。"
"401016","
いまわたしがあなた達を送り出すのは、羊を狼の中に入れるようなものだ。だ
から、蛇のように賢く、鳩のように純真であれ。"
"401017","
人々に気をゆるすな。あなた達を裁判所に引き渡し、礼拝堂で鞭打つからであ
る。"
"401018","
また、あなた達はわたし(の弟子であるが)ゆえに、総督や王の前に引き出さ
れるであろう。これは、その人たちと異教人とに(福音を)証しする(機会を与えられる)
ためである。"
"401019","
人々があなた達を(裁判所や役人に)引き渡した時には、いかに、何を言おう
かと心配するな。何を言うべきかは、その時に(神から)授かるのだから。"
"401020","
言うのはあなた達でなく、父上の霊があなた達によって言われるのである。"
"401021","
また兄弟は兄弟を、父は子を、殺すために(裁判所に)引き渡し、“子は親にさ
からい立って”これを殺すであろう。"
"401022","
あなた達はわたしの弟子であるために皆から憎まれる。しかし最後まで耐え忍
ぶ者は救われる。"
"401023","
この町で迫害された時には、次の町に逃げてゆけ。アーメン、わたしは言う、
人の子(わたし)は(すぐに)、あなた達がイスラエル人の町々を回りつくさぬうちに来
るのだから。"
"401024","
弟子は先生以上でなく、僕は主人以上ではない。(だからあなた達が迫害される
のは当り前である。)"
"401025","
弟子は先生のよう、僕は主人のようであれば、それで満足すべきである。家の
主人(たるわたし)が(悪鬼の頭)ベルゼブルと(悪口を)言われたのだから、その家族
(たるあなた達)はなおさらのことである。"
"401026","
だから彼らを恐れるな、(すべてはじきに明らかになるであろう。)覆われてい
るものであらわされないものはなく、隠れているもので(人に)知られないものはないか
らである。"
"401027","
わたしが暗闇で(こっそり)話すことを、(大胆に)明るみで言え。耳うちされ
たことを屋根の上で宣伝せよ。"
"401028","
体を殺しても、魂を殺すことの出来ない者を恐れることはない。ただ、魂も体
も地獄で滅ぼすことの出来るお方を恐れよ。"
"401029","
雀は二羽一アサリオン(三十円)で売っているではないか。しかしその一羽で
も、あなた達の父上のお許しなしには地に落ちないのである。"
"401030","
ことにあなた達は、髪の毛までも一本一本数えられている。"
"401031","
だから恐れることはない。多くの雀よりもあなた達は大切である。"
"401032","
それだから(恐れずに説け。)だれでも人の前で(公然)わたしを(主と)告白
するものを、わたしも(裁きの日に)、わたしの天の父上の前で(弟子として)認める。"
"401033","
しかしだれでも人の前でわたしを否定する者を、わたしも天の父上の前で否認
するであろう。"
"401034","
地上に平和をもたらすためにわたしが来た、などと考えてはならない。平和で
はない、剣を、(戦いを)もたらすために来たのである。"
"401035","
わたしは子を“その父と、娘を母と、嫁を姑と”仲違いさせるために来たのだ
から。"
"401036","
“家族が自分の敵となろう。”"
"401037","
わたしよりも父や母を愛する者は、わたし(の弟子たる)に適しない。わたし
よりも息子や娘を愛する者は、わたし(の弟子たる)に適しない。"
"401038","
また自分の十字架を取ってわたしのあとに従わない者は、わたし(の弟子たる)
に適しない。"
"401039","
(十字架を避けてこの世の)命を得る者は(永遠の)命を失い、わたしのため
に(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を得るであろう。"
"401040","
あなた達を迎える者は、わたしを迎えてくれるのであり、わたしを迎える者は、
わたしを遣わされた方をお迎えするのである。"
"401041","
預言者を預言者として迎える者は、預言者と同じ褒美を戴き、義人を義人とし
て迎える者は、義人と同じ褒美を戴くであろう。"
"401042","
また(わたしの)弟子としてこの一人の小さな者に一杯の冷たい水でも飲ませ
る者は、アーメン、わたしは言う、(天にて)その褒美にもれることはない。」"
"401101","
イエスは十二人の弟子に指図を終えられると、町々で教えまた(福音を)説く
ために、そこを去られた。"
"401102","
さて(洗礼者)ヨハネは牢屋で、(イエスの)救世主としての働きを聞くと(心
が動揺し、)弟子たちをやって、"
"401103","
「来るべき方(救世主)はあなたですか、それともほかの人を待つべきでしょ
うか」とたずねさせた。  "
"401104","
イエスは答えられた、「行って、(今ここで)聞いていること見ていることをヨ
ハネに報告しなさい。"
"401105","
──“盲人は見えるようになり、”足なえは歩きまわり、癩病人は清まり、聾は
聞き、死人は生きかえり、“貧しい人は福音を聞かされている”と。"
"401106","
わたしにつまずかぬ者は幸いである。」"
"401107","
ヨハネの弟子たちがかえってゆくと、イエスは群衆にヨハネのことを話し出さ
れた。──「(さきごろ)あなた達は何を眺めようとして、荒野(のヨハネの所)に出か
けたのか。風にそよぐ葦だったのか。(まさかそうではあるまい。)"
"401108","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。柔らかいものを着ている人か。見
よ、柔らかいものをまとった人ならば、王の御殿にいる。"
"401109","
それでは、何のために出かけたのか。預言者を見るためか。そうだ、わたしは
言う、(預言者だ。)預言者以上の者(を見たの)だ。"
"401110","
“(神は言われる、)『見よ、わたしは使いをやって、あなたの先駆けをさせ、”、
あなたの“前に道を準備させる』”、と(聖書に)書いてあるのは、この人のことである。"
"401111","
アーメン、わたしは言う、女の産んだ者の中に、洗礼者ヨハネより大きい者は
まだ出たことがない。しかし天の国で一番小さい者でも、彼より大きい。"
"401112","
とにかく、洗礼者ヨハネの(現れた)時からいままで、天の国は暴力で攻め立
てられ、暴力で攻めた者がそれを奪いとっている。"
"401113","
すべての預言書と律法と[聖書]が預言しているのは、ヨハネ(の現われる時)
まで(で、天の国はすでに来ているの)だから。"
"401114","
(今わたしが言ったことを)信ずる気があなた達にあるなら(わかることだが、)
ヨハネこそ、(救世主の先駆けとして)来るべき(預言者)エリヤである。"
"401115","
耳のある者は聞け。"
"401116","
だが、(気ままな)この時代(の人)を何にたとえようか。子供たちが市場に坐
って(嫁入りごっこや弔いごっこをしながら)、こう言って他の子供たちに呼びかけるの
に似ている。──"
"401117","
笛を吹いたのに、踊ってくれない。弔いの歌をうたったのに、悲しんでくれな
い。"
"401118","
なぜならその人たちは、ヨハネが来て飲み食いしないと『悪鬼につかれている』
と言い、"
"401119","
人の子(わたし)が来て飲み食いすると、『そら、大飯食いだ、飲兵衛だ、税金
取りと罪人の仲間だ』と言うのだから。しかし(神の)知恵の正しいことは、(ヨハネと
人の子とによる)その業が証明した。」"
"401120","
それから、数多くの奇蹟を行っていただいた町々が悔改めなかったので、これ
を叱り始められた、"
"401121","
「ああ禍だ、お前コラジン!ああ禍だ、お前ベツサイダ!わたしがお前たちの
所で行っただけの奇蹟をツロやシドンで行ったなら、(あの堕落町でも、)とうの昔に粗布
を着、灰の中で悔改めたにちがいないのだから。"
"401122","
ところでお前たちに言うが、裁きの日には、ツロやシドンの方が、まだお前た
ちよりも罰が軽いであろう。"
"401123","
それから、お前カペナウム、(わたしに特別に可愛がられたからとて、)まさか
“天にまで挙げられる”などとは思っていないだろうね。(天に挙げられるどころか、)“お
前は黄泉にまでたたき落されるであろう。”お前の所で行っただけの奇蹟をソドムで行っ
たなら、(あの堕落町でも、)きょうまで滅びずにいたにちがいないのだから。"
"401124","
ところでお前たちに言うが、裁きの日には、ソドムの地の方が、まだお前より
も罰が軽いであろう。」"
"401125","
その時イエスは声をはげまして言われた、「天地の主なるお父様、(神の国の秘
密に関する)これらのことを(この世の)賢い人、知恵者に隠して、幼児(のような人た
ち)にあらわされたことを、讃美いたします。"
"401126","
ほんとうに、お父様、そうなるのがあなたの御心でした。"
"401127","
──(知恵も力も、その他)一切のものが父上からわたしに任せられた。父上
のほかに、子(であるわたし)を知る者は一人もなく、また、子と、子が(父上を)あら
わしてやる者とのほかに、父上を知る者は一人もない。"
"401128","
さあ、疲れている者、重荷を負っている者はだれでも、わたしの所に来なさい、
休ませてあげよう。"
"401129","
わたしは心がやさしく、高ぶらないから、わたしの軛を負ってわたしの弟子に
なりなさい、そうすれば“魂の休息が得られよう。”"
"401130","
わたしの軛は甘く、わたしの荷は軽い。」"
"401201","
そのころ、ある安息日にイエスは麦畑の中を通られた。弟子たちは空腹を覚え
たので、穂を摘んで食べ始めた。"
"401202","
パリサイ人が見てイエスに言った、「あなたの弟子は、あんな、安息日にしては
ならぬことをしている。」"
"401203","
イエスが言われた、「あなた達は、ダビデ(王)と供の者とが空腹の時に何をし
たか、(聖書で)読んだことがないのか。"
"401204","
──彼が神の家に入って、ただ祭司のほかはだれも、自分も供の者も食べては
ならない“供えのパンを”(彼らと)食べたことを。"
"401205","
また、祭司は安息日に宮で(いろいろな務めをして)安息日を犯しても罪にな
らぬことを、律法で読んだことがないのか。"
"401206","
わたしは言う、(ダビデ王よりも、祭司よりも、)宮よりも大きい者が(今)こ
こにいる。"
"401207","
もしあなた達に、“わたしは憐れみを好み、犠牲を好まない”という(神の言葉
の)意味がわかっていたなら、罪もないこの人たちを(安息日違犯だと言って)咎め立て
しなかったであろうに。"
"401208","
(わたしの弟子たちに罪はない。)人の子(わたし)は安息日の主人であるから。」
"
"401209","
そこを去って、(ある安息日に)礼拝堂に入られた。"
"401210","
するとそこに、片手のなえた人がいた。(パリサイ派の)人々がイエスに、「安
息日に病気をなおすことは正しいだろうか」と尋ねた。イエスを訴え出る(口実を見つけ
る)ためであった。"
"401211","
彼らにこたえられた、「あなた達のうちには羊を一匹持っていて、もしそれが安
息日に穴に落ち込めば、引っぱり上げてやらない者がだれかあるだろうか。"
"401212","
ところで、人間は羊よりもどれだけ大切だか知れない。だから安息日に良いこ
とをするのは正しい。」"
"401213","
それからその人に言われる、「手をのばせ。」のばすと直って、片方の手のよう
によくなった。"
"401214","
パリサイ人たちは出ていって、イエスを殺すことを決議した。"
"401215","
イエスはそれと知って、そこを立ちのかれた。すると大勢の者がついて来たの
で、一人のこらずその病気をなおして、"
"401216","
自分のことを世間に知らせるなと戒められた。"
"401217","
預言者イザヤをもって言われた言葉が成就するためであった。──"
"401218","
“これがわたしの選んだ僕、心にかなったわたしの最愛の者。わたしは彼にわ
たしの霊を与え、彼は異教人に(わたしの)正義を告げる。"
"401219","
彼は争わず、叫ばず、大通りにその声を聞く者もあるまい。"
"401220","
傷ついた葦を彼は折らず、くすぶる燈心を消さない、(わたしの)正義に勝利を
得させるまでは。"
"401221","
異教人は彼に望みをかけるであろう。”"
"401222","
そこに、悪鬼につかれた盲の唖をつれて来られたので、それをなおされると、
唖が物を言い、目が見えるようになった。"
"401223","
群衆が皆呆気にとられて言った、「もしかしたらこの人は、ダビデの子ではなか
ろうか。」"
"401224","
しかしパリサイ人は聞いて、「悪鬼どもの頭ベルゼブル[悪魔]を使わなければ、
この人に悪鬼を追い出せるわけがない」と言った。"
"401225","
イエスは彼らの考えを知って言われた、「内輪割れをするいかなる国も荒れ果て、
内輪割れをするいかなる町も家も立ってゆかない。"
"401226","
(同じように)悪魔が悪魔を追い出しているとすれば、それは(悪魔の国が)
内輪で割れたのであるから、どうしてその国が立ってゆこう。(だからわたしが悪鬼ども
の頭を使うわけはないではないか。)"
"401227","
それから、(あなた達の言うように)わたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出
すとすれば、(同じことをしている)あなた達の弟子は、いったい何を使って(悪鬼を)
追い出しているのか。(まさかベルゼブルではあるまい。)だから(このことについては、)
あなた達の弟子に裁判官になってもらったがよかろう。"
"401228","
しかし、もし(そうでなく、)わたしが神の霊で悪鬼を追い出しているのであっ
たら、それこそ神の国はもうあなた達のところに来ているのである。"
"401229","
また、まず強い者を縛りあげずに、どうして強い者の家に入って家財道具を掠
め取ることが出来ようか。縛ったあとで、その家を掠めるのである。"
"401230","
(だからわたしは言う、ベルゼブルはすでに縛られている。神と悪魔との戦い
は始まっている。)わたしの側に立たない者は、わたしに反対する者、わたしと一しょに
集めない者は、散らす者である。"
"401231","
(あなた達はわたしをもって働く神の霊の働きをベルゼブルの働きと罵った。)
だからわたしは言う、人の(犯す)いかなる罪も冒涜も赦していただけるが、御霊の冒涜
は赦されない。"
"401232","
人の子(わたし)を冒涜する者ですら赦していただけるが、聖霊を冒涜する者
は、この世でも来るべき世でも(決して)赦されない。"
"401233","
木を良いとするなら、その実をも良いとせよ。また、木を悪いとするなら、そ
の実をも悪いとせよ。木(の良し悪し)は実で知られるのである。"
"401234","
蝮の末よ、あなた達(自身)が悪いのに、どうして善いことが言えよう。心に
あふれて口に出るのだから。"
"401235","
善人は(心の)善い倉から善い物を取り出し、悪人は(心の)悪い倉から悪い
物を取り出す。"
"401236","
わたしは言う、人の話すいかなる無駄言も、(最後の)裁きの日にかならずそれ
について責任を問われる。"
"401237","
なぜなら、あなたはあなたの言葉で義とされ、あなたの言葉で罪とされるのだ
から。」"
"401238","
すると数人の聖書学者とパリサイ人が口を出して、イエスに言った、「先生、(で
は、神の子である証拠に)あなたの(不思議な)徴を見せてください。」"
"401239","
彼らに答えられた、「この悪い、神を忘れた時代の人は、(信ずるのに)徴をほ
しがる。しかしこの人たちには、預言者ヨナの徴以外の徴は与えられない。"
"401240","
すなわち“ヨナが三日三晩大きな魚の腹の中にいた”ように、人の子(わたし)
も三日三晩地の中におるのである。"
"401241","
しかし人々は信じない。(だから)ニネベの人がこの時代の人と一しょに(最後
の)裁き(の法廷)にあらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、ニネ
ベの人はヨナの説く言葉に従って悔改めたが、(この人たちは、)いまここにヨナよりも大
きい者がいる(のに、その言葉に従わない)からである。"
"401242","
また、南の国(シバ)の女王がこの時代の人と一しょに(最後の)裁きの(法
廷に)あらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、彼女は地の果てから
ソロモン(王)の知恵を聞きに(エルサレムに)来たが、(この人たちは、)いまここにソ
ロモンよりも大きい者がいる(のに、それに耳を傾けない)からである。"
"401243","
汚れた霊が(追い出されて)人間から出てゆくと、砂漠をあるき回って休み場
所をさがすが見つからない。"
"401244","
そこで『出てきた自分の家にもどろう』と言って、かえって見ると、空家にな
っていて、掃除ができて、飾り付けがしてあった。"
"401245","
そこで行って、自分よりも悪い、ほかの七つの(汚れた)霊を一しょに連れて
きて入りこみ、そこに住む。するとその人のあとの有様は、(追い出す前よりも)もっと
ひどくなるのである。この悪い時代の人も、それと同様であろう。」"
"401246","
イエスがまだ群衆に話しておられると、そこにその母と兄弟たちがイエスに話
しがあって、外に立っていた。"
"401247","
〔無し〕"
"401248","
しかしイエスはそのことを知らせた者に、「わたしの母とはだれのことだ、わた
しの兄弟とはだれのことだ」と答えて、"
"401249","
弟子たちの上に手をのばして言われた、「ここにいるのが、わたしの母、わたし
の兄弟だ。"
"401250","
だれでもわたしの天の父上の御心を行う者、それがわたしの兄弟、姉妹、また
母であるから。」"
"401301","
その日イエスは家を出て、湖のほとりに坐って(教えて)おられたが、"
"401302","
大勢の群衆が集まってきたので、舟に乗って坐られた。群衆は皆岸に立ってい
た。"
"401303","
譬をもって多くのことを語られた。──「種まく人が種まきに出かけた。"
"401304","
まく時に、あるものは道ばたに落ちた。鳥が来て食ってしまった。"
"401305","
あるものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、すぐ芽を出したが、
"
"401306","
日が出ると焼けて、しっかりした根がないので枯れてしまった。"
"401307","
あるものは茨の(根が張っている)間に落ちた。茨が伸びてきて押えつけてし
まった。"
"401308","
しかしあるものは良い地に落ちた。そしてあるいは百倍、あるいは六十倍、あ
るいは三十倍の実がなった。"
"401309","
耳のある者は聞け。」"
"401310","
弟子たちが進み寄って、「あの人たちにはなぜ譬をもって話をされますか」とた
ずねると、"
"401311","
答えられた、「あなた達(内輪の者)には、天の国の秘密をさとる力が授けられ
ている(のでありのままに話す)が、あの(外の)人たちには授けられていないのだ。"
"401312","
だれでも持っている人は(さらに)与えられてあり余るが、持たぬ人は、持っ
ているものまでも取り上げられるのである。"
"401313","
だから、あの人たちには譬をもって話すのである。“見ても見えず、聞いても聞
えず、また悟らない”からだ。"
"401314","
こうしてイザヤの預言はあの人たちに成就した。──“あなた達は聞いても聞
いても、決して悟るまい、見ても見ても、決してわかるまい。"
"401315","
この民の心は鈍くなり、耳は遠くなり、その目は閉じてしまっているのだから。
そうでないと、彼らは目で見、耳で聞き、心で悟り、心を入れかえて(わたし[神]に帰
り)、わたしに直されるかも知れない。”"
"401316","
だが、あなた達の目は見、耳は聞くから幸いである。"
"401317","
アーメン、わたしは言う、多くの預言者と義人とは、あなた達が(いま)見て
いるものを見たい見たいと思ったが見られず、あなた達が(いま)聞いているものを聞き
たい聞きたいと思ったが、聞かれなかったのである。"
"401318","
だからあなた達には種まく人の譬を説明してあげよう。──"
"401319","
だれでも御国の言葉を聞いて悟らないと、悪者[悪魔]が来て、心の中にまか
れたものを奪ってゆく。これは道ばたにまかれた人である。"
"401320","
岩地にまかれたもの、これは御言葉を聞いてすぐ喜んで受けいれるが、"
"401321","
自分の中に(しっかりした信仰)の根がなく、ただその当座だけであるから、
御言葉のために苦難や迫害がおこると、すぐ信仰から離れおちる人である。"
"401322","
茨の中にまかれたもの、これは御言葉を聞くが、(しばらく信じているうちに、)
この世の心配や富の惑わしが御言葉を押えつけて、みのらない人である。"
"401323","
しかし良い地にまかれたもの、これは御言葉を聞いて悟る人で、きっと実を結
び、あるいは百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍になるのである。」"
"401324","
またほかの譬を群衆に示して言われた、「天の国は畑に良い種をまく人にたとえ
られる。"
"401325","
人々が(夜)眠っている間に敵が来て、麦の中に毒麦をまいて行った。"
"401326","
苗が芽生えて実を結ぶと、その時毒麦も現われた。"
"401327","
使用人たちが来て家の主人に言った、『ご主人、畑には良い種をまかれたのでは
ないですか。すると毒麦はどこから来たのでしょうか。』"
"401328","
主人がこたえた、『敵のしわざだ。』使用人たちが言う、『では、行って抜き取り
ましょうか。』"
"401329","
主人が言う、『いや、毒麦を抜き取ろうとして、麦まで一しょに引き抜くかも知
れない。"
"401330","
両方とも刈入れまで育つままにしておけ。刈入れの時、わたしが刈入れ人たち
に言いつける、まず毒麦を抜き取り、束にしばって焼きすてよ、麦の方は集めて倉に入れ
よ、と。』」"
"401331","
またほかの譬を彼らに示して言われた、「天の国は芥子粒に似ている。ある人が
それを畑にまいた。"
"401332","
これはあらゆる種の中で一番小さいが、育つと、野菜の中で一番大きくなり、(大
きな)木になって、“空の鳥が”来て“その枝に巣を作る”ようになるのである。」"
"401333","
またほかの譬を彼らに語られた、「天の国はパン種に似ている。女がそれを三サ
トン(二斗)の粉の中に混ぜたところ、ついに全体が発酵した。」"
"401334","
イエスはこれらのことを皆譬をもって群衆に語り、譬を使わずには何も語られ
なかった。"
"401335","
“わたしは口を開いて譬にて語り、世の始めから隠されていたことを打ち明け
よう。”と、預言者をもって言われた言葉が成就するためであった。"
"401336","
それから群衆を解散して家にかえられた。弟子たちが来て「畑の毒麦の譬を説
明してください」と言うと、"
"401337","
答えられた、「良い種をまく者は人の子(わたし)である。"
"401338","
畑は世界である。良い種、これは御国の子供たちである。毒麦は悪者[悪魔]
の子供たちであり、"
"401339","
それをまいた敵というのは悪魔である。また刈入れは世の終りであり、刈入れ
人は天使たちである。"
"401340","
だから世の終りには、ちょうど毒麦が抜き取られて火で焼きすてられるようで
あろう。"
"401341","
(すなわち)人の子(わたし)は自分の使たちをやり、“(人を)誘惑する者と
不法を働く者とを”皆御国から抜き取って、"
"401342","
火の燃える炉に投げ込み、彼らはそこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"401343","
その時、“義人たちは”彼らの父の国で、太陽のように“照りかがやくであろう。”
耳のある者は聞け。"
"401344","
天の国は畑に隠されていた宝に似ている。人がそれを見つけると、(またそこ
に)隠しておいて喜んで立ち去り、持っているものをみな売って、その畑を買うのである。
"
"401345","
さらに、天の国は良い真珠をさがしている商人に似ている。"
"401346","
高価な真珠を一つ見つけると、持っているものをことごとく売って、それを買
うのである。"
"401347","
さらに、天の国は地曳網を海におろしてあらゆる種類(の魚)を取るのに似て
いる。"
"401348","
網が一ぱいになると岸に引き上げ、坐って、良いのは集めて入れ物にいれ、わ
るいのは投げすてるのである。"
"401349","
世の終りもそれと同じであろう。すなわち天使たちがあらわれ、義人の中から
悪人どもを引き出して、"
"401350","
火の燃える炉に投げ込み、彼らはそこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"401351","
あなた達はこれが皆わかったか。」「はい」と弟子たちがこたえる。"
"401352","
イエスは言われた、「(これがわかれば、すべてがわかるのである。)だから天の
国のことに通じた学者は皆、自分の倉から新しいものと古いものとを(心のままに)取り
出す家の主人に似ている。(古い教えと新しい教えとを自由に使いこなすことが出来
る。)」"
"401353","
イエスはこれらの譬を終えると、そこを去り、"
"401354","
郷里(ナザレ)に行ってその礼拝堂で教えられた。すると人々が驚いて言った、
「この人はどこからこの知恵と、奇蹟とを覚えてきたのだろう。"
"401355","
これはあの大工の息子ではないか。母はマリヤで、兄弟はヤコブとヨセフとシ
モンとユダではないか。"
"401356","
女兄弟たちは、みんなわたし達の所に住んでいるではないか。するとこの人は、
こんなことを皆どこから覚えてきたのだろう。」"
"401357","
こうして人々はイエスにつまずいた。しかしイエスは彼らに言われた、「預言者
が尊敬されないのは、その郷里と家族のところだけである。」"
"401358","
彼らの不信仰のゆえに、そこではあまり奇蹟を行われなかった。(出来なかった
のである。)"
"401401","
そのころ、イエスの評判が領主ヘロデ・アンテパスの耳にはいった。"
"401402","
「これは洗礼者ヨハネにちがいない。あれが死人の中から生きかえったのだ、
それだからあんな(不思議な)力が彼の中に働いている」とヘロデは家来に言った。"
"401403","
それにはこういう訳がある。──ヘロデは(前に)その兄弟ピリポの妻ヘロデ
ヤのことから、ヨハネを捕らえ、しばって牢に入れたことがあった。"
"401404","
ヨハネがヘロデに、「あなたはあの婦人を妻にするのはよろしくない」と言った
からである。"
"401405","
ヘロデはヨハネを殺したいと考えたが、民衆はヨハネを預言者と思っていた
ので、彼ら(が騒ぎ出すの)を恐れた。"
"401406","
ところでヘロデの誕生祝いがあったとき、ヘロデヤの娘が満座の中で舞をま
い、ヘロデを喜ばせた。"
"401407","
そのためヘロデは娘に、願うものはなんでもやろう、と誓いまで立てて約束し
た。"
"401408","
娘は母の入り知恵で、「洗礼者ヨハネの首を盆にのせて、今ここに戴きます」と
言う。"
"401409","
王は悲しんだが、列座の人々の前で立てた誓いの手前、それを与えるように命
じ、"
"401410","
人をやって牢でヨハネの首をはねさせた。"
"401411","
首は盆にのせて持ってきて少女に渡され、少女は母に持っていった。"
"401412","
ヨハネの弟子たちは来てなきがらを引き取って葬り、行ってイエスに報告した。
"
"401413","
これを聞くと、イエスは自分(と弟子たち)だけ、そこから舟で人里はなれた
所へ立ちのかれた。すると群衆はそれと聞いて、町々から陸を歩いてついて行った。"
"401414","
イエスは(舟から)上がって多くの群衆を見ると、かわいそうになり、その中
の病人をなおされた。"
"401415","
夕方になると、弟子たちはイエスのそばに来て言った、「ここは人里はなれた所、
それにもう時間も過ぎました。だから群衆を解散させ、村々に行って自分で食べる物を買
わせてください。」"
"401416","
イエスは言われた、「買いに行くには及ばない。あなた達が自分で食べさせてや
ったらよかろう。」"
"401417","
彼らが言う、「ここにはパン五つと、魚二匹しか持ちあわせがありません。」"
"401418","
イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい。」"
"401419","
それから群衆に命じて草の上に座らせ、(いつも家長がするように、)その五つ
のパンと二匹の魚を(手に)取り、天を仰いで(神を)讃美したのち、パンを裂いて弟子
たちに渡されると、弟子たちは群衆に渡した。"
"401420","
皆が食べて満腹した。そして余ったパンの屑を拾うと、十二の篭に一ぱいあっ
た。"
"401421","
食べた者は、女、子供ぬきで、男五千人ばかりであった。"
"401422","
それからすぐイエスは弟子たちを強いて舟に乗らせ、向う岸に先発させられた、
群衆を解散させる間に。"
"401423","
そして群衆を解散させると、祈りのため自分だけ山に上られた。暗くなっても
ひとりそこにおられた。"
"401424","
(弟子たちの)舟はすでに幾スタデオも(一スタデオは約五分の一キロ)陸を
離れていたが、向い風のため波になやまされていた。"
"401425","
第四夜回りのころ(すなわち夜明けの三時ごろ、)イエスは湖の上を歩いて彼ら
の所に来られた。"
"401426","
弟子たちはイエスが湖の上を歩いておられるのを見ると、幽霊だと思って肝を
つぶし、恐ろしさのあまり叫んだ。"
"401427","
しかしイエスはすぐ彼らに話しかけて言われた、「安心せよ、わたしだ。こわが
ることはない。」"
"401428","
ペテロが答えた、「主よ、あなたでしたら、どうかわたしに命令して、水の上を
歩いてあなたの所へ行かせてください。」"
"401429","
「こちらに来なさい」とイエスが言われた。ペテロは舟から下り、水の上を歩
いてイエスの所へ行った。"
"401430","
しかし(いま一足という所で)強い風を見たため、おじけがつき、沈みかけた
ので、「主よ、お助けください」と叫んだ。"
"401431","
イエスはすぐ手をのばし、ペテロをつかまえて言われる、「信仰の小さい人よ!
なぜ疑うのか。」"
"401432","
そして二人が舟に乗ると、風はやんだ。"
"401433","
舟にいた人たちは、「あなたは確かに神の子です」と言ってイエスをおがんだ。
"
"401434","
ついに(湖を)渡ってゲネサレの地に着いた。"
"401435","
所の人はイエスと知って、その付近に隅なく人をやっ(て知らせ)たので、人々
は病人を皆イエスのところにつれて来て、"
"401436","
せめて着物の裾にさわらせてほしいとイエスに願った。さわった者はみな直っ
た。"
"401501","
そのころパリサイ人と聖書学者たちがエルサレムからイエスの所に来て、"
"401502","
「あなたの弟子はなぜ先祖の言伝えをふみにじるのか。食事をする時に手を洗
わないではないか」と言った。"
"401503","
彼らに答えられた、「では(わたしも)一つ尋ねる、あなた達も自分の言伝えで
神の掟をふみにじっているが、あれはどうしたのか。"
"401504","
神は、“父と母を敬え、”また“父または母を罵る者は必ず死に処せられる”と
言われたのに、"
"401505","
あなた達はこう言うのだから。──『父または母にむかって、わたしがあなた
に差し上げるはずのものは(神への)供え物にする、と言う者は、"
"401506","
父または母を敬わなくてよろしい(、扶養の義務をまぬかれる)』と。こうして、
あなた達は自分の言伝えで神の言葉を反故にしている。"
"401507","
偽善者たち!イザヤはあなた達のことをこう言って預言しているが、うまいも
のである。──"
"401508","
“この民は口先でわたし[神]を敬いながら、その心は遠くわたしから離れて
いる。"
"401509","
彼らは(熱心に)わたしを拝むが無駄である、彼らが教えとして教えているの
は、人間の(作った)規則であるから。”」"
"401510","
それから群衆を呼びよせて言われた、「聞いて悟れ。"
"401511","
口に入るものは人をけがさない。口から出るもの、これが人をけがす。」"
"401512","
あとで弟子たちが来てイエスに言う、「パリサイ人がお話を聞いて腹を立てたこ
とを御存じですか。」"
"401513","
イエスは答えられた、「わたしの天の父上がお植えにならないものは皆、引き抜
かれる。"
"401514","
あの人たちを放っておけ。盲人の手引をする盲人だ。盲人が盲人の手引をすれ
ば、二人とも穴に落ちよう。」"
"401515","
ペテロが口を出して言った、「さっきの譬を説明してください。」"
"401516","
イエスは言われた、「あなた達までがまだ悟らないのか。"
"401517","
すべて口に入るものは、腹を通って便所に落ちる(から、人をけがさない)こ
とが解らないのか。"
"401518","
しかし口から出るものは心から出るので、そちらは人をけがす。"
"401519","
心から悪い考えが出るからである。人殺し、姦淫、不品行、盗み、偽証、悪口
(など)。"
"401520","
人をけがすのはこれで、洗わぬ手で食事をすることは人をけがさない。」"
"401521","
イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方に引っ込まれた。"
"401522","
すると、その地方生まれの一人のカナンの女が出てきて叫んだ、「主よ、ダビデ
のお子様よ、どうぞお慈悲を。娘がひどく悪鬼に苦しめられています。」"
"401523","
しかしイエスは一言も答えられなかった。弟子たちが来て、願って言った、「願
いをかなえてやって、(早く)この女を追い払ってください。どなりながらついて来ます
から。」"
"401524","
イエスは答えられた、「わたしはイスラエルの家のいなくなった羊だけにしか、
遣わされていない。」"
"401525","
するとその女が来て、しきりに願って言った、「主よ、お助けください。」"
"401526","
イエスは答えられた、「子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投
げてやるのはよろしくない。」"
"401527","
しかし女は言った、「主よ、是非どうぞ!小犬どもも、御主人の食卓から落ちる
パン屑をいただくのですから。」"
"401528","
そこでイエスは答えられた、「ああ、女の人、りっぱな信仰だ。願いどおりに成
れ。」すると、ちょうどその時から、娘は直った。"
"401529","
それからイエスはそこを去って、ガリラヤ湖のほとりにかえり、山に上ってそ
こに坐られた。"
"401530","
大勢の群衆が足なえ、片輪、盲人、唖、そのほか多くの者をつれてイエスの所
に来て、足もとに置いたので、それをなおされた。"
"401531","
群衆は唖が物を言い、片輪が直り、足なえが歩きまわり、盲人が目が見えるよ
うになったのを見て驚き、イスラエルの神を讃美した。"
"401532","
イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「群衆がかわいそうだ。もう三日もわ
たしをはなれずにいるので、何も食べるものを持っていない。空腹のままで帰したくない。
途中でへたばってしまうかも知れない。」"
"401533","
弟子たちが言う、「この荒野で、いったいどこから、こんなに大勢の人を満腹さ
せるほど沢山のパンを買って来ましょうか。」"
"401534","
イエスが言われる、「手許にいくつパンがあるか。」「七つ、それと小魚が少しで
す」とこたえた。"
"401535","
イエスは群衆に命じて地面にすわらせ、"
"401536","
その七つのパンと魚とを(手に)取り、(神に)感謝して(パンを)裂き、弟子
たちに渡されると、弟子たちは群衆に渡した。"
"401537","
皆が食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、七つの篭に一ぱい
あった。"
"401538","
食べた者は、女、子供ぬきで、男四千人であった。"
"401539","
イエスは群衆を解散させたのち、舟に乗ってマガダン地方に行かれた。"
"401601","
するとパリサイ人とサドカイ人とが来て、イエスを試そうとして、(神の子であ
る証拠に)天からの(不思議な)徴を示すようにと頼んだ。"
"401602","
彼らに答えられた、「あなた達は夕方には『(明日は)天気だ、空が焼けている
から』と言い、"
"401603","
また朝早く、『きょうは荒れだ、空が雲って焼けているから』と言う。あなた達
は空の模様を見分けることを知っていながら、時の(せまった)徴を見分けることが出来
ないのか。"
"401604","
この悪い、神を忘れた時代の人は、徴をほしがる。しかしこの人たちには、ヨ
ナの徴以外の徴は与えられない。」イエスは彼らをすてて立ち去られた。"
"401605","
向う岸に着いたとき、弟子たちはパンを持ってくるのを忘れていた。"
"401606","
するとイエスは弟子たちに、「パリサイ人の(パン種)とサドカイ人のパン種に
注意し、警戒せよ」と言われた。"
"401607","
弟子たちは(その意味がわからず、)「パンを持ってこなかったこと(を言われ
る)らしい」と言って、こそこそ評議をしていた。"
"401608","
イエスはそれと知って言われた、「なぜパンのないことをこそこそ評議するのか。
この信仰の小さい人たち!"
"401609","
まだ解らないのか、覚えていないのか、あの五千人の五つのパンのとき、いく
篭ひろったか。"
"401610","
また、四千人の七つのパンのとき、いく篭ひろったか。"
"401611","
パンのことを言ったのではないことが、どうして解らないのか。パリサイ人(の
パン種)とサドカイ人のパン種を警戒せよ。」"
"401612","
その時(やっと)弟子たちは、イエスがパン種でなく、パリサイ人とサドカイ
人との教えを警戒せよ、と言われたことを悟った。"
"401613","
ピリポ・カイザリヤ地方に行かれたとき、イエスはこう言って弟子たちに尋ね
られた、「世間の人は人の子(わたし)のことをなんと言っているか。」"
"401614","
彼らが言った、「あるいは洗礼者ヨハネ、あるいは預言者エリヤ、あるいはエレ
ミヤとか(昔の)普通の預言者とか言う者があります。」"
"401615","
彼らに言われる、「では、あなた達はわたしのことをなんと言うのか。」"
"401616","
シモン・ペテロが答えて言った、「あなたは救世主、生ける神の子であります!」
"
"401617","
するとイエスは(喜んで)ペテロに答えられた、「バルヨナ・シモン、あなたは
幸いだ。これをあなたに示したのは血肉([人間]の知恵)でなく、わたしの天の父上だ
から。"
"401618","
それでわたしもあなたに言おう。──あなたはペテロ[岩]、わたしはこの岩の
上に、わたしの集会を建てる。黄泉の門[死の力]もこれに勝つことはできない。"
"401619","
わたしはあなたに天の国の鍵をあずける。(だから)あなたが地上で結ぶことは
(そのまま)天でも結ばれ、地上で解くことは(そのまま)天でも解かれるであろう。」"
"401620","
それからイエスは、自分が救世主であることをだれにも言ってはならないと、
弟子たちを戒められた。"
"401621","
この時から、イエスは自分が(神の計画どおり)エルサレムに行って、長老、
大祭司連、聖書学者たちから多くの苦しみをうけ、殺され、そして三日目に復活せねばな
らないことを弟子たちに示し始められた。"
"401622","
するとペテロはイエスをわきへ引っ張っていって、「主よ、とんでもない。そん
なことは絶対にいけません!」と言って忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられ
なかったのである。)"
"401623","
イエスは振り返って、ペテロに言われた、「引っ込んでろ、悪魔、この邪魔者!
お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えている!」"
"401624","
あとでイエスは弟子たちに言われた、「だれでも、わたしについて来ようと思う
者は、(まず)己れをすてて、自分の十字架を負い、それからわたしに従え。"
"401625","
(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命を失い、わた
しのために(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を得るのだから。"
"401626","
たとい全世界をもうけても、命を損するならば、その人は何を得するのだろう。
それとも、人は(一度失った永遠の)命を受けもどす代価として、何か(神に)渡すこと
ができるのだろうか。"
"401627","
(永遠の命のために働け。)人の子(わたし)は父上の栄光に包まれ、自分の使
いたちを引き連れて(ふたたび地上に)来るが、その時、“ひとりびとりの行いに応じて
褒美を与えるのである”から。"
"401628","
アーメン、わたしは言う、(その時はじきに来る。今)ここに立っている者のう
ちには、死なずにいて、人の子(わたし)がその国と共に来るのを見る者がある。」"
"401701","
(それから)六日の後、イエスはペテロとヤコブとその兄弟のヨハネだけを連
れて、高い山にのぼられた。"
"401702","
すると彼らの見ている前でイエスの姿が変った。顔は太陽のように照りかがや
き、着物(まで)が光のように白くなった。"
"401703","
すると見よ、モーセとエリヤとが彼らに現われた。二人はイエスと話していた。
"
"401704","
ペテロが口を出してイエスに言った、「主よ、わたし達(三人)がここにいるの
は、とても良いと思います。もしよろしければ、わたしはここに小屋を三つ造りましょう。
あなたに一つ、モーセに一つ、エリヤに一つ。」"
"401705","
ペテロの言葉がまだ終らぬうちに、見よ、光る雲が彼ら(イエスとモーセとエ
リヤと)を掩い、そのとき、「これはわたしの“最愛の子、”“わたしの心にかなった。”“彼
の言うことを聞け”」と言う声が雲の中から出た。"
"401706","
これを聞くと弟子たちは地にひれ伏して、非常に恐ろしくなった。"
"401707","
イエスは近寄り、彼らにさわって言われた、「起きよ、恐れることはない。」"
"401708","
目を上げると(そこには)だれも見えず、ただイエスだけがおられた。"
"401709","
山を下りながら、イエスは、「人の子(わたし)が死人の中から復活する前には、
(いま)見たことをだれにも言うな」と彼らに命じられた。"
"401710","
すると弟子たちがこう言ってイエスに尋ねた、「では、なぜ聖書学者は、まずエ
リヤが(来てそのあとで人の子が)来るべきである、と言うのですか。(人の子は来られ
たのに、エリヤはまだ来ないではありませんか。)」(彼らは山の上のことを思い浮かべた
のである。)"
"401711","
答えられた、「たしかに“エリヤが”来て万事を“整頓するであろう。”"
"401712","
しかしわたしは言う、すでにエリヤは来た。ただ人々は彼を(それと)認めず、
したい放題のことを彼にし(て殺してしまっ)たのである。(だから)同じように、人の
子(わたし)も人々から苦しみをうけねばならない。」"
"401713","
その時弟子たちは、洗礼者ヨハネのことを指して(エリヤと)言われたのだと
悟った。"
"401714","
(山を下りて)群衆の所にかえると、ひとりの人がイエスに近寄り、ひざまず
いて"
"401715","
言った、「主よ、どうぞ伜にお慈悲を。癲癇で、ひどく苦しんでおります。幾た
びも幾たびも火の中、水の中に倒れるのです。"
"401716","
それでお弟子たちのところにつれて来ましたが、なおおしになれませんでし
た。」"
"401717","
イエスは答えられた、「ああ不信仰な、腐り果てた時代よ、わたしはいつまであ
なた達と一しょにおればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。そ
の子をここにつれて来なさい。」"
"401718","
そしてイエスが悪鬼を叱りつけられると、悪鬼が出ていって、その時から子は
なおった。"
"401719","
あとで弟子たちは人のいない時にイエスの所に来て言った、「なぜわたし達には
悪鬼を追い出せなかったのでしょうか。」"
"401720","
彼らに言われた、「信仰が無いからだ。アーメン、わたしは言う、もしあなた達
に芥子粒ほどでも信仰があれば、この山に向かい『ここからあそこに移れ』と言えば移り、
あなた達に出来ないことは一つもない。」"
"401721","
〔無し〕"
"401722","
一行がガリラヤを旅行しているとき、イエスは(また)弟子たちに言われた、「人
の子(わたし)は人々の手に引き渡されねばならない。"
"401723","
彼らに殺されるが、三日目に復活する。」弟子たちは非常に悲しんだ。"
"401724","
彼らがカペナウムに来たとき、宮の奉納金の取立て人がペテロの所に来て言っ
た、「あなた達の先生は奉納金を納めないのか。」"
"401725","
ペテロが「もちろん、納められる」と言う。そして(イエスの)家に行くと、
イエスの方から言い出された、「シモン、どう思うか、この世の王たちは官税や税をだれ
から取るだろうか。自分の子供たちだろうか、それとも余所の人からだろうか。」"
"401726","
「余所の人から」と答える。イエスは言われた、「それでは(神の)子供たちに
は(納める)義務はない。"
"401727","
しかし人々をつまずかせないため、湖に出かけていって釣針を垂れよ。最初に
釣れた魚を取って口をあけるとスタテル銀貨(二千円)が一つあるから、それを取って、
わたしとあなたの分として取立て人に渡しなさい。」"
"401801","
その時、弟子たちがイエスの所に来て、「ではいったい(われわれのうちの)だ
れが天の国で一番えらいのですか」とたずねた。"
"401802","
イエスはひとりの子供を呼びよせ、彼らの真中に立たせて"
"401803","
言われた、「アーメン、わたしは言う、あなた達は生まれかわって子供のように
(小さく)ならなければ、決して天の国に入ることはできない。"
"401804","
だから、この子供のように自分を低くする者、それが天の国では一番えらい人
である。"
"401805","
またわたしの名を信ずるこんな一人の子供を迎える者は、わたしを迎えてくれ
るのである。"
"401806","
しかしわたしを信ずるこの小さな者を一人でも罪にいざなう者は、大きな挽臼
を頚にかけられて深い海に沈められる方が得である。"
"401807","
この世は罪のいざないがあるから禍だ、罪のいざないの来るのを避けることが
できないからである。しかしいざないを来させる人は禍だ。"
"401808","
(だから)もし手か足があなたを罪にいざなうなら、切り取って捨てよ。両手
両足があって永遠の火の中に投げ込まれるよりも、片手片足で(永遠の)命に入る方が仕
合わせである。"
"401809","
もしまた目があなたを罪にいざなうなら、くじり出して捨てよ。両目があって
火の地獄に投げ込まれるよりも、片目で(永遠の)命に入る方が仕合わせである。"
"401810","
この小さな者を一人でも軽んじることのないように注意せよ。わたしは言う、
(わたしの父上は片時も彼らをお忘れにならない。)あの者たちの(守り)天使は、天で
いつもわたしの天の父上にお目にかかっているのだから。"
"401811","
〔無し〕"
"401812","
あなた達はどう思うか。ある人が羊を百匹もっていて、その一匹が道に迷った
とき、その人は九十九匹を山にのこしておいて、迷っている一匹をさがしに行かないだろ
うか。"
"401813","
そしてもし見つけようものなら、アーメン、わたしは言う、この一匹を、迷わ
なかった九十九匹以上に喜ぶにちがいない。  "
"401814","
このように、この小さな者たちが一人でも滅びることは、あなた達の天の父上
の御心ではない。"
"401815","
それで、もし兄弟が罪を犯し(て悔改めなかっ)たら、行って、あなたと二人
だけの間で忠告をしてやりなさい。もし言うことを聞けば、あなたは(天の国のために)
兄弟を一人もうけたのである。"
"401816","
しかし(どうしても)聞かないなら、ほかに一人か二人、一しょに連れてゆく
がよい。“すべてのことは、二人もしくは三人の証言によって定められる”(というモーセ
の掟に従う)ためである。"
"401817","
しかし彼らの言うことを聞かないなら、集会に申し出よ。集会の言うことも聞
かないなら、(その時は已むを得ないから、その人と交際をたって)異教人か税金取りの
ように思ってよろしい。"
"401818","
アーメン、わたしは言う、あなた達が地上で結ぶことはみな天でも結ばれ、地
上で解くことはみな天でも解かれるであろう。"
"401819","
なお、アーメン、わたしは言う、何事によらず、もしあなた達のうちの二人が
心を一つにして地上で祈るならば、わたしの天の父上は(きっとその願いを)かなえてく
ださるだろう。"
"401820","
二人、三人、わたしの名によって集まっている所には、わたしがいつもその真
中にいるのだから。」"
"401821","
その時ペテロが進み寄ってたずねた、「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯した
とき、何度赦してやらねばなりませんか。七度まででしょうか。」"
"401822","
イエスがこたえられた、「いや、あなたに言う、七度までどころか、七十七度ま
で!  "
"401823","
だから天の国は、王が家来たちとの貸し借りを清算しようとするのに似ている。
"
"401824","
清算を始めると、(王に対し)一万タラント[三百億円]の借りのある家来がつ
れて来られた。"
"401825","
返すことができないので、主人は(その家来に、)自分も妻も子も持ち物も全部
売って返すように命じた。"
"401826","
家来はひれ伏して、しきりに願った、『しばらく待ってください。全部お返しし
ますから。』"
"401827","
そこで主人は気の毒に思って、身柄をゆるした上、借金にまで棒を引いてやっ
た。"
"401828","
ところがその家来は出ていって、自分に百デナリ[五万円]を借りているひと
りの同僚に出合うと、これをつかまえ、喉頚をしめて、『借りているものを返せ』と言っ
た。"
"401829","
同僚はひれ伏して、『ちょっと待ってくれ。返すから』と頼んだ。"
"401830","
しかし承知せず、(裁判官につれて)行って、負債を返すまで牢に入れた。"
"401831","
その人の同僚たちはこの出来事を見て非常に悲しみ、行って、出来事の一部始
終を主人に報告した。"
"401832","
すると主人はその家来を呼び出して言う、『不埒な家来、あなたが頼んだから、
わたしはあの負債に全部、棒を引いてやったのだ。"
"401833","
だからあなたもわたしに情をかけてもらったように、同僚に情をかけてやるべ
きではなかったのか。』"
"401834","
そこで主人は怒って、負債を全部返すまでその男を獄吏に引き渡した、(という
話。)"
"401835","
わたしの天の父上も、もしあなた達ひとりびとりが心から兄弟を赦さないなら
ば、同じようにあなた達になさるであろう。」"
"401901","
イエスはこれらの話を終えると、ガリラヤを去り、ヨルダン川の向こうのユダ
ヤ(人の住むペレヤ)地方に行かれた。"
"401902","
すると大勢の群衆がついて来たので、そこで彼らの病気をなおされた。"
"401903","
そこにパリサイ人たちが近寄ってきて、イエスを試そうとして言った、「何か理
由があれば、妻を離縁してもよろしいか。」"
"401904","
答えて言われた、「造物者が始めから“彼らを男と女とに造られた”こと、"
"401905","
また、“それゆえに人は父と母とをすてて妻に結びつき、二人は一体となる”と
言われたことを、あなた達は読んだことがないのか。"
"401906","
従って、もはや二人ではない、一体である。だから夫婦は(皆)神が一つの軛
におつなぎになったものである。(どんな理由があっても)人間がこれを引き離してはな
らない。」"
"401907","
彼らが言う、「それでは、なぜモーセは“離縁状を渡して(妻を)離縁すること
を”命じているか。」"
"401908","
彼らに言われる、「モーセはあなた達の心が(神に対して)頑固なために、妻を
離縁することを許したので、始めからそうではなかった。"
"401909","
わたしは言う、不品行のゆえでなくて妻を離縁し、ほかの女と結婚する者は、
姦淫を犯すのである。」"
"401910","
弟子たちが言う、「夫婦の関係がそんな(面倒な)ものなら、結婚をしない方が
得だ。」"
"401911","
彼らに言われた、「そのことは(本当の意味がわかって実行すれば確かに得であ
るが、それは)だれにでも出来ることではない。(神から特別に力を)授けられる者だけ
に出来るのである。"
"401912","
というのは、(同じ独身でも、)母の胎内から結婚できないように生まれついた
者があり、また人から(無理に)結婚できないようにされた者があり、また天の国のため
に自分で(決心して)結婚しない者がある。(この最後のものが本当の独身である。)出来
る者はしたがよかろう。」"
"401913","
それから、イエスに手をのせて祈っていただこうとして、人々が子供たちをつ
れて来ると、弟子たちが咎めた。"
"401914","
イエスは言われた、「子供たちを放っておけ、わたしの所に来るのを邪魔するな。
天の国はこんな(小さな)人たちのものである。」"
"401915","
それから子供たち(の頭)に手をのせて祝福したのち、そこを去られた。"
"401916","
するとそこに、ひとりの人がイエスの所に来て言った、「先生、永遠の命を得る
には、どんな善いことをすればよいでしょうか。」"
"401917","
イエスは言われた、「なぜ善いことについってわたしに尋ねるのか。善いお方は
ただ一人(神)である。(永遠の)命に入りたければ、(神の)掟を守りなさい。」"
"401918","
「どの掟を」と彼が言う。イエスはこたえられた、「“殺してはならない、姦淫
をしてはならない、盗んではならない、偽りの証言をしてはならない、"
"401919","
父と母とを敬え、”また“隣の人を自分のように愛せよ。”」"
"401920","
青年が言う、「それならみんな守っております。まだ何か足りないでしょうか。」
"
"401921","
イエスは言われた、「完全になりたければ、家に帰って持ち物を売って、(その
金を)貧乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わ
たしの弟子になりなさい。」"
"401922","
青年はこの言葉を聞き、悲しそうにして立ち去った。大資産家であったのであ
る。"
"401923","
イエスは弟子たちに言われた、「アーメン、わたしは言う、金持が天の国に入る
ことはむずかしい。"
"401924","
かさねて言う、金持が天の国に入るよりは、駱駝が針のめどを通る方がたやす
い。」"
"401925","
これを聞いて、弟子たちは非常に驚いて言った、「ではいったい、だれが救われ
ることが出来るのだろう。」"
"401926","
イエスは彼らをじっと見て言われた、「これは人間には出来ないが、“神にはな
んでも出来る。”」"
"401927","
その時、ペテロが口を出してイエスに言った、「でも、わたし達は(あの金持と
ちがいます。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました。わたし達にはいっ
たいなんの褒美があるのでしょうか。」"
"401928","
イエスが彼らに言われた、「アーメン、わたしは言う、新しい世界が生まれて、
人の子(わたし)が栄光の座につく時には、わたしの弟子になったあなた達十二人も十二
の王座について、イスラエル(の民)の十二族を支配するのである。"
"401929","
そしてわたしのために家や兄弟や姉妹や父や母や畑をすてた者は一人のこらず、
(この世で)その幾倍を受け、また(来るべき世では)永遠の命をいただくのである。
""401930","
しかし(決して油断をしてはならない。)一番の者が最後になり、最後の者が
一番になることが多い。"
"402001","
(なぜであろう。)天の国は、家の主人が夜の引明けに出ていって、葡萄畑に労
働者を雇うのに似ているからである。"
"402002","
一日一デナリ[五百円]の約束で、労働者たちを葡萄畑にやった。"
"402003","
また九時ごろ出ていって、ほかの労働者が何もせずに市場に立っているのを見
て、"
"402004","
『あなた達も葡萄畑に行きなさい。やるだけのものはやるから』と言うと、"
"402005","
その人たちも行った。十二時ごろと三時ごろにまた出ていって、同じようにし
た。"
"402006","
(最後に)五時ごろ出ていって見ると、(まだ)ほかの労働者が立っていたので、
言う、『なぜ一日中何もせずに、ここに立っているのか。』"
"402007","
彼らがこたえる、『だれも雇ってくれないのです。』彼らに言う、『(まだ一時間
は働ける。)あなた達も葡萄畑に行きなさい。』"
"402008","
さて夕方になると、葡萄畑の主人が監督に言う、『労働者たちを呼んで、賃金を
払ってやりなさい、(逆に)最後の者から始めて最初の者まで。』"
"402009","
そこで(まず)五時ごろの者が来て、一デナリずつ貰った。"
"402010","
最初の者は来て、(あの連中が一デナリなら、)自分たちは余計に貰えるものと
思っていたところ、彼らも一デナリずつ貰った。"
"402011","
そこで貰ったとき、家の主人に向かって不平を"
"402012","
言った、『この最後の者は(たった)一時間しか働かなかった。われわれは一日
中、重労働と暑さを辛抱したのに、あなたは同じ扱いをされたではないか。』"
"402013","
主人がその一人に答えた、『君、わたしは何も間違ったことをあなたにした覚え
はない。一デナリの約束ではなかったのか。"
"402014","
自分の分を取って帰りたまえ。わたしはこの最後の人に、あなたと同じだけや
りたいのだ。"
"402015","
わたしのものを、わたしがしたいようにしてはいけないのか。それとも、わた
しが親切をしてやったのが羨ましいのか。』"
"402016","
このように、最後の者が一番になり、一番の者が最後になるであろう。」"
"402017","
いよいよエルサレムへ(の道を)上り出されるとき、イエスはまた十二人(の
弟子)だけをそばに呼んで、道々こう話された、"
"402018","
「さあ、いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。そして人の子(わたし)
は(そこで)大祭司連と聖書学者たちとに引き渡される。彼らは死刑を宣告して"
"402019","
異教人に引き渡し、異教人はなぶり、鞭で打ち、ついに十字架につけるのであ
る。しかし三日目に復活する。」"
"402020","
その時、ゼベダイの子(ヤコブとヨハネと)の母がその(二人の)子をつれて
イエスの所に来て、ひざまずき、何かお願いしようとした。"
"402021","
彼女に言われた、「何の願いか。」彼女が言う、「(来ようとしている)あなたの
御国で、この二人の子が一人はあなたの右に、一人は左に坐るよう御命令ください。」"
"402022","
イエスが答えられた、「あなた達は自分で何を願っているのか、わからずにいる。
(ヤコブとヨハネに聞くが、)わたしが飲まねばならない(苦難の)杯を飲むことが出来
るのか。」「出来ます」と二人がこたえる。"
"402023","
イエスは言われる、「いかにも、あなた達はわたしの杯を飲むにちがいない。し
かしわたしの右と左の席、それはわたしが与えるのではなく、(あらかじめ)わたしの父
上から定められた人々に与えられるのである。」"
"402024","
(ほかの)十人(の弟子)はこれを聞いて、二人の兄弟のことを憤慨した。"
"402025","
するとイエスは彼らを呼びよせて言われた、「あなた達が知っているように、世
間では主権者が人民を支配し、また(いわゆる)えらい人が権力をふるうのである。"
"402026","
あなた達の間では、そうであってはならない。あなた達の間では、えらくなり
たい者は召使になれ。"
"402027","
一番上になりたい者は奴隷になれ。"
"402028","
人の子(わたし)が来たのも仕えさせるためではない。仕えるため、多くの人
のあがない金としてその命を与えるためである。」"
"402029","
一行がエリコ(の町)を出ると、大勢の群衆がイエスについて来た。"
"402030","
すると二人の盲人が道ばたに坐っていたが、イエスのお通りだと聞くと、「主よ、
ダビデのお子様よ、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。"
"402031","
群衆が叱りつけて黙らせようとしたが、二人はますます大声で、「主よ、ダビデ
のお子様よ、どうぞお慈悲をと言って叫んだ。"
"402032","
イエスは立ち止まって、二人を呼んで言われた、「何をしてもらいたいのか。」"
"402033","
彼がこたえる、「主よ、目があくといい。」"
"402034","
イエスが不憫に思ってその目にさわられると、すぐ見えるようになって、イエ
スについて行った。"
"402101","
一同がエルサレムに近づき、オリーブ山の中腹のベテパゲに来ると、その時イ
エスはこう言って二人の弟子を使いにやられた、"
"402102","
「あの向かいの村まで行ってきなさい。(村に入ると)すぐ、子をつれた驢馬が
つないであるのが見える。解いてわたしのところに引いてきてもらいたい。"
"402103","
もしなんとか言う者があったら、『主がお入用です』と言えばよろしい。すぐ渡
してくれるから。」"
"402104","
これは、預言者(ゼカリヤ)をもって言われた言葉が成就するためにおこった
のである。──"
"402105","
“シオンの娘に告げよ、”“見よ、心のやさしいあなたの王が、来られる、驢馬
にのって、驢馬の子の子驢馬にのって”と。"
"402106","
弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにして、"
"402107","
驢馬と子驢馬とを引いてきた。そして自分たちの着物をその上にひろげると、
イエスはそれに乗られた。"
"402108","
おびただしい群衆がその着物を道に敷いた。木の枝を切ってきて道に敷く者も
あった。"
"402109","
群衆は、イエスの前を行く者もあとについて行く者も、叫んで言った。──ダ
ビデの子に“ホサナ!主の御名にて来られる方に祝福あれ。”いと高き所に“ホサナ!”"
"402110","
やがてエルサレムに着かれると、都中が「この人はだれだろう」と言って騒ぎ
たった。"
"402111","
「この人はガリラヤのナザレの預言者イエスだ」と群衆は言った。"
"402112","
イエスは宮に入って、宮(の庭)で物を売る者や買う者を皆追い出し、両替屋
の台や、鳩を売る者の腰掛けを倒された。"
"402113","
それからこう言われた、「“わたしの家は祈りの家と呼ばれるべきである”と(聖
書に)書いてあるのに、あなた達はそれを“強盗の巣”にしている。」"
"402114","
宮(の庭)で盲人や足なえが寄ってきたので、イエスはそれをなおしてやられ
た。"
"402115","
すると大祭司連や聖書学者たちは、イエスがされた不思議な業と、宮(の庭)
で子供たちが、「ダビデの子に“ホサナ!”」と言って叫んでいるのを見て憤り、"
"402116","
イエスに言った、「あの子供たちがなんと言っているのか、聞えているのか。」
イエスは言われた、「聞えている。あなた達は“(神よ、)あなたは幼児と乳飲み子との口
によって、(御自分のために)賛美をお備えになった”と詩篇にあるのを、まだ読んだこ
とがないのか。(大人が黙っているから、子供が叫ぶのだ。)」"
"402117","
イエスは彼らをすて置き、都を出てベタニヤにゆき、そこで夜を過ごされた。"
"402118","
(次の)朝早く都に帰られるとき、イエスは空腹であった。"
"402119","
それで道ばたに一本の無花果の木があるのを見て、そこに行かれた。が見ると、
ただ葉ばかりで何もなかった。イエスはその木に言われる、「もはやいつまでも、お前に
は実がなってはならない!」無花果の木は見る間に枯れてしまった。"
"402120","
これを見て弟子たちは驚いて言った、「なぜ無花果は見る間に枯れてしまったの
ですか。」"
"402121","
イエスは答えられた、「アーメン、わたしは言う、もしあなた達に信仰があって
疑わないならば、この無花果におこった(と同じ)ことをすることができるばかりか、こ
の山にむかい『立ち上がって海に飛び込め』と言っても、その通りになる。"
"402122","
信じて祈れば、求めるものはなんでも、戴くことができる。」"
"402123","
宮に来て教えておられると、大祭司連と国の長老たちが寄ってきて、言った、「な
んの権威で(きのうのような)あんなことを(宮で)するのか。だれがあの権威を授けた
のか。」"
"402124","
イエスは答えて言われた、「ではわたしも一つ尋ねる。それにこたえられたら、
わたしも何の権威でそれをするかを言おう。"
"402125","
──ヨハネの洗礼はどこから来たのか。天(の神)から(授かったの)か、そ
れとも人間からか。」彼らはひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『では、なぜヨ
ハネを信じなかったか』と言うであろうし、"
"402126","
もし『人間から』と言えば、民衆(の反対)がこわい。みんながヨハネを預言
者と思っているのだから。」"
"402127","
そこで「知らない」とイエスに答えた。イエスも言われた、「ではなんの権威で
あんなことをするのか、わたしも言わない。"
"402128","
いったいあなた達はどう思うか。──ある人に二人の息子があった。長男の所
に行って、『坊や、きょう葡萄畑に行って働いてくれ』と言うと、"
"402129","
長男は『いやです』と答えたが、あとで後悔して出かけた。"
"402130","
つぎに次男の所に行って同じように言うと、こちらは、『お父さん、承知しまし
た』と答えたが、行かなかった。"
"402131","
この二人のうち、どちらが父の心を行ったのだろうか。」「もちろん長男」と彼
らが答える。イエスが言われる、「アーメン、わたしは言う、税金取りや遊女たちは、あ
なた達よりも先に神の国に入るであろう。"
"402132","
そのわけは、(洗礼者)ヨハネが義の道を示しに来たのに、あなた達は彼を信ぜ
ず、税金取りや遊女の方がかえって信じたからだ。しかしあなた達は(あの人たちが悔改
めるのを)見たあとでも、後悔して彼を信じようとしなかった。"
"402133","
もう一つの譬を聞きなさい。ある家の主人があった。“葡萄畑をつくって、それ
に垣根をめぐらし、その中に搾り場をもうけ、(見張りの)櫓を建てた”上、小作人たち
に貸して旅行に出かけた。"
"402134","
収穫の時が近づくと、収穫を取り立てるために、使用人たちを小作人の所に使
いをやった。"
"402135","
すると小作人は使用人をつかまえて、一人をなぐりつけ、一人を石で打ち、一
人を殺した。"
"402136","
また前よりも多くのほかの使用人をやると、同じような目にあわせた。"
"402137","
最後に『わたしの独り息子なら恐れ入るにちがいない』と言って、その息子を
使いにやった。"
"402138","
すると小作人たちはこの息子を見て、『これは相続人だ。さあ、殺して、その財
産を取ってしまおう』と互に言いながら、"
"402139","
つかまえて葡萄畑の外に放り出した上、殺してしまった(と言う話。)"
"402140","
それで(尋ねるが、)葡萄畑の持ち主が来たら、この小作人たちをどうするだろ
うか。」"
"402141","
人々が答える、「そのひどい奴どもをひどい目にあわせて殺し、葡萄畑は、収穫
の時ごとにそれを納めるほかの小作人に貸すにちがいない。」"
"402142","
イエスは彼らに言われた、「あなた達は聖書で(この句を)まだ読んだことがな
いのか。──“大工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。これ
は主のなされたことで、われわれの目には不思議である。”"
"402143","
だからわたしは言う、神の国はあなた達から取り上げられて、神の国の実を結
ぶ(ほかの)国民に与えられるであろう。"
"402144","
そして(救世主なる)この石の上に(つまずき)倒れる人は打ち砕かれ、(最後
の裁きの日に)この石が倒れかかる人は、粉微塵になるであろう。」"
"402145","
大祭司連とパリサイ人はこれらの譬を聞いて、イエスが自分達のことを言って
おられることを知り、"
"402146","
怒ってイエスを捕らえようと思ったが、民衆(が騒ぎ出すの)を恐れた。民衆
はイエスを預言者と思っていたからである。"
"402201","
イエスは言葉をつづけ、また譬をもって(パリサイ人たちに)話された、"
"402202","
「天の国は、王子のために結婚披露の宴会を催す王にたとえられる。"
"402203","
家来たちをやって宴会に招いた人たちを呼ばせたけれども、だれも来ようとは
しなかった。  "
"402204","
王は、招いた人たちにこう言え、と言って、重ねてほかの家来たちをやった、『い
よいよ食事の用意ができました。牛と肥し飼いの家畜とを屠って、すっかり用意ができて
います。さあ、宴会においでください。』"
"402205","
しかし彼らはそれに構わず、一人は畑に、一人は商売に出かけ、"
"402206","
ほかの者は家来たちを捕らえてひどい目にあわせた上、殺してしまった。"
"402207","
王は憤り、軍隊をやってその人殺しどもをうち滅ぼし、その町を焼き払った。"
"402208","
それから家来たちに言う、『宴会の用意はできているが、招いた人は(客たる)
資格のない者(ばかり)だ。"
"402209","
だから町の出口の所に行って、出会った者をだれでもよいから宴会に呼んでこ
い。』"
"402210","
家来たちは道に出ていって、出会った者を悪人でも善人でも皆集めてきたので、
宴会場は客で一ぱいになった。"
"402211","
王は客を見ようとして入ってきたが、そこに礼服を着けていない者が一人いる
のを見て"
"402212","
その人に言った、『君、礼服も着ずに、なんでここに入ってきたのか。』その人
が黙っていると、"
"402213","
王は家来たちに言った、『あの者の手足を縛って、外の真暗闇に放り出せ。そこ
でわめき、歯ぎしりするであろう。』"
"402214","
──招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないのだから。」"
"402215","
するとパリサイ人は(そこから)出ていって、イエスを(彼自身の)言葉で罠
にかけることを決議し、"
"402216","
その弟子たちをヘロデ党の者と共にイエスのところにやって言わせた、「先生、
あなたは正直な方で、本当のことを言って神の道を教えられ、だれにも遠慮されないこと
をよく承知しております。人の顔色を見られないからです。"
"402217","
それで御意見を聞かせてください──(わたし達は異教人である)皇帝に、税
を納めてよろしいでしょうか、よろしくないでしょうか。」"
"402218","
イエスは彼らの悪意を知って言われた、「なぜわたしを試すのか、この偽善者た
ち、"
"402219","
税の貨幣を見せなさい。」デナリ銀貨を差し出すと、"
"402220","
言われる、「これはだれの肖像か、まただれの銘か。」"
"402221","
「皇帝のです」と彼らが言う。すると言われる、「では皇帝のものは皇帝に、神
のものは神に返せ。」"
"402222","
彼らは聞いて驚き、イエスをそのままにして立ち去った。"
"402223","
同じ日にサドカイ人たちが近寄って、復活なしと主張しながら、イエスにこう
言って質問した。"
"402224","
「先生、モーセは(その律法に)、“もし人が子がなくて死んだ場合には、弟に
兄嫁をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”と言っています。"
"402225","
ところがわたし達のところに七人の兄弟があって、長男が結婚して死に、子が
なかったので、その妻を弟にのこしました。"
"402226","
同じように、次男も三男も、ついに七人まで(子をのこさずに)死んで、"
"402227","
一番しまいにその女も死んでしまいました。"
"402228","
すると(もし復活があるなら、)復活の折には、この女は七人のうちのだれの妻
になるのでしょうか。皆その女を妻にしましたから。」"
"402229","
イエスは答えられた、「あなた達は聖書も神の力も知らないので、間違いをして
いる。"
"402230","
復活の折には、めとることもなく嫁ぐこともなく、ちょうど天の使いのようで
ある。"
"402231","
死人の復活については、(聖書にはっきり書いてある。)神があなた達に言われ
たこの言葉を読んだことがないのか。──"
"402232","
“わたしはアブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神である”と。(と
ころで)神は死人の神ではなく、生きている者の神である。(だからアブラハム、イサク
なども復活して、今生きているわけではないか。」"
"402233","
民衆はこれを聞いて、その教えに感心してしまった。"
"402234","
イエスがサドカイ人を言いこめられたと聞くと、パリサイ人は一しょに(イエ
スの所に)集まった。"
"402235","
そしてそのうちの一人の律法学者がイエスを試そうとして尋ねた、"
"402236","
「先生、どの掟が律法の中で最大ですか。」"
"402237","
イエスは言われた、「“心のかぎり、精神のかぎり、”思いの“かぎり、あなたの
神なる主を愛せよ。”"
"402238","
これが最大、第一の掟である。"
"402239","
第二もこれと同じ(く大切である)。──“隣の人を自分のように愛せよ。”"
"402240","
律法全体と預言書と(聖書)は、この二つの掟に支えられている。」"
"402241","
イエスは(そこに)集まっているパリサイ人にお尋ねになった、"
"402242","
「あなた達は救世主のことをどう思うか。だれの子だろうか。」「ダビデの子」
と答えると、"
"402243","
彼らに言われる、「ではダビデが御霊に感じて、救世主を主と呼んでいるのはど
ういう訳だろう。彼はこう言っている。──"
"402244","
“(神なる)主はわが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、
わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足の下に置くまで』と。”"
"402245","
だから、ダビデが(このように)救世主を主と呼んでいる以上、どういう訳で
(その救世主が)ダビデの子であろうか。」"
"402246","
これにはだれ一人、一言も答えることが出来ず、またその日以後、もう問おう
とする者もなかった。"
"402301","
それからイエスは群衆と弟子たちにむかって語られた、"
"402302","
「聖書学者とパリサイ人はいまモーセの(後継ぎとしてその)椅子に坐ってい
る。(彼らにはモーセの権威がある。)"
"402303","
だからなんでも彼らがあなた達に言うことを行い、また守れ。しかし、そのす
ることを真似てはならない。あの人たちは言うだけで行わないのだから。"
"402304","
すなわち重い荷をたばねて人の肩にのせながら、自分では(担ってやるどころ
か、)指一本でこれを動かしてやろうともしない。"
"402305","
そのすること為すことがことごとく、人に見せびらかすためである。たとえば、
(人の目につくように)経箱の幅を広くしたり、上着の総を大きくしたりする。"
"402306","
また宴会の上座や礼拝堂の上席、"
"402307","
市場で挨拶されることや人から先生と呼ばれることを喜ぶ。"
"402308","
しかしあなた達は『先生』と呼ばれてはならない。あなた達の先生はただ一人
(救世主だけで)、あとは皆兄弟であるから。"
"402309","
また地上の者を『父』と呼んではならない。あなた達の父はただ一人、天の父
上(だけ)であるから。"
"402310","
『師』と呼ばれてもいけない。あなた達の師はただ一人、救世主である。"
"402311","
あなた達のうちで一番えらい者が召使になれ。"
"402312","
だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろ
う。"
"402313","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは人々を天の国
から締め出して、自分が入らないばかりか、入ろうとする者をも入らせないからだ。"
"402314","
〔無し〕"
"402315","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちはたった一人の
改宗者を作るために海と陸とを飛びまわり、そして(改宗者が)できると、自分たちより
倍も悪い地獄の子にするからだ。"
"402316","
ああ禍だ、君たち目の見えない案内人!君たちは言う、『お宮にかけて誓う者は
なんでもないが、お宮の黄金(の器や飾り)にかけて誓う者は、(その誓いを果す)義務
がある』と。"
"402317","
愚かな人たちよ、目の見えない人たちよ、黄金と黄金を清くするお宮と、いっ
たいどちらが尊いのか。"
"402318","
また(君たちは言う)、『祭壇にかけて誓う者はなんでもないが、その上の供え
物にかけて誓う者は、(その誓いを果す)義務がある』と。"
"402319","
目の見えない人たちよ、供え物と供え物を清くする祭壇と、いったいどちらが
尊いのか。(お宮は黄金に、祭壇は供え物にまさってはいないのか。)"
"402320","
だから、祭壇にかけて誓う者は、祭壇と、その上の物一切にかけて誓うのであ
る。"
"402321","
またお宮にかけて誓う者は、お宮と、そこにお住みになっている方とにかけて
誓い、"
"402322","
天にかけて誓う者は、神の御座と、その上にお坐りになっている方とにかけて
誓うのである。"
"402323","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは薄荷や蒔蘿や
クミンの(収穫の)一割税は(神妙に)納めるが、律法の中でもっと大切な正義と憐れみ
と忠実とをすてて顧みないからだ。しかしこれこそ行うべきである。だがあれもすてては
ならない。"
"402324","
目の見えない案内人よ、君たちは(律法を守るために、酒の中に落ちた)一匹
の蚋をこし出しながら、駱駝を飲みこんでいる。"
"402325","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは杯や皿の外側
は清潔にするが、内側は掠め取った物と不節制とでいっぱいだからだ。"
"402326","
目の見えないパリサイ人よ、まず杯の内(の物)を清潔にせよ。そうすれば外
も(おのずと)清潔になるであろう。"
"402327","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは白く塗った墓
に似ているからだ。外側はりっぱに見えるが、内側は死人の骨とあらゆる汚れとでいっぱ
いである。"
"402328","
そのように君たちも、外側はいかにも信心深そうに人に見えるが、内側は偽善
と不法とで一ぱいである。"
"402329","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは(先祖が殺し
た)預言者の墓を建てたり、義人の記念碑を飾ったりして"
"402330","
こう言うからだ。──『わたしの先祖の時代にいても、預言者の血を流す仲間
にはならなかっただろう』と。"
"402331","
だから君たちは、預言者殺しの子孫であることを自分で証明している。"
"402332","
では君たちも(ひと奮発して預言者の中の預言者を殺し、まだ一ぱいになって
いない)先祖たちの(罪の)枡を一ぱいにしたらどうだ。"
"402333","
蛇!蝮の末!どうして君たちは地獄の刑罰を免れることができようか。"
"402334","
だから、わたしが預言者や知者や聖書学者を派遣すると、君たちはそのある者
を殺し、また十字架につけ、ある者を礼拝堂で鞭打ち、また町から町へと(追いまわして)
迫害するであろう。"
"402335","
これは、(こうして君たちが迫害する預言者の血だけでなく、最初の殺人であっ
た)義人アベルの血から、聖所と祭壇との間で君たち(の先祖)が殺したバラキヤの子ザ
カリアの血に至るまで、(今までに)地上で流されたすべての正義の血(に対する罰)が、
君たちに負わされるためである。"
"402336","
アーメン、わたしは言う、これら(に対する罰)は、ことごとくこの時代(の
君たち)に臨むであろう。"
"402337","
ああエルサレム、エルサレム、預言者を殺し、(神から)遣わされた者を石で打
ち殺して(ばかり)いる者よ、雌鳥がその雛を翼の下に集めるように、何度わたしはお前
の子供たちを(わたしの所に)集めようとしたことか。だがお前たち(エルサレムの者)
はそれを好まなかった。"
"402338","
そら、“お前たちの町は(宮もろとも神に)見捨てられ(て荒れ果て)るのだ。”
"
"402339","
お前たちに言っておく、お前たちが(わたしを迎えて)、“主の御名にて来られ
る方に祝福あれ。”と言う時まで、わたしを見ることは今後決してないであろう。」"
"402401","
イエスが宮を出て(オリブ山の方へ)歩いておられると、弟子たちが近寄って
きて、イエスに宮の(堂々たる)建築を指差した。(この宮が荒れ果てるなどとは考えら
れなかったのである。)"
"402402","
彼らに答えられた、「あれをすべてよく見ておけ。アーメン、わたしは言う、こ
こでそのまま重なっている石が一つもなくなるほど、くずれてしまうであろう。」"
"402403","
オリブ山に坐っておられると、弟子たちだけでそばに来て言った、「(宮がくず
れると言われますが、)そのことはいつ起るか、また、あなたの来臨と世の終りとには、
どんな前兆があるか、話してください。」"
"402404","
そこでイエスが答えてこう話された。──「人に迷わされないように気をつけ
よ。"
"402405","
いまに多くの人があらわれて、『救世主はわたしだ』と言ってわたしの名を騙り、
多くの人を迷わすにちがいないから。"
"402406","
戦争(を目のあたりに見たり、)また戦争の噂を聞くであろうが、あわてないよ
うに注意せよ。“それはおこらねばならないことである”が、しかしまだ最後ではない。"
"402407","
(世の終りが来る前に)“民族は民族に、国は国に向かって(敵となって)立ち
上がり、”またここかしこに飢饉や地震があるのだから。"
"402408","
しかしこれは皆(まだ、新しい世界が生まれるための)陣痛の始めである。"
"402409","
その時あなた達は苦しめられ、殺される。またわたしの弟子であるために、す
べての国の人から憎まれる。"
"402410","
するとその時、“多くの人が信仰から離れて、”互に裏切り、互に憎むであろう。
"
"402411","
また多くの偽預言者があらわれて、多くの人を迷わすにちがいない。"
"402412","
また(兄弟たちの間に)不法がふえるので、多くの人の愛が冷える。"
"402413","
しかし最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
"402414","
すなわち、あらゆる国々の人に(わたしとわたしの業を)証しするために、(ま
ず)この御国の福音が全世界に説かれ、それから最後(の裁きの日)が来るのである。"
"402415","
それで、預言者ダニエルをもって言われた“(聖なる所を)荒らす忌わしいもの
が聖なる所に”立つのを見たら[読者は(ここに隠された意味を)よく考えるがよい]、"
"402416","
その時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。"
"402417","
屋根の上におる者は、下におりて家にある物を取りだそうとするな。"
"402418","
畑におる者は上着を取りに“(家に)もどる”な。"
"402419","
それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわいそうだ!"
"402420","
逃げるのが冬や安息日にならないように祈れ。"
"402421","
その時、“世の始めから今日までになかった、”また(これからも)決してない
“ような、”大きな“苦難が”臨むのだから。"
"402422","
もしそれらの(苦難の)日が短くされなかったら、だれ一人助かる者はあるま
い。しかし選ばれた人々のために、それらの日が短くされるであろう。"
"402423","
その時『そら、ここに救世主が』とか、『ここに』とか言う者があっても、信ず
るな。"
"402424","
偽救世主たち、“偽預言者たちが”あらわれて、大がかりな“奇蹟や不思議なこ
とをして、”あわよくば、選ばれた人々までも迷わそうとするのだから。"
"402425","
この通り、あなた達には前もって言っておく。"
"402426","
だから、たとえ『そら、(救世主は)荒野にいる』と言う者があっても、出て行
くな。『そら、奥の部屋に』と言っても、信ずるな。"
"402427","
人の子(わたし)の来臨は、ちょうど稲妻が東から西に輝きわたるよう(に、
はっきりわかるの)であるから。"
"402428","
死骸のある所には、どこにでも鷲が集まる。"
"402429","
それらの苦難の日の後に、たちまち“日は暗く、月は光を放たず、”“星は”天
から“落ち、もろもろの天体が”震われるであろう。"
"402430","
するとその時、人の子(わたし)の徴が天に現われる。するとその時、“地上の
民族はことごとく(これを見て)悲しむであろう。”そして“人の子(わたし)が”大い
なる権力と栄光とをもって、“天の雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"402431","
すると(その時、)人の子は“大いなるラッパの響きと共に”自分の使いたちを
やって、“天のこの果てからかの果てまで”“四方から、”選ばれた人々を“集めさせるで
あろう。”"
"402432","
無花果の木で(この天の国の)譬を学ぶがよい。──枝がすでに柔らかになっ
て葉が出ると、夏が近いと知るのである。"
"402433","
そのようにあなた達も、これら一切のことを見たら、人の子(わたし)が門
口近く来ていることを知れ。"
"402434","
アーメン、わたしは言う、これらのことが一つのこらずおこってしまうまでは、
この時代は決して消え失せない。"
"402435","
天地は消え失せる、しかし(いま言った)わたしの言葉は決して消え失せない。
"
"402436","
ただし(人の子の来る)その日と時間とは、ただ父上のほかだれも知らない。
天の使いたちも知らない。"
"402437","
人の子の来臨は、ちょうどノアの(洪水の)時のようであるから。"
"402438","
すなわち洪水の前のあのころ、“ノアが箱船に入った”日まで、人々は飲んだり
食ったり、嫁にやったり取ったりしていて、"
"402439","
洪水が来て一人のこらずさらってゆくまで、それに気づかなかった。人の子の
来臨もこのようである。"
"402440","
その時、二人の男が畑にいると、一人は(天に)連れてゆかれ、一人は(地上
に)のこされる。"
"402441","
二人の女が臼をひいていると、一人は連れてゆかれ、一人はのこされる。"
"402442","
だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は主がいつの日来られるか、知
らないのだから。"
"402443","
あなた達はこのことを知っているはずだ。──夜の何時に泥坊が来るとわかっ
ておれば、家の主人は目を覚ましていて、みすみす家に忍び込ませはしないであろう。"
"402444","
だから、あなた達も用意していなさい。人の子(わたし)は思いがけない時に
来るのだから。"
"402445","
(旅行に出かける)主人が一人の僕を(えらんで)奉公人たちの上に立て、時
間時間に食事を与えさせることにした場合に、いったいどんな僕が忠実で賢いのであろう
か。"
"402446","
それは主人がかえって来たとき、言いつけられたとおりにしているところを見
られる僕で、その僕こそ幸である。
"402447","
アーメン、わたしは言う、主人は彼に全財産を管理させるにちがいない。"
"402448","
しかしそれが悪い僕で、主人はおそい、と心の中で考えて、"
"402449","
仲間をなぐり始め、酔っぱらいどもと一しょに飲んだり食ったりしていると、"
"402450","
予期せぬ日、思いもよらぬ時間に、その僕の主人がかえってきて、"
"402451","
僕を八つ裂きにし、偽善者と同じ目にあわせるにちがいない。そのとき彼はわ
めき、歯ぎしりするであろう。"
"402501","
(人の子が来る)その時、天の国は、十人の乙女がそれぞれランプを手に持っ
て花婿を迎えに出かけるのにたとえられる。"
"402502","
そのうちの五人は愚かで、五人は賢かった。"
"402503","
愚かな女たちはランプを持っていったが、(予備の)油を持ってゆかず、"
"402504","
賢い女たちは油を入れ物に入れて、ランプと一しょに持っていった。"
"402505","
ところが花婿がおそくなったので、皆眠気がさして眠っていた。"
"402506","
すると夜中に、『そら、花婿だ。迎えに出よ』と呼ぶ声がした。"
"402507","
そこで乙女たちは皆目をさました。それぞれランプを用意した。"
"402508","
愚かな女が賢い女に言った、『油を分けてくれませんか。わたし達のランプは(油
がなくなって)消えそうです。』"
"402509","
賢い女は答えた、『自分たちとあなた達の分には、とても足りそうにない。それ
よりも店に行って、自分でお買いなさい。』"
"402510","
しかし彼らが買いに行っているあいだに花婿が着いたので、用意のできていた
(賢い)女たちは花婿と一しょに宴会場に入り、戸はしめられた。"
"402511","
あとでほかの(愚かな)乙女たちも来て、『御主人さま、御主人さま、あけてく
ださい』と言った。"
"402512","
しかし主人は、『アーメン、わたしは言う。わたしはあなた達を知らない』と答
えた(という話)。"
"402513","
だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は(人の子が来る)その日も時
間も知らないのだから。"
"402514","
(ほんとうに目を覚ましておれ。人の子が来る時、)天の国は、旅行に出かける
人が僕たちを呼んで財産を預けるようなものであるから。"
"402515","
それぞれの力に応じて、一人には五タラント[千五百万円]、一人には二タラン
ト[六百万円]、一人には一タラント[三百万円]を渡して旅行に出かけた。"
"402516","
五タラントあずかった者はさっそく行ってそれを働かせ、ほかに五タラントも
うけた。"
"402517","
同じように、二タラントの者もほかに二タラントもうけた。"
"402518","
しかし一タラントあずかった者は、行って地を掘り、主人の金を隠しておいた。
"
"402519","
かなり日がたってから主人がかえって来て、僕たちと貸し借りを清算した。"
"402520","
まず五タラントあずかった者が進み出て、ほかの五タラントを差し出して言っ
た、『御主人、五タラント預りましたが、御覧ください、ほかに五タラントをもうけまし
た。』"
"402521","
主人が言った、『感心々々、忠実な善い僕よ、少しのものに忠実であったから、
多くのものを管理させよう。主人と一しょに喜んでくれ。』"
"402522","
二タラントの者も進み出て言った、『御主人、二タラント預りましたが、御覧く
ださい、ほかに二タラントもうけました。』"
"402523","
主人が言った、『感心々々、忠実な善い僕よ、少しのものに忠実であったから、
多くのものを管理させよう。主人と一しょに喜んでくれ。』"
"402524","
最後に一タラントあずかっていた者も進み出て言った、『御主人、あなたは(種
を)まかない所で刈り取り、(金を)まき散らさない所で集める、きつい方と知っていた
ので、"
"402525","
(商売をするのが)恐ろしく、行って、あなたのタラントを地の中に隠してお
きました。そら、お返しします。』"
"402526","
主人が答えた、『怠け者の、悪い僕よ、わたしがまかない所で刈り取り、まき散
らさない所で集めることを知っていたのか。"
"402527","
それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうすればかえって
来たとき、(元金に)利子をつけてもどしてもらえたのに。"
"402528","
では、その一タラントをその男から取り上げて。十タラント持っている者に渡
しなさい。"
"402529","
だれでも持っている人は(さらに)与えられてあり余るが、持たぬ人は、持っ
ているものまでも取り上げられるのである。"
"402530","
さあ、この役に立たない僕を外の真暗闇に放り出せ。そこでわめき、歯ぎしり
するであろう。』"
"402531","
(こんど)人の子(わたし)が栄光に包まれ、“すべての天使を引き連れて来る”
時には、栄光の(裁きの)座につくのである。"
"402532","
ありとあらゆる国の人がその前に集められ、人の子は羊飼が羊と山羊とを分け
るように彼らを互にえり分け、"
"402533","
羊(である正しい人)を右に、山羊(である悪い人)を左に立たせるであろう。
"
"402534","
それから王(なる人の子)は右側の者に言う、『さあ、わたしの父上に祝福され
た人たち、世の始めからあなた達のために用意された御国を相続しなさい。"
"402535","
あなた達はわたしが空腹のときに食べさせ、渇いたときに飲ませ、宿がなかっ
たときに宿をかし、"
"402536","
裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢に入っていたときに訪問してくれた
のだから。』"
"402537","
その時、正しい人たちは答える。『主よ、いつわたし達はあなたの空腹を見て食
事を差し上げ、渇かれているのを見てお飲ませしましたか。"
"402538","
また、いつお宿がないのを見てお宿をし、裸でおられるのを見てお着せしまし
たか。"
"402539","
また、いつ御病気であり、牢に入っておられるのを見て、おたずねしましたか。』
"
"402540","
すると王は答える、『アーメン、わたしは言う、わたしのいと小さいこの兄弟た
ちの一人にしたのは、わたしにしてくれたのと同じである。』"
"402541","
それから王は左側の者に言う、『わたしを離れよ、この罰当りども、悪魔とその
使いのために用意された永遠の火に入れ。"
"402542","
あなた達はわたしが空腹のときに食べさせず、渇いたときに飲ませず、"
"402543","
宿がなかったときに宿をかさず、裸のときに着せず、病気のとき、牢に入って
いたときに見舞ってくれなかったのだから。』"
"402544","
その時、彼らも答える、『主よ、いつわたし達は、あなたが空腹であったり、渇
いたり、お宿がなかったり、裸でおられ、御病気であり、牢に入っておられたりするのを
見て、お世話をしてあげませんでしたか。』"
"402545","
その時、王は答える、『アーメン、わたしは言う、このいと小さい者たちの一人
にしなかったのは、わたしにしてくれなかったのと同じである。』"
"402546","
こうして、“この(悪い)人たちは永遠の”刑罰に、正しい人たちは“永遠の命
に”入るであろう。」"
"402601","
イエスはこれらの話をことごとく終えた時、弟子たちに言われた、"
"402602","
「知っているとおり、あさっては過越の祭である。(その日)人の子(わたし)
は十字架につけられるために(敵の手に)引き渡される。」"
"402603","
折りしも大祭司連と国の長老たちは、カヤパという大祭司の官邸に集まり、"
"402604","
計略でイエスを捕えて殺そうと決議した。"
"402605","
しかし「(早く片付けよう。)祭の時(に手を下して)はいけない。人民どもの
間に騒動がおこると困る」と言っていた。"
"402606","
イエスがベタニヤで癩病人シモンの家におられるとき、"
"402607","
一人の女が非常に価の高い香油のはいった石膏の壷を持って近寄り、食卓につ
いておられるイエスの頭に(香油をすっかり)注ぎかけた。"
"402608","
弟子たちはこれを見て、憤慨して言った、「なぜこんなもったいないことをする
のだろう。"
"402609","
これは高く売れて、貧乏な人に施しが出来たのに。」"
"402610","
それと知ってイエスは言われた、「なぜこの婦人をいじめるのか。わたしに良い
ことをしてくれたではないか。"
"402611","
貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるが、わたしはいつも(一しょに)い
るわけではない。"
"402612","
この婦人がわたしの体に香油をかけてくれたのは、わたしを葬るためである。"
"402613","
アーメン、わたしは言う、世界中どこでも(今後)この福音の説かれる所では、
この婦人のしたことも、その記念のために一しょに語りつたえられるであろう。」"
"402614","
そのあと、イスカリオテのユダという十二人の(弟子の)一人が大祭司連の所
に行って、"
"402615","
「いくらくれますか、あの男をあなた達に売ってもいいが」と言った。“彼らは
(シケル)銀貨三十枚[六万円]を払い渡した。"
"402616","
この時からユダは、イエスを引き渡すよい機会をねらっていた。"
"402617","
種なしパンの祭の初めの日(の朝)、弟子たちがイエスの所に来て言った、「ど
こで過越のお食事の支度をしましょうか。」"
"402618","
イエスは言われた、「都のだれそれの所まで行って、『わたしの時は近づいた。
あなたの所で弟子たちと一しょに過越の食事をまもる、と先生が言われる』と言いなさ
い。」"
"402619","
弟子たちはイエスに命じられたとおりにして、過越の食事の支度をした。"
"402620","
夕方になると、イエスは十二人の弟子たちをつれて席につかれた。"
"402621","
彼らが食事をしているとき、言われた、「アーメン、わたしは言う、あなた達の
うちの一人が、わたしを(敵に)売ろうとしている!」"
"402622","
(これを聞くと)弟子たちはすっかり悲しくなって、「主よ、わたしではないで
しょう!」(「わたしではないでしょう!」)と、ひとりびとりイエスに言い始めた。"
"402623","
イエスは答えられた、「わたしと一しょに同じ鉢から食べている者、それがわた
しを売る。"
"402624","
人の子(わたし)は聖書に書いてあるとおりに死んでゆく。だが人の子を売る
その人は、ああかわいそうだ!生まれなかった方がよっぽど仕合わせであった。」"
"402625","
イエスを売るユダが口を出した、「先生、わたしではないでしょう。」彼に言わ
れる、「いや、そうかも知れない。」"
"402626","
(ユダが立ち去ったあと、)彼らが食事をしているとき、イエスは(いつものよ
うに)パンを(手に)取り、(神を)賛美して裂き、弟子たちに渡して言われた、「取って
食べなさい、これはわたしの体である。」"
"402627","
また杯を取り、(神に)感謝したのち、彼らに渡して言われた、「皆この杯から
飲みなさい。"
"402628","
これは多くの人の罪を赦されるために流す、わたしの“約束の血”であるから。
"
"402629","
しかしわたしは言う、わたしの父上の国で、あなた達と一しょに新しいのを飲
むその日まで、わたしは今後決して、この、葡萄の木から出来たものを飲まない。」"
"402630","
(食事がすむと、)みなで讃美歌をうたったのち、オリブ山へ出かけた。(もう
真夜中すぎであった。)"
"402631","
その時イエスは弟子たちに言われる、「今夜あなた達は一人のこらずわたしにつ
まずくであろう。(聖書に)“わたしは羊飼いを打つ、羊の群はちりぢりになるであろう”
と書いてあるからである。(羊飼はわたし、羊はあなた達である。)"
"402632","
しかしわたしは復活した後、あなた達より先にガリラヤに行く。(そこでまた会
おう。)」"
"402633","
するとペテロは答えた、「仰せのとおり皆があなたにつまずいても、このわたし
は断じてつまずきません。」"
"402634","
イエスはペテロに言われた、「アーメン、わたしは言う、今夜、鶏が鳴く前に、
三度、あなたはわたしを知らないと言う。」"
"402635","
ペテロが言う、「たとえご一しょに死なねばならなくても、あなたを知らないな
どとは、決して申しません。」(ほかの)弟子たちも皆、口をそろえてそう言った。"
"402636","
ほどなくイエスは弟子たちと一しょに(オリブ山の麓の)ゲッセマネという地
所に着くと、弟子たちに言われる、「わたしがあちらへ行って祈っている間、ここに坐っ
て(待って)おれ。」"
"402637","
そしてペテロとゼベダイの子二人(だけ)を連れて(奥の方へ)ゆかれると、(急
に)悲しみおののき始められた。"
"402638","
それから彼らに言われる、「“心がめいって”“死にたいくらいだ。”ここをはな
れずに、わたしと一しょに目を覚ましていてくれ。」"
"402639","
そしてなお少し(奥に)進んでいって、俯けに倒れ、祈って言われた、「お父様、
出来ることなら、どうかこの杯がわたしの前を通りすぎますように。しかし、わたしの願
いどおりでなく、お心のとおりになればよいのです。」"
"402640","
やがて弟子たちの所に来て、彼らが眠っているのを見ると、ペテロに言われる、
「あなた達、そんなに、たった一時間もわたしと一しょに目を覚ましておられないのか。"
"402641","
目を覚まして、誘惑に陥らないように祈っていなさい。心ははやっても、体が
弱いのだから。」"
"402642","
また二度目に向こうへ行って、祈られた、「お父様、どうしてもわたしが飲まね
ば通りすぎない杯ならば、どうかお心のままになさってください。」"
"402643","
また来て見られると、彼らはまたもや眠っていた。(悲しみのために疲れて、)
瞼が重かったのである。"
"402644","
イエスは彼らをのこして、もう一度向こうに行き、また同じ言葉で、三度目に
祈られた。"
"402645","
それから弟子たちの所に来て、(また眠っているのを見ると)言われる、「もっ
と眠りたいのか。休みたいのか。そら、人の子が罪人どもの手に渡される時が近づいた。"
"402646","
立て。行こう。見よ、わたしを売る者が近づいてきた!」"
"402647","
イエスの言葉がまだ終らぬうちに、見よ、十二人の一人のユダが来た。大祭司
連、国の長老から派遣された大勢の人の群が、剣や棍棒を持ってついて来た。"
"402648","
イエスを売る者は、「わたしが接吻するのがその人だ。それを捕えよ」と、(あ
らかじめ)合図をきめておいた。"
"402649","
そこでいきなりイエスに近寄って、「先生、御機嫌よう」と言って接吻した。"
"402650","
イエスはユダに言われた、「友よ、そのために来たのではあるまいが!」その時
人々が進み寄って、イエスに手をかけて捕えた。"
"402651","
すると、見よ、イエスと一しょにいた一人の人が手をのばして剣を抜き、大祭
司の下男に切りかかって片耳をそぎ落してしまった。"
"402652","
その時イエスが言われる、「剣を鞘におさめよ。剣による者は皆、剣によって滅
びる。"
"402653","
それとも、父上にお願いして十二軍団以上の天使を今すぐ送っていただくこと
が、わたしに出来ないと思うのか。"
"402654","
しかしそれでは、かならずこうなる、とある聖書の言葉は、どうして成就する
のか。」"
"402655","
その時イエスは群の人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒を持
ってつかまえに来たのか。わたしは毎日宮で坐って教えていたのに、捕えずにおいて、(ど
うして今、こんな真夜中に来たのか。)"
"402656","
しかしこれはみな、(救世主は罪人のようにあつかわれるという)預言者たちの
聖書の言葉が成就するためにおこったのである。」その時弟子たちは皆イエスをすてて逃
げた。"
"402657","
人々はイエスを捕らえると、大祭司カヤパの所に引いていった。そこには(前
もって最高法院の役人、すなわち大祭司連、)聖書学者、長老たちが集まっていた。"
"402658","
ペテロは見えがくれにイエスについて大祭司の官邸まで行き、中(庭)へ入っ
て下役らと一しょに坐っていた、成り行きを見ようとしたのである。"
"402659","
大祭司連をはじめ全最高法院は、イエスを死刑にしようとしてしきりにイエス
に不利な偽証をさがした。"
"402660","
しかし偽証は多く出たが、(証拠は)見つからなかった。最後に二人の者が出て
"
"402661","
言った、「この人は『神のお宮をこわして、三日のうちに建てて見せる』と言っ
た。」"
"402662","
そこで大祭司は立ち上がってイエスに言った、「何も答えないのか。この人たち
は(あんなに)お前に不利益な証言をしているが、あれはどうだ。」"
"402663","
しかしイエスは黙っておられた。大祭司が言った、「生ける神に誓ってわれわれ
にこたえよ。お前が、神の子救世主か。」"
"402664","
イエスは(はじめて口を開いて)彼に言われる、「(そう言われるなら)御意見
にまかせる。だが、わたしは言う、あなた方は今後“人の子(わたし)が”“大能の(神
の)右に坐り、”“天の雲に乗って来るのを”見るであろう。」"
"402665","
そこで大祭司は自分の上着を引き裂いて言った、「冒涜だ!これ以上、なんで証
人の必要があろう。諸君は今ここに(おのれを神の子とする許しがたい)冒涜を聞かれた。
"
"402666","
(この者の処分について)お考えを承りたい。」「死罪を相当とする」と彼らが
答えた。"
"402667","
それから(法院の役人のある者は)イエスの顔に唾をかけ、拳でうち、ある者
は(目隠しをして)棒でたたきながら、"
"402668","
「おい救世主、だれがぶったか、当ててみろ」と言った。"
"402669","
ペテロは外で中庭に坐っていた。すると一人の女中が寄ってきて、「あなたもあ
のガリラヤ人イエスと一しょだった」と言った。"
"402670","
しかしペテロは皆の前で、「何をあなたが言っているのかわからない」と言って
打ち消した。"
"402671","
そして玄関に出てゆくと、ほかの女中がペテロを見て、そこにいる人たちに「こ
の人はあのナザレ人イエスと一しょだった」と言う。"
"402672","
ペテロは誓いまで立てて、「そんな男は知らない」と、また打ち消した。"
"402673","
しばらくすると、そこに立っていた人たちが寄ってきてペテロに言った、「確か
にあなたもあの仲間だ。あなたの国訛りでもそれがわかる。」"
"402674","
そこでペテロは、「そんな男は知らない。(これが嘘なら、呪われてもよい)」と、
幾たびも呪いをかけて誓った。するとすぐ鶏が鳴いた。"
"402675","
ペテロは、「鶏が鳴く前に、三度、わたしを知らないと言う」と言われたイエス
の言葉を思い出し、外に出ていって、さめざめと泣いた。"
"402701","
夜が明けると、大祭司連、国の長老たち(全最高法院)は満場一致でイエスを
死刑にする決議をした。"
"402702","
それから彼を縛り、引いていって総督ピラトに渡した。"
"402703","
その時イエスを売ったユダは、イエスの判決が決まったのを見て後悔し、(受け
取ったシケル)銀貨三十枚を大祭司連、長老たちに返して、"
"402704","
「罪もない(人の)血を売って、悪いことをした」と言った。彼らが答えた、「わ
れわれの知ったことではない。お前が自分で始末しろ!」"
"402705","
ユダは銀貨を宮に投げ込んで去り、行って首をくくった。"
"402706","
大祭司連は銀貨を取りのけながら言った、「人殺しの代金だから、賽銭箱に入れ
るのはよろしくない。」"
"402707","
そこで決議の上、その金で「瀬戸物やの畑」(と言われた土地)を買って無縁墓
地をつくった。"
"402708","
そのため、この畑は今日まで「血の畑」と呼ばれる。"
"402709","
その時、預言者エレミヤをもって言われた言葉が成就した。──“わたしは、
値ぶみされた人、すなわちイスラエルの子孫たちが値ぶみした人の代金、銀貨三十枚を取
って、"
"402710","
主が”わたしに“命じられたように、それを瀬戸物屋の畑の代金として渡した。”
"
"402711","
さて、イエスが総督の前に立たれると、総督はイエスに問うた、「お前が、ユダ
ヤ人の王か。(お前はその廉で訴えられているが。)」イエスは言われた、「(そう言われる
なら)御意見にまかせる。」"
"402712","
大祭司連、長老たちから(いろいろと)訴えられたが、何もお答えにならなか
った。"
"402713","
するとピラトが言った、「あんなにお前に不利益な証言をしているのが聞えない
のか。」"
"402714","
イエスはただの一言もお答えにならなかったので、総督は不思議でならなかっ
た。"
"402715","
さて総督は(過越の)祭の都度、民衆の望む囚人を一人だけ(特赦によって)
赦すことにしていた。"
"402716","
ところがその時、バラバ(・イエス)と言う評判の囚人がいたので、"
"402717","
ピラトは人々が集まってきたとき言った、「どちらを赦してもらいたいか、バラ
バ(・イエス)か、救世主と言われるイエスか。」"
"402718","
ピラトは人々が妬みからイエスを引き渡したことを知っていたのである。"
"402719","
ピラトが裁判席に着いているとき、その妻が彼の所に人をやって、「その正しい
人に関係しないでください。その人のおかげで、昨夜夢で散々な目にあいましたから」と
言わせた。"
"402720","
しかし大祭司連、長老たちは、バラバの命乞いをして、イエスを殺してもらえ
と群衆を説きつけた。"
"402721","
総督は彼らに言った、「二人のうち、どちらを赦してもらいたいのか。」「バラバ
を!」と彼らが言った。"
"402722","
ピラトが言う、「では、救世主と言われるイエスをどうしようか。」みんなが、「十
字架につけるのだ」と言う。"
"402723","
ピラトは言った、「いったいどんな悪事をはたらいたというのか。」しかし人々
はいよいよ激しく、「十字架につけるのだ」と叫びつづけた。"
"402724","
ピラトは(自分のすることが)なんの甲斐もないばかりか、かえって騒動が起
りそうなのを見て、水を取り寄せ、群衆の前で手を洗って言った、「わたしはこの人の血
(を流すこと)に責任をもたない。お前たちが自分で始末しろ。」"
"402725","
民衆全体が答えた、「その男の血のことなら、われわれが孫子の代まで引き受け
た。」"
"402726","
そこでピラトはバラバを赦してやり、イエスの方は鞭打ったのち、十字架につ
けるため(兵卒)に引き渡した。"
"402727","
それから総督の兵卒らはイエスを総督官舎(プライトリオン)に連れてゆき、(王
の茶番狂言を見せるために)全部隊を彼のまわりに集めた。"
"402728","
そしてイエスの着物をはいで(自分たちの)緋の外套をきせ、"
"402729","
茨で冠を編んで頭にかぶらせ、右手に葦(の棒)をもたせて(王に仕立てたの
ち、)その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳!」と言ってなぶった。"
"402730","
それから唾をかけ、葦(の棒)を取りあげて頭をたたいた。"
"402731","
こうしてなぶった後、外套を脱がせてもとの着物を着せ、十字架につけるため
に引いていった。"
"402732","
(都を)出ると、シモンと言うクレネ人に出くわしたので、兵卒らはこの人に
有無を言わせずイエスの十字架を負わせた。(イエスにはもう負う力がなかったのであ
る。)"
"402733","
ゴルゴダという所──すなわち「髑髏の所」──に着くと、"
"402734","
人々は(苦痛をやわらげるために)“苦艾”を混ぜた葡萄酒を“飲ませようとし
た”が、なめただけで、飲もうとされなかった。"
"402735","
兵卒らはイエスを十字架につけると、“籤を引いて”その“着物を自分たちで分
けた”のち、"
"402736","
そこに坐って見張りをしていた。"
"402737","
イエスの頭の上にはこれはユダヤ人の王イエスであると書いた罪状が掲げられ
た。"
"402738","
その時イエスと共に二人の強盗が、一人は右に、一人は左に十字架につけられ
た。"
"402739","
通りかかった人々が“頭をふりながら、”イエスを冒涜して"
"402740","
こう言った、「お宮をこわして三日で建てるという人、自分を救ってみろ。神の
子なら、十字架から下りてこい。」"
"402741","
同じように大祭司連も、聖書学者、長老と一しょに、こう言ってなぶった、"
"402742","
「あの男、人は救ったが、自分は救えない。イスラエルの王様じゃないか。今
すぐ十字架から下りてくるがよい。そうしたら信じてやるのに!"
"402743","
“彼は神にたよっている。神が可愛がっておられるなら、”今すぐ“救ってくだ
さろう”だ。『わたしは神の子だ』と言ったから。」"
"402744","
一しょに十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスを罵った。"
"402745","
昼の十二時から地の上が全部暗闇になってきて、三時までつづいた。"
"402746","
三時ごろ、イエスは大声を出して“エリ エリ レマ サバクタニ!”と叫ば
れた。これは“わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見捨てになりましたか!”
である。"
"402747","
そこに立っていた人たちのうちにはこれを聞いて、「あの人はエリヤを呼んでい
るのだ」と言った者が何人かあった。(エリをエリヤと聞きちがえたらしい。)"
"402748","
そのうちの一人がすぐ駆けていって、海綿をとり、“酸っぱい葡萄酒を”ふくま
せ、葦(の棒の先)につけて、イエスに“飲ませようとした。”(しかしお受けにならなか
った。)"
"402749","
「(もう少し生かしておいて、)エリヤが救いに来るかどうか、見ていよう」と
ほかの人々が言った。"
"402750","
しかしイエスはふたたび(何か)大声で叫ばれると共に、息が切れた。"
"402751","
その途端に、宮の(聖所の)幕が上から下まで真っ二つに裂けた。そして地が
震い、岩が裂け、"
"402752","
墓が開いて、眠っていた多くの聖者たちの体が生きかえり、"
"402753","
墓から出てきて、イエスの復活の後、聖なる都(エルサレム)に入って多くの
人に現われた。"
"402754","
百卒長および一しょにイエスの見張りをしていた兵卒らは、地震とこれらの出
来事とを見てすっかり恐ろしくなり、「この人は、確かに神の子であった」と言った。"
"402755","
またそこには、遠くの方から眺めていた女たちが沢山いた。これはガリラヤか
らイエスについて来て、仕えていた人たちである。"
"402756","
そのうちにはマグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、およびゼベダ
イの子らの母がいた。"
"402757","
夕方になると、アリマタヤ生まれの金持でヨセフという人が来た。彼もイエス
の弟子であった。"
"402758","
この人がピラトの所に行って、イエスの体(の下げ渡し)を乞うた。そこでピ
ラトはそれを渡すように命じた。"
"402759","
ヨセフは体を受け取り、清らかな亜麻布で包み、"
"402760","
岩に掘らせた自分の新しい墓にそれを納め、墓の入口に大きな石をころがして
おいて、立ち去った。"
"402761","
マグダラのマリヤともう一人のマリヤとはそこにのこって、墓の方を向いて坐
っていた。"
"402762","
あくる日、すなわち支度日[金曜日]の次の日[安息日]に、大祭司連とパリ
サイ人とはピラトの所に集まって"
"402763","
言った、「閣下、あの嘘つきがまだ生きている時、『自分は(死んで)三日の後
に復活する』と言ったことを思い出しました。"
"402764","
だから三日目まで墓を警備するように命令してください。そうでないと、弟子
たちが来て盗んでいって、人々に『イエスは死人の中から復活した』と言いふらさないと
はかぎりません。そうなると、このあとの方の嘘は、(自分は救世主だと言った)前の(嘘)
よりも始末が悪いでしょう。」"
"402765","
ピラトが言った、「番兵をかしてやる。行って、せいぜい(墓を)警備するがよ
かろう。」"
"402766","
そこで彼らは行って(入口の)石に封印し、番兵を置いて墓を警備した。"
"402801","
安息日の(すんだ)後、週の初めの日[日曜日]の明け方に、マグダラのマリ
ヤともう一人のマリヤとが墓を見に行った。"
"402802","
すると突然大地震がおこった。それは主の使が天からおりて来て(墓に)近寄
り、(入口の)石をわきにころがし、その上に坐ったのである。"
"402803","
その顔は稲妻のようにかがやき、着物は雪のように白かった。"
"402804","
見張りをしていた者たちは恐ろしさのあまり震え上がって、死人のようになっ
た。"
"402805","
天使は女たちに言った、「恐れることはない。あなた達は十字架につけられたイ
エスをさがしているようだが、"
"402806","
ここにはおられない。かねがね言われたとおり、もう復活されたのだから。来
て、お体が置いてあった場所を見なさい。"
"402807","
それから急いで行って弟子たちに、『イエスは死人の中から復活された。あなた
達より先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる』と言いなさい。これを言いにわ
たしは来たのだ。」"
"402808","
女たちは恐ろしいが、また嬉しくてたまらず、(中には入らずに)急いで墓を立
ち去り、弟子たちに知らせるために走っていった。"
"402809","
するとイエスがぱったり彼らに出合って、「お早う」と言われた。女たちは進み
寄り、その足を抱いておがんだ。"
"402810","
するとイエスは女たちに言われる、「恐れることはない。行ってわたしの兄弟た
ち[弟子たち]に、ガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのだから。」
"
"402811","
女たちが(まだ)歩いているあいだに、数人の番兵は都に行って、出来事の一
部始終を大祭司連に報告した。"
"402812","
大祭司連は長老たちと集まって決議し、(警備をしていた)兵卒らにたっぷり金
をやって、"
"402813","
言った、「『夜、弟子たちが来て、わたし達が寝入っているあいだにイエスを盗
んでいった』と言え。"
"402814","
もしこのことが総督の耳に入ったら、われわれが執成して、お前たちには心配
をかけないようにするから」と。"
"402815","
兵卒らは金を受け取って、教えられたとおりにした。こうしてこの話は、今日
までユダヤ人の間にひろまっている。"
"402816","
さて、十一人の弟子はガリラヤに行き、イエスに命じられた山にのぼり、
"402817","
お目にかかっておがんだ。しかし疑う者もあった。"
"402818","
イエスは近寄ってきて十一人に言われた、「(いまや)天上地上一切の権能が、
(父上から)わたしに授けられた。"
"402819","
それゆえに、行ってすべての国の人を(わたしの)弟子にせよ、父と子と聖霊
の名で洗礼を授け、"
"402820","
わたしがあなた達に命じたことを皆守るように教えながら。安心せよ、世の終
りまでいつもわたしがあなた達と一しょにいるのだから。」"

マルコ福音書
"410101","
マルコ 1:1","イエス・キリストの福音はこうして始まった。──"
"410102","
マルコ 1:2","預言書(マラキと)イザヤに、“(神は言われる、)「見よ、わたし
は使をやって、あなたの先駆けをさせ、”あなたの“道を準備させる」”"
"410103","
マルコ 1:3","“荒野に叫ぶ者の声はひびく、「主の道を用意し、”その“道筋を
まっすぐにせよ」”と書いてあるとおりに、"
"410104","
マルコ 1:4","洗礼者ヨハネが(主救世主の道を準備するため、ユダヤの)荒野
にあらわれて、罪を赦されるための悔改めの洗礼を説いた。"
"410105","
マルコ 1:5","ユダヤ全国の人々、ことにエルサレムの人が皆ヨハネの所にでて
来て、自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。"
"410106","
マルコ 1:6","ヨハネは駱駝の毛(の外套)を着、腰のまわりに皮の腰衣をつけ、
蝗と野蜜とを食べていた。"
"410107","
マルコ 1:7","彼は説いて言った、「わたしよりも力のある方が、わたしのあとか
ら来られる。わたしは、かがんでその方の靴の紐をとく値打もない者である。"
"410108","
マルコ 1:8","わたしは水で洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けにな
る。」"
"410109","
マルコ 1:9","そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨ
ハネから洗礼をお受けになった。"
"410110","
マルコ 1:10","水から上がられると、たちまち天が裂けて、御霊が鳩のように自
分の上に下ってくるのを御覧になった。"
"410111","
マルコ 1:11","すると「あなたは(いま)わたしの“最愛の子、”“わたしの心に
かなった”」という声が天からきこえてきた。"
"410112","
マルコ 1:12","やがて御霊はイエスを荒野に追いやった。"
"410113","
マルコ 1:13","イエスは四十日のあいだ荒野にいて、悪魔の誘惑にあわれた。(そ
のあいだ)野獣の中におられたが、イエスには天使たちが仕えていた。"
"410114","
マルコ 1:14","(洗礼者)ヨハネが牢に入れられた後、イエスはガリラヤにかえ
り、神の福音を説いて"
"410115","
マルコ 1:15","言われた、「時は満ちた、神の国は近づいた。悔改めて福音を信
ぜよ」と。"
"410116","
マルコ 1:16","ガリラヤ湖のほとりを通られるとき、シモンとシモンの兄弟のア
ンデレとが、湖で網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。"
"410117","
マルコ 1:17","「さあ、ついて来なさい。人間の(漁をする)漁師にしてあげよ
う」とイエスが言われると、"
"410118","
マルコ 1:18","すぐ網をすてて従った。"
"410119","
マルコ 1:19","また少し進んでいって、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟のヨハネ
とが、これも舟で網を繕っているのを見られた。"
"410120","
マルコ 1:20","すぐお呼びになると、父ゼベダイを雇人たちと共に舟にのこして、
イエスのあとについて行った。"
"410121","
マルコ 1:21","彼らは(湖畔の町)カペナウムに着いた。イエスはさっそく(次
の)安息日に礼拝堂に入って教えられた。"
"410122","
マルコ 1:22","人々はその教えに感心してしまった。聖書学者のようでなく、権
威を持つ者のように教えられたからである。"
"410123","
マルコ 1:23","そのとき、その礼拝堂に汚れた霊につかれた一人の人がいたが、
たちまち声をあげて叫んで"
"410124","
マルコ 1:24","言った、「ナザレのイエス様、“放っておいてください。”わたし
どもを滅ぼしに来られたにちがいない。あなたがだれだか、わたしにはわかっています。
神の聖者(救世主)です。」"
"410125","
マルコ 1:25","イエスは「黙れ、その人から出てゆけ」と言って叱りつけられた。
"
"410126","
マルコ 1:26","すると汚れた霊はその人をひきつけさせ、大声をあげて出ていっ
た。"
"410127","
マルコ 1:27","皆がびっくりして、評議して言った、「これはいったい何事だろ
う。権威のある新しい教えだ。この人が命令されると、汚れた霊までその言うことを聞く
のだ。」"
"410128","
マルコ 1:28","イエスの評判がたちまち(カペナウムの)周囲の、全ガリラヤ到
る所に広まった。"
"410129","
マルコ 1:29","イエスは礼拝堂を出ると、すぐヤコブとヨハネとをつれて、シモ
ンとアンデレとの家に行かれた。"
"410130","
マルコ 1:30","シモンの姑が熱病で寝ていた。人々がすぐ彼女のことをイエスに
言うと、"
"410131","
マルコ 1:31","進み寄り、手を取って起された。すると熱が取れ、彼女は彼らを
もてなした。"
"410132","
マルコ 1:32","夕方になって日が沈むと(安息日が終ったので)、人々は病人や
悪鬼につかれた者を皆イエスの所につれて来て、"
"410133","
マルコ 1:33","町中(の人)が門口に集まった。"
"410134","
マルコ 1:34","イエスはさまざまな病気にかかっている大勢の病人をなおし、多
くの悪鬼を追い出された。そして悪鬼どもがイエスを(救世主と)知っているので、口を
きくことをお許しにならなかった。"
"410135","
マルコ 1:35","朝早く、まだ真夜中にイエスは起きて、人のいない所に出て行き、
そこで祈っておられた。"
"410136","
マルコ 1:36","シモンとその仲間があとを追ってきて、"
"410137","
マルコ 1:37","見つけだして言う、「みんながあなたをさがしています。」"
"410138","
マルコ 1:38","彼らに言われる、「さあ、どこかほかの近くの町々にも行って、
そこで教えを説こうではないか。そのためにわたしは来たのだから。」"
"410139","
マルコ 1:39","それからガリラヤ中にあるその礼拝堂で教えを説き、悪鬼を追い
出しておられた。"
"410140","
マルコ 1:40","すると(ある日)一人の癩病人がイエスの所に来てひざまずき、
「清めてください。お心さえあれば、お清めになれるのだから」と言って願った。"
"410141","
マルコ 1:41","イエスは(そのあわれな姿を見て悪魔に対する)怒りに燃え、手
をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、"
"410142","
マルコ 1:42","たちまち癩病が消えうせて、その人は清まった。"
"410143","
マルコ 1:43","イエスはいきり立ち、すぐその人を追い出して"
"410144","
マルコ 1:44","言われる、「だれにも何も言わないように気をつけよ。ただ全快
したことを世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モーセ
が命じたものを清めのために捧げよ。」"
"410145","
マルコ 1:45","しかしその人は出てゆくと、(宮には行かず、)しきりにこの出来
事を言いふらし、ふれまわったので、イエスはもはや公然と町に入ることが出来ず、(町
の)外の人のいない所におられた。人々が四方から、イエスの所にあつまって来た。"
"410201","
マルコ 2:1","数日の後、カペナウムにかえられると、家におられることがすぐ
知れわたって、"
"410202","
マルコ 2:2","もはや門口にも場所がないほど、大勢の人が集まってきた。この
人たちに御言葉を語っておられると、"
"410203","
マルコ 2:3","人々が一人の中風の者を、四人にかつがせてつれて来る。"
"410204","
マルコ 2:4","群衆のためイエスのところにつれて行けないので、おいでになる
所の(上の)屋根をはがして穴をあけ、中風の者を担架に寝かせたまま(イエスの前に)
吊りおろす。"
"410205","
マルコ 2:5","イエスはその人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われる、
「子よ、いまあなたの罪は赦された。」"
"410206","
マルコ 2:6","数人の聖書学者がそこに坐っていたが、心の中で考えた、"
"410207","
マルコ 2:7","「この人はなぜあんなことを言うのだろう。冒涜だ。神お一人の
ほか、だれが罪を赦せよう。」"
"410208","
マルコ 2:8","イエスは彼らがひそかにこう考えているのを、すぐ霊で見抜いて、
「なんで、そんなことを心の中で考えているのか。"
"410209","
マルコ 2:9","この中風の者に、あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて担
架をかついで歩け、と言うのと、どちらがたやすい(と思う)か。"
"410210","
マルコ 2:10","では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていること
を知らせてやろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われる、"
"410211","
マルコ 2:11","「あなたに命令する、起きて担架をかついで、家に帰りなさい。」
"
"410212","
マルコ 2:12","すると彼は起き上がり、すぐ担架をかついで、皆の見ている前を
出ていった。皆が呆気にとられ、「こんなことはかって見たことがない」と言って、神を
讃美した。"
"410213","
マルコ 2:13","また湖のほとりに出てゆかれた。群衆が皆あつまって来たので、
教えられた。"
"410214","
マルコ 2:14","それから通りがかりに、アルパヨの子レビが税務所に坐っている
のを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、立って従った。"
"410215","
マルコ 2:15","イエスが(レビの)家で食卓についておられたとき、大勢の税金
取りや罪人も、イエスや弟子たちと同席していた。──(すでにこの時)多くの人がイエ
スに従っていたのである。──"
"410216","
マルコ 2:16","パリサイ派の聖書学者たちは、イエスが罪人や税金取りと一しょ
に食事をされるのを見て、弟子たちに言った、「なぜあの人は税金取りや罪人と一しょに
食事をするのか。」"
"410217","
マルコ 2:17","イエスは聞いてその人たちに言われる、「丈夫な者に医者はいら
ない、医者のいるのは病人である。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招
きに来たのである。」"
"410218","
マルコ 2:18","(ある断食日に洗礼者)ヨハネの弟子とパリサイ人が断食をして
いると、人々が来てイエスに言う、「ヨハネの弟子とパリサイ人の弟子は断食をするのに、
なぜあなたの弟子は断食をしないのか。」"
"410219","
マルコ 2:19","イエスは言われた、「婚礼の客は花婿がまだ一しょにいるうちに、
断食(をして悲しむこと)が出来ようか。(もちろん)花婿と一しょにいる間に断食は出
来ない。"
"410220","
マルコ 2:20","しかしいまに花婿を奪いとられる時が来る。その時、彼らは(い
やでも)断食をするであろう。"
"410221","
マルコ 2:21","真新しい布切れで古い着物に継ぎをあてる者はない。そんなこと
をすれば、新しい当て切は古い着物をひきさき、裂け目はますますひどくなる。"
"410222","
マルコ 2:22","また新しい酒を古い皮袋に入れる者はない。そんなことをすれば、
酒は皮袋を破って、酒も皮袋もだめになる。」"
"410223","
マルコ 2:23","ある安息日に麦畑の中を通られたときのこと、弟子たちが(空腹
を覚えて)歩きながら穂を摘み始めた。"
"410224","
マルコ 2:24","パリサイ人がイエスに言った、「なぜあの人たちは、あんな、安
息日にしてはならぬことをするのか。」"
"410225","
マルコ 2:25","イエスが言われるには、「あなた達は、ダビデ(王)が自分も供
の者も食べるものがなくて空腹の時に何をしたか、(まだ聖書で)読んだことがないのか。
"
"410226","
マルコ 2:26","──彼が大祭司アビアタルの時、神の家に入って、祭司のほかだ
れも食べてはならない、“供えのパンを”食べ、供をしている者にもわけてやったことを。」
"
"410227","
マルコ 2:27","また彼らに言われた、「安息日は人のためで、人が安息日のため
にあるのではない。"
"410228","
マルコ 2:28","だから人の子(わたし)はまた安息日の主人である。」"
"410301","
マルコ 3:1","ふたたび(ある安息日に)礼拝堂に入られると、そこに片手のな
えている人がいた。"
"410302","
マルコ 3:2","(パリサイ派の)人々がイエスは安息日にこの人をなおされるか
どうかと、ひそかに様子をうかがっていた。訴え出る(口実を見つける)ためであった。"
"410303","
マルコ 3:3","イエスは(それと知って)、手のなえた人に「立って真中に出てこ
い」と言っておいて、"
"410304","
マルコ 3:4","彼らに言われる、「安息日には、善いことをするのと悪いことをす
るのと、命を救うのと殺すのと、どちらが正しいか。」彼らは黙っていた。"
"410305","
マルコ 3:5","するとイエスは怒気をふくんで人々を見まわし、彼らの心の頑な
なのをふかく悲しんで、その人に言われる、「手をのばせ。」のばすと手が直った。"
"410306","
マルコ 3:6","パリサイ人たちは出ていって、すぐヘロデ党の者と、イエスを殺
す相談をはじめた。"
"410307","
マルコ 3:7","イエスが弟子たちを連れて湖の方へ立ちのかれると、ガリラヤか
ら来た大勢の人の群がついて行った。またユダヤ、"
"410308","
マルコ 3:8","ことにエルサレムから、イドマヤや、ヨルダン川の向こう(のペ
レヤ)や、(遠く)ツロ、シドンあたりから(までも)、大勢の人の群が彼の所にあつまっ
て来た。しておられることをみな、聞いたからである。"
"410309","
マルコ 3:9","イエスは自分のために小舟を一艘用意しておくようにと、弟子た
ちに言いつけられた。群衆に押しつぶされないためであった。"
"410310","
マルコ 3:10","大勢の者をなおされたので、病気になやむ者がみな彼にさわろう
として、どっと押し寄せたのである。"
"410311","
マルコ 3:11","また汚れた霊どもはイエスを見ると、その前にひれ伏して、「あ
なたは神の子だ」と叫ぶのであった。"
"410312","
マルコ 3:12","イエスは自分のことを世間に知らせるなと、きびしく戒められた。
"
"410313","
マルコ 3:13","それから(近くの)山に上り、自分でこれぞと思う人たちを呼び
よせられると、あつまって来た。"
"410314","
マルコ 3:14","そこで十二人(の弟子)をお決めになった。そばに置くため、ま
たこれを派遣して、教えを説かせたり、"
"410315","
マルコ 3:15","全権をさずけて悪鬼を追い出させたりするためであった。"
"410316","
マルコ 3:16","すなわち十二人を決めて、シモンにペテロという名をつけ、"
"410317","
マルコ 3:17","ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟のヨハネと──この二人には
ボアネルゲ、すなわち「雷の子」という名をつけられた。──"
"410318","
マルコ 3:18","アンデレとピリポとバルトロマイとマタイとトマスとアルパヨの
子ヤコブとタダイと熱心党のシモンと"
"410319","
マルコ 3:19","イスカリオテのユダ。この人は(あとで)イエスを売った。"
"410320","
マルコ 3:20","家にかえられると、また群衆が集まってきて、みんなは食事すら
出来なかった。"
"410321","
マルコ 3:21","身内の者たちが(イエスの様子を)聞いて(ナザレからカペナウ
ムへ)取りおさえに出てきた。「気が狂っている」と思ったのである。"
"410322","
マルコ 3:22","またエルサレムから下ってきた聖書学者たちは、「あれはベルゼ
ブル[悪魔]につかれている」とか、「悪鬼どもの頭[悪魔]を使って悪鬼を追い出して
いる」とか言った。"
"410323","
マルコ 3:23","イエスは彼らを呼びよせ、譬をもって話された、「悪魔にどうし
て悪魔が追い出せるか。"
"410324","
マルコ 3:24","もし国が内輪で割れれば、その国は立ってゆけない。"
"410325","
マルコ 3:25","また、もし家が内輪で割れれば、その家は立ってゆけない。"
"410326","
マルコ 3:26","(同じように)悪魔(の国)が内輪もめで割れれば、立ってゆけ
ず、ほろびてしまう。(だからわたしが悪鬼どもの頭を使うわけはないではないか。)"
"410327","
マルコ 3:27","まず強い者を縛りあげずに、だれも強い者の家に入って家財道具
を掠め取ることは出来ない。縛ったあとで、その家を掠めるのである。(だから悪鬼が追
い出されるのは、悪魔がすでに縛られた証拠だ。)"
"410328","
マルコ 3:28","アーメン、わたしは言う、人の子らの(犯す)罪も、また、いか
なる冒涜の言葉でも、すべて赦していただける。」"
"410329","
マルコ 3:29","しかし聖霊を冒涜する者は永遠に赦されず、永遠の罪に処せられ
る。」"
"410330","
マルコ 3:30","こう言われたのは、彼らが(聖霊によるイエスの業を罵って)、「あ
れは汚れた霊につかれている」と言ったからである。"
"410331","
マルコ 3:31","そこにイエスの母と兄弟たちが来て、外に立っていてイエスを呼
ばせた。"
"410332","
マルコ 3:32","大勢の人がイエスのまわりに坐っていたが、彼に言う、「それ、
母上と兄弟姉妹方が、外であなたをたずねておられます。」"
"410333","
マルコ 3:33","イエスは「わたしの母、兄弟とはだれのことだ」と答えて、"
"410334","
マルコ 3:34","自分のまわりを取りまいて坐っている人々を見まわしながら、言
われる、「ここにいるのが、わたしの母、わたしの兄弟だ。"
"410335","
マルコ 3:35","神の御心を行う者、それがわたしの兄弟、姉妹、また母である。」
"
"410401","
マルコ 4:1","イエスはまた湖のほとりで教え始められた。おびただしい群衆が
集まってきたので、舟に乗り、湖の上で坐(って教え)られた。群衆は皆陸にいて湖の方
を向いていた。"
"410402","
マルコ 4:2","譬をもって多くのことを教えられたが、その教えの中でこう話さ
れた、"
"410403","
マルコ 4:3","「聞け、種まく人が種まきに出かけた。"
"410404","
マルコ 4:4","まく時に、あるものは道ばたに落ちた。鳥が来て食ってしまった。
"
"410405","
マルコ 4:5","またあるものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、
すぐ芽を出したが、"
"410406","
マルコ 4:6","日が出ると焼けて、(しっかりした)根がないので枯れてしまった。
"
"410407","
マルコ 4:7","またあるものは茨の(根が張っている)中に落ちた。茨が伸びて
きて押えつけたので、みのらなかった。"
"410408","
マルコ 4:8","またあるものは良い地に落ちた。伸びて育ってみのって、三十倍、
六十倍、百倍の実がなった。」"
"410409","
マルコ 4:9","そして「耳の聞える者は聞け」と言われた。"
"410410","
マルコ 4:10","ひとりでおられた時、弟子たちが十二人とともにこれらの譬(の
意味)を尋ねると、"
"410411","
マルコ 4:11","言われた、「あなた達(内輪の者)には、神の国の秘密が授けら
ている(のでありのままに話す)が、あの外の人たちには、すべてが譬をもって示され
る。"
"410412","
マルコ 4:12","これは(聖書にあるように)“彼らが見ても見てもわからず、聞
いても聞いても悟らないようにする”ためである。“そうでないと、心を入れかえて(わ
たし[神]に帰り、罪を)赦されるかも知れない。”」"
"410413","
マルコ 4:13","また彼らに言われる、「この(一番簡単な)譬がわからないのか。
それで、どうしてほかの譬がわかろう。(では説明しよう。)──"
"410414","
マルコ 4:14","種まく人は(神の)御言葉をまく。"
"410415","
マルコ 4:15","道ばたのものとは、御言葉がまかれて、それを聞く時、すぐ悪魔
が来て、その人たちにまかれた御言葉をさらってゆく人たちである。"
"410416","
マルコ 4:16","同じく岩地にまかれたものとは、御言葉を聞く時すぐ喜んで受け
いれるが、"
"410417","
マルコ 4:17","自分の中に(しっかりした信仰の)根がなく、ただその当座だけ
であるから、あとで御言葉のために苦難や迫害がおこると、すぐ信仰から離れおちる人た
ちである。"
"410418","
マルコ 4:18","また他のものは、茨の中にまかれたものである。これは御言葉を
聞くが、"
"410419","
マルコ 4:19","(しばらく信じているうちに、)この世の心配や富の惑わしやそ
の他の欲が入ってきて御言葉を押えつけて、みのらない人たちである。"
"410420","
マルコ 4:20","また良い地にまかれたものとはこれである、それは御言葉を受け
入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ人たちである。」"
"410421","
マルコ 4:21","また彼らに言われた、「(しかし外の人たちに神の国の秘密が隠さ
れるのは、ただしばらくである。)明りを持って来るのは、枡の下や寝台の下に置くため
であろうか。燭台の上に置くためではあるまいか。"
"410422","
マルコ 4:22","隠れているもので現わされるためでないものはなく、隠されてい
るもので現われるためでないものもないからである。"
"410423","
マルコ 4:23","耳の聞える者は聞け。」"
"410424","
マルコ 4:24","また彼らに言われた、「(わたしから)聞くことに気をつけよ。(わ
たしの言葉を)量る量りで、あなた達も(神に)量られる。そして(よく聞く人は、持っ
ている上になお)つけたして与えられる。"
"410425","
マルコ 4:25","持っている人には(さらに)与えられ、持たぬ人は、持っている
ものまで取り上げられるのである。」"
"410426","
マルコ 4:26","また言われた、「神の国はこんなものだ。──ある人が地に種を
蒔き、"
"410427","
マルコ 4:27","夜昼、寝起きしていると、種は芽生えて育ってゆくが、本人はそ
の訳を(すら)知らない。"
"410428","
マルコ 4:28","(すなわち)地はひとりでに実を結ぶので、初めに茎、次に穂、
次に穂の中に熟しきった粒ができる。"
"410429","
マルコ 4:29","実が熟すると、すぐに“鎌を入れる。刈入れ時が来たのである。”」
"
"410430","
マルコ 4:30","また言われた、「神の国を何にたとえようか。どんな譬で表わそ
うか。"
"410431","
マルコ 4:31","(神の国は)芥子粒のようである。地にまかれる時には、地上の
あらゆる種の中で一番小さいが、"
"410432","
マルコ 4:32","まかれると、伸びてきてすべての野菜の中で一番大きくなり、大
きな枝を出して、“その(葉の)陰に空の鳥が巣をつく”れるようになるのである。」"
"410433","
マルコ 4:33","イエスは聞く人々の力に応じて、このような多くの譬で御言葉を
語られた。"
"410434","
マルコ 4:34","譬を使わずに語られることはなかった。が弟子たちには、人のい
ない時に何もかも説明された。"
"410435","
マルコ 4:35","その日、夕方になると、「向う岸に渡ろう」と言われる。"
"410436","
マルコ 4:36","弟子たちは(岸に立っている)群衆を解散して、イエスが舟に乗
っておられるのを、そのままお連れする。幾艘かほかの舟もついて行った。"
"410437","
マルコ 4:37","すると激しい突風がおこり、波が舟に打ち込んできて、もう舟に
いっぱいになりそうになった。"
"410438","
マルコ 4:38","しかしイエスは艫の方で枕をして眠っておられた。弟子たちが「先
生、溺れます、構ってくださらないのですか」と言って起した。"
"410439","
マルコ 4:39","イエスは目をさまして風を叱りつけ、湖に言われた、「黙れ、静
かにしないか!」(たちどころに)風がやんで、大凪になった。"
"410440","
マルコ 4:40","彼らに言われた、「なんでそんなに臆病なのか。まだ信じないの
か。」"
"410441","
マルコ 4:41","弟子たちはすっかりおびえてしまって、「この方はいったいだれ
だろう、風も湖もその言うことを聞くのだが」と語り合った。"
"410501","
マルコ 5:1","かくて湖の向う岸、ゲラサ人の地に着いた。"
"410502","
マルコ 5:2","イエスが舟からあがられると、すぐ、汚れた霊につかれたひとり
の人が墓場から出てきて、イエスを迎えた。"
"410503","
マルコ 5:3","この人は墓場を住家としていたが、もはやだれも、鎖ですらつな
いでおくことが出来なかった。"
"410504","
マルコ 5:4","幾たびか足桎と鎖でつないだが、鎖を引きちぎり、足桎を打ちこ
わして、だれの手にもおえなかったのである。"
"410505","
マルコ 5:5","どなったり、体を石でなぐったりしながら、夜も昼も、いつも墓
場や山にいた。"
"410506","
マルコ 5:6","遠くの方でイエスを見ると、駆けてきてひざまずき、"
"410507","
マルコ 5:7","大声で叫んだ、「いと高き神の子のイエス様、“放っておいてくだ
さい。”後生だから、どうぞわたしを苦しめないでください。」"
"410508","
マルコ 5:8","これはイエスが「汚れた霊、その人から出てゆけ」と言われたか
らである。"
"410509","
マルコ 5:9","「あなたの名はなんというか」とお尋ねになると、「名は軍団です、
大勢だからです」とこたえる。"
"410510","
マルコ 5:10","また、この土地から追い出さないようにとしきりに願った。"
"410511","
マルコ 5:11","折から、そこの山の中腹で豚の大きな群が草を食っていた。"
"410512","
マルコ 5:12","霊どもは、「わたしどもをあの豚の中にやって、あれに乗り移ら
せてください」と願った。"
"410513","
マルコ 5:13","お許しになると、汚れた霊どもは(その人から)出ていって豚に
乗り移った。すると二千匹ばかりの群はけわしい坂をどっと湖へなだれこみ、湖で溺れて
死んだ。"
"410514","
マルコ 5:14","豚飼たちは逃げ出して、町や部落に知らせたので、何事がおこっ
たのかと人々が見に来た。"
"410515","
マルコ 5:15","彼らはイエスの所に来て、前に一軍団の悪鬼につかれていた者が
着物をき、正気にかえってじっと座っているのを見ると、恐ろしくなった。"
"410516","
マルコ 5:16","また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者におこ
ったことや豚のことを、その人々に話してきかせた。"
"410517","
マルコ 5:17","人々は聞いて(気味わるくなり)、イエスにその土地からでて行
ってもらいたいと頼んだ。"
"410518","
マルコ 5:18","そこで舟に乗られると、悪鬼につかれていた者が、ついて行きた
いと願った。"
"410519","
マルコ 5:19","しかし許さずに言われた、「家に帰ってうちの者に、(神なる)主
があなたを憐れんで、どんなにえらいことをしてくださったかを、知らせてやりなさい。」
"
"410520","
マルコ 5:20","すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされた
かを、デカポリスに言いふらし始めた。皆が驚いた。"
"410521","
マルコ 5:21","イエスが舟でまた向う岸に渡られると、大勢の群衆が彼のところ
に集まってきた。彼は湖のほとりにおられた。"
"410522","
マルコ 5:22","するとヤイロという一人の礼拝堂監督が来て、イエスを見ると足
もとにひれ伏し、"
"410523","
マルコ 5:23","しきりに願って言う、「わたしの小さな娘が死にかかっています。
助かって命びろいをするように、どうか行って、手をのせてやってください。」"
"410524","
マルコ 5:24","イエスは彼と一しょに出かけられた。大勢の群衆がイエスについ
て行って押しまくった。"
"410525","
マルコ 5:25","すると十二年も長血をわずらって、"
"410526","
マルコ 5:26","大勢の医者からひどい目にあわされて、財産を皆使いはたして、
なんの甲斐もなくて、かえってますます悪くなって、"
"410527","
マルコ 5:27","イエスのことを聞いて、群衆にまじってついて来た女が、後ろか
らその着物にさわった。"
"410528","
マルコ 5:28","「お召物にでもさわれば、なおるにちがいない」と思ったのであ
る。"
"410529","
マルコ 5:29","はたしてすぐ血の源がかれて、病気が直ったのを身に感じた。"
"410530","
マルコ 5:30","イエスは自分の中から力が出ていったのにすぐ気がついて、群衆
の中で振り返ってたずねられた、「わたしの着物にさわったのはだれか。」"
"410531","
マルコ 5:31","弟子たちが言った、「御覧のとおり群衆が押しまくっているのに、
さわったのはだれか、とおしゃるのですか。」"
"410532","
マルコ 5:32","イエスはこのことをした女を見つけようとして、(黙って)見ま
わしておられた。"
"410533","
マルコ 5:33","女は自分(の身)におこったことを知っているので、恐ろしくな
って震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、すべてをありのままに話した。"
"410534","
マルコ 5:34","イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。さよ
なら、“平安あれ。”もう病気をせず、達者でいなさい。」"
"410535","
マルコ 5:35","イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家から人々
が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。どうしてこの上、先生にご
迷惑をかけられるのですか。」"
"410536","
マルコ 5:36","イエスはそう言っているのをそばで聞いて、監督に言われた、「こ
わがることはない。ただ信じておれ。」"
"410537","
マルコ 5:37","そしてペテロとヤコブの兄弟のヨハネとのほかには、だれもつい
て来ることを許されなかった。"
"410538","
マルコ 5:38","やがて監督の家に着いて、人々がひどく泣きわめいて騒いでいる
のを見ると、"
"410539","
マルコ 5:39","(家の)中に入って言われる、「なにを泣いたり騒いだりするの
か。子供は死んではいない、眠っているのだ。」"
"410540","
マルコ 5:40","人々はあざ笑っていた。しかしイエスは皆を外に出し、子供の父
と母と、一しょに来た者(三人だけ)を連れて、(死んだ)子供のいる所に入ってゆかれ
る。"
"410541","
マルコ 5:41","そして子供の手を取って、「タリタクミ!」と言われる。訳する
と「少女よ、あなたに言う。起きなさい!」である。"
"410542","
マルコ 5:42","ただちに少女は立ち上がって歩きまわった。十二歳になっていた
からである。見るなり、人々は気が遠くなるほど驚いた。"
"410543","
マルコ 5:43","イエスはだれにもこのことを知られるなときびしく人々に言いつ
け、また子供に(何か)食べさせるようにと言われた。"
"410601","
マルコ 6:1","そこを去って郷里(ナザレ)に行かれた。弟子たちもついて行っ
た。"
"410602","
マルコ 6:2","安息日になって礼拝堂で教え始められると、大勢の人がそれを聞
いて、驚いて言った、「この人はこんなことをどこから覚えてきたのだろう。この人の授
かったこの知恵はなんだろう。また、その手で行われるかずかずのこんな奇蹟はいったい
どうしたのだろう。  "
"410603","
マルコ 6:3","これはあの大工ではないか。マリヤの息子で、ヤコブとヨセとユ
ダとシモンとの兄弟ではないか。女兄弟たちは、ここで、わたし達の所に住んでいるでは
ないか。」こうして人々はイエスにつまずいた。(そのため彼の言葉に耳を傾ける者がなか
った。)"
"410604","
マルコ 6:4","イエスは彼らに言われた、「預言者が尊敬されないのは、その郷里
と親族と家族のところだけである。」"
"410605","
マルコ 6:5","(郷里の人々の不信仰のゆえに)そこでは何一つ奇蹟を行うこと
が出来ず、ただわずかの病人に手をのせて、なおされただけであった。"
"410606","
マルコ 6:6","イエスは人々の不信仰に驚かれた。それから村々をぐるぐる回り
ながら教えられた。"
"410607","
マルコ 6:7","また(前に選んだ)十二人(の弟子)を呼びよせ、二人ずつ(を
一組にして伝道に)派遣することを始められた。そして汚れた霊を支配する全権を授け、"
"410608","
マルコ 6:8","また旅行には杖一本のほかに、何も──パンも、旅行袋も、帯の
中に金も持ってゆかず、"
"410609","
マルコ 6:9","ただ草鞋をはくことを、また「下着を二枚着るな」と命じられた。
"
"410610","
マルコ 6:10","なお彼らに言われた、「どんな家でも一度入ったら、その土地を
立ってゆくまではその家に泊まっておれ。"
"410611","
マルコ 6:11","しかしある所で、あなた達を歓迎せず、言うことに耳をかたむけ
ないなら、(すぐその土地を出てゆけ。そして)そこを出てゆくとき、(縁を切ったことを)
そこの人々に証明するため、足の裏の埃を払いおとせ。」"
"410612","
マルコ 6:12","そこで十二人は出かけていって、(罪を赦されるための)悔改め
を説き、"
"410613","
マルコ 6:13","多くの悪鬼を追い出し、また油を塗って大勢の病人をなおした。
"
"410614","
マルコ 6:14","イエスの噂が高くなったので、ヘロデ(・アンテパス)王の耳に
はいった。──「洗礼者ヨハネが死人の中から生きかえったのだ。それだからあんな(不
思議な)力が彼の中に働いている」とある人々は言った。"
"410615","
マルコ 6:15","しかし、「預言者エリヤだ」言う者もあり、「(昔の)普通の預言
者のような預言者だ」と言う者もあった。"
"410616","
マルコ 6:16","しかしヘロデは聞いて、「わたしが首をはねたヨハネ、あれが生
きかえったのだ」と言った。"
"410617","
マルコ 6:17","それにはこういう訳がある。──このヘロデは(前に)その兄弟
ピリポの妻ヘロデヤと結婚したことから、ヨハネを捕えさせて牢につないだことがあった。
"
"410618","
マルコ 6:18","ヨハネがヘロデに、「あなたは自分の兄弟の妻を妻にするのはよ
ろしくない」と言ったからである。"
"410619","
マルコ 6:19","(そのため)ヘロデヤはヨハネを恨んで、殺したいと考えていた
が、出来なかった。"
"410620","
マルコ 6:20","それはヘロデがヨハネを正しい聖なる人と知って、これを恐れ、
保護を加えていたからである。ヘロデはヨハネに話を聞くと非常に当惑したが、それでも
喜んで聞いていたのである。"
"410621","
マルコ 6:21","すると(ヘロデヤにとり)好い機会がきた。ヘロデが自分の誕生
祝いに、大官、将軍、ガリラヤの名士たちを招待して宴会を催した時、"
"410622","
マルコ 6:22","ヘロデヤの娘が席に出て舞をまい、ヘロデと列座の人々とを喜ば
せたのである。王が少女に言った、「ほしいものがあったら言ってみよ。褒美にやろう。」"
"410623","
マルコ 6:23","また、「願いとあらば、“国の半分でも”やろう」と誓った。"
"410624","
マルコ 6:24","少女は出ていって母にきいた、「何を願いましょうか。」「洗礼者
ヨハネの首を」と母がこたえた。"
"410625","
マルコ 6:25","少女は大急ぎですぐ王の前に出て、「洗礼者ヨハネの首を盆にの
せてすぐに戴かせてください」と願った。"
"410626","
マルコ 6:26","王は非常に悲しんだが、客の前で立てた誓いの手前、拒みたくな
かった。"
"410627","
マルコ 6:27","そこで王はすぐヨハネの首を持ってくるように命令して、首斬役
をやった。首斬役は行って牢でヨハネの首をはね、"
"410628","
マルコ 6:28","その首を盆にのせて持ってきて少女に渡し、少女はそれを母に渡
した。"
"410629","
マルコ 6:29","ヨハネの弟子たちはこれを聞くと、来てなきがらを引き取り、墓
に納めた。"
"410630","
マルコ 6:30","(さて旅行から帰った十二人の)使徒たちはイエスの所に集まっ
て、したこと、教えたことをのこらず報告した。"
"410631","
マルコ 6:31","彼らに言われる、「さあ、あなた達だけどこか静かな所へ行って、
しばらく休んだがよかろう。」人の出入りが多く、食事する暇もなかったのである。"
"410632","
マルコ 6:32","そこで彼らだけ、舟で(イエスと一しょに)人里はなれた所へ行
った。"
"410633","
マルコ 6:33","しかしその出かけるのを見て、多くの人はそれと感づいた。それ
で方々の町から陸を走ってそこへ集まり、彼らよりも先に着いた。"
"410634","
マルコ 6:34","イエスは(舟から)あがって、多くの群衆が“羊飼のいない羊の
ように”しているのを見ると、かわいそうになり、多くのことを教え始められた。"
"410635","
マルコ 6:35","とかくするうち、もう時間もおそくなったので、弟子たちはイエ
スのそばに来て言った、「ここは人里はなれた所、それにもう時間もおそいので、"
"410636","
マルコ 6:36","人々を解散させ、まわりの部落や村に行って、自分で何か食べる
ものを買わせてください。」"
"410637","
マルコ 6:37","イエスは答えて言われた、「あなた達が自分で食べさせてやった
らよかろう。」彼らが言う、「わたし達が行って二百デナリ[十万円]のパンを買ってきて、
食べさせるのでしょうか。」"
"410638","
マルコ 6:38","彼らに言われる、「手許にいくつパンがあるか。見て来なさい。」
確かめて来て言う、「五つ。それと魚が二匹です。」"
"410639","
マルコ 6:39","そこで皆を一組一組、青い草の上に坐らせるよう弟子たちに命じ
られると、"
"410640","
マルコ 6:40","あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、一列一列になってすわ
った。"
"410641","
マルコ 6:41","イエスは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の
魚を(手に)取り、天を仰いで(神を)讃美したのち、パンを裂き、人々に配るため弟子
たちに渡された。二匹の魚も皆に分けられた。"
"410642","
マルコ 6:42","皆が食べて満腹した。"
"410643","
マルコ 6:43","そして(パンの)屑を拾うと、十二の篭に一杯あった。魚の残り
も拾った。"
"410644","
マルコ 6:44","パンを食べた者は、男五千人であった。"
"410645","
マルコ 6:45","それからすぐイエスは弟子たちを強いて舟に乗らせ、向う岸のベ
ッサイダに先発させられた、自分では群衆を解散させる間に。"
"410646","
マルコ 6:46","そして群衆に別れると、祈りのため山に行かれた。"
"410647","
マルコ 6:47","暗くなって、(弟子たちの)舟はもう湖の真中に出ていたが、イ
エスはひとり陸におられた。"
"410648","
マルコ 6:48","そして向い風のために弟子たちが漕ぎなやんでいるのを見ると、
第四夜回りのころ(すなわち夜明けの三時ごろ)、湖の上を歩いて彼らの所に来て、(舟の
わきを)通りすぎようとされた。"
"410649","
マルコ 6:49","弟子たちはイエスが湖の上を歩いておられるのを見ると、幽霊だ
と思って声をあげて叫んだ。"
"410650","
マルコ 6:50","イエスを見て、皆肝をつぶしたのである。しかしイエスはすぐ彼
らに話しかけ、「安心せよ、わたしだ。こわがることはない」と言われる。"
"410651","
マルコ 6:51","そして彼らの舟に乗られると、風はやんだ。弟子たちはすっかり
呆気にとられてしまった。"
"410652","
マルコ 6:52","彼らは(五千人の)パンのことによっても(神の子の力を)悟ら
ず、心が頑なになっていたのである。"
"410653","
マルコ 6:53","ついに(湖を)渡って、ゲネサレの地に着き、舟をつないだ。(風
でベツサイダに行けなかったのである。)"
"410654","
マルコ 6:54","彼らが舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、"
"410655","
マルコ 6:55","そのあたりを隅なく駆けまわり、イエスがおられると聞く所に、
病人を担架で運び始めた。"
"410656","
マルコ 6:56","村でも町でも部落でも、その行かれる所にはどこでも、病人を広
場にねかし、着物の裾にでもさわらせてほしいとイエスに願った。さわったほどの者はみ
ななおった。"
"410701","
マルコ 7:1","パリサイ人とエルサレムから来た数人の聖書学者とがイエスの所
に集まったとき、"
"410702","
マルコ 7:2","イエスの弟子のうちにけがれた、すなわち洗わない手で食事をす
る者があるのを見た。"
"410703","
マルコ 7:3","──いったいパリサイ人はもとより、ユダヤ人というユダヤ人は、
先祖の言伝えをかたく守って、(きまった方式で)手を洗ってからでないと決して食事を
せず、"
"410704","
マルコ 7:4","市場から帰ったときは(身を)洗い浄めねば食事をせず、このほ
かにも杯や壷や銅の器をすすぐことなど、かたく守っている仕来たりが沢山あるのである。
──"
"410705","
マルコ 7:5","パリサイ人と聖書学者がイエスに尋ねた、「あなたの弟子はなぜ先
祖の言伝えに従って歩かずに、けがれた手で食事をするのか。」"
"410706","
マルコ 7:6","彼らに言われた、「イザヤはあなた達偽善者のことを預言して、こ
う書いているが、うまいものである。“この民は口先でわたし[神]を敬いながら、その
心は遠くわたしから離れている。"
"410707","
マルコ 7:7","彼らは(熱心に)わたしを拝むが無駄である、彼らが教えとして
教えているのは、人間の(作った)規則であるから。”"
"410708","
マルコ 7:8","あなた達は神の掟をすてて、人間の言伝えをかたく守っている。」
"
"410709","
マルコ 7:9","また話しつづけられた、「あなた達は自分の言伝えを守ろうとして、
神の掟をないがしろにしているが、うまいものだ!"
"410710","
マルコ 7:10","モーセは、“父と母とを敬え、”また“父または母を罵る者はかな
らず死に処せられる”と言ったのに、"
"410711","
マルコ 7:11","あなた達はこう言うのだから。──『もしある人が父または母に
むかって、わたしがあなたに差し上げるはずのものはコルバン[すなわち(神への)供え
物]にする、と言えば、"
"410712","
マルコ 7:12","(扶養の義務をまぬかれて、)もはや父または母に何一つするこ
とを許されない』と。"
"410713","
マルコ 7:13","こうして、あなた達は自分で伝えてきた言伝えによって神の言葉
を反故にしている。なお、これに似たことをあなた達は沢山している。」"
"410714","
マルコ 7:14","それからまた群衆を呼びよせて言われた、「皆、わたしの言うこ
とを聞いて悟れ。"
"410715","
マルコ 7:15","人の(体の)外から入って、人をけがし得るものは何もない。人
から出るものが、人をけがすのである。」"
"410716","
マルコ 7:16","(無し)"
"410717","
マルコ 7:17","群衆を離れて家にかえられた時、弟子たちがこの譬(の意味)を
尋ねた。"
"410718","
マルコ 7:18","彼らに言われる、「あなた達までそんなに悟りが悪いのか。すべ
て外から人(の体)に入るものは、人をけがし得ないことが解らないのか。"
"410719","
マルコ 7:19","心に入らず、腹に入って、便所に出てゆくからだ。」──イエス
は(これによって、人は何を食べてもけがれないことを教えて、)すべての食物を清めら
れたのである。"
"410720","
マルコ 7:20","また言われた、「人から出るもの、そちらが人をけがす。"
"410721","
マルコ 7:21","内から、つまり、人の心からは、邪念が出るからである。(すな
わち)不品行、盗み、人殺し、"
"410722","
マルコ 7:22","姦淫、欲張り、悪意、悪巧み、道楽、妬み、悪口、高ぶり、愚か
さ(など)。"
"410723","
マルコ 7:23","これらの悪は皆、内から出て人をけがすのである。」"
"410724","
マルコ 7:24","そこを立って、ツロ地方に行かれた。ある家に入って、だれにも
知られたくないと思っておられた。しかし隠れていることが出来ず、"
"410725","
マルコ 7:25","汚れた霊につかれた小さい娘を持つ一人の女が、すぐイエスのこ
とを聞きつけ、来て足下にひれ伏した。"
"410726","
マルコ 7:26","この女は異教人で、スロフェニキア生まれであったが、娘から悪
鬼を追い出してほしいとイエスに願った。"
"410727","
マルコ 7:27","女に言われた、「まず子供たち(イスラエル人)を満腹させなく
てはいけない。子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投げてやるのはよろ
しくない。」"
"410728","
マルコ 7:28","しかし女は答えた、「主よ、是非どうぞ!食卓の下の小犬どもも、
子供さんたちのパン屑をいただきます。」"
"410729","
マルコ 7:29","イエスは言われた、「それほど言うなら、よろしい、帰りなさい。
悪鬼はもう娘から出ていった。」"
"410730","
マルコ 7:30","女が家にかえって見ると、子供は寝床にねており、悪鬼はもう出
ていた。"
"410731","
マルコ 7:31","それからイエスはツロ地方を出て、シドンを通り、またガリラヤ
湖の近く、デカポリス地方の真中に来られた。"
"410732","
マルコ 7:32","人々が聾で舌のまわらぬ人をつれて来て、手をのせて(直して)
ほしいと願う。"
"410733","
マルコ 7:33","イエスはその人をただ一人、群衆の中から連れ出して、指をその
両耳にさしこみ、次に(指に)唾をしてその舌にさわり、"
"410734","
マルコ 7:34","天を仰いで溜息をつき、その人に「エパタ!」[すなわち「開
け!」]と言われる。"
"410735","
マルコ 7:35","すると耳があき、すぐ舌のもつれが解けて、普通に物が言えるよ
うになった。"
"410736","
マルコ 7:36","イエスはだれにも言ってはならぬと人々に命じられたが、命ずれ
ば命ずるだけ、ますます言いふらした。"
"410737","
マルコ 7:37","そして驚きはてて言った、「あの方のされたことは、何もかも良
いことばかりだ。聾や唖に、聞かせたり、物を言わせたりされるのだから。」"
"410801","
マルコ 8:1","そのころ、また多くの群衆が(集まって)いて、何も食べるもの
を持っていなかったとき、弟子たちを呼びよせて言われる、"
"410802","
マルコ 8:2","「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしをはなれずにいるので、
何も食べるものを持っていない。"
"410803","
マルコ 8:3","空腹のままで家に帰したら、途中でへたばってしまうにちがいな
い。それに、中には遠くから来た者もある。」"
"410804","
マルコ 8:4","弟子たちが答えた、「こんな荒野で、いったいどこからパンを買っ
て来て、この人たちを満腹させることが出来ましょうか。」"
"410805","
マルコ 8:5","彼らに尋ねられた、「手許にいくつパンがあるか。」「七つ」とこた
えた。"
"410806","
マルコ 8:6","イエスは群衆に命じて地面にすわらせ、それからその七つのパン
を(手に)取り、(神に)感謝して裂き、群衆に配るため弟子たちに渡されると、それを
配った。"
"410807","
マルコ 8:7","また小魚が少しあったのをイエスは祝福して、これも配るように
言われた。"
"410808","
マルコ 8:8","人々は食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、七
篭あった。"
"410809","
マルコ 8:9","それは四千人ばかりであった。イエスは人々を解散させられた。"
"410810","
マルコ 8:10","それからすぐ弟子たちと一しょに舟に乗って、ダルマヌタ地方に
行かれた。"
"410811","
マルコ 8:11","するとパリサイ人たちが出てきて、イエスを試そうとして議論を
吹きかけ、(神の子である証拠に、)天からの(不思議な)徴を(示すようにと)彼に求め
た。"
"410812","
マルコ 8:12","イエスは心の中で大きく溜息をついて言われる、「この時代の人
はなぜ徴を求めるのだろうか。アーメン、わたしは言う、この時代の人に徴が与えられる
ものか。」"
"410813","
マルコ 8:13","イエスは彼らを(そこに)のこし、また(舟に)乗って向う岸へ
立ち去られた。"
"410814","
マルコ 8:14","ところがパンを持ってくるのを忘れたので、舟にはたった一つし
かパンがなかった。"
"410815","
マルコ 8:15","するとイエスは弟子たちに、「パリサイ人のパン種とヘロデのパ
ン種とに注意し、気をつけよ」と命じられた。"
"410816","
マルコ 8:16","弟子たちは(その意味がわからず)、パンのないことを互に評議
をしていた。"
"410817","
マルコ 8:17","イエスはそれと知って言われる、「なぜパンのないことを評議す
るのか。まだ解らないのか、悟らないのか。心が頑なになってしまったのか。"
"410818","
マルコ 8:18","“目があっても見えず、耳があっても聞えない”のか。覚えてい
ないのか、"
"410819","
マルコ 8:19","わたしが五つのパンを五千人に裂いた時に拾った(パンの)屑は、
篭に一ぱい、いくつあったか。」「十二」と弟子たちがこたえる。"
"410820","
マルコ 8:20","「七つを四千人の時には、拾った(パンの)屑は篭に一杯いくつ
あったか。」「七つ」とこたえると、"
"410821","
マルコ 8:21","「まだ悟らないのか」と言われた。"
"410822","
マルコ 8:22","彼らはベッサイダに来る。人々が一人の盲人をイエスのところに
つれて来て、さわって(直して)ほしいと願う。"
"410823","
マルコ 8:23","イエスは盲人の手を取って村の外につれ出し、その両方の目に唾
をかけ、両手を(その目に)あてて尋ねられた、「何か見えるか。」"
"410824","
マルコ 8:24","盲人は目をあげてこたえた、「人が見えます。木のようで、歩い
ているのがわかります。」"
"410825","
マルコ 8:25","それから、かさねて両手を目にあてられると、よく見えてきてす
っかり直り、なんでも遠くからはっきり見えるようになった。"
"410826","
マルコ 8:26","イエスは「村にも入るな(、まっすぐに帰りなさい)」と言って、
その人を家にかえされた。"
"410827","
マルコ 8:27","イエスは(そこから)弟子たちとピリポ・カイザリヤの(町に近
い)村々に出てゆかれた。道すがら弟子たちにこう言って尋ねられた、「世間の人はわた
しのことをなんと言っているか。」"
"410828","
マルコ 8:28","彼らが言った、「洗礼者ヨハネ。あるいはエリヤ、あるいは(昔
の)普通の預言者と言う者もあります。」  "
"410829","
マルコ 8:29","イエスは尋ねられた、「では、あなた達はわたしのことをなんと
言うのか。」ペテロが答えて言う、「あなたは救世主であります!」"
"410830","
マルコ 8:30","イエスは自分のことをだれにも言ってはならないと、弟子たちを
戒められた。"
"410831","
マルコ 8:31","(この時から、)イエスは、「人の子(わたし)は多くの苦しみを
うけ、長老、大祭司連、聖書学者たちから排斥され、殺され、そして三日の後に復活せね
ばならない。(神はこうお決めになっている)」と弟子たちに教え始められた。"
"410832","
マルコ 8:32","しかもおおぴっらにこのことを話された。するとペテロはイエス
をわきへ引っ張っていって、忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられなかったの
である。)"
"410833","
マルコ 8:33","イエスは振り返って、弟子たちの見ている前でペテロを叱りつけ
られた、「引っ込んでろ、悪魔!お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えてい
る!」"
"410834","
マルコ 8:34","それから、群衆を弟子と一しょに呼びよせて言われた、「だれで
も、わたしについて来ようと思う者は、(まず)己れをすてて、自分の十字架を負い、そ
れからわたしに従え。"
"410835","
マルコ 8:35","(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命
を失い、わたしと福音とのために(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を救うのだか
ら。"
"410836","
マルコ 8:36","全世界をもうけても、命を損するのでは、その人になんの得があ
ろう。"
"410837","
マルコ 8:37","また、人は(一度失った永遠の)命を受けもどす代価として、何
か(神に)渡すことができようか。"
"410838","
マルコ 8:38","(わたしを信ずると言いながら、)神を忘れた、罪のこの時代に
おいて、わたしとわたしの福音(を告白すること)とを恥じる者があれば、人の子(わた
し)も、父上の栄光に包まれ、聖なる天使たちを引き連れて(ふたたび地上に)来る時、
その(臆病)者を(弟子と認めることを)恥じるであろう。」"
"410901","
マルコ 9:1","また言葉をつづけられた、「アーメン、わたしは言う、(その時は
じきに来る。)今ここに立っている者のうちには、死なずにいて、力強い神の国が来るの
を見る者がある。」"
"410902","
マルコ 9:2","(それから)六日の後、イエスはただペテロとヤコブとヨハネだ
けを連れて、高い山にのぼられた。すると彼らの見ている前でイエスの姿が変った。"
"410903","
マルコ 9:3","着物(まで)が真っ白に輝きだし、この世のどんな晒し屋でも、
これほど白くは出来ないくらいであった。"
"410904","
マルコ 9:4","するとエリヤがモーセと共に彼らにあらわれ、二人はイエスと話
していた。"
"410905","
マルコ 9:5","ペテロが口を出してイエスに言う、「先生、わたし達(三人)がこ
こにいるのは、とても良いと思います。だから小屋を三つ造りましょう。あなたに一つ、
モーセに一つ、エリヤに一つ。」"
"410906","
マルコ 9:6","彼はなんと言ってよいかわからなかったのである。三人とも怯え
ていたから。"
"410907","
マルコ 9:7","すると雲がおこって彼ら(イエスとモーセとエリヤと)を掩い、「こ
れはわたしの“最愛の子、”“彼の言うことを聞け”」という声が雲の中からきこえてきた。
"
"410908","
マルコ 9:8","途端に(すべてが消えうせて、)見まわすと、もはやだれも見えず、
ただイエスだけが、自分たちと一しょにおられた。"
"410909","
マルコ 9:9","山を下りながら、イエスは、人の子(わたし)が死人の中から復
活する時でなければ、いま見たことをだれにも話してはならないと彼らに命じられた。"
"410910","
マルコ 9:10","彼らはこの言葉をかたく守ったが、互の間では(人の子が)死人
の中から復活するとは、いったい何事だろうと評議をしていた。"
"410911","
マルコ 9:11","彼らはこう言ってイエスに尋ねた、「なぜ聖書学者は、まずエリ
ヤが(来てそのあとで人の子が)来るべきである、と言うのですか。(人の子は来られた
のに、エリヤはまだ来ないではありませんか。)」(彼らは山の上のことを思い浮かべたの
である。)"

"410912","マルコ 9:12","彼らに言われた、「たしかにまず“エリヤが”来て、(人の子の道
を準備するために)万事を“整頓する。”ただ(もしそれならば)、どうして人の子が多く
の苦しみをうけて、軽蔑されることが(聖書に)書いてあるのだろうか。"
"410913","
マルコ 9:13","しかしわたしは言う、エリヤも(すでに)来た。(洗礼者ヨハネ
がそれであった。)ただ人々は、彼について書いてあるとおりに、したい放題のことを彼
にしたのである。(すなわち彼を殺し、人の子の道を準備させなかったので、人の子が苦
しみをうけねばならない。)」"
"410914","
マルコ 9:14","(山を下りて、ほかの)弟子たちの所にかえって見ると、大勢の
群衆が弟子たちを取り巻き、聖書学者たちがこれと議論をしていた。"
"410915","
マルコ 9:15","群衆はイエス(の姿)を見るが早いか、皆びっくりして、駆けて
きて歓迎した。"
"410916","
マルコ 9:16","イエスが群衆に尋ねられた、「弟子たちと何を議論しているの
か。」"
"410917","
マルコ 9:17","群衆のうちの一人が答えた、「先生、唖の霊につかれている伜を
あなたの所につれて来ました。"
"410918","
マルコ 9:18","この子は霊がつくと所かまわず投げ倒され、泡をふき、歯斬りし
て、体がこわばってしまいます。それで霊を追い出すことをお弟子たちに頼みましたが、
おできになりませんでした。」"
"410919","
マルコ 9:19","彼らに答えられる、「ああ不信仰な時代よ、わたしはいつまであ
なた達の所におればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。その子
をつれて来なさい。」(こう言って群衆のいない所に行かれた。)"
"410920","
マルコ 9:20","人々がイエスの所につれて来ると、霊はイエスを見るや否や、そ
の子をひどくひきつけさせたので、子は地に倒れ、泡をふきながらころげまわった。"
"410921","
マルコ 9:21","イエスが父親に尋ねられた、「こうなってから、どのくらいにな
るか。」父親がこたえた、「子供の時からです。"
"410922","
マルコ 9:22","霊はこの子を殺そうとして、幾たびか、火の中、水の中に投げ込
みました。それでも、もしなんとかお出来になるなら、わたしども(親子)を不憫と思っ
て、お助けください。」"
"410923","
マルコ 9:23","イエスは言われた、「もしお出来になるなら(と言うの)か。信
ずる者にはなんでも出来る。」"
"410924","
マルコ 9:24","即座にその子供の父親が叫んだ、「信じます。不信仰をお助けく
ださい。」"
"410925","
マルコ 9:25","イエスは群衆が駆けよってくるのを見ると、(急いで)汚れた霊
を叱りつけて言われた、「唖と聾の霊、わたしが命令するのだ、この子から出てゆけ、二
度と入るな!」"
"410926","
マルコ 9:26","霊はどなって、はげしくひきつけさせて、出ていった。子は死ん
だようになったので、多くの人が、「死んだ」と言った。"
"410927","
マルコ 9:27","イエスはその子の手をとって起された。すると立ち上がった。"
"410928","
マルコ 9:28","家にかえられると、弟子たちは人のいない時に尋ねた、「なぜわ
たし達には霊を追い出せなかったのでしょうか。」"
"410929","
マルコ 9:29","彼らに言われた、「この種類(の霊)は、祈り以外(の手段)で
は決して出てゆかせることは出来ない。」"
"410930","
マルコ 9:30","一行は(エルサレムに上るため)そこを去って、ガリラヤを通っ
た。しかしイエスは(この旅行が)人に知られることを好まれなかった。"
"410931","
マルコ 9:31","「人の子(わたし)は人々の手に引き渡され、彼らはこれを殺す。
殺されるが、三日の後に復活する」と言って、弟子たちに教えて(その覚悟を求めて)お
られたからである。"
"410932","
マルコ 9:32","彼らはこの言葉(の意味)がわからなかった。でもこわいので尋
ねなかった。"
"410933","
マルコ 9:33","カペナウムに来た。家につかれるとイエスは、弟子たちにお尋ね
になった、「道々何を評議していたのか。」"
"410934","
マルコ 9:34","彼らは黙っていた。(自分たちのうちで)だれが一番えらいかと、
道々論じ合っていたからである。"
"410935","
マルコ 9:35","イエスは坐って、十二人を呼んで言われる、「一番上になりたい
者は皆の一番下になれ、皆の召使になれ。」"
"410936","
マルコ 9:36","それから、一人の子供(の手)を取って彼らの真中に立たせ、そ
れを抱いて言われた、"
"410937","
マルコ 9:37","「わたしの名を信ずる一人のこんな子供を迎える者は、わたしを
迎えてくれるのである。わたしを迎える者は、わたしを迎えるのでなく、わたしを遣わさ
れた方をお迎えするのである。」"
"410938","
マルコ 9:38","ヨハネがイエスに言った、「先生、わたし達の仲間でない者が、
あなたの名を使って悪鬼を追い出しているのを見たので、止めるように言いました。仲間
にならないからです。(しかし言うことを聞きませんでした。)」"
"410939","
マルコ 9:39","イエスは言われた、「止めさせるに及ばない。わたしの名を使っ
て奇蹟を行ったすぐそのあとで、わたしの悪口の言える者はないのだから。"
"410940","
マルコ 9:40","反対しない者はわたし達の味方である。"
"410941","
マルコ 9:41","キリストの弟子だからとてあなた達に一杯の水を飲ませる者は、
アーメン、わたしは言う、(天にて)その褒美にもれることはない。"
"410942","
マルコ 9:42","しかし(わたしを)信ずるこの小さな者を一人でも罪にいざなう
者は、大きな 挽臼を頚にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかにその人の仕合わせ
である。"
"410943","
マルコ 9:43","もし手があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両手があっ
て地獄の消えぬ火の中へ行くよりも、片手で(永遠の)命に入る方が仕合わせである。
"410944","
マルコ 9:44","[無し]
"410945","
マルコ 9:45","もし足があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両足があっ
て地獄に投げ込まれるよりも、片足で(永遠の)命に入るほうが仕合わせである。
"410946","
マルコ 9:46","[無し]
"410947","
マルコ 9:47","もしまた目があなたを罪にいざなうなら、えぐり出せ。両目があ
って地獄に投げ込まれるよりも、片目で神の国に入るほうが仕合わせである。
"410948","
マルコ 9:48","地獄では、“蛆は(永遠に)死なず、火は消えない”(で、その人
たちを責めさいなむからである。)
"410949","
マルコ 9:49","人は皆、火で塩味をつけられねばならない。(神のお喜びになる
供え物となるためである。)
"410950","
マルコ 9:50","塩は良いもの。しかしもし塩に塩気がなくなったら、何で(もう
一度)それに塩気をつけるか。(いつも)心に塩を保って、互に仲良くせよ。」
"411001","
マルコ 10:1","そこを立って、ユダヤ地方とヨルダン川の向こう(のペレヤ)と
に行かれる。すると群衆がまた彼の所に集まってきたので、またいつものように教えられ
た。"
"411002","
マルコ 10:2","そこにパリサイ人たちが進み出て、イエスを試そうとして尋ねた、
「夫は妻を離縁してもよろしいか。」"
"411003","
マルコ 10:3","彼らに答えられた、「モーセはあなた達になんと命じているか。」
"
"411004","
マルコ 10:4","彼らが言った、「モーセは、“離縁状を書いて(妻を)離縁するこ
とを”許した。」"
"411005","
マルコ 10:5","イエスは彼らに言われた、「モーセはあなた達の心が(神に対し
て)頑固なために、この掟を書いたのである。"
"411006","
マルコ 10:6","しかし(天地)創造の始めから、“神は彼らを男と女とに造られ
た。”"
"411007","
マルコ 10:7","“それゆえに人はその父と母とをすてて、"
"411008","
マルコ 10:8","二人は一体となる”(とモーセは書いている。)従って、もはや二
人ではない、一体である。"
"411009","
マルコ 10:9","だから夫婦は(皆)神が一つの軛におつなぎになったものである。
人間がこれを引き離してはならない。」"
"411010","
マルコ 10:10","家で弟子たちが、またこのことをお尋ねした。"
"411011","
マルコ 10:11","彼らに言われる、「妻を離縁してほかの女と結婚する者は、妻に
対して姦淫を犯すのである。"
"411012","
マルコ 10:12","もし妻が夫を離縁してほかの男と結婚すれば、(これも)姦淫を
犯すのである。」"
"411013","
マルコ 10:13","イエスにさわっていただこうとして、人々が子供たちをつれて
来ると、弟子たちが咎めた。"
"411014","
マルコ 10:14","イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた、「子供たちをわ
たしの所に来させよ、邪魔をするな。神の国はこんな(小さな)人たちのものである。"
"411015","
マルコ 10:15","アーメン、わたしは言う、子供のように(すなおに)神の国(の
福音)を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできない。」"
"411016","
マルコ 10:16","それから子供たちを抱き、(頭に)手をのせて祝福された。"
"411017","
マルコ 10:17","旅行に出ようとされると、ひとりの人が駆けてきて、ひざまず
いて尋ねた、「善い先生、永遠の命をいただくには、何をすればよいでしょうか。」"
"411018","
マルコ 10:18","イエスは言われた、「なぜわたしを『善い』と言うのか。神お一
人のほかに、だれも善い者はない。"
"411019","
マルコ 10:19","(するべきことは神の掟を守ることだけで、)掟はあなたが知っ
ている通り。──“殺してはならない、姦淫をしてはならない、盗んではならない、偽り
の証言をしてはならない、”奪い取ってはならない、“父と母とを敬え。”(ただこれだけで
ある。)」"
"411020","
マルコ 10:20","その人が言った、「先生、それならみんな若い時から守っており
ます。」"
"411021","
マルコ 10:21","イエスは彼をじっと見て、かわいく思って言われた、「(よく守
った。だが)一つ足りない。家に帰って、持っているものをみな売って、(その金を)貧
乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わたしの弟
子になりなさい。」"
"411022","
マルコ 10:22","彼はこの言葉に顔をくもらせ、悲しそうにして立ち去った。大
資産家であったのである。"
"411023","
マルコ 10:23","イエスは(うしろ姿を見送っておられたが、)やがて見まわして、
弟子たちに言われる、「物持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことだろう。」"
"411024","
マルコ 10:24","弟子たちはその言葉にびっくりした。(彼らは富むことが、神に
特別に愛されているしるしと信じたのである。)イエスはかさねて言われる、「子供たちよ、
神の国に入ることは、なんとむずかしいのだろう。"
"411025","
マルコ 10:25","金持が神の国に入るよりは、駱駝が針の孔を通る方がたやす
い。」"
"411026","
マルコ 10:26","弟子たちはいよいよ驚いて互に言った、「それでは、だれが救わ
れることが出来るのだろう。」"
"411027","
マルコ 10:27","イエスは彼らをじっと見て言われる、「人間には出来ないが、神
には出来る。“神にはなんでも出来る。”」"
"411028","
マルコ 10:28","ペテロがイエスに、「でも、わたし達は(あの金持とちがいま
す。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました」と言い出した。"
"411029","
マルコ 10:29","イエスは言われた、「アーメン、あなた達に言う、わたしのため、
また福音のために、家や兄弟や姉妹や母や父や子や畑をすてた者で、"
"411030","
マルコ 10:30","今、この世で──迫害のうちにおいてではあるが──百倍の家
と兄弟と姉妹と母と子と畑とを、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もない。
"
"411031","
マルコ 10:31","しかし(決して油断をしてはならない。)一番の者が最後になり、
最後の者が一番になることが多い。」"
"411032","
マルコ 10:32","一行はエルサレムへ(の道を)上る途中であった。イエスが(十
二人の)弟子たちの先頭に立って(どしどし)歩かれるので、彼らは薄気味わるく思い、
ついて行く(ほかの)人たちは恐ろしがっていた。イエスはまた十二人(だけ)をそばに
呼んで、自分の身に起ろうとしていることを話し出された、"
"411033","
マルコ 10:33","「さあ、いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。そして人
の子(わたし)は(そこで)大祭司連と聖書学者たちとに引き渡される。彼らは死刑を宣
告して異教人に引き渡し、"
"411034","
マルコ 10:34","異教人はなぶり、唾をかけ、鞭で打って、ついに殺すのである。
しかし三日の後に復活する。」"
"411035","
マルコ 10:35","ここに、ゼベダイの子ヤコブとヨハネとが進み寄ってイエスに
言う、「先生、お願いがあります、きいていただきたいのです。」"
"411036","
マルコ 10:36","彼らに言われた、「何をしてほしいのか。」"
"411037","
マルコ 10:37","彼らが言った、「(来ようとしている)あなたの栄光の中で、わ
たし達の一人をあなたの右に、一人を左に坐らせてください。」"
"411038","
マルコ 10:38","イエスが言われた、「あなた達は自分で何を願っているのか、わ
からずにいる。わたしが飲む(苦難の)杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けることが出
来るのか。」"
"411039","
マルコ 10:39","「出来ます」と彼らがこたえた。イエスは言われた、「(いかに
も、)あなた達はわたしが飲む杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けるにちがいない。"
"411040","
マルコ 10:40","しかし、わたしの右と左の席は、わたしが与えるのではなく、(あ
らかじめ神に)定められた人々に与えられるのである。」"
"411041","
マルコ 10:41","(ほかの)十人(の弟子)はこれを聞いて、ヤコブとヨハネと
のことを憤慨し始めた。"
"411042","
マルコ 10:42","イエスは彼らを呼びよせて言われる、「あなた達が知っているよ
うに、世間ではいわゆる主権者が人民を支配し、また(いわゆる)えらい人が権力をふる
うのである。"
"411043","
マルコ 10:43","しかしあなた達の間では、そうであってはならない。あなた達
の間では、えらくなりたい者は召使になれ。"
"411044","
マルコ 10:44","一番上になりたい者は皆の奴隷になれ。"
"411045","
マルコ 10:45","人の子(わたし)が来たのも仕えさせるためではない。仕える
ため、多くの人のあがない金としてその命を与えるためである。」"
"411046","
マルコ 10:46","彼らはエリコ(の町)に来る。イエスが弟子たちや多くの群衆
と一しょにエリコを出られると、テマイの子のバルテマイという盲の乞食が道ばたに坐っ
ていた。"
"411047","
マルコ 10:47","ナザレのイエス(のお通り)だと聞くと、「ダビデの子イエス様、
どうぞお慈悲を」と言って叫び出した。"
"411048","
マルコ 10:48","多くの人が叱りつけて黙らせようとしたが、かえってますます
「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」と叫びつづけた。"
"411049","
マルコ 10:49","イエスは立ち止まって、「あれを呼べ」と言われた。人々が盲人
を呼んで言う、「安心せよ。起きよ。お呼びだ。」"
"411050","
マルコ 10:50","盲人は上着をぬぎ捨て、躍り上がってイエスの所に来た。"
"411051","
マルコ 10:51","イエスが彼に言われた、「何をしてもらいたいのか。」盲人がこ
たえた、「先生、見えるようになりたい。」"
"411052","
マルコ 10:52","そこでイエスが、「お帰り。あなたの信仰がなおした」と言われ
ると、すぐ見えるようになって、イエスの旅行について行った。"
"411101","
マルコ 11:1","一同がエルサレムの近く、(すなわち)オリブ山の中腹にあるベ
テパゲとベタニヤとに来ると、イエスはこう言って弟子を二人使にやられる、"
"411102","
マルコ 11:2","「あの向いの村まで行ってきなさい。村に入るとすぐ、まだだれ
も乗らない一匹の子驢馬がつないであるのが見える。それを解いて、引いてきてもらいた
い。"
"411103","
マルコ 11:3","もし『何をするのか』と言う者があったら、『主がお入用です。
すぐここにお返しになります』と言えばよろしい。」"
"411104","
マルコ 11:4","二人が行って見ると、はたして(ある家の)外の通りに向いた戸
に、子驢馬がつないであったので、それを解いた。"
"411105","
マルコ 11:5","するとそこに立っていた人たちが「子驢馬を解いて、何をするの
か」と言ったので、"
"411106","
マルコ 11:6","イエスに言われたとおりにこたえると、許してくれた。"
"411107","
マルコ 11:7","二人が子驢馬をイエスの所に引いてきて、自分たちの着物をその
上にかけると、イエスはそれに乗られた。"
"411108","
マルコ 11:8","大勢の者は着物を道に敷いた。野原から小枝を切ってき(て敷い)
た者もあった。"
"411109","
マルコ 11:9","(イエスの)前に行く者もあとについて行く者も、叫んだ。──
“ホサナ!、主の御名にて来られる方に祝福あれ。”"
"411110","
マルコ 11:10","来たるわれらの父ダビデの国に祝福あれ。いと高き所に“ホサ
ナ!”"
"411111","
マルコ 11:11","やがてエルサレムについって宮に入られた。隅なく見てまわれ
たのち、時間もはやおそくなったので、十二人を連れてベタニヤに出てゆかれた。"
"411112","
マルコ 11:12","あくる日、弟子たちとベタニヤから出てくるとき、イエスは空
腹であった。"
"411113","
マルコ 11:13","それで葉のしげった無花果の木を遠くから見て、何か(実が)
ありはしないかとそこに行かれた。が行って見ると、葉ばかりで何もなかった。(まだ)
無花果の季節でなかったのである。"
"411114","
マルコ 11:14","イエスはその木に言われた、「もはやいつまでも、だれもお前の
実を食べることのないように!」弟子たちは(この呪いの言葉を)聞いていた。"
"411115","
マルコ 11:15","エルサレムに来た。イエスは宮に入り、宮(の庭)で物を売る
者や買う者を追い出し始め、両替屋の台や、鳩を売る者の腰掛を倒された。"
"411116","
マルコ 11:16","(また近道をするために)器物を持って宮(の庭)を通り抜け
ることを許されなかった。"
"411117","
マルコ 11:17","それからこう言って教えられた、「“わたしの家は、すべての国
の人の祈りの家と呼ばれるべきである”と(聖書に)書いてあるではないか。ところがあ
なた達はそれを“強盗の巣”にしてしまっている。」"
"411118","
マルコ 11:18","大祭司連と聖書学者たちはこれを聞いて、どうしてイエスを殺
そうかと(その手段を)考えていた。民衆が皆その教えに感心しきっていたので、イエス
(の勢力)を恐れたのである。"
"411119","
マルコ 11:19","夕方になると、イエス達はいつも都を出て(ベタニヤに)いっ
た。"
"411120","
マルコ 11:20","(次の)朝早く、通るときに見ると、(きのうの)無花果の木は
根元から枯れていた。"
"411121","
マルコ 11:21","ペテロは思い出してイエスに言う、「先生、御覧なさい、お呪い
になった無花果は枯れています。」"
"411122","
マルコ 11:22","イエスが彼らに答えられる、「神(の力)を信ぜよ。"
"411123","
マルコ 11:23","アーメン、わたしは言う、だれでもこの山に向かい、『立ち上が
って海に飛び込め』と言って心に疑わず、自分の言うことは成ると信ずるならば、そのと
おりになる。"
"411124","
マルコ 11:24","だからわたしは言う、(神に)祈り求めるものはなんでも、すで
に戴いたと信ぜよ。そうすればそのとおりになる。"
"411125","
マルコ 11:25","なお立って祈っている時に、だれかに恨みがあったら赦してや
れ。これは天の父上からも、あなた達の過ちを赦していただくためである。」"
"411126","
マルコ 11:26","(無し)"
"411127","
マルコ 11:27","またエルサレムに来る。イエスが宮の中をぶらついておられる
と、大祭司連、聖書学者、長老たちがよって来て"
"411128","
マルコ 11:28","言った、「なんの権威で(きのうのような)あんなことを(宮で)
するのか。だれがそれをする権威を授けたのか。」"
"411129","
マルコ 11:29","イエスは言われた、「では一つ尋ねる。それに答えよ。その上で、
なんの権威でそれをするかを言おう。"
"411130","
マルコ 11:30","──ヨハネの洗礼は天(の神)から(授かったの)であったか、
それとも人間からか、それに答えよ。」"
"411131","
マルコ 11:31","彼らはひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『では、な
ぜヨハネを信じなかったか』と言うであろうし、"
"411132","
マルコ 11:32","それとも『人間から』と言おうか。」──(だが)民衆(の反対)
がこわかった。みんながヨハネをほんとうに預言者だと思っていたからである。"
"411133","
マルコ 11:33","そこで「知らない」とイエスに答える。彼らに言われる、「では
なんの権威であんなことをするか、わたしも言わない。」"
"411201","
マルコ 12:1","それから譬をもって彼らに話し出された、「ある人が“葡萄畑を
つくって、垣根をめぐらし、(その中に)搾り場をもうけ、(見張りの)櫓を建てた”上、
小作人たちに貸して旅行に出かけた。"
"411202","
マルコ 12:2","(収穫の)時が来たので、小作人から葡萄畑の収穫の分け前を取
り立てるために、一人の使用人を小作人の所に使にやった。"
"411203","
マルコ 12:3","すると、それをつかまえてなぐりつけ、手ぶらでかえした。"
"411204","
マルコ 12:4","またほかの使用人を一人やると、それをも頭をなぐり、かつ侮辱
した。"
"411205","
マルコ 12:5","そこで(また)ほかの一人をやっると、それも殺してしまった。
ほかの大勢(の使用人)を(やったが、)なぐったり、殺したりしてしまった。"
"411206","
マルコ 12:6","(最後に)まだ一人、最愛の(独り)息子があった。『わたしの
息子なら恐れ入るにちがいない』と言って、最後にこれを使にやった。"
"411207","
マルコ 12:7","するとその小作人たちは、『これは相続人だ。さあ、殺してしま
おう。そうすればその財産はおれ達のものになるのだ』と互に言いながら、"
"411208","
マルコ 12:8","つかまえて殺した上、葡萄畑の外に放り出してしまった(という
話)。"
"411209","
マルコ 12:9","(それで尋ねるが、)葡萄畑の持ち主はどうするだろうか。(もち
ろん)来て小作人たちを殺し、葡萄畑をほかの人に貸すにちがいない。"
"411210","
マルコ 12:10","あなた達はこの聖書の句をすら読んだことがないのか。──“大
工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。"
"411211","
マルコ 12:11","これは主のなされたことで、われわれの目には不思議である。”」
"
"411212","
マルコ 12:12","彼らはイエスが自分たちに当て付けてこの譬を言われたことを
知ったので、(怒って)イエスを捕えようと思ったが、民衆(が騒ぎ出すの)を恐れた。
それで、イエスをそのままにして立ち去った。"
"411213","
マルコ 12:13","それから彼らは数人のパリサイ人とヘロデ党の者とを、イエス
の所にやった。その言葉尻をとらえ(て訴え出)ようとするのである。"
"411214","
マルコ 12:14","その人たちは来てイエスに言う、「先生、あなたは正直な方で、
だれにも遠慮されないことをよく承知しております。人の顔色を見ず、本当のことを言っ
て神の道を教えられるからです。(それでお尋ねしますが、わたし達は異教人である)皇
帝に、税を納めてよろしいでしょうか、よろしくないでしょうか。納めるべきでしょうか、
納めるべきでないでしょうか。」"
"411215","
マルコ 12:15","イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしを試すか。
デナリ銀貨を持ってきて見せなさい。」"
"411216","
マルコ 12:16","持ってくると、言われる、「これはだれの肖像か、まただれの銘
か。」「皇帝のです」と彼らが言った。"
"411217","
マルコ 12:17","イエスは言われた、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返
せ。」彼らはイエスに驚いてしまった。"
"411218","
マルコ 12:18","そこに、復活なしと主張するサドカイ人たちが来て、イエスに
こう言って質問した、"
"411219","
マルコ 12:19","「先生、モーセは(その律法に、)“もし死んだ兄が、”妻を残し
て“子をのこさない場合には、弟はその女をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”と
わたし達のために書いています。"
"411220","
マルコ 12:20","(ところでここに)七人の兄弟があって、長男が妻をめとった
が、子をのこさずに死に、"
"411221","
マルコ 12:21","次男が(この律法に従って)その女をめとったが、また子を残
さずに死に、三男も同様で、"
"411222","
マルコ 12:22","ついに七人とも子をのこさず、一番最後にその女も死んでしま
いました。"
"411223","
マルコ 12:23","(もし復活があるなら、)人が復活する復活の折には、この女は
その(七人の)うちのだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしましたから。」
"
"411224","
マルコ 12:24","イエスは言われた、「あなた達は聖書も神の力も知らないから、
そんな間違いをしているのではないか。"
"411225","
マルコ 12:25","死人の中から復活する時には、めとることもなく嫁ぐこともな
く、ちょうど天の使のようである。"
"411226","
マルコ 12:26","死人が復活することについては、(聖書にはっきり書いてあ
る。)モーセの書の茨の薮の(燃える話の)ところで、神がモーセにこう言われたのを読
んだことがないのか、──“わたしはアブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神
(である)”と。"
"411227","
マルコ 12:27","(ところで)神は死人の神ではなく、生きている者の神である。
(だからアブラハム、イサクなども皆復活して、今生きているわけではないか。)あなた
達は大間違いをしている。」"
"411228","
マルコ 12:28","一人の聖書学者がこの議論を聞いていたが、イエスがあざやか
に答えられたのを見ると、進み出て尋ねた、「どの掟がすべてのうちで第一ですか。」"
"411229","
マルコ 12:29","イエスは答えられた、「第一はこれである。──“聞け、イスラ
エルよ、われわれの神なる主はただ一人の主である。"
"411230","
マルコ 12:30","心のかぎり、精神のかぎり、”思いのかぎり、“力のかぎり、あ
なたの神なる主を愛せよ。”"
"411231","
マルコ 12:31","第二はこれ。──“隣の人を自分のように愛せよ。”これら(二
つ)よりも大事な掟はほかにはない。」"
"411232","
マルコ 12:32","聖書学者が言った、「先生、ごりっぱです。“神はただ一人であ
る、彼のほかに神はない”とは、本当のことを言われました。"
"411233","
マルコ 12:33","また“心のかぎり、知恵のかぎり、力のかぎり神を愛する”こ
とと、“隣の人を自分のように愛する”こととは、どんな“燔祭や犠牲”にも勝っており
ます。」"
"411234","
マルコ 12:34","イエスは彼がかしこく答えたのを見て、「あなたは神の国から遠
くない」と言われた。もうだれ一人、問おうとする者はなかった。"
"411235","
マルコ 12:35","イエスは宮で教えておられたとき、言い出された、「聖書学者は
どういう訳で『救世主はダビデの子である』と言うのであろうか。"
"411236","
マルコ 12:36","ダビデ自身が聖霊に感じてこう言った。──、“(神なる)主は
わが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、わたしがあなたの敵を(征
服して)あなたの足の下に置くまで』と。”"
"411237","
マルコ 12:37","(このように)ダビデ自身が救世主を主と言っているのに、ど
うして(その救世主が)ダビデの子であろうか。」大勢の群衆は喜んでイエスの話を聞い
ていた。"
"411238","
マルコ 12:38","またその教えの中で(こんなことを)言われた、「聖書学者に気
をつけよ。あの人たちは(人の目につくように)長い衣を着て歩くことや、市場で挨拶さ
れることや、"
"411239","
マルコ 12:39","礼拝堂の上席、宴会の上座が好きである。"
"411240","
マルコ 12:40","また寡婦の家を食いつぶし、長く、見かけばかりの祈りをする。
あの人たちは人一倍きびしい裁きを受けるであろう。」"
"411241","
マルコ 12:41","それから賽銭箱の真向いに坐って、群衆が賽銭箱に金を入れる
のを見ておられた。大勢の金持が沢山入れているとき、"
"411242","
マルコ 12:42","ひとりの貧乏な寡婦が来て、レプタ銅貨[五円]二つ、すなわ
ち(ローマの金で)一コドラントを入れた。"
"411243","
マルコ 12:43","イエスは弟子たちを呼びよせて言われた、「アーメン、わたしは
言う、あの貧乏な寡婦は、賽銭箱に入れただれよりも多く入れた。"
"411244","
マルコ 12:44","皆はあり余る中から入れたのに、あの婦人は乏しい中から、持
っていたものを皆、生活費全部を入れたのだから。」"
"411301","
マルコ 13:1","イエスが宮を出てゆかれるとき、一人の弟子が言う、「先生、御
覧なさい、なんと大きな石、なんと堂々たる建築でしょう!」"
"411302","
マルコ 13:2","イエスは言われた、「この大きな建築を見ているのか。このまま
重なっている石が一つもなくなるほど、くずれてしまうであろう。」"
"411303","
マルコ 13:3","オリブ山で宮の方を向いて坐っておられると、ペテロとヤコブと
ヨハネとアンデレとだけでイエスに尋ねた、"
"411304","
マルコ 13:4","「(宮がくずれると言われますが、)そのことはいつ起るか、また、
(世の終りが来て)すべてのことが実現しようとする時には、どんな前兆があるか、話し
てください。」"
"411305","
マルコ 13:5","そこでイエスが話し出された。──「人に迷わされないように気
をつけよ。"
"411306","
マルコ 13:6","いまに多くの人があらわれて、『(救世主は)わたしだ』と言って
わたしの名を騙り、多くの人を迷わすにちがいない。"
"411307","
マルコ 13:7","戦争(を目のあたりに見たり、)また戦争の噂を聞いた時に、あ
わてるな。“それはおこらねばならないことである”が、しかしまだ最後ではない。"
"411308","
マルコ 13:8","(世の終りが来る前に、)“民族は民族に、国は国に向かって(敵
となって)立ち上がる”のだから。またここかしこに地震があり、飢饉がある。(だが)
これは(まだ、新しい世界が生まれるための)陣痛の始めである。"
"411309","
マルコ 13:9","しかしあなた達は(こんな外の出来事よりも)自分のことに気を
つけておれ。あなた達は裁判所に引き渡され、礼拝堂で打たれる。また、わたし(の弟子
であるが)ゆえに、総督や王の前に立たされるであろう。これは、その人たちに(福音を)
証しする(機会を与えられる)ためである。"
"411310","
マルコ 13:10","(終りの日が来る前に)福音はまずすべての国の人に説かれね
ばならないのだから。"
"411311","
マルコ 13:11","人々があなた達を引いていって(裁判所や役人に)引き渡した
時には、何を言おうかと取越し苦労をするな。なんでもその時に(神から)授かるもの、
それを言えばよろしい。言うのはあなた達でなく、聖霊だから。"
"411312","
マルコ 13:12","また兄弟は兄弟を、父は子を、殺すために(裁判所に)引き渡
し、“子は親にさからい立って”これを殺すであろう。"
"411313","
マルコ 13:13","あなた達はわたしの弟子であるために皆から憎まれる。しかし
最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
"411314","
マルコ 13:14","しかし“(聖なる所を)荒す忌わしい者が”立ってはならない(聖
なる)所に立つのを見たら[読者は(ここに隠された意味を)よく考えるがよい]、その
時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。"
"411315","
マルコ 13:15","屋根の上におる者は、下におりて家に入って何か取りだそうと
するな。"
"411316","
マルコ 13:16","畑におる者は上着を取りに“家にもどる”な。"
"411317","
マルコ 13:17","それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわ
いそうだ!"
"411318","
マルコ 13:18","このことが冬にならないように祈れ。"
"411319","
マルコ 13:19","それらの日には、神が(天地を)創造された“その創造の始め
から今日までになかった、”また(これからも)決してない“ような苦難が”臨むのだか
ら。"
"411320","
マルコ 13:20","もし主がこれらの(苦難の)日を短くされなかったら、だれ一
人助かる者はあるまい。しかし選びをうけた、選ばれた人々のために、これらの日を短く
してくださっているのである。"
"411321","
マルコ 13:21","またその時『ここに救世主が!』、『かしこに!』と言う者があ
っても、信ずるな。"
"411322","
マルコ 13:22","偽救世主たち、“偽預言者たちが”あらわれて、“奇蹟や不思議
なことを行い、”あわよくば、選ばれた人々を惑わそうとするのである。"
"411323","
マルコ 13:23","だからあなた達、気をつけておれ。あなた達には皆前もって言
っておく。"
"411324","
マルコ 13:24","しかしそれらの日には、こんな苦難の後に、“日は暗く、月は光
を放たず、”"
"411325","
マルコ 13:25","“星は”天から“落ち、もろもろの天体が”震われるであろう。
"
"411326","
マルコ 13:26","するとその時、人々は“人の子(わたし)が”大いなる権力と
栄光とをもって、“雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"411327","
マルコ 13:27","するとその時、人の子は天使たちをやって、地の“果てから天
の果てまで”“四方から、”選ばれた人々を“集めるであろう。”"
"411328","
マルコ 13:28","無花果の木で(この神の国の)譬を学ぶがよい。──枝がすで
に柔らかになって葉が出ると、夏が近いと知るのである。"
"411329","
マルコ 13:29","そのようにあなた達も、これらのことがおこるのを見たら、人
の子(わたし)が門口近く来ていることを知れ。"
"411330","
マルコ 13:30","アーメン、わたしは言う、これらのことが一つのこらずおこっ
てしまうまでは、この時代は決して消え失せない。"
"411331","
マルコ 13:31","天地は消え失せる。しかし(いま言った)わたしの言葉は消え
失せない。"
"411332","
マルコ 13:32","ただし、(人の子の来る)その日また時間は、父上のほかだれも
知らない。天の使たちも、子(であるわたし自身)も知らない。"
"411333","
マルコ 13:33","気をつけよ、油断するな。あなた達はその時がいつであるか、
知らないのだから。"
"411334","
マルコ 13:34","それはちょうど、ある人が旅行に出かけようとして家を出ると
き、僕たちに全権をゆだねてひとりびとりに仕事をわりあて、また門番には目を覚まして
おれ、と言いつけるようなものである。"
"411335","
マルコ 13:35","だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は家の主人がい
つかえって来るか、夕方か、夜中か、一番鶏か、それとも夜明けかを知らないのだから。"
"411336","
マルコ 13:36","だしぬけに主人がかえって来て、あなた達の眠っているのを見
ないとはかぎらない。"
"411337","
マルコ 13:37","わたしはあなた達に言うことをすべての人に言う、『目を覚まし
ておれ』と。」"
"411401","
マルコ 14:1","過越の祭と種なしパンの祭との二日前になった。大祭司連と聖書
学者たちは、どんな計略でイエスを捕えて殺そうかと考えていた。"
"411402","
マルコ 14:2","「(早く片付けよう。)祭の時(に手を下して)はいけない。人民
どもが騒動を起すかも知れない」と言っていたのである。"
"411403","
マルコ 14:3","ベタニヤで癩病人シモンの家におられるとき、食卓についておら
れると、一人の女が混ぜ物のない、非常に高価なナルドの香油のはいった石膏の壷を持っ
て来て、その壷をこわし、(香油をすっかり)イエスの頭に注ぎかけた。"
"411404","
マルコ 14:4","数人の者は(これを見て、こう言って)互に憤慨した、「香油を、
なぜこんなもったいないことをしたのだろう。"
"411405","
マルコ 14:5","この香油は三百デナリ[十五万円]以上にも売れて、貧乏な人に
施しが出来たのに。」そして女にむかっていきり立った。"
"411406","
マルコ 14:6","イエスは言われた、「構わずにおきなさい。なぜいじめるのか。
わたしに良いことをしてくれたのだ。"
"411407","
マルコ 14:7","貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるから、したい時に慈善
をすることが出来る。だがわたしはいつも一しょにいるわけではない。"
"411408","
マルコ 14:8","この婦人はできるかぎりのことをした。──前もってわたしの体
に油をぬって、葬る準備をしてくれたのである。"
"411409","
マルコ 14:9","アーメン、わたしは言う、世界中どこででも(今後)福音の説か
れる所では、この婦人のしたことも、その記念のために(一しょに)語りつたえられるで
あろう。」"
"411410","
マルコ 14:10","ここに十二人の(弟子の)一人であるイスカリオテのユダは、
イエスを売ろうとして大祭司連の所に出かけた。"
"411411","
マルコ 14:11","彼らは聞いて喜び、金をやる約束をした。ユダはどうしてイエ
スを引き渡そうかと、よい機会をねらっていた。"
"411412","
マルコ 14:12","種なしパンの祭の初めの日、すなわち過越の小羊を屠る日(の
朝)、弟子たちがイエスに言う、「どこへ行って過越のお食事の支度をしましょうか。」"
"411413","
マルコ 14:13","そこでイエスはこう言って二人の弟子を使にやられる、「都まで
行ってきなさい。水瓶をかついだ男に出合うから、そのあとについて行って、"
"411414","
マルコ 14:14","どこでもその人が入ってゆく(家に入って、)家の主人に、『わ
たしが弟子たちと一しょに過越の食事をする部屋はどこか、と先生が言われる』と言いな
さい。"
"411415","
マルコ 14:15","すると主人は敷物のしいてある、用意のできた大きな二階座敷
に案内してくれるから、そこでわたし達のために(食事の)支度をしなさい。」"
"411416","
マルコ 14:16","(二人の)弟子たちは出かけて都に行って見ると、はたしてイ
エスの言葉どおりだったので、(そこで)過越の食事の支度をした。"
"411417","
マルコ 14:17","夕方になると、イエスは十二人をつれて(そこに)来られる。"
"411418","
マルコ 14:18","彼らが席について食事をしているとき、イエスは言われた、「ア
ーメン、わたしは言う、あなた達のうちの一人、“わたしと一しょに食事をする者が、”わ
たしを(敵に)売ろうとしている!」"
"411419","
マルコ 14:19","(これを聞くと)弟子たちは悲しくなって、「(先生、)わたしで
はないでしょう!」(「わたしではないでしょう!」)と、ひとりびとりイエスに言い始め
た。  "
"411420","
マルコ 14:20","イエスは言われた、「十二人の一人、わたしと一しょにひとつ鉢
から食べる者だ。"
"411421","
マルコ 14:21","人の子(わたし)は(聖書に)書いてあるとおりに死んでゆく
のだから。だが人の子を売るその人は、ああかわいそうだ!生まれなかった方がよっぽど
仕合わせであった。」"
"411422","
マルコ 14:22","(ユダが立ち去ったあと、)彼らが食事をしているとき、イエス
は(いつものように)パンを(手に)取り、(神を)讃美して裂き、弟子たちに渡して言
われた、「取りなさい、これはわたしの体である。」(皆がそれを受け取って食べた。)"
"411423","
マルコ 14:23","また杯を取り、(神に)感謝したのち彼らに渡されると、皆がそ
の杯から飲んだ。"
"411424","
マルコ 14:24","彼らに言われた、「これは多くの人のために流す、わたしの“約
束の血”である。"
"411425","
マルコ 14:25","アーメン、わたしは言う、神の国で新しいのを飲むその日まで、
わたしはもう決して、葡萄の木に出来たものを飲まない。」"
"411426","
マルコ 14:26","(食事がすむと、)みなで讃美歌をうたったのち、オリブ山へ出
かけた。(もう真夜中すぎであった。)"
"411427","
マルコ 14:27","(道で)イエスは弟子たちに言われる、「(今夜)あなた達は、
一人のこらず(信仰に)つまずくであろう。(聖書に)“わたしは羊飼を打つ、羊はちりぢ
りになるであろう”と書いてあるからである。(羊飼はわたし、羊はあなた達である。)"
"411428","
マルコ 14:28","しかしわたしは復活した後、あなた達より先にガリラヤに行く。
(そこでまた会おう。)」"
"411429","
マルコ 14:29","するとペテロは言った、「仰せのとおり皆がつまずいても、この
わたしはつまずきません。」"
"411430","
マルコ 14:30","イエスはペテロに言われる、「アーメン、わたしは言う、きょう
今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度、わたしを知らないと言う。」"
"411431","
マルコ 14:31","するとペテロが躍起となって言った、「たとえご一しょに死なね
ばならなくても、あなたを知らないなどとは、決して申しません。」皆も異口同音にこた
えた。"
"411432","
マルコ 14:32","やがて(オリブ山の麓の)ゲッセマネと呼ばれる地所に着いた。
イエスは弟子たちに言われる、「わたしの祈りがすむまで、ここに坐って(待って)おれ。」
"
"411433","
マルコ 14:33","そしてペテロとヤコブとヨハネ(だけ)を連れて(奥の方へ)
ゆかれると、(急に)おびえ出し、おののきながら"
"411434","
マルコ 14:34","彼らに言われる、「“心がめいって、”“死にたいぐらいだ。”ここ
をはなれずに、目を覚ましていてくれ。」"
"411435","
マルコ 14:35","そしてなお少し(奥に)進んでいって、地にひれ伏し、出来る
ことなら、この時が自分の前を通りすぎるようにと祈って"
"411436","
マルコ 14:36","言われた、「アバ、お父様、あなたはなんでもお出来になります。
どうかこの杯をわたしに差さないでください。しかし、わたしの願いでなく、お心がなれ
ばよいのです。」"
"411437","
マルコ 14:37","やがて来て、彼らが眠っているのを見ると、ペテロに言われる、
「シモン、眠っているのか。たった一時間も目を覚ましておられないのか。"
"411438","
マルコ 14:38","あなた達、目を覚まして、誘惑に陥らないように祈っていなさ
い。心ははやっても、体が弱いのだから。」"
"411439","
マルコ 14:39","それからまた向こうへ行って、同じ言葉で祈り、"
"411440","
マルコ 14:40","また来て見られると、彼らはまたもや眠っていた。(悲しみのた
めに疲れて、)瞼が重かったのである。イエスになんと答えてよいかもわからなかった。"
"411441","
マルコ 14:41","三度目に来て、(また眠っているのを見ると)言われる、「もっ
と眠りたいのか。休みたいのか。もうそのくらいでよかろう。時が来た。そら、人の子は
罪人どもの手に渡されるのだ。"
"411442","
マルコ 14:42","立て。行こう。見よ、わたしを売る者が近づいてきた!」"
"411443","
マルコ 14:43","イエスの言葉がまだ終らぬうちに、早くも十二人の一人のユダ
があらわれる。大祭司連、聖書学者、長老のところから派遣された一群の人が、剣や棍棒
を持ってついて来た。"
"411444","
マルコ 14:44","イエスを売る者は、「わたしが接吻するのがその人だ。それを捕
えて、手ぬかりなく引いてゆけ」と、(あらかじめ)合図をきめておいた。"
"411445","
マルコ 14:45","そこで、来るや否やイエスに近寄って、「先生」と言って接吻し
た。"
"411446","
マルコ 14:46","人々がイエスに手をかけて捕えた。"
"411447","
マルコ 14:47","(イエスの)そばに立っていたひとりの人が剣を抜いて大祭司
の下男に切りつけ、片耳をそぎ落してしまった。"
"411448","
マルコ 14:48","イエスは人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒
を持ってつかまえに来たのか。"
"411449","
マルコ 14:49","わたしは毎日宮にいてあなた達の所で教えていたのに、捕えず
において、(どうして今、こんな真夜中に来たのか。)しかしこれは、(救世主は罪人のよ
うにあつかわれるという)聖書の言葉が成就するためである。」"
"411450","
マルコ 14:50","一人のこらずイエスをすてて逃げた。"
"411451","
マルコ 14:51","ある青年が素肌に亜麻布をひっかけて、イエスについて来てい
た。人々が捕えようとすると、"
"411452","
マルコ 14:52","亜麻布を(人々の手に)残して裸で逃げていった。"
"411453","
マルコ 14:53","イエスを大祭司(カヤパ)の所に引いてゆくと、(最高法院の役
人、すなわち)大祭司連、長老、聖書学者たちが全部集まってきた。"
"411454","
マルコ 14:54","ペテロは見えがくれにイエスについて大祭司(官邸)の中庭ま
ではいって行き、下役らと一しょにすわって、火にあたっていた。"
"411455","
マルコ 14:55","大祭司連をはじめ全最高法院は、イエスを死刑にするためしき
りにイエスに不利な証言をさがしたが、見つからなかった。"
"411456","
マルコ 14:56","イエスに不利な偽証をする者は多かったが、その証言は合わな
かったのである。  "
"411457","
マルコ 14:57","すると数人の者があらわれ、イエスに不利な偽証をして言った、
"
"411458","
マルコ 14:58","「わたし達はこの人が、『自分は(人間の)手で造ったこのお宮
をこわして、手で造らない別のお宮を三日のうちに建てる』と言うのを聞いた。」"
"411459","
マルコ 14:59","しかし今度も証言が合わなかった。"
"411460","
マルコ 14:60","そこで大祭司は立ち上がり、真中に進み出てイエスに問うた、
「何も答えないのか。この人たちは(あんなに)お前に不利益な証言をしているが、あれ
はどうだ。」"
"411461","
マルコ 14:61","しかしイエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭
司がふたたび問うて言う、「お前が、讃美されるお方の子、救世主か。」"
"411462","
マルコ 14:62","するとイエスは(はじめて口を開いて)言われた、「そうだ、わ
たしだ。あなた方は“人の子(わたし)が”“大能の(神の)右に坐り、”“天の雲に囲ま
れて来るのを”見るであろう。」"
"411463","
マルコ 14:63","すると大祭司は自分の着物を引き裂いて言う、「これ以上、なん
で証人の必要があろう。"
"411464","
マルコ 14:64","諸君は(今、おのれを神の子とする許しがたい)冒涜を聞かれ
た。(この者の処分について)御意見を承りたい。」満場一致で、死罪を相当とすると決定
した。"
"411465","
マルコ 14:65","(法院の役人たちの)中にはイエスに唾をかけ、目隠しをして
拳でうちながら、「(だれだか)当ててみろ」と言った者もあった。下役らはイエスにいく
つも平手打ちをくらわせた。"
"411466","
マルコ 14:66","ペテロは下の中庭にいたが、大祭司の女中が一人来て、"
"411467","
マルコ 14:67","ペテロが火にあたっているのを見ると、じっと見つめながら、
「あなたもあのナザレ人と一しょだった、あのイエスと」と言う。"
"411468","
マルコ 14:68","しかしペテロは、「あなたが何を言っているのかわからない、見
当もつかない」と言って打ち消した。そして前庭に出てゆくと、鶏が鳴いた。(すると)"
"411469","
マルコ 14:69","その女中がペテロを見て、そばに立っていた人たちに、またも
「この人はあの仲間だ」と言い出した。"
"411470","
マルコ 14:70","ペテロはまた打ち消した。しばらくすると、そばに立っていた
人たちがまたペテロに言った、「確かにあの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから。」"
"411471","
マルコ 14:71","しかしペテロは、「あなた達が言っているそんな男は知らない。
(これが嘘なら、呪われてもよい)」と、幾たびも呪いをかけて誓った。"
"411472","
マルコ 14:72","するとすぐ、二度目に鶏が鳴いた。ペテロは、「鶏が二度鳴く前
に、三度、わたしを知らないと言う」とイエスに言われた言葉を思い出して、わっと泣き
だした。(いつまでも涙が止まらなかった。)"
"411501","
マルコ 15:1","夜が明けるとすぐ、大祭司連は長老、聖書学者と共に、すなわち
全最高法院で決議をすませたのち、イエスを縛り、引いていって(総督ピラトに)渡した。
"
"411502","
マルコ 15:2","ピラトはイエスに問うた、「お前が、ユダヤ人の王か。(お前はそ
の廉で訴えられているが。)」答えて言われる、「(そう言われるならば)御意見にまかせ
る。」"
"411503","
マルコ 15:3","大祭司連が(いろいろ罪状をあげて、)しきりにイエスを訴えた。
"
"411504","
マルコ 15:4","そこで、またピラトが問うた、「何も答えないのか。そら、あん
なにお前を訴えているではないか。」"
"411505","
マルコ 15:5","しかしイエスはもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは
不思議に思った。"
"411506","
マルコ 15:6","さてピラトは(過越の)祭の都度、人民から願い出る囚人を一人
だけ(特赦によって)赦していた。"
"411507","
マルコ 15:7","ところが暴動の折、人殺しをして繋がれていた暴徒の中に、バラ
バという者があった。"
"411508","
マルコ 15:8","群衆が(官邸に)上がってきて、いつもするように(してもらい
たい)と願い始めた。"
"411509","
マルコ 15:9","ピラトは答えて言った、「あのユダヤ人の王を赦してもらいたい
のか。」"
"411510","
マルコ 15:10","ピラトは大祭司連が妬みからイエスを引き渡したことを知って
いたのである。"
"411511","
マルコ 15:11","しかし大祭司連は、(彼よりは)バラバの方を赦してもらえと群
衆を煽動した。"
"411512","
マルコ 15:12","ピラトはまた彼らに言った、「では、お前たちがユダヤ人の王と
言っているあの人を、どうしようか。」"
"411513","
マルコ 15:13","「それを十字架につけろ」とまた人々が叫んだ。"
"411514","
マルコ 15:14","ピラトは言った、「いったいどんな悪事をはたらいたというの
か。」しかし人々はいよいよ激しく、「それを十字架につけろ」と叫んだ。"
"411515","
マルコ 15:15","ピラトは群衆の機嫌を取ろうと思ってバラバを赦してやり、イ
エスを鞭打ったのち、十字架につけるため(兵卒)に引き渡した。"
"411516","
マルコ 15:16","兵卒らは官邸、すなわち総督官舎、の中にイエスを引いてゆき、
(王の茶番狂言を見せるために)全部隊を呼びあつめた。"
"411517","
マルコ 15:17","彼らはイエスに紫の衣を着せ、茨の冠を編んでかぶらせて(王
に仕立てたのち、)"
"411518","
マルコ 15:18","「ユダヤ人の王、万歳!」と(叫んで)喝采した。"
"411519","
マルコ 15:19","それから葦(の棒)で頭をたたき、唾をかけ、ひざまずいてお
がんだ。"
"411520","
マルコ 15:20","こうしてなぶった後、紫の衣を脱がせてもとの着物を着せた。
兵卒らはイエスを十字架につけるために(都から)引き出した。"
"411521","
マルコ 15:21","するとアレキサンデルとルポスとの父であるシモンというクレ
ネ人が、野良から来て通りかかったので、有無を言わせずイエスの十字架を負わせる。(イ
エスにはもう負う力がなかったのである。)"
"411522","
マルコ 15:22","兵卒らはイエスをゴルゴダという所──訳すると「髑髏の所」
──につれて行く。"
"411523","
マルコ 15:23","人々は(苦痛をやわらげるために)没薬をまぜた葡萄酒をやろ
うとしたが、お受けにならなかった。"
"411524","
マルコ 15:24","兵卒らはイエスを十字架につける。それから、だれが何を取る
かと、“籤を引いて、”その“着物を自分たちで分ける、”"
"411525","
マルコ 15:25","十字架につけたのは朝の九時であった。"
"411526","
マルコ 15:26","罪状札には ユ ダ ヤ 人 の 王と書いてあった。"
"411527","
マルコ 15:27","またイエスと共に二人の強盗を、一人をその右に、一人を左に
十字架につけた。"
"411528","
マルコ 15:28","(無し)"
"411529","
マルコ 15:29","通りかかった人々が“頭をふりながら、”こう言ってイエスを冒
涜した、「へへえ、お宮をこわして三日で建てるという人、"
"411530","
マルコ 15:30","自分を救ってみろ、十字架から下りてきて!」"
"411531","
マルコ 15:31","同じように大祭司連も、聖書学者と一しょに、こう言って(イ
エスを)なぶり合った、「あの男、人は救ったが、自分は救えない。"
"411532","
マルコ 15:32","救世主、イスラエルの王様が!今すぐ十字架から下りてくるが
よい。見たら信じてやるのに!」一しょに十字架につけられた二人(の強盗)も、イエス
を罵った。"
"411533","
マルコ 15:33","昼の十二時になると、地の上が全部暗闇になってきて、三時ま
でつづいた。"
"411534","
マルコ 15:34","三時に、イエスは大声を出して“エロイ エロイ ラマ サバ
クタニ!”と叫ばれた。訳すると、“わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見
捨てになりましたか!”である。"
"411535","
マルコ 15:35","そばに立っていた人たちのうちにはこれを聞いて、「そら、エリ
ヤを呼んでいる」と言った者が何人かあった。(エロイをエリヤと聞きちがえたらしい。)"
"411536","
マルコ 15:36","ひとりが駆けていって、“酸っぱい葡萄主を”海綿に含ませ、葦
(の棒の先)につけて、「(もう少し生かしておいて、)エリヤが下ろしに来るかどうか、
見ていよう」と言いながら、イエスに“飲ませようとした。”"
"411537","
マルコ 15:37","しかしイエスは(それを受けず)大声を放たれるとともに、息
が絶えた。"
"411538","
マルコ 15:38","(その途端に、)宮の(聖所の)幕が上から下まで真っ二つに裂
けた。"
"411539","
マルコ 15:39","イエスと向かい合ってそばに立っていた百卒長は、こんなにし
て息が絶えたのを見て、「この方は確かに神の子であった」と言った。"
"411540","
マルコ 15:40","また遠くの方から眺めていた女たちもいた。そのうちにはマグ
ダラのマリヤ、小男ヤコブとヨセとの母マリヤ、およびサロメもいた。"
"411541","
マルコ 15:41","──この三人はイエスがまだガリラヤにおられた時に、ついて
回って仕えていた人たちである。──(そこには)このほかに、イエスと一しょにエルサ
レムに上ってきた多くの女たちもいた。"
"411542","
マルコ 15:42","もはや夕方になった。その日は支度日、すなわち安息日の前の
日[金曜日]であったので、(日が暮れると安息日になって、死体を十字架にかけておく
ことを許されなかった。そこで)"
"411543","
マルコ 15:43","名望の高い最高法院の議員であるアリマタヤ生まれのヨセフが
来て、臆することなくピラトの所に行き、イエスの体(の下げ渡し)を乞うた。彼も神の
国(の来るの)を待ち望んでいた一人であった。"
"411544","
マルコ 15:44","ピラトはイエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百
卒長を呼んで、とうに死んだかどうかを尋ね、"
"411545","
マルコ 15:45","百卒長からそうと聞くと、なきがらをヨセフに下げ渡した。"
"411546","
マルコ 15:46","そこでヨセフは(日が暮れぬうちにと大急ぎで)亜麻布を買い、
イエスを(十字架から)下ろして亜麻布で巻き、岩に掘ってあった墓に横たえ、墓の入口
に石をころがしておいた。"
"411547","
マルコ 15:47","マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、なきがらの納められ
た所を見ていた。"
"411601","
マルコ 16:1","(翌日、日が暮れて)安息日が終ると、マグダラのマリヤとヤコ
ブの母マリヤとサロメとは、イエス(の体)に油を塗りに行くために、(油にまぜる)香
料を買いととのえた。"
"411602","
マルコ 16:2","そして(あくる朝、すなわち)週の初めの日[日曜日]の朝、ご
く早く、日が出ると墓場に行く。"
"411603","
マルコ 16:3","「だれか墓の入口から石をころがしてくれる者があるだろうか」
と互に話しながら、"
"411604","
マルコ 16:4","(ふと)目をあげて見ると、石はもうころがしてあった。(彼ら
が心配したのは)石が非常に大きかったからである。"
"411605","
マルコ 16:5","墓に入ると、白い衣をきた一人の青年が右手の方に坐っているの
を見たので、ぎょっとした。"
"411606","
マルコ 16:6","青年は彼らに言う、「驚くに及ばない。あなた達は十字架につけ
られたナザレ人イエスをさがしているが、もう復活されて、ここにはおられない。そら、
ここがお納めした場所だ。"
"411607","
マルコ 16:7","さあ行って、弟子たち、とりわけペテロに、『イエスはあなた達
より先にガリラヤに行かれる。(前に)あなた達に言われたとおり、そこでお目にかかれ
る』と言いなさい。」"
"411608","
マルコ 16:8","女たちは墓から逃げ出した。びっくりして震えあがったのである。
そしてだれにも何も言わなかった、恐ろしかったので。……"
"411609","
マルコ 16:9","【さて週の第一日の朝早く復活して、まずマグダラのマリヤに自
分を現わされた。以前に七つの悪鬼を追い出していただいた女である。"
"411610","
マルコ 16:10","この女は、(御在世中)おそばにいた人たちが泣き悲しんでいる
ところに行って知らせたが、"
"411611","
マルコ 16:11","この人たちは、(今)生きておられること、彼女がそれを見たこ
とを聞いても、信じなかった。"
"411612","
マルコ 16:12","そのあとで、そのうちの二人が田舎の方へ歩いて行く途中、別
の姿で自分を現わされた。"
"411613","
マルコ 16:13","この人たちも、行って残りの人たちに知らせたが、この人たち
(の言うこと)も信じなかった。"
"411614","
マルコ 16:14","その後、十一人(の弟子)が食事をしているとき自分を現わし
て、彼らの不信仰と心の頑固とをお責めになった。復活されたのを見た人々(の言うこと)
を信じなかったからである。"
"411615","
マルコ 16:15","彼らに言われた、「行って、全世界のすべての人間に福音を説け。
"
"411616","
マルコ 16:16","信じて洗礼を受ける者は救われ、信じない者は罰せられる。"
"411617","
マルコ 16:17","そして信じた者(の伝道)には、次のような(不思議な)徴が
伴うであろう。──わたしの名を使って悪鬼を追い出し、新しい(霊の)言葉を話し、"
"411618","
マルコ 16:18"," 蛇をつかむことができ、たとえ毒を飲んでも決して害をうけず、
病人に手をのせれば(かならず)癒えるであろう。」
"411619","
マルコ 16:19"," 主は(このように)彼らに語った後、“天にあげられて”“神の
右にお座りになり、”
"411620","
マルコ 16:20"," 弟子たちは出ていって到る所で教えを説いた。すると主は彼ら
と共に働いて、(その伝道に)いろいろな(不思議な)徴をともなわせ、(彼らが説く)御言
葉(の正しいこと)を保証された。】

 別 の 附 録

【しかし女たちは(今)命じられたことの一切を、手短かにペテロたちに告げた。そのあ
とで、イエス自身も彼らをもって、東から西まで、永遠の救いの、聖なる朽ちざるおとず
れを、おくられた。】

 ルカ福音書
ルカ一章
"420101","
わたし達の間で(近ごろひとまず)完結しました出来事を、(すなわち、イエス・
キリストの福音の発端から、それがローマにまで伸びていったことの顛末を、)"
"420102","
最初から実際に見た人たちと御言葉の伝道にたずさわった人たちとが(語り)
伝えてくれたとおりに、一つの物語に編もうと企てた人が数多くありますので、"
"420103","
テオピロ閣下よ、わたしも一切の事の次第を始めから精密に取り調べましたか
ら、今順序を正して書き綴り、これを閣下に奉呈して、"
"420104","
閣下が(今日までこのことについて)聞かれた話が、決して間違いでなかった
ことを知っていただこうと思ったのであります。"
"420105","
ユダヤのヘロデ(大)王の代に、ザカリヤというアビヤ組の祭司があった。妻
は、(これも大祭司)アロンの末で、名をエリサベツといった。"
"420106","
二人とも主の掟と定めとを皆落度なく守って、神の目に(さえ)正しくあった。
"
"420107","
しかしエリサベツが石女であったので、子がなく、かつふたりとももう年を取
っていた。"
"420108","
さてザカリヤの組が当番で、宮にて祭司の務をしていた時のこと、"
"420109","
(ある日)彼が祭司職の習わしに従って籤を引いたところ、主の聖所に入って
香をたく役目にあたった。"
"420110","
(きょうザカリヤには一生にただ一度ゆるされる幸運がのぞんだのである。ザ
カリヤが)香をたいている時、一般の民衆は皆(いつものとおり)外で祈っていた。"
"420111","
(すると)突然一人の主の使がザカリヤに現われ、香壇の右、(ザカリヤの向か
って左)に立っていた。"
"420112","
それを見てザカリヤは胸さわぎがし、恐ろしさが彼をおそった。"
"420113","
天使が言った、「ザカリヤ、“恐れることはない。あなたの”(かねての)祈りは
“聞きいれられた。”妻エリサベツは男の子を産むであろう。その名をヨハネとつけよ。"
"420114","
この子はあなたの喜びであり、楽しみであり、多くの人もその誕生を喜ぶであ
ろう。"
"420115","
主の前に大いなる者となるからである。“彼は決して葡萄酒や強い酒を飲まな
い。”(そのかわり)母の胎内からすでに聖霊に満たされ、(それに)酔っている。"
"420116","
彼は多くのイスラエルの子孫を、彼らの神なる主に立ち返らせるであろう。"
"420117","
(そればかりか、)“(預言者)エリヤの”霊と力とをもって主(救世主)の先駆
けをし、“父の心を(ふたたび)子に”(向けさせて家をきよめ、)また不従順な者を義人
と同じ考えに“立ち返らせて、”準備のできた民を主のために用意するであろう。」"
"420118","
ザカリヤが天使に言った、「(子をさずかる)その”証拠は何でしょうか。”わた
しは老人で、妻ももう年を取っております。」"
"420119","
天使が答えた、「わたしは(もったいなくも)神の前に立つガブリエルである。
あなたにこの喜びのおとずれを伝えるために遣わされたのである。"
"420120","
だからいま、あなたは唖になり、このことが成るその日まで、ものを言うこと
が出来ないであろう。これは、時が来ればかならず成就するわたしの言葉を信じなかった
罰である。」"
"420121","
(外で)待っている人々は、ザカリヤが聖所の中で暇どるのを不思議に思った。
"
"420122","
やがて出てくるには出てきたが、(仕来りの)祝福を人々に与えることが出来な
かったので、人々は彼が聖所の中で幻を見たことを知った。ザカリヤは身振りで示すばか
りで、口がきけずにいた。"
"420123","
そして(その組の七日の)務の日が終ると、家にかえった。"
"420124","
数日の後、妻エリザベツはみごもって、五か月のあいだ(家に)引き篭ってい
たが、彼女はこう考えるのであった、"
"420125","
「主はわたしに目をかけ、人中で“(子供のない)わたしの恥をそそいで”やろ
うとて、いまこの時にこのようにしてくださった」と。"
"420126","
(エリサベツがみごもってから)六か月目に(同じ)天使ガブリエルが、神か
らガリラヤのナザレという町の一人の乙女に遣わされた。"
"420127","
この乙女はダビデ(王)家の出であるヨセフという人と婚約の間柄で、名をマ
リヤといった。"
"420128","
天使は乙女の所に来て言った、「おめでとう、恵まれた人よ、主があなたとご一
しょだ!」"
"420129","
マリヤはこの言葉にびっくりして、いったいこの挨拶は何事であろうと考えま
どうた。"
"420130","
天使が言った、「マリヤよ、恐れることはない。神からお恵みをいただいたのだ
から。"
"420131","
見よ、あなたは子をさずかり、男の子が生まれる。その名をイエスとつけよ。"
"420132","
その子は大いなる者となり、いと高きお方の子と呼ばれる。神なる主は先祖“ダ
ビデの王位を”彼に与え、"
"420133","
彼は“永遠に”ヤコブの家の“王となり、”その国は果しなく続くであろう。」"
"420134","
マリヤが天使に言った、「まだ夫を知らぬわたしに、どうしてそんなことがあり
ましょうか。」"                              
"420135","
天使が答えた、「聖霊があなたの上に臨み、いと高きお方の力があなたを掩いか
くすであろう。それゆえ(あなたから)生まれるものは、“聖”であり、神の子“と呼ば
れる。”"
"420136","
実はあなたの親類のエリサベツも、あの老年で、男の子をさずかったのだ。石
女と言われていた女が、今月はもう六月になっている。"
"420137","
“神には何一つ出来ないことはない”のだから。」"
"420138","
マリヤは言った、「かしこまりました。わたしは主の召使、お言葉のとおりに成
りますように。」天使はマリヤをはなれ去った。"
"420139","
その後間もなくマリヤは立って、大急ぎでユダの山地のある町に行き、"
"420140","
ザカリヤの家に入ってエリサベツに挨拶した。"
"420141","
エリザベツがマリヤの挨拶を聞いた時、児が胎内で躍った。エリサベツは聖霊
に満たされ、"
"420142","
声高らかにさけんだ、「あなたは女の中で、(一番)祝福された方、あなたの胎
内のお子さまも(だれより)祝福されたお方です。"
"420143","
主の母上がわたしの所に来てくださるとは、まあどうしたのでしょう。"
"420144","
そら、あなたの挨拶の声がわたしの耳に入ると、児が胎内で喜んで躍りました。
"
"420145","
主の仰せられたことはきっと成就すると信じたこの人は、なんと仕合わせでし
ょう。」"
"420146","
マリヤが(神を讃美して)言った。──“わたしの心は主を”あがめ、"
"420147","
わたしの霊は、“救い主なる神を喜びたたえる、”"
"420148","
この“卑しい召使にまで目をかけてくださった”からです。きっと今からのち
代々の人々は、“わたしを仕合わせ者と言いましょう。”"
"420149","
力の強いお方がわたしに大きなことをしてくださったのです。“そのお方の名は
聖で、”"
"420150","
“その憐れみは千代よろず代とかぎりなく、そのお方を恐れる者にのぞみまし
ょう。”"
"420151","
“御腕にて”逞しきことを行い、心の思いの“高ぶる者を”“おい散らし、”"
"420152","
“権力者を”位から“引き下ろし、”“低い者を高うし、”"
"420153","
“飢えた者を宝で満たし、”“富める者を”“空手で追いかえされましょう。”"
"420154","
永遠に“その憐れみを忘れず、”“その僕イスラエルの民を助けてくださるでし
ょう、”"
"420155","
“われらの先祖たち、すなわちアブラハム”とその“子孫に”仰せられた“と
おりに。”"
"420156","
マリヤは三か月ほどエリサベツと一しょにいて、家に帰った。"
"420157","
月満ちて、エリサベツは男の子を産んだ。"
"420158","
近所の者や親類は、主がエリサベツに大きな憐れみをほどこされたと聞いて、
自分のことのように喜んだ。"
"420159","
(誕生から)八日目に、この人々が幼児に割礼を施すためにあつまったときの
こと、(慣例もあり)父の名にちなんでザカリヤと名をつけようとすると、"
"420160","
母親が、「いけません、ヨハネとつけなくては」と言って反対した。"
"420161","
彼らは、「あなたの親類には、そんな名前の者は一人もいない」とエリサベツに
言って、"
"420162","
父親に、何と名をつけたいかと身振りでたずねた。"
"420163","
ザカリヤは石板を頼んで、「あれの名はヨハネ」と書いたので、皆が不思議に思
った。"
"420164","
するとたちどころにザカリヤの口が開け舌が動き出してものが言えるようにな
り、神をほめたたえた。"
"420165","
近所の者に皆恐れが臨んだ。そしてこのことがことごとくユダヤの山地全体の
評判になったので、"
"420166","
聞いた者は皆これを胸におさめ、「この幼児はいったい何になるのだろう」と考
えた。主の(恵みの)御手もまたたしかにこの幼児に働いていたのである。"
"420167","
父ザカリヤはその時聖霊に満たされてこう預言した。──"
"420168","
“讃美すべきかな、イスラエルの神なる主!”“その民(イスラエル)を”心に
かけて“あがないを”なし、"
"420169","
わたし達のために、僕“ダビデの”家に救いの(力強い)“角(なる救い主)を
お立てになる”からである、"
"420170","
遠い昔から、聖なる預言者たちの口をもって仰せられたとおりに。"
"420171","
その角こそ、われらの“敵から、”“また”すべてわたし達を“憎む者の手から、”
すくう救いである。"
"420172","
主はこうして、“われらの先祖に憐れみを”ほどこし、また“その”聖なる“契
約、”"
"420173","
(すなわち)先祖“アブラハムにお立てになった”誓いを“おぼえ、”"
"420174","
わたし達を敵の手から救いだし、不安なく、主に奉仕させてくださるのである、
"
"420175","
全生涯を主の前に清く、正しく。"
"420176","
お前、幼児よ、お前はいと高きお方の預言者と呼ばれる。“主の”先駆けをして
“その道を用意し、”"
"420177","
罪の赦しによる救いを民に知らせるのだから。"
"420178","
これは(みな)われらの神の(深き)憐れみの御心によるのである。またその
憐れみによって、高き所よりの光がわたし達を訪れ、"
"420179","
“暗やみと死の陰とに住まう人々を照らし、”われらの足を“平和の道”へと導
くであろう。"
"420180","
幼児は大きくなり霊も強くなって、(洗礼者として)イスラエルの民の前にあら
われる日まで、荒野に(かくれて)いた。"
ルカ二章
"420201","
そのころ、全(ローマ)帝国の人口調査の勅令が皇帝アウグストから出た。"
"420202","
これは(ローマ政府)第一回の人口調査で、クレニオがシリヤの総督であった
ときに行われたものである。"
"420203","
すべての人が登録を受けるために、それぞれ自分の(生まれた)町にかえった。
"
"420204","
ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上
った。彼はダビデ家の出、またその血統であったからである。"
"420205","
すでに身重であった妻マリヤと共に、登録を受けるためであった。"
"420206","
するとそこにおる間に、マリヤは月満ちて、"
"420207","
初子を産み、産着にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には場所がなかったので
ある。"
"420208","
(その晩、)数人の羊飼がそのあたりで、野宿をしながら群の夜番をしていた。
"
"420209","
すると(突然)一人の主の使が(現われて)彼らに近づき、主の栄光が彼らの
まわりを照らしたので、羊飼たちはすっかりおびえてしまった。"
"420210","
天使が言った、「こわがることはない。いまわたしは、(イスラエルの)民全体
への大きな喜びのおとずれを、あなた達に伝えるのだから。"
"420211","
実は今夜ダビデの町に、あなた達のために一人の救い主がお生まれになった。
このお方が(かねて預言されていた)救世主なる主である。"
"420212","
あなた達はみどり児が産着にくるまれて飼葉桶に寝ているのを見る。それが(救
世主の)目印である。」"
"420213","
するとたちまち、おびただしい天使の群がその天使のところにあらわれて、神
を讃美して言った、──"
"420214","
いと高き所にては神に栄光、地上にては(いまや)平安、御心にかなう人々に
あり!"
"420215","
天使たちが彼らをはなれて天に去ると、羊飼たちは互に言った、「さあ、ベツレ
ヘムに行って、主が知らせてくださった出来事を見てこよう。」"
"420216","
そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼葉桶に寝ているみどり児とをさが
し出した。"
"420217","
彼らはそれを見ると、幼児について(天使に)告げられたことを(人々)に知
らせた。"
"420218","
聞く者は皆羊飼たちの話を不思議に思った。"
"420219","
しかしマリヤはこのことを皆胸にひめて、一人でじっと考えていた。"
"420220","
羊飼たちは、聞いたり見たりしたことがことごとく(天使の)話のとおりであ
ったので、神を崇め、讃美しながら引き返した。"
"420221","
八日過ぎて割礼の日が来ると、人々は、胎内に宿る前に天使からつけられたイ
エスという名を、幼児につけた。"
"420222","
両親はモーセ律法による彼らの“清めの日(四十日)が過ぎる”と、幼児をつ
れてエルサレムに上った。"
"420223","
これは主の律法に、“はじめて生まれた男の子は皆主に聖別しなければならな
い”と書いてあるとおりに、これを主に捧げるため、"
"420224","
また(母親の清めについて)主の律法に、“山鳩一番か雛鳩二羽(を捧げねばな
らない)”とある規定によって、犠牲を供えるためであった。"
"420225","
さて(そのころ)エルサレムに名をシメオンという人がいた。この人は正しい、
信心深い人で、イスラエルの慰め(である救世主)を待ち望み、聖霊が彼をはなれなかっ
た。"
"420226","
かつ主の救世主を見ないうちは決して死なないと、かねて聖霊からお告げを受
けていた。"
"420227","
(この日)御霊に感じて宮に行くと、ちょうど両親が、律法の仕来りどおり幼
児イエスに行おうとして彼をつれて入ってきたので、"
"420228","
シメオンは幼児を両腕に抱き、こう言って神を讃美した。──"
"420229","
今こそ、主よ、あなたはこの僕をしてお言葉のとおり安らかに(この世に)暇
乞いをさせてくださいます、"
"420230","
わたしの目が“もうあなたの救いを拝見しました”からです。"
"420231","
この救いこそ、あなたが“全人類の(ため、その)目の前で”用意されたもの、
"
"420232","
“異教人には啓示を、”あなたの民“イスラエルには栄光をあたえる”“光”で
あります。"
"420233","
幼児のことをこのように言うのを父と母とが不思議に思っていると、"
"420234","
シメオンは両親を祝福し、母マリヤに言った、「驚きなさるなよ、この幼児はイ
スラエルの多くの人を、(この方に対する態度によって)倒されたり立たせたりする、ま
た、一つの目印となって(この世の烈しい)反対をうける、使命を負わされているのです。
──"
"420235","
(母人よ、)あなたも劔で胸を刺しつらぬかれ(る苦しみをせ)ねばなりますま
い。──これは多くの人の心の(隠れた)考えを外に出させるためなのです。」"
"420236","
また、アセル族のパヌエルの娘に、アンナという女預言者があった。非常に年
を取っていて、娘時代の後、七年の結婚生活をおくり、"
"420237","
(その後)八十四歳(の今日)まで寡婦ぐらしをしていた。(片時も)宮を離れ
ず、夜も昼も断食と祈りとをもって(神に)奉仕していたが、"
"420238","
(シメオンが預言している)ちょうどその時、近寄ってきて(幼児について)
神に感謝をささげ、またエルサレムの人々のあがないを待ち望むみんなの人に、この幼児
のことを話した。"
"420239","
両親は主の律法のさだめをすべて果すと、ガリラヤの自分の町ナザレに帰った。
"
"420240","
幼児は大きくなり強くなって、知恵満ち、神の恵みが彼をはなれなかった。"
"420241","
さてイエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムに行った。"
"420242","
イエスが十二歳になった時、両親は(その)祭の習わしに従って、(彼を連れて
都へ)上った。"
"420243","
(祭の)日が終って帰る時、イエス少年はエルサレムにのこったのに、両親は
それを知らなかった。"
"420244","
道連れの中にいるとばかり思って、一日路を行ったのち、(はじめてそれに気づ
き、)親類、知人の中を捜したけれども、"
"420245","
見つからないので、捜しながらエルサレムに引き返した。"
"420246","
そして(都を出て)三日の後に、イエスが宮で教師たちの真中に坐って、話を
聞いたり尋ねたりしているのを見つけた。"
"420247","
彼の話を聞いている人々は皆、その賢いうけこたえぶりに舌をまいていた。"
"420248","
両親はこれを見て驚き、母が言った、「坊や、どうしてこんなことをしましたか。
ごらん、お父さまもわたしも(こんなに)心配して、あなたをさがしているではありませ
んか。」"
"420249","
彼らに答えられた、「なぜおさがしになったのです。わたしが(天の)お父さま
の家に居るのは当り前でしょう。御存知なかったのですか。」"
"420250","
両親にはこう言われた言葉(の意味)がわからなかった。"
"420251","
それからイエスは一しょに(エルサレムから)下ってナザレに帰り、両親につ
かえられた。母(マリヤ)はこのことを皆胸に秘めていた。"
"420252","
イエスは知恵も身の丈も、”また神と人との寵愛も、いやましに増していった。”
"
"420301","
(ローマの)皇帝テベリオの治世の十五年目、ポンテオ・ピラトはユダヤの総
督、ヘロデ・(アンテパス)はガリラヤの領主、その兄弟ピリポはイツリヤおよびテラコ
ニテ地方の領主、ルサニヤはアビレネの領主、"
"420302","
(そして)アンナスとカヤパとが大祭司であった時、神の(お召しの)言葉が、
(ユダヤの)荒野でザカリヤの子ヨハネにくだった。"
"420303","
そこでヨハネは(救世主の道を用意するため、)ヨルダン川沿岸の地全体へ行っ
て、罪を赦されるための悔改めの洗礼を説いた。"
"420304","
預言者イザヤの預言集に書いてあるとおりである。──“荒野に叫ぶ者の声は
ひびく、「主の道を用意し、“その”道筋をまっすぐにせよ。"
"420305","
すべての谷は埋められすべての山と丘とは低うされ、曲った道はまっすぐに、
でこぼこ道は平らになるであろう。"
"420306","
かくして全人類一人のこらず神の救いにあずかるであろう。」”"
"420307","
それでヨハネは、彼から洗礼を受けようとしてでて来た群衆に言った、「蝮の末
ども、(わたしから洗礼を受けて)来るべき(神の)怒り(の裁き)を免れるようにと、
だれがおしえたのか。"
"420308","
(ほんとうに悔改めたのか。)それなら(洗礼を受けるだけでなく、)悔改めに
ふさわしい実を結べ。『われわれの先祖はアブラハムである(から大丈夫だ)』などという
考えを起してはならない。わたしは言う、神はそこらの石ころからでも、アブラハムの子
供を造ることがお出来になるのだ。"
"420309","
斧はいますでに木の根に置いてある。だから、良い実を結ばない木はどんな木
でも、切られて火の中に投げ込まれる。」"
"420310","
群衆が尋ねた、「では、わたし達はどうすればよいのですか。」"
"420311","
ヨハネが答えた、「下着を二枚持っている者は、持たない者に分けてやれ。食べ
る物を持っている者も、同じようにせよ。」"
"420312","
税金取りも洗礼を受けに来たが、ヨハネに言った、「先生、わたし達はどうすれ
ばよいのですか。」"
"420313","
彼らに言った、「きまったもの以上、何も取り立てるな。」"
"420314","
兵卒も「このわたし達は、どうすればよいのですか」と尋ねると、言った、「だ
れをもゆすらず、しぼり取らず、給料で満足せよ。」"
"420315","
民衆は(救世主を)待ち望んでいたので皆心の中で、もしかしたらこのヨハネ
が救世主ではあるまいかと考えていると、"
"420316","
ヨハネがみんなに言った、「わたしは水で洗礼を授けているが、わたしよりも力
のある方が(あとから)来られる。わたしはその方の靴の紐をとく値打もない者である。
その方は聖霊と(裁きの)火とで洗礼をお授けになる。"
"420317","
その手に箕をもって、(すぐ)脱穀場の掃除をしようとしておられる。すなわち
麦は集めて倉に入れ、籾殻は消えぬ火で焼きすてられるのである。(聖霊と火の洗礼とは
これである。)」"
"420318","
ヨハネはそのほかなお多くの訓戒をあたえながら、民衆に福音を伝えた。"
"420319","
ところが領主ヘロデでは、その兄弟(ピリポ)の妻ヘロデヤ(との結婚)のこ
とについて、また自分の行ったすべての悪事について、ヨハネから非難されたので、"
"420320","
ヨハネを牢に閉じこめ、(これまでの)ありとあらゆる悪事に、もう一つこの悪
事をつけたした。"
"420321","
さて民衆が皆(ヨハネから)洗礼を受けた時、イエスも洗礼を受けて祈ってお
られると、天が開けて、"
"420322","
聖霊が鳩のような形で彼の上に下ってきた。そして「あなたは(いま)わたし
の“最愛の子、”わたしの心にかなった”」という声が天からきこえてきた。"
"420323","
このイエスは(伝道を)始められたとき、三十歳ばかりであった。(聖霊による
子であったが、)世間ではヨセフの子と思われていた。ヨセフはヘリの子、"
"420324","
ヘリはマタテの、マタテはレビの、レビはメルキの、メルキはヤンナイの、ヤ
ンナイはヨセフの、"
"420325","
ヨセフはマタテヤの、マタテヤはアモスの、アモスはナホムの、ナホムはエリ
スの、エリスはナンガイの、"
"420326","
ナンガイはマハテの、マハテはマタテヤの、マタテヤはシメイの、シメイはヨ
セクの、ヨセクはヨダの、"
"420327","
ヨダはヨハナンの、ヨハナンはレサの、レサはゾロバベルの、ゾロバベルはサ
ラテルの、サラテルはネリの、"
"420328","
ネリはメルキの、メルキはアデイの、アデイはコサムの、コサムはエルマダム
の、エルマダムはエルの、"
"420329","
エルはヨシュアの、ヨシュアはエリエゼルの、エリエゼルはヨリムの、ヨリム
はマタテの、マタテはレビの、"
"420330","
レビはシメオンの、シメオンはユダの、ユダはヨセフの、ヨセフはヨナムの、
ヨナムはエリヤキムの、"
"420331","
エリヤキムはメレヤの、メレヤはメナの、メナはマタタの、マタタはナタンの、
ナタンはダビデの、"
"420332","
ダビデはエッサイの、エッサイはオベデの、オベデはボアズの、ボアズはサラ
の、サラはナアソンの、"
"420333","
ナアソンはアミナダブの、アミナダブはアデミンの、アデミンはアルニの、ア
ルニはエスロンの、エスロンはパレスの、パレスはユダの、"
"420334","
ユダはヤコブの、ヤコブはイサクの、イサクはアブラハムの、アブラハムはテ
ラの、テラはナホルの、"
"420335","
ナホルはセルグの、セルグはレウの、レウはペレグの、ペレグはエベルの、エ
ベルはサラの、"
"420336","
サラはカイナンの、カイナンはアルパクサデの、アルパクサデはセムの、セム
はノアの、ノアはラメクの、"
"420337","
ラメクはメトセラの、メトセラはエノクの、エノクはヤレデの、ヤレデはマハ
ラレルの、マハラレルはカイナンの、"
"420338","
カイナンはエノスの、エノスはセツの、セツはアダムの、アダムは神の子、で
ある。"
"420401","
さてイエスは聖霊に満たされ、ヨルダン川から(ガリラヤへ)帰られた。(その
途中)御霊によって四十日のあいだ荒野を引き回されながら、"
"420402","
悪魔の誘惑にあわれた。その間何も食べず、四十日が終ると、空腹を覚えられ
た。"
"420403","
すると悪魔が言った、「神の子なら、(そんなにひもじい思いをせずとも、)この
石ころに、パンになれと命令したらどうです。"
"420404","
イエスは答えられた、「“パンがなくとも人は生きられる”と(聖書に)書いて
ある。」"
"420405","
すると悪魔はイエスを高い所につれてゆき、瞬くまに世界中の国々を見せて、"
"420406","
言った、「あの(国々の)全支配権と栄華とをあげよう。あれは(神から)わた
しに任されていて、だれにでも好きな人にやってよいのだから。"
"420407","
それで、もしあなたがわたしをおがむなら、あれは皆あなたのものになります。」
"
"420408","
イエスは答えられた、「“あなたの神なる主をおがめ、“主に”のみ“奉仕せよ”
と(聖書に)書いてある。」"
"420409","
そこで悪魔はイエスをエルサレムにつれていって、宮の屋根の上に立たせて言
った、「神の子なら、ここから下へ飛びおりたらどうです。"
"420410","
“神は天使たちに命じて、あなたを守ってくださる、”"
"420411","
また“手にてあなたを支えさせ、足を石に打ち当てないようにしてくださる”
と(聖書に)書いてあります。(人々はそれを見て信じ、たちどころにあなたの国が出来
ます。)」"
"420412","
イエスは答えられた、「“あなたの神なる主を試みてはならない”と言ってあ
る。」"
"420413","
悪魔はあらん限りの誘惑を終ると、ひとまずイエスから手を引いた。"
"420414","
イエスは御霊の力にあふれて、ガリラヤに帰られた。評判がその周囲全体に広
まった。"
"420415","
イエスはあちらこちらの礼拝堂で教え、皆にあがめられた。"
"420416","
それからお育ちになったナザレに行って、安息の日にいつものとおり礼拝堂に
入り、(聖書を)朗読しようとして立たれた。"
"420417","
(係の者から)イザヤの預言書が手渡され、その巻物をお開けになると、こう
書いた所が出てきた。──"
"420418","
“主の御霊がわたしの上にある、油を注いで(聖別して)くださったからであ
る。主は貧しい人に福音を伝えるためにわたしを遣わされた。囚人に赦免を、盲人に視力
の回復を告げ、”“押えつけられている者に自由をあたえ、”"
"420419","
“主の恵みの年(の来たこと)を告げさせるために。”"
"420420","
イエスは(読み終ると、)聖書を巻き、係の者に返して坐られた。礼拝堂にいる
者の目が皆彼にそそがれた。"
"420421","
イエスは、「(今)あなた達が聞いたこの聖書の言葉は、今日(ここで)成就し
た」と言って話を始められた。"
"420422","
皆がイエスを誉めそやし、かつその口をついて出る言葉のうるわしさに驚いて、
「これはヨセフの息子ではないか」と言った。"
"420423","
彼らに言われた、「どの道あなた達は『自分をなおせ、お医者さん』という諺を
引いて、『いろいろなことをカペナウムでしたと聞いたが、郷里のここでもやってみろ』
とわたしに言うにちがいない。」"
"420424","
また言われた、「アーメン、わたしは言う、いかなる預言者も、その郷里では歓
迎されない。"
"420425","
本当にわたしは言う、(郷里でえらい働きをした預言者がどこにあるか。預言
者)エリヤの時代に、三年六か月、天が閉じて(雨が降らず、)国中に大飢饉があった際、
イスラエル人の中に多くの寡婦がいたのに、"
"420426","
そのだれの所にもエリヤは遣わされず、“(異教国)シドンのサレプタにいた一
人の寡婦の所に”だけつかわされた。"
"420427","
また預言者エリシャの時、イスラエル人の中に多くの癩病人がいたのに、その
だれも清まらず、(異教人である)シリヤ人ナアマンだけがきよまった。(神の恵みはかえ
って異教人に与えられる。)」"
"420428","
これを聞くと、礼拝堂にいた者が皆非常に憤慨し、"
"420429","
総立ちになってイエスを町の外に突き出し、町の建っている山の崖のところま
でつれていった。(そこから)突き落そうと思ったのである。"
"420430","
しかしイエスは人々の真中を通って、(目ざす所へ)進んでゆかれた。"
"420431","
ガリラヤの町カペナウムに下られた。安息日に教えられると、"
"420432","
人々はその教えに感心してしまった。話に権威があったからである。"
"420433","
そのとき、礼拝堂に汚れた悪鬼の霊につかれた一人の人がいたが、大声をあげ
て叫んだ、"
"420434","
「ああ、ナザレのイエス様、“放っておいてください。”わたしどもを滅ぼしに
来られたのか。あなたがだれだか、わたしにはわかっています。神の聖者(救世主)です。」
"
"420435","
イエスは「黙れ、その人から出てゆけ」と言って叱りつけられた。すると悪鬼
はその人をみなの真中に投げ倒して、出ていった。何も怪我はなかった。"
"420436","
皆がびっくりして、互いにこう語り合った、「この言葉はいったいどうしたのだ
ろう。権威と力があって、この人が命令されると、汚れた霊まで出てゆくのだが。」"
"420437","
イエスの噂がその周囲の地全体に広まっていった。"
"420438","
イエスは立って礼拝堂を出て、シモンの家に入られた。シモンの姑がひどい熱
病に苦しんでいた。人々が彼女のことを願うと、"
"420439","
近寄って身をかがめ、熱病を叱りつけられた。すると熱が取れ、彼女はすぐさ
ま起き上がって、彼らをもてなした。"
"420440","
日が沈むと、(安息日が終ったので、)さまざまな病人をかかえている人々は皆、
それをイエスの所につれてきた。イエスはひとりびとりに手をのせてなおされた。"
"420441","
悪鬼も、「あなたは神の子だ」と叫びながら多くの人から出ていった。イエスは
悪鬼どもが救世主だと知っているので、これを叱りつけ、口をきくことをお許しにならな
かった。"
"420442","
朝になると、人のいない所に出て行かれた。人々は捜しまわった末イエスのと
ころに来て、自分たちをはなれて行かれないようにと、しきりに引き留めた。"
"420443","
イエスは彼らに言われた、「わたしはほかの町々にも、神の国の福音を伝えねば
ならない。そのために遣わされたのだから。」"
"420444","
それからユダヤ(人の国のあちらこちら)の礼拝堂で教を説いておられた。
""420501","
(ある日)群衆がおしかけてきて神の言葉を聞いていた時のこと、イエスはゲ
ネサレ湖のほとりに立っておられて、"
"420502","
湖のほとりにある二艘の小舟がお目にとまった。漁師たちは舟から下りて網を
洗っていた。"
"420503","
イエスはその一艘のシモンの舟に乗り、彼に頼んで陸からすこし漕ぎ出させ、
坐って、舟の中から群衆を教えられた。"
"420504","
話がすむと、シモンに言われた、「沖に漕ぎ出し、網をおろして漁をしてみなさ
い。」"
"420505","
シモンが答えた、「先生、わたし達は(昨夜)一晩中働きましたが、何もとれま
せんでした。しかし先生のお言葉ですから、網をおろしてみます。」"
"420506","
そしてその通りにすると、沢山の魚の群が入って網が裂けかかった。"
"420507","
そこでもう一艘の舟にいる仲間に合図をして、加勢に来てもらった。彼らが来
て、二艘の舟いっぱい(魚を)つんだので、沈みそうになった。"
"420508","
シモン・ペテロはこれを見て、イエスの足もとにひれ伏して言った、「主よ、あ
ちらに行ってください。わたしは罪人です。」"
"420509","
彼も一しょにいた者も皆、とれた魚(の多いの)に、びっくりしたのである。"
"420510","
シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも同様であった。イエスが
シモンに言われた、「恐れることはない。今から後、あなたは人間を生け捕る(漁師にな
る)のだ。(きょうの漁は、あなたの大伝道の前ぶれである。)」"
"420511","
彼らは舟を陸に引き上げ、何もかもすててイエスに従った。"
"420512","
ある町におられた時のこと、そこに体中癩病の人がいた。イエスを見ると、頭
を地にすりつけ、「主よ、(清めてください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから」
と言って願った。"
"420513","
イエスは手をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、た
ちまち癩病が消えうせた。"
"420514","
イエスは、だれにも言ってはならない、「ただ、(全快したことを)世間に証明
するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モーセが命じたように清めの
ために(供え物を)捧げよ」と言いつけられた。"
"420515","
しかしイエスの噂はいよいよ広まってゆき、大勢の群衆が、(教えを)聞き、ま
た病気をなおしていただこうと集まってきた。"
"420516","
しかしイエスは人のいない所に引っ込んで、祈っておられた。"
"420517","
ある日のこと、イエスが(人々を)教えておられると、パリサイ人と律法学者
が坐って(聞いて)いた。この人々はガリラヤとユダヤのすべての村から、ことにエルサ
レムから来たのである。主の力がイエスに臨んで病気を直させた。"
"420518","
するとそこに、数人の人が一人の中風にかかった人を寝床にのせてつれて来た。
(家の中に)運び込んでイエスの前に置こうとしたが、"
"420519","
群衆のためどうしても運び込む方法がないので、屋根に上って瓦(をはがし、
そ)の間から、寝床ごと、人々の真中、イエスの前に吊りおろした。"
"420520","
イエスはその人たちの信仰を見て(驚き、中風の者に)言われた、「君、あなた
の罪は赦されている。」"
"420521","
聖書学者とパリサイ人は考え始めた、「冒涜を言うこの人はいったい何者だろう。
ただ神のほか、だれが罪を赦せよう。」"
"420522","
イエスは彼らの考えを見抜いて、「何を心の中で考えているのか。"
"420523","
あなたの罪は赦されている、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらが
たやすい(と思う)か。"
"420524","
では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていることを知らせてや
ろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われた、「あなたに命令する、起きて、寝床を
かついで家にかえりなさい。」"
"420525","
すると彼は即座に人々の目の前で立ち上がり、床をかついで、神を讃美しなが
ら家にかえって行った。"
"420526","
皆が感動して神を讃美し、恐れに満たされて、「きょうは不思議なことを見た」
と言った。"
"420527","
そのあとで、イエスは(湖のほとりに)出てゆき、レビという税金取りが税務
所に坐っているのを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、"
"420528","
何もかも捨てて、立って従った。"
"420529","
レビがイエスのために家で大宴会を催すと、税金取り、その他の人々が大勢、(イ
エスや弟子たちと)共に食卓についていた。"
"420530","
パリサイ人とパリサイ派の聖書学者が弟子たちに向かってつぶやいた、「なぜあ
なた達は税金取りや罪人と一しょに飲み食いするのか。」"
"420531","
イエスはその人たちに答えられた、「健康な者に医者はいらない、医者のいるの
は病人である。"
"420532","
わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招いて悔改めさせるために
来たのである。」"
"420533","
彼らがイエスに言った、「(洗礼者)ヨハネの弟子はしばしば断食をし、祈りを
するのに、あなたの弟子は(平気で)飲み食いしている。」"
"420534","
イエスは言われた、「あなた達は花婿がまだ一しょにいるうちに、婚礼の客に(悲
しみの)断食をさせることが出来るのか。"
"420535","
しかしいまに(悲しみの)時が来て、花婿が奪いとられたら、その時、彼らは
(いやでも)断食をするであろう。」"
"420536","
なお一つの譬を彼らに話された、「新しい着物を切って、古い着物に継ぎをする
者はない。そんなことをすれば、新しい着物も疵ものになり、新しいのから切った継ぎも
古いのにあわない。"
"420537","
また新しい酒を古い皮袋に入れる者はない。そんなことをすれば、新しい酒は
皮袋を破って流れ出し、皮袋もだめになるであろう。"
"420538","
新しい酒は新しい皮袋に入れねばならない。"
"420539","
また、古い酒を飲んだ者は、新しいのをほしがらない。『古い方が甘い』と言っ
て。」"
"420601","
ある安息日に麦畑の中を通られたときのこと、弟子たちが(空腹を覚えて)穂
を摘み、手でもんで食べていた。"
"420602","
パリサイ人が言った、「なぜあなた達は、安息日にしてはならぬことをするの
か。」"
"420603","
イエスが答えて言われた、「あなた達は、ダビデ(王)が自分も供をしている者
も空腹の時にしたことを、(聖書で)読んだことすらないのか。"
"420604","
──彼が神の家に入って、ただ祭司のほかはだれも食べてはならない“供えの
パンを”取って食べ、供の者にわけてやったことを。」"
"420605","
また彼らに言われた、「人の子(わたし)は安息日の主人である。」"
"420606","
またほかの安息日に、礼拝堂に入って教えられた。するとそこに一人の人がい
て、右手がなえていた。"
"420607","
聖書学者とパリサイ人たちが、イエスは安息日になおされるかどうかと、ひそ
かに様子をうかがっていた。訴え出る口実を見つけるためであった。"
"420608","
イエスは彼らの考えを知って、手のなえた男に「立って真中に出てこい」と言
われると、立ち上がって出てきた。"
"420609","
イエスが彼らに言われた、「尋ねるが、安息日には、善いことをするのと悪いこ
とをするのと、命を救うのと、滅ぼすのと、どちらが正しいだろうか。」"
"420610","
そして一同を見まわして、その人に言われた、「手をのばせ。」その通りにする
と、手が直った。"
"420611","
彼らは狂わんばかりに怒って、イエスをどうしょうかと話し合った。"
"420612","
このころのこと、イエスは祈りのため山に行って、神に祈りながら夜をあかさ
れた。"
"420613","
朝になると弟子を呼びよせ、その中から十二人を選び、これをまた使徒と名づ
けられた。"
"420614","
すなわち、シモン──この人をまたペテロと名づけられた──と、その兄弟ア
ンデレと、ヤコブとヨハネと、ピリポとバルトロマイと、"
"420615","
マタイとトマスと、アルパヨの子ヤコブと熱心党と呼ばれたシモンと、"
"420616","
ヤコブの子ユダと、イスカリオテのユダ──この人は(あとで)裏切者になっ
た。"
"420617","
イエスはこの人々を連れて(山を)下り、平らな所にお立ちになった。大勢の
弟子の群と、ユダヤ全国、ことにエルサレム、また(遠く)ツロ、シドンの沿岸から来た
大勢の民衆の群も、"
"420618","
教えを聞き、また病気を直していただこうとして、そこにいた。汚れた霊にな
やまされていた者もなおされた。"
"420619","
群衆が皆、なんとかしてイエスにさわろうとした。彼から力が出て、一人のこ
らず直したからである。"
"420620","
イエスは目をあげ、(十二人の使徒その他の)弟子たちを見ながら話された。─
─「ああ幸いだ、“貧しい人たち、”神の国はあなた達のものとなるのだから。"
"420621","
ああ幸いだ、今飢えている人たち、(かの日に)満腹させられるのはあなた達だ
から。ああ幸いだ、今泣いている人たち、(かの日に)笑うのはあなた達だから。"
"420622","
人に憎まれる時、また、人の子(わたし)のゆえに除名されたり、罵られたり、
悪様に言われたりする時には、あなた達は幸いである。"
"420623","
その日には躍りあがって喜びなさい、どっさり褒美が、天であなた達を待って
いるのだから。あの人達の先祖も、同じことを預言者たちにしたのである。"
"420624","
だが、ああ禍だ、富んでいるあなた達、もう慰めを受けたのだから。"
"420625","
ああ禍だ、今食べあきているあなた達、(かの日に)飢えるのだから。ああ禍だ、
今笑っている人たち、(かの日に)泣き悲しむのはあなた達だから。"
"420626","
皆の人に良く言われる時、あなた達は禍である。あの人達の先祖も、同じこと
を偽預言者たちにしたのである。"
"420627","
しかし(今わたしの話を)聞いているあなた達に言う、敵を愛せよ。自分を憎
む者に親切をつくし、"
"420628","
呪う者に(神の)祝福を求め、いじめる者のために祈れ。"
"420629","
あなたの頬を打つ者には、ほかの頬をも差し出し、上着を奪おうとする者には、
下着をこばむな。"
"420630","
求める者にはだれにでも与えよ、あなたの物を奪った者から取り返すな。"
"420631","
あなた達は自分にしてもらいたいと思うとおり、人にしなさい。"
"420632","
自分を愛する者を愛すればとて、(神から)どんな恵みがいただけよう。不信者
でも自分を愛する者を愛するのだから。"
"420633","
親切にしてくれる者に親切にしたからとて、どんな恵みがいただけよう。不信
者でも同じことをするのだから。"
"420634","
また、取りもどすつもりで貸したからとて、どんな恵みがいただけよう。不信
者でも同じだけのものを取り戻そうとして、不信者に貸すのである。"
"420635","
しかし、あなた達は敵を愛せよ、親切をせよ、何も当てにせずに貸しなさい。
そうすれば褒美をどっさりいただき、かつ、いと高きお方の子となるであろう。いと高き
お方は恩知らずや悪人にも、憐れみ深くあられるのだから。"
"420636","
あなた達の(天の)父上が慈悲深くあられるように、慈悲深くあれ。"
"420637","
(人を)裁くな、そうすれば(神に)裁かれない。(人を)罪に落すな、そうす
れば罪に落されない。赦してやれ、きっと(神に)赦される。"
"420638","
与えよ、きっと与えられる。押しつけ、ゆすり込み、こぼれるほど量りを良く
して、懐に入れていただけるであろう。(人を)量る量りで、あなた達も量りかえされる
からである。」"
"420639","
なお譬を一つ話された、「盲人に盲人の手引が出来るか。二人とも穴に落ち込ま
ないだろうか。"
"420640","
(良い先生をえらべ。)弟子は先生以上になれない。りっぱに一人前になっても、
(たかだか)先生のようになるだけである。"
"420641","
なぜあなたは、兄弟の目にある塵が見えながら、自分の目に梁があるのに気付
かないのか。"
"420642","
自分の目にある梁が見えずに、どうして兄弟にむかって、『兄弟、あなたの目に
ある塵を取らせてくれ』と言うことが出来ようか。偽善者!まず自分の目の梁を取っての
けよ。その上で、兄弟の目にある塵を(取ってやれるなら、)取ってやったらよかろう。"
"420643","
わるい実を結ぶ良い木はなく、また良い実を結ぶ悪い木もない。"
"420644","
木(の良し悪し)はいずれもその実で知られるのである。茨から無花果をとら
ず、茨の薮から葡萄をつまない。"
"420645","
(同じように、)善人は心の善い倉から善い物を取り出し、悪人は(心の)悪い
倉から悪い物を取り出す。心にあふれて口に出るのだから。"
"420646","
(わたしを)『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないの
か。"
"420647","
わたしの所に来て話を聞き、それを行う者が皆、だれに似ているか、おしえて
あげよう。"
"420648","
それは、(地を)深く掘り下げ、岩の上に土台をすえて家を建てた人に似ている。
洪水が出て、大水がその家にぶつかったが、丈夫に建ててあったので、びくともしなかっ
た。"
"420649","
しかし(これと反対に、わたしの話を)聞くだけで行わない者は、土の上に土
台なしで家を建てた人に似ている。大水がぶつかると、たちまち崩れてしまって、その家
のくずれ方はひどかった。」"
"420701","
イエスはこれら一切の話を人々に聞かせ終った後、カペナウムにかえられた。"
"420702","
すると、ある百卒長の大事な僕が病気で、もう危篤であった。"
"420703","
百卒長はイエスのことを聞くと、ユダヤ人の長老たちをイエスの所に使にやっ
て、是非僕を直しに来てほしいと頼ませた。"
"420704","
長老たちはイエスの所に来て、こう言って熱心に願った、「あの人はそうしてい
ただいてもよい人です。"
"420705","
(異教人でありながら)わが国民に好意をもち、自分でわたし達に礼拝堂を建
ててくれたのですから。」"
"420706","
イエスは彼らと連れ立って行かれた。しかし、すでにその家から程遠からずな
ったとき、百卒長は友人たちをやって言わせた、「主よ、ご足労くださらぬように。わた
しはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるような者ではありません。"
"420707","
だから自分でお願いに出る資格もないと考えたのです。(ここでただ)一言、言
ってください。そうすれば下男は直ります。"
"420708","
というのは、わたし自身も指揮権に服する人間であるのに、わたしの下にも兵
卒がいて、これに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、また僕に『これ
をしろ』と言えば(すぐ)するからです。(ましてあなたのお言葉で、病気が直らないわ
けはありません。)」"
"420709","
イエスはこれを聞いて驚き、ついて来た群衆の方に振り向いて言われた、「わた
しは言う、イスラエルの人の中でも、こんな(りっぱな)信仰を見たことがない。」"
"420710","
使の者が家に帰って見ると、僕は元気になっていた。"
"420711","
そのあとで、ナインという町に行かれた。弟子たちおよび多くの群衆も一しょ
に行った。"
"420712","
町の門の近くに来られると、ちょうど、ある独り息子が死んで、(棺が)舁き出
されるところであった。母は寡婦であった。町の人が大勢その母に付添っていた。"
"420713","
主は母を見て不憫に思い、「そんなに泣くでない」と言って、"
"420714","
近寄って棺に手をかけ──担いでいる者は立ち止まった──「若者よ、あなた
に言う、起きよ!」と言われた。"
"420715","
すると死人が起き上がって物を言い出した。イエスは“彼を母に渡された。”"
"420716","
皆が恐れをいだいて、「大預言者がわたし達の間にあらわれた」とか、「神はそ
の民を心にかけてくださった」とか言って、神を讃美した。"
"420717","
イエスについてのこの(二つの)言葉は、ユダヤ(人の国)全体とその周囲い
たる所に広まった。"
"420718","
洗礼者ヨハネの弟子たちがこれら一切のことをヨハネに報告すると、彼は弟子
を二人ほど呼びよせ、"
"420719","
主の所にやって、「来るべき方(救世主)はあなたですか、それともほかの人を
待つべきでしょうか」とたずねさせた。"
"420720","
その人たちはイエスの所に来て言った、「洗礼者ヨハネから来ました。『来るべ
き方はあなたですか、それともほかの人を待つべきでしょうか』とおたずねするよう申し
つけられました。」"
"420721","
その時、イエスは多くの人の病気と苦しみと悪霊につかれているのとをなおし、
多くの盲人を見えるようにしてやっておられたが、"
"420722","
答えられた、「行って、(今ここで)見たこと聞いたことをヨハネに報告しなさ
い。──“盲人は見えるようになり、”足なえは歩きまわり、癩病人は清まり、聾は聞き、
死人は生きかえり、“貧しい人は福音を聞かされている”と。"
"420723","
わたしにつまずかぬ者は幸いである。」"
"420724","
ヨハネの使が立ち去ると、群衆にヨハネのことを話し出された。──「(さきご
ろ)あなた達は何を眺めようとして、荒野(のヨハネの所)に出かけたのか。風にそよぐ
葦だったのか。(まさかそうではあるまい。)"
"420725","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。柔らかい着物を着ている人か。見
よ、りっぱな着物をきて贅沢をしている人ならば、宮殿にいる。"
"420726","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。預言者か。そうだ、わたしは言う、
(預言者だ。)預言者以上の者(を見たの)だ。"
"420727","
“(神は言われる、)『見よ、わたしは使をやって、あなたの先駆けをさせ、”あ
なたの“前に道を準備させる』”と(聖書に)書いてあるのは、この人のことである。"
"420728","
わたしは言う、女の産んだ者の中には、ヨハネより大きい者は一人もない。し
かし神の国で一番小さい者でも、彼より大きい。"
"420729","
(ヨハネの説教を)聞いた民衆は皆、税金取りまで、ヨハネの洗礼を受け(る
ことによっ)て神の正しいことを認めた。"
"420730","
しかしパリサイ人と律法学者とは、彼から洗礼を受けることをせず、彼らをも
救おうとされた(せっかくの)神の御心をないがしろにした。"
"420731","
だから、(気ままな)この時代の人々を何にたとえようか。彼らは何に似ている
だろうか。"
"420732","
子供達が市場に坐って(嫁入りごっこや弔いごっこをしながら)、こう言って互
に(相手の組と)呼びかわすのに似ている。──笛を吹いたのに、踊ってくれない。弔い
の歌をうたったのに、泣いてくれない。"
"420733","
なぜならあなた達は、洗礼者ヨハネが来てパンを食べず酒を飲まないと、『悪鬼
につかれている』と言い、"
"420734","
人の子(わたし)が来て飲み食いすると、『そら、大飯食いだ、飲兵衛だ、税金
取りと罪人の仲間だ』と言うのだから。"
"420735","
しかし(神の)知恵の正しいことは、(税金取り、罪人など、)その子供たちが
みんなで証明した。」"
"420736","
(シモンという)ひとりのパリサイ人が一しょにお食事をと願ったので、その
パリサイ人の家に入って食卓に着かれた。"
"420737","
すると、その町に一人の罪の女がいた。イエスがパリサイ人の家で食卓につい
ておられることを知ると、香油のはいった石膏の壷を持ってきて、"
"420738","
泣きながら後ろからイエスの足下に進み寄り、しばし涙で御足をぬらしていた
が、やがて髪の毛でそれをふき、御足に接吻して香油を塗った。"
"420739","
イエスを招待したパリサイ人が見て、ひそかに思った、「もしもこの人が(ほん
とうの)預言者だったら、自分にさわっている者がだれだか、どんな女だか、──罪の女
だと分るはずであるのに!」"
"420740","
イエスが言われた、「シモン、あなたに言わねばならぬことがある。」彼が言う、
「先生、言ってください。」イエスが言われる、"
"420741","
「ある金貸しに二人の債務者があった。一人は五百デナリ(二十五万円)、一人
は五十デナリ(二万五千円)を借りていた。"
"420742","
返すことができないので、金貸しは二人(の借金)をゆるしてやった。とする
と、二人のうち、どちらが余計に金貸しを愛するだろうか。」"
"420743","
シモンが答えた、「余計にゆるしてもらった方だと思います。」イエスは「あな
たの判断は正しい」と言って、"
"420744","
女の方に振り向き、シモンに言われた、「この婦人を見たか。わたしがこの家に
来たとき、あなたは足の水もくれないのに、この婦人は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛
でふいてくれた。"
"420745","
あなたは接吻一つしてくれないのに、この婦人はわたしが(この家に)来たと
きから、わたしの足に接吻のしつづけである。"
"420746","
あなたは(普通の)油をすら頭に塗ってくれないのに、この婦人は(高価な)
香油を足に塗ってくれた。"
"420747","
だから、わたしは言う、この婦人の多くの罪は赦されている。(いま)多くわた
しを愛したのがその証拠である。赦され方の少ない者は、愛し方も少ない。」"
"420748","
そしてその女に言われた、「あなたの罪は赦されている。」"
"420749","
同席の者が(憤慨して)ひそかに考えた、「罪さえ赦す(という)この人はいっ
たい何人だろう。」"
"420750","
しかしイエスは女に言われた、「あなたの信仰があなたを救った。“さよなら、
平安あれ。”」"
"420801","
その後、イエスは町から町、村から村へと回りながら、神の国を説き、その福
音を伝えられた。十二人(の弟子)がお供をした。"
"420802","
また悪霊や病気をなおしていただいた数名の女たち、すなわち、七つの悪鬼を
追い出されたマグダラの女と呼ばれたマリヤと、"
"420803","
ヘロデ(・アンデパス王)の家令クーザの妻ヨハンナと、スザンナと、そのほ
か大勢の女たちも一しょであった。女たちは自分の財産を持ち出して、みなを賄った。"
"420804","
(ある時)大勢の群衆が集まり、また町々からも人々が押しよせてきたので、
イエスは譬を用いて話された、"
"420805","
「種まく人がその種をまきに出かけた。まく時に、あるものは道ばたに落ちた。
踏みつけられたり、空の鳥が食ったりした。"
"420806","
またほかのものは岩の上に落ちた。(生えるには)生えたが、湿り気がないので
枯れてしまった。"
"420807","
またほかのものは茨の(根が張っている)中に落ちた。茨が一しょに生えて押
えつけてしまった。"
"420808","
またほかのものは善い地に落ちた。生えて(育って)百倍の実を結んだ。」こう
言ったあとで、「耳の聞える者は聞け」と叫ばれた。"
"420809","
弟子たちがこの譬はどういう意味かと尋ねると、"
"420810","
言われた、「あなた達(内輪の者)には、神の国の秘密をさとる力が授けられて
いる(のでありのままに話す)が、ほかの人たちには譬をもって話すのである。これは(聖
書にあるように、)“彼らが見ても見えず、聞いても悟らない”ようにするためである。"
"420811","
譬(の意味)はこうである。──種は神の御言葉である。"
"420812","
道ばたのものとは、(御言葉を)聞くと、あとで悪魔が来て、彼らを信じて救わ
れることのないように、その心から御言葉をさらってゆく人たちである。"
"420813","
岩の上のものとは、御言葉を聞く時、喜んで受け入れるが、この人たちには(し
っかりした信仰の)根がないので、その当座は信じているが、試みの時に離れおちる人た
ちである。"
"420814","
茨の中に落ちたもの、これは(御言葉を)聞く(と、しばらくは信じている)
が、とかくするうちに人生の心配や富や快楽に押えつけられて、実の熟さない人たちであ
る。"
"420815","
しかし良い地のもの、これは御言葉を聞くと、りっぱな善い心でこれをしっか
り守り、忍耐をもって実を結ぶ人たちである。"
"420816","
(しかし外の人たちに神の国の秘密が隠されるのは、ただしばらくである。) 

だれも明りをつけて器でおおい隠したり、寝台の下に置いたりする者はない。(部屋に)

入ってくる者にその光が見えるように、かならず燭台の上に置くのである。"


"420817","
隠れているものであらわにならぬものはなく、隠されているもので(人に)知
られず、また現われないものもないからである。"
"420818","
だから、気をつけよ、聞き方が大切である。(よく聞いて守れ。)持っている人
は(さらに)与えられ、持たぬ人は、持っていると思うものまで取り上げられるのである。」
"
"420819","
(ある時)イエスの母と兄弟たちがイエスの所に来たが、人だかりのため、そ
ばへ行くことができなかった。"
"420820","
人々が「母上と兄弟がたが、お会いしたいと外に立っておられます」と知らせ
ると、"
"420821","
イエスは答えられた、「わたしの母、わたしの兄弟は、神の御言葉を聞いて行う
人たちである。」"
"420822","
ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗って、「湖の向こう岸に渡ろう」と言
われるので、船出した。"
"420823","
渡ってゆくうちに、イエスは寝入ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろ
し、彼らは水をかぶって危険になった。"
"420824","
弟子たちがそばに来て、「先生、先生、わたし達は溺れます」と言ってイエスを
起した。イエスが目をさまして風と浪とを叱りつけられると、(たちどころに)静まって、
凪になった。"
"420825","
彼らに言われた、「あなた達の信仰はどこにあるのか。」弟子たちは驚き恐れて、
「この方はいったいだれだろう、この方が命令されると、風も水も、その言うことを聞く
のだが」と語り合った。"
"420826","
かくて一行はガリラヤの向い側にあるゲラサ人の地に渡った。"
"420827","
イエスが陸にあがられると、その町の者で、悪鬼につかれた一人の男が迎えた。
この男は長い間着物を着ず、また家にすまずに墓場にすんでいた。"
"420828","
イエスを見ると、叫びながらその前にひれ伏し、大声で言った、「いと高き神の
子のイエス様、“放っておいてください。”お願いです、わたしを苦しめないでください。」
"
"420829","
これはイエスが汚れた霊に、その人から出てゆけと命じたからである。汚れた
霊は何度も何度もその人をつかんだ。いかに鎖と足桎でつながれ監視されていても、その
繋ぎをひきちぎり、悪鬼に追われて荒野にいったのである。"
"420830","
「あなたの名はなんというか」とイエスがお尋ねになると、「軍団です」とこた
えた。悪鬼が大勢、(一軍団も)彼の中に入りこんでいたからである。"
"420831","
また、地の底に行くことをお命じにならぬようにと願った。"
"420832","
折から、そこの山で多くの豚の群が草を食っていた。悪鬼どもは、それに乗り
移ることを許されたいと願った。お許しになると、"
"420833","
悪鬼どもはその人から出ていって豚に乗り移った。すると群は(気がちがった
ように)けわしい坂をどっと湖へなだれこみ、溺れて死んだ。"
"420834","
豚飼たちはこの出来事を見て逃げ出し、町や部落に知らせた。"
"420835","
人々はこの出来事を見に出て来たが、イエスの所に来て、悪鬼を追い出された
人が着物をき、正気にかえって、イエスの足もとにじっと坐っているのを見ると、恐ろし
くなった。"
"420836","
また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者がどんな風にして救
われたかを、その人々に知らせた。"
"420837","
ゲラサ地方の住民は皆すっかりおびえ切って、イエスに自分たち(の所)から
でて行ってもらいたいと頼んだ。そこでイエスは舟に乗って帰られた。"
"420838","
(帰ろうとされる時に、)悪鬼を追い出された男がお供をしたいと願ったが、(許
さず、)こう言ってお帰しになった、"
"420839","
「家に帰って、神がどんなにえらいことをしてくださったかを、(みんなに)話
してきかせなさい。」すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされたか
を、町中に言いふらした。"
"420840","
イエスが(カペナウムに)帰ってこられると、群衆は喜んで迎えた。皆待って
いたのである。"
"420841","
するとそこに名をヤイロという人が来た。この人は礼拝堂の役人であった。イ
エスの足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいと願った。"
"420842","
十二歳ばかりの一人娘があって、それが死にかけていたのである。(ヤイロの家
に)行かれる途中、群衆はイエスを押しつぶしそうであった。"
"420843","
すると十二年このかた長血をわずらって、だれにもなおしてもらえなかった女
が、"
"420844","
近寄ってきて、後からイエスの上着の裾にさわった。すると、たちどころに地
の出るのがやんだ。"
"420845","
イエスが言われた、「わたしにさわったのはだれか。」皆が知らないとこたえる
と、ペテロが言った、「先生、(なにしろ)群衆が(こんなに)あなたを取り巻いて、もみ
合っているのですから。」"
"420846","
イエスが言われた、「(確かに)だれかがさわった。わたしの中から力が出てい
ったのを感じたから。」"
"420847","
女は隠しおおせないのを見て、震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、
さわった訳と、たちどころに直ったこととを皆の前で話した。"
"420848","
イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。“さよなら、平安あ
れ。”」"
"420849","
イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家からひとりの人が来て
(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。先生にこれ以上御迷惑をかけられ
ないように。」"
"420850","
イエスは聞いて監督に言葉をかけられた、「こわがることはない。ただ信ぜよ。
そうすれば助かる。」"
"420851","
家に着かれると、ペテロとヨハネとヤコブと、女の子の父と母とのほかには、
だれも一しょに中に入ることを許されなかった。"
"420852","
(集まった)人々が皆泣いて、女の子のために悲しんでいた。イエスが言われ
た、「泣くな。死んだのではない、眠っているのだ。」"
"420853","
人々は死んだことを知っているので、あざ笑っていた。"
"420854","
しかしイエスは女の子の手を取り、声をあげて「子よ、起きなさい!」と呼ば
れると、"
"420855","
霊がもどって、即座に女の子は立ち上がった。イエスは(何か)食べさせるよ
うに言いつけられた。"
"420856","
両親が呆気にとられていると、イエスはこの出来事をだれにも言うなと命じら
れた。"
"420901","
それから(前に選んだ)十二人(の弟子)を呼びあつめて、すべての悪鬼を支
配し、また病気をなおす力と全権とを授けた上、"
"420902","
神の国(の福音)を説いたり、病気を直したりするために派遣された。"
"420903","
彼らに言われた、「旅行には何も──杖も、旅行袋も、パンも、金も持ってゆく
な。着替えの下着も持ってはならない。"
"420904","
ある家に入ったら、(その町を去るまでは)その家に泊まっていて、そこから(次
の町へ)立ってゆけ。"
"420905","
人があなた達を歓迎しないなら、(すぐ)その町を(出てゆけ。そして)出てゆ
くとき、(縁を切ったことを)そこの人々に証明するため、足の埃を払いおとせ。」"
"420906","
十二人は出かけていって、村から村へとあるき回りながら、到る所で福音を説
き、また病気をなおした。"
"420907","
これは一切の出来事が領主ヘロデの耳にはいると、彼はすっかり不安になった。
ある人は(イエスのことを洗礼者)ヨハネが死人の中から生きかえったのだと言い、"
"420908","
ある人は(預言者)エリヤが現われたと言い、またほかの人は、昔のある預言
者が生き返ったのだと言ったからである。"
"420909","
しかしヘロデは言った、「ヨハネは(確かに)わたしが首をはねた。だが、こん
な噂を聞くその男はそもそも何者だろう。」彼はイエスに会いたいと思った。"
"420910","
(さて十人の)使徒たちは帰ってきて、(旅行中に)したことをみなイエスに話
した。イエスは彼らを連れて、自分たちだけベツサイダという町の方へ引っ込まれた。"
"420911","
しかし群衆がそれと知ってついて来たので、これを迎えて神の国のことを語り、
また治療を要する人々を直された。"
"420912","
日が傾きかけると、十二人は来てイエスに言った、「群衆を解散させ、まわりの
村や部落に行って宿を取らせ、食事をさせてください。わたし達はこんな人里はなれた所
にいるのですから。」"
"420913","
彼らに言われた、「あなた達が自分で食べさせてやったらよかろう。」彼らが言
った、「手許にはパン五つと魚二匹よりありません、わたし達が行って、このみんなの食
べる物を買ってこないことには。」"
"420914","
男五千人ばかりもいたからである。「五十人ぐらいずつ組にして坐らせなさい」
と弟子たちに言われた。"
"420915","
そのように、皆を坐らせた。"
"420916","
するとイエスは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の魚を(手
に)取り、天を仰いでそれを祝福したのち、(パンを)裂いて、群衆に配るように弟子た
ちに渡された。"
"420917","
皆が食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、十二篭あった。"
"420918","
イエスがひとりで祈っておられた時のこと、弟子たち(だけ)が一しょにいる
と、こう言って尋ねられた、「人々はわたしのことをなんと言っているのか。」"
"420919","
彼らが答えて言った、「洗礼者ヨハネ。あるいはエリヤ、あるいは昔のある預言
者が生き返ったのだ、と言う者があります。」"
"420920","
彼らに言われた、「では、あなた達はわたしのことをなんと言うのか。」ペテロ
が答えて言った、「神の(お約束の)救世主!」"
"420921","
イエスは弟子たちを戒めて、このことをだれにも言うなと命じられた。"
"420922","
そして、「人の子(わたし)は多くの苦しみをうけ、長老、大祭司連、聖書学者
たちから排斥され、殺され、そして三日目に復活せねばならない。(神はこうお決めにな
っている)」と言われた。"
"420923","
それから今度は皆に話された、「だれでも、わたしについて来ようと思う者は、
(まず)己れをすてて、毎日自分の十字架を負い、それからわたしに従え。"
"420924","
(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命を失い、わた
しのために(この世の)命を失う者が、(永遠の)命を救うのだから。"
"420925","
全世界をもうけても、自分(の命)を失ったり損したりするのでは、その人は
何を得するのだろう。"
"420926","
(わたしを信ずると言いながら、)わたしとわたしの福音(を告白すること)と
を恥じる者があれば、人の子(わたし)も、自分と父上と聖なる天使たちとの栄光に包ま
れて(ふたたび地上に)来る時、そんな(臆病)者を(弟子と認めることを)恥じるであ
ろう。"
"420927","
本当にわたしは言う、(その時はじきに来る。)今ここに立っている者のうちに
は、死なずにいて、その神の国を見る者がある。」"
"420928","
これらの言葉を語られた後、八日ばかりして、ペテロとヨハネとヤコブとを連
れて、祈るために山に上られた。"
"420929","
祈っておられるうちに、お顔の様子がちがってきて、着物(まで)が白く光り
出した。"
"420930","
すると見よ、二人の人が(現われて、)イエスと話していた。それはモーセとエ
リヤで、"
"420931","
栄光に包まれて現われ、イエスがエルサレムで遂げねばならぬ最後について(彼
と)語っていたのである。"
"420932","
ペテロたちはぐっすり眠っていたが、(この時)目を覚まして、このイエスの栄
光(の姿)と、一しょに立っている二人の人とを見たのである。"
"420933","
いよいよ二人がイエスと別れようとした時、ペテロがイエスに言った、「先生、
わたし達(三人)がここにいるのは、とても良いと思います。だから小屋を三つ造りまし
ょう。一つをあなたに、一つをモーセに、一つをエリヤに。」──何を言っているのか、(自
分にも)わからなかった。"
"420934","
しかしペテロがこう言い終らないうちに、雲がおこって、彼ら(イエスとモー
セとエリヤと)を掩った。彼らが雲の中に入った時、弟子たちは恐ろしくなった。"
"420935","
すると「これはわたしの“選んだ子、”“彼の言うことを聞け”」と言う声が雲の
中から聞えてきた。"
"420936","
声がきこえた時、見ると(そこには)イエスだけがおられた。彼らはそのころ
口をつぐんで、見たことを一切、だれにも話さなかった。"
"420937","
次の日、山から下ってくると、大勢の群衆がイエスを出迎えた。"
"420938","
すると群衆の中のひとりの人がこう言って叫んだ、「先生、お願いです、伜に目
をかけてやってください。独り息子です。"
"420939","
かわいそうに霊がつくと、灸にどなり出し、またひきつけさせて泡をふかせ、
なかなか離れないで、すっかり弱らせてしまいます。"
"420940","
それで、霊を追い出すことをお弟子たちに願いましたが、お出来になりません
でした。」"
"420941","
イエスが答えられた、「ああ不信仰な、腐り果てた時代よ、わたしはいつまであ
なた達の所にいてあなた達に我慢しなければならないのか。息子をここにつれてきなさ
い。」"
"420942","
しかし来るうちに、悪鬼がもうその子を投げ倒して、ひどくひきつけさせた。
イエスは汚れた霊を叱りつけて子をいやし、父親に返された。"
"420943","
皆が神の御威光に驚いてしまった。イエスのされたすべてのことに皆が驚いて
いると、(また)弟子たちに言われた、"
"420944","
「あなた達はこの言葉をよく耳にしまって置きなさい。──人の子(わたし)
は人々の手に引き渡されねばならない。」"
"420945","
しかし彼らはこの言葉がわからなかった。彼らに(意味が)隠されていたので、
会得できなかったのである。でもこわいので、この言葉について尋ねなかった。"
"420946","
ここに弟子たちの心に、自分たちのうちでだれが一番えらいだろうという考え
が起った。"
"420947","
イエスは彼らの心の考えを知って、一人の子供の手を取り、自分のわきに立た
せて、"
"420948","
言われた、「わたしの名を信ずるこの子供を迎える者は、わたしを迎えてくれる
のである。わたしを迎える者は、わたしを遣わされた方をお迎えするのである。あなた達
の間ではだれよりも一番小さい者が、一番えらい。」"
"420949","
ヨハネが言った、「先生、あなたの名を使って悪鬼を追い出している者を見たの
で、止めるように言いました。わたし達と一しょに(あなたに)従わないからです。(し
かし言うことを聞きませんでした。)」"
"420950","
イエスはヨハネに言われた、「止めさせるには及ばない。反対しない者はあなた
達の味方である。」"
"420951","
イエスは(いよいよ)昇天の日が迫ったので、決然としてその顔をエルサレム
へ向けて進み、"
"420952","
(まず行くさきざきに)使を先発させられた。ところが、彼らが行ってイエス
のために宿の用意をしようとしてサマリヤ人の村に入ると、"
"420953","
村人たちはイエスが顔をエルサレムへ向けて進んでおられるので、承知しなか
った。"
"420954","
弟子のヤコブとヨハネとはそれを見て(憤慨して)言った、「主よ、(エリヤの
ように)“天から火を”呼び“下して、”あの奴らを“焼き殺してしまい”ましょうか。」"
"420955","
イエスは振り返って二人を叱り、"
"420956","
みなとほかの村へ行かれた。"
"420957","
彼らが道を進んでいると、ある人がイエスに言った、「どこへでもおいでになる
所はお供をします。」"
"420958","
イエスはその人に言われた、「狐には穴がある、空の鳥には巣がある。しかし人
の子(わたし)には枕する所がない。(その覚悟があるか。)」"
"420959","
またほかの一人に言われた、「わたしについて来なさい。」その人が言った、「そ
の前に、父の葬式をしに行かせてください。」"
"420960","
その人に言われた、「死んだ者の葬式は死んだ者にまかせ、あなたは行って神の
国を伝えなさい。」"
"420961","
もう一人のほかの人も言った、「主よ、お供します。ただその前に、家の者に暇
乞いをさせてください。」"
"420962","
しかしイエスは言われた、「鋤に手をかけたあとで後を見る者は、神の国の役に
立たない。」"
"421001","
そのあとで、主は(十二人のほかに)別に七十二人を定め、自分で行こうとし
ておられる、あらゆる町や場所に二人ずつ先発された。"
"421002","
彼らに言われた、「刈入れは多いが、働き手が少ない。だから刈入れの主人に、
刈入れのため(多くの)働き手を送られるよう、お願いしなさい。"
"421003","
行け、いまわたしがあなた達を送り出すのは、羊を狼の中に入れるようなもの
だ。"
"421004","
(だからただ信仰で武装せよ。)財布も旅行袋も持ってゆかず、靴もはくな。だ
れにも道で挨拶をするな。"
"421005","
ある家に入ったら、まっ先に『平安この家にあれ』と言いなさい。"
"421006","
もしそこに一人でも平安を愛する者がおれば、あなた達の(祈った)平安はそ
の人に止り、もし一人もいなければ、あなた達に返ってくる(、そしてあなた達のものと
なる)であろう。"
"421007","
(どんな家でも一度入ったら、その土地を立ってゆくまでは)同じ家に泊まっ
ていて、家の人が出すものを(遠慮なく)飲み食いせよ。働く者が報酬をいただくのは当
然だから。家から家へと移ってはならない。"
"421008","
ある町に入ったとき、人があなた達を歓迎するなら、出されるものを食べて、"
"421009","
その町の病人をなおし、また(町の)人々に、『あなた達には神の国(の喜び)
が近づいた』と言え。"
"421010","
しかしある町に入ったとき、人が歓迎しないなら、大通りに出て言え、"
"421011","
『わたし達は足についたこの町の埃まで、あなた達に拭いてかえす。(縁を切っ
た証拠だ。)しかし(あなた達には、恐ろしい裁きである)神の国が近づいたことを知れ』
と。"
"421012","
わたしは言う、かの日には、(あの堕落町)ソドムの方が、まだその町よりも罰
が軽いであろう。"
"421013","
ああ禍だ、お前コラジン!ああ禍だ、お前ベツサイダ!わたしがお前たちの所
で行っただけの奇跡をツロやシドンで行ったなら、(あの堕落町でも、)とうの昔に粗布を
着、灰の中に坐って悔改めたにちがいないのだから。"
"421014","
ところで、裁きの時には、ツロやシドンの方が、まだお前たちよりも罰が軽い
であろう。"
"421015","
それから、お前カペナウム、(わたしに特別に可愛がられたからとて、)まさか
“天にまで挙げられる”などとは思っていないだろうね。(天に挙げられるどころか、)“お
前は黄泉にまでたたき落されるであろう。”"
"421016","
(七十二人の者に言っておく。──)あなた達の言うことを聞く者は、わたし
の言うことを聞くのであり、あなた達を排斥する者は、わたしを排斥するのである。わた
しを排斥する者は、わたしを遣わされた方を排斥するのである。」"
"421017","
七十二人が喜んで帰ってきてイエスに言った、「主よ、あなたの名を使うと、悪
鬼までがわたし達に服従します。」"
"421018","
彼らに言われた、「悪魔が稲妻のように天から落ちるのを、わたしは見ていた。
"
                 
"421019","
(悪魔の下働きをする)“蛇”や蝎“を踏みつけ、”また敵のあらゆる力に打ち
勝つ全権をあなた達に授けたではないか。だから、あなた達に害を加えるものは一つもな
い。"
"421020","
しかし(悪い)霊どもがあなた達に服従したことを喜ばず、自分の名が天(の
命の書)に書き込まれていることを喜ばなくてはいけない。」"
"421021","
この時イエスは聖霊にみたされ、感激にあふれて言われた、「天地の主なるお父
様、(神の国の秘密に関する)これらのことを(この世の)賢い人、知恵者に隠して、幼
児(のような人たち)にあらわされたことを、讃美いたします。ほんとうに、お父様、そ
うなるのがあなたの御心でした。"
"421022","
(──知恵も力も、その他)一切のものが父上からわたしに任せられた。父上
のほかに、子(であるわたし)が何であるかを知る者は一人もなく、また、子と、子が父
上をあらわしてやる者とのほかに、父上が何であるかを知る者はない。」"
"421023","
それから特に弟子の方へ振り向いて言われた、「あなた達が(いま)見ているも
のを見る目は幸いである。"
"421024","
わたしは言う、多くの預言者と王とは、あなた達が(いま)見ているものを見
たいと思ったが見られず、あなた達が(いま)聞いているものを聞きたいと思ったが、聞
かれなかったのである。」"
"421025","
するとそこに、ひとりの律法学者があらわれて、イエスを試そうとして言った、
「先生、何をすれば永遠の命がいただけるのでしょうか。」"
"421026","
イエスは言われた、「律法[聖書]に何と書いてあるか。解釈はいかに。」"
"421027","
学者が答えた、「“心のかぎり、精神のかぎり、力のかぎり、”思いのかぎり、“あ
なたの神なる主を愛せよ。”また”隣の人を自分のように愛せよ”です。」"
"421028","
彼に言われた、「その答は正しい。“それを実行しなさい。そうすれば(永遠に)
生きられる。”」"
"421029","
すると学者は照れかくしにイエスに言った、「では、わたしの隣り人とはいった
いだれのことですか。」"
"421030","
イエスが答えて言われた、「ある人が(──それはユダヤ人であった──)エル
サレムからエリコに下るとき、強盗に襲われた。強盗どもは例によって(着物を)はぎと
り、なぐりつけ、半殺しにして逃げて行った。"
"421031","
たまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ながら、向こう
側を通っていった。"
"421032","
同じくレビ人もその場所に来たが、見ながら向こう側を通っていった。"
"421033","
ところが旅行をしていたひとりのサマリヤ人は、この人のところに来ると、見
て不憫に思い、"
"421034","
近寄って傷にオリブ油と葡萄酒を注いで包帯した上、自分の驢馬に乗せて旅籠
屋につれていって介抱した。"        
"421035","
そればかりか、次の日、デナリ銀貨[五百円]を二つ出して旅篭の主人に渡し、
『この方を介抱してくれ。費用がかさんだら、わたしが帰りに払うから』と言った(とい
う話)。"
"421036","
(それで尋ねるが、)この三人のうち、だれが強盗にあった人の隣の人であった
とあなたは考えるか。(同国人の祭司か、レビ人か、それとも異教のサマリヤ人か。)」"
"421037","
学者はこたえた、「その人に親切をした(サマリヤの)人です。」イエスが言わ
れた、「行って、あなたも同じようにしなさい。(そうすれば永遠の命をいただくことが出
来る。)」"
"421038","
さてみなが旅行をつづけるうち、イエスがある村に入られると、マルタという
女が家にお迎えした。"
"421039","
マルタにマリヤという姉妹があった。。マリヤは主の足もとに坐ってお話を聞い
ていた。"
"421040","
するといろいろな御馳走の準備で天手古舞をしていたマルタは、すすみ寄って
言った、「主よ、姉妹がわたしだけに御馳走のことをさせているのを、黙って御覧になっ
ているのですか。手伝うように言いつけてください。」"
"421041","
主が答えられた、「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことに気を配り、心を
つかっているが、"
"421042","
無くてならないものはただ一つである。マリヤは善い方を選んだ。それを取り
上げてはならない。」"
"421101","
ある所で祈っておられた時のこと、それがすむと、ひとりの弟子が言った、「主
よ、(洗礼者)ヨハネが弟子たちに教えたように、わたし達にも祈りを教えてください。」"
"421102","
彼らに言われた、「祈る時には、こう言いなさい。──お父様、お名前がきよま
りますように。お国が来ますように。"
"421103","
その日の食べ物を日ごとにわたしたちに戴かせてください。"
"421104","
罪を赦してください、わたしたちも罪を犯した人を皆赦しておりますから。わ
たしたちを試みにあわせないでください。」"
"421105","
また彼らに言われた、「あなた達のうちのだれかに友人があって、夜中にその友
人の所に行き、『友よ、パンを三つ貸してくれ。"
"421106","
旅先からわたしの友人が来たのに、何も出すものがないから』と言ったとき、"
"421107","
その友人は内から、『勘弁してくれ。もう戸締りをしてしまったし、子供たちも
わたしと一しょに寝ている。起きてかしてやるわけにはゆかない』と答えるにちがいない。
"
"421108","
しかしわたしは言う、(その人がなおもせがんで止まなければ、)友人だからと
いうのでは起きて(パンを)かしてやらなくても、その厚かましさにはかなわず、起き上
がって、必要なだけのものをかしてやるにちがいない。"
"421109","
それで、わたしもあなた達に言う、(ほしいものはなんでも神に)求めよ、きっ
と与えられる。さがせ、きっと見つかる。戸をたたけ、きっとあけていただける。"
"421110","
だれであろうと、求める者は受け、さがす者は見つけ、戸をたたく者はあけて
いただけるのだから。"
"421111","
あなた達のうちのどんなお父さんでも、子が魚を求めるのに、魚の代りに蛇を
やるだろうか。"
"421112","
また卵を求めるのに、蝎をやるだろうか。"
"421113","
してみると、あなた達は悪い人間でありながらも、自分の子に善い物をやるこ
とを知っている。まして天の父上が、求める者に聖霊(という善いもの)を下さらないこ
とがあるだろうか。」"
"421114","
(ある日)悪鬼を追い出しておられた。それは唖(の霊)であった。その悪鬼
が出てゆくと(すぐ)唖が物を言うようになったので、群衆が驚いた。"
"421115","
しかしそのうちには、「あれは悪鬼どもの頭ベルゼブル(悪魔)を使って悪鬼を
追い出している」と言った者もあり、"
"421116","
またある者は(イエスを)試そうとして、(神の子である証拠に)天からの(不
思議な)徴を彼に求めた。"
"421117","
イエスは彼らの思いを知って言われた、「内輪で割れるいかなる国も荒れ果てて、
家が重なり合って倒れる。"
"421118","
(同じように)悪魔(の国)も内輪で割れれば、どうしてその国が立ってゆこ
う。あなた達は、わたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出していると言うのだが。"
"421119","
またわたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出すとすれば、(同じことをしてい
る)あなた達の弟子は、いったい何を使って(悪鬼を)追い出しているのか。(まさかベ
ルゼブルではあるまい。だからこのことについては、)あなた達の弟子に裁判官になって
もらったがよかろう。"
"421120","
しかし、もし(そうでなく、)わたしが神の指で悪鬼を追い出しているのであっ
たら、それこそ神の国はもうあなた達のところに来ているのである。"
"421121","
強い者が武装して自分の城を守っている時には、その持ち物は安全であるが、"
"421122","
より強い者が襲ってきてこれに打ち勝つと、その頼みにしている武具を奪い、
分捕品を分けるのである。"
"421123","
(だからわたしは言う、神と悪魔との戦いはすでに始まっている。)わたしの側
に立たない者は、わたしに反対する者、わたしと一しょに集めない者は、散らす者である。
"
"421124","
汚れた霊が(追い出されて)人間から出て行くと、砂漠をあるき回って休み場
所をさがすが見つからないので、『出てきた自分の家にもどろう』と言って、"
"421125","
かえって見ると、(家は)掃除ができて、飾り付けがしてあった。"
"421126","
そこで行って、自分よりも悪い、ほかの(汚れた)霊を七つも連れてきて入り
こみ、そこに住む。するとその人のあとの有様は、(追い出す)前よりも、もっとひどく
なるのである。」"
"421127","
こう話しておられる時、群衆の中の一人の女が声を張り上げてイエスに言った、
「なんと仕合わせでしょう、あなたを宿したお腹、あなたがすった乳房は!」"
"421128","
しかしイエスは言われた、「いや、仕合わせなのは、神の言葉を聞いてそれを守
る人たちである。」"
"421129","
群衆がなおも押し寄せてきたとき、イエスは話し出された、「この時代は悪い時
代である。(だから信ずるのに)徴を求める。しかしこの時代には、(預言者)ヨナの徴以
外の徴は与えられない。"
"421130","
すなわちヨナが(大きな魚の腹から出てきて)ニネベの人に徴となったように、
人の子(わたしも地の中から出てきて)この時代の人に徴となるのである。"
"421131","
(しかし人々は信じない。だから)南の国(シバ)の女王がこの時代の人たち
と一しょに(最後の)裁き(の法廷)にあらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。とい
うのは、彼女は地の果てからソロモン(王)の知恵を聞きに(エルサレムに)来たが、(こ
の人たちは、)いまここにソロモンよりも大きい者がいる(のに、それに耳を傾けない)
からである。"
"421132","
(また、)ニネベの人がこの時代の人と一しょに(最後の)裁き(の法廷)にあ
らわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、ニネベの人はヨナの説く言葉
に従って悔改めたが、(この人たちは、今)ここにヨナよりも大きい者がいる(のに、そ
の言葉に従わない)からである。"
"421133","
だれも明りをつけて片隅に置いたり、枡をかぶせたりする者はない。(部屋に)
入ってくる者にその光が見えるように、かならず燭台の上に置くのである。(そのように
人の子が来たのも世を照らすためである。それを見わけられないのは、見る人の心が暗い
からである。)"
"421134","
体の明りはあなたの目である。目が澄んでいる間は、体全体も明るいが、悪い
となると、体も暗い。"
"421135","
だから、あなたの内の光(である目、すなわち心)が暗くならぬように注意せ
よ。"
"421136","
もし体全体が明るくてすこしも暗い部分がなければ、明りがその輝きであなた
を照らしている時のように、すべてが明るいであろう。」"
"421137","
こう話しておられた時、一人のパリサイ人がその家でお食事をと願ったので、
(家に)入って食卓に着かれた。"
"421138","
するとそのパリサイ人は、イエスが(規則どおり)食事の前にまず(手を)す
すがれないのを見て不思議がった。"
"421139","
主は彼に言われた、「よろしい、では君たちパリサイ人、君たちは杯や盆の外側
は清潔にするが、(心の)内側は強欲と悪意とでいっぱいではないか。"
"421140","
無知な人たちよ、外側を造った方が、内側もお造りになったのではないか。"
"421141","
とにかく、(杯や盆の)内のものを施してみよ。見る間に、君たちのもの一切が
清潔になるであろう。"
"421142","
ああ禍だ、君たちパリサイ人!君たちは薄荷や芸香やすべての野菜の(収穫の)
一割税は(神妙に)納めるが、(大切な)正義と神に対する愛とをゆるがせにしているか
らだ。しかしこれこそ行うべきである。だがあれもなおざりにしてはならない。"
"421143","
ああ禍だ、君たちパリサイ人!君たちは礼拝堂の上席や、市場で挨拶されるこ
とを好むからだ。"
"421144","
ああ禍だ、君たちは!君たちは見分けのつかない(汚れた)墓のようで、人は
(それと)知らずにその上を歩くからだ。(同じように、きたない君たちに接する人は皆
汚れる。)」"
"421145","
するとひとりの律法学者が口を出した、「先生、あなたはそう言って、わたし達
までも侮辱しておられます。」"
"421146","
イエスが言われた、「ああ禍だ、君たち律法学者も!君たちは人には負いきれな
い荷を負わせながら、自分では(担ってやるどころか、)ただの指一本、その荷にさわっ
てやらないからだ。"
"421147","
ああ禍だ、君たちは!君たちは預言者の記念碑を建てるが、その預言者を殺し
たのは君たちの先祖だからだ。"
"421148","
それゆえ君たちは先祖がした(預言者殺しの)業の証人であり、またその賛成
者である。先祖は殺し、君たちは(その記念碑を)建てるからだ。"
"421149","
だから神の知恵も(預言して)言っている、『わたしが預言者や使徒を派遣する
と、彼らはそのある者を殺し、また迫害するであろう。"
"421150","
これは、(こうして彼らが迫害する預言者の血だけでなく、)世の始めから流さ
れたすべての預言者の血に対して、この時代が勘定を取られるためである、"
"421151","
(すなわち、最初の殺人であった)アベルの血から、祭壇と神殿との間で殺さ
れたザカリヤの血に至るまで(の血に対して。)』ほんとうに、わたしは言う、この時代(の
君たち)は勘定を取られるであろう。"
"421152","
ああ禍だ、君たち律法学者!君たちは(神の国の)知識の鍵を取り上げて、自
分も入らず、また入ろうとする者の邪魔をするからだ。」"
"421153","
イエスがそこを出てゆかれると、聖書学者とパリサイ人とは(イエスに対して)
ひどく敵意をいだき、いろいろな質問をあびせ始めた。"
"421154","
あわよくば、その口から何か言葉質をとろうと狙っていたのである。"
"421201","
とにかくするうちに、(足を)踏み合うほど数かぎりない群衆が集まってきた。
イエスはまず弟子たちに言い出された、「パリサイ人のパン種──彼らの偽善──を警戒
せよ。"
"421202","
覆われているものであらわされないものはなく、隠れているもので(人に)知
られないものはない。"
"421203","
(伝道も同じである。)だからあなた達が暗闇で(こっそり)言ったことはみな、
明るみで聞かれ、奥の部屋で耳にささやいたことは、屋根の上で宣伝される(時が来る)
のである。"
"421204","
あなた達、わたしの友人に言う、体を殺しても、そのあと、それ以上には何も
できない者を恐れるな。"
"421205","
恐るべき者はだれか、おしえてあげよう。殺したあとで、地獄に投げ込む権力
を持っておられるお方を恐れよ。ほんとうに、わたしは言う、そのお方(だけ)を恐れよ。
"
"421206","
雀は五羽二アサリオン(六十円)で売っているではないか。しかしその一羽で
も、神に忘れられてはいないのである。"
"421207","
それどころかあなた達は、髪の毛までも一本一本数えられている。恐れること
はない、あなた達は多くの雀よりも大切である。"
"421208","
それで、わたしは言う、(恐れずに説け。)だれでも人の前で公然わたしを(主
と)告白する者を、人の子(わたし)も(裁きの日に、)神の使たちの前で(弟子として)
認める。"
"421209","
しかし人の前でわたしを否認する者は、神の使たちの前で(わたしから)否認
されるであろう。"
"421210","
また、人の子(わたし)を冒涜する者ですら、皆、赦していただけるが、聖霊
を冒涜する者は(決して)赦されない。"            
"421211","
人々があなた達を礼拝堂や役所や官庁に引っ張っていった時には、いかに、何
と弁明しようか、何を言おうかと、心配するな。"
"421212","
言うべきことは、その時に聖霊が教えてくださるのだから。」"
"421213","
すると群衆の中の一人がイエスに言った、「先生、遺産を分けてくれるように、
兄に言ってください。」"
"421214","
イエスは「君、だれがわたしを、あなた達の裁判官また遺産分配人に任命した
のか」とこたえておいて、"
"421215","
人々に言われた、「一切の貪欲に注意し、用心せよ。いかに物があり余っていて
も、財産は命の足しにはならないのだから。」"
"421216","
そこで一つの譬を人々に話された、「ある金持の畑が(ある年)豊作であった。
"
"421217","
『どうしよう、わたしの作物をしまいこむ場所がないのだが…』と金持ちはひ
そかに考えていたが、"
"421218","
やがて言った、『よし、こうしよう。倉をみなとりこわして大きいのを建て、そ
こに穀物と財産をみなしまいこんでおいて、"
"421219","
それからわたしの魂に言おう。──おい魂、お前には長年分の財産が沢山しま
ってある。(もう大丈夫。)さあ休んで、食べて、飲んで、楽しみなさい、と。』"
"421220","
しかし神はその人に、『愚か者、今夜お前の魂は取り上げられるのだ。するとお
前が準備したものは、だれのものになるのか』と言われた。"
"421221","
自分のために(地上に)宝を積んで、神のところで富んでいない者はみな、こ
のとおりである。」"
"421222","
それから(また)弟子たちに言われた、「だから、わたしは言う、何を食べよう
かと命のことを心配したり、また何を着ようかと体のことを心配したりするな。"
"421223","
命は食べ物以上、体は着物以上(の賜物)だから。(命と体とを下さった神が、
それ以下のものを下さらないわけはない。)"
"421224","
烏をよく見てごらん。まかず、刈らず、納屋も倉もないのに、神はそれを養っ
てくださるのである。ましてあなた達は、鳥よりもどれだけ大切だか知れない。"
"421225","
(だいいち、)あなた達のうちのだれが、心配して寿命を一寸でも延ばすことが
出来るのか。"
"421226","
それなら、こんな小さなことさえ出来ないのに、なぜほかのことを心配するの
か。"
"421227","
花は紡ぐことも、織ることもしないのに、よく見てごらん。しかし、わたしは
言う、栄華を極めたソロモン(王)でさえも、この花の一つほどに着飾ってはいなかった。
"
"421228","
きょうは野に花咲き、あすは炉に投げ込まれる草でさえ、神はこんなに装って
くださるからには、ましてあなた達はなおさらのことである。信仰の小さい人たちよ!"
"421229","
あなた達も、何を食べよう、何を飲もうと考えるな、また気をもむな。"
"421230","
それは皆この世の異教人の欲しがるもの。あなた達の父上は、それがあなた達
に必要なことを御承知である。"
"421231","
あなた達はむしろ御国を求めよ。そうすれば(食べ物や着物など)こんなもの
は、(求めずとも)つけたして与えられるであろう。"
"421232","
小さな群よ、恐れることはない。あなた達の父上は御国をあなた達に下さるつ
もりだから。"
"421233","
(ただ御国のために働けばよろしい。)持ち物を売って施しをしなさい。(すな
わちそれによって)自分のために古び(て破れ)ることのない財布をつくり、泥坊が近づ
くことも、衣魚が食うこともない天に、使いつくすことのない宝をつんでおきなさい。"
"421234","
宝のある所に、あなた達の心もあるのだから。"
"421235","
裾ひきからげ、明りをともしておれ。"
"421236","
あなた達は、主人が宴会からかえって来て戸をたたいたときすぐあけられるよ
うに、帰りいつかと待ちかまえている人のようであれ。"
"421237","
主人がかえって来たとき、目を覚ましているところを見られる僕たちは幸いで
ある。アーメン、わたしは言う、主人の方で裾をひきからげて、僕たちを食卓につかせ、
そばに来て給仕をしてくれるであろう。"
"421238","
第二夜回りのころにせよ、第三夜回りのころにせよ、主人がかえって来たとき、
こうして(目を覚まして)いるところを見られたら、その人たちは幸いである。"
"421239","
あなた達はこのことを知っているはずだ。──何時に泥坊が来るとわかってお
れば、家の主人は(目を覚ましていて、)みすみす家に忍び込ませはしないであろう。"
"421240","
あなた達も用意していなさい。人の子(わたし)は思いがけない時に来るのだ
から。」"
"421241","
するとペテロが言った、「主よ、この譬はわたし達(世話をしている者)のため
ですか、それとも皆の者のためにも話されたのですか。」"
"421242","
主が言われた、「(旅行に出かける)主人が一人の番頭を(えらんで)召使たち
の上に立て、時間時間にきまった食事を与えさせることにした場合に、いったいどんな番
頭が忠実で賢いのであろうか。"
"421243","
それは主人がかえって来たとき、言いつけられたとおりにしているところを見
られる僕で、その僕こそ幸いである。"
"421244","
本当にあなた達に言う、主人は彼に全財産を管理させるに違いない。"
"421245","
しかしその僕が、主人のかえりはおそい、と心の中で考えて、下男や下女をな
ぐったり、飲んだり食ったり酔っぱらったりし始めていると、予期せぬ日、思いもよらぬ
時間に、その僕の主人がかえってきて、僕を八つ裂きにし、不信者と同じ目にあわせるに
ちがいない。"
"421246","
予期せぬ日、思いもよらぬ時間に、その僕の主人がかえってきて、僕を八つ裂
きにし、不信者と同じ目にあわせるにちがいない。"
"421247","
主人の心を知っていながら用意せず、あるいは主人の心に従って行動しなかっ
た僕は、(鞭で)打たれることが多い。"
"421248","
しかし(主人の心を)知らない者は、打たれるようなことをしても、打たれ方
が少ない。(神に)多く渡された者は皆多く請求され、(信頼して)多く任された者は一そ
う多く要求される。"
"421249","
火を地上に投げるために、わたしは来た。火がもう燃え出していたらと、どん
なに願っていることであろう!"
"421250","
しかしわたしには、受けねばならない洗礼がある。それがすむまで心配でたま
らないのだ。"
"421251","
あなた達は、地上に平和をもたらすためにわたしが来たと思うのか。そうでは
ない、わたしは言う、平和どころか、内輪割れ以外の何ものでもない。"
"421252","
今からのち、一軒の家で五人が割れて、三人対二人、二人対三人に"
"421253","
割れるからである。父対息子”息子対父、”母対娘”娘対母、”姑対嫁”嫁対姑”!」
"
"421254","
また群衆にも言われた、「あなた達は雲が西に出るのを見ると、即座に『俄雨が
来そうだ』と言うが、はたしてそのとおり。"
"421255","
また南風が吹きだすと、『暑くなりそうだ』と言うが、はたしてしかり。"
"421256","
この偽善者たち、天地の模様を見ることを心得ていながら、どうしてこの時(の
せまった様子)がわからないのか。"
"421257","
あなた達は(こんな時に)どうすればよいかを、なぜ自分で判断しないのか。"
"421258","
あなたは(いま、裁判所に訴えられているようなものである。)告訴人と一しょ
に役人の所に行く間に、途中でその人と話をつけるよう努力すべきである。そうでないと、
告訴人はあなたを裁判官の前に引きずってゆき、裁判官は執行人に引き渡し、執行人は牢
に入れるにちがいない。"
"421259","
わたしは言う、最後の一レプタ[五円]を返すまでは、決してそこから出るこ
とはできない。(早く悔改めよ。)」"
"421301","
ちょうどその時、人が来て、(総督ピラトが犠牲をささげている)ガリラヤ人た
ちを殺し、その血が彼らの犠牲(の血)にまじったことをイエスに報告した。"
"421302","
その人たちに言われた、「そのガリラヤ人たちはそんな目にあったので、(ほか
の)すべてのガリラヤ人よりも罪人だったと思うのか。"
"421303","
そうではない。わたしは言う、あなた達も悔改めなければ、皆同じように滅び
るであろう。"
"421304","
またシロアムの(池の)近くの櫓が倒れて(下敷になって)死んだあの十八人
は、(当時)エルサレムに住んでいた(ほかの)すべての人よりも罪人だったと思うのか。
"
"421305","
そうではない。わたしは言う、あなた達も悔改めなければ、皆同様に滅びるで
あろう。」"
"421306","
そこでこの譬を話された、「ある人が葡萄畑に一本の無花果の木を植えておいた。
(ある日)実をさがしに来たが、見つからないので、"
"421307","
葡萄畑の作男に言った、『もう三年この方、この無花果の木に実をさがしに来て
いるのに、まだ実がならない。切ってくれ。(ならないばかりか、)なんで土地までくたび
れさせることがあろう。』"
"421308","
答えて言う、『ご主人、今年もう一年だけ勘弁してやってください。今度は回り
を掘って、肥料をやってみますから。"
"421309","
それで来年実を結べばよし、それでもだめなら、切ってください。』」"
"421310","
安息日にある礼拝堂で教えておられた。"
"421311","
その時、そこに十八年も病気の霊につかれている女がいた。体が曲っていて、
真直ぐに伸ばすことが出来なかった。"
"421312","
イエスは女を見て呼びよせ、「女の人、病気は直っている」と言って"
"421313","
手をのせられると、女はたちどころに体がまっすぐに伸びて、神を讃美した。"
"421314","
すると礼拝堂監督は、イエスが安息日に病気をなおされたことを憤慨して、群
衆に言った、「働くべき日は六日ある。その間に来てなおしてもらったがよかろう。安息
日の日にはいけない。」"                          
"421315","
主が答えられた、「この偽善者たち、あなた達はだれも、安息日には牛や驢馬を
小屋から解いて、水を飲ませにつれてゆかないのか。"
"421316","
この女はアブラハムの末であるのに、十八年ものあいだ、悪魔が縛っていたの
だ。安息の日だからとて、その(悪魔の)縄目から解いてはならなかったのか。」"
"421317","
こう言われると、(監督はじめ)反対者は皆恥じ入り、群衆は一人のこらず、イ
エスが行われたあらゆる輝かしい御業を喜んだ。"
"421318","
すると言われた、「神の国は何に似ているか。何にたとえようか。"
"421319","
それは芥子粒に似ている。ある人がそれをその庭に蒔いたところ、育って(大
きな)木になり、”その枝に空の鳥が巣をつくった。”」"
"421320","
さらに言われた、「神の国を何にたとえようか。"
"421321","
それはパン種に似ている。女がそれを三サトン[二斗]の粉の中にまぜたとこ
ろ、ついに全体が醗酵した。」"
"421322","
イエスは町々村々を通って教えながら、エルサレムへの旅行をつづけておられ
た。"
"421323","
するとある人が「主よ、救われる者は少ないでしょうか」と尋ねた。人々に言
われた、"
"421324","
「全力を尽くして(今すぐ)狭い戸口から入りなさい。あなた達に言う、(あと
になって)入ろうとしても、入れない者が多いのだから。"
"421325","
家の主人が立ち上がって戸をしめたあとで、あなた達が外に立って、『ご主人、
あけてください』と言って戸をたたきつづけても、主人は、『わたしはあなた達がどこの
人だか知らない』と答えるであろう。"
"421326","
その時あなた達はこう言い出すにちがいない、『わたし達はご一しょに飲んだり
食べたりした者です。あなたはわたし達のところの大通りで教えてくださいました』と。"
"421327","
しかし主人は、『わたしはあなた達がどこの人だか知らない。“この悪者、みん
な、わたしをはなれよ!”』と言うであろう。"
"421328","
あなた達はアブラハムやイサクやヤコブや、またすべての預言者たちが神の国
におるのに、自分は外に放り出されるのを見て、そこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"421329","
また人々が“東から西から北から南から”来て、神の国で宴会につらなるであ
ろう。"
"421330","
たしかに、最後であって一番になる者があり、一番であって最後になる者があ
る。」"
"421331","
ちょうどその時、数人のパリサイ人が来てイエスに言った、「(すぐ)ここを逃
げ出しなさい。ヘロデ(王)があなたを殺そうと思っています。」"
"421332","
彼らに言われた、「(忠告はありがたいが、)行って、あの狐(のヘロデ)にこう
言ってもらいたい、『見よ、わたしはきょうとあしたは、(まだここにいて)悪鬼を追い出
し治療を行い、三日目に(仕事が終って)全うされる。"
"421333","
とはいえ、きょうもあしたもあさっても、わたしは(たえずエルサレムへ向か
って)進みゆかねばならない。預言者がエルサレム以外の所で死ぬことはあり得ないのだ
から』と。"
"421334","
ああエルサレム、エルサレム、預言者を殺し、(神から)遣わされた者を石で打
ち殺して(ばかり)いる者よ、雌鳥がその雛を翼の下に集めるように、何度わたしはお前
の子供たちを(わたしの所に)集めようとしたことか。だがお前たち(エルサレムの者)
はそれを好まなかった。"
"421335","
そら、“お前たちの町は(宮もろとも神に)見捨てられ(て荒れ果て)るのだ。”
お前たちに言っておく、お前たちが(わたしを迎えて)“主の御名にて来られる方に祝福
あれ。”と言う時の来るまで、わたしを見ることは決してないであろう。」"
"421401","
ある安息日に、パリサイ派に属する(最高法院の)ある役人の家に食事に(招
かれて)行かれた時のこと、人々はひそかにイエスの様子をうかがっていた。"
"421402","
すると、水気をわずらった人がイエスの前にあらわれた。"
"421403","
イエスは自分の方から律法学者やパリサイ人たちに向かって口を切られた。「安
息日に病気をなおすことは正しいか、正しくないか。」"
"421404","
彼らが黙っていると、その人(の手)をつかんで、病気を直してお帰しになっ
た。"
"421405","
そして彼らに言われた、「あなた達のうちには、息子か牛かが井戸に落ちたとき、
安息の日だからとてじきに引き上げてやらない者がだれかあるだろうか。」"
"421406","
彼らはこれに対して返答ができなかった。"
"421407","
またイエスは招かれた人たちが上座を選ぶのに目をとめて、彼らに一つの譬を
話された、"
"421408","
宴会に招かれた時には、上座についてはいけない。あなたよりもえらい人が招
かれていると、"
"421409","
あなた達を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかも知れな
い。その時あなたは恥ずかしい思いをして、下座に着かねばならない。"
"421410","
招かれた時には、むしろさっさと下座にすわりなさい。そうすればあなたを招
いた人が来て、『友よ、もっと上の方に進みください』と言う時に、満座の中で面目をほ
どこすであろう。"
"421411","
自分を高くする者は皆低くされ、自分を低くする者は高くされるのである。」"
"421412","
また自分を招いた人にも言われた、「朝飯や夕飯の会を催す時には、友人も、兄
弟も、親族も、近所の金持も呼ぶな。そうでないと、その人たちもあなたを招待してお返
しをするかも知れない。"
"421413","
御馳走をする時には、むしろ貧乏人、片輪、足なえ、盲人を招きなさい。"
"421414","
この人たちはお返しができないから、あなたは幸いである。(最後の日)義人の
復活の時に、あなたは(神から)お返しをうけるのだから。」"
"421415","
これを聞いて、ひとりの客がイエスに言った、「神の国で食事のできる者は、な
んと幸いでしょう。」"
"421416","
その人に言われた、「(そのとおり。しかしこの譬を聞きなさい。)ある人が大宴
会を催して大勢(の客)を招いた。"
"421417","
宴会の時刻になったので、一人の僕をやって招いた人たちに、『お出でください、
もう用意ができています』と言わせると、"
"421418","
皆が異口同音にことわり始めた。第一の人は言った、『畑を買ったので見に行か
ねばなりません。どうか失礼させてください。』"
"421419","
次の人は言った、『五対の牛を買ったので、いま改めに行くところです。どうか
失礼させてください。』"
"421420","
もう一人の人は言った、『家内をもらったばかりで、行かれません。』"
"421421","
僕がかえって来てそのことを主人に報告すると、主人は怒って僕に言った、『大
急ぎで町の大通りや路地へ行って、貧乏人や片輪や盲人や足なえをここにつれて来なさ
い。』"
"421422","
やがて僕が(かえって来て)言った、『御主人、仰せのとおりにしましたが、ま
だ席があります。』"
"421423","
主人が僕に言った、『田舎道や垣根のところに行き、(そこにいるひとたちに)
無理にも来てもらって、家をいっぱいにしなさい。』"
"421424","
──あなた達に言う、(神の国もこのとおり。最初に)招いた人たちで、わたし
の宴会に連なる者は一人もあるまい。」"
"421425","
大勢の群衆がイエスと一しょに旅行をしていると、振り向いて言われた、"
"421426","
わたしの所に来て、その父と母と妻と子と兄弟と姉妹と、なおその上に、自分
の命までも憎まない者は、だれもわたしの弟子になることは出来ない。"
"421427","
自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることは
出来ない。"
"421428","
(このように、わたしの弟子になるには最初の覚悟が必要である。)なぜか。(次
の譬を聞きなさい。)あなた達のうちには櫓を建てようと思うとき、まず坐って、はたし
て造りあげるだけの金があるかと、その入費を計算しない者がだれかあるだろうか。"
"421429","
そうしないで、土台をすえただけで完成ができないと、見る人が皆、"
"421430","
『あの人は建てかけたが、完成できなかった』と言って笑うであろう。"
"421431","
また、ある王が他の王と戦いを交えようとする時には、まず坐って、(自分の)
一万(の兵)で、二万(の兵)を率いてすすんで来る敵をむかえ撃てるかどうかを考えな
いだろうか。"
"421432","
そして、もしかなわないと見たら、敵がまだ遠くにいるうちに、使者を派遣し
て講和を申し出るであろう。"
"421433","
だから同じように、(家族や財産など)一切合切、自分のものと別れなければ、
あなた達のだれ一人、わたしの弟子になることは出来ない。"
"421434","
だから、(それは塩に似ている。)塩はよいもの。しかし塩でももし馬鹿になっ
たら、何で(もう一度)塩気がつけられるか。"
"421435","
畑にも肥料にも役立たず、外に捨てられるばかりである。(わたしの弟子もその
とおり。)耳のきこえる者は聞け。」"
"421501","
さて、イエスの話を聞こうとして、(いつものとおり)税金取りや罪人が皆近寄
ってきた。"               
"421502","
パリサイ人と聖書学者たちがぶつぶつ呟いて言った、「この人は罪人を歓迎する
し、また(招かれていって)食事までも一しょにする。」"
"421503","
そこで彼らにつぎの譬を話された。"
"421504","
「あなた達のうちのだれかが羊を百匹持っていて、その一匹がいなくなったと
き、その人は九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を、見つけ出すまではさ
がし歩くのではないだろうか。"
"421505","
そして見つけると、喜んで肩にのせて、"
"421506","
家にかえり、友人や近所の人たちを呼びあつめてこう言うにちがいない、『一し
ょに喜んでください。いなくなっていたわたしの羊が見つかったから』と。"
"421507","
わたしは言う、このように、一人の罪人が悔改めると、悔改める必要のない九
十九人の正しい人以上の喜びが、天にあるのである。"
"421508","
また、どんな女でも、ドラクマ銀貨[五百円]を十枚持っていて、もしその銀
貨を一枚無くしたとすれば、明りをつけて家(中)を掃き、それを見つけ出すまでは、丹
念にさがしつづけるのではないだろうか。"
"421509","
そして見つけると、友だちや近所の女たちを呼びあつめてこう言うにちがいな
い、『一しょに喜んでください。無くした銀貨が見つかりましたから』と。"
"421510","
わたしは言う、このように、一人の罪人が悔改めると、神の使たちに喜びがあ
るのである。」"
"421511","
また話された、「ある人に二人の息子があった。"
"421512","
『お父さん、財産の分け前を下さい』と弟が父に言った。父は身代を二人に分
けてやった。"
"421513","
幾日もたたないうちに、弟は(分け前)全部をまとめて(金にかえ、)遠い国に
行き、そこで放蕩に財産をまき散らした。"
"421514","
すべてを使いはたしたとき、その国にひどい飢饉があって、食べるにも困り果
てた。"
"421515","
そこでその国のある人のところに行ってすがりつくと、畑にやって、豚を飼わ
せた。"          
"421516","
彼はせめて豚の食う蝗豆で腹をふくらしたいと思ったが、(それすら)呉れよう
とする人はなかった。"
"421517","
ここで(はじめて)本心に立ち返って言った。──お父さんのところでは、あ
んなに大勢の雇人に食べ物があり余っているのに、(息子の)このわたしは、ここで飢え
死にしようとしている。……"
"421518","
よし、お父さんの所にかえろう、そしてこう言おう、『お父さん、わたしは天(の
神様)にも、あなたにも、罪を犯しました。"
"421519","
もうあなたの息子と言われる資格はありません。どうか雇人なみにしてくださ
い』と。"
"421520","
そして立ってその父の所へ出かけた。ところが、まだ遠く離れているのに、父
は見つけて不憫に思い、駈けよって首に抱きついて接吻した。"
"421521","
息子は父に言った、『お父さん、わたしは天(の神様)にも、あなたにも、罪を
犯しました。もうあなたの息子と言われる資格はありません。……』"
"421522","
しかし父は(皆まで聞かず)召使たちに言った、『急いで、一番上等の着物をも
って来て着せなさい。手に指輪を、足にお靴をはかせなさい。"
"421523","
それから肥えた小牛を引いてきて料理しなさい。みんなで食べてお祝いをしよ
うではないか。"
"421524","
このわたしの息子は死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかっ
たのだから。』そこで祝賀会が始まった。"
"421525","
兄は畑にいたが、家の近くに来ると鳴り物や踊りの音が聞えるので、"
"421526","
ひとりの下男を呼んで、あれはいったい何ごとかとたずねた。"
"421527","
下男が言った、『弟さんがかえってこられました。無事に取り戻したというので、
お父様が肥えた小牛を御馳走されたのです。"
"421528","
兄はおこって、家に入ろうとしなかった。父が出てきていろいろ宥めると、
""421529","
父に答えた、『わたしは何年も何年もあなたに仕え、一度としてお言い付けに
そむいたことはないのに、わたしには友人と楽しむために、(小牛どころか)山羊一匹下
さったことがただの一度もないではありませんか。"
"421530","
ところがあのあなたの息子、きたない女どもと一しょに、あなたの身代をくら
いつぶしたあれがかえって来ると、肥えた小牛を御馳走されるのはどういうわけですか。』
"
"421531","
父が言った、『まあまあ、坊や、お前はいつもわたしと一しょにいるではないか。
わたしの物はみんなお前のものだ。"
"421532","
だが、喜び祝わずにはおられないではないか。このお前の弟は死んでいたのに
生きかえり、いなくなっていたのに見つかったのだから。』」"
"421601","
また弟子たちにも話された、「ある金持に一人の番頭があった。主人の財産を使
い込んでいると告げ口した者があったので、"
"421602","
主人は番頭を呼んで言った、『なんということをあなたについて聞くのだ!事務
の報告を出してもらおう、もう番頭にしておくわけにはいかないから。』"
"421603","
番頭は心ひそかに考えた、『どうしたものだろう、主人がわたしの仕事を取り上
げるのだが。(土を)掘るには力がないし、乞食をするには恥ずかしいし……"
"421604","
よし、わかった、こうしよう。こうしておけば仕事が首になった時、その人た
ちがわたしを自分の家に迎えてくれるにちがいない。』"
"421605","
そこで主人の債務者をひとりびとり呼びよせて、まず最初の人に言った、『うち
の主人にいくら借りがあるのか。』"
"421606","
『油百バテ[二十石]』とこたえた。番頭が言った、『そら、あなたの証文だ。坐
って、大急ぎで五十と書き直しなさい。』"
"421607","
それから他の一人に言った、『あなたはいくら借りがあるのか。』『小麦百コル
[二百石]』とこたえた。彼に言う、『そら、あなたの証文だ。八十と書き直しなさい。』"
"421608","
すると主人はこの不埒な番頭の利巧な遣り口を褒めた(という話)。この世の人
は自分たちの仲間のことにかけては、光の子(が神の国のことに利口である)よりも利巧
である。"
"421609","
それでわたしもあなた達に言う、あなた達も(この番頭に見習い、今のうちに
この世の)不正な富を利用して、(天に)友人[神]をつくっておけ。そうすれば富がな
くなる時、その友人が永遠の住居に迎えてくださるであろう。"
"421610","
ごく小さなことに忠実な者は、大きなことにも忠実である。ごく小さなことに
不忠実な者は、大きなことにも不忠実である。"
"421611","
だから、もし(この世の)不正な富に忠実でなかったならば、だれが(天の)
まことの富をあなた達にまかせようか。"
"421612","
もし他人のもの[この世のこと]に忠実でなかったならば、だれがあなた達の
もの[天のもの]をあなた達に与えようか。"
"421613","
しかし(この世のことはみな準備のためであるから、それに心を奪われてはな
らない。)いかなる僕も(同時に)二人の主人に仕えることは出来ない。こちらを憎んで
あちらを愛するか、こちらに親しんであちらを疎んじるか、どちらかである。あなた達は
神と富とに仕えることは出来ない。」"
"421614","
金の好きなパリサイ人の人々は一部始終を聞いて、イエスを鼻で笑った。(富は
信仰の褒美と考えていたのである。)"
"421615","
そこで彼らに言われた、「あなた達は人の前では信心深そうな顔をしているが、
神はあなた達の心を見抜いておられる。人の中で尊ばれるものは、神の前では嫌われるも
のである。"
"421616","
(あなた達は聖書を誇るが、時代はもう変っている。)律法と預言書と([聖書]
の時代)は(洗礼者)ヨハネ(の現われる時)までで、その時以来神の国の福音は伝えら
れ、だれもかれも暴力で攻め入っている。"
"421617","
しかし(神の言葉はすたったのではない。)律法(と預言書と)の一画がくずれ
落ちるよりは、天地の消え失せる方がたやすい。"
"421618","
(だから、)妻を離縁して別な女と結婚する者は皆、姦淫を犯すのであり、夫か
ら離縁された女と結婚する者も、姦淫を犯すのである。"
"421619","
(つぎに、利巧な番頭と反対に、神の国の準備をしなかった人の話を聞け。)一
人の金持があった。紫(の上着)と細糸の亜麻布(の下着)を着て、毎日華やかに楽しく
暮していた。"
"421620","
またその金持の門の前に、ラザロという出来物だらけの乞食がねていた。"
"421621","
せめて金持の食卓から落ちる物で満腹できたらと思った。それどころか、犬ま
で来て出来物をねぶっていた。"
"421622","
やがて乞食は死んで、天使たちからアブラハムの懐につれて行かれ、金持も死
んで葬られた。"
"421623","
金持は黄泉で苦しみながら、(ふと)目をあげると、はるか向こうにアブラハム
とその懐にいるラザロとが見えたので、"
"421624","
声をあげて言った、『父アブラハムよ、どうかわたしをあわれと思ってラザロを
よこし、指先を水にひたしてわたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの焔の中でも
だえ苦しんでおります。』"
"421625","
しかしアブラハムは言った、『子よ、考えてごらん、あなたは生きていた時に善
いものを貰い、ラザロは反対に悪いものを貰ったではないか。だから今ここで、彼は慰め
られ、あなたはもだえ苦しむのだ。"
"421626","
そればかりではない、わたし達とあなた達との間には大きな(深い)裂け目が
あって、ここからあなた達の所へ渡ろうと思っても出来ず、そこからわたし達の所へ越え
てくることもない。』"
"421627","
金持が言った、『父よ、それではお願いですから、ラザロをわたしの父の家にや
ってください。"
"421628","
わたしに五人の兄弟があります。彼らまでがこの苦しみの場所に来ないように、
よく言って聞かせてください。』"
"421629","
しかしアブラハムは言う、『(その必要はない。)彼らにはモーセ(律法)と預言
書と[聖書]がある。その教えに従えばよろしい。』"
"421630","
彼が言った、『いいえ、父アブラハムよ、もしだれかが死人の中から行ってやれ
ば、きっと悔改めます。』"
"421631","
しかしアブラハムは答えた、『モーセと預言書との教えに従わないようでは、た
とえ死人の中から生き返る者があっても、その言うことを聞かないであろう。』」"
"421701","
それから弟子たちに言われた、「罪のいざないが来るのは致し方がない。だが、
それを来させる人は禍だ。"
"421702","
この小さな者を一人でも罪にいざなうよりは、挽臼を頚にかけられて海に放り
込まれる方が、その人の為である。"
"421703","
(人を罪にいざなわぬよう)注意せよ。(また)もし兄弟が(あなたに対して)
罪を犯したら、これを咎め、悔改めたら、赦してやりなさい。"
"421704","
あなたに対して一日に七度罪を犯しても、七度『すまなかった』と言って、あ
なたの所へもどってきたら、七度赦してやらねばならない。」"
"421705","
使徒たちが主に言った、「もっと信仰を下さい。」"
"421706","
主が言われた、「もしあなた達に芥子粒ほどでも信仰があれば、──(あなた達
にはそれがないが、もしあれば)──この桑の木にむかい『抜けて海に植われ』と言って
も、言うことを聞くであろう。"
"421707","
ただ(次の譬を聞け。)あなた達のうちに耕作、あるいは牧畜をする僕を持って
いる人があって、その僕が畑からかえって来たとき、『すぐここに来て食事をしなさい』
とその人は言うだろうか。"
"421708","
むしろ反対に、『夕食の用意をして、わたしが食事をすますまで裾をひきからげ
て給仕をし、そのあとで食事をしなさい』と言うのではあるまいか。"
"421709","
言いつけられたことをしたからとて、主人が僕に感謝するだろうか。"
"421710","
そのようにあなた達も、(神に)命じられたことを皆なしとげた時、『われわれ
は役に立たない僕だ、せねばならぬことをしたまでだ。(褒美をいただく資格はない)』と
言え。」"
"421711","
エルサレムへ進んでおられた時のこと、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。
"
                  
"421712","
とある村に入ると、十人の癩病人に出合われた。彼らは(規則どおりに)遠く
の方で立ち止まったまま、"
"421713","
声をはりあげて、「イエス先生、どうぞお慈悲を」と言った。"
"421714","
イエスは見て言われた、「(全快したことを世間に証明してもらうため、エルサ
レムの宮に)行って体を“祭司たちに見せなさい。”」すると行く途中で、(皆いつとはな
しに体が)清まった。"
"421715","
ところでそのうちの一人は自分が直ったのを見ると、大声で神を讃美しながら
帰ってきて、"
"421716","
イエスの足下にひれ伏してお礼を言った。それはサマリヤ人であった。"
"421717","
イエスは言われた、「十人とも清められたのではなかったか。九人はどこにいる
か。"
"421718","
この外国人一人のほかには、(九人のユダヤ人のうちに)帰ってきて神に栄光を
帰する者はだれもないのか。」"
"421719","
そしてその人に言われた、「さあ立って行きなさい。あなたの信仰がなおしたの
だ。」"
"421720","
パリサイ人から神の国はいつ来るのかと尋ねられたとき、答えられた、「神の国
は、(いつ来るのかと計算や)観測のできるようにしては来ない。"
"421721","
また『そら、ここに(ある)』とか、『かしこに(ある)』とか言うことも出来な
い。神の国はあっと言う間に、あなた達の間にあらわれるのだから。」"
"421722","
それから弟子たちに言われた、「(いまに苦しい試みの)日が来て、あなた達は、
せめて一日でも人の子(わたし)の(栄光の)日に生きたいと願うけれども、許されない。
"
"421723","
(その試みの時に、)『そら、かしこに(人の子が)』『そら、ここに』と言う者
があるが、ついて行くな、追いまわすな。"
"421724","
その日に人の子(わたし)が来るのは、ちょうど稲妻がひらめいて、大空の下
をこの端からかの端まで照りかがやかすよう(に、はっきりわかるの)であるから。"
"421725","
しかし人の子はその前に多くの苦しみをうけ、この時代の人から排斥されねば
ならない。"
"421726","
ちょうどノアの(洪水の)時にあったようなことが、人の子の(来る)日にも
起るであろう。"
"421727","
“ノアが箱船に入った”日まで、人々が飲んだり食ったり、嫁にやったり取っ
たりしていると、洪水が来て、一人のこらず滅ぼしてしまった。"
"421728","
ロトの時にも、ちょうど同じようなことがあった。人々が飲んだり食ったり、
売ったり買ったり、植えたり建てたりしていると、"
"421729","
ロトがソドムから出た日に、“(神は)天から火と硫黄とを降らせて、“一人のこ
らず滅ぼしてしまわれた。"
"421730","
人の子があらわれる日にも同じことが起るであろう。"
"421731","
その日には、屋根の上におる者は、(何か大切な)家財道具が家の中にあっても
下におりて取り出そうとするな。畑におる者も同じく“(家に)もどる”な。"
"421732","
ロトの妻のことを思え。"
"421733","
(この世の)命を保とうとする者は(永遠の)命を失い、(この世の命を)失う
者は、(永遠に)生きながらえるであろう。"
"421734","
わたしは言う、その晩、二人の男が一つ寝床にねていると、一人は(天に)連
れてゆかれ、他の一人は(地上に)のこされる。"
"421735","
二人の女が一しょに臼をひいていると、一人は連れてゆかれるが、他の一人は
のこされる。」"
"421736"
[無し]
"421737","
弟子たちが尋ねる、(いつ)どこで(その裁きはありますか。)」彼らに言われた、
「(時が来れば、いつでも。)死体のある所に、鷲も集まる。」"
"421801","
なお、気を落さずに常に祈るべきことについて、一つの譬をひいて弟子たちに
話された、"
"421802","
「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わない裁判官があった。"
"421803","
またその町に一人の寡婦がいた。いつもその裁判官の所に来ては、『(早く裁判
をして)わたしのため敵に仕返しをしてください』と言っていた。"
"421804","
裁判官はしばらくの間は取り合おうとしなかったが、あとでひそかに考えた、
『わたしは神を恐れず、人を人とも思わないが、"
"421805","
この寡婦はどうもうるさくて、やりきれないから、(裁判をして、)この女のた
めに仕返しをしてやろう。そうしないと最後にはやって来て、わたしをどんなひどい目に
あわせるか知れない。』」"
"421806","
それから主は言われた、「この不埒な裁判官の言うことを聞け。"
"421807","
(こんな男でもこのとおり。)まして神が、夜昼叫んでいるその選ばれた人々の
ために仕返し(の裁判)をせず、気長に放っておかれることがあろうか。"
"421808","
わたしは言う、間もなく彼らのために仕返しをされるであろう。しかし人の子
(わたし)が来るときに、はたして地上に信仰(をもつ人)が見当るだろうか!」"
"421809","
なお、自分(だけ)は信心深いとうぬぼれて人を軽蔑している者たちにも、こ
の譬を話された。"
"421810","
「二人の人が祈りのために(エルサレムの)宮に上った。一人はパリサイ人、
他の一人は税金取りであった。"
"421811","
パリサイ人は(得々と)ひとり進み出て、こう祈った、『神様、わたしはほかの
人たちのように泥棒、詐欺師、姦淫する者でなく、また、この税金取りのような人間でも
ないことを感謝します。"
"421812","
わたしは一週間に二度も断食し、(きまったものの一割税だけでなく、)一切の
収入の一割税を納めております。』"
"421813","
しかし税金取りは(罪に責められ、)遠く(うしろ)の方に立ったまま、目を天
に向け(て祈りをささげ)ようともせず、ただ胸をうって、『神様、どうぞこの罪人のわ
たしをお赦しください』と言った。"
"421814","
わたしは言う、あの人でなく、この人の方が(神から)信心深いとされて、家
にかえっていった。自分を高くする者は皆低くされるが、自分を低くする者は高くされる
のである。」"
"421815","
イエスにさわっていただこうとして、人々が幼児たちまでもつれて来ると、弟
子たちが見て咎めた。"
"421816","
イエスは幼児を呼びよせたのち、(弟子たちに)こう言われた、「子供たちをわ
たしの所に来させよ、邪魔をするな。神の国はこんな(小さな)人たちのものである。"
"421817","
アーメン、わたしは言う、子供のように(すなおに)神の国(の福音)を受け
入れる者でなければ、決してそこに入ることはできない。」"
"421818","
ひとりの(最高法院の)役人が尋ねた、「善い先生、何をすれば永遠の命がいた
だけるでしょうか。」"
"421819","
イエスは言われた、「なぜわたしを『善い』と言うのか。神お一人のほかに、だ
れも善い者はない。"                 
"421820","
(するべきことは神の掟を守ることだけで、)掟はあなたが知っている通り。─
─“姦淫をしてはならない、殺してはならない、盗んではならない、偽りの証言をしては
ならない、父と母とを敬え。”(ただこれだけである。)」"
"421821","
その人が言った、「それならみんな若い時から守っております。」"
"421822","
イエスは聞いて言われた、「もう一つ欠けている。持っているものをことごとく
売って、(その金を)貧乏な人に分けてやりなさい。そうすれば天に宝を積むことができ
る。それから来て、わたしの弟子になりなさい。」"
"421823","
彼はこれを聞き、しょげてしまった。非常な金持であったのである。"
"421824","
彼を見ると、イエスは言われた、「物持が神の国に入るのは、なんとむずかしい
ことだろう。"
"421825","
金持が神の国に入るよりは、駱駝が縫針のめどを通る方がたやすい。」"
"421826","
聞いている人たちが言った、「それでは、だれが救われることが出来るのだろ
う。」"
"421827","
イエスは言われた、「人間に出来ないことが、神には出来る。」"
"421828","
ペテロが(イエスに)言った、「でも、わたし達はこの通り、自分の持ち物をす
ててあなたの弟子になりました。」"
"421829","
彼らに言われた、「アーメン、わたしは言う、神の国のために家や妻や兄弟や親
や子を捨てた者で、"
"421830","
この世でその幾倍を、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もな
い。」"
"421831","
イエスは(また)十二人(の弟子だけ)をそばに呼んで、こう話された、「さあ、
いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。人の子(わたし)について預言者たちが(聖
書に)書いてあることは、ことごとく成就する。"
"421832","
──異教人に引き渡されて、なぶられ、いじめられ、唾をかけられ、"
"421833","
ついに鞭で打たれて殺されるのである。しかし三日目に復活する。」"
"421834","
弟子たちはこのことが全くわからなかった。この言葉(の意味)が彼らに隠さ
れていて、(イエスの)言われたことが呑み込めなかったのである。"
"421835","
エリコの(町の)近くに来られた時のこと、ひとりの盲人が道ばたに坐って物
乞いをしていた。"
"421836","
群衆が通り過ぎる音を聞くと、あれは何ごとかとたずねた。"
"421837","
人々がナザレ人イエスのお通りだとおしえてやると、"
"421838","
盲人は、「ダビデの子のイエス様、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。"
"421839","
先頭に立っていた人たちが叱りつけて黙らせようとしたが、かえってますます、
「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」と叫びつづけた。"
"421840","
イエスは立ち止まって、盲人をつれてくるように命じられた。盲人が近づいて
くると尋ねられた。"
"421841","
「何をしてもらいたいのか。」彼がこたえた、「主よ、見えるようになりたい。」
"
"421842","
そこでイエスが、「見えるようになれ。あなたの信仰がなおした」と言われると、
"
"421843","
たちどころに見えるようになって、神を讃美しながらイエスについて行った。
人々は皆これを見て、神に讃美をささげた。"
"421901","
エリコに入って、(そこを)通っておられた。"
"421902","
すると、(町に)名をザアカイという人がいた。この人は税金取りの頭で、金持
であった。"
"421903","
イエスがどんな人か見ようとしたが、背が低いので、群衆のため見ることが出
来なかった。"
"421904","
それで先の方に駈けていって、桑無花果の木に上った。そこを通られるところ
を見ようとしたのである。"
"421905","
イエスはその場所に来られると、ザアカイを見上げて言われた、「ザアカイ、急
いで下りておいで。きょうはあなたの家に泊まることになっているから。」"
"421906","
ザアカイは急いで下りてきて、喜んでお迎えした。"
"421907","
皆がこれを見て、イエスは(税金取りのような)罪人の所に入りこんで宿を取
った、と言ってぶつぶつ呟いた。"
"421908","
しかしザアカイは進み出て主に言った、「主よ、わたしは(誓って)財産の半分
を貧乏な人たちに施します。人からゆすり取ったものは四倍にして返します。」"
"421909","
イエスが(人々に)言われた、「救いは(きょう、)この家に入った。(人でなし
のように言われる)この人も、やはり(あなた達と同じ)アブラハムの末だから。"
"421910","
人の子(わたし)は“滅びうせた者をさがして”救うために来たのである。」"
"421911","
人々がこれを聞いているとき、さらに一つの譬を話された。それはイエスが(い
よいよ)エルサレムに近づかれたので、今にも神の国が現われるように人々が考えたから
である。"
"421912","
それで言われた、「ある高貴な人が王の位を授かって来るために、遠い国に行っ
た。"
"421913","
(出かける時、)彼は十人の僕を呼んで、一ミナ[五万円]ずつ十ミナを渡し、
『かえって来るまで(これで)商売をしておけ』と言った。"
"421914","
ところが国民は彼を憎んでいたので、あとから使者をやって、『われわれはこの
人を王に戴きたくない』と言わせた。"
"421915","
さて、その人は王の位を授かって帰ってくると、だれがどんな風に商売をした
か知ろうとして、金を渡しておいた僕たちを呼ばせた。"
"421916","
第一の者があらわれて言った、『御主人、あなたの一ミナは十ミナをかせぎまし
た。』"
"421917","
主人が言った、『感心々々、善い僕よ、ごく小さなことに忠実であったから、十
の町の支配権を持たせる。』"
"421918","
第二の者が来て言った、『御主人、あなたの一ミナは五ミナをこしらえました。』
"
"421919","
これにも言った、『あなたも五つの町を支配せよ。』"
"421920","
またほかの者が来て言った、『御主人、これがあなたの一ミナです。風呂敷に包
んでしまっておきました。"
"421921","
あなたは預けないものを取り立て、まかないものを刈り取られる厳しい方だか
ら、恐ろしかったのです。』"
"421922","
彼に言う、『悪い僕よ、あなたのその言葉で罰してやろう。このわたしが、預け
ないものを取り立て、まかないものを刈り取る厳しい人間だと知っていたのか。"
"421923","
ではなぜわたしの金を銀行に預けなかったか。そうすればかえって来たとき、
利子をつけて受け取ることができたのに。』"
"421924","
それからそばに立っていた人たちに言った、『その一ミナをその男から取り上げ
て、十ミナを持っている者に渡しなさい。"
"421925",""
"421926","
わたしは言う、だれでも持っている人は(さらに)与えられるが、持たぬ人は、
持っているものまでも取り上げられるであろう。"
"421927","
ところで、わたしを王に戴くことを好まなかったあの敵どもをここに引っ張っ
てきて、わたしの見ている前で斬り殺してしまえ。』」"
"421928","
このことを話したのち、イエスは進んでエルサレムへと上って行かれた。"
"421929","
いわゆるオリブ山の中腹にあるベテパゲとベタニヤとの近くに来られると、こ
う言って弟子を二人使いにやられた、"
"421930","
向いの村まで行ってきなさい。村に入ると、かつてだれも乗ったことのない一
匹の子驢馬がつないであるのが見える。それを解いて引いてきてもらいたい。"
"421931","
もし『なぜ解くか』と尋ねる者があったら、『主がお入用です』と、こう言えば
よろしい。」"
"421932","
使の者たちが行って見ると、はたしてイエスの言葉どおりであった。"
"421933","
子驢馬を解いているとき、持ち主たちが「なぜ子驢馬を解くか」と言ったので、
"
"421934","
「主がお入用です」とこたえた。"
"421935","
二人はそれをイエスの所に引いてきて、自分たちの着物を子驢馬の上に投げか
け、イエスをお乗せした。"
"421936","
イエスが進んでゆかれると、人々はその着物を道に敷いた。"
"421937","
すでにオリブ山の降り口近くに来られたとき、弟子の群は皆喜んで、彼らが見
た(イエスの)あらゆる奇跡の(すばらしさの)ゆえに、こう言って大声に神を讃美し始
めた。──"
"421938","
“主の御名にて来られる”王に、“祝福あれ。”天には平安、いと高き所には栄
光あれ!"
"421939","
群衆の中にいた数人のパリサイ人がイエスに言った、「先生、お弟子たちを叱っ
てください。」"
"421940","
答えて言われた、「わたしは言う、この人たちが黙ったら、石が叫ぶであろう。」
"
"421941","
いよいよ(エルサレムが)近くなって(はじめて)都が見えると、イエスは都
(に臨もうとしている裁き)を思い、声をあげて泣きだされた。"
"421942","
そして言われた、「(ああエルサレム、)お前ももし(「平安を見る」という自分
の名のように、)きょうでも平安への道が見えたなら(まだ遅くはないのに!)しかし今
それはお前の目に隠されている。"
"421943","
やがて時が来て、敵はお前のまわりに塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻
め立て、"
"421944","
お前と、そこにいる“お前の子供たちを地べたに叩きつけ、”お前の中に、その
まま重なっている石が一つもないようにするであろう。恩恵の時を知らなかった罰であ
る。」"
"421945","
やがて(エルサレムに着いて)イエスは宮に入り、物を売る者を追い出し始め
て、"
"421946","
こう言われた、「“わたしの家は祈りの家であらねばならぬ”と(聖書に)書い
てあるのに、あなた達はそれを“強盗の巣”にしてしまった。」"
"421947","
イエスは毎日宮で教えておられた。大祭司連、聖書学者たち、それに国の名士
たちも、イエスを殺そうと思ったが、"
"421948","
どう仕様もなかった。だれもかれも皆イエスの話に聞きとれていたからである。
"
"422001","
ある日、イエスが宮で人々を教え、福音を説いておられた時のこと、大祭司連、
聖書学者が長老たちと共に進み寄って、"
"422002","
イエスに言った、「なんの権威であんなことを(宮で)するのか。あの権威を授
けた者はだれか、言ってもらいたい。」"
"422003","
答えて言われた、「ではわたしからも一つ尋ねる。それにこたえよ。"
"422004","
──ヨハネの洗礼は天(の神)から(授かったの)であったか、それとも人間
からか。」"
"422005","
彼はひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『なぜヨハネを信じなかった
か』と言うであろうし、"
"422006","
もし『人間から』と言えば、人民どもは(冒涜だと言って)皆でわたし達を石
で打ち殺すにちがいない。彼らはヨハネを預言者だと信じこんでいるのだから。」"
"422007","
そこで、どこからか知らない、と答えた。"
"422008","
イエスは言われた、「ではなんの権威であんなことをするか、わたしも言わな
い。」"
"422009","
そして人々にこの譬を話し出された、「ある人が“葡萄畑をつくり、”小作人た
ちに貸して長い旅行に出かけた。"
"422010","
(収穫の)時が来たので、葡萄畑の収穫の分け前を納めさせるために、一人の
使用人を小作人の所に使いにやった。しかし小作人はそれをなぐりつけ、手ぶらでおい返
した。"
"422011","
さらにほかの使用人を一人やると、それをもなぐりつけ、かつ侮辱した上、手
ぶらでおい返した。"
"422012","
かさねて第三の者をやると、これも怪我をさせて(葡萄畑から)放り出した。"
"422013","
そこで葡萄畑の持ち主が考えた、『どうしたものだろう。…よし、最愛の(独り)
息子を使にやろう。これなら多分恐れ入るにちがいない。』"
"422014","
すると小作人たちはそれを見て、互に相談して、『これは相続人だ。殺してしま
おう。そしてその財産をおれ達のものにしよう』と言いながら、"
"422015","
葡萄畑の外に放り出して殺してしまった(という話)。それで(尋ねるが、)葡
萄畑の持ち主は小作人たちをどうするだろうか。"
"422016","
(もちろん)来てこの小作人たちを殺し、葡萄畑をほかの人に貸すにちがいな
い。」人々はこれを聞いて(驚いて)言った、「とんでもない、そんなことが!」"
"422017","
イエスは彼らをじっと見て言われた、「では、こう(聖書に)書いてあるのはな
んの意味であるか。──”大工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石にな
った。”"
"422018","
(救世主なる)その石の上に(つまづき)倒れる人は一人のこらず打ち砕かれ、
(最後の裁きの日に)その石が倒れかかる人は、粉微塵になるであろう。」"
"422019","
この時聖書学者と大祭司連は、イエスが自分たちに当てつけてこの譬を言われ
たことを知ったので、(怒って)イエスに手をかけようと思ったが、人民(が騒ぎ出すの)
を恐れた。"
"422020","
そこで彼らはイエスをつけねらい、信心深そうな風をした回し者をやった。イ
エスの言葉質をとって、総督の役所や官庁に引き渡すためであった。"
"422021","
回し者がイエスに尋ねた、「先生、あなたは正直に物を言い、また教えられ、す
こしもわけ隔てをせず、本当のことを言って神の道を教えられることをよく承知しており
ます。"
"422022","
(それでお尋ねしますが、わたし達は異教人である)皇帝に、貢を納めてよろ
しいでしょうか、よろしくないでしょうか。」"
"422023","
彼らの悪賢い考えを見破って言われた、"
"422024","
「デナリ銀貨を見せなさい。そこにはだれの肖像と銘があるか。」「皇帝のがあ
ります」と彼らが言った。"
"422025","
イエスは彼らに言われた、「それなら皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返
せ。」"
"422026","
彼らは民衆の前でイエスの言葉質をとることができず、そのうけこたえぶりに
驚きながら黙ってしまった。"
"422027","
復活の存在を否定するサドカイ人が数人近寄って、イエスにこう言って質問し
た、"
"422028","
「先生、モーセは(その律法に、)“もし死んだ兄に、”妻があって“子がない場
合には、弟はその女をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”とわたし達のために書い
ています。"
"422029","
ところで(ここに)七人の兄弟があって、長男が妻をめとったが、子がなくて
死に、"
"422030","
(この律法に従って、)次男、"
"422031","
三男と、(つぎつぎに)その女をめとり、ついに七人とも同様に子を残さず死ん
で、"
"422032","
しまいにはその女も死んでしまいました。"
"422033","
すると(もし復活があるなら、)復活の折には、この女はその(七人の)うちの
だれの妻になるのでしょうか。七人とも女を妻にしましたから。」"
"422034","
イエスは言われた、「この世の人はめとり嫁ぐけれども、"
"422035","
あの世にはいる資格を与えられて、死人の中から復活する者は、めとることも
なく嫁ぐこともない。"
"422036","
復活によって生まれる彼らは、天使と同じであり、神の子であるので、もはや
死ぬことが出来ない、(従って子を産む必要がない)からである。"
"422037","
死人が復活することは、(聖書にはっきり書いてある。)モーセも茨の薮の(燃
える話の)ところで、主を“アブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神(である)
と”と言ってこれを示している。"
"422038","
ところで神は死人の神ではなく、生きている者の神である。神に対しては、す
べての者が生きているのだから。(してみるとアブラハム、イサクなども皆復活して、今
生きているわけではないか。)」"
"422039","
すると数人の聖書学者までが、「先生、りっぱなお答えです」と言った。"
"422040","
彼らはもう何一つ、問おうとしなかった。"
"422041","
イエスは人々に言われた、「人はどういう訳で、救世主はダビデの子である、と
言うのであろうか。"
"422042","
ダビデ自身が詩篇の中でこう言っているではないか。──“(神なる)主はわが
主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、"
"422043","
わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足台にしてやるまで』と。”"
"422044","
だから、ダビデが(このように)救世主を主と呼んでいるのに、どういう訳で
(その救世主が)ダビデの子であろうか。」"
"422045","
民衆が皆聞いているまえで、弟子たちに言われた。"
"422046","
「聖書学者に用心せよ。あの人たちは(人の目につくように)長い衣を着て歩
くことが好きで、市場で挨拶されることや、礼拝堂の上席、宴会の上座を喜び、"
"422047","
また寡婦の家を食いつぶし、長く、見かけばかりの祈りをする。あの人たちは
人一倍きびしい裁きを受けるであろう。」"
"422101","
それから目をあげて、金持たちが賽銭箱に賽銭を入れるのを見ておられた。
""422102","
またある貧しそうな寡婦がレプタ銅貨[五円]二つをそこに入れるのを見て、
"
"422103","
言われた、「本当にわたしは言う、あの貧乏な寡婦はだれよりも多く入れた。"
"422104","
この人たちは皆あり余る中から賽銭を入れたのに、あの婦人は乏しい中から、
持っていた生活費を皆入れたのだから。」"
"422105","
ある人たちが(イエスに)宮がりっぱな石と献納品とで飾られていることを話
すと、言われた、"
"422106","
「あなた達が(今)見ているこれらの物は、このまま重なっている石が一つも
なくなるほど、くずれてしまう日が来るであろう。」"
"422107","
彼らがイエスに尋ねた、「先生、では、そのことはいつ起りましょうか。また、
(世の終りが来て)このことがおころうとする時には、どんな前兆がありましょうか。」"
"422108","
そこでこう話された。──「迷わされないように気をつけよ。いまに多くの人
があらわれて、『(救世主は)わたしだ』とか、『(最後の)時は近づいた』とか言って、わ
たしの名を騙るにちがいないから。そんな人たちのあとを追うな。"
"422109","
戦争や暴動と聞いた時に、びっくりするな。それらのことはまず”おこらねば
ならないことである”が、しかし(まだ)すぐ最後ではないのだから。」"
"422110","
それから言われた、「(世の終りが来る前に、)“民族は民族に、国は国に向かっ
て(敵となって)立ち上がり、”"
"422111","
また大地震や、ここかしこに疫病や飢饉があり、いろいろな恐ろしいこと、ま
た天に驚くべき前兆があらわれるであろう。"
"422112","
しかしすべてこれらのことがある前に、人々はあなた達に手をかけて迫害する。
すなわち礼拝堂や牢屋に引き渡し、またわたしゆえに、王や総督の前に引き出すであろう。
"
"422113","
これは結局あなた達が(福音を)証しする結果となるのである。"
"422114","
だから(前もって)弁明の準備をしておかないことに、心を決めなさい。"
"422115","
いかなる反対者も、反抗し弁駁することの出来ない言葉の知恵を、わたしが授
けるから。"
"422116","
あなた達はまた親、兄弟、親族、友人からまで(裁判所に)引き渡される。殺
される者もあろう。"
"422117","
またわたしの弟子であるために皆から憎まれる。"
"422118","
しかしあなた達の髪の毛一本も決して無くならない。"
"422119","
あなた達は忍耐によって、自分の(まことの)命をかち取ることができる。"
"422120","
しかしエルサレムが(ローマの)軍勢に囲まれるのを見たら、その滅亡が近づ
いたと知れ。"
"422121","
その時ユダヤの平地におる者は(急いで)山に逃げよ。都の中におる者は立ち
退け。田舎におる者は都に入るな。"
"422122","
これは(聖書に)書いてあることが皆成就する“(神の)刑罰の日”だからであ
る。"
"422123","
それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわいそうだ!この
(ユダヤの)地には大きな艱難が、この民には(神の)怒りが臨むのだから。"
"422124","
彼らは劔の刃にたおれ、あるいは捕虜となってあらゆる国々に散らされ、また
“エルサレムは”(いわゆる)異教人時代が終るまで、“異教人に踏みにじられる”であろ
う。"
"422125","
すると日と月と星とに(世の終りの不思議な)前兆があらわれ、地上では“海
がどよめき荒れ狂うため、国々の民は”周章てふためき怖じまどい、"
"422126","
全世界に臨もうとしていることを思って、恐ろしさのあまり悶え死にする者が
あろう。“もろもろの天体が”震われるからである。"
"422127","
するとその時、人々は“人の子(わたし)が”大いなる権力と栄光とをもって、
“雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"422128","
それでこれらのことがおこり始めたら、体を伸ばし、頭をあげなさい。あなた
達のあがない(の時)が近づいたのだから。」"
"422129","
(こう言ったあと、)また一つの譬をひいて彼らに話された。──「無花果の木
をはじめ、すべての木を見なさい。"
"422130","
すでに芽が出ると、それを見て、ひとりでにはや夏が近いと知るのである。
""422131","
そのようにあなた達も、これらのことがおこるのを見たら、神の国が近くに来
ていることを知れ。"
"422132","
アーメン、わたしは言う、(これらのことが)一つのこらずおこってしまうまで
は、この時代は決して消え失せない。"
"422133","
天地は消え失せる、しかし(今言った)わたしの言葉は決して消え失せない。"
"422134","
注意せよ、大酒を呑み、二日酔いをし、またこの世のことを心配して、頭が鈍
くなっていると、“罠が”落ちるように、だしぬけにかの日があなた達に臨まないとはか
ぎらない。"
"422135","
その日は“地の”全面“に住んでいる者に”一人のこらず襲いかかるのだから。
"
"422136","
目を覚まして常に祈っておれ、すべてこれら将来の出来事からのがれて、人の
子(わたし)の前に立ち得るようにと。」"
"422137","
イエスは(毎日)昼のあいだは宮で教え、夜は(都を)出ていって、いわゆる
オリブ山で夜を過ごされた。"
"422138","
人々は皆宮で話を聞こうとして、早起きして彼の所にあつまった。"
"422201","
種無しパンの祭、すなわち、いわゆる過越の祭が近づいた。"
"422202","
大祭司連と聖書学者たちは、イエスを(そっと)無き者にする方法を考えてい
た。人民(が暴動を起すの)を恐れたのである。"
"422203","
すると(その時)悪魔が、十二人の(弟子の)数に入っていたイスカリオテと
呼ばれるユダに入った。"
"422204","
彼は出かけていって、大祭司連、宮の守衛長たちとイエスを売る方法について
話し合った。"
"422205","
彼は喜んで、金をやることに話をきめた。"
"422206","
ユダは承諾し、群衆の目をぬすんで彼らにイエスを引き渡すよい機会をねらっ
ていた。"
"422207","
過越の小羊を屠るべき種無しパンの祭の日が来た。"
"422208","
イエスはこう言ってペテロとヨハネとを使いにやられた、「わたし達の過越の食
事の支度をして来なさい。」"
"422209","
二人が言った、「どこで支度をしましょうか。」"
"422210","
彼らに言われた、「都に入ると、水瓶をかついだ男に出合うから、そのあとにつ
いて行って、その人が入ってゆく家にはいって、"
"422211","
その家の主人に、『わたしが弟子たちと一しょに過越の食事をする部屋はどこか、
と先生があなたに言われる』と言いなさい。"
"422212","
するとその人は敷物のしいてある、大きな二階座敷に案内してくれるから、そ
こで(食事の)支度をしなさい。」"
"422213","
二人は行って見ると、はたしてイエスの言葉どおりだったので、(そこで)過越
の食事の支度をした。"
"422214","
(日が暮れて食事の)時間になると、イエスは席につかれた。使徒たちも一し
ょであった。"
"422215","
彼らに言われた、「わたしは苦しみをうける前に、あなた達と一しょにこの過越
の食事がしたくて、たまらなかった。"
"422216","
わたしは言う、神の国でほんとうの過越の食事──(罪のあがないの記念の食
事)──をする時まで、わたしはもう決して、この(エジプトからあがなわれた記念の)
食事をしないのだから。」"
"422217","
そして(いつものように)杯を受け取り、(神に)感謝したのち、(弟子たちに)
言われた、「これを取って、みなで回して飲みなさい。"
"422218","
わたしは言う、今からのち神の国が来るまで、わたしは決して葡萄の木から出
来たものを飲まないのだから。」"
"422219","
またパンを(手に)取り、感謝して裂き、彼らに渡して言われた、「これはわた
しの体である。[以下及び20無し

"422220",""
"422221","
しかし驚いてはいけない、わたしを(敵に)売る者が、わたしと一しょに手を
食事の上において食事をしている!"
"422222","
人の子(わたしはかねて神に)定められているとおりに死んでゆくのだから。
しかし(人の子を)売るその人は、ああかわいそうだ!」"
"422223","
(これを聞くと)弟子たちは、自分たちのうちでいったいだれがそんな(だい
それた)ことをしようとしているのかと、みなで言い合いを始めた。"
"422224","
また弟子たちの間に、自分たちのうちでだれが一番えらいと思われているかに
ついての争いもあった。"
"422225","
するとイエスが言われた、「世間では王が人民を支配し、また主権者は自分を恩
人と呼ばせる。"
"422226","
しかしあなた達はそれではいけない。あなた達の間では、一番えらい者が一番
若輩のように、支配する者が給仕をする者のようになれ。"
"422227","
食卓につく者と給仕をする者と、どちらがえらいか。食卓につく者ではないの
か。でもわたしはあなた達の間で、あたかも給仕をする者のようにしている。"
"422228","
しかしあなた達はわたしのかずかずの試みの時に、一しょに持ちこたえてくれ
た人たちだ。"
"422229","
だから父上がわたしに御国を委ねてくださったように、わたしもあなた達にわ
たしの国を委ね、"
"422230","
(そこで)わたしの食卓で飲み食いさせ、また王座につかせて、イスラエルの
(民の)十二族を支配させるであろう。」"
"422231","
(そしてペテロに向かって言われた、)「シモン、シモン、見なさい、悪魔はあ
なた達を麦のように篩にかけることを(神に)願って聞き届けられた。"
"422232","
しかしわたしはあなたのために、信仰がなくならないように祈っておいた。(だ
から一度信仰を失っても、またもどってくる。)もどってきたら、あなたが兄弟たちを強
めてやってほしい。」"
"422233","
するとペテロは言った、「主よ、ご一しょに、牢に入っても、死んでもよい覚悟
ができております。」"
"422234","
イエスは言われた、「ペテロ、わたしは言う、きょう(今夜、)三度、あなたが
わたしを知らないと言うまで、鶏は鳴かない。」"
"422235","
それから彼らに言われた、「(前に)財布も旅行袋も靴も持たせずに、あなた達
を(伝道に)やった時、何か足りない物があったか。」彼らが答えた、「いえ、何も。」"
"422236","
彼らに言われた、「しかし今は(もうそれではいけない。)財布を持っている者
は持ってゆけ。旅行袋も同様。剣を持たない者は、(もし金がなかったら、)上着を売って
でも買いなさい。"
"422237","
わたしは言う、“彼は咎人の一人に数えられた”と(聖書に)書いてあること、
をわたしは成就せねばならないのだから。そしてわたしの務は(いよいよこれで)果てる
のだ。(あなた達も戦いの準備をするがよい。)」"
"422238","
彼らが言った、「主よ、剣ならばここに二振あります。」イエスが(笑いながら)
言われた、「それで沢山々々。」"
"422239","
それから(都を)出て、例のとおり、オリブ山へ行かれた。弟子たち(十一人)
もついて行った。(もう真夜中すぎであった。)"
"422240","
いつもの場所につくと、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈っていなさ
い。」"
"422241","
そして自分は石を投げれば届くほどの所に離れてゆき、ひざまずいて祈って"
"422242","
言われた、「お父様、お心ならば、どうかこの杯をわたしに差さないでください。
しかし、わたしの願いでなく、お心が成りますように!」"
"422243","
そのとき天から一人の天使がイエスに現われて、力づけた。"
"422244","
イエスはもだえながら、死に物狂いに祈られた。汗が血のしたたるように(ポ
タポタ)地上に落ちた。"
"422245","
やがて祈りから立ち上がって弟子たちの所に来て、彼らが悲しさのあまり寝入
っているのを見ると、"
"422246","
言われた、「なぜ眠るのか。誘惑に陥らないように、立ち上がって祈っていなさ
い。」"
"422247","
イエスの言葉がまだ終らぬうちに、そこに一群の人があらわれた。十二人の一
人である、前に言ったユダが先頭に立ち、イエスに接吻しようとして近寄ってきた。"
"422248","
イエスが言われた、「ユダ、接吻で人の子を売るのか。」"
"422249","
弟子たちはことの迫ったのを見て言った、「主よ、剣で切りまくりましょうか。」
"
"422250","
そのうちのひとりの人が大祭司の下男に切りかかり、右の耳をそぎ落してしま
った。"
"422251","
イエスは、「もうそれでよし」と言って、耳にさわってお直しになった。"
"422252","
それからイエスは、押しかけてきていた大祭司連、宮の守衛長、長老たちに言
われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒を持ってやって来たのか。"
"422253","
わたしが毎日あなた達と一しょに宮にいたときには、手を下さずにおいて。(時
が来なかったのだ。)しかし今は、(この暗い夜こそ)あなた達の天下、闇の縄張り(、悪
魔の勢力範囲)である。」"
"422254","
彼らはイエスをつかまえると、引いていって、大祭司(カヤパ)の屋敷につれ
込んだ。ペテロは見えがくれについて行った。"
"422255","
そして彼らが中庭の真中であかあかと火を焚いて一しょにすわったので、ペテ
ロもその中に坐った。"
"422256","
ひとりの女中は彼が火の所に坐っているのを見ると、しげしげと眺めながら、
「この人もあの人と一しょだった」と言った。"
"422257","
しかしペテロは、「女中さん、あんな人は知らない」と言って打ち消した。"
"422258","
ほどなく、ほかの男がペテロを見て、「あなたもあの仲間だ」と言った。ペテロ
は言った、「君、人ちがいだ。」"
"422259","
一時間ばかりたつと、(また)ほかの男が、「実際この人もあの人と一しょだっ
た。この人もガリラヤ人だから」と主張した。"
"422260","
しかしペテロは言った、「君、あなたの言っていることはわからない。」すると
たちまち、まだその言葉の終らぬうちに、鶏が鳴いた。"
"422261","
主が振り向いて、じっとペテロを見つめられた。ペテロは、「きょう(今夜)、
鶏が鳴く前に、わたしを三度、知らないと言う」と言われた主の言葉を思い出し、"
"422262","
外に出ていって、さめざめと泣いた。"
"422263","
イエスの番をしていた者たちはイエスをなぶったり、なぐったりした。"
"422264","
また目隠しをして、「だれがぶったか、当ててみろ」と言って尋ねた。"
"422265","
そのほかなおさまざまのことを言って、イエスを冒涜した。"
"422266","
朝になると、国の元老院、すなわち大祭司連や、聖書学者たちが集まって、イ
エスを彼らの法院の議場に引いていって"
"422267","
言った、「お前が救世主なら、そうだとわれわれに言ってもらいたい。」彼らに
答えられた、「言っても、とても信じまいし、"
"422268","
尋ねても、なかなか返事ができまい。"
"422269","
しかし今からのち、“人の子(わたし)は大能の神の右に坐って”いる。」"
"422270","
皆が言った、「ではお前が、神の子か。」彼らに言われた、「そうだと言われるな
ら、御意見にまかせる。」"
"422271","
すると彼らが言った、「これ以上、なんで証言の必要があろう。われわれが(直
接)本人の口から聞いたのだから。」"
"422301","
そこで法院全体が立ち上がって、イエスを(総督)ピラトの前に引いていって、
"
"422302","
「われわれはこの男が国民を惑わし、皇帝に貢を納めることを禁じ、かつ、自
分が救世主、すなわち王だと言っていることを確かめた」と言って訴え始めた。"
"422303","
ピラトがイエスに問うた、「お前が、ユダヤ人の王か。」答えて言われた、「(そ
う言われるなら)御意見にまかせる。」"
"422304","
ピラトが大祭司連と群衆に向かって、「この人にはなんの罪も認められない」と
言うと、"
"422305","
彼らはますます強く言い張った、「この男はユダヤ人(の国)全体に(自分の)
教えを説いて民衆を煽動し、ガリラヤから始めてここまで来ている。」"
"422306","
これを聞くとピラトは、この人は(たしかに)ガリラヤ人かと尋ね、"
"422307","
ヘロデ(王)の領内(ガリラヤ)の者だと知ると、イエスをヘロデの所に送り
とどけた。ヘロデもそのころ、(祭のためピラトと)同様にエルサレムにきていたのであ
る。"
"422308","
ヘロデはイエスを見ると非常に喜んだ。というのは、イエスの噂を聞いて、だ
いぶ前から会ってみたいと思っており、また何か奇跡をするのを見たいと望んでいたから
である。"
"422309","
それで言葉をつくして問いかけたが、イエスは何もお答えにならなかった。"
"422310","
大祭司連と聖書学者たちは(わきに)立って、必死になってイエスを訴えた。"
"422311","
(埒があかないのに業を煮やした)ヘロデは兵隊と一しょになって、イエスに
侮辱を加えたり、なぶったりしたあげく、派手な着物をきせてピラトに送りかえした。"
"422312","
ヘロデとピラトは以前には犬と猿の仲であったが、この日(この事件によって)
互に仲良しになった。"
"422313","
ピラトは大祭司連をはじめ、(最高法院の)役人たち、および民衆を呼びあつめ
て、"
"422314","
言った、「お前たちはこの人を民衆をあやまらせる者だと言って引いてきたので、
このわたしがお前たちの目の前で取り調べたが、訴えの廉では、この人に何の罪も認めら
れなかった。"
"422315","
ヘロデでもそうらしい。送りかえしたのだから。たしかにこの人は、何一つ死
罪に当ることをしていない。"
"422316","
だから鞭うった上、赦すことにする。」"
"422317"
[無シ]
"422318","
すると人々が一斉に声をあげて叫んだ、「その男を片付けろ。バラバの方を赦し
てくれ。」"
"422319","
バラバは都におこった暴動(に関係したの)と人殺しとの廉で、牢に入れられ
ていた者である。"
"422320","
ピラトはイエスを赦したいので、ふたたび人々に呼びかけたが、"
"422321","
人々は(ただ)、「十字架につけろ、それを十字架につけろ」とどなりつづけた。
"
"422322","
三度目にピラトは彼らに言った、「いったいどんな悪事をこの人がはたらいたと
いうのか。わたしはこの人に何一つ死罪にあたる罪を認められなかった。だから鞭うった
上、赦すことにする。」"
"422323","
しかし人々は十字架につけることを大声でせがみつづけ、とうとうその声が勝
った。"
"422324","
ピラトは彼らの願いをかなえることに決定して、"
"422325","
暴動と人殺しとの廉で牢に入れられていた者を願いどおりに赦し、イエスの方
は彼らの思うようにさせた。"
"422326","
(兵卒らが)イエスを(刑場へ)引いてゆく時、シモンというクレネ人が野良
から来(て通りかかっ)たので、つかまえて(イエスの)十字架を背負わせ、イエスの後
から担いでゆかせた。(イエスにはもう負う力がなかったのである。)"
"422327","
民衆と、イエスのために悲しみ嘆く女たちとの大勢の群が、あとにつづいた。"
"422328","
イエスは女たちの方に振り向いて言われた、「エルサレムの娘さんたち、わたし
のためには泣いてくれなくともよろしい。それよりは自分のため、自分の子供のために泣
きなさい。"
"422329","
いまに人々が、『石女と、(子を)産んだことのない胎と、飲ませたことのない
乳房とが羨ましい』と言う(恐ろしい)日が来るのだから。"
"422330","
その時人々は“山にむかっては、『われわれの上に倒れかかって(殺して)くれ』、
丘にむかっては、『われわれを埋めてくれ』と言い”続けるであろう。"
"422331","
(罪のない)生木(のわたし)でさえ、こんな目にあわされるのだ。まして(罪
にくされた)枯木は、どうなることであろうか!」"
"422332","
ほかに二人の罪人も、処刑されるためイエスと共に引かれていった。"
"422333","
髑髏という所に着くと、(兵卒らは)そこでイエスを十字架につけた。また罪人
も、一人を右に、一人を左に(十字架につけた)。"
"422334","
するとイエスは言われた、「お父様、あの人たちを赦してやってください、何を
しているか知らずにいるのです。」“彼らは籤を引いて、”イエスの“着物を自分たちで分
けた。”"
"422335","
民衆は立って“見物していた。”(最高法院の)役人たちは“鼻で笑って”言った、
「人を救ったのだ、(今度は)自分を救えばいいのに、神の救世主、(神に)選ばれた者な
ら!」"
"422336","
兵卒らも近寄って、”酸っぱい葡萄酒を”(その口許に)差し出しながら、イエ
スをなぶって"
"422337","
こう言った、「お前がユダヤ人の王様なら、自分を救ってみろ。」"
"422338","
イエスの(頭の)上には こ れ が ユ ダ ヤ 人 の 王と書いた札ま
でも(悪ふざけに)かけてあった。"
"422339","
磔にされている罪人の一人がイエスを冒涜した、「お前は救世主じゃないか。自
分とおれ達を救ってみろ。」"
"422340","
するともう一人の者が彼をたしなめて言った、「貴様は(このお方と)同じ(恐
ろしい)罰を受けていながら、それでも(まだ)神様がこわくないのか。"
"422341","
おれ達は自分でしたことの報いを受けるのだから当り前だが、このお方は何一
つ、道にはずれたことをなさらなかったのだ。」"
"422342","
それから(イエスに)言った、「イエス様、こんどあなたのお国と共にお出でに
なる時には、どうかわたしのことを思い出してください。」
"422343","
イエスが言われた、「アーメン、わたしは言う、(その時を待たずとも、)あな
たはきょう、わたしと一しょに極楽に入ることができる。」"
"422344","
すでに昼の十二時ごろであったが、地の上が全部暗闇になってきて、三時まで
つづいた。"
"422345","
日蝕だったのである。すると宮の(聖所の)幕が真中から(二つに)裂けた。"
"422346","
その時イエスは大声をあげて言われた、「お父様、”わたしの霊をあなたにおあ
ずけします。”」こう言われるとともに、息が絶えた。"
"422347","
百卒長はこの出来事を見て、「この方はほんとうに正しい人であった」と言って
神を讃美した。"
"422348","
見物に来た野次馬も皆、これらの出来事を見て(心を刺され、)胸を打ちながら
帰っていった。"
"422349","
またすべてのイエスの“知人”とガリラヤからついて来た女たちも、“遠くの方
に立って”これを見ていた。"
"422350","
さてここにヨセフという人があった。最高法院の議員で、りっぱな、信心深い
人であった。"
"422351","
──この人は(イエスの処分について、)同僚たちの(今度の)決議と行動とに
賛成しなかった。──ユダヤの町アリマタヤ生まれで、神の国(の来るの)を待ち望んで
いた。"
"422352","
この人がピラトの所に行ってイエスの体(の下げ渡し)を乞い、"
"422353","
これを(十字架から)下ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られたことのない、
岩に穿った墓に納めた。"
"422354","
この日は支度日[金曜日]であったが、(もう夕方で、)安息日[土曜日]が始
まろうとしていた。"
"422355","
イエスと一しょにガリラヤから来た女たちは(ヨセフの)あとについて行って、
墓と、イエスの体が(そこに)納められる様子とを見とどけ、"
"422356","
帰って、香料と香油を用意した。女たちは掟に従って安息日を休み、"
"422401","
(翌日、すなわち)週の始めの日[日曜日]、夜の引明けに、用意しておいた香
料(をまぜた香油)を持って墓場に行った。"
"422402","
墓(の入口)から石がころがしてあるのを見て"
"422403","
中に入ったが、主イエスの体は見えなかった。"
"422404","
そのため途方にくれていると、見よ、かがやく着物をきた二人の人が(現われ
て)彼らに近づいた。"
"422405","
ぞっとして面を垂れると、彼らに言った、「なぜ死人の中に生きた者をさがすの
か。"
"422406","
ここにはおられない。もう復活されたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あ
なた達に言われたことを思い出してみよ。"
"422407","
『人の子(わたし)は罪人どもの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目
に復活せねばならない』と言われたではないか。」"
"422408","
女たちはイエスの言葉を思い出して、"
"422409","
墓から帰り、十一人(の使徒)とそのほかみんなの人に、一つのこらずこのこ
とを知らせた。"
"422410","
これを使徒たちに話したのは、マグダラのマリヤとヨハンナとヤコブの母マリ
ヤと、および、この女たちと一しょにいたほかの女たちとであった。"
"422411","
しかし使徒たちはこの話が冗談のように見えたので、女たちを信じなかった。"
"422412"
[無シ]
"422413","
するとちょうど同じ日に、二人の弟子がエルサレムから六十スタデオ[十一キ
ロ半]離れたエマオという村へ歩いてゆきながら、"
"422414","
これらの出来事をあれやこれやと話し合っていた。"
"422415","
二人が(こうして)話したり議論したりしていると、(いつの間にか)御本人の
イエスが近づいてきて、一しょに歩いておられたが、"
"422416","
二人は目をくらまされていたので、それと気がつかなかった。"
"422417","
二人に言われた、「歩きながら何をそんなに論じ合っているのです。」暗い顔を
して二人は立ち止まり、"
"422418","
一人のクレオパという方が答えた、「(見れば御巡礼のようだが、)エルサレムに
滞在していながら、あなただけは、この二三日の間にそこで起ったことを何も知らないの
ですか。」"
"422419","
彼らに言われた、「なんのことです。」彼らが言った、「ナザレ人イエスのことで
す。──この方はだれが見ても、神の目にさえも、業に言葉に力のある預言者であったの
に、"
"422420","
大祭司連をはじめ(最高法院の)役人たちが(ローマ人に)引き渡して死刑を
宣告し、十字架につけてしまったのです。"
"422421","
ほんとうにわたし達は、この方こそイスラエル(の民)をあがなってくださる
人だと望みをかけていたのに!そればかりか、かてて加えて、そのことがあってから、き
ょうはもう三日目になったのです。(もはや生き返られる望みもありません。)"
"422422","
ところがまた、仲間の女たちがわたし達をびっくりさせました。──この女た
ちは朝早く墓に行ったが、"
"422423","
お体が見つからずにかえって来て、天使たちがあらわれ、あの方は生きておら
れる、と告げたと言うのです。"
"422424","
そこで仲間の男が二三人墓に行って見ると、はたして女たちの言うとおり(墓
は空っぽ)だったが、(生きておられるという)その方は見えなかったのです。」"
"422425","
彼らに言われた、「ああ、預言者たちの言ったことを何一つ信じない、悟りの悪
い、心の鈍い人たちよ!"
"422426","
救世主は栄光に入るために、そのような苦しみを受けねばならなかったのでは
ないのですか。」"
"422427","
そして(預言者)モーセから始めて、すべての預言者が御自分につき聖書全体
において言っていることを説明された。"
"422428","
とかくするうちに目指す(エマオの)村に近づくと、なお先へ行くような様子
をされたので、"
"422429","
二人はこう言って無理に引き留めた、「わたし達のところにお泊まりなさい。間
もなく夕方で、日もはや傾いたから。」そこで彼らのところに泊まるために、(家に)入ら
れた。"
"422430","
一しょに食卓について、(いつものように)パンを(手に)取り、(神を)讃美
したのち、裂いて渡されると、"
"422431","
(その時)二人の目が開けて、その方とはっきりわかった。すると(また)そ
の姿が見えなくなった。"
"422432","
二人は語り合うのであった、「(そう言えば、)道々わたし達に話をされたり、聖
書を説き明かされたりした時に、胸の中が熱くなったではないか」と。"
"422433","
時を移さず二人は立ち上がってエルサレムに引き返して見ると、十一人とその
仲間とが集まっていて、"
"422434","
「ほんとうに主は復活して、シモン(・ペテロ)に御自分を現わされた」と話
してくれた。"
"422435","
それで二人も、(エマオへの)道であったことや、また、どうしてパンを裂かれ
たことで(主と)わかったかを物語った。"
"422436","
二人がこう話しているところに、(突然)御自身でみなの真中に出ておいでにな
った。"
"422437","
ぞっとして震えあがり、幽霊でも見ているように思っていると、"
"422438","
彼らに言われた、「なにをうろたえるのか。なぜ心に疑いを起すのか。"
"422439","
わたしの手と足とを見てごらん。だれでもない、わたしだよ!さわってごらん、
幽霊には肉も骨もないが、わたしには、それがあるのがわかるから。」"
"422440","
[無シ]
"422441","
喜びのあまり、彼らがまだ信じられずに怪しんでいると、「ここに何か食べるも
のがあるか」と言われた。"
"422442","
焼いた魚を一切差し上げると、"
"422443","
受け取ってみなの前で食べられた。"
"422444","
それから彼らに言われた、「(あなた達が見聞きした)これらのことは、わたし
がまだあなた達と一しょにいたとき、わたしについてモーセの律法と預言書と詩篇と[聖
書]に書いてあることは一つのこらずきっと成就する、と話したその言葉(が実現したの)
である。」"

"422445","それから聖書をわからせるために彼らの心を開いて"
"422446","
言われた、「救世主は苦しみをうけて、三日目に死人の中から復活する。"
"422447","
また罪を赦されるための悔改め(の福音)が、その名においてすべての国の人
に説かれる、エルサレムから始まって、と(聖書に)こう書いてある。"
"422448","
あなた達はこの(苦しみと復活との)証人である。"
"422449","
待っておいで、わたしが父上のお約束のもの[聖霊]をあなた達におくるから。
あなた達は(この)天よりの力を身につけるまで、都に止まっていなさい。」"
"422450","
それから、彼らを(オリブ山の頂上の)ベタニヤ道のところまでつれてゆき、
手を挙げて祝福された。"
"422451","
そして祝福しながら、(天へと)はなれてゆかれた。"
"422452","
彼らは大喜びでエルサレムに帰り、"
"422453","
いつも宮にいて、神をほめたたえていた。"

ヨハネ福音書
"430101","
(世の)始めに、(すでに)言葉はおられた。言葉は神とともにおられた。言葉
は神であった。"
"430102","
この方は(世の)始めに神とともにおられた。"
"430103","
一切のものはこの方によって出来た。出来たものでこの方によらずに出来たも
のは、ただの一つもない。"
"430104","
この方は命をもち、この命が人の光であった。"
"430105","
この光は(いつも)暗闇の中に輝いている。しかし暗闇(のこの世の人々)は、
これを理解しなかった。"
"430106","
(そこで)一人の人が(この世に)あらわれた。神から遣わされたのである。
その名はヨハネ。"
"430107","
この人は証しのため、すなわち、光について証しをし、彼の証しによってすべ
ての人を信仰にいれるために来たのであった。"
"430108","
彼は光ではなかった。ただ光について証しをするために来たのであった。"
"430109","
この方(言葉)は、この世にうまれて来るすべての人を照らすべきまことの光
であった。"
"430110","
この世に来ておられ、世はこの方によって出来たのに、世はこの方を認めなか
った。"
"430111","
いわば自分の家に来られたのに、家の者が受け入れなかったのである。"
"430112","
しかし受け入れた人々、すなわち、その名を(神の子であることを)信じた人
には一人のこらず、神の子となる資格をお授けになった。"
"430113","
この人たちは、人間の血や、肉の欲望や、男の欲望によらず、神(の力)によ
って生まれたのである。"
"430114","
この言葉は肉体となって、(しばらく)わたし達の間に住んでおられた。(これ
が主イエス・キリストである。)わたし達はその栄光を見た。いかにも父上の独り子らし
い栄光で、恩恵と真理とに満ちておられた。"
"430115","
ヨハネはこの方のことを証しして、叫んで言う、「『わたしのあとから来られる
方は、わたしよりも偉い方である。わたしよりも前から、(世の始めから)おられたのだ
から』とわたしが言ったのは、この方のことであった。」"
"430116","
わたし達は一人のこらず、この方に満ちみちているものの中から、恩恵また恩
恵を戴いた。"
"430117","
すなわち律法はモーセをもって与えられたが、恩恵と真理とはイエス・キリス
トをもって(はじめて)あらわれた。"
"430118","
神を見た者は、いまだかつて一人もない。ただ、いつも父上の胸に寄り添って
おられる独り子(のキリスト)だけが、(わたし達に神を)示してくださったのである。"
"430119","
さて、ヨハネの証しというのはこれである。──ユダヤ人がエルサレムから祭
司とレビ人とをヨハネの所に使いにやって、「あなたはだれですか」と尋ねさせた。"
"430120","
そのときヨハネは正直に言って隠さなかった。「わたしは救世主ではない」と正
直に言った。"
"430121","
「それではなんです。(預言者)エリヤ(の再来)ですか」と尋ねた。「そうで
はない」と言う。「(世の終りに来る)あの預言者ですか。」「ちがう」と答えた。"
"430122","
すると彼に言った、「ではだれですか。(言ってください。)わたし達をよこした
人たちに返事をしなければなりませんから。あなたは自分をなんだと言われるのです。」"
"430123","
彼が言った、「わたしは、預言者イザヤが〃荒野に叫ぶ者の声はひびく、『主の
道をまっすぐにせよ』〃と言ったあの声だ。」"
"430124","
──彼らを使にやったのはパリサイ人であった。──"
"430125","
彼らはしつこく尋ねた。「救世主でも、エリヤでも、あの預言者でもないなら、
なぜ、(なんの権威で)洗礼を授けるのです。」"
"430126","
ヨハネが答えた、「わたしは水で洗礼を授けているが、君たちの真中に君たちの
知らない人が立っておられる。"
"430127","
これがわたしのあとから来られる方で、わたしはその方の靴の紐をとく資格も
ない。」"
"430128","
これはヨルダン川の向こうのベタニヤでの出来事で、ヨハネはそこにいて、洗
礼を授けていたのである。"
"430129","
あくる日、ヨハネはイエスが自分の方に来られるのを見て言う、「そら、あれが
世の罪を取りのぞく神の小羊だ。"
"430130","
『わたしのあとからひとりの人が来られる。わたしよりも偉い方である。わた
しよりも前からおられたのだから』とわたしが言ったのは、この方のことだ。"
"430131","
(最初)わたしはあの方が(救世主だと)わからなかった。しかしわたしはあ
の方(がそれであること)をイスラエルの民に知らせるため、水で洗礼を授けに来たので
ある。」"
"430132","
ヨハネはまたこう言って証しをした、「洗礼を授けると、御霊が鳩のように天か
ら下ってきて、あの方の上に留るのをわたしは見た。"
"430133","
最初わたしはあの方がわからなかった。しかし水で洗礼を授けさせるためにわ
たしを遣わされた方(神)が、わたしに言われた、『御霊が下ってきて、ある人の上に留
るのを見たら、その人が聖霊で洗礼を授ける人である』と。"
"430134","
わたしはそれを見た。それで、その方が神の子であると証しをしているのであ
る。」"
"430135","
あくる日またヨハネは、二人の弟子と一しょに立っていた。"
"430136","
イエスが通りすぎられるのをじっと見て言う、「そら、あれが神の小羊だ。」"
"430137","
二人の弟子はその言葉を聞いて、イエスについて行った。"
"430138","
イエスは振り返って二人がついて来るのを見て、言われる、「なんの用か。」彼
らが言った、「ラビ(訳すると『先生』)、どこにお泊まりですか。」"
"430139","
彼らに言われる、「来なさい、そうすればわかる。」そこで一しょに行って、泊
まっておられる所を見て、その日はイエスのところに泊まった。(着いたのは)午後四時
ごろであった。"
"430140","
ヨハネから聞いてついて行った二人のうちの一人は、シモン・ペテロの兄弟ア
ンデレであった。"
"430141","
(あくる日)まずこの人が自分の兄弟のシモンに出会って、「メシヤを見つけた」
と言う。[メシヤは訳すると「救世主」である。]"
"430142","
シモンをイエスの所につれてゆくと、彼をじっと見て言われた、「あなたはヨハ
ネの子シモンだ。あなたの名はケパがよかろう。」[ケパは(ヘブライ語であって、ギリシ
ャ語に)訳するとペテロ(岩)。]"
"430143","
あくる日(そこを立って)ガリラヤに行こうとされたが、(道で)ピリポに出合
われた。イエスが言われる、「わたしについて来なさい。」"
"430144","
ピリポはアンデレとペテロの町であるベッサイダの人であった。"
"430145","
(すると今度は)ピリポがナタナエルに出合って言う、「わたし達はモーセが律
法に書き、預言者たちも書いている人を見つけた、ヨセフの子、ナザレ人イエスだ。」"
"430146","
ナタナエルが言った、「あのナザレから何か善いものが出るだろうか。」ピリポ
が言う、「来なさい、そうすればわかる。」"
"430147","
イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼のことをこう言われる、「そ
ら、あれは生粋のイスラエル人だ。すこしもごまかしがない。」"
"430148","
ナタナエルが言う、「まあ、どうしてわたしを御存じですか。」イエスが答えて
言われた、「ピリポが呼ぶ前に、あなたが無花果の木の下にいるのを見た。」"
"430149","
ナタナエルが答えた、「先生、あなたは神の子であります。あなたはイスラエル
の王であります。」"
"430150","
イエスが答えて言われた、「あなたを無花果の木の下で見たと言ったので、信ず
るのか。信ずれば、あなたはもっと驚くべきことを見るであろう。」"
"430151","
そして(そこにいる人たちを見ながら)ナタナエルに言われる、「アーメン、ア
ーメン、あなた達に言う、あなた達は天が開けて、人の子(わたし)の上に神の使たちが
(たえず)上り下りするのを見るであろう。」"
"430201","
それから三日目に、ガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。
"
"430202","
イエスも弟子たちと婚礼に招かれた。"
"430203","
すると宴会の最中に酒が足りなくなったので、母がイエスに言う、「お酒がなく
なりました。」"
"430204","
イエスが言われる、「女の方、〃放っておいてください。〃わたしの栄光(を示
す)時はまだ来ておりません。」"
"430205","
母は召使たちに言う、「〃なんでもこの方の言われるとおりにしてください。
〃」"
"430206","
そこに、ユダヤ人の清めの(儀式の)ために、石の水瓶が六つ置いてあった。
いずれも二、三メトレタ[八十から百二十リットル]入りであった。"
"430207","
イエスは召使たちに言われる、「水瓶に水をいっぱい入れよ。」口まで入れると、
"
"430208","
彼らに言われる、「さあ汲んで、宴会長に持ってゆきなさい。」彼らが持ってゆ
くと、"
"430209","
宴会長は酒になった水をなめてみて、──彼はその訳を知らなかったが、水を
汲んだ召使たちは知っていた。──宴会長は花婿を呼んで"
"430210","
言う、「だでれも初に良い酒を出し、酔がまわったところに悪いのを出すのに、
あなたは、よくもいままで良い酒をとっておいたものだ。」"
"430211","
イエスはこの最初の徴[奇蹟]をガリラヤのカナで行って、(神の子たる)その
栄光をお現わしになった。弟子たちが彼を信じた。"
"430212","
そののちイエスは、母、兄弟たちおよび弟子たちとカペナウムに下り、数日そ
こに一しょにおられた。"
"430213","
ユダヤ人の過越の祭が近くなると、イエスは(弟子たちと)エルサレムに上ら
れた。"
"430214","
宮の庭で牛や羊や鳩を売る者、また両替屋が坐っているのを見られると、"
"430215","
縄で鞭をつくって、何もかも、羊も牛も宮から追い出し、両替屋の銭をまき散
らし、その台をひっくり返し、"
"430216","
また鳩を売る者に言われた、「それをここから持ってゆけ。わたしの父上の家を
商店にするな。」"
"430217","
(これを見て)弟子たちは、〃(神よ、)あなたの家に対する熱心が、わたしを
焼きつくします〃と(詩篇に)書いてあるのを思い出した。"
"430218","
するとユダヤ人が口を出した、「あなたはこんなことをするが、(その権威を証
明するために、)どんな徴[奇蹟]をして見せることができるのか。」"
"430219","
イエスは答えられた、「このお宮をこわせ、三日で造ってみせるから。」"
"430220","
ユダヤ人が言った、「このお宮を建てるには四十六年もかかったのに、あなたは
三日で造るというのか。」"
"430221","
しかしイエスは自分の体のことを宮と言われたのであった。"
"430222","
だから死人の中から復活された時、弟子たちはこう言われたことを思い出して、
聖書とイエスの言われた言葉と(が本当であること)を信じた。"
"430223","
過越の祭の時エルサレムにおられる間に、多くの人がイエスの行われたかずか
ずの徴[奇蹟]を見て、その名を信じた。"
"430224","
しかしイエスの方では、彼ら(の信仰)を信頼されなかった。彼にはだれでも
わかり、"
"430225","
また人のことをだれからも教えてもらう必要がなかったのである。自分で人の
心の中がわかったからである。"
"430301","
ところでパリサイ人の中に名をニコデモという人があった。ユダヤの(最高法
院の)役人であった。"
"430302","
ある夜、イエスの所に来て言った、「先生、わたし達はあなたが神のところから
来られた先生であることを知っています。神がご一しょでなければ、あなたのされるあん
な徴[奇蹟]はだれもすることは出来ません。」"
"430303","
イエスが答えて言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、(徴を見て信
じたのではいけない。)人は新しく生まれなおさなければ、神の国にはいることは出来な
い。」"
"430304","
ニコデモがイエスに言う、「(このように)年を取った者が、どうして生まれな
おすことが出来ましょう。まさかもう一度母の胎内に入って、生まれなおすわけにゆかな
いではありませんか。」"
"430305","
イエスは答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、人は霊によって生
まれなければ、神の国に入ることは出来ない。"
"430306","
肉によって生まれたものは肉であり、霊によって生まれたものだけが霊である
(から)。"
"430307","
『あなた達は新しく生まれなおさねばならない』と言ったからとて、すこしも
不思議がることはない。"
"430308","
風[プニューマ]は心のままに吹く。その音は聞えるが、どこから来てどこに
行くか、あなたは知らない。霊[プニューマ]によって生れる者も皆、そのとおりである。」
"
"430309","
ニコデモが言葉を返した、「(霊によって生まれるなどと、)そんなことがどうし
て出来ましょうか。」"
"430310","
イエスが答えて言われた。──「あなたはイスラエルの(名高い)先生であり
ながら、それくらいなことがわからないのか。"
"430311","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたし達(神の国を説く者)は知ってい
ることを話し、(自分で)見たことを証しするのである。しかしあなた達はその証しを受
けいれない。"
"430312","
わたしが(いま)地上のことを言うのに、それを信じないから、天上のことを
言うとき、どうして信じることができよう。"
"430313","
しかも天から下ってきた者、すなわち人の子(わたし)のほかには、だれ一人
天に上った者はない。(また天上のことを知っている者はない。)"
"430314","
そして、ちょうどモーセが荒野で(銅の)蛇を(竿の先に)挙げたように、人
の子(わたしも十字架に)挙げられ(て天に上ら)ねばならない。"
"430315","
それは、(蛇にかまれた者がその銅の蛇を仰いで命を救われたように、)信ずる
者が皆(天に上った人の子を仰いで、)彼にあって永遠の命を持つためである。"
"430316","
そのゆえは、神はその独り子を賜わったほどにこの世を愛されたのである。こ
れはその独り子を信ずる者が一人も滅びず、永遠の命を持つことができるためである。"
"430317","
神は世を罰するためにその子を世に遣わされたのではなく、子によって世を救
うためである。"
"430318","
彼を信ずる者は罰されない。信じない者は(今)すでに罰されている。彼を神
の独り子として信じていないからである。"
"430319","
すなわち、光が世に来たのに、人々は自分たちの行いが悪いので、光よりも暗
さの方を愛したこと、それが罰である。"
"430320","
悪いことをしている者は皆、光を憎んで光に来ない。自分の行いが明るみに出
されたくないのである。"
"430321","
これと反対に、真理を行っている者は、光に来る。自分の行いが神にあってな
されたことを、現わしたいのである。」"
"430322","
そののち、イエスは弟子たちと(エルサレムを去って)ユダヤの地方に行き、
一しょにそこに滞在して、洗礼を授けておられた。"
"430323","
ところがヨハネも、サリムに近いアイノンにいて、洗礼を授けていた。そこに
は水が沢山あったからである。人々が来て、ヨハネから洗礼を受けた。"
"430324","
ヨハネはまだ牢に入れられていなかったのである。"
"430325","
すると、ヨハネの弟子たちと一人のユダヤ人とのあいだに、(二人のうち、どち
らの洗礼が)清めの(力をもっているかという)ことについて、議論がおこった。"
"430326","
弟子たちがヨハネの所に来て言った、「先生、あなたと一しょにヨルダン川の向
こうにいた、そしてあなたが世に紹介されたあの人が、どうでしょう、洗礼を授けており
ます。そして、みんなその方へ行きます。」"
"430327","
ヨハネが答えた、「人は天から与えられないかぎり、何も(自分で)取ることは
出来ない。"
"430328","
『わたしは救世主ではない。ただあの方の先駆けをするために遣わされた者
である』とわたしが言ったことについては、あなた達自身がわたしの証人ではないか。"
"430329","
花嫁を持つものは花婿である。花婿の友達は花婿のそばに立っていて耳を傾け、
花婿の(喜ぶ)声を聞いて喜びにあふれるのである。(花婿の友達である)わたしのこの
喜びは、いま絶頂に達した。"
"430330","
あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。(それが神の御心である。)"
"430331","
上から来られる方は、すべての者の上におられる。地から出た者は地上の者で、
話すことも地上のことである。天から来られる方は、すべての者の上におられ、"
"430332","
天で見聞きしたことを証しされる。(だから遣わされた者のだれ一人、こう言う
わたし自身も、あの方に及ばない。)ところがだれもその証しを受けいれない。"
"430333","
(しかし)その証しを受けいれる者は、(受けいれることによって、)神が真実
であることを承認したのである。"
"430334","
神がお遣わしになった方は神の言葉を話される。神は(その方に)いくらでも
霊をお与えになるからである。"
"430335","
父上は御子を愛して、一切のもの(の支配権)をその手におまかせになった。"
"430336","
(だから従順に)御子を信ずる者は永遠の命を持つが、御子に不従順な者は命
にはいることができないばかりか、神の怒りがその人からはなれない。」"
"430401","
さて、ヨハネよりもイエスの方がよけいに弟子をつくり、洗礼を授けていると
いう噂が、パリサイ人の耳に入ったことを主が知られると、"
"430402","
──その実、洗礼を授けたのはイエス自身でなく弟子たちであったが──"
"430403","
(パリサイ人との衝突をさけるため)ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれ
た。"
"430404","
しかし(ガリラヤへ行くのに)サマリヤを通らねばならなかった。"
"430405","
そして、サマリヤのスカルという町のそばまで来られた。ヤコブがその子ヨセ
フに与えた地所の近くで、"
"430406","
そこには(有名な)ヤコブの井戸があった。旅に疲れたイエスは、いきなり井
戸のわきに腰をおろされた。昼の十二時ごろであった。"
"430407","
一人のサマリヤの女が水を汲みに来る。「飲ませてくれないか」とイエスが女に
言われた。"
"430408","
弟子たちは食べ物を買いに、町に行っていたのである。"
"430409","
サマリヤの女が言う、「ユダヤ人のあなたが、どうしてサマリヤの女のわたしに、
飲み物をお求めになるのです。」(女が不審に思ったのは、)ユダヤ人はサマリヤ人と交際
をしないからである。"
"430410","
イエスは答えられた、「もし神の(賜わる最上の)賜物が何であるか、『飲ませ
てくれないか』と(今)あなたに言っている者がだれであるかがあなたにわかっていたら、
あなたの方からその人に頼み、その人があなたに清水[命の水]を与えたであろうに。」"
"430411","
女が言う、「主よ、あなたは釣瓶も持たれず、(この辺は)井戸も深いのに、ど
こからその清水を汲んで来られるのですか。"
"430412","
あなたはわたし達の先祖ヤコブよりもえらいのでしょうか。(まさかそうではあ
りますない。)彼のおかげで、わたし達のこの井戸もあるのです。彼も、その子たちも、
家畜も、この井戸から飲みました。」"
"430413","
イエスは答えられた、「この(井戸の)水を飲む者はだれでもまた渇くが、"
"430414","
わたしが与える水を飲む者は永遠に渇かない。そればかりでなく、わたしが与
える水は、その人の中で(たえず)湧き出る水の泉となって、永遠の命に至らせるであろ
う。」"
"430415","
女が言う、「主よ、その水を下さい。(二度と)渇くことがないように、またこ
こに汲みに来なくてもよいように。」"
"430416","
イエスが言われる、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい。」"
"430417","
女が答えた、「わたしには夫はありません。」イエスが言われる、「『わたしには
夫はありません』と言うのは、もっともだ。"
"430418","
五人の夫とは別れ、今のは、あなたの夫ではないのだから。あなたの言ったこ
とは本当だ。」"
"430419","
女が(びっくりして)言う、「主よ、わかりました、あなたは預言者です。"
"430420","
(それでお尋ねしたいのですが、)わたし達の先祖はこの(ゲリジム)山で(神
を)礼拝したのに、あなた達(ユダヤの人)は、礼拝すべき場所はエルサレムだと言われ
ます。(どういう訳でしょうか。)」"
"430421","
イエスが言われる、「女の人、わたし(の言葉)を信じなさい。(間もなく)あ
なた達が、この山でもエルサレムでもなく(どこででも、)父上を礼拝する時が来る。"
"430422","
ただ(同じ神を、)あなた達は知らずに礼拝し、わたし達は知って礼拝している。
救いはユダヤ人から出る(のでわたし達だけに神が示された)からである。"
"430423","
しかし(ユダヤ人もサマリヤ人もなく、)本当の礼拝者が霊と真理とをもって父
上を礼拝する時が来る。いや、今もうきている。父上もこんな礼拝者を求めておられるの
である。"
"430424","
神は霊である。だから礼拝者も霊と真理とをもって礼拝せねばならない。」"
"430425","
女が言う、「キリストと言われる救世主が来ることは知っています。救世主が来
れば、わたし達に何もかも知らせてくださるでしょう。」"
"430426","
イエスは言われる、「あなたと話しているわたしが、それだ。」"
"430427","
とかくするうちに弟子たちがかえって来て、イエスが女と、(しかもサマリヤの
女と)話しておられるのを(見て、)不思議に思った。それでも「何か御用で」とか、「何
を話しておられますか」とたずねる者はなかった。
"430428","
すると女は水瓶を置いたまま町に行って、人々に言う、"
"430429","
「さあ来て御覧なさい、わたしのしたことを何もかも言いあてた人がいる。も
しかしたら、この人は救世主ではないでしょうか。」"
"430430","
人々が町を出て、イエスの所に来た。"
"430431","
その間に弟子たちが、「先生、お食事を」と催促すると、"
"430432","
言われた、「わたしにはあなた達の知らない食べ物がある。」"
"430433","
すると弟子たちが互に言った、「だれも食べる物を持ってくるはずはないの
に。」"
"430434","
イエスが言われる、「わたしの食べ物は、わたしを遣わされた方の御心を行い、
(任せられた)お仕事を成しとげることだ。"
"430435","
あなた達のあいだでは『刈入れの時の来るにはまだ四月』と言うではないか。
しかしわたしは言う、目をあげて畑を見てごらん。(麦畑の間を押し寄せてくるあのスカ
ルの人たちを!)畑は黄ばんで刈入れを待っている。"
"430436","
すでに、刈る人は報酬を受けている。すなわち永遠の命にいたる実を集めてい
る。まく人も刈る人も、同時に喜ぶためである。"
"430437","
『まく人、刈る人、別の人』という諺は、そのままここに当てはまるからであ
る。"
"430438","
(すなわち)わたしはあなた達をやって、あなた達が自分で苦労しなかったも
のを刈り取らせる。ほかの人々が苦労し、あなた達はその苦労(の実)を取り入れるので
ある。(あなた達はわたしがまいたものを、ただ取り入れるだけでよいのだ。)」"
"430439","
さて、この町の大勢のサマリヤ人は、「あの人はわたしのしたことを何もかも言
いあてた」と証しするこの女の言葉によって、イエスを信じた。"
"430440","
それでサマリヤ人はイエスの所に来ると、自分たちのところに(しばらく)泊
まっていてほしいと頼んだ。イエスはそこに二日泊まられた。"
"430441","
すると、さらに多くの人がイエスの言葉によって信じた。"
"430442","
そして彼らは女に言った、「われわれはもうあなたの話しで信ずるのではない。
自分たちで(直接)聞いて、この方こそ確かに世の救い主だとわかったからである。」"
"430443","
二日ののち、そこを去ってガリラヤへ向かわれた。"
"430444","
(これは前に言ったように、パリサイ人との衝突をさけるためであった。)イエ
ス自身(かつて、)「預言者はその本国では尊敬を受けない」と、はっきり言われたことが
あったからである。"
"430445","
ところが、ガリラヤに行かれると、(予期に反して)ガリラヤ人は彼を歓迎した。
これは、彼らも(過越の)祭に行ったので、イエスが祭の時にエルサレムでされたこと[奇
蹟]を一つのこらず見たからである。"
"430446","
それから、またガリラヤのカナに行かれた。そこは(前に)水を酒にされた所
である。するとカペナウムに(ヘロデ・アンデパス)王の役人がいて、その息子が病気で
あった。"
"430447","
イエスがユダヤからガリラヤに来ておられると聞くと、イエスの所に行き、(カ
ペナウムに)下ってきて息子を直してほしいと頼んだ。息子が死にそうだったのである。"
"430448","
イエスは言われた、「あなた達は徴[奇蹟]と不思議なことを見なければ、決し
て信じない。」"
"430449","
王の役人が、「主よ、子供が死なないうちに(カペナウムに)下ってきてくださ
い」と言いつづけると、"
"430450","
イエスは言われる、「かえりなさい、息子さんはなおった。」その人はイエスの
言われた言葉を信じて、かえっていった。"
"430451","
しかしすでに途中で、僕たちが出迎えて、子供がなおったことを知らせた。"
"430452","
そこで僕たちに良くなった時間をたずねると、「きのう午後一時に熱が取れた」
とこたえた。"
"430453","
父は、それが「息子さんはなおった」とイエスが言われた時間であることを知
り、彼はもちろん、全家族が信じた。"
"430454","
イエスはこの第二の徴[奇蹟]を、ユダヤからガリラヤに行かれたときに行わ
れた。"
"430501","
そののちユダヤ人の祭があって、イエスはエルサレムに上られた。"
"430502","
エルサレムの羊門のわきに、ヘブライ語でベテスダという池があり、(これを取
り巻いて)五つの回り廊下があった。"
"430503","
廊下には大勢の病人──盲人、足なえ、やせ衰えた者などが寝ころがっていた。
【水の動くのを待っていたのである。"
"430504","
それは、主の使がときどき池に下りてきて水をかきまわすので、水がかきまわ
されたとき真先に(池に)はいった者は、どんな病気にかかっていても、(きっと)直る
からであった。】
"430505","
するとそこに三十八年病気の人がいた。"
"430506","
イエスはその人が横になっているのを見、すでに長い間わずらっていることを
知ると、「直りたいか」とたずねられた。"
"430507","
病人が答えた、「主よ、水がかきまわされた時に、わたしを池に入れてくれる者
がないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に下りてゆきます。」"
"430508","
イエスが言われる、「起きて担架をかついて、歩きなさい。」"
"430509","
するとその人はすぐ直って、担架をかついで歩きまわった。あいにくその日は
安息日であった。"
"430510","
そこでユダヤ人(の役人たち)が病気のよくなった人に言った、「(きょうは)
安息日だ、担架をかつぐのは規則違反だ。」"
"430511","
彼は答えた、「わたしを直してくれた人が、『担架をかついで歩け』と言ったの
です。」"
"430512","
彼らが尋ねた、「『かついで歩け』と言った人はだれだ。」"
"430513","
しかしいやされた人は、それがだれか知らなかった。大勢の人がその場所にい
たので、イエスは(そっと)立ち去られたのであった。"
"430514","
そののちイエスは宮で彼に出合って言われた、「ほら、直ったではないか。もう
罪を犯すなよ。もっとひどい目にあうかもしれないから。」"
"430515","
その人は行って、直してくれた人はイエスであると、ユダヤ人(の役人たち)
に話した。"
"430516","
このためユダヤ人は、イエスを迫害しはじめた。安息日にたびたびそんなこと
をされたからである。"
"430517","
イエスは彼らに答えられた、「わたしの父上は、いまでもなお働いておられる。
だからわたしも働く。」"
"430518","
このためユダヤ人は、いよいよイエスを殺そうと思った。安息日を破るばかり
でなく、神を自分の父と言って、自分を神と等しくされたからである。"
"430519","
そのとき、イエスは彼らに答えて言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言
う、子は父上のなさることを見て(それを真似るので)なければ、自分では何一つするこ
とが出来ない。父上のなさるのと同じことを、子もまたするのだから。"
"430520","
父上は子を愛して、御自分でなさることをことごとく子に示されるのである。
そればかりか、子がしたこれらのことよりもっと大きな業を子に示され、子がそれをする
と、あなた達はびっくりするであろう。"
"430521","
それは、父上が(心のままに)死人を生き返らせて命を与えられるように、子
も自分の欲する者に命を与えるからである。"
"430522","
父上は御自分ではだれも裁かれず、裁きはすべて子におまかせになったのであ
る。"
"430523","
これは皆の者をして、父上を敬うように子を敬わせるためである。子を敬わな
い者は、子を遣わされた父上をも敬わない。"
"430524","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしの言葉を聞き、わたしを遣わされ
た方を信ずる者は、(今すでに)永遠の命を持っていて、(最後の日に)罰を受けない。そ
の人はもはや死から命に移っているのである。"
"430525","
アーメン、アーメン、わたしは言う、死人が(一人のこらず)神の子(わたし)
の声を聞く時が来る、いや、今もう来ている。しかし(ただ聞くばかりでなく、ほんとう
に)聞き従う者(だけ)が生きる。"
"430526","
父上は御自分で命を持っておられるように、子(たるわたし)にも命を持つこ
とを許し、"
"430527","
かつ、裁きをする全権を子にお授けになった。人の子である(わたしは、人間
の心がわかる)からである。"
"430528","
あなた達は(子が裁くという)このことを驚くに及ばない。時が来ると、墓の
中にいる者が皆子(たるわたし)の声を聞いて、"
"430529","
(墓から)出てくるからである。すなわち、善いことをした者は(永遠の)命
にはいるために復活し、悪いことをした者は(死の)罰を受けるために復活する。"
"430530","
わたしは自分では何一つすることが出来ない。(ただ父上から)聞いたとおりに
裁く。だからわたしがする裁きは正しい。自分の考えでなく、わたしを遣わされた方の考
えを行おうとするからである。"
"430531","
(今わたしの裁きは正しいと言ったが、)もしわたしが自分で自分のことを証明
するのであったら、わたしの証明は信用できない。"
"430532","
わたしのことを証明してくださるお方はほかにあるのである。そしてわたしは、
わたしのことを証明されるその(方の)証明が、信用すべきであることを知っている。"
"430533","
しかし(それは、あなた達が考えるように洗礼者ヨハネではない。)あなた達は
ヨハネに使をやり、彼は(わたしが)真理(であること)について証明したが、"
"430534","
わたしは人間(ヨハネ)から証明してもらう必要はない。わたしがヨハネのこ
とを言うのは、ただあなた達が(彼の証明によりわたしを信じて)救われるためである。"
"430535","
ヨハネは(光ではないが、まことの光に導く)燃えて輝く明りであった。しか
しあなた達は(彼の言葉に従おうとせずに、)しばし彼の光にうち興じただけであった。"
"430536","
わたしには、ヨハネの証明よりも有力な証明がある。父上がわたしに成しとげ
させようとして賜った仕事、すなわちわたしがしている仕事そのものが、わたしが父上に
遣わされたことを証明してくれるからである。"
"430537","
その上、わたしを遣わされた父上御自身が、わたしのことを(聖書で)証明し
てくれるからである。(ところがあんなにはっきり書いてあるのに、)あなた達はいまだか
って父上の声を聞いたことも、姿を見たこともなく、
"430538","
また御言葉があなた達の心に留まっていない。父上の遣わされた者を信じない
のがその証拠だ。"
"430539","
あなた達は聖書(旧約)をもっていることが永遠の命を持っていることのよう
に思って、それを研究している。ところがこの聖書は、(永遠の命である)このわたしの
ことを証明しているのに、"
"430540","
あなた達はその命を得るためわたしの所に来ようとしない。"
"430541","
(こう言うのは、自分を認めてもらいたいからではない。)わたしは人間の名誉
などほしくない。"
"430542","
しかし(それをほしがる)あなた達は、心の中に神に対する愛を持たない。わ
たしはそれを知っている。"
"430543","
(その証拠には、)わたしが父上の権威で来たのに、あなた達はわたしを受けい
れず、だれかほかの人[偽救世主]が自分の権威で来れば、その人を受け入れるのである。
"
"430544","
互に(この世の)名誉をやり取りして、ただひとりの神からの名誉を求めない
あなた達が、どうして(わたしに対する)信仰をもつことが出来ようか。"
"430545","
(しかし)わたしが(最後の日に)あなた達を父上に訴えるなどと考えてはな
らない。いつも訴えている者がいる。あなた達が頼みとしているあのモーセである。"
"430546","
もしもあなた達がモーセ(の言うこと)を信じたら、わたしを信じたはずであ
る。モーセはわたしのことを書いているのだから。"
"430547","
しかし彼の書いたものを信じないなら、どうしてこのわたしの言葉を信ずるこ
とができようか。」"
"430601","
そののち、イエスはガリラヤ湖すなわちテベリヤ湖の向こう岸に行かれた。"
"430602","
多くの群衆がついて行った。病人に行なわれたかずかずの徴[奇蹟]を見たか
らである。"
"430603","
イエスは山にのぼって、弟子たちとそこにお坐りになった。"
"430604","
ユダヤ人の祭りである過越の祭が間近であった。"
"430605","
イエスは目をあげて、多くの群衆があつまって来るのを見ると、ピリポに言わ
れる、「どこからパンを買ってきて、この人たちに食べさせようか。」"
"430606","
こう言われるのはピリポを試すためで、自分ではどうするか、わかっておられ
た。"
"430607","
ピリポが答えた、「二百デナリ[十万円]のパンでも、みんなに少しずつも行き
渡らないでしょう。」"
"430608","
弟子の一人で、シモン・ペテロの兄弟のアンデレがイエスに言う、"
"430609","
「ここに大麦パン五つと魚二匹持っている青年がいますが、こんな大勢の人に
何の役に立ちましょう。」"
"430610","
イエスが言われた、「人々をすわらせなさい。」その場所には草がたくさんあっ
た。そこで人々がすわった。その数、男五千人ばかり。"
"430611","
するとイエスは(いつも家長がするように、)そのパンを手に取り、(神に)感
謝したのち、(裂いて、)坐っている人々に分け、魚も同じようにして、ほしいだけ分けて
おやりになった。"
"430612","
人々が腹一ぱい食べると、弟子たちに言われる、「余った(パンの)屑を集めな
さい、すこしもむだにならないように。」"
"430613","
そこで集めると、人々が食べのこした五つの大麦パンの屑で、十二の篭がいっ
ぱいになった。"
"430614","
人々はイエスが行われた徴[奇蹟]を見て、「確かにこの人は、世(の終り)に
来るあの預言者だ」と言った。"
"430615","
イエスは人々が来て、自分を(エルサレムに)攫って王にしようと計画してい
るのを知り、自分ひとり、またも山に引っ込まれた。"
"430616","
夕方になると、弟子たちは湖の岸に下って、"
"430617","
自分たちだけ舟に乗り、湖の向こう岸のカペナウムへ出かけた。もう暗くなっ
てしまったのに、イエスはまだもどって来ておられなかったのである。"
"430618","
湖は大風が吹いて荒れていた。"
"430619","
彼らは二十五か三十スタデオ[五キロか六キロ]ばかり漕ぎ出したとき、イエ
スが(あとから)湖の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、こわくなった。"
"430620","
イエスが言われる、「わたしだ、こわがることはない。」"
"430621","
そこで舟に迎えようと思っていると、その暇もなく、舟は目的地についた。"
"430622","
あくる日、なお湖の向こう岸(すなわち東の岸)にのこっていた群衆は、(きの
うの夕方)そこには一艘のほか小舟がなく、しかもイエスはその舟に弟子たちと一しょに
乗らず、弟子たちだけがのって行ったことを知っていた。"
"430623","
(すると折りよく、)ほかの数艘の小舟がテベリヤから、主が感謝して人々にパ
ンを食べさせられた場所の近くに来た。"
"430624","
ところで群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないことを知ると、イエスをさ
がしに、その小舟に乗ってカペナウムへ行った。"
"430625","
そして湖の向こう岸(すなわち西の岸)でイエスを見つけると、言った、「先生、
いつここにこられたのですか。」"
"430626","
イエスが答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、あなた達がわたし
をさがすのは、(パンの奇蹟でわたしが救世主である)徴を見たからでなく、パンを食べ
て満腹したからである。"
"430627","
(食べれば)無くなる食べ物のためでなく、いつまでもなくならずに、永遠の
命に至らせる食べ物のために働きなさい。これは人の子(わたし)があなた達に与えるの
である。神なる父上が、(これを与える)全権を人の子に授けられたのだから。」"
"430628","
すると人々がたずねた、「(それをいただくために)神の(御心にかなう)業を
するには、何をすればよいのでしょうか。」"
"430629","
イエスは答えられた、「神がお遣わしになった者を信ずること、これが(御心に
かなうただ一つの)神の業である。」"
"430630","
そこで彼らが言った、「ではあなたは、どんな徴をわたし達にして見せて、自分
を信じさせようとされるのですか。どんなことをされますか。"
"430631","
わたし達の先祖は、(モーセが天から降らせた)マナを荒野で食べました。(聖
書に)〃神は天からのパンを彼らに食べさせられた〃と書いてあるとおりです。(あなた
もモーセのような徴を見せてください。)」"
"430632","
そこでイエスは言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、モーセが天か
らのパンをあなた達に与えたのではない。わたしの父上が、天からの本当のパンを与えら
れたのである。"
"430633","
神の(与えられる)パンは天から下ってきて、世に命を与えられるものである
から。」"
"430634","
彼らが言った、「主よ、(もしそうなら、)いつもそのパンを戴かせてください。」
"
"430635","
イエスが言われた、「わたしが命のパンである。わたしの所に来る者は決して飢
えない。わたしを信ずる者は決して二度と渇かない。"
"430636","
しかしわたしは(前に)『あなた達はわたしを見たのに、信じない』と言った。
"
"430637","
(だが、信じないのは父上の御心である。)父上がわたしに下さるものは皆、わ
たしの所に来、わたしの所に来る者を、わたしは決して放り出さない。"
"430638","
(放り出すわけがない。)わたしは、自分のしたいことをするために天から下っ
てきたのではない。わたしを遣わされた方の御心を行うためである。"
"430639","
そして、わたしに下さったものを一つも無くさず、最後の日にそれを復活させ
ること、これがわたしを遣わされた方の御心である。"
"430640","
子(なるわたし)を見て信ずる者が皆永遠の命を持ち、わたしがその人を最後
の日に復活させること、これがわたしの父上の御心であるから。(だから信じない者は、
父上がわたしに下さらない人たちである。)」"
"430641","
ユダヤ人はイエスが「わたしが天から下ってきたパンである」と言われたので、
彼のことをつぶやいて"
"430642","
言った、「この人はヨセフの子イエスで、わたし達はその父も母も知っているで
はないか。どうして今「わたしは天から下ってきた』と言うのだろう、」"
"430643","
イエスが答えられた、「つぶやき合うのをやめよ。"
"430644","
(わたしを信じないのは、父上が引っ張ってくださらないからだ。)わたしを遣
わされた父上が引っ張ってくださらなければ、だれもわたしの所に来ることはできない。
(しかし来れば、)わたしはその人をきっと最後の日に復活させる。"
"430645","
預言書に、〃(最後の日に)人は皆神に教えを受けるであろう〃と書いてある。
(そして神に引っ張られる者、すなわち本当に)父上に聞き、また学ぶ者は皆、わたしの
所に来る。"
"430646","
(聞き、学ぶと言っても、)これはだれかが父上を見たというのではない。神の
ところから来た者、(すなわちわたし)だけが、父上を見たのである。"
"430647","
アーメン、アーメン、わたしは言う、(わたしを)信ずる者は永遠の命を持つ。
"
"430648","
わたしが命のパンであるから。"
"430649","
あなた達の先祖は荒野でマナを食べたけれども、死んだ。(天から降って来たが、
永遠の命がないからだ。)"
"430650","
それを食べれば死なないもの、これが(本当に)天から下ってくるパンである。
"
"430651","
わたしが天から下ってきた、生きているパンである。このパンを食べる者は永
遠に生きる。わたしが与えるパンとは、わたしの肉である。世を生かすために、わたしは
これを(世に)与える。」"
"430652","
するとユダヤ人は、「この人は、どうして自分の肉をわたし達に食べさせること
ができようか」と言って互に議論をはじめた。"
"430653","
イエスが言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、人の子(わたし)の
肉を食べず、その血を飲まねば、あなた達の中に命はない。"
"430654","
わたしの肉を食い、わたしの血を飲む者は、永遠の命を持つ。わたしはその人
を最後の日に復活させる。"
"430655","
わたしの肉は本当の食べ物、わたしの血は本当の飲み物だから。"
"430656","
わたしの肉を食いわたしの血を飲む者は、わたしに留まっており、わたしも彼
に留まっている。"
"430657","
生きておられる父上から遣わされたわたしが父上によって生きているように、
わたしを食う者も、わたしによって生きる。"
"430658","
これが天から下ってきたパンであって、先祖が食べて死んだ(あのマナの)よ
うなものではない。このパンを食う者は永遠に生きるであろう。」"
"430659","
これはカペナウムの礼拝堂で教えておられたときに、話されたものである。"
"430660","
するとこれを聞いて、弟子のうちに、「(自分の肉を食えとは、)これはひどい言
葉だ。誰が聞いておられよう」と言う者が大勢あった。。"
"430661","
イエスは弟子たちがそのことについて不満を抱いているのを見抜いて彼らに言
われた、「このことがあなた達をつまずかせるのか。"
"430662","
それなら、もし人の子(わたし)が(地上に下りてくる)前にいた所に上るの
を見たら、どうであろう。(そのときあなた達は、肉を食い血を飲むのが、霊の意味であっ
たことに気づくであろう。)"
"430663","
霊が命を与える。肉はなんの役にも立たない。いまわたしがあなた達に話した
言葉は、霊である。だから、命である。"
"430664","
しかしあなた達のうちには、信じていない者がすこしある。」イエスには、だれ
だれは信じない、だれは自分を敵に売ると、始めからわかっていたのである。"
"430665","
そして言われた、「だから『父上に許された者でなければ、だれもわたしの所に
来ることは出来ない』と言ったのだ。」"
"430666","
(このはげしい言葉の)ために、多くの弟子がはなれていって、もはやイエス
と一しょに歩かなくなった。"
"430667","
するとイエスが十二人(の弟子)に言われた、「まさか、あなた達まで離れよう
と思っているのではあるまいね。」"
"430668","
シモン・ペテロが答えた、「主よ、(あなたを離れて)だれの所に行きましょう。
永遠の命の言葉はあなただけがお持ちです(から)。"
"430669","
あなたこそ神の聖者(救世主)であると、わたし達は信じております。また知
っております。」"
"430670","
イエスが彼らに答えられた、「あなた達十二人を選んだのは、このわたしではな
かったのか。ところが、そのうち一人は悪魔だ!」"
"430671","
イエスはイスカリオテのシモンの子ユダのことを思っておられたのである。こ
の人は(あとで)イエスを売るべき人であったから。──十二人のうちの一人でありなが
ら。"
"430701","
そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人が殺そうとしてい
たので、ユダヤは巡回したくなかったのである。"
"430702","
しかしユダヤ人の仮庵の祭が近くなると、"
"430703","
イエスの兄弟たちが言った、「ここから移ってユダヤに行き、(今ここで)して
いる業を(そこの)弟子たちにも見せたらどうです。"
"430704","
世に認められようとする者が、隠れた所で事をする法はあるまい。こんな(え
らい)ことをしているのだから、(都に行って、)自分を世間に現わしたらどうです。」"
"430705","
兄弟たちも彼を信じなかったからである。(彼らはイエスの国がこの世のもので
ないことを知らなかった。)"
"430706","
イエスは兄弟たちに言われる、「わたしの(世にあらわれる)時はまだ来ていな
い。あなた達の時はいつでも準備ができている。(いつでもしたいことができるのだか
ら。)"
"430707","
この世はあなた達を憎むことはできないが、わたしを憎む。(あなた達はこの世
のものだが、)わたしはこの世の(ものではなく、この世の人々の)することを悪いとは
っきり言うからだ。"
"430708","
あなた達は祭りに上ったがよかろう。わたしはこの祭りには上らない。わたし
の時はまだ満ちていないのだから。」"
"430709","
こう言ってガリラヤに留まっておられた。"
"430710","
しかし兄弟たちが祭に上ると、自分もあとから上られた。──だが公然とでは
なく、いわば微行で。"
"430711","
祭りの時に、ユダヤ人(の役人たち)は「あれはどこにいるだろう」と言って、
イエスをさがした。(でも見つからなかった。)"
"430712","
イエスについて群衆の中にひそひそ話が盛んであった。「善い人だ」と言う者が
あり、「いや、民衆をまどわす者だ」と言う者があった。"
"430713","
それでもユダヤ人を恐れて、だれ一人おおぴらに彼のことを話す者はなかった。
"
"430714","
祭がすでに半ばになったとき、(すなわち祭の四日目に、)イエスが宮に上って
教えておられると、"
"430715","
ユダヤ人は驚いて言った、「この人は学校に行ったこともないのに、どうして聖
書を知っているのだろうか。」"
"430716","
イエスは答えて言われた、「わたしの教えはわたしの教えではない。わたしを遣
わされた方の教えである。"
"430717","
その方の御心を行おうと決心する者には、わたしの教えが神から出たものか、
それともわたしが自分で勝手に話しているかがわかるであろう。"
"430718","
自分で勝手に話す者は、自分の名誉を求める。(そしてその言うことが偽りであ
る。)しかし自分を遣わされた方の言葉を語って、その方の名誉を求める者は、真実であ
り、(すこしも)偽りがない。"
"430719","
(いったい)あなた達に律法を与えたのはモーセではないか。しかしあなた達
のうちにだれ一人、その律法を守る者がない。(モーセ、モーセと言いながら、)なぜわた
しを殺そうとするのか。(モーセは『殺してはならない』と言っているではないか。)」
"430720","
群衆が答えた、「あなたは悪鬼につかれている。いったいだれがあなたを殺そう
としているのか。」"
"430721","
イエスは答えて言われた、「わたしが(この間安息日に三十八年の足なえを直す
という)一つの業をしたので、あなた達は皆驚いている。"
"430722","
(しかし驚くことはない。)モーセがあなた達のために割礼の制度を設けたので
──これは(実は)モーセから始まったのではなく、(大昔の)先祖(の時代)からであ
るが──あなた達は安息日にも人に割礼をほどこしている。"
"430723","
(割礼についての)モーセの律法を破るまいとして、人は安息日にも割礼を受
ける以上、わたしが安息日に人の全身を直したからとて、なにも腹を立てることはないで
はないか。(ことに割礼は、ただ体の一部分を健康にするだけであるのに!)"
"430724","
うわべで裁くな、(律法の精神を見て、)正しい裁きをせよ。」"
"430725","
するとエルサレムの人の中に、こう言った人々があった、「これはあの人たちが
殺そうとしている人ではないか。"
"430726","
あんなにおおっぴらに話しているのに、なんとも言う人がない。もしかしたら
(最高法院の)役人たちは、この人が救世主だと本当にわかったのではなかろうか。"
"430727","
でも(そんなわけがない。)わたし達はこの人がどこから来たか知っている。救
世主が来る時には、だれもどこから来るか知らないはずだから。」"
"430728","
すると宮で教えていたイエスは、こう言って叫ばれた、「なるほどあなた達はわ
たしを知っている。どこから来たかも知っている。だが、わたしは自分で勝手に来たので
はない。わたしを遣わされた真実な方がある。あなた達はその方を知らないが、"
"430729","
わたしは知っている。わたしはその方のところから来、その方から遣わされた
のだから。」"
"430730","
そこで(最高法院の)人々はイエスを捕えようとしたが、手をかける者はなか
った。彼の時がまだ来ていなかったからである。"
"430731","
しかし群衆のうちにイエスを信じたものが大ぜいあって、言った、「救世主が来
ても、この人がしたより多くの徴[奇蹟]をすることはできまいと思うが、どうだろう。」
"
"430732","
イエスについて、群衆がこんなひそひそ話をしているのがパリサイ人の耳に入
ったので、大祭司連とパリサイ人とはイエスを捕えようとして、下役らをやった。"
"430733","
するとイエスは言われた、「わたしはもうしばらくの間あなた達と一しょにいて、
それから、わたしを遣わされた方の所に行く。"
"430734","
(その時)あなた達はわたしをさがすが、見つからない。わたしがおる所に、
あなた達は来ることが出来ない(からだ)。」"
"430735","
するとユダヤ人が互いに言った、「この人は私たちに見つからないように、いっ
たいどこに行くつもりだろう。まさか異教人の中に離散しているユダヤ人のところに行っ
て、異教人に教えるつもりではあるまい。"
"430736","
『あなた達はわたしをさがすが、見つからない。わたしがおる所に、あなたた
ちは来ることが出来ない』と言ったあの言葉は、いったいどういう意味だろう。」"
"430737","
祭の最後の大祭の日に、イエスは立って叫ばれた、「渇く者はわたしの所に来て飲みなさい。"
"430738","
わたしを信ずる者は、聖書が言っているように、『そのお腹から、清水が川とな
って流れ出るであろう。』」"
"430739","
これは、彼を信ずる者が受けるべき御霊のことを言われたのである。イエスは
(その時)まだ栄光を受けておられなかったため、御霊がまだ下っていなかったからであ
る。(「であろう」と言われたのはそのためである。)"
"430740","
すると群衆のうちにこの言葉を聞いて、「確かにこの人は(世の終りに来る)あ
の預言者だ」と言う者があり、"
"430741","
「この人は救世主だ」と言う者もあり、また(反対して、)こう言う者もあった、
「ガリラヤから救世主が出るとでも言うのか。"
"430742","
『救世主は〃ダビデの末〃から、ダビデの住んでいた村〃ベツレヘムから出る
〃』と聖書が言っているではないか。」"
"430743","
そこで群衆の間に、イエスのことで意見が分かれた。"
"430744","
なかには彼を捕えようと思う者もあったが、手をかける者はなかった。"
"430745","
やがて下役らが(手ぶらで)かえって来ると、大祭司連とパリサイ人とが言っ
た、「なぜあれを引いてこなかったか。」"
"430746","
下役らが答えた、「あの人が話すように話した人は、いまだかつてありません。」
"
"430747","
パリサイ人が答えた、「君たちまでが迷わされたのではあるまいね。"
"430748","
(最高法院の)役人かパリサイ人のうちに、あれを信じた者がひとりでもある
というのか。"
"430749","
(信じたのは民衆だけだ。)律法(聖書)を知らないあんな民衆は、呪われたが
いい!」"
"430750","
そのうちの一人で、前に(夜ひそかに)イエスの所に来たニコデモが、彼らに
言う、"
"430751","
「われわれの律法は、まずその人に(言い分を)聞き、そのしたことを知った
上でなければ、罰しないことになっているではないか。」"
"430752","
彼らは答えて言った、「あなたまでがガリラヤから出たわけではあるまいに。
(聖書をよく)調べてみなさい。ガリラヤからは預言者があらわれないことがわかろう。」
"
"430753","人々はそれぞれ家にかえったが、"
"430801","
イエスはオリブ山に行かれた。"
"430802","
次の朝早く、また宮に行かれると、人々が皆あつまってきたので、座って教え
ておられた。"
"430803","
すると聖書学者とパリサイ人とが、姦淫の現行犯を押えられた女をつれてきた。
みんなの真中に立たせて、"
"430804","
イエスに言う、「先生、この女は姦淫の現場を押えられたのです。"
"430805","
モーセは律法で、このような女を石で打ち殺すように命じていますが、あなた
はなんと言われますか。」"
"430806","
こう言ったのは、イエスを試して、訴え出る口実を見つけるためであった。イ
エスは身をかがめて、黙って指で地の上に何か書いておられた。"
"430807","
しかし彼らがしつこく尋ねていると、身を起こして言われた、「あなた達の中で
罪(をおかしたこと)のない者が、まずこの女に石を投げつけよ。」"
"430808","
そしてまた身をかがめて、地の上に何か書いておられた。"
"430809","
これを聞くと、彼らは皆(良心に責められ、)老人を始めとして、ひとりびとり
出ていって、(最後に)ただイエスと、真中に立ったままの女とが残った。"
"430810","
イエスは身を起こして女に言われた、「女の人、あの人たちはどこにいるのか。
だれもあなたを罰しなかったのか。」"
"430811","
「主よ、だれも」と女がこたえた。イエスが言われた、「わたしも罰しない。お
かえり。今からはもう罪を犯さないように。」"
"430812","
(同じ大祭の日に、)イエスはまた人々に語られた、「わたしが世の光である。
わたしに従う者は、決して暗やみを歩かない。そればかりか、命への光を持つことができ
る。」"
"430813","
パリサイ人が言った、「あなたは自分で自分のことを証明しているから、あなた
の証明は信用できない。」"
"430814","
イエスは答えて言われた、「たとえ自分で自分のことを証明しても、わたしの証
明は信用すべきである。わたしは自分がどこから来たか、どこに行くかを知っているのだ
から。(わたしは父上のところから来たので、父上がなんでも教えてくださるのである。)
しかしあなたたちはわたしがどこから来て、どこに行くか知らない。"
"430815","
あなた達は人間的に(目に見えるもので)裁くが、わたしはだれも裁かない。"
"430816","
しかしたとえ裁いても、わたしの裁きは真実である。わたしはひとりではなく、
わたしと、わたしを遣わされた方と(二人)であるから。"
"430817","
あなた達の律法にも、『二人の証言は信用すべきである』と書いてあるではない
か。"
"430818","
わたしがわたし自身の証明者である。その上、わたしを遣わされた父上がわた
しのことを証明してくださる。」"
"430819","
パリサイ人が言った、「あなたの父はどこにいるのか。」イエスは答えられた、
「あなた達にはわたしをも、わたしの父上もわかっていない。もしもわたしがわかれば、
わたしの父上もわかるはずである。」"
"430820","
これらの言葉を、イエスは宮で教えられるとき、宝物部屋のわきで話された。
しかし捕える者はなかった。彼の時がまだ来ていなかったからである。"
"430821","
するとまた(くりかえして)彼らに言われた、「わたしはわたしを遣わされた方
の所に行く。(その時)あなた達はわたしをさがすが、(もはや会うことができず、)自分
の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所に、あなた達は来ることが出来ない(から
だ)。」"
"430822","
ユダヤ人たちが言った、「『わたしの行く所に、あなた達は来ることはできない』
と言うが、まさか自殺するつもりではあるまい。」"
"430823","
彼らに言われた、「あなた達は下から出た者であるが、わたしは上から出た者で
ある。あなた達は(罪の)この世から出た者であるが、わたしはこの世から出た者ではな
い。"
"430824","
だから『あなた達は自分の罪のうちに死ぬであろう』と言ったのだ。あなた達
は、わたしがそれ(救世主)であることを信じなければ、自分の罪のうちに死ぬからであ
る。」"
"430825","
すると彼らが言った、「あなたはだれですか。」イエスが言われた、「いったいい
まさらあなた達に何を言おうか、"
"430826","
あなた達について言うべきこと、裁くべきことが沢山あるにはあるが。(言って
もなんの役にも立つまい。)それでもわたしを遣わされた方は真実であるから、わたしも
その方から聞いたことを、この世に語らないわけにゆかない。(あなた達がわかってもわ
からなくても。)」"
"430827","
しかし彼らには、これが(神なる)父上のことをいっておられることがわから
なかった。"
"430828","
そこでイエスが言われた、「あなた達は人の子(わたし)を十字架に挙げた時に
はじめて、わたしがそれであること、また、わたしが自分では何もせず、ただ父上に教え
られたままを語っていたことを知るだろう。"
"430829","
わたしを遣わされた方は(いつも)一しょにいてくださって、わたしを独りぼ
っちにされたことはない。わたしはいつもその方のお気に召すことをするからだ。」"
"430830","
こう話されると、多くの人がイエスを信じた。"
"430831","
すると信じたユダヤ人に言われた、「もしわたしの言葉に留まっておれば、あな
た達は本当にわたしの弟子である。"
"430832","
真理を知り、その真理があなた達を自由にするであろう。」"
"430833","
しかし彼らは(その意味がわからずに)答えた、「わたし達はアブラハムの子孫
で(自由人で)ある。いまだかつてだれの奴隷にもなったことはない。どうして『あなた
達は自由になる』と言われるのか。」"
"430834","
イエスは答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、罪を犯す者は皆罪
の奴隷である。"
"430835","
奴隷はいつまでも家におるわけにゆかない。(いつでも追い出される。しかし)
子はいつまでも家におる。
"430836","
だから、もし子(たるわたし)が(罪から)自由にしてやれば、あなた達は本
当に自由になるのである。(そしていつまでも父上のところにおることができる。)"
"430837","
あなた達がアブラハムの子孫であることをわたしは知っている。ところがあな
た達は(わたしを信ずるには信じたが、)わたしを殺そうとしている。(それは当然だ。)
わたしの言葉が、あなた達の(心の)中で根を張らないのだから。"
"430838","
わたしは父上のところで見たことを語り、あなた達も同じく(自分の)父から
聞いたことをする。」"
"430839","
彼らが答えて言った、「われわれの父はアブラハムだ。」イエスが言われる、「も
しアブラハムの子供なら、アブラハムの(子供らしく、アブラハムと同じ)行いをするは
ずだ。"
"430840","
ところがあなた達は、今わたしを殺そうとしている。神から聞いた真理を語っ
ているこの人間を!アブラハムはそんなことはしなかった。"
"430841","
あなた達は自分の父の行いをしている。」彼らが言った、「われわれ(ユダヤ人)
は、(異教人のように)不品行(偶像礼拝)によって生まれたのではない。われわれの父
はただ一人、神である。」"
"430842","
イエスは言われた、「もしも神があなた達の父であったら、あなた達はわたしを
愛するはずである、わたしは神から出て、(ここに)来ているのだから。わたしは自分で
勝手に来たのではない、神がわたしを遣わされたのである。"
"430843","
なぜわたしの言葉が通じないのだろうか。(神から委ねられた)わたしの福音を
聞く耳がないからだ。"
"430844","
(そのはずである。)あなた達は悪魔なる父の子で、父と同じ欲望を遂げようと
思っているのだ。(人殺しをし、嘘をつくのは、そのためである。)悪魔は始めから人殺し
である。(また嘘つきで、)真理に立ってない。彼の中には真理がないからである。だから
彼は嘘をつく度ごとに、その本性を表しているのである。嘘つきで、嘘の父だからだ。"
"430845","
ところがわたしは真理を言うので、あなた達はわたし(の言うこと)を信じな
い。"
"430846","
あなた達のうち、だれがわたしに罪があることを立証できるか。真理を言って
いるのに、なぜわたし(の言うこと)を信じないか。"
"430847","
神から出た者は(わたしが話す)神の言葉に聞き従う。あなた達は神から出た
のでないから、(わたしの言葉に)従わないのである。」"
"430848","
ユダヤ人は答えて言った、「『君はサマリヤ人だ、悪鬼につかれている』とわれ
われが言うのは、ほんとうではないか。」"
"430849","
イエスが答えられた、「悪鬼につかれてはいない。その証拠に、わたしは父上を
敬っている。それであるのにあなた達は、(『悪鬼につかれている』と言って)わたしを侮
辱する。"
"430850","
しかしわたしは自分の名誉を求めない。(だからそんなことはなんでもない。た
だわたしのために)これを求め、(わたしを侮辱する者をかならず)裁く方である。"
"430851","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしの言葉を守る者は(わたしに名誉
を帰する者で、決して裁かれない。だから)永遠に死なない。」"
"430852","
ユダヤ人が言った、「今こそ悪鬼につかれていることが(はっきり)わかった。
アブラハムも死に、預言者たちも死んだのに、君は『わたしの言葉を守る者は永遠に死な
ない』と言う。"
"430853","
君はまさか、われわれの父アブラハムよりもえらいというのではあるまい。ア
ブラハムは死んだではないか。また預言者たちも死んだのに、いったい君は、自分を何だ
と思っているのか。」"
"430854","
イエスが答えられた、「もしわたしが自分に栄光を帰するなら、そんな栄光はな
んにもならない。わたしに栄光を下さるのはわたしの父上で、あなた達が『われわれの神
だ』と言っている方である。"
"430855","
あなた達はその方を知らない。わたしは知っている。もしわたしが『知らない』
と言えば、あなた達と同じく嘘つきになろう。わたしはその方を知っており、またその言
葉を守っている(からだ)。"
"430856","
あなた達の父アブラハムは、生きてわたしの日、(わたしが来て神の契約を成就
するその日)を見ることを、楽しみにしていた。そして(実際)それを見て、喜んだ。」"
"430857","
するとユダヤ人がイエスに言った、「君はまだ五十にもならないのに、アブラハ
ムに会ったのか。」"
"430858","
イエスは言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、アブラハムが生まれ
る前から、わたしはいたのだ。」"
"430859","
すると彼らは、(自分を神と同じにすると言って、)石を取ってイエスに投げつ
けようとしたが、イエスは身を隠して、宮から出てゆかれた。"
"430901","
イエスは通りがかりに、生まれつきの盲人を見られた。"
"430902","
弟子たちが尋ねた、「先生、この人が盲で生まれたのは、だれが罪を犯したから
ですか。この人ですか、両親ですか。」"
"430903","
イエスは答えられた、「この人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからで
もない。ただ神の御業がこの人に現われるためである。"
"430904","
わたし達はわたしを遣わされた方の御業を昼の間にせねばならない。(すぐ)夜
が来る。するとだれも働けなくなる。"
"430905","
世におる間、わたしは世の光である。」"
"430906","
こう言って地に唾をはき、唾で泥をつくり、その泥を盲人の目に塗って、"
"430907","
言われた、「行って、シロアム池で洗いなさい。」(シロアムは訳すると「遣わさ
れた者」。)そこで盲人は行って、洗って、見えるようになって、かえって行った。"
"430908","
近所の人や、彼が乞食であったのを前に見ていた人たちは、「これは坐って乞食
をしていた男ではないか」と言った。"
"430909","
「あの男だ」と言う者もあれば、「いや、似ているだけだ」と言う者もあった。
本人は「たしかにわたしです」と言った。"
"430910","
すると人々がたずねた、「では、どうして目があいたのか。」"
"430911","
答えた、「あのイエスという方が、泥をつくってわたしの目に塗りつけ、『シロ
アムに行って洗いなさい』と言われた。そこで行って洗うと、見えるようになったのです。」
"
"430912","
人々が「その人はどこにおるか」とたずねた。「知りません」と言う。"
"430913","
人々がもと盲のその男を、(最高法院の)パリサイ人たちの所につれてゆく。"
"430914","
イエスが泥をつくって目をあけられた日は安息日(で、モーセ律法違反)だっ
たのである。"
"430915","
パリサイ人もふたたび、どうして見えるようになったかと尋ねた。彼がこたえ
た、「あの方が目に泥を塗ってくださったので、洗ったところ、こんなに見えるのです。」"
"430916","
するとパリサイ人の間に、「あれは神のところから来た人ではない、安息日を守
らないから」と言う者と、「(いや、神からだ。)罪の人間に、どうしてこんな徴[奇跡]
をすることが出来よう」と言う者があって、意見が分れた。"
"430917","
そこで、また盲人に言う、「君はいったいあの人を何と考える、君の目をあけた
のだが。」「預言者です」と彼が言った。"
"430918","
ユダヤ人は、彼が盲であったのに、見えるようになったことをまだ信ぜず、つ
いに、見えるようになった男の両親を呼んで"
"430919","
尋ねた、「これは確かにあなた達の息子で、あなた達が言うように盲で生まれた
のか。それなら、どうしていま見えるのか。」"
"430920","
両親が答えて言った、「これがわたし達の息子で、盲で生まれたことは知ってい
るが、"
"430921","
どうして今見えるのか、わかりません。また、だれが目をあけたのかも、わた
し達は知りません。あれに聞いてください。もう大人だから、自分のことは自分で話すで
しょう。」"
"430922","
両親がこう言ったのは、ユダヤ人を恐れたのである。ユダヤ人は、イエスを公
然救世主と認める者があれば、礼拝堂追放にすることを、すでに決議していたからである。
"
"430923","
両親が、「もう大人だから、あれに聞いてください」と言ったのは、このためで
ある。"
"430924","
そこでユダヤ人は、盲であった男をもう一度呼んで言った、「本当のことを言う
ように!あの人が罪人であることは、われわれにはよくわかっている(のだから。)」"
"430925","
彼が答えた、「罪人かどうか知りません。ただ、(もと)盲であったわたしが、
いまは見えるという、この一つのことだけ知っています。」"
"430926","
そこでユダヤ人が言った、「あの人は君に何をしたのか。どんなにして君の目を
あけたのか。」"
"430927","
彼らに答えた、「もう言いました。それを聞かずにおいて、何をもう一度聞こう
とされるのです。あなた達もあの方の弟子になりたいのですか。」"
"430928","
すると彼を罵って言った、「君はあれの弟子、われわれはモーセの弟子だ。"
"430929","
神がモーセと話をされたことは知っているが、あれはどこの馬の骨だか知らな
い。」"
"430930","
その男が答えて言った、「どこの馬の骨だか知らないとは、こいつは不思議だ。
(現に)このわたしの目をあけてくださったのに!"
"430931","
神は罪人の言うことはお聞きにならないが、信心深くて御心を行う者の言うこ
となら、(なんでも)聞いてくださることをわたし達は(皆)知っているではないですか。
"
"430932","
開闢以来、(ただの)人間で、盲で生まれた者の目をあけたなどと、聞いたこと
がない。"
"430933","
もしあの方が神のところから来たのでなかったら、なんにも出来なかったはず
です。」"
"430934","
彼らも負けずに言った、「罪だらけで生まれたお前が、このわれわれを教えるの
か。」そして彼を(礼拝堂)追放にした。"
"430935","
イエスは彼が追放されたと聞いて、出合ったときに言われた、「あなたは人の子
を信ずるか。」"
"430936","
彼が答えた、「主よ、人の子とはだれのことですか。(教えてください。)信じた
いのです。」"
"430937","
イエスが言われた、「あなたはもうその人に会った。いや、あなたと話している
のが、その人だ。」"
"430938","
すると「主よ、信じます」と言って、イエスをおがんだ。"
"430939","
イエスは言われた、「わたしは裁きのためにこの世に来たのだ。・・盲が目明き
に、目明きが盲になるために!」"
"430940","
イエスと一しょにいたパリサイ人たちがこれを聞いて、彼に言った、「まさか、
このわれわれも盲だというのではあるまい。」"
"430941","
イエスが言われた、「盲だったら、罪はなかった。たが今、『見える』と言うか
ら、あなた達の罪はいつまでもなくならない。(光に来ようとしないのだから。)"
"431001","
アーメン、アーメン、あなた達に言う、羊の檻に入るのに、門を通らず、ほか
の所を乗り越えてくる者は、泥坊である、強盗である。"
"431002","
門を通って入る者が、(ほんとうの)羊飼である。"
"431003","
羊飼には門番が(門を)あけてやり、羊はその声を聞き分ける。羊飼は一匹一
匹、自分の羊の名を呼んで(檻から)つれだし、"
"431004","
自分の羊を皆出すと、その先に立って歩く。羊はその声を知っているので、あ
とについて行く。"
"431005","
しかしほかの人には決してついて行かない、かえって逃げる。ほかの人たちの
声を知らないからである。」"
"431006","
イエスはこの譬をパリサイ人に話されたが、彼らは何を話されているのかわか
らなかった。"
"431007","
そこでイエスはまた話された、「アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしが
羊への門である。(羊飼はわたしを通らずに、羊に近づくことはできない。)"
"431008","
(わたしより)前に来た者は皆(羊飼でなく、)泥坊であり、強盗である。羊は
彼らの言うことを聞かなかった。"
"431009","
(また、)わたしが(羊の出入りするための)門である。わたしを通って入る者
(羊)は救われる。(いつもこの門を)入ったり出たりして、牧草を得るであろう。"
"431010","
泥棒が来るのは、ただ(羊を)盗み、殺し、滅ぼすだけのためである。わたし
は(羊に)命を持たせるため、あり余るほど(の命を)持たせるために来たのである。"
"431011","
わたしが良い羊飼である。良い羊飼は羊のために命を捨てる。"
"431012","
(本当の)羊飼でない雇人(である羊飼)は、羊が自分のものでないので、狼
が来るのを見ると、羊をすてて逃げる。・・すると狼は羊を奪い、また追い散らすのであ
る。・・"
"431013","
雇人であって、羊のことなどどうでもよいからである。"
"431014","
わたしが良い羊飼である。わたしはわたしの羊を知っており、わたしの羊もわ
たしを知っている。"
"431015","
父上がわたしを知っておられ、わたしが父上を知っているのと同じである。そ
してわたしは羊のために命を捨てる。"
"431016","
・・なおわたしには、この檻のものでない、ほかの羊がある。(彼らはまだ野山
をさまよっている。)わたしはそれをも導いてやらねばならない。彼らはわたしの声を聞
きわけ、かくて群一つ、羊飼一人となるであろう。・・"
"431017","
だから父上はわたしを愛してくださる。(羊のために)命を捨てるからである。
しかしわたしが捨てるのは、(まことの命として)ふたたび取るためである。"
"431018","
だれもわたしから(力ずくで)命を取り上げることはできない。わたしが自分
で(自由に)捨てるのである。わたしにはこれを捨てる権利があり、ふたたびこれを取る
権利がある。(命を捨て、また取る)この命令を、わたしは父上から受けた。」"
"431019","
(イエスの)これらの言葉によって、ユダヤ人の間にまたもや意見が分れた。"
"431020","
そのうち多くの者は、「あの人は悪鬼につかれて、気が狂っている。どうしてあ
なた達はあんな人の話を聞くのか」と言い、"
"431021","
またこう言う者もあった、「悪鬼につかれた者にあんな話はできない。悪鬼に盲
人の目をあけることが出来ようか。」"
"431022","
そのあと・・(仮庵の祭の二か月後)・・エルサレムに宮清めの祭があった。時
は冬であった。"
"431023","
イエスが宮でソロモンの回廊を歩いておられると、"
"431024","
ユダヤ人が彼を取り囲んで言った、「いつまで気をもませるのです。救世主なら
(救世主だと、)はっきり言ってください。」"
"431025","
イエスは答えられた、「言ったが、信じないではないか。父上の言いつけでわた
しがしているその業が、わたしのことを証明している。"
"431026","
だが、あなた達は信じない。わたしの羊でないからだ。"
"431027","
わたしの羊はわたしの声を聞きわける。わたしは彼らを知っており、彼らはわ
たしについて来る。"
"431028","
するとわたしが永遠の命を与え、彼らは永遠に滅びない。また彼らをわたしの
手から奪い取る者はない。"
"431029","
(というのは、彼らを)わたしに下さった父上はすべての者より強いので、
(彼らを)父上の手から奪い取ることの出来る者はだれもなく、"
"431030","
しかもわたしと父上とは一つである(からだ)。」"
"431031","
これを聞くと、またもやユダヤ人は、イエスを石で打ち殺そうとして(外から)
石を持ってきた。"
"431032","
するとイエスは言われた、「わたしは父上の(命令による)善い業を沢山あなた
達にして見せたが、そのうちのどの業のために、わたしを石で打ち殺すのか。」"
"431033","
ユダヤ人が答えた、「善い業のために石で打ち殺すのではない、冒涜のためだ。
君が人間の分際で、神様気取りでいるからだ。」"              
"431034","
イエスが答えられた、「あなた達の律法[聖書]に、〃あなた達は神だ、とわた
しは言った〃と書いてあるではないか。"
"431035","
神はこの言葉をたまわった人たち(すなわち御自分に代って裁判をする者)を、
神と言われたのであるから・・聖書がすたれることはあり得ないので・・"
"431036","
(まして)父上が聖別して世に遣わされた者(であるわたし)が、『わたしは神
の子だ』と言ったからとて、どうしてあなた達はそれを『冒涜だ』と言うのか。"
"431037","
もしわたしが父上の業をしていないなら、わたしを信ぜずともよろしい。"
"431038","
しかしもし、しているなら、わたし(の言葉)を信ぜずとも、その業(が父上
の業であること)を信ぜよ。そうすれば(父上とわたしとが一つで、)父上がわたしの中
に、わたしが父上の中におることを、知りまた知るであろう。」"
"431039","
そこで彼らはまたイエスを捕えようとしたが、その手から抜け出された。"
"431040","
またヨルダン川の向こうの、最初ヨハネが洗礼を授けていた場所に行って、し
ばらくそこにおられた。"
"431041","
大勢の人があつまって来て、「ヨハネは何一つ徴[奇蹟]を行わなかったが、こ
の方についてヨハネの言ったことは全部本当だった」と言った。"
"431042","
そこで大勢の人がイエスを信じた。"
"431101","
さて、ラザロというひとりの病人があった。。マリヤとその姉妹マルタとの村、
ベタニヤの人である。"
"431102","
このマリヤは主に香油を塗り、髪の毛で御足をふいた女であるが、病気であっ
たラザロはその兄弟であった。"
"431103","
マリヤとマルタとはイエスに使をやって、「主よ、大変です。あなたの可愛がっ
ておられる人が病気です」と言わせた。"
"431104","
イエスは聞いて言われた、「これは死ぬための病気ではない。神の栄光のためで
ある。すなわち(神の栄光をあらわすために、)神の子(わたし)がこれによって栄光を
受けるためである。」"
"431105","
イエスはマルタとその姉妹ラザロとを愛しておられた。"
"431106","
ところでイエスはラザロが病気と聞かれると、おられたところに(なお)二日
留っていて、"
"431107","
そのあとで弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。"
"431108","
弟子たちが言う、「先生、ついこの間もユダヤ人があなたを石で打ち殺そうとし
たのに、またそこに行かれるのですか。」"
"431109","
イエスが答えられた、「(心配するな。わたしが神に命ぜられた務を果す時まで
は、だれもわたしに手を下すことはできない。)昼間は十二時間あるではないか。人は昼
間歩けば、つまづくことはない。この世の光(太陽)が照らしているからだ。"
"431110","
しかし夜歩けば、つまづく。その人の中に(心を照らす)光がないからである。
"
"431111","
こう話して、またそのあとで言われる、「わたし達の友人ラザロが眠った。目を
さましに行ってやろう。」"
"431112","
弟子たちが言った、「主よ、眠ったなら(きっと)助かりましょう。(眠る病人
はなおると言います。起さない方がよいでしょう。)」"
"431113","
イエスはラザロが死んだことを言われたのに、弟子たちは安眠していることを
言われるものと思ったのである。"
"431114","
そこでイエスが今度ははっきり言われた、「ラザロは死んだのだ。"
"431115","
わたしがそこにいなかったことを、あなた達のために喜ぶ。あなた達の信仰を
強めることができるからだ。さあ、ラザロの所に行こう。」"
"431116","
するとトマスすなわち(ギリシヤ語で)デドモ(二子)が相弟子たちに言った、
「(主の命があぶない。)わたし達も行って、主と一しょに死のう。」"
"431117","
さてイエスが(ベタニヤに)行って見られると、ラザロはもう四日も墓の中に
あった。"
"431118","
ベタニヤはエルサレムの近くで、十五スタデオ(三キロ)ばかり離れていた。"
"431119","
マルタとマリヤの所には、大勢のユダヤ人がラザロの悔やみに来ていた。"
"431120","
マルタは、イエスが来られると聞くと出迎えにいったが、マリヤは家に坐って
いた。"
"431121","
マルタがイエスに言った、「主よ、あなたがここにいてくださったら、わたしの
兄弟は死ななかったでしょうに。"
"431122","
しかしあなたがお願いになることなら、神様は何でもかなえてくださることを、
わたしは今でも知っています。」"
"431123","
イエスは言われる、「あなたの兄弟は生き返る。」"
"431124","
マルタが言う、「最後の日の復活の時に生き返ることは、知っています。」"
"431125","
イエスがマルタに言われた、「わたしが復活だ、命だ。(だから)私を信じてい
る者は、死んでも生きている。"
"431126","
また、だれでも生きている私を信じている者は、永遠に死なない。このことが
信じられるか。」"
"431127","
イエスに言う、「はい、主よ、(信じます。)あなたが救世主で、神の子で、世に
来るべき方であると、私は信じています。」"
"431128","
こう言ったのち、マルタは行って姉妹のマリヤを呼び、「先生が来て、あなたを
呼んでおられる」とささやいた。"
"431129","
これを聞くとマリヤは、急いで立ち上がってイエスの所に行った。"
"431130","
イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えたさっきの場所におられた。"
"431131","
マリヤと一しょに家にいて慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急に立って出
て行くのを見ると、墓に泣きに行くものと思って、あとについて行った。"
"431132","
マリヤはイエスのおられる所に来ると、イエスを見るなり、足もとにひれ伏し
て言った、「主よ、あなたがここにいてくださったら、わたしの・・わたしの兄弟は死な
なかったでしょうに。」"
"431133","
イエスはマリヤが泣き、一しょに来たユダヤ人たちも泣くのを見ると、(その不
信仰を)心に憤り、かつ興奮して、"
"431134","
(マルタとマリヤに)言われた、「どこにラザロを納めたか。」二人が言う、「主
よ、来て、御覧ください。」"
"431135","
イエスが涙を流された。"
"431136","
するとユダヤ人たちが言った、「まあ、なんとラザロを可愛がっておられること
だろう!」"
"431137","
しかし中には、「盲人の目をあけたこの人にも、このラザロが死なないように出
来なかったのか」と言う者もあった。"
"431138","
そこでイエスはまたも心に憤りながら、(ラザロの)墓に来られる。墓は洞穴で、
入口に石を置いて(ふさいで)あった。"
"431139","
「石をのけなさい」とイエスが言われる。死んだ人の姉妹のマルタが言う、
「主よ、もう臭くなっています。四日目ですから。」"
"431140","
イエスがマルタに言われる、「信ずれば神の栄光が見られると、(さきほども)
あなたに言ったではないか。」"
"431141","
人々が石をのけた。するとイエスは目を天に向けて言われた、「お父様、(まだ
お願いしないのに、もう)わたしの願いを聞いてくださったことを感謝します。"
"431142","
(願わずとも)あなたはいつもわたしの願いを聞いてくださることを、わたし
はよく知っております。しかしまわりに立っている人たちのために、(今わざと声を出し
て感謝を)申したのであります。(わたしの願いはなんでもきかれることを彼らに示し
て、)あなたがわたしを遣わされたことを信じさせるためであります。」"
"431143","
こう言ったのち、大声で、「ラザロ、出て来い」と叫ばれた。"
"431144","
死人が手足を包帯で巻かれたまま、(墓から)出てきた。顔は手拭で包まれてい
た。イエスは「解いてやって(家に)帰らせなさい」と人々に言われた。"
"431145","
すると、マリヤの所に来てイエスのされたことを見たユダヤ人のうち、多くの
者は彼を信じた。"
"431146","
しかし中には(彼を信ぜず、)パリサイ人の所に行って、イエスのされたことを
あれこれと報告した者もすこしあった。"
"431147","
そこで大祭司連とパリサイ人は最高法院を召集して言った、「どうすればよいだ
ろう、あの男はたくさん徴[奇蹟]をしているのだが。"
"431148","
もしこのまま放っておけば、皆があれを信じ(て王に祭り上げ)るであろう。
すると騒動が起り、ローマ人が来て、われわれから(エルサレムの)都も国民も、取って
しまうにちがいない。」"
"431149","
するとそのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが言った、「諸君は
何もお解りにならない。"
"431150","
また、一人の人が民(全体)に代って死んで全国民が滅びない方が、諸君にと
って得であることも考えておられない。」"
"431151","
しかしこれは、カヤパが自分から言ったのではない。その年の大祭司であった
彼は、イエスが国民のために死なねばならぬことを、(自分ではそれと気付かずに、神の
預言者として)預言したのである。"
"431152","
──ただ、(ユダヤ)国民のためだけでなく、(世界中に)散らばっている(今
はまだ異教人である)神の子たちを、一つに集めるために。"
"431153","
そこで彼らはその日以来、イエスを殺す決意をしていた。"
"431154","
それでイエスは、もはや公然とユダヤ人の中を歩きまわることをせず、そこを
去って荒野に近い地方のエフライムという町に行き、弟子たちと一しょにそこにおられた。
"
"431155","
ユダヤ人の過越の祭が近づいた。多くの人が(律法に従って)身を清めるため、
過越の祭の前(すこし早目)に、地方からエルサレムに上ってきた。"
"431156","
彼らはイエスをさがし、(いつものように宮に姿が見えないので、)宮(の庭)
に立って語り合った、「どう思うか、あの人はとてもこの祭には来ないだろう。」"
"431157","
大祭司連とパリサイ人たちは、イエスの居所を知っている者は届け出るように
と、命令を出していた。イエスを捕えるためであった。"
"431201","
イエスは過越の祭の六日前に(また)ベタニヤに行かれた。ここにはイエスが
死人の中から生きかえらせたラザロがいた。"
"431202","
するとそこでイエスのために宴会が催され、マルタは給仕をし、ラザロは相伴
客の一人であった。"
"431203","
そのときマリヤは混ぜ物のない、非常に高価なナルドの香油一リトラ(三百二
十八グラム)をイエスの足に塗り、髪の毛でそれをふいた。香油の薫が家に満ちた。"
"431204","
弟子の一人で、イエスを売るイスカリオテのユダが言う、"
"431205","
「なぜこの香油を三百デナリ(十五万円)に売って、貧乏な人に施さないのだ
ろうか。」"
"431206","
ユダがこう言ったのは、貧乏な人のためを考えたのではなく、(会計係であっ
た)彼は泥坊で、あずかっている金箱の中に入るものをごまかしていたからであった。"
"431207","
イエスは言われた、「構わずに、わたしの埋葬の日のためにそうさせておきなさ
い。"
"431208","
貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるが、わたしはいつも一しょにいるわ
けではないのだから。」"
"431209","
するとイエスがそこに来ておられることを知って、大勢のユダヤ人があつまっ
て来た。それはイエスのためばかりでなく、イエスが死人の中から生きかえらせたラザロ
をも見ようとしたのであった。"
"431210","
そこで大祭司連はラザロをも殺す決意をした。"
"431211","
彼のことで多くのユダヤ人がだんだん離れていって、イエスを信じたからであ
る。"
"431212","
あくる日、祭に来ていた大勢の群衆は、イエスがエルサレムに来られると聞く
と、"
"431213","
(手に手に)棗椰子の枝を持って、(町から)迎えに出てきた。彼らは叫んだ。
──〃ホサナ!、主の御名にて来られる方に祝福あれ、〃イスラエルの王に!、"
"431214","
イエスは小さな驢馬を見つけて、それに乗られた。(預言書に)書いてあるとお
りである。──"
"431215","
〃恐れるな、〃〃シオンの娘よ、見よ、あなたの王が来られる、驢馬の子に乗
って。〃"
"431216","
弟子たちは初めこのことがわからなかったが、イエスが(復活して)栄光を受
けられた時にはじめてこれはイエスのことを書いたもので、人々がこれを(預言どおり)
彼にしたのであることに気づいた。"
"431217","
また、イエスがラザロを墓から呼び出して死人の中から生きかえらせた時に居
合わせた人々は、そのことを証しした。"
"431218","
(今)群衆が出迎えたのは、イエスがこんな徴[奇蹟]をされたことを(その
人たちに)聞いたからである。"
"431219","
そこでパリサイ人が互に言った、「見ろ、何もかもだめだ。世界中があんなに、
あの男のあとについて行ってしまった。」"
"431220","
この祭にお参りするため上ってきた人たちの中に、数人の(改宗した)異教人
があった。"
"431221","
ガリラヤのベッサイダの人ピリポの所に来て、こう言って頼んだ、「君、イエス
にお会いしたいのですが。」"
"431222","
ピリポは行ってアンデレに話し、アンデレはピリポと行ってイエスに話した。"
"431223","
するとイエスは(非常に感動して)二人に答えられる、「人の子(わたし)が栄
光を受ける時がついに来た。"
"431224","
アーメン、アーメン、わたしは言う、一粒の麦は、地に落ちて死なねば、いつ
までもただの一粒である。しかし死ねば、多くの実を結ぶ。(だからわたしは命をすてる。)
"
"431225","(この世の)命をかわいがる者は(永遠の)命を失い、この世で命を憎む者
は、命を守って永遠の命にはいるであろう。"
"431226","
わたしに仕えようとする者は、わたしに従い(わたしと同じ道を歩き)なさい。
そうすれば、わたしに仕える者もわたしがおる所におることができる。父上はわたしに仕
える者に、(そんな)栄誉をくださるのである。]"
"431227","
今、わたしは胸がどきどきしてならない。ああ、なんと言っ(て祈っ)たらよ
いだろう。『お父様、この(試みの)時からわたしを救ってください』(と祈ろうか。)い
やいや、わたしはこのため、この時のために(この世に)来たのだ。"
"431228","
『お父様、(どうかわたしを御心のままになさって、)あなたの御名の栄光をあ
らわしてください!』」すると天から声がひびいた、「わたしは(あなたの業で)すでに(わ
たしの)栄光をあらわした。(今)また(あなたの苦しみによって)栄光をあらわすであ
ろう。」"

"431229","そこに立っていてこれを聞いた群衆は、雷が鳴ったと言った。「天使がイエスと
話した」と言う者もあった。"
"431230","
イエスは答えて言われた、「あの声がきこえてきたのは、わたしのためではない。
あなた達のため(あなた達の信仰を強くするため)である。"
"431231","
今こそ、この世の裁きがおこなわれる。今こそ、この世の支配者([悪魔])が
(この世から)放り出される。(今わたしが天に挙げられるからである。)"
"431232","
(しかし)わたしは地から挙げられた時、みんなをわたしの所に引き寄せるで
あろう。」"
"431233","
このように(「挙げられる」と)言われたのは、自分がどんな死に方で死なねば
ならぬかを、(すなわち十字架による死を)暗示されたのである。"
"431234","
すると群衆が答えた、「われわれは律法[聖書]で、救世主は〃永遠に〃(地上
に)生きながらえると聞いていたのに、あなたはどういう訳で、人の子は(死んで天に)
挙げられねばならぬと言われるのですか。その人のことはいったいだれのことです。」"
"431235","
するとイエスは(それには答えず、)彼らに言われた、「もうしばらくの間、光
はあなた達のところにある。光のある間に(早く)歩いて、暗闇に追い付かれないように
せよ。暗闇を歩く者は、自分がどこへ行くのか知らない。"
"431236","
光のある間に光を信じて、光の子になりなさい。」、こう話すと、イエスは(そ
こを)立ち去って、彼らから姿をお隠しになった。(イエスの伝道はこれで終ったのであ
る。)"
"431237","
(以上のように、)イエスはこんなに多くの徴[奇蹟]を人の見ている前で行わ
れたが、人々は彼を信じなかった。"
"431238","
預言者イザヤの言葉が成就するためであった。──〃主よ、だれがわたし達に
聞いたことを信じましたか。だれが主の御腕(の偉大な力)を認めましたか。〃"
"431239","
(そして)人々が信じ得なかったのは、イザヤがさらにこう言っているからで
ある。──"
"431240","
〃主は彼らの目を見えなくし、その心を頑なにされた。これは彼らが目で見、
心で解り、心を入れかえて、わたし(主キリスト)に直されないようにするためである。
"
"431241","
イザヤがこう言ったのは、(ウジヤ王の死んだ年に)彼[主キリスト]の栄光を
見たからである。すなわちイザヤはキリストのことを言ったのである。"
"431242","
とは言え、(最高法院の)役人たちのうちにも、彼を信じた者が多かった。ただ
パリサイ人をはばかって、(公然)それを告白しなかった。礼拝堂追放にされるのをおそ
れたのである。"
"431243","
彼らは神からの名誉よりも、人間からの名誉の方を愛したのである。"
"431244","
(つまり)イエスはこう言って叫ばれた、「わたしを信ずる者は、わたしを信ず
るのではない、わたしを遣わされた方を信ずるのである。"
"431245","
また、わたしを見る者は、わたしを遣わされた方を見るのである。"
"431246","
わたしが光として世に来たのは、わたしを信ずる者はだれも、暗闇の中に留っ
ていないようにするためである。"
"431247","
しかしわたしの言葉を聞いて守らぬものがあっても、わたしはその人を罰しな
い。なぜなら、わたしは世を罰するために来たのでなく、世を救うために来たのだから。"
"431248","
(だが、)わたしを排斥し、わたしの言葉を受け入れない者を罰する者が(ほか
に)ある。わたしが話した言葉、それが最後の日にその人を罰するのである。"
"431249","
わたしは自分勝手に話したのではない。わたしを遣わされた父上が、何を言い、
何を話すべきかを命じられたのである。"
"431250","
わたしは父上のこの命令が永遠の命であることを知っている。だからわたしが
話していることは、父上の言われたことと寸分ちがわないのである。」"
"431301","
過越の祭の前、イエスはこの世から父上の所に移ってゆく時が(ついに)来た
ことを知って、この世で愛された弟子たちを、最後の瞬間まで愛しぬかれた。──"
"431302","
(祭の前日の)夕食のとき、すでに悪魔はシモンの子イスカリオテのユダの心
に、イエスを売ろうとする考えを吹き込んだ。"
"431303","
イエスは、父上が一切のものを自分の手におまかせになっていること、また自
分が神のところから出てきて、(今また)神に帰ってゆく(身の上である)ことを知りな
がら、"
"431304","
夕食の席から立って、上着をぬぎ、手拭を取って腰に巻かれた。"
"431305","
それから盥に水を入れて、ひとりびとり弟子たちの足を洗っては、(腰に)巻い
た手拭で拭き始められた。"
"431306","
こうしてシモン・ペテロの所まで来られると、ペテロが(こばんで)言う、「主
よ、わたしの足を、あなたが洗われるのですか。」"
"431307","
イエスが答えて言われた、「わたしが何をしているのか、いまはあなたにわから
ない。(わたしがいなくなった)あとでさとるだろう。」"
"431308","
ペテロが言う、「わたしの足は、いつまでも絶対に洗わないでください。」イエ
スは答えられた、「わたしが(足を)洗ってやらないなら、あなたはわたしとなんの関係
もない人だ。」"
"431309","
シモン・ペテロがうろたえて言う、「主よ、(それでは、)足だけでなく、手も、
頭も、。」"
"431310","
イエスが言われる、「(一度)湯浴みした者は、(あとでよごれた)足のほかは洗
う必要はない、全身が清いのだから。(もう)あなた達は清い。だが、(あなた達)みんな
がそうではない。」"
"431311","
イエスは自分を売る者(がだれであるか)を知っておられた。それで、「みんな
が清いのではない」と言われたのである。"
"431312","
さて、みんなの足を洗い終ると、上着を着てふたたび席について、言われた、「い
まわたしは何をあなた達にしたか、(そのわけ)がわかるか。"
"431313","
あなた達はわたしを『先生』とか『主』とか呼んでいるが、そう言うのは正し
い。その通りだから。"
"431314","
してみると、主であり先生であるこのわたしが足を洗ってやったのだから、あ
なた達も互に足を洗う義務がある。"
"431315","
わたしがしてやったとおりあなた達もするようにと、手本を示したのである。"
"431316","
アーメン、アーメン、わたしは言う、僕はその主人よりもえらくはならない。
また使は本人よりもえらくはない。(だからわたしを真似るがよい。)"
"431317","
このことがわかったなら、そのとおりにすれば、幸いである。"
"431318","
(幸いであると言っても、)あなた達みんながそうだと言うのではない。どんな
人を(弟子に)選んだか、わたしは(始めから)知っている。(中には不心得な者もある
ようだ。)しかしそれは、〃(いつも一しょに)わたしのパンを食べる(親しい)者が、
踵をあげてわたしを蹴飛ばした〃という聖書の言葉が成就するためである。"
"431319","
事のおこらない先に、いまから言っておく。事がおこった時に、わたしがそれ
(救世主)であることをあなた達が信ずるためである。"
"431320","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしが遣わす者を受けいれる者は、わ
たしを受けいれるのであり、わたしを受けいれる者は、わたしを遣わされた方を受けいれ
るのである。」"
"431321","
こう言ったあと、イエスはひどく興奮して、(弟子たちに)はっきりこう言われ
た、「アーメン、アーメン、わたしは言う、あなた達のうちの一人が、わたしを(敵に)
売ろうとしている!」"
"431322","
弟子たちはだれのことを言われるのか見当がつかず、顔を見合わせていた。"
"431323","
一人の弟子がイエスの胸に寄り添って席についていた。イエスはこの弟子を(特
別に)愛しておられた。"
"431324","
シモン・ペテロがその弟子に首で合図をして(ささやいて)言う、「だれのこと
を言っておられるのか、おしえてくれ。」"
"431325","
それでその弟子は(うしろの)イエスの胸にもたれかかって、たずねる、「主よ、
だれですか。」"
"431326","
イエスが(彼に)答えられる、「わたしが一きれのパンをひたして渡すその人が、
それだ。」それからパンを(汁に)ひたし、イスカリオテのシモンの子ユダに渡される。"
"431327","
ユダがそのパンを受け取(って食べ)ると、その時、悪魔がユダに入った。そ
こでイエスがユダに言われる、「しようとしていることをさっさとしたがよかろう。」"
"431328","
しかしなんのためにこう言われたのか、食卓につく者のだれにもわからなかっ
た。"
"431329","
中には、ユダは金箱をあずかっているので、イエスは「祭に必要な物を買って
おけ」とか、貧乏な人たちに何かやるように、とか言われるのだと思った者があった。"
"431330","
ユダはパンを食べると、すぐ出て行った。夜であった。──(そとは丸い月が
かがやいていたが、ユダの心は真暗であった。)"
"431331","
ユダが出てゆくと、イエスは(顔をかがやかせながら、別れの言葉を弟子たち
に)言われる、「今、人の子は(神に命じられた仕事を成しとげて、神から)栄光を与え
られた。神も人の子(が仕事を成しとげたこと)によって、栄光をお受けになった。"
"431332","
彼によって栄光をお受けになった以上は、神も(彼を天に挙げることによって、)
彼に御自分の栄光を与えられるであろう。いますぐにも栄光を与えられるであろう。"
"431333","
子供たちよ、わたしはもう少しのあいだあなた達と一しょにいる。(いなくなっ
たあとで)あなた達はわたしをさがすが、(前に)ユダヤ人に、『わたしが行く所に、あな
た達は来ることが出来ない』と言ったのと同じことを、いまあなた達にも言う。"
"431334","
(別れにのぞんで)新しい掟を与える、──互に愛せよ。わたしがあなた達を
愛したのだから、そのようにあなた達も互に愛せよ。"
"431335","
互に愛を持つならば、皆がそれによって、あなた達がわたしの弟子であること
を知るであろう。」"
"431336","
シモン・ペテロが言う、「主よ、どこへ行かれますか。」イエスは答えられた、「あ
なたは今わたしの行く所について来ることは出来ないが、あとでついて来る。(いやでも、
ついて来ねばならない時が来る。)」"
"431337","
ペテロが言う、「主よ、なぜいますぐついて行くことが出来ないのですか。あな
たのためなら、命でも捨てます。」"
"431338","
イエスが答えられる、「わたしのためなら、命でも捨てると言うのか。アーメン、
アーメン、わたしは言う、あなたが三度わたしを知らないと言うまで、鶏は決して鳴かな
いであろう。"
"431401","
(あなた達の来られない所にわたしが行くからとて、)心を騒がせるな。神を信
ぜよ、またわたしを信ぜよ。"
"431402","
父上のお家には、沢山住居がある。(あなた達は一人のこらず、そこに住むこと
が出来る。)もしそうでなかったら、『あなた達のために場所の準備に行く』と言うわけが
ないではないか。"
"431403","
(間もなく出かけるが、)行って場所の準備ができたら、もどって来て、あなた
達をわたしの所に連れてゆく。わたしのおる所にあなた達もおるためである。"
"431404","
(今)あなた達はわたしがどこへ行くか、その道がわかったはずだ。」"
"431405","
トマスが言う、「主よ、どこへ行かれるのか、わたし達にはわかりません。どう
すればその道がわかるでしょうか。」"
"431406","
イエスは言われる、「わたしが道である。また真理であり、命である。(手段で
あると同時に目的であるから。)わたしを通らずには、だれも父上の所に行くことはでき
ない。"
"431407","
しかしあなた達はわたしがわかったのだから、わたしの父上もわかるにちがい
ない。いや、いますでに父上がわかっており、また父上を見たのである。」"
"431408","
ピリポが言う、「主よ、どうかわたし達に父上を見せてください。それでたくさ
んです。」"
"431409","
イエスは言われる、「ピリポ、こんなに長い間一しょにいるのに、あなたはまだ
わたしがわからなかったのか。(父上とわたしとは一つである。)わたしを見た者は父上を
見たのだ。どうして『父上を見せてください』と言うのか。"
"431410","
わたしが父上の中に、父上がわたしの中におられることを、あなたは信じない
のか。わたしがあなた達に言う言葉は、自分で勝手に話すのではない。(またわたしがす
る業は、)いつもわたしの中におられる父上が御業をされるのである。"
"431411","
(だから)あなた達は、わたしが父上の中に、父上がわたしの中におられるこ
とを信ぜよ。しかしもしそれができないなら、(わたしがする)業そのものによって信ぜ
よ。"
"431412","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしを信ずる者は、わたしがするのと
同じ業をすることができる。いや、それよりももっと大きな業をすることができる。わた
しが父上の所に行って、"
"431413","
あなた達がわたしの名で願えば、なんでもかなえてあげるからだ。これは父上
が子によって栄光をお受けになるためである。"
"431414","
(繰返して言う、)わたしの名でわたしに何か求めれば、(かならず)それをか
なえてあげる。"
"431415","
あなた達は(皆別れを悲しんでいるが、本当に)わたしを愛するなら、わたし
の掟を守り(互に愛し)なさい。"
"431416","
そうすればわたしも父上に願って、(わたしに代わる)ほかの弁護者をおくって
いただき、いつまでもあなた達と一しょにおるようにしてあげる。"
"431417","
これは真理の霊である。この世(の人)には見えもせず、わかりもしないから、
これを受けいれることが出来ない。(しかし)あなた達にはこの霊がわかる。いつもあな
た達のところをはなれず、また、あなた達の中におるのだから。"
"431418","
わたしは父上の所に行くけれども、あなた達を孤児にはしておかない。(すぐ)
かえって来る。"
"431419","
もう少しするとこの世(の人)はもはやわたしを見ることができなくなるが、
あなた達は(間もなく)わたしを見ることができる。わたしは(死んでまた)生き、(そ
れによって)あなた達も生きるからである。"
"431420","
その時あなた達は、わたしが父上の中に(おるように)、あなた達がわたしの中
に、わたしがあなた達の中におることを知るであろう。"
"431421","
わたしの掟をたもち、これを守る者、それがわたしを愛する者である。わたし
を愛する者はわたしの父上に愛され、わたしもその人を愛して、その人に自分を現わすで
あろう。(だからわたしを愛する者だけが、わたしを見ることができるのだ。)」"
"431422","
イスカリオテでない方のユダが言う、「主よ、いったいどういうわけで、わたし
達だけに御自分を現わし、この世(の人)にはそうしようとされないのですか。」"
"431423","
イエスは答えられた、「わたしを愛する者は、わたしの言葉を守る。するとわた
しの父上はその人を愛され、わたし達は(父上もわたしも)、その人のところに行って、
同居するであろう。"
"431424","
(しかし)わたしを愛しない者は、わたしの言葉を守らない。(だからわたしを
見ることができない。)あなた達が(わたしから)聞く言葉はわたしの言葉ではない、わ
たしを遣わされた父上の言葉である。"
"431425","
わたしはこれだけのことを、(まだ)あなた達と一しょにおるあいだに話した。
(これ以上のことは話してもわからないからだ。)"
"431426","
(わたしが去ったあとで、)父上がわたしの名で遣わされる弁護者、すなわち聖
霊が、あなた達にすべてのことを教え、またわたしが言ったことをすべて思い出させるで
あろう。"
"431427","
(今別れにのぞんで)平安をあなた達にのこしておく。わたしの平安をあなた
達に与える。わたしが与える平安は、この世の人が『平安あれ』といのるような(言葉だ
けの)ものではない。(だから)心騒がせるな、気を落すな。"
"431428","
『わたしは離れてゆくが、すぐかえって来る』と言ったのを、あなた達は聞い
たであろう。(もし本当に)あなた達がわたしを愛しているなら、わたしが父上の所に行
くのを喜ぶはずである。父上はわたしよりもえらい(ので、行けば栄光をいただける)か
らである。"
"431429","
今事のおこらぬさきにこれを言うのは、事がおこった時、あなた達がそのこと
を信じ得るためである。"
"431430","
もはやあなた達と多く話さない。(間もなく)この世の支配者(悪魔)が来るか
らだ。あれはわたしに指一本触れることはできない。"
"431431","
だが、わたしが父上を愛し、父上の命令のとおり行うことをこの世に知らせる
ために(わたしはあれに身をまかせる。)──立て。さあ出かけよう!"
"431501","
わたしがまことの葡萄の木、父上は栽培人である。"
"431502","
わたしについている蔓で実を結ばないものは、父上が皆それを切り取ってしま
われる。また実を結ぶものは、より多く実を結ぶように、皆それを奇麗に刈り込まれる。"
"431503","
あなた達はわたしが語った言葉(を受け入れること)によって(汚れを除かれ)、
すでに奇麗になっている。"
"431504","
わたしに留っておれ。そうすればわたしもあなた達に留っている。ちょうど蔓
が葡萄の木に留っていなければ、自分で実を結ぶことが出来ないように、あなた達もわた
しに留っていなければ、実を結ぶことは出来ない。"
"431505","
わたしが葡萄の木、あなた達は蔓である。わたしに留っており、わたしもその
人に留っている人だけが、多くの実を結ぶのである。あなた達はわたしを離れては、何一
つすることは出来ないのだから。"
"431506","
人はわたしに留っていなければ、蔓のように投げ出されて枯れる。すると集め
られ、火の中に投げ込まれて焼かれる。"
"431507","
もしあなた達がわたしに留まっており、わたしの言葉があなた達に留まってお
れば、なんでもほしいものを願いなさい。かならずかなえられる。"
"431508","
あなた達が多くの実を結んで、わたしの弟子たることを示すならば、父上はこ
れによって、栄光を受けられるであろう。"
"431509","
父上がわたしを愛されたように、わたしもあなた達を愛した。わたしの愛に留
っておれ。"
"431510","
わたしの掟を守っておれば、わたしの愛に留っているであろう。わたしが父上
の命令を守って、その愛に留っているのと同じである。"
"431511","
このことを話したのは、わたしのもっている喜びが(また)あなた達のものと
なり、あなた達のその喜びが完全なものとなるためである。"
"431512","
わたしがあなた達を愛したように、互に愛せよ。──これがわたしの掟である。
"
"431513","
(わたしはあなた達のために命を捨てる。)友人のために命を捨てる以上の愛は
ないのだ。"
"431514","
あなた達はわたしの命ずることを行ってさえおれば、わたしの友人である。"
"431515","
わたしはもはやあなた達を僕と言わない。僕は(命じられたことをするだけで、)
主人が何をしようとしているか知らないのだから。わたしはあなた達を友人と言ったが、
これは父上から聞いたことを何もかも知らせたからだ。"
"431516","
(しかも)あなた達がわたしを選んだのではなく、わたしがあなた達を(使徒
に)選んで、あなた達が出かけていって(善い)実を結び、その実がいつまでものこるよ
うに、また(その必要のために)あなた達がわたしの名で父上にお願いすれば、なんでも
かなえてくださるようにしてやったのである。"
"431517","
(つまるところ、)わたしの命令はこれである、──互に愛せよ!"
"431518","
(しかしわたしに愛される時、あなた達はこの世から憎まれる。だが)もしこ
の世があなた達を憎んだら、あなた達よりも先にわたしを憎んだと思え。"
"431519","
もしあなた達がこの世のものであったら、この世は自分のもの(であるあなた
達を)愛するはずである。しかしあなた達は(もはや)この世のものではなく、わたしが
この世から選び出したのだから、この世はあなた達を憎むのである。"
"431520","
『僕はその主人よりもえらくはない』と言ったわたしの言葉を忘れないように。
人々は(わたしにしたと同じことをあなた達にするであろう。)わたしを迫害したなら、
あなた達をも迫害し、わたしの言葉を守ったなら、あなた達の言葉をも守るであろう。"
"431521","
ところが、彼らはあなた達がわたしの弟子であるために、(憎み、迫害など)す
べてこれらのことを、あなた達にするであろう。わたしを遣わされた方を知らないからで
ある。"
"431522","
もしわたしが(この世に)来て(何も)語らなかったら、(父上を知らぬことに
ついて)彼らに罪はなかったが、(すでにわたしからそれを聞いた)今は、(父上に対し)
その罪の弁解はできない。"
"431523","
わたしを憎む者は父上をも憎むのであるから。"
"431524","
もしわたしがほかのだれもしたことのない業を彼らの間でしなかったら、彼ら
に罪はなかった。しかし今彼らは(わたしの言葉と業とによって)わたしをも父上をも見
て、しかも憎んだのである。"
"431525","
しかしこれは、彼らの律法[聖書]に〃彼らはゆえなくわたしを憎んだ〃と書
いてある言葉が成就するためである。"
"431526","
(また)わたしが父上のところからあなた達に遣わす弁護者、すなわち父上の
ところから出てくる真理の霊が来る時、それがわたしのことを(すべて)証明するであろ
う。"
"431527","
またあなた達も、始めからわたしと一しょにいたのだから、わたしの証人であ
る。"
"431601","
このことを話したのは、(わたしがいなくなったあとで、)あなた達が(信仰に)
つまずかないためである。"
"431602","
彼らはあなた達を礼拝堂追放にするにちがいない。それどころか、あなた達を
殺す者が皆、神に奉仕しているかのように思う時が来るであろう。
"431603","
彼らがそんなことをするのは、父上をもわたしをも知らないからである。"
"431604","
それにもかかわらずこのことを話したのは、その(迫害の)時が来た時、わた
しがこう言ったことをあなた達に思い出させるためである。このことを始めから言わなか
ったのは、一しょにいた(ので、必要がなかった)からである。"
"431605","
しかし今、わたしを遣わされた方の所に行くのに、あなた達はだれも、『どこへ
行くのか』と尋ねない。"
"431606","
それどころか、(父上の所に行くと言った)このわたしの言葉が、あなた達の胸
を悲しみで一ぱいにしている。"
"431607","
しかし本当のことを言うが、わたしが(父上の所に)行くことは、あなた達の
ために利益である。行かねば、弁護者はあなた達の所に来ないが、行けば、わたしが彼を
遣わすからである。"
"431608","
そして彼は来ると、罪について、義について、罰について、この世に(その考
えの)誤りを認めさせるであろう。"
"431609","
すなわち、罪についてとは、人々がわたしを信じないこと(が罪であること。)
"
"431610","
義についてとは、わたしが父上の所に行って、あなた達がもはやわたしを見る
ことができなくなること(が、わたしの父上に義とされた証拠であること。)"
"431611","
また罰についてとは、この世の支配者[悪魔]が(わたしを殺したのは、わた
しが罰されたのでなく、自分が)罰されたのであること。──(この三つのことを認めさ
せるのである。)"
"431612","
まだ沢山言うことがあるが、(今は言わない。)あなた達にはいまそれを理解す
る力がない。"
"431613","
真理の霊が来る時、彼があなた達を導いていっさいの真理を悟らせるであろう。
(いっさいの真理というのは、わたしと同じく、)彼は自分勝手に話すのではなく、(父上
から)聞いたことを話すからである。また将来起るべき(世の終りの)ことをあなた達に
知らせるであろう。"
"431614","
彼は(こうして)わたしの栄光をあらわすのである。というのは、彼はわたし
のものの中から取ってあなた達に知らせる(ので、結局わたしに代って仕事をつづける)
のだから。"
"431615","
父上のものはことごとく、わたしのものである。だから(いま)、わたしのもの
の中から取ってあなた達に知らせる、と言ったのである。"
"431616","
しばらくするとあなた達はもはやわたしを見ることができない。またしばらく
するとわたしに会うことができる。」"
"431617","
するとある弟子たちは互にこう言った、「『しばらくするとあなた達はわたしを
見ることができない。またしばらくするとわたしに会うことができる』とか、『わたしは
父上の所に行く』とか言われるが、あれはいったい何事だろう。」"
"431618","
彼らはつまりこう言ったのである、「『しばらく』と言われるが、あれはいった
い何事だろう。何を思っておられるのかわからない』と。"
"431619","
イエスは自分に尋ねたがっているのを知って言われた、「『しばらくするとあな
た達はわたしを見ることができない。またしばらくするとわたしに会うことができる』と
言ったことを話し合っているのか。"
"431620","
アーメン、アーメン、わたしは言う、(わたしがいなくなると)あなた達は泣い
て悲嘆にくれるが、この世は喜ぶであろう。あなた達は悲しむが、その悲しみは(やがて)
喜びにかわるであろう。"
"431621","
女が子を産む時には、女の(宿命の)時が到来したので悲しみがあるけれども、
子が生まれると、一人の人間が世に生まれ出た喜びのために、もはや(お産の)苦しみを
覚えていない。"
"431622","
だから、(同じく)あなた達にも今は悲しみがあるが、わたしはもう一度あなた
達に会うのだから、(その時)あなた達の心は喜ぶであろう。そしてあなた達からその喜
びを奪う者はだれもない。"
"431623","
その時には、(もはや)何事もわたしに尋ねる必要はない。アーメン、アーメン、
わたしは言う、(その時)あなた達が父上に何かお願いすれば、わたしの名でそれをかな
えてくださるであろう。"
"431624","
いままであなた達は何一つわたしの名で(父上に)お願いしなかった。(わたし
がまだ父上の所に行かなかったからである。しかし今は)お願いせよ、そうすれば戴ける。
あなた達の喜びが完全なものとなるためである。"
"431625","
以上わたしは(天のことを地上の事柄になぞらえて)謎のように話したが、(間
もなく)もはや謎のように話さず、そのものずばりに父上のことを知らせる時が来る。"
"431626","
その時あなた達は、(前に言ったように)わたしの名で(父上に)お願いするの
である。しかし(わたしの名で、と言っても、)それはわたしがあなた達のために父上に
願ってあげると言うのではない。(その必要はない。)"
"431627","
なぜなら、あなた達がわたしを愛し、またわたしが神のところから出てきたこ
とを信じたので、父上御自身で(直接)あなた達を愛しておられるからである。"
"431628","
(くりかえして言う、)わたしは父上のところから出てこの世に来たが、またこ
の世を去って父上の所にかえるのである。」"
"431629","
弟子たちは(イエスの言葉の意味を取りちがえて)言う、「まあ、今あなたははっき
りお話になって、ちっとも謎を言われません。"
"431630","
あなたはなんでも御承知で、だれもお尋ねする必要がない(ほど人の心を見抜
かれる)ことが、今わかりました。これでわたし達は、あなたが神のところから出てこら
れたことを信じます。」"
"431631","
イエスは(いとおしげに彼らを見やりながら)答えられた、「いま信ずるという
のか。"
"431632","
見ていなさい、みなちりぢりになって自分の家にかえり、わたしを独りぼっち
にする時が来るから、いや、もう来ている。しかしわたしは独りぼっちではない、父上が
いつも一しょにいてくださるのだから。"
"431633","
これらのことを話したのは、あなた達がわたしに(しっかり)結びついていて、
平安を保つことができるためである。この世ではあなた達に苦しみがある。しかし安心し
ていなさい。わたしがすでに世に勝っている。」"
"431701","
イエスはこれらのことを話されると、目を天に向けて(祈って)言われた、「お
父様、いよいよ時が来ました。子があなたの栄光をあらわすために、どうか(子を十字架
につけて、)子に栄光を与えてください。"
"431702","
あなたは、子に下さいました者に一人のこらず永遠の命を与えさせるため、全
人類を支配する全権を子に与えられたのですから。"
"431703","
永遠の命とは、ただひとりのまことの神なるあなたと、あなたが遣わされた(子)
イエス・キリストとを知ることであります。"
"431704","
わたしは、わたしにさせようとして賜わりました仕事を成しとげて、地上にあ
なたの栄光をあらわしました。"
"431705","
だからお父様、(今度は)あなたが、わたしの栄光を──世界が出来る前にあな
たのところで持っていたあの栄光を──今、あなたのところで持たせてください。"
"431706","
わたしは、あなたがこの世から(選び出して)わたしに下さったこの人たち((弟
子たち))に、あなたの名を──(あなたについての一切のことを)──知らせてやりま
した。彼らはもとあなたのものであったのに、わたしに下さったのです。彼らは(わたし
が教えた)あなたの言葉を守りました。"
"431707","
今彼らは、あなたがわたしに下さったものは、(言葉も業も)何もかも皆、(人
間からでなく)あなたから来たことを知りました。"
"431708","
すなわち、わたしは賜わりました言葉を(そのまま)彼らに伝え、彼らはそれ
を受けいれて、わたしがあなたのところから出てきたことを本当に知り、あなたがわたし
を遣わされたことを信じたのであります。"
"431709","
わたしがお願いするのは、この人たちのためであります。この世の(一般の人々
の)ためでなく、わたしに下さった人たちのために、お願いするのです。というのは、(第
一には、)あの人たちはあなたのもの、"
"431710","
──わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものは(皆)わたしのもであり
ます。──また、わたしは彼らによって(あなたの子と信じられ)栄光を受けたからであ
ります。"
"431711","
また第二には、わたしはもうこの世にいなくなります。彼らはこの世にのこっ
ており、わたしはあなたの所に行ってしまいます。(だから)聖なるお父様、どうか(彼
らに知らせるため)わたしに下さいましたあなたの名で、(あとにのこっている)彼らを
お守りください。わたし達(あなたとわたし)のように、彼らが一つとなるためでありま
す。"
"431712","
わたしが一しょにいた間は、わたしに下さいましたあなたの名で彼らを守り、
また保護していました。だから彼らのうちだれ一人滅びた者はありません。ただ聖書が成
就するために、あの滅びの子(ユダ)が滅びただけです。"
"431713","
しかしわたしは今あなたの所に行きます。(だから彼らのことをお願いしま
す。)そして(まだ)この世にいる間にこれを申し上げるのは、(彼らがこの祈りをきいて、
自分たちがあなたに守られていることを信じ、)わたしのもっている喜びを、彼らも自分
で完全にもつことが出来るためであります。"
"431714","
第三には、わたしは彼らにあなたの言葉を伝えました。(彼らはそれを受け入れ
ました。)するとこの世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼ら
も(もはや)この世のものでないからであります。(だから彼らのことをお願いします。)"
"431715","
(しかし)わたしの願いは、彼らを(早く)この世から(安全な所に)移して
いただくことでなく──(彼らには果たすべき務めがあります)──悪い者(悪魔)から
守っていただくことです。"
"431716","
わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。"
"431717","
どうか彼らを(その務めのために)真理で聖別してください。──あなたの言
葉が真理であります。"
"431718","
あなたがわたしをこの世に遣わされたように、わたしも彼らをこの世に遣わし
ました。"
"431719","
わたしは彼らのために自分を(清い供え物として)ささげます。彼らも本当に
聖別されるため、(そしてあなたの御用に立つ者となるため)であります。"
"431720","
しかし(すでに信じている)この人たち(弟子たち)のためだけでなく、(これ
からさき)その言葉によって、わたしを信ずる人たちのためにもお願いします。"
"431721","
──どうか、みんなの者が一つとなりますように。どうか、お父様、あなたが
わたしにおられ、わたしがあなたにおると同じく、彼らもみなわたし達[あなたとわたし]
におりますように。これはあなたがわたしを遣わされたことを、この世に信じさせるため
であります。"

"431722","またわたしは、あなたがわたしに下さいました栄光(──この世にあなたの栄
光を現わす力──)を、彼らに与えました。わたし達が一つであるように、彼らも一つと
なるため、"
"431723","
すなわち、わたしが彼らにおり、あなたがわたしにおられて、彼らが完全に一
つとなるためであります。また(それによって、)あなたがわたしを(この世に)遣わさ
れたこと、すなわちあなたはわたしを愛されたように彼らを愛されたことを、世の人に知
らせるためであります。"
"431724","
お父様、あなたがわたしに下さいました者もわたしがおる所に一しょにいて、
わたしの栄光を見るようにしてやりたいのです。あなたは世の始まる前に(すでに)わた
しを愛して、この栄光をわたしに下さいました。"
"431725","
正しいお父様、この世はあなたを知りませんでした。しかし、わたしはあなた
を知っており、(ここにいる)この人たち(弟子たち)も、あなたがわたしを遣わされた
ことを知りました。"
"431726","
わたしはこの人たちにあなたの名を知らせました。また(これから先も)知ら
せます。これは、わたしを愛してくださったと同じ愛が彼らにおり、わたしも彼らにおる
ためであります。(こうしてあなたと、わたしと、彼らとが、愛によって一つとなりたい
のであります。)」"
"431801","
こう言ったあとイエスは、弟子たちと供に(都から)ケデロンの谷の向こうに
出てゆき、そこにある園に入られた。弟子たちも一しょであった。"
"431802","
イエスはそこでたびたび弟子たちと集まられたので、イエスを売るユダもこの
場所を知っていた。"
"431803","
ユダは一部隊の兵と、大祭司連およびパリサイ人すなわち最高法院から派遣さ
れた下役らとを引き連れ、ランタンや松明や武器を持って、そこに来た。"
"431804","
イエスはその身に起ろうとしていることを何もかも知っておられたので、園か
ら出てきて彼らに言われる、「だれをさがしているのか。」"
"431805","
「ナザレ人イエスを」と答えた。彼らに言われる、「それはわたしだ。」イエス
を売るユダも彼らと一しょに立っていた。"
"431806","
彼らはイエスが「それはわたしだ」と言われた時、後ずさりして地に倒れた。"
"431807","
そこで「だれをさがしているのか」とかさねてお尋ねになると、「ナザレ人イエ
スを」と言った。"
"431808","
イエスが答えられた、「『それはわたしだ』と言ったではないか。だから、もし
わたしをさがしているのなら、この人たちに手をつけるな。」"
"431809","
これは(神)がわたしに下さった者のうち、だれ一人滅ぼしませんでした」と、
イエスの言われた言葉が成就するためであった。"
"431810","
するとシモン・ペテロは、持っていた剣を抜いて大祭司の下男に切りつけ、右
の耳を切り落としてしまった。下男の名はマルコスといった。"
"431811","
イエスはペテロに言われた、「剣を鞘におさめよ。父上が下さった杯、それを飲
みほさないでよかろうか!」"
"431812","
そこで一部隊の兵と千卒長とユダヤ人の(最高法院の)下役らとは、イエスを
つかまえて縛り、"
"431813","
まずアンナスの所に引いていった。アンナスはその年の大祭司であったカヤパ
の舅だったからである。"
"431814","
(さきに、)「一人の人が民(全体)に代わって死ぬ方が得である」とユダヤ人
に入れ知恵したのは、このカヤパであった。"
"431815","
さてシモン・ペテロともう一人の弟子とが、イエスについて行った。この弟子
は大祭司(アンナス)と知合いだったので、イエスと一しょに大祭司の(官邸の)中庭に
入っていったが、"
"431816","
ペテロは門の外に立っていた。大祭司と知合いの(さきの)もう一人の弟子が
出てきて、門番の女に話して、ペテロをつれて入った。"
"431817","
するとこの門番の女中がペテロに言う、「まさかあなたも(イエスとかいう)あ
の人の弟子ではあるまいね。」「もちろん」と彼が言う。"
"431818","
寒かったので、下男や下役らが炭火をおこして、たってあたっていた。ペテロ
も一しょに立ってあたっていた。"
"431819","
大祭司(アンナス)はイエスに、その弟子のことや、その教義のことを尋ねた。
"
"431820","
イエスは答えられた、「わたしは世間にむかって公然と話した。わたしはいつも、
ユダヤ人が皆集まる礼拝堂や宮で教えて、何一つ隠れて話したことはない。"
"431821","
(今ごろ)わたしに何を尋ねるのか。何をわたしが話したかは、聞いた人たち
に尋ねたがよかろう。そら、この人たちはわたしの言ったことを知っているはずだ。」"
"431822","
こう言われたとき、(大祭司の)そばに立っていた下役の一人が、「大祭司殿に
むかって何という口のきき方だ」と言いながら、イエスに平手打をくらわせた。"
"431823","
イエスが答えられた、「もしわたしが(大祭司に対して)無礼なことを言ったの
なら、その無礼を証明せよ。しかし間違っていないなら、なぜ打つか。」"
"431824","
そこで、アンナスはイエスを縛ったまま、大祭司カヤパの所に送った。"
"431825","
シモン・ペテロは(そこに)立って火に当っていた。すると人々は言った、「あ
なたもあれの弟子ではあるまいね。」「もちろん」と言ってペテロが打ち消した。"
"431826","
大祭司の下男で、ペテロに耳を切り落された人の親族の者が言う、「たしかにわ
たしは、あなたがあの人と一しょに園にいるのを見たようだが。」"
"431827","
ペテロはまた打ち消した。するとすぐ鶏が鳴いた。"
"431828","
人々はイエスをカヤパのところから、総督官舎に引いていった。夜明けであっ
た。しかし総督官舎には入らなかった。(異教人の家に入って身に)不浄をうけると、(そ
の晩の)過越の食事をすることができなくなるからであった。"
"431829","
そこで、(総督)ピラトが彼らの所に出ていって言う、「いかなる廉でこの男を
訴えるのか。」"
"431830","
彼らが答えて言った、「これが悪事をはたらいた男でなかったら、あなたに引き
渡しはしません。(調べてください。)」"
"431831","
ピラトが言った、「(はっきりした罪名のないところを見ると、わたしが手を下
すほどの事件ではなさそうだ。)お前たちがあれを引き取って、自分の法律で裁判するが
よい。」ユダヤ人が(とうとう本音を吐いて)言った、「われわれには人を死刑に処する権
限がありません。」"
"431832","
これはイエスが(かねて、)自分はどんな死に方で死なねばならぬかを、暗示し
て言われた言葉が成就するためであった。(ユダヤ人は十字架でなく、石打ちで、死刑を
行ったからである。)"
"431833","
そこでピラトはまた総督官舎に入り、イエスを呼びよせて言った、「お前が、ユ
ダヤ人の王か。」"
"431834","
イエスが答えられた、「あなたは自分の考えでそう言われるのか、それともだれ
かほかの人たちが、わたしのことをそうあなたに言ったのか。」"
"431835","
ピラトが答えた、「このわたしを、ユダヤ人とでも思っているのか。お前の国の
人たち、ことに(その代表者の)大祭司連が、(その廉で)お前をわたしに引き渡したの
だ。いったい何をしでかしたのか。」"
"431836","
イエスが答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国が
この世のものであったら、わたしの手下の者たちが、わたしをユダヤ人に渡すまいとして
戦ったはずである。しかし実際のところ、わたしの国はこの世のものではない。」"
"431837","
そこでピラトが言った、「では、やっぱりお前は王ではないか。」イエスが答え
られた、「王だと言われるなら、御意見にまかせる。わたしは真理について証明するため
に生まれ、またそのためにこの世に来たのである。真理から出た者はだれでも、わたしの
声に耳をかたむける。」"
"431838","
ピラトがたずねる、「真理とは何か。」、ピラトはこう言ったのち、またユダヤ人
の所に出ていって言う、「あの人にはなんらの罪も認められない。"
"431839","
しかし、過越の祭の時にわたしが囚人を一人だけ(特赦によって)赦してやる
のが、お前たちの慣例になっている。だから(この慣例によって、)あのユダヤ人の王を
赦してやろうか。」"
"431840","
彼らはまたもや「その男ではない、あのバラバを!」と叫んだ。バラバは強盗
であった。
"431901","
そこでピラトは、(何とかしてイエスを赦してやろうと思い、ユダヤ人を納得さ
せるために、)今度はイエスを鞭で打たせた。"
"431902","
また兵卒らは茨で冠を編んで頭にかぶらせ、紫の上着をきせて(王に仕立てた
のち、)"
"431903","
進み出て「ユダヤ人の王、万歳!」と言った。そしていくつも平手打ちをくら
わせた。"
"431904","
ピラトはまた外に出ていって、ユダヤ人に言う、「見よ、あの人をお前たちの前
に引き出す。あの人にはなんらの罪も認められない訳がわかろう。」"
"431905","
イエスが茨の冠をかぶり紫の上着をまとって、(しずかに)出てこられた。ピラ
トが言う、「見よ、この人だ。」"
"431906","
すると大祭司連や下役らはイエスを見て、「十字架につけろ、十字架につけろ」
と叫んだ。(イエスのみじめな滑稽な姿を見ては、さすがのユダヤ人も心をやわらげるで
あろうという、ピラトの当てははずれた。)ピラトが言う、「(もし、そうしたければ、)お
前たちがこの人を引き取って、十字架につけたらよかろう。この人には罪を認められな
い。」"
"431907","
ユダヤ人が答えた、「われわれには律法があって、その律法によると、当然死刑
です。神の子気取りでいるのだから。」"
"431908","
ピラトはこの(神の子という)言葉を聞くと、いよいよ薄気味悪くなり、"
"431909","
また総督官舎に入ってイエスにたずねる、「お前はいったいどこから来たのか。
(本当に天から来たのか。)」イエスは返事をされなかった。"
"431910","
するとピラトが言う、「このわたしに口をきかないのか。わたしはお前を赦す権
力があり、お前を十字架につける権力があることを、知らないのか。」"
"431911","
イエスは答えられた、「あなたは上[神]から授けられないかぎり、わたしに対
してなんの権力もない。だから(あなたの罪はまだ軽いが、)わたしをあなたに売った者
[ユダ]の罪は、あなたよりも重い。(あなたは官憲として神の命令を行なうだけだが、
彼は自分の発意でやったのだから。)」"
"431912","
このためにピラトは(ますます恐ろしくなり、なんとかして)彼を赦そうと思
ったが、ユダヤ人が叫んだ、「この男を赦せば、あなたは皇帝の忠臣ではない。自分を王
とする者はだれであろうと、皇帝の敵である。(それを助けるのだから。)」"
"431913","
ピラトはこの言葉を聞くと(心を決し、)イエスを引き出して、「敷石」──ヘ
ブライ語でガバタ──という所で裁判席に着いた。"
"431914","
それは過越の祭の支度日で、昼の十二時ごろであった。ピラトがイエスを指さ
しながら、ユダヤ人に言う、「見よ、お前たちの王様だ。」"
"431915","
すると彼等が、「片付けろ、片付けろ、それを十字架につけろ」と叫んだ。ピラ
トが言う、「お前たちの王様を、わたしが十字架につけてよいのか。」大祭司連が答えた、
「われわれには皇帝のほかに王はない。」"
"431916","
ここにおいてピラトは、十字架につけるためにイエスを彼らに引き渡した。さ
て彼ら[兵卒ら]はイエスを受け取り、"
"431917","
イエスは自分で十字架をかついで、いわゆる「髑髏の所」──ヘブライ語でゴ
ルゴタ──へと(都を)出てゆかれた。"
"431918","
そこで彼らはイエスを十字架につけた。またほかに二人(の囚人)が、イエス
を中にしてあちらとこちらで、一しょに十字架につけられた。"
"431919","
ピラトはまた捨札を書いて十字架の上に掲げさせた。ナザレ人イエス、ユダヤ
人の王と書いてあった。"
"431920","
多くのユダヤ人がこの捨札を読んだ。イエスが十字架につけられた場所は、都
に近かったからである。かつ捨札は、ヘブライ語、ラテン語、ギリシャ語で書いてあった
(ので、だれにでも読むことが出来た。こうしてピラトは、イエスが救世主であることを
全世界に証ししたのであった。)"
"431921","
するとユダヤ人の大祭司連がピラトに抗議して言った、「『ユダヤ人の王』と書
かず、『この者は、ユダヤ人の王と自称した』と書き直してください。」"
"431922","
ピラトが答えた、「わたしが書いたものは、わたしが書いた通り。」"
"431923","
兵卒はイエスを十字架につけると、イエスの上着を四つに分け、四人の兵卒が
めいめいその一つを取った。下着もそうしようとしたが、下着には縫い目がなく、上から
(下まで)全くの一枚織りであった。"
"431924","
それで、「これは裂くまい。だれが取るか、籤できめよう」と話し合った。これ
は、〃彼等は互いにわたしの着物を自分たちで分け、わたしの着るものに籤を引いた。〃
という聖書の言葉が成就するためであった。兵卒どもはこんなことをしたのである。"
"431925","
ところが一方、イエスの十字架のわきには、その母(マリヤ)と母の姉妹、ク
ロパの妻マリヤとマグダラのマリヤが立っていた。"
"431926","
するとイエスは母上と、そのそばに立っている自分の愛する弟子とを見て、母
上に言われる、「女の方、これがあなたの息子さんです。」"
"431927","
それからその弟子に言われる、「これがあなたのお母さんだ。」この時以来、
その弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。"
"431928","
こうしたあと、イエスは(自分のなすべきことが)何もかもすんだことを知っ
て、(最後に)聖書の言葉を成就させるために、「〃渇く〃」と言われた。"
"431929","
酸っぱい葡萄酒の一ぱい入った器がそこに置いてあった。人々はその[酸っぱ
い葡萄酒を]一ぱい含ませた海綿をヒソプの(茎の先)につけて、イエス(の口許)に差
し出した。"
"431930","
イエスは酸っぱい葡萄酒を受けると、「(すべて)すんだ」と言って、首を垂れ
て霊を(神に)渡された。"
"431931","
ところで、その日は支度日、(すなわち安息日の前の日(金曜日))であったの
で──(ことに)その安息の日は(過越の祭りの第一日で)大切な日であったから──ユ
ダヤ人は安息日に(三人の)体を十字架の上にのこしておかないために、脛を折って(体
を)取りおろしてくれとピラトに願い出た。"
"431932","
そこで兵卒らが来て、イエスと一しょに十字架につけられた第一の者と、もう
一人の者との脛を折った。"
"431933","
しかしイエスのところに来て、すでに死んでおられるのを見ると、脛を折らず
に、"
"431934","
(死をたしかめるため、)一人の兵卒が槍でその脇腹を突いた。すぐ血と水がな
がれ出た。"
"431935","
(実際)目で見た者[主の愛しておられた弟子]がこのことを証明している。
──その証明は信用すべきである。彼らは自分の言うことが真実であることを知っている。
──(これを書くのは、イエスが神の子であることを)あなた達にも信じさせるためであ
る。  "
"431936","
このことがおこったのは、〃彼の骨は砕かれない〃という聖書の言葉が成就す
るためであるからである。"
"431937","
さらに、〃彼らは自分の突き刺した者を見るであろう〃と言うほかの聖書の言
葉もある。"
"431938","
そのあとで、アリマタヤ生まれのヨセフが、──この人はユダヤ人(の役人た
ち)を恐れて、隠れてイエスの弟子になっていた人である──ピラトに、イエスの体を取
りおろしたいと願い出た。ピラトが許すと、彼は行って体を取りおろした。"
"431939","
すると以前に、夜、イエスの所に来たニコデモも、没薬と沈香とを混ぜた物を
百リトラ(三十二キロ八百グラム)ばかり持って来た。"
"431940","
彼らはイエスの体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従って、香料をふりか
けた亜麻布でこれを巻いた。"
"431941","
ところがイエスが十字架につけられた場所(の近く)に園があって、園の中に、
まだだれも納められたことのない、新しい墓があった。"
"431942","
その日はユダヤ人の支度日であったので、その墓が近いのをさいわい、(安息日
が始まらないうちにと、急いで)そこにイエスを納めた。"
"432001","
(翌々日、すなわち)週の初めの日(日曜日)の朝早く、まだ暗いうちに、マ
グダラのマリヤが墓に来てみると、墓(の入口)から石がのけてあった。"
"432002","
そこでシモン・ペテロと、イエスが可愛がっておられたもう一人の弟子との所
に走って行って言う、「主を墓から取っていった者があります。どこに置いたのかわかり
ません。」"
"432003","
そこでペテロはもう一人の弟子と飛び出して、墓へと急いだ。"
"432004","
二人とも(始めのほどは)一しょに走っていたが、もう一人の弟子の方が(年
が若かったので、)ペテロより早く走っていって、先に墓に着いた。"
"432005","
身をかがめると、(墓の中に)亜麻布があるのが見えたが、それでも中には入ら
なかった。"
"432006","
続いてシモン・ペテロも来た。彼は墓に入り、亜麻布が(そのままそこに)あ
るのを見た。"
"432007","
また頭をつつんだ手拭は亜麻布と一しょになく、これだけ別の所に、包んだま
ま(の形)になっていた。"
"432008","
すると先に墓に着いたもう一人の弟子も入ってきて、見て、信じた。"
"432009","
イエスは死人の中から復活されねばならないという聖書の言葉が、(この時ま
で)まだ彼らにわかっていなかったのである。"
"432010","
それから二人の弟子は家にかえった。"
"432011","
(二人について来ていた)マリヤは(ひとり)墓の外に立って泣いていた。(二
人が去ったあと、)泣きながらかがんで墓の中をのぞくと、"
"432012","
白い衣をきた二人の天使が、一人はイエスの体が置いてあった所の頭の方に、
一人は足の方に坐っているのが見えた。"
"432013","
天使がマリヤに言う、「女の人、なぜ泣くのか。」マリヤが言う、「わたしの主を
取っていった者があります。どこに置いたのかわかりません。」"
"432014","
こう言って後を振り向くと、イエスがそこに立っておられるのが見えた。しか
しイエスだとは気づかなかった。"
"432015","
イエスが言われる、「女の人、なぜ泣くのか。だれをさがしているのか。」マリ
ヤはそれを園丁だと思って言う、「あなた、もしあなたがあの方を持っていったのだった
ら、どこに置いたか教えてください。わたしが引き取りますから。」"
"432016","
(こう言って、また墓の方を向いていると、)イエスが「マリヤ!」と言われる。
マリヤが振り向いて彼に、ヘブライ語で「ラボニ!(すなわち「先生!」)と言う。(そし
てイエスに抱きつこうとした。)"
"432017","
イエスが言われる、「わたしにすがりつくな。まだ父上の所に上っていないのだ
から。わたしの兄弟たち(弟子たち)の所に行って、『わたしは、わたしの父上、すなわ
ちあなた達の父上、わたしの神、すなわちあなた達の神の所に上る』と言いなさい。」"
"432018","
マグダラのマリヤは行って弟子たちに、「わたしは主にお目にかかった」、また、
主がこのことを彼女に言われた、と報告した。"
"432019","
その日すなわち週の初めの日の晩であった。ユダヤ人を恐れて、弟子たちのお
る部屋の戸には(皆)鍵がかけてあったのに、イエスが(どこからともなく)はいって来
て(彼らの)真中に進み出て、「平安あれ」と言われた。"
"432020","
そしてそう言いながら、手と脇腹とをお見せになった。弟子たちは主を見て喜
んだ。"
"432021","
すると主はかさねて言われた、「平安あれ。父上がわたしを遣わされたように、
わたしも(全権を授けて)あなた達を遣わす。」"
"432022","
こう言いながら彼らに息を吹きかけて、言われる、「聖霊を受けよ。"
"432023","
人の罪は、あなた達が赦してやれば赦されて消え、赦してやらねば赦されずに
残る。」"
"432024","
十二人の一人で、トマスすなわちギリシャ語でデドモ(二子)は、イエスが来
られた時、みんなと一しょにいなかった。"
"432025","
そこでほかの弟子達が、「わたし達は主にお目にかかった」と言うと、彼らに言
った、「わたしはその手に釘の跡を見なければ、わたしの指をその釘の場所に差し込まな
ければ、手をその脇腹に差し込まなければ、決して信じない。」"
"432026","
八日ののち、弟子たちはまた家の中に(集まって)いた。今度はトマスも一し
ょであった。戸には(皆)鍵がかけてあったのに、イエスがはいって来て(彼らの)真中
に進み出て、「平安あれ」と言われた。"
"432027","
それから(すぐ)トマスに言われる、「指をここに持ってきて、わたしの手(の
釘の跡)をよく見てごらん。手を持ってきて、わたしの脇腹に差し込んでみなさい。不信
仰をやめて、信ずる者らしくしなさい。」"
"432028","
トマスがイエスに答えて言った、「わたしの主よ!わたしの神よ!」"
"432029","
イエスは言われる、「わたしを見たので、信じたのか。幸いなのは、見ないで信
ずる人たちである。」"
"432030","
このほか、この本に書いてない、多くの徴[奇蹟]を、イエスは弟子たちの前
で行われた。"
"432031","
しかし(ほんの一部分であるが、いま)これらのことを書いたのは、あなた達
に、イエスは救世主で、神の子であることを信じさせるため、また、それを信じて、イエ
スの名によって(永遠の)命を持たせるためである。"
"432101","
そのあとで、イエスはテベリヤ湖のほとりで、かさねて弟子たちに現わされた。
現わされ方はこうであった。──"
"432102","
シモン・ペテロと、トマスすなわちデドモと、ガリラヤのカナ生まれのナタナ
エルとゼベダイの子たち二人と、ほかの二人の弟子とが一緒にいた。"
"432103","
シモン・ペテロが「わたしは漁にゆく」と言うと、「わたし達も一しょに行く」
と彼らが言う。みんなが出ていって舟に乗った。しかしその晩は何も捕れなかった。"
"432104","
もう夜も明けたころに、イエスが(どこからともなく)岸に出てこられた。そ
れでも、弟子たちはイエスだと気づかなかった。"
"432105","
イエスが彼らに言われる、「子どもたち、何も肴があるまい。」「ありません」と
彼らが答えた。"
"432106","
イエスが言われた、「舟の右側に網を打って御覧、獲物があるから。」網を打つ
と、(はたして捕れた)魚が多く、もはや網を引き上げることが出来なかった。"
"432107","
するとイエスの愛しておられた弟子が気づいて、ペテロに「主だ!」と言う。
主だと聞くと、シモン・ペテロは裸だったので(急いで)上っ張をひっかけ、湖に飛び込
んだ。"
"432108","
ほかの弟子たちは、魚の(はいっている)網を引っ張りながら舟で来た。陸か
ら遠くなく、二百ペキュン(百メートル)ばかりしか離れていなかった。"
"432109","
彼らが陸に上がって見ると、炭火がおこしてあって、上に魚が一匹のっており、
またパンがあった。"
"432110","
イエスが彼らに言われる、「今捕った魚をすこし持ってきなさい。」"
"432111","
シモン・ペテロが(舟の)上にあがって網を陸へ引き上げると、百五十三匹も
の大きな魚で一ぱいであった。こんなに大漁であったが、網は裂けなかった。"
"432112","
イエスが彼らに言われる、「さあ、朝の食事をしなさい。」弟子のうちだれ一人、
「あなたはどなたですか」と敢えて尋ねる者はなかった。主だと気づいた(が、何となく
変だった)からである。"
"432113","
イエスは来て、パンを(手に)取って彼らに渡された。魚も同じようにされた。
"
"432114","
イエスは死人の中から復活されたのち、弟子たちに自分を現わされたのは、こ
れですでに三度目である。"
"432115","
やがて食事がおわると、イエスはシモン・ペテロに言われる、「ヨハネの子シモ
ン、(今でも)あなたは、この人たち(が愛する)以上に、わたしを愛しているのか。」イ
エスに言う、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたが御存じです。」
彼に言われる、「わたしの小羊を飼いなさい。」"
"432116","
二度目にまた言われる、「ヨハネの子シモン、あなたはわたしを愛しているの
か。」イエスに言う、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたが御存じ
です。」彼に言われる、「わたしの羊の番をしなさい。」"
"432117","
三度目に言われる、「ヨハネの子シモン、あなたはわたしを愛しているのか。」
ペテロは、イエスが三度も「あなたはわたしを愛しているのか」と言われたので悲しくな
って、言った、「主よ、あなたはなんでも御存じです。わたしがあなたを愛していること
はあなたが御存じです。」イエスが言われる、「わたしの羊を飼いなさい。"
"432118","
アーメン、アーメン、わたしは言う、あなたは若い時分には、自分で帯をしめ
て、行きたい所へ行ったが、年を取ると、両手をのばして、ほかの人に帯をしめられ、行
きたくない所へ連れてゆかれるであろう。」"
"432119","
このように言われたのは、ペテロがどんな死に方をして[十字架について]、神
の栄光をあらわさねばならぬかを暗示されたのである。こう言ったあと、ペテロに、「わ
たしについて来なさい」と言われる。"
"432120","
ペテロが(ついて行きながら)振り返ると、イエスの愛しておられた弟子が(あ
とから)ついて来るのが見えた。この弟子は(最後の)夕食の時に、イエスの胸にもたれ
かかって、「主よ、あなたを売る者はだれですか」と言った者である。"
"432121","
ペテロはその人を見て、イエスに言う、「主よ、あの人はどうなるのでしょう
か。」"
"432122","
イエスが言われる、「たといわたしが今度来るまで、あの人を生かしておきたい
と思っても、それはあなたの知ったことではない。あなたは(ただ)わたしについて来れ
ばよろしい。」"
"432123","
このために、この(イエスの愛)弟子は死なないという噂が兄弟たちの間に広
まった。しかし、イエスは「死なない」と言われたのではない。ただ、「たといわたしが
来るまで、あの人を生かしておきたいと思っても、それはあなたの知ったことではない」
と言われたまでである。"
"432124","
これらのこと([ヨハネ福音書全体]が真実であること)を証明し、かつこれら
のことを書いたのは、この(イエスの愛)弟子である。わたし達はこの弟子の証明が信用
すべきであることを知っている。"
"432125","
しかし、イエスのなさったことはこのほかにまだ山ほどあって、もしそれをひ
とつびとつ書きつけるならば、全世界にも、書いた書物の置場があるまいと思う。"

使徒のはたらき
"440101","
使徒 1:1","テオピロよ、(さきに)わたしは(本書の)第一巻[ルカ福音書]を
著わして(あなたにささげた。それには)イエスが行われたことまた教えられたことを、
ことの始めからことごとく書きしるし、" 
"440102","
使徒 1:2","お選びになった使徒たちに、聖霊によって(全世界への伝道を)命
令されたのち、(天に)あげられた日に及んだ。(わたしは今ここに、その第二巻をあなた
にささげようと思う。)"
"440103","
使徒 1:3","イエスは(十字架の)苦しみを受けて(死なれ)た後も、多くの証
拠をもって使徒たちに御自分が生きていることを示し、四十日の間彼らに現われて、神の
国のことをお話になった。"
"440104","
使徒 1:4","そして一緒に食事をしておられたとき、彼らに命じられた、──エ
ルサレムを離れずにいて、「あなた達がわたしから聞いた」父上のお約束のものを待つよ
うに。"
"440105","
使徒 1:5","「ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなた達は幾日もたたぬうちに、
聖霊で洗礼を授けられるであろうから」と。"
"440106","
使徒 1:6","さて彼らは集まっていたとき、こう言ってイエスに尋ねた、「主よ、
(聖霊で洗礼を授けられる)その時に、あなたはイスラエルのために(約束の)国を回復
されるのですか。」"
"440107","
使徒 1:7","彼らに言われた、「(その時ではない。回復の)時と、(それまでの)
期間とは、父上が御自分の権力で決めておられるのであって、あなた達の知るべきことで
はない。"
"440108","
使徒 1:8","ただ聖霊があなた達にくだるとき、あなた達は力を戴いて、エルサ
レムをはじめユダヤ全体、またサマリヤ、さては世界の果てまでも、わたしの証人になる
であろう。」"
"440109","
使徒 1:9","イエスはこう言って、彼らの見ている前で(天に)上げられ、雲が
彼を迎えて見えなくなった。"
"440110","
使徒 1:10","イエスがのぼって行かれる時、彼らが天をじっと見つめていると、
突然、白い着物を着た二人の人が彼らのそばに立って"
"440111","
使徒 1:11","言った、「ガリラヤ人たちよ、なぜ(ぼんやり)立って天を見てい
るのか。あなた達の所から天にあげられたあのイエスは、(いま)天にのぼって行かれる
のを見たと同じようにして、(また下って)来られるであろう。」"
"440112","
使徒 1:12","それから彼らは、(このことのあった)いわゆるオリブ山からエル
サレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日の旅行距離[八百八十メートル](ほ
ど)であった。"
"440113","
使徒 1:13","(都に)入ると、彼らはいつも泊まっている二階の部屋に上がった。
それはペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、ア
ルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダ(の十一人)であった。"
"440114","
使徒 1:14","この人々は皆、女たち、とりわけイエスの母マリヤや、イエスの兄
弟たちと、心を一つにして祈りに余念がなかった。"
"440115","
使徒 1:15","そのころのこと、ペテロは兄弟たちの中に立って言った。──これ
は百二十名ばかりの人々が集まっている一団であった。──"
"440116","
使徒 1:16","「兄弟の方々、イエスを捕らえる者たちを手引したユダについては、
聖霊がダビデ(王)の口をもって預言された聖書の言葉が成就しなければならなかった。"
"440117","
使徒 1:17","というのは、彼はわたし達(と共に使徒)の一人に数えられ、この
職務を授かっていたからである。──"
"440118","
使徒 1:18","ところでこの人は、(主を売って得た)不道徳の報酬で地所を手に
入れたところ、(高い所から)さかさまに落ちて腹が真中から裂け、はらわたがすっかり
流れ出てしまった。"
"440119","
使徒 1:19","するとこのことがエルサレムに住む人全体に知れわたって、その地
所を国語[ヘブライ語]でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ぶようになった。──"
"440120","
使徒 1:20","詩篇に“彼の屋敷は荒れ果てよ、そこに住む人はなかれかし。”ま
た、“彼の務めはほかの人に得させよ。”と書いてあるから(この言葉が成就しなければな
らなかったの)である。"
"440121","
使徒 1:21","だから、主イエスがわたし達と行き来された全期間を通して、"
"440122","
使徒 1:22","すなわち、ヨハネの洗礼(の時)以来イエスがわたし達の所から(天
に)あげられた日までの間、いつもわたし達と一緒にいた者の一人が、わたし達と共に主
の復活の証拠にならねばならない。」"
"440123","
使徒 1:23","そこで(この提案によって、)人々は、バルサバと呼ばれたユスト
とも言ったヨセフと、マッテヤとの二人を(候補者に)立て、"
"440124","
使徒 1:24","こう言って祈った、「主よ、あなたはすべての人の心を御存じであ
ります。この二人のうちのどちらを選んでおられるか、示してください。"
"440125","
使徒 1:25","ユダが自分の行くべき所に行くために捨ててしまったこの使徒職を
継ぐものとして。」"
"440126","
使徒 1:26","そして人々が二人のために籤を引いたところ、籤はマッテヤに当た
って、十一人の使徒に加えられた。"
"440201","
使徒 2:1","五旬節の祭の日(すなわち五旬節最後の日)になって、(使徒たちが)
皆一緒に集まっていると、"
"440202","
使徒 2:2","突然、天から激しい風が吹いてきたようなざわめきがしてきて、座
っていた家中にひびきわたった。"
"440203","
使徒 2:3","そして火のようなかずかずの舌が、分れ分れに自分たちひとりびと
りの上に留まるのが彼らに見えた。"
"440204","
使徒 2:4","すると彼らは皆聖霊に満たされ、御霊に言わせられるままに、いろ
いろな外国語で話し出した。"
"440205","
使徒 2:5","そのときエルサレムには、天下のあらゆる国々から来た、信心深い
ユダヤ人が住んでいたが、"
"440206","
使徒 2:6","この(大きな)物音がすると、大勢の者が集まってきた。彼らはそ
れぞれ、自分の国語で使徒たちが話しているのを聞くと、びっくりした。"
"440207","
使徒 2:7","そして驚きあきれて言った、「見よ、話しているあの人たちはみんな、
ガリラヤ人ではないか。"
"440208","
使徒 2:8","それだのにどうしてわたし達は、それぞれ自分の生まれ故郷の国語
(でこの人たちが話しているの)を、聞くのだろうか。"
"440209","
使徒 2:9","わたし達は(世界中から来ている。)パルテヤ人とメジヤ人とエラム
人とがあり、メソポタミヤ、ユダヤとカパトキヤ、ポントとアジヤ、"
"440210","
使徒 2:10","フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネ(の町)に近いリビヤの
部分とに住んでいる者、またここに来て仮住いしているローマ人があって、"
"440211","
使徒 2:11","ユダヤ人と(異教からの)改宗者、クレテ人とアラビヤ人であるの
に、そのわたし達が、(いま)自分の言葉で、あの人たちが神の大きな御業を話している
のを聞くというのは、どうしたことだろう。」"
"440212","
使徒 2:12","皆が呆気にとられ、すっかり不安になって互に言った、「これはい
ったいどうしたというのだ。」"
"440213","
使徒 2:13","しかし「あの人たちは新酒に酔っぱらっている」と言って、嘲弄す
る者もあった。"
"440214","
使徒 2:14","するとペテロは十一人(の使徒)と共に進み出て、声高らかに雄弁
をふるった。──「ユダヤ人諸君、ならびにエルサレムに住む皆さん、このことを知って
ください。わたしの言葉に耳を傾けてください。"
"440215","
使徒 2:15","今は(まだ)朝の九時であるから、あなた達が想像するように、、
この人たちは酒に酔っているのではありません。"
"440216","
使徒 2:16","これは(神が)預言者ヨエルをもって言われたこと(が成就して、
神の霊に酔っているの)です。"
"440217","
使徒 2:17","神が仰せられる、──最後の日に、“わたしはすべての人にわたし
の霊を注ごう。するとあなた達の息子と娘とは預言し、青年は幻を見、老人は夢をゆめみ
る。"
"440218","
使徒 2:18","またその日には、わたしの僕と婢とにわたしの霊を注ごう、”する
と彼らは預言する。"
"440219","
使徒 2:19","“また”上は“天に不思議なことを、”下は“地に”徴を、“わたし
は示そう、すなわち血と火と立ちのぼる煙とを。"
"440220","
使徒 2:20","主の(恐ろしい)大いなる、輝きの日が来る前に、日は暗闇に月は
血にかわるであろう。"
"440221","
使徒 2:21","そして主の名を呼ぶ者はすべて救われる。”"
"440222","
使徒 2:22","イスラエル人諸君、(わたしの)この言葉をお聞きなさい。──あ
のナザレ人イエスは、神が彼によってあなた達の中でかずかずの奇蹟や不思議なことや徴
を行い、(救世主であることを)あなた達に証明された人であります。このことはあなた
達自身が知っているとおり。"
"440223","
使徒 2:23","このイエスを、神は一定の御計画と予見とによってくれてやられた
ところ、あなた達は律法を知らぬ(異教の)人々の手で磔にして殺してしまった。"
"440224","
使徒 2:24","しかし神は彼を死の苦痛から解いて復活させられた。死に捕らえら
れていることが出来なかったからです。"
"440225","
使徒 2:25","現にダビデは彼についてこう言っています。“わたしは絶えず目の
前に(神なる)主を見あげた、わたしがぐらつかないように、わたしの右側にいてくださ
るから。"
"440226","
使徒 2:26","それゆえにわたしの心は楽しく、舌は(歌をうたって)喜んだ、そ
ればかりか肉体も、(墓にあって)希望のゆえに安らうであろう、"
"440227","
使徒 2:27","あなたはわたしの魂を黄泉に捨ておくことはなく、あなたの聖者(救
世主)を朽ち果てさせることもないから。"
"440228","
使徒 2:28","(朽ち果てさせぬばかりか、死から)命(への復活)の道をわたし
に知らせてくださった、あなたのそばでわたしの楽しみを満たしてくださるであろう。”"
"440229","
使徒 2:29","兄弟の方々、(この預言をした)祖先ダビデについては、彼は死ん
で葬られて、その墓は今日までわたし達の間にあると、あなた達にざっくばらんに言って
もよかろう。(彼はすべての人と同じように朽ち果てた。)──"
"440230","
使徒 2:30","だから(この言葉はダビデ自身に関するものでなく、救世主に関す
るものであることは明らかです。すなわち)彼は預言者であって、神が“彼に、その子孫
の一人を王位につかせようと”誓いを“立てられた”のを見て、"
"440231","
使徒 2:31","これは救世主の復活のことであると前から知っていて、こう語った
のです、“彼は黄泉に捨ておかれもせず、”彼の肉体の“朽ち果てることもない”と。"
"440232","
使徒 2:32","神は(救世主である)このイエスを(預言どおりに)復活させられ
ました。わたし達は皆このことの証人です。(イエスの復活を目の当り見たのだから。)"
"440233","
使徒 2:33","こうして彼は神の右に挙げられ、父上から約束の聖霊を受けて、(い
ま)あなた達が見もし聞きもするこの聖霊を、(わたし達に)注いでくださったのです。
──"
"440234","
使徒 2:34","なぜなら、ダビデ(自身)は天に上ったのではなく、自分でこう言
っているからです。“(神なる)主はわが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐り
なさい、"
"440235","
使徒 2:35","わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足台にしてやるまで』
と。”"
"440236","
使徒 2:36","だからイスラエルの家全体ははっきり知らねばならない、神はイエ
スを(立てて)主とし、救世主とされたのに、(人もあろうに)この方を、あなた達は十
字架につけてしまったことを!」"
"440237","
使徒 2:37","人々はこれを聞いて心をえぐられ、ペテロとほかの使徒たちとに言
った、「兄弟の方々、わたし達は(大変なことをしたわけです。)いったいどうすればよい
のですか。」"
"440238","
使徒 2:38","ペテロがこたえた、「悔改めなさい。そしてあなた達ひとりびとり、
罪を赦されるために、イエス・キリストの名において洗礼を受けなさい。そうすれば(わ
たし達と同じ)聖霊の賜物を戴くことができる。"
"440239","
使徒 2:39","この(聖霊の賜物の)約束は、わたし達の神なる“主が御許に召さ
れるほどの人、”すなわちあなた達と、あなた達の子孫と、”遠くの国々に住む”すべての
人とに対するものであるから。」"
"440240","
使徒 2:40","なお多くのほかの言葉をもって(その確かなことの)証しをし、「曲
ったこの時代から救われよ」と言って警告した。"
"440241","
使徒 2:41","ここに神の話を受け入れた者は(その場で)洗礼を受け、三千人ば
かりの者がその日(集まりに)加えられた。"
"440242","
使徒 2:42","彼らは使徒たちの教えを固く守り、(信者の)交わりと、(一緒に)
パンを裂くことと、祈りとに余念がなかった。"
"440243","
使徒 2:43","恐れをいだかぬ者とてはなかった。使徒たちによって、多くの不思
議なことや徴が行われたのである。"
"440244","
使徒 2:44","そして信者になった者は皆一緒に集まっていて、一切の物を共有し、
"
"440245","
使徒 2:45","土地や持ち物を売っては、必要に応じてそれを皆に分配した。"
"440246","
使徒 2:46","また毎日、心を一つにして(熱心に)宮に詣で、家々で(一緒に)
パンを裂き、喜びと純な心とで食事をして、"
"440247","
使徒 2:47","神を讃美し、世間の人全体に好意を持たれていた。主は救われた者
を日ごとに(増し)加えて一つにされた。"
"440301","
使徒 3:1","さて昼の三時の祈りの時間に、ペテロとヨハネとが宮に上ろうとす
ると、"
"440302","
使徒 3:2","(ちょうどその時、)母の胎内からの足なえの男がかつがれて来た。
彼は宮に入る人たちに施しを乞うため、宮の、いわゆる「美しい門」に毎日置かれたが、"
"440303","
使徒 3:3","(いま)ペテロとヨハネとが宮に入って行くところを見て、しきり
に施しをもらいたいと頼んだ。"
"440304","
使徒 3:4","ペテロは、ヨハネと一緒に、その人に目をとめて言った、「わたし達
(の顔)を見なさい。」"
"440305","
使徒 3:5","彼が何かもらうことを予期して二人を見つめていると、"
"440306","
使徒 3:6","ペテロが言った、「金銀は持っていない。わたしの持っているもの、
それをやろう。──ナザレ人イエス・キリストの名で歩きなさい!」"
"440307","
使徒 3:7","そして右手でつかんで起こすと、たちどころに足と踝とが強くなり、
"
"440308","
使徒 3:8","踊り上がって立って、歩きまわった。そして彼らと一緒に宮に入っ
ていった、歩きまわりながら、踊りながら、神を讃美しながら。"
"440309","
使徒 3:9","民衆はことごとく、その人が歩きまわったり、神を讃美したりする
のを見て、"
"440310","
使徒 3:10","これが宮の美しい門のわきに坐っていて、施しを乞うていた者だと
気がつくと、その身に起こったことに、ただ驚き呆れるばかりであった。"
"440311","
使徒 3:11","(喜びのあまり)その人がペテロとヨハネとにすがりついているの
で、人々が皆びっくりして、いわゆるソロモンの回廊にいた二人の所へかけ集まってきた。
"
"440312","
使徒 3:12","ペテロが見て、人々に話しはじめた。「イスラエル人諸君、なぜこ
のことをそんなに驚くのですか、また、なぜそんなにわたし達を見つめるのですか、わた
し達が自分の力か信心で、この人を歩かせでもしたかのように。"                                       "440313","使徒 3:13","(わたし達の力ではありません。)“アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわちわた
し達の先祖の神が、”“その僕”イエス“に(こんな力のあることを示して、彼に)栄光を
お与えになったのです。”ところがあなた達は、このイエスを(総督ピラトに)引き渡し、
ピラトは赦そうと決心したのに、ピラトに面と向かって、あなた達は彼を否認しました。"
"440314","
使徒 3:14","ほんとうにあなた達はあの聖なる人、正しい人を否認し、人殺し(の
バラバの方)をゆるしてもらうようにと(総督に)願って、"
"440315","
使徒 3:15","(とうとう)命の先達(であるイエス)を殺してしまった。しかし
神はその方を、死人の中から復活させられました。わたし達はそのことの証人です。"
"440316","
使徒 3:16","そしてあなた達が現に見ており知っているこの人は、イエスの名を
信じたので、その名が彼(の足)を強くしたのであり、またその名によって働いた信仰が、
あなた達みんなの目の前で、彼を全快させたのです。"
"440317","
使徒 3:17","こんな次第だから、兄弟たちよ、あなた達は、(最高法院の)役人
たちも同様、知らないで、(命の先達を殺すようなあんなことを)したのだと、わたしは
知っています。"
"440318","
使徒 3:18","しかし神はすべての預言者の口をもって、その救世主が苦しみをう
けることを予告しておられたのであって、それをこんな風に成就されたのです。"
"440319","
使徒 3:19","だから(今すぐ)悔改めて、心を入れかえ(て主に帰り)なさい。
そうすればあなた達の罪が拭い去られる。"
"440320","
使徒 3:20","これは(また)主の御前から休息の時が来て、主があなた達のため
救世主として選ばれたイエスをお遣わしになるためです。"
"440321","
使徒 3:21","イエスは、神が遠い昔から聖なる預言者たちの口をもって仰せられ
た(とおりに、)万物が新しくなる時まで天が受け入れておかねばならないのです。"
"440322","
使徒 3:22","モーセは言いました、『“神なる主はあなた達の兄弟の中から、わた
しのような一人の預言者をあなた達のために起こされる。”あなた達に“語ることは何ご
とによらず、その言うことを聞け。”"
"440323","
使徒 3:23","”この預言者の言うことを聞かない者はだれでも、民の中から絶ち
ほろぼされる”』と。"
"440324","
使徒 3:24","また(モーセだけでなく)、サムエルとそれに続くすべての預言者
も、神の言葉を)語った者はみな、その(休息の)日のことを告げ知らせました。"
"440325","
使徒 3:25","あなた達はこれらの預言者の子であり、神がアブラハムに、“また
あなたの末(なる救世主)によって地上のすべての民族が祝福をうける”と仰せられて、
あなた達の先祖と結ばれた契約は、当然あなた達に適用があるのです。"
"440326","
使徒 3:26","そこで神はまずあなた達のためにその僕(イエス)を(モーセのよ
うな預言者として)起こして、お遣わしになりました。これはあなた達がひとりびとりそ
の悪から離れた時に、彼があなた達を祝福するようにというのです。」"
"440401","
使徒 4:1","二人が(なお)人々に話していると、祭司たちと宮の守衛長とサド
カイ人たちとが近寄ってきた。"
"440402","
使徒 4:2","二人が人々に教え、イエスを例に引いて死人の中から復活を宣言し
ているので、腹を立てたのである。"
"440403","
使徒 4:3","彼らは二人に手をかけて(捕え、)次の日まで留置した。もう夕方だ
ったからである。"
"440404","
使徒 4:4","しかし話を聞いた者の多数は信じたので、男の(信者の)数が五千
人ばかりになった。"
"440405","
使徒 4:5","次の日、(最高法院の)役人、長老、聖書学者たちがエルサレムに集
まって(会議が開かれ、)"
"440406","
使徒 4:6","大祭司アンナスとカヤパとヨハネとアレキサンデルと大祭司一族の
者すべても一緒に集まった。"
"440407","
使徒 4:7","そして二人を真中に立たせてたずねた、「お前たちはそもそも何の力、
また、だれの名で、あんな(病気を直すような)ことをしたのか。」"
"440408","
使徒 4:8","そこでペテロは聖霊に満たされて彼らにこたえた、「国の役人と長老
の方々、"
"440409","
使徒 4:9","わたし達がきょうお取り調べを受けるのが、あの病人に対する(わ
たし達の)善行のゆえ、(また、)何でこの人が直ったかということであるからには、"
"440410","
使徒 4:10","あなた方御一同はもとより、イスラエル国民全体も、このことを知
ってほしい。ナザレ人イエス・キリスト──あなた方が十字架につけ、神が死人の中から
復活させられた方──その名で、この人がよくなって、あなた方の前に立っているのです。
"
"440411","
使徒 4:11","この方は、(聖書にある)“大工の”あなた方から”投げ捨てられ、
隅の土台石になった石”です。"
"440412","
使徒 4:12","この方のほかのだれによっても救いはない。天下ひろしといえども、
わたし達が救われるべき名はこれ以外、人間に与えられていないからです。」"
"440413","
使徒 4:13","人々はペテロとヨハネとの大胆不敵な態度を見て、しかもそれが無
学な人間で、全くの素人であることがわかると、不思議でたまらなかった。そして彼らが
もとイエスの弟子であると知り、"
"440414","
使徒 4:14","また(足を)なおされた男が彼らと一緒に(そこに)立っているの
を見ると、なんの返事も出来なかった。"
"440415","
使徒 4:15","そこで彼らに命じて(しばらく)法院の議場から退場させたのち、
互に評議して"
"440416","
使徒 4:16","言った、「あの人たちをどうしよう。彼らが著しい(不思議な)徴
を行ったことは、エルサレムに住んでいる人全体に知れわたっていて、(いまさら)もみ
消しようもないから。"
"440417","
使徒 4:17","今はただ、このことがこのうえ民衆のあいだに噂にならぬよう、も
うこれ以上、だれにも、この(イエスの)名を使って話をしてはならぬとおどかそうでは
ないか。」"
"440418","
使徒 4:18","そこで二人を(また議場に)呼び出して、(今後)イエスの名を使
っては、絶対に口をきいても教えてもいけないと言い渡した。"
"440419","
使徒 4:19","ペテロとヨハネとが答えた、「神よりもあなた方の言うことを聞く
方が、神の前に正しいかどうか、判断してください。"
"440420","
使徒 4:20","わたし達は自分で見たり聞いたりしたことを、話さないわけにはゆ
かない。」"
"440421","
使徒 4:21","しかしながら彼らは二人を更におどかした上で赦した。罰する方法
が見つからなかったのであり、民衆の手前もあった。皆の者がこの出来事のために神を讃
美していたからである。"
"440422","
使徒 4:22","ことにこの癒しの徴が行われた人は、四十歳を越していた。"
"440423","
使徒 4:23","赦された二人は仲間の所に行って、(最高法院の)大祭司連や長老
たちが言ったことを報告した。"
"440424","
使徒 4:24","聞くと彼らはいっせいに、神に向かって声をはりあげて祈った、「主
よ、”あなたは、天と地と海とそれらの中の一切の物とをお造りになりました。”"
"440425","
使徒 4:25","あなたはわたし達の先祖、あなたの僕ダビデの口をもって、聖霊に
より、こう言われました。“なにゆえ異教人らは騒ぎたち民どもは空しいことをたくらむ
のか。"
"440426","
使徒 4:26","地上の王たちは勢ぞろいをし主権者たちは一緒に集まって主とその
(油注がれた)救世主とに反抗する。”"
"440427","
使徒 4:27","(そして、この預言は成就しました。)実際ヘロデ[アンテパス](王)
と(総督)ポンテオ・ピラトとは”異教人らや”イスラエル人の“民ども”と共に、“あ
なたに油を注がれて(救世主として聖別され)た、”あなたの聖なる僕イエスに敵対して
この(エルサレムの)都に“集まり、”"
"440428","
使徒 4:28","あなたの力強い御心をもって実現しようとあらかじめ定められてい
たことを、なしとげたからであります。"
"440429","
使徒 4:29","だから、今、主よ、彼らの(わたし達に対する)おどかしをよく御
覧ください。そして出来るかぎり大胆に御言葉を語る力を、(わたし達)あなたの僕ども
にさずけてください。"
"440430","
使徒 4:30","御手をのばして、あなたの聖なる僕イエスの名のゆえに、癒しや徴
や不思議なことを行わせてください。」"
"440431","
使徒 4:31","こう彼らが祈りおわると、(たちまち)集まっていた所が揺れ、だ
れもかれも聖霊に満たされて、大胆に神の言葉を語った。"
"440432","
使徒 4:32","信者の団体は一つ心一つ思いで、一人として持ち物を自分のものと
言わず、一切の物が共有であった。"
"440433","
使徒 4:33","また使徒たちは大なる力をもって主イエスの復活を証明し、(神
の)大きな恵みが彼ら一同の上にあった。"
"440434","
使徒 4:34","実際、彼らの中にはだれ一人乏しい者がなかった。なぜなら、地所
や家を持っている者はみな、それを売っては、売れた物の代金を持ってきて、"
"440435","
使徒 4:35","使徒たちの足元に置いたからである。それがひとりびとりの必要に
応じて分けあたえられた。"
"440436","
使徒 4:36","ヨセフは使徒たちからバルナバ[訳すれば「慰めの子」]とも言わ
れた、クプロ(島)生まれのレビ人であったが、"
"440437","
使徒 4:37","畑を持っていたので、売って、その金を持ってきて使徒たちの足元
に置いた。"
"440501","
使徒 5:1","ここにアナニヤというひとりの男は妻のサッピラと共に、地所を売
り、"
"440502","
使徒 5:2","その代金をごまかして、一部分(だけ)を持ってきて使徒たちの足
元に置いた。妻も承知の上であった。"
"440503","
使徒 5:3","するとペテロが言った、「アナニヤ、悪魔に心を占領され、聖霊に嘘
をついて地所の代金をごまかすとは、なんということだ。"
"440504","
使徒 5:4","(売らずに)のこしておけばあなたのもの、売れても、代金はあな
たの自由ではないか。なんでこんな(恐ろしい)ことを考えたのか。これは人間に嘘をつ
いたというよりは、神に嘘をついたのだ。」"
"440505","
使徒 5:5","アナニヤはこの言葉を聞くと、(その場に)倒れて息が絶えた。聞い
た者すべてに、大きな恐れが臨んだ。"
"440506","
使徒 5:6","若者たちは立って彼(の死体)を包み、かついでいって葬った。
"440507","
使徒 5:7","三時間ばかりたって、その妻がこんなことがあったとは知らずに入
ってきた。"
"440508","
使徒 5:8","ペテロが自分の方から彼女に向かって口を切った、「たずねるが、あ
なた達は(たしかに)これだけ(の値段)であの地所を売ったのか。」「そうです、それだ
けで」と彼女は答えた。"
"440509","
使徒 5:9","そこでペテロが彼女に、「なんであなた達はぐるになって主の御霊を
試したのか。そら、あなたの夫を葬りに行った者の足が(いま)門口に(帰って来て)い
る。あなたも(墓に)かついでゆかれるであろう。」"
"440510","
使徒 5:10","彼女はたちどころにペテロの足元に倒れて、息が絶えた。青年たち
は入ってきて彼女が死んでいるのを見ると、かついでいって夫のそばに葬った。"
"440511","
使徒 5:11","集会全体とこれを聞いた者すべてとに、大きな恐れが臨んだ。"
"440512","
使徒 5:12","また使徒たちの手で多くの徴や不思議なことが民衆の間におこなわ
れた。そして(使徒たちも信じた者も)皆が心を一つにしてソロモンの回廊に(集まって)
いた。"
"440513","
使徒 5:13","ほかの者は(なんとなく近寄りがたくて、)だれ一人敢えて彼ら(の
仲間)に加わろうとしなかったが、それでも民衆は彼らを尊敬していたので、──"
"440514","
使徒 5:14","ますます主を信ずる男女の群が(増し)加えられた──"
"440515","
使徒 5:15","その結果、人々は病人を大通りまでかついで来て寝床や担架の上に
ねかし、ペテロが(そこを)通るとき、そのうちのだれかが、せめて彼の陰にでもおおわ
れ(て病気を直され)るようにした。"
"440516","
使徒 5:16","またエルサレムの周囲の町々の住民が、病人や汚れた霊に苦しめら
れている者をつれて集まってきたが、一人のこらずなおされた。"
"440517","
使徒 5:17","すると大祭司と、その一派の者すなわちサドカイ派の者全体とは、
(これを見て烈しい)嫉妬にかられて立ち上がり、"
"440518","
使徒 5:18","使徒たちに手をかけて(捕え、)国の牢屋に入れた。"
"440519","
使徒 5:19","しかし主の使が夜、牢の戸をあけ、使徒たちをつれだして言った、
"
"440520","
使徒 5:20","「行け、そして宮に出ていって、この命の言葉をのこらず民衆に語
れ。」"
"440521","
使徒 5:21","彼らはこれを聞き、夜の明けるのを待って宮に入って教えはじめた。
その時、大祭司とその一派の者とは集まってきて、最高法院とイスラエルの子孫の全長老
会議とを召集した。そして使徒たちを引き出すために、牢屋に人をやった。"
"440522","
使徒 5:22","下役らが行って見ると、彼らは牢の中にいないので、引き返してき
て報告した、"
"440523","
使徒 5:23","「牢屋はとてもしっかり錠がかかっていて、戸の前にはそれぞれ牢
番が立っていました。しかしあけて見ると、中にはだれもいませんでした。」"
"440524","
使徒 5:24","宮の守衛長も大祭司連もこの言葉を聞くと、これはいったいどうな
ることかと、彼らのことですっかり不安になっていた。"
"440525","
使徒 5:25","ところへ人が来て、「御覧なさい、あなた方が牢に入れた人たちは、
(いま)宮に立って民衆を教えています」と報告した。"
"440526","
使徒 5:26","そこで守衛長は下役を連れて行って、彼らを(宮から)引いてきた。
しかし手荒いことはしなかった。(民衆が同情を寄せているので、)自分たち(の方)が石
で打ち殺されはしないかと、民衆を恐れたのである。"
"440527","
使徒 5:27","彼らを引いてくると、法院(の真中)に立たせた。大祭司が問うた、
"
"440528","
使徒 5:28","「あの(男の)名を使って教えてはならぬと(あれほど)堅く申し
付けておいたのに、こんなにエルサレム(中)をお前たちの教義で一ぱいにしてしまった。
お前たちはあの男の(流した)血(に対する罰)をわれわれに負わせようと思っているの
だろう。」"

"440529","使徒 5:29","ペテロを始め使徒たちが答えて言った、「人は人間(の命令)より
も神(の命令)の方に従うべきであります(から、神の命令にわたし達は従っているので
す)。"
"440530","
使徒 5:30","わたし達の先祖の神は、あなた方が(十字架の)“木にかけて”殺
害したイエスを復活させられました。"
"440531","
使徒 5:31","この方を神は、イスラエルに悔改めと罪の赦しとを与えるために、
(命の)先達また救い主として御自分の右に挙げられたのです。"
"440532","
使徒 5:32","わたし達はこれらの事柄の証人であります。神が御命令に従う者に
お与えになる聖霊も、同じくその証人であります。」"
"440533","
使徒 5:33","これを聞いた者たちは真赤になっておこり、彼らを殺そうと思った。
"
"440534","
使徒 5:34","そのとき、ガマリエルという、パリサイ人で、全国民に尊敬されて
いる律法学者である人が法院に立ち、その人たちを少しのあいだ外に出すようにと命じて、
"
"440535","
使徒 5:35","それから言った、「イスラエル人諸君、諸君はあの人たちに何をし
ようとしているのか、よく考えてみるがよかろう。"
"440536","
使徒 5:36","なぜなら、(御承知のとおり)さきごろチゥダが立って、自分を何
か(えらい者)のように言いふらしたので、彼に付いた男の数が四百人ばかりもあったが、
(間もなく)チゥダは殺され、その口車に乗った者は皆、散って跡形もなくなったからで
ある。"
"440537","
使徒 5:37","彼のあとで、人口調査の時にガリラヤ人ユダが立って、民衆を自分
の方におびき寄せて(謀反させ)た。しかし彼(自身)も滅び、その口車に乗った者は皆、
(蜘蛛の子のように)ちりぢりになってしまった。"
"440538","
使徒 5:38","だから今のところ、わたしは諸君に言う。あの人たちから手を引い
て、(そっと)放っておきなさい。それは、もしあの企てやすることが人間(の考え)か
ら出たものならば、(手を下すまでもなくひとりでに)ほろびるであろうし、"
"440539","
使徒 5:39","神から出たものなら、(どんなにしても)彼らをほろぼすことは出
来ないのだから。そうでないと、諸君は神に手向かう者にならぬとはかぎらない。」そこ
で彼らはその勧告に従って、"
"440540","
使徒 5:40","使徒たちを呼びいれて(鞭で)打ち、(今後決して)イエスの名を
使って話をしてはならないと命令して、釈放した。"
"440541","
使徒 5:41","さて、彼らは御名のために恥を受けるに足る者とされたことを喜び
ながら、法院から出ていった。"
"440542","
使徒 5:42","そして毎日、宮や家々で教えること、すなわち救世主イエスの福音
を伝えることを、やめなかった。"
"440601","
使徒 6:1","そのころ、(主の)弟子たち(の数)が次第にふえてきたため、ギリ
シヤ語を話す(外国そだちの)ユダヤ人からヘブライ語を話す(はえぬきの)ユダヤ人に
対して、自分の方の寡婦たちは、毎日の援助においてないがしろにされているという苦情
が出た。"
"440602","
使徒 6:2","そこで十二人(の使徒)は弟子の団体を呼びあつめて言った、「わた
し達(伝道を命ぜられた者)が、神の言葉を(伝える仕事を)放っておいて食卓の世話を
するのは適当でない。"
"440603","
使徒 6:3","それで兄弟たちよ、あなた達の中から御霊と知恵とに満ちた評判の
よい者を七人だけ、さがしてもらいたい。その人たちをこの役に任じよう。"
"440604","
使徒 6:4","わたし達は祈りと御言葉を伝えることに専念する。」"
"440605","
使徒 6:5","この言葉は会衆一同の賛成を得、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ
をはじめ、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者
ニコラオ(の七人)を選んで、"
"440606","
使徒 6:6","使徒たちの前に立たせた。使徒たちが祈って彼らに手をのせた。"
"440607","
使徒 6:7","こうして神の言葉は成長し、エルサレムにおける(主の)弟子の数
は猛烈にふえていった。また(ユダヤ教の)祭司までが大勢、従順に信仰を受けいれた。"
"440608","
使徒 6:8","さてステパノは恩恵と力とに満たされて、民衆の間で驚くべき不思
議なことや徴を行っていた。"
"440609","
使徒 6:9","すると解放奴隷、クレネ人、アレキサンドリヤ人の礼拝堂と言われ
る礼拝堂の人々や、キリキヤ(州)、(小)アジヤの人々があらわれてステパノと議論をし
たが、"
"440610","
使徒 6:10","知恵と御霊とによって語るステパノに太刀打ち出来なかった。"
"440611","
使徒 6:11","そこで彼らは人々をそそのかして、「わたし達はステパノが、モー
セと神とに冒涜の言葉を語るのを聞いた」と言わせた。"
"440612","
使徒 6:12","また民衆や、(最高法院の役人すなわち大祭司連、)長老、聖書学者
たちを煽動して、彼を襲ってとらえ、最高法院に引いてゆかせた。"
"440613","
使徒 6:13","そして偽りの証人を立ててこう言わせた、「この人はこの神聖な場
所[宮]と律法とをけがす言葉を語って、どうしてもやめない。"
"440614","
使徒 6:14","『あのナザレ人イエスはこの場所をこわし、モーセがわたし達に言
い伝えた慣例を変えるだろう』と彼が言うのを、わたし達は(この耳で)聞いたのだから。」
"
"440615","
使徒 6:15","法院に坐っていた者が皆ステパノに目をとめた。彼の顔がちょうど
天使の顔のように(輝いて)見えた。"
"440701","
使徒 7:1","大祭司がたずねた、「はたして事実その通りか。」"
"440702","
使徒 7:2","ステパノが言った。──「兄弟の方々、お父さん方、聞いてくださ
い。(御承知のように、)“栄光の神は、”わたし達の先祖アブラハムがカランに住む前、ま
だメソポタミヤにいるとき、現われて"
"440703","
使徒 7:3","“言われた、『あなたの国、あなたの親類から出て、わたしが示す地
に来い』と。”"
"440704","
使徒 7:4","そこでカルデヤ人の地(ウル)を出て、カランに住んだ。そしてそ
の父の死んだ後、そこから、今あなた方が住んでいるこの(カナンの)地に、神は彼を移
住させられた。"
"440705","
使徒 7:5","しかしそこには(何一つ)財産を、“一歩の幅の土地をすら、与えず、”
ただ“彼と彼の後の子孫とに、その地を所有として与えようと”約束されただけであった、
(その時まだ)彼には子が無かったのに。"
"440706","
使徒 7:6","すなわち神はこう語られた、“彼の子孫は他国に身を寄せ、人々は四
百年の間これを奴隷にし、虐待するであろう”と。"
"440707","
使徒 7:7","神は(また)言われた、“しかし彼らを奴隷にする国の人を、わたし
はかならず罰する。そしてその後、彼らはそこを出て、”この所(カナン)でわたしを礼
拝するであろう”と。"
"440708","
使徒 7:8","それから彼に“割礼の(規則の)契約を”お与えになった。こうし
てアブラハムは、イサクが生まれると(契約に従って)“八日目に割礼を施した。”イサク
の子はヤコブ、ヤコブの子は十二人の族長であった。"
"440709","
使徒 7:9","族長たちは“ヨセフをねたんで、エジプトに(奴隷に)売った。””
しかし“神は(いつも)ヨセフと一緒にいて、”"
"440710","
使徒 7:10","あらゆる苦難から救い出し、“エジプト王パロの前で”知恵をあら
わさせて“寵愛を得させられたので、”パロは彼をエジプトと王家全体とをつかさどる宰
相に任命した。”
"440711","
使徒 7:11 “するとエジプトとカナンとの全体に飢饉が来て、”大きな苦難が
臨み、わたし達の先祖たちは食糧が得られなかった。"
"440712","
使徒 7:12"“ヤコブはエジプトに穀類があると聞いて、”まず先祖たちをやった。
"
"440713","
使徒 7:13","二度目の時に、“ヨセフは自分のことを兄弟たちに打ちあけた。”そ
こでヨセフの素性がパロに知れた。"
"440714","
使徒 7:14","ヨセフは父ヤコブと親類全部、“合計七十五人を”(エジプトに)呼
びよせた。"
"440715","
使徒 7:15","ヤコブは“エジプトに下り、”“彼自身も”先祖たちも“(そこで)
死に、”"
"440716","
使徒 7:16","”(なきがらは)シケムに移され、”(前に)銀いくらかをもって、”
アブラハムがシケムでハモルの子らから買い取っておいた墓場に”納められた。"
"440717","
使徒 7:17","さて、神がアブラハムに約束された約束の時が近づくと、(イスラ
エルの)民はエジプトで、“増しかつふえた。”"
"440718","
使徒 7:18","ついに、“ヨセフのことを知らない、(新しい)ほかの王がエジプト
に出た。”"
"440719","
使徒 7:19","この王はわたし達の”同族に向かって悪巧みをし、”先祖たちにみ
どり児を捨てさせ、これを”生かしておか”ないような“ひどいことをした。”"
"440720","
使徒 7:20","ちょうどこの時にモーセが生まれた。神の目にさえ“美しい”子で
あった。“三月のあいだ”父の家で育てられたが、"
"440721","
使徒 7:21","(隠しきれなくなって)捨てられたとき、“パロの王女が(見つけ
て)拾いあげ、自分の子として”育てた。"
"440722","
使徒 7:22","モーセはエジプト人の知恵を残るところなく教えこまれ、その言葉
にも行いにも力があった。"
"440723","
使徒 7:23","四十歳になった時、“同胞イスラエルの子孫を”思う心がモーセに
起こった。"
"440724","
使徒 7:24","それで(ある日、同胞の)一人が(エジプト人に)いじめられてい
るのを見ると、その味方をし、“エジプト人を打ち殺して”虐待された者のために仕返し
をした。"
"440725","
使徒 7:25","モーセは(この出来事によって、)神が彼の手で同胞を救おうとし
ておられることを、みなが悟るものと考えた。しかし彼らは悟らなかった。"
"440726","
使徒 7:26","翌日、二人の人が喧嘩をしているところにモーセが現われて、仲直
りをさせようとして言った、『君たち、兄弟同士ではないか。なんで、なぐり合いをする
のか。』"
"440727","
使徒 7:27","“隣の人をなぐっていた方の者が”モーセを突きのけて言った、”『だ
れが君をわれわれの司令官や裁判官にしたのか。"
"440728","
使徒 7:28","君はきのうあのエジプト人をやっつけたように、わたしをやっつけ
ようと思っているのではあるまいね。』"
"440729","
使徒 7:29","この言葉を聞くとモーセは(恐ろしくなり、エジプトを)逃げ出し
て、ミデアンの地に身を寄せる者となり、”そこで(妻をめとって、)二人の男の子が生ま
れた。"
"440730","
使徒 7:30","それから四十年たったとき、シナイ“山の荒野で、燃える茨の薮の
焔の中で天使がモーセに現われた。”"
"440731","
使徒 7:31","モーセは見て、自分の目をうたがった。近寄ってよく見ようとする
と、主の御声が聞こえてきた、"
"440732","
使徒 7:32","『“わたしはあなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神
(である)。”』モーセは震えて、よく見る勇気がなかった。"
"440733","
使徒 7:33","“すると主が彼に言われた、『足の靴をぬぎなさい。あなたが立っ
ている場所は聖なる地である。"
"440734","
使徒 7:34","エジプトにおるわたしの民が虐待されるのをわたしは見きわめた。
またその呻きを聞いた。そこで彼らを救い出すために(天から)下ってきたのだ。さあ、
今すぐエジプトに行きなさい。』”"
"440735","
使徒 7:35","このモーセこそは、“だれが君を司令官や裁判官にしたのか”と言
って拒絶された人であったが、この人を、神は茨の薮の中で彼に現われて天使の手をもっ
て、(イスラエルの)司令官また解放者として(エジプトに)遣わされたのである。"
"440736","
使徒 7:36","この人が、“エジプトの地で、”紅海で、また“四十年のあいだ荒野
で、”“不思議なことや徴を”行いながら、彼らをつれだしたのである。"
"440737","
使徒 7:37","この人が、イスラエルの子孫に、“神はあなた達の兄弟の中から、
わたしのような一人の預言者をあなた達のために起こされる”と言ったモーセである。"
"440738","
使徒 7:38","この人が、荒野の集会において、シナイ山で彼に語った天使とわた
し達の先祖との間の仲介者であり、(そこで)あなた達に伝えるべき生ける御言葉を(神
から)授かった人である。"
"440739","
使徒 7:39","しかし先祖たちは彼の言うことを聞こうとせず、かえって彼をはね
つけ、心は“エジプト(の偶像)にもどって、”
"440740","
使徒 7:40"“アロンに言った、『どうかわたし達を導いてゆく神々を造ってくだ
さい。エジプトの地からつれだしてくれたあのモーセは、(山にのぼって以来)消息がわ
からないから。』”
"440741","
使徒 7:41","その時“彼らは(金の)子牛を造って”その偶像に“犠牲をささげ、”
自分の手で造ったものを(おがんで)楽しんだ。"
"440742","
使徒 7:42","しかし神は彼らを見捨て、彼らが(まことの神の代りに)“天の星々
を”おがむに任せられた。預言書に書いてあるとおりである。“イスラエルの人たちよ、
あなた達が荒野の四十年のあいだに捧げた供え物や犠牲は、わたしにであっただろうか。
(それは星々にではなかったか。)
"440743","
使徒 7:43","あなた達はモロク(神)の幕屋や、ロンパ神の星など、自分で造っ
た(神々の)像をかつぎまわって”おがんだではないか。“だからわたしは(罰として)
あなた達を”バビロンの“向こうに移すであろう。”"
"440744","
使徒 7:44","わたし達の先祖は荒野において“証しの幕屋”をもっていた。これ
は“モーセに、(シナイ山で)見た型をまねて造るようにと語ったお方が”言いつけられ
たとおり(のもので、ここでこのお方はイスラエルの民に語られるの)であった。"
"440745","
使徒 7:45","この幕屋を先祖は受け継ぎ、神が異教人を先祖の前から追い払って
くださったので、その“領土(カナン)を占領した時には、”ヨシュアと共にそれを持ち
込み、ダビデ(王)の時代に至った。"
"440746","
使徒 7:46","ダビデは神の寵愛を受けたので、“ヤコブの神のために住いを造る
ことを”神に願ったが、"
"440747","
使徒 7:47","(実際に)“その家を建てたのは(子の)ソロモン(王)であった。
"
"440748","
使徒 7:48","しかし(それは御心にそむいたことで、)いと高きお方は(偶像と
ちがい、人間の)手で造ったものの中にはお住みにならない。預言者(イザヤ)が言うと
おりである。"
"440749","
使徒 7:49","“主は言われる、『天はわたしの御座、地はわたしの足台であるの
に、どんな家をわたしに建ててくれるのか、どこがわたしの憩いの場所か。"
"440750","
使徒 7:50","これらは何もかもわたしの手で造ったもの”ではないのか。』
""440751","
使徒 7:51"“頑固な、”心も耳も割礼も受けていない人たち!”あなた達はい
つも“聖霊に逆らってばかりいる、”先祖と同じにあなた達も。"
"440752","
使徒 7:52","先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもあったというのか。先祖
は正しい人(イエス)の来ることを予告した人たちを殺し、今(その正しい人が来ると、)
あなた達は彼を裏切り、殺す者となった。"
"440753","
使徒 7:53","(不思議はない。)天使たちの命令(でモーセ)によって定められ
た律法を戴きながら、それを守らなかったあなた達のことだから!」"
"440754","
使徒 7:54","これを聞いて(法院にいた)人々は怒り心頭に発し、ステパノに向
かって歯ぎしりした。"
"440755","
使徒 7:55","しかしステパノは聖霊に満ちて天をじっと見つめ、神の栄光と神の
右に立っておられるイエスとを見ると、"
"440756","
使徒 7:56","「おお、天が開けた、人の子が見える、神の右に立っておられる!」
と言った。"
"440757","
使徒 7:57","すると彼らは大声で叫び、(冒涜の言葉を聞くまいとして)耳をふ
さぎ、一せいに襲いかかって、"
"440758","
使徒 7:58","彼を町の外に突き出し、石で打ち殺した。証人たちはぬいだ上着を
サウロという青年の足下に置い(て、番をさせ)た。"
"440759","
使徒 7:59","ステパノは打ち殺されながら、イエスの名を呼んで、「主イエス様、
わたしの霊をお受けください」と祈り、"
"440760","
使徒 7:60","それからひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞこの罪をこ
の人たちに負わせないでください!」こう言って、彼は眠りについた。"
"440801","
使徒 8:1","サウロは(石は投げなかったが、)ステパノを殺すことに賛成であっ
た。その日エルサレムの集会に対して大迫害がおこり、使徒たち以外(の信者)は皆、ユ
ダヤとサマリヤとの田舎に散らばった。"
"440802","
使徒 8:2","しかし信心深い人たちが(集まって)ステパノを埋葬し、彼のため
に盛大な哀悼の式を行った。"
"440803","
使徒 8:3","サウロは、しかし、集会をたたきつぶそうとして、(信者の)家とい
う家に押し入り、男女の別なく引っ張っていって牢に入れた。"
"440804","
使徒 8:4","さて(この迫害で各地に)散らばった者は、あるき回りながら御言
葉を伝えた。"
"440805","
使徒 8:5","一方、(世話役の一人であった)ピリポはサマリヤの町に下り、(そ
この)人々に救世主のことを説いた。"
"440806","
使徒 8:6","群衆全体が一人のようになって、ピリポの言葉に耳を傾けた。彼の
行った(不思議な)徴を聞いたり見たりしたからである。"
"440807","
使徒 8:7","実際、汚れた霊につかれている多くの人があったが、それが大声を
出して叫びながら飛び出したのである。多くの中風の者や足なえもなおされた。"
"440808","
使徒 8:8","その町は大喜びであった。"
"440809","
使徒 8:9","すると前からこの(サマリヤの)町にシモンという男がいて魔術を
行っていたが、自分を何か(神通力でもある)えらい者のように言いふらし、サマリヤの
住民をびっくりさせていた。"
"440810","
使徒 8:10","彼らは子供から年寄りに至るまで皆、シモン信者になり、「これこ
そいわゆる大能の(生き)神様だ」と言った。"
"440811","
使徒 8:11","彼らが(このように)シモン信者になったのは、かなり長い間魔術
でびっくりさせられていたからである。"
"440812","
使徒 8:12","しかしピリポが(来て)神の国とイエス・キリストの名とについて
福音を伝えると、男も女も(今度は)ピリポ(の言葉)を信じて(信仰に入り、)洗礼を
受けた。"
"440813","
使徒 8:13","ついにシモン自身も信じて洗礼を受け、いつもピリポにくっついて
いて、  いろいろな(不思議な)徴や大がかりな奇跡が行われるのを見て、呆気にとられ
ていた。"
"440814","
使徒 8:14","エルサレムにいた使徒たちは(ピリポによって)サマリヤ(の人々)
が神の言葉を受け入れたと聞くと、(さっそく)ペテロとヨハネとをそこにやった。"
"440815","
使徒 8:15","二人は下っていって、サマリヤの人々が聖霊を受けるようにと祈っ
た。"
"440816","
使徒 8:16","彼らには、まだだれにも聖霊が下っていなかったからである。ただ
主イエスの名で洗礼を受けていただけであった。"
"440817","
使徒 8:17","そこで二人が彼らに手をのせると、聖霊を受けた。"
"440818","
使徒 8:18","使徒たちが手をのせることによって御霊が授けられるのを見たシモ
ンは、二人に金を差し出して"
"440819","
使徒 8:19","言った、「手をのせれば、人が聖霊を戴くことのできるその力を、
わたしにも授けてください。」"
"440820","
使徒 8:20","ペテロがシモンに言った、「金もお前も地獄行きだ!神の(恩恵の)
賜物を金で手に入れようと考えたのだから。"
"440821","
使徒 8:21","お前はこの事の分け前にも相続にも、あずかれない。“心が”神の
目に“真直ぐでない”からだ。"
"440822","
使徒 8:22","だからこの悪いことを悔改めて、主に祈ったがよかろう。あるいは
お前の(曲った)出来心を赦していただけるかも知れない。"
"440823","
使徒 8:23","お前が“胆汁のような苦い心”また“不道徳の虜”になっているの
が、わたしに見えるからだ。」"
"440824","
使徒 8:24","シモンが答えて言った、「あなた方が、わたしのために主に祈って
ください、いま言われたことが決してわたしに起こらないように。」"
"440825","
使徒 8:25","さて使徒たちは証しをし、また主の言葉を語ったのち、エルサレム
に帰った。(道すがら、)多くのサマリヤ人の村々でも福音を伝えた。"
"440826","
使徒 8:26","時に主の使がピリポに言った、「立って、南の方に向かって行き、
エルサレムからガザ(の町)へ下る道に出よ。それは人通りの少ない道である。」"
"440827","
使徒 8:27","彼は立って出かけた。ちょうどそこに一人のエチオピヤ人が通りか
かった。この人はエチオピヤの女王カンダケの宮内官で、女王の全財産を監理している宦
官であったが、礼拝のためエルサレムに行って、"
"440828","
使徒 8:28","今はその帰り道であった。車の上に坐り、(声を出して)イザヤ預
言書を読んでいた。"
"440829","
使徒 8:29","御霊がピリポに、「行って、あの車にぴったりついて歩け」と言っ
た。"
"440830","
使徒 8:30","ピリポが駈けよってゆくと、その人がイザヤ預言書を読んでいるの
が聞こえたので、たずねた、「どうです、読んでおられるところが読めていますか。」"
"440831","
使徒 8:31","彼がこたえた、「だれかに手引をしてもらわねば、とてもわたしに
は読めません。」そして(車に)乗って一緒に坐ってもらいたいとピリポに頼んだ。"
"440832","
使徒 8:32","読んでいた聖書の文句はこれであった。“屠り場に引いてゆかれる
羊のように、毛を切る者の前に黙っている小羊のように、彼は口を開かない。"
"440833","
使徒 8:33","(しかし)謙遜によって裁きをまぬかれ(て死に勝っ)たのである。
だれが(地上にあふれるであろう)彼の子孫[信者]のことを語り得ようか。彼は(神の
右に坐るために)その命を地上から取り去られるのだから。”"
"440834","
使徒 8:34","宦官がピリポに答えた、「お願いです、この預言者はだれのことを
言っているのでしょうか。自分のことですか、それともだれかほかの人のことですか。(教
えてください。)」"
"440835","
使徒 8:35","そこでピリポは口を開いて、この聖書の句から始めて、イエスの福
音を伝えた。"
"440836","
使徒 8:36","そして道を進んでゆきながら、とある水辺に来ると、宦官が言う、
「水がある!洗礼を受けてはいけないでしょうか。」"
"440837","
使徒 8:37"[無シ]
"440838","
使徒 8:38","そこで車を止めさせ、ピリポと宦官は、二人とも水の中に下りて、
ピリポが宦官に洗礼を授けた。"
"440839","
使徒 8:39","しかし二人が水から上がると、主の御霊がピリポをさらっていった
ので、宦官はもう二度とピリポを見ることはなかった。彼は(救われたことを)喜びなが
ら、旅行をつづけたからである。"
"440840","
使徒 8:40","しかしピリポは(ガザの北)アゾトにあらわれ、(海岸の)町々を
のこらずあるき回って福音を伝えた末、カイザリヤに来た。(そしてそこに住んだ。)"
"440901","
使徒 9:1","(エルサレムの迫害はおわったが、)サウロはなおも主の弟子たちを
脅迫し殺害しようと息巻き、大祭司の所に行って、"
"440902","
使徒 9:2","ダマスコの多くの礼拝堂あての(全権委任の)添書を乞い求めた。
それは(ダマスコでキリストの)道(キリスト教)の者を見つけ次第、男女の別なく、縛っ
てエルサレムに引いてくるためであった。"
"440903","
使徒 9:3","ところが進んでいってダマスコに近づくと、突然、天から光がさし
て彼のまわりを照らした。"
"440904","
使徒 9:4","彼は地上に倒れ、「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と
言う声を聞いた。"
"440905","
使徒 9:5","サウロが言った、「主よ、あなたはどなたですか。」彼がいわれた、「わ
たしだ、あなたが迫害しているイエスだ。"
"440906","
使徒 9:6","さあ起きて、町に入れ。そうすれば、せねばならぬことが告げられ
る。」"
"440907","
使徒 9:7","一緒に来た者たちは唖然としてそこに立っていた。声は聞いたが、
だれも見えなかったのである。"
"440908","
使徒 9:8","サウロは地から起きあがって目をあけたが、何も見えなかった。人々
が手を引いて、ダマスコにつれて行った。"
"440909","
使徒 9:9","三日のあいだ目が見えず、また食べも飲みもしなかった。"
"440910","
使徒 9:10","さて、ダマスコにアナニヤというひとりの(主の)弟子があった。
幻で主が彼に「アナニヤ」と言われた。アナニヤが言った、「はい、主よ。」"
"440911","
使徒 9:11","主が彼に、「立って『直線通り』に行き、ユダ(という人)の家に
いるサウロというタルソ人をさがせ。彼はいま祈っている。"
"440912","
使徒 9:12","幻で、アナニヤという人が入ってきて、自分に手をのせて目が見え
るようにしてくれるところを見たのだ。」"
"440913","
使徒 9:13","アナニヤが答えた、「(しかし)主よ、わたしは沢山の人から、その
人のことを聞きました。彼がエルサレムであなたの聖徒たちにした非道なことを一つのこ
らず。"
"440914","
使徒 9:14","そしてここでも彼は、あなたのお名前を呼ぶ者をだれかれの別なく
縛る全権を、大祭司連からもらっているのです。」"
"440915","
使徒 9:15","主が彼に言われた、「(恐れることはない。)行け。あの人は、異教
人と王たちとイスラエルの子孫との前に、わたしの名を運んでゆく(ために選んだ)わた
しの選びの器であるから。"
"440916","
使徒 9:16","その証拠として、わたしの名のためにどんなに多くの苦しみをうけ
ねばならぬかを、彼におしえてやる。」"
"440917","
使徒 9:17","そこでアナニヤは行って(ユダの)家に入り、サウロに手をのせて
言った、「兄弟サウロよ、主がわたしをお遣わしになったのです。あなたが(ここに)来
る途中、御自分を現わしてくださったあのイエスが!あなたの目が見えるようになるため、
また聖霊に満たされるためです。」"
"440918","
使徒 9:18","するとすぐ鱗のようなものがサウロの目から落ちて、見えるように
なり、立って洗礼を受けた。"
"440919","
使徒 9:19","そして食事を取って元気づいた。サウロは数日ダマスコの(主の)
弟子たちと一緒にいたが、"
"440920","
使徒 9:20","すぐあちこちの礼拝堂で、イエスのことを、この方こそ神の子であ
ると説きはじめた。"
"440921","
使徒 9:21","聞いた人が皆呆気にとられて言った、「この人は(前に)エルサレ
ムで、この(イエスの)名を呼ぶ者を撲滅しようとした人ではないか。またここに来たの
も、彼らを縛って、大祭司連に引いてゆくためだったではないか。」"
"440922","
使徒 9:22","しかしサウロはますます(その言葉に)力が加わり、この方こそ救
世主であると論証して、ダマスコに住んでいるユダヤ人をうろたえさせた。"
"440923","
使徒 9:23","だいぶ日数がたってから、ユダヤ人はサウロを殺そうと決議した。
"
"440924","
使徒 9:24","彼らの陰謀がサウロに知れた。しかし彼らはサウロを殺そうとして、
夜も昼も(町の)門を見張っていたので、"
"440925","
使徒 9:25","(主の)弟子たちは夜のあいだに彼を篭で吊りおろし、城壁づたい
に(門の外に)おろした。"
"440926","
使徒 9:26","サウロはエルサレムに来て、(そこの主の)弟子たち(の仲間)に
加わろうとしてみたけれども、みんなが彼をこわがった。(ほんとうに主の)弟子と信じ
なかったのである。"
"440927","
使徒 9:27","しかしバルナバは彼を受けいれて使徒たちの所につれて行き、彼が
(ダマスコへ行く)途中で主を見たこと、主が語られたこと、また(その後)ダマスコで
イエスの名で大胆に語ったことを彼らに話してきかせた。"
"440928","
使徒 9:28","そこで彼は(仲間に加えられ、)エルサレムで使徒たちと行き来を
し、主の名で大胆に語りつづけた。"
"440929","
使徒 9:29","またギリシヤ語を話す(外国そだちの)ユダヤ人とたえず語り、議
論をしていた。すると彼らは彼を殺そうと計画した。"
"440930","
使徒 9:30","兄弟たちはこれに気づいて、カイザリヤにつれて行き、(郷里キリ
キヤ州の)タルソへ送った。"
"440931","
使徒 9:31","さて、集会は(サウロの回心と共に)ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤ
全体を通じて平和を得、基礎が固まり、主を恐れて日を過ごし、(迫害の後に)聖霊の慰
めをうけて信者の数がふえていった。"        
"440932","
使徒 9:32","ペテロは(それらの地方の)到る所をあるき回って(信者を訪問し
て)いたが、ルダに住む聖徒達の所にも下ってきた。"
"440933","
使徒 9:33","そこで、アイネヤという人が八年このかた床についているのを見た。
この人は中風にかかっていた。"
"440934","
使徒 9:34","ペテロが言った、「アイネヤよ、いまイエス・キリストがあなたを
お直しになった。立って、自分で床を敷きかえてみなさい。」彼はすぐ起きあがった。"
"440935","
使徒 9:35","ルダ(の町)とサロン(の野)との住民全体が彼(の直ったの)を
見た。この人たちは(みな)主(キリスト)に帰依した。"
"440936","
使徒 9:36","またヨッパ(の町)にタビタ、(ギリシヤ語に)訳するとドルカス
(羚羊)というひとりの女信者がいた。この人は山のような善行と慈善とをした人であっ
た。"
"440937","
使徒 9:37","そのころ病気になって死んだので、人々は(その体を)洗って二階
の部屋に置いた。"
"440938","
使徒 9:38","ところでルダはヨッパに近いので、(ヨッパの主の)弟子たちはペ
テロがそこにいると聞き、使を二人やって、「恐れ入りますがこちらにお出でいただきた
い」と願わせた。"
"440939","
使徒 9:39","ペテロは立って二人と一緒に行った。(ヨッパに)着くと、人々は
ペテロを二階の部屋に案内した。寡婦たちが皆彼のそばによって来て、ドルカスがまだ一
緒にいたとき作ってくれたかずかずの下着や上着を、泣きながら見せた。"
"440940","
使徒 9:40","ペテロはみんなを外に出し、ひざまずいて祈った。そして死体の方
を向いて、「タビタ、立ちなさい!」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起
きあがった。"
"440941","
使徒 9:41","彼は手をかして立たせ、聖徒や寡婦たちを呼んで、彼女が生きてい
ることを示した。"
"440942","
使徒 9:42","このことがヨッパ中に知れわたったので、大勢の人が主を信じた。
"
"440943","
使徒 9:43","ペテロは相当の日数、ヨッパでシモンという皮なめしのところに泊
まった。"
"441001","
使徒 10:1","さて、カイザリヤにコルネリオという人がいた。いわゆるイタリヤ
部隊の百卒隊の百卒長で、"
"441002","
使徒 10:2","家族一同と共に、敬虔であり敬神家[なかばユダヤ教に帰依した者]
であって、(ユダヤ)国民に多くの施しをし、また絶えず神に祈りをささげていた。"
"441003","
使徒 10:3","ある日の昼の三時ごろ、幻で、神の使が自分の所に来て「コルネリ
オ!」と言うのを、はっきり見た。"
"441004","
使徒 10:4","彼は天使を見つめたが、こわくなって言った、「主よ、何の御用で
しょう。」天使が言った、「あなたのかずかずの祈りと施しとは神のところまで上っていっ
て、(受けいれられ)記念されている。"
"441005","
使徒 10:5","さあすぐヨッパに人をやって、通り名をペテロというシモンを招け。
"
"441006","
使徒 10:6","その人はシモンという皮なめしのところに泊まっている。家は海岸
にある。」"
"441007","
使徒 10:7","天使がこう言って立ち去ると、コルネリオは僕二人と、従卒のうち
の敬虔な兵卒一人とを呼び、"
"441008","
使徒 10:8","(今あったことの)一部始終を話してきかせて、ヨッパにやった。
"
"441009","
使徒 10:9","翌日、彼らが旅行をつづけて(ヨッパの)町に近づいた昼の十二時
ごろ、ペテロは(いつもの通りに)祈りをしようとして、(平たい)屋根に上がった。"
"441010","
使徒 10:10","空腹をおぼえ、(何か)食べたいと思っていた。そして人々が(食
事の)支度をしているあいだに、ペテロは我を忘れた心地がして、"
"441011","
使徒 10:11","天が開け、大きな布のような器物が下ってきて、四隅で地上に吊
りおろされるのを見る。"
"441012","
使徒 10:12","その中にはすべての地の四足と爬虫類と、空の鳥とが入っていた。
"
"441013","
使徒 10:13","すると、「ペテロ、立って、これを殺して食べよ」という声がきこ
えてきた。"
"441014","
使徒 10:14","ペテロが言った、「主よ、決して!わたしは今までただの一度も、
不浄なものと汚れたものとを何一つ食べたことがありませんから。」"
"441015","
使徒 10:15","声がまた二度目にきこえてきた、「神がお清めになったものを、あ
なたが不浄なものとしてはならない。」"
"441016","
使徒 10:16","こんなことが三度あって、すぐ器物は天にあげられた。"
"441017","
使徒 10:17","ペテロがいま見た幻はいったい何(の意味)であろうかとひそか
に思いとどまっていると、その時、コルネリオからの使がシモンの家を尋ねだして玄関に
近寄り、"
"441018","
使徒 10:18","案内を乞うて、通り名をペテロというシモンがここに泊まっては
いないかとたずねた。"
"441019","
使徒 10:19","ペテロが(なおも)幻について考えこんでいると、御霊が言われ
た、「そら、二人の人があなたをたずねている。"
"441020","
使徒 10:20","さあ立って下りていって、すこしもためらわずその人たちと一緒
に行け。彼らはわたしが、よこしたのだから。」"
"441021","
使徒 10:21","そこでペテロはその人たちの所に下りていって、言った、「このわ
たしがおたずねのペテロです。お出での御用向きは。」"
"441022","
使徒 10:22","彼らが言った、「百卒長コルネリオは正しい人で敬神家で、ユダヤ
国民全体に評判のよい人ですが、聖なる天使から、あなたを家に招いて御言葉を聞けとの
お告げを受けたのです。」"
"441023","
使徒 10:23","そこでペテロは彼らを内に入れて、泊めた。翌日立って、彼らと
一緒に出かけた。ヨッパの数人の兄弟も一緒に行った。"
"441024","
使徒 10:24","翌日カイザリヤに着いた。コルネリオは親類や親しい友人たちを
呼びあつめて、待っていた。"
"441025","
使徒 10:25","ペテロが玄関に入ってくると、コルネリオは出迎え、足元にひれ
伏しておがんだ。"
"441026","
使徒 10:26","ペテロが起こして言った、「立ちなさい、このわたしも同じ人間で
す。」"
"441027","
使徒 10:27","そしてコルネリオと語り合いながら(部屋に)入り、多くの人が
集まってきているのを見ると、"
"441028","
使徒 10:28","彼らに言った、「御承知のとおり、(わたし達)ユダヤ人は他国人
と交際すること(はおろか、その家に)立ち寄ることを(すら)律法上許されない。しか
し神は(こんど)わたしに、どんな人をも不浄とか汚れているとか言ってはならぬとお示
しになった。"
"441029","
使徒 10:29","それゆえ(あなた達他国人から)呼ばれたとき、とやかく言わず
に来たのです。それでたずねるが、どういう理由でわたしを呼んだのですか。」"
"441030","
使徒 10:30","コルネリオが言った、「今から四日前のこの時刻、昼の三時に、わ
たしが家で祈りをしていると、突然、輝く着物を着た一人の人が前に立って、"
"441031","
使徒 10:31","言う、『コルネリオ、あなたの祈りは聞きいれられ、かずかずの施
しは神に記念されている。"
"441032","
使徒 10:32","ヨッパに使をやって、通り名をペテロというシモンを呼びよせよ。
その人は海岸の皮なめしシモンの家に泊まっている』と。"
"441033","
使徒 10:33","そこでさっそく迎えにあげたのです。お出でくださってありがた
い。それで今わたし達は皆神の前に出て、主があなたに命じられたことを残らずうかがお
うとしているのです。」"
"441034","
使徒 10:34","口を開いてペテロが言った、「本当に”神はえこ贔屓をするお方で
なく、”"
"441035","
使徒 10:35","神を恐れ、正しいことを行う人でさえあれば、どんな民族であろ
うと歓迎されることが、わたしにはよくわかっています。"
"441036","
使徒 10:36","“神は御言葉をイスラエルの”子孫に“おくり、”イエス・キリス
トをもって、“(御自分との間の)平和の福音を伝えられました。”──イエスは万人の主
であります。──"
"441037","
使徒 10:37","あなた達は(洗礼者)ヨハネが洗礼を説いた後、ガリラヤから始
まってユダヤ中にゆきわたった出来事を知っておられる。"
"441038","
使徒 10:38","すなわち、“神が”いかに聖“霊”と(大いなる)力と“をもって”
ナザレのイエスに“油を注がれ(て聖別され)た”か、このイエスが(あちらこちらを)
巡回しながら、恩愛を施し、悪魔におさえつけられている者を皆直されたかを。神がご一
緒におられたからです。"
"441039","
使徒 10:39","──(使徒たる)わたし達は、イエスがユダヤ人の地、ことにエ
ルサレムでされた一切のことの証人です。──このイエスを人々は“(十字架の)木にか
けて”処刑した。"
"441040","
使徒 10:40","(しかし)神はこの方を三日目に復活させ、(人の目にも)見える
ようにされた。"
"441041","
使徒 10:41","(ただし)国民全体でなく、神からあらかじめ選ばれていた証人
であるわたし達、すなわちイエスが死人の中から復活されたあとで、一緒に飲み食いした
者(だけ)に見えたのです。"
"441042","
使徒 10:42","そして神はわたし達に命じて、この方こそ神に定められた、生き
ている者と死んだ者との審判者であると、国民に説きまた証しさせられるのです。"
"441043","
使徒 10:43","預言者たちは皆、彼を信ずる者はことごとく、その名のゆえに罪
の赦しを受けることを、彼について証明しています。」"
"441044","
使徒 10:44","ペテロがまだこれらの言葉を話しおわらぬうちに、聖霊が全聴衆
に下った。"
"441045","
使徒 10:45","ペテロと一緒に来た割礼のある信者たちは、(割礼のない)異教人
にも聖霊の賜物が注がれたのに、あきれかえった。"
"441046","
使徒 10:46","彼らが霊言を語り、神をあがめているのを聞いたからである。そ
こでペテロが言った、"
"441047","
使徒 10:47","「わたし達と同じく聖霊を受けたこの人たちに、だれが洗礼の水
をこばむことが出来よう。」"
"441048","
使徒 10:48","そしてイエス・キリストの名で洗礼を受けるようにと彼らに命じ
た。それから彼らはペテロに頼んで、(なお)数日(そこに)泊まってもらった。"
"441101","
使徒 11:1","すると(割礼のない)異教人も神の言葉を受け入れたことが、使徒
たちとユダヤにいる兄弟たちとの耳に入った。"
"441102","
使徒 11:2","そこでペテロがエルサレムに上ってきた時、割礼のある者たちが詰
問して"
"441103","
使徒 11:3","言った、「あなたは割礼のない人たちの所に行って、一緒に食事を
したというではないか。」"
"441104","
使徒 11:4","ペテロは順序ただしく(次のように)説明をはじめた。"
"441105","
使徒 11:5","「(ある日)わたしがヨッパの町で祈りをしていると、(いつしか)
我を忘れた心地で幻を見た。大きな布のよう器物が四隅で天から吊られて下ってきて、つ
いにわたしの所まで来た。"
"441106","
使徒 11:6","(驚いて)それに目をとめ、よく見ていると、地の四足と野獣と爬
虫類と空の鳥とが見えた。"
"441107","
使徒 11:7","またこう言う声が聞こえた、『ペテロ、立って、これを殺して食べ
よ。』"
"441108","
使徒 11:8","わたしは言った、『主よ、決して!不浄なものや汚れたものを、わ
たしは今までただの一度も口に入れたことがありませんから。』"
"441109","
使徒 11:9","二度目に声が天から答えた、『神がお清めになったものを、あなた
が不浄なものとしてはならない。』"
"441110","
使徒 11:10","こんなことが三度あって、また一つのこらず天に引き上げられた。
"
"441111","
使徒 11:11","するとその時、さっそくカイザリヤ(の異教人コルネリオ)から
来た三人の使が、わたし達がいた家に近寄った。"
"441112","
使徒 11:12","御霊がわたしに、すこしもためらわずその人たちと一緒に行けと
言われた。この六人の兄弟もわたしと一緒に行って、わたし達はその人の家に入った。"
"441113","
使徒 11:13","するとその人は、天使がその家にあらわれ、『ヨッパに使をやって、
通り名をペテロというシモンを呼べ。"
"441114","
使徒 11:14","彼はあなたも家族一同も救われる御言葉を語ってくれる』と言う
のを見たことを、わたし達に報告した。"
"441115","
使徒 11:15","わたしが話を始めると、聖霊が彼らの上に下った、最初(あのペ
ンテコステの時)にわたし達に下ったように。"       
"441116","
使徒 11:16","わたしは主の言葉を思い出した──『ヨハネは水で洗礼を授けた
が、あなた達は聖霊で洗礼を授けられるであろう』と主は言われた。"
"441117","
使徒 11:17","だから主イエス・キリストを信じた彼らに、わたし達と同じ賜物
を神がお与えになった以上、何者なればわたしは神の邪魔をすることが出来よう。」"
"441118","
使徒 11:18","これを聞いて人々は沈黙し、「それでは異教人にも、神は(永遠の)
命を得させる悔改めをお与えになったのだ」と言って、神を讃美した。"
"441119","
使徒 11:19","さて、ステパノ(殉教)のためにおこった苦難の結果(エルサレ
ムから四方に)散らばった者たちは(あちらこちら巡回しながら)ピニケ(地方)、クプ
ロ(島)、(シリヤの都)アンテオケまでも行ったが、ただユダヤ人のほか、だれにも御言
葉を語らなかった。"
"441120","
使徒 11:20","しかしそのうちに数人のクプロ人とクレネ人とがいて、アンテオ
ケに行ったとき異教人にも語り、主イエスの福音を伝えた。"
"441121","
使徒 11:21","(神なる)主の御手が彼らに働き、多数の者が信じて主(イエス)
に帰依した。"
"441122","
使徒 11:22","この噂がエルサレムにある集会の耳に入ったので、彼らは(事を
確かめるため)バルナバをアンテオケに送った。"
"441123","
使徒 11:23","彼は行って神の恩恵(が注がれている有様)を見て喜び、決して
その決心を動かさず主を離れずにいるようにと、皆に勧めた。"
"441124","
使徒 11:24","バルナバという人はりっぱな、聖霊と信仰とに満ちた人であった
からである。そして大勢の人が主に導かれた。"
"441125","
使徒 11:25","彼はまたサウロを捜しにタルソに出かけ、"
"441126","
使徒 11:26","見つけると、アンテオケにつれてきた。そして二人は丸一年もの
あいだ(アンテオケ)集会に一緒にいて、大勢の人を教えた。このアンテオケではじめて
(主の)弟子たちをクリスチャンと呼んだ。"
"441127","
使徒 11:27","このころ預言者たちがエルサレムからアンテオケに下ってきたが、
"
"441128","
使徒 11:28","そのうちの一人のアガボという者が立って、全世界に大飢饉が来
ようとしていると御霊によって予言していたところ、はたして(皇帝)クラウデオの時に
あった。"
"441129","
使徒 11:29","そこで(主の)弟子たちはめいめい分相応、ユダヤに住んでいる
(気の毒な)兄弟たちに援助を送ることに決めた。"
"441130","
使徒 11:30","それを(すぐに)実行し、バルナバとサウロとの手で、(エルサレ
ムの)長老たちに送った。"
"441201","
使徒 12:1","そのころにヘロデ(・アグリッパ[一世])王は(エルサレム)集
会の者数人の迫害に手をつけ、"
"441202","
使徒 12:2","剣をもって(ゼベダイの子)ヨハネの兄弟のヤコブの首をはねた。
"
"441203","
使徒 12:3","これがユダヤ人の気に入ったのを見ると、なお続けてペテロをもつ
かまえさせ、──それは種なしパンの祭の時であった(ので)──"
"441204","
使徒 12:4","彼を捕らえたのち牢に入れ、四人組の(夜警の)兵卒四組に渡して
番をさせた。過越の祭のあとで、(裁判をする時)民衆の前に引き出すつもりであった。"
"441205","
使徒 12:5","それでペテロは(厳粛に)見張りをさせて牢におり、集会からは彼
のため祈りが熱心に神にささげられていた。"
"441206","
使徒 12:6","(祭がすんだ夜、すなわち)ヘロデがペテロを引き出そうとしてい
た日の前夜、ペテロは二人の兵卒の間に二つの鎖につながれて眠っていた。また牢番らは
戸の前で牢を見張っていた。"
"441207","
使徒 12:7","するとそこに主の使があらわれて、光が部屋の中に輝いた。天使は
脇をつついてペテロを起こし、「早く立て」と言った。すると鎖が両手からはずれ落ちた。
"
"441208","
使徒 12:8","天使が言った、「裾をひきからげ、草鞋をはけ。」そのとおりにした。
また言う、「外套を着てついて来い。」"
"441209","
使徒 12:9","ペテロは(命じられるままに部屋を)出て、ついて行った。彼は天
使のしたことが現実のこととわからずに、ただ幻を見ていると思っていた。"
"441210","
使徒 12:10","第一、第二の見張り所を(無事に)通りすぎて、都に通ずる鉄の
門のところに来ると、それがひとりでにあいた。そこを出て、なお一つだけ通りを行くと、
たちまち天使は彼を離れた。"
"441211","
使徒 12:11","ペテロは我にかえって言った、「今はじめて事の真相がわかった。
主は天使を送って、ヘロデの手から、またユダヤ人たちが(危害を加えようと)待ち構え
ていたあらゆることから、救い出してくださったのだ」と。"
"441212","
使徒 12:12","こうだと解ったので、ペテロは通り名をマルコというヨハネの母
マリヤの家に行った。そこには大勢が集まって、(ペテロのために)祈っていた。"
"441213","
使徒 12:13","玄関の戸をたたくと、ロダという女中が取次に出てきたが、"
"441214","
使徒 12:14","ペテロの声と気づくや、あまりの嬉しさに玄関もあけずに(奥に)
駈けこんで、ペテロが玄関の前に立っていると知らせた。"
"441215","
使徒 12:15","人々は「あなたは頭が変だ」と言ったが、そうだと頑張るので、「(で
は)ペテロの(守り)天使だろう」と言った。"
"441216","
使徒 12:16","しかしペテロは戸をたたきつづけた。人々があけてペテロを見、
呆気にとられた。"
"441217","
使徒 12:17","ペテロは声を出さぬようにと手で合図をして、主が牢からつれだ
してくださったことを話してきかせ、また、「このことを(主の兄弟の)ヤコブと(集会
の)兄弟たちとに知らせてくれ」と言った。そしてそこを出て、別の所に行った。"
"441218","
使徒 12:18","朝になると、ペテロはいったいどうしたのだろうと、(見張りの)
兵卒のあいだに一方ならぬ騒ぎがあった。"
"441219","
使徒 12:19","ヘロデはペテロを捜したけれども見つからないので、(非常に怒っ
て自分で)牢番らを尋問したのち死刑に処するようにと命じ、ユダヤからカイザリヤに下
って滞在していた。"
"441220","
使徒 12:20","さて(このころ、)ツロ人とシドン人とはヘロデの烈しい怒りに触
れていたので、心を一つにして彼の所に来て、王の侍従ブラストに取り入って和解(のと
りなし)を乞うた。彼らの国は王の領地から食糧を得ていた(のに、それが出来なくなっ
た)からである。"
"441221","
使徒 12:21","そこでヘロデは定めの日に(銀の)王服をまとって王座に着き、
彼らに演説をした。"
"441222","
使徒 12:22","民衆が「(今のは)神様のお声だ、人間のではない」とどなった。
"
"441223","
使徒 12:23","(王はそれを喜んだ。)たちどころに主の使が彼を打った。神に栄
光を帰することをしなかった罰である。彼は(生きながら)蛆に食われて(とうとう)息
が絶えた。"
"441224","
使徒 12:24","こうして主の御言葉は成長し、信者の数はふえていった。"
"441225","
使徒 12:25","バルナバとサウロとは援助を終えると、通り名をマルコというヨ
ハネを連れて、エルサレムから(アンテオケに)帰った。"
"441301","
使徒 13:1","アンテオケにはそこの集会に、バルナバとニゲルと言われたシメオ
ン、クレネ人ルキオ、および領主ヘロデ(・アンテパス王)の幼な友達マナエンとサウロ
らの、預言者や教師がいた。"
"441302","
使徒 13:2","(ある日)彼らが主に祈りをし、断食をしていると、聖霊が言われ
た、「さあ、わたしがバルナバとサウロとを呼び出してさせようとしている仕事(異教人
の伝道)に、二人を聖別せよ。」"
"441303","
使徒 13:3","そこで人々は断食をし、祈りをしたのち、彼らに手をのせて旅立た
せた。"
"441304","
使徒 13:4","ところで二人は聖霊に遣わされて(アンテオケから)セルキヤに下
り、そこから(バルナバの郷里)クプロ(島)に船で渡った。"
"441305","
使徒 13:5","そしてサラミス(の町)につくと、あちこちのユダヤ人の礼拝堂で
神の言葉を宣べ伝えた。(通り名をマルコという)ヨハネが助手であった。"
"441306","
使徒 13:6","彼らは島中を巡回してパポスまで行き、(そこで)ひとりの魔術師
に出会った。ユダヤ人の偽預言者で、バルイエスといい、"
"441307","
使徒 13:7","地方総督セルギオ・パウロと親しかった。総督は物わかりのよい人
であった。バルナバとサウロとを招いて、神の言葉を聞きたいと願った。"
"441308","
使徒 13:8","しかし魔術師エルマは──エルマを訳すると「魔術師」──総督を
信仰に入れまいとして、しきりに二人に反対した。"
"441309","
使徒 13:9","するとサウロは──またパウロともいう──聖霊に満たされ、彼を
じっと見つめて"
"441310","
使徒 13:10","言った、「ああ、あらゆる悪巧み、あらゆるごまかしで一ぱいの、
この悪魔の子よ、あらゆる正しいことの敵よ、“主の真直ぐな道を”曲げることをやめな
いのか。"
"441311","
使徒 13:11","さあ、主の御手がお前の上にくだるのだ。お前は盲になって、時
が来るまで日の光が見えなくなる。」たちどころに暗い霞が彼の目にかかった。彼は手を
引いてくれる人を手さぐりでさがしまわった。"
"441312","
使徒 13:12","すると総督はこの出来事を見て、信者になった。主の教え(の力)
に驚いてしまったのである。"
"441313","
使徒 13:13","さてパウロの一行はパポスから船出して、パンフリヤ(州)のペ
ルガに着た。しかし(通り名をマルコという)ヨハネは(一緒に旅行することを喜ばず、)
二人を離れてエルサレムに帰った。"
"441314","
使徒 13:14","二人はペルガからさらに巡回をつづけて、ピシデヤ(地方)のア
ンテオケに来た。そして安息の日に(ユダヤ人の)礼拝堂に入って坐った。"
"441315","
使徒 13:15","律法と預言書との朗読がすんだ後、礼拝堂監督たちは二人に言わ
せた、「兄弟の方々、人々へ何か奨励の言葉をお持ちの方は、話してください。」"
"441316","
使徒 13:16","そこでパウロが立ち上がり、手で合図をして、それから言った。「イ
スラエル人諸君、ならびに敬神家の方々、聞いてください。"
"441317","
使徒 13:17","この民イスラエルの神はわたし達の先祖(アブラハム、イサク、
ヤコブ)を(約束の担い手として)選ばれた。そしてエジプトの地に身を寄せている間に、
この民(の数と力と)を大きくし、“強い御腕をもってそこからつれだし、”"
"441318","
使徒 13:18","およそ四十年の間“荒野で彼らを抱きかかえて育て、”"
"441319","
使徒 13:19",“カナンの地で七つの(異教の)民族を滅ぼし、”その地を“(彼ら
に)相続財産として与えて、”"
"441320","
使徒 13:20","およそ四百五十年たった。そののち、預言者サムエル(の現われ
る時)まで士師たちを与え(て治めさせ)られた。"
"441321","
使徒 13:21","それから彼らが王を求めたので、神はベニヤミン族の人、キスの
子サウルを四十年(王として)彼らに与えられた。"
"441322","
使徒 13:22","彼を退けたのちに、ダビデを立てて王にし、こう言って賞賛され
た、『エッサイの子“ダビデを見つけた。”“この人はわたしの気に入った。””なんでもわ
たしの思うことをするにちがいない”』と。"
"441323","
使徒 13:23","このダビデの子孫から、神は約束によりイエスを救い主としてイ
スラエルに来させられたが、"
"441324","
使徒 13:24","(洗礼者)ヨハネがその登場の先駆けをして、イスラエルの民全
体に悔改めの洗礼を前もって説いた。"
"441325","
使徒 13:25","そしてヨハネは(務めを果たして)走るべき道を終ろうとする時
に、『あなた達がそれだと考えている者は、わたしではない。今すぐわたしのあとから来
られる。わたしはその足の靴をぬがしてあげる資格もない者である』と言った。"
"441326","
使徒 13:26","兄弟の方々──アブラハムの子孫の方々と、あなた達の中の敬神
家の方々よ、(神から)わたし達に、この(イエスの)救いを知らせる“言葉は送られた
のです。”"
"441327","
使徒 13:27","なぜなら、エルサレムに住んでいる人と彼らの(最高法院の)役
人たちとは、この方がわからず、安息日のたびごとに朗読される預言者たちの言葉もわか
らずに、判決を下してそれを成就し、"
"441328","
使徒 13:28","死罪にあたるなんの罪も認められないにもかかわらず、ピラトに
願って彼を死刑にしてしまったのだから。"
"441329","
使徒 13:29","そして彼について(聖書に)書いてあることを一つのこらず完了
すると、(十字架の)木から(死体を)下ろして墓に納めた。"
"441330","
使徒 13:30","しかし神は彼を死人の中から復活させられ、"
"441331","
使徒 13:31","彼はガリラヤからエルサレムに一緒に上ってきた人たちに、幾日
もの間御自分をお現わしになったので、(この復活の主を目のあたり見た)この人たちが、
今(イスラエルの)民に対して彼の証人になっています。"
"441332","
使徒 13:32","わたし達も、先祖に与えられたこの約束の福音を、(こうして)あ
なた達に伝えているのです。"
"441333","
使徒 13:33","すなわち、『“あなたこそわたしの子、わたしがきょうあなたを生
んだ”』と詩篇第二にも書いてあるように、神はイエスを復活させて、子孫たるわたし達
にその約束を果たしてくださったことを。"
"441334","
使徒 13:34","なお、神がイエスをもう二度と朽ち果ててしまうことのない者と
して、死人の中から復活させられたことについては、『わたしは“ダビデに約束した永遠
不動の聖なる賜物[永遠の命]をあなた達に”与えよう』とこう言われた。"
"441335","
使徒 13:35","だから、(詩篇の)ほかの所でも『“(神よ、)あなたはあなたの聖
者(救世主)を朽ち果てさせられないであろう”』と言っている。"
"441336","
使徒 13:36","というのは、“ダビデは”彼の時代の人々に奉仕したのち神の御心
によって“眠り、先祖たち(の中)に”加えられて朽ち果てたのであるが、"
"441337","
使徒 13:37","神が復活させられたイエスは、朽ち果てられなかった。"
"441338","
使徒 13:38","だから兄弟の方々、このイエスによる罪の赦しがいまあなた達に
宣べ伝えられていることを、知ってください。モーセ律法では義とされることが出来なか
ったどんなことからでも、"
"441339","
使徒 13:39","信ずる者は一人のこらず、このイエスによって義とされるのです。
"
"441340","
使徒 13:40","だから預言書に言われていることが(あなた達に)起こらないよ
うに、気をつけなくてはいけない。"
"441341","
使徒 13:41","“(わたしの言葉を)軽んずる者たち、見ておれ、そして、たまげ
て、消えてなくなれ、私はあなた達の時に一つの事をする、どんなに話してきかせる者が
あってもあなた達が決して信じない”(恐ろしい裁きの)事である!(と神が言われたで
はないか。)」"
"441342","
使徒 13:42","二人が(礼拝堂を)出るとき、人々は次の安息日にこのことを話
してくれるようにと頼んだ。"
"441343","
使徒 13:43","集会がすむと、多数のユダヤ人と敬虔な改宗者とがパウロとバル
ナバについて来たので、二人は彼らと語って、(いつまでも)神のこの恩恵(の福音)を
はなれずにいるようにと熱心に説きすすめた。"
"441344","
使徒 13:44","その次の安息日には、ほとんど町中が神の言葉を聞きに集まって
きた。"
"441345","
使徒 13:45","すると(神の言葉は自分たちだけのものと思っていた)ユダヤ人
たちは、(異教人の)群衆を見て嫉妬にかられ、(イエスを)冒涜しながら、パウロの話す
ことに反対した。"
"441346","
使徒 13:46","そこでパウロとバルナバとは公然こう宣言した、「神の言葉は(お
約束どおり)まず第一に、君たち(ユダヤ人)に語られねばならなかった。(だから、そ
うしたのだ。)しかし君たちがそれをはねつけ、自分で自分を永遠の命にふさわしからぬ
者とするので、それでは、よし、異教人(の伝道)へ方向をかえる。"
"441347","
使徒 13:47","主はこのようにわたし達(伝道者)にお命じになっているから。“わ
たしはあなたを立てて異教人の光にした、あなたが地の果てまで救いを伝えるために。”」"
"441348","
使徒 13:48","これを聞いて異教人は喜び、主の言葉を讃美し、永遠の命へあら
かじめ定められていた者はみな信者になった。"
"441349","
使徒 13:49","こうして主の言葉がこの地全体に広まった。"
"441350","
使徒 13:50","しかしユダヤ人は敬神家の上流婦人や町の有力者をそそのかし、
パウロとバルナバとに向かって迫害を起こさせ、二人をその土地から追い出した。"
"441351","
使徒 13:51","二人は彼らに対し(縁を切った証拠に)足の埃を払いおとして(そ
こを去り、)イコニオムへ行った。"
"441352","
使徒 13:52","しかし(アンテオケの主の)弟子たちは(失望どころか、かえっ
て)歓喜と聖霊とに満たされていた。"
"441401","
使徒 14:1","イコニオムでも、二人は同じようにユダヤ人の礼拝堂に入って(御
言葉を)語ったところ、ユダヤ人とギリシヤ人との大勢の群が信者になった。"
"441402","
使徒 14:2","しかし信じようとしなかったユダヤ人は、(パウロ、バルナバだけ
でなく、)兄弟たち(全体)に対し、異教人の心を刺激して敵意を抱かせた。"
"441403","
使徒 14:3","それでも二人はかなり長い間(そこに)滞在していて、主を信じて
堂々と語り、主は彼らの手で徴や不思議なことをおこなわせながら、(彼らが説く)主の
(救いの)恩恵の言葉の正しいことを証明された。"
"441404","
使徒 14:4","すると町の住民が(二つに)割れ、ある者はユダヤ人に組し、ある
者は使徒たちに組した。"
"441405","
使徒 14:5","そして(とうとう)異教人とユダヤ人とが役人と一緒になって、彼
らをひどい目にあわせて石で打とうとする動きが起こると、"
"441406","
使徒 14:6","彼らはそれと気づき、ルカオニヤ(地方)の町であるルステラ、デ
ルベ、およびその周囲にのがれ、"
"441407","
使徒 14:7","そこで福音を説いていた。"
"441408","
使徒 14:8","当時ルステラに、足のきかない一人の男が坐っていた。母の胎内か
ら足なえで、まだ一度も歩いたことがなかった。"
"441409","
使徒 14:9","この人がパウロの話を聞いていると、パウロはじっと見つめ、(足
が)直るに必要な信仰があるのを見て、"
"441410","
使徒 14:10","大声で、「“自分の足で”まっすぐに“たちなさい!”」と言った。
すると(たちまち)躍って歩きまわった。"
"441411","
使徒 14:11","群衆はパウロがしたことを見て、声を張り上げ、ルカオニヤ弁で
「神様たちが人間の姿をして下ってこられた!」と言って、"
"441412","
使徒 14:12","バルナバをゼウス(の神)、パウロは重な話し手なのでヘルメス(の
神)と呼んだ。"
"441413","
使徒 14:13","また町の(門の)前にあるゼウス(神殿)の神主は、数匹の雄牛
と花輪とを門のところに持ってきて、群衆と共に犠牲を捧げようとした。"
"441414","
使徒 14:14","使徒たち、バルナバとパウロとはこれを聞いて、自分の上着を引
き裂き、群衆の中に飛び出していって、叫んだ、"
"441415","
使徒 14:15","「諸君、何をするのか。わたし達(二人)もあなた達と同じ人間
です。あなた達に福音を説いて、こんな(ゼウスなどのような命のない空な)偶像から離
れ、”天と地と海とそれらの中の一切の物とをお造りになった、”生ける(まことの)神に
転ずるようにしているのです。"
"441416","
使徒 14:16","過ぎた時代には、神はすべての異教人に自分の(好きな)道を歩
かせておられたが、"
"441417","
使徒 14:17","それでも、天から雨を振らせて実りの季節を与え、(豊かな)食べ
物の楽しみであなた達の心を満たすなど、かずかずの恩恵を施されたのであって、御自分
のことを証明せずにおられたわけではない。」"
"441418","
使徒 14:18","こう言って、やっと群衆をおし静め、自分たちに犠牲を捧げない
ようにした。"
"441419","
使徒 14:19","するとアンテオケとイコニオムとからユダヤ人がおしかけて来て、
群衆を説いて味方にし、パウロを石で打って町の外に引きずり出した。死んでしまったと
思ったのである。"
"441420","
使徒 14:20","(主の)弟子たちが(来て)彼を取り囲んで(見守って)いると、
(やがて)立ち上がり、町に入った。翌日バルナバと一緒にデベルへ向かって出発した。"
"441421","
使徒 14:21","二人は(しばらく)その町で福音を説き、だいぶ大勢弟子にした
ので、(来た道をもどり、)ルステラ、イコニオムを経て(ピシデヤの)アンテオケに引き
返した。"
"441422","
使徒 14:22","(道々主の)弟子たちの心を力づけ、いつまでも信仰に留まって
いるように、「神の国に入るには、わたし達は多くの苦難を通らねばならない」といまし
めた。"
"441423","
使徒 14:23","また(今度の伝道で生まれた)集会にはどこでも長老を選び、断
食をして祈って、(主の)弟子たちを彼らの信じている主にお任せした。"
"441424","
使徒 14:24","それからピシデヤを通ってパンフリヤ(州)に来、"
"441425","
使徒 14:25","ペルガで御言葉を語ったのち、アタリヤ(の港)に下り、"
"441426","
使徒 14:26","そこから(シリヤの)アンテオケに船で渡った。このアンテオケ
から、二人は神の恩恵にゆだねられて(伝道の)仕事に出発したのであったが、(いま見
事に)それを終え(て帰ってき)たのである。"
"441427","
使徒 14:27","彼らは(アンテオケに)着くと、集会の人々を集めて、神が自分
たちと一緒にいてしてくださったことをのこらず、また異教人に信仰への門を開いてくだ
さったことを、報告した。"
"441428","
使徒 14:28","そして相当長い間(そこの主の)弟子たちと一緒に過ごした。"
"441501","
使徒 15:1","すると(そのころ、)ユダヤ[エルサレム]から(アンテオケに)
下ってきて(そこの)兄弟に、「あなた達(異教人)も(わたし達と同じに、)モーセの慣
例に従って割礼を受けなければ、救われない」と教えた者があった。"
"441502","
使徒 15:2","そのためパウロ、バルナバとその人たちとの間に、相当大きく意見
が対立し争論がおこったので、この問題の(解決の)ため、パウロ、バルナバ、そのほか
の数人の者がエルサレムに上り、使徒、長老たちをたずねることに決まった。"
"441503","
使徒 15:3","さて一行は集会の人々に見送られて、ピニケ、サマリヤを通り、異
教人の改信(の様子)を詳しく話したので、(各地の)兄弟たちは皆大喜びであった。"
"441504","
使徒 15:4","エルサレムに着くと、集会の人々、使徒、長老たちの歓迎を受け、
神が自分たちと一緒にいてしてくださったことをのこらず報告した。"
"441505","
使徒 15:5","ところが信仰に入ったパリサイ派の者数人が立って、彼ら(異教人)
にも割礼を施すべきであり、モーセ律法を守るようにと命ずべきである、と言った。"
"441506","
使徒 15:6","使徒たちと長老たちとがこの事を解決するために集まった。(集会
の人々も一緒であった。)"
"441507","
使徒 15:7","長らく争論があったのち、ペテロが立ち上がって言った、「兄弟の
方々、(集会が出来た)始めの時から、神は異教人がわたしの口によって福音の言葉を聞
いて信ずるようにと、あなた達の間でわたしを選ばれたことは御承知のとおりである。"
"441508","
使徒 15:8","また、(人の)心を御存じの神は、(ユダヤ人たる)わたし達と同じ
く彼ら(異教人)にも、(信仰で救われる)証拠として聖霊を与え、"
"441509","
使徒 15:9","信仰によって彼らの心を清めて、わたし達と彼らとの間になんの差
別をもつけられなかった。"
"441510","
使徒 15:10","だからあなた達が、わたし達の先祖にもわたし達にも負いきれな
い(重い)軛を(異教人の主の)弟子たちの首にかけるのは、(信仰だけでよいと示され
る)神を試すことである。なぜそんなことをするのか。"
"441511","
使徒 15:11","わたし達は信ずる、主イエスの恩恵(だけ)でわたし達は救われ
る。彼らも同様である。」"
"441512","
使徒 15:12","すると会衆一同が黙った。そしてバルナバとパウロとが、自分た
ちをもって神がどんな徴や不思議なことを異教人の間で行われたかを話してきかせるのを、
(静かに)聞いていた。"
"441513","
使徒 15:13","二人の話が終った後、(主の兄弟の)ヤコブが発言した。"
"441514","
使徒 15:14","「兄弟の方々、聞いてもらいたい。シメオン[ペテロ]は(集会
が出来た)始めに、神がいかに御心にかけて、異教人のうちから御自分のために一つの民
を得られたかを話してくれたが、"
"441515","
使徒 15:15","預言者たちの言葉はそれと一致している。(ある所に)こう書いて
ある。"
"441516","
使徒 15:16","“そのあとで[最後の日に]わたしは(イスラエルの民を)顧み
て”“倒れたダビデの幕屋[王国]を建てなおす、その崩れた所を建てなおして幕屋を再
建する、"
"441517","
使徒 15:17","これは残りの人々、すなわちわたしの名をもって呼ばれるすべて
の異教人にも、主をさがし出させるためである。このことをされる主はこう言われる、"
"441518","
使徒 15:18","“遠い昔から知っておられて。”"
"441519","
使徒 15:19","(このように、主は世の初めから、最後の日の御国に異教人を招
こうとしておられるのである。)だからわたしはこういう意見である。異教人の中から(わ
れわれの)神に転ずる人たちを、(面倒なモーセ律法で)困らせてはならない。"
"441520","
使徒 15:20","ただ偶像に(供えて)穢された物と、(近親との)不品行と、締め
殺した動物(を食べること)と、血とを避けるべきであると書き送ったがよかろう。"
"441521","
使徒 15:21","なぜならば、モーセ(律法)は古い時代から町ごとにこれを説く
者たちがあって、安息日のたびごとに礼拝堂で朗読されているからである。」"
"441522","
使徒 15:22","そこで、使徒と長老とは集会全体と共に、自分たちのうちから人
を選んで、パウロ、バルナバと一緒に、アンテオケに派遣することに決した。そして兄弟
たちの間で重んじられていた二人、バルサバと言われたユダとシラスとが選ばれ、"
"441523","
使徒 15:23","こう書いて彼らに託された。「あなた達の兄弟である使徒と長老と
から、アンテオケをはじめシリヤとキリキヤとにある異教人出の兄弟たちに敬意を表する。
"
"441524","
使徒 15:24","聞くところによると、当方の者たちが(御地に行き、)われわれの
指図なしにいろいろなことを言ってあなた達を騒がせ、あなた達の心を乱したそうである
から、"
"441525","
使徒 15:25","われわれは衆議一決、人を選んで(書面を持たせ、)愛するバルナ
バとパウロとの供をさせて、あなた達の所に派遣することにした。──"
"441526","
使徒 15:26","この両人は(御承知のように)われわれの主イエス・キリストの
御名のために命を捧げている人である。──"
"441527","
使徒 15:27","それでいまユダとシラスとを派遣するが、彼らも口頭で(この書
面と)同じことを伝えるであろう。"
"441528","
使徒 15:28","聖霊とわれわれとは、必要欠くべからざる次のもののほか、それ
以上のいかなる重荷をもあなた達に負わせないことに決した。"
"441529","
使徒 15:29","すなわち偶像に供えた物と、血と、締め殺した動物(を食べるこ
と)と、(近親との)不品行とを避けること。これらのことによって身を汚されずにおれ
ば、よろしい。敬具。」"
"441530","
使徒 15:30","さて彼ら(四人)は別れを告げてアンテオケに下り、(集会の全)
会衆を集めて手紙を渡した。"
"441531","
使徒 15:31","人々はこれを読み、励ましを得て喜んだ。"
"441532","
使徒 15:32","ユダとシラス自身も預言者であったから、さまざまの話をして兄
弟たちを励まし力づけた。"
"441533","
使徒 15:33","二人は(ここでしばらく)時を過ごしたのち、兄弟たちに(旅路
の)平安を祈られて別れを告げ、彼らを派遣した(エルサレムの)人たちの所に帰ってい
った。"
"441534","
使徒[15:34無シ]
"441535","
使徒 15:35","しかしパウロとバルナバとはアンテオケに滞在して、ほかの多く
の人たちと共に、主の御言葉を教えまた伝えていた。"
"441536","
使徒 15:36","数日の後、パウロはバルナバに言った、「さあ、もう一度行って、
前に主の御言葉を伝えておいたすべての町の兄弟たちがどうしているか、見てこようでは
ないか。」"
"441537","
使徒 15:37","ところで、バルナバは(今度も)マルコというヨハネを連れてゆ
こうと思ったのに、"
"441538","
使徒 15:38","パウロは、(前の旅行の時)パンフリヤから自分たちを離れて、一
緒に仕事に行かなかったような者を、連れてゆくべきでないと頑張った。"
"441539","
使徒 15:39","それで烈しい仲違いになり、そのため二人は別れ別れになって、
バルナバはマルコを連れ、(前回と同じく郷里)クプロへ船で出発した。"
"441540","
使徒 15:40","パウロはパウロでシラスを選び、兄弟たちから主の恩恵にゆだね
られて出発し、"
"441541","
使徒 15:41","シリヤ、キリキヤを通りながら、あちこちの集会を力づけた。"
"441601","
使徒 16:1","それからパウロはデルベとルステラとに行った。すると、そこ[ル
ステラ]にテモテという(主の)弟子がいた。信者であるユダヤ婦人と異教人の父とのあ
いだの子で、"
"441602","
使徒 16:2","ルステラやイコニオムの兄弟たちの間に評判がよかった。"
"441603","
使徒 16:3","パウロはこの人を連れて行きたいと思ったので、そのあたりにいる
ユダヤ人に気兼ねして、彼に割礼を施した。父が異教人であることをだれもが知っていた
からである。"
"441604","
使徒 16:4","パウロの一行はこれらの町々を通る時、(その地の異教人出の)信
者たちに、エルサレムの使徒と長老とがさきに取り決めた規則を守るようにと言い渡した。
"
"441605","
使徒 16:5","さてもろもろの集会は信仰を強められ、日ごとに(信者の)数を増
していった。"
"441606","
使徒 16:6","それから彼ら[パウロ一行]は(始め西海岸の各地に向かおうと計
画したが、)アジヤで御言葉を語ることを聖霊に禁じられたので、(北に行くことにして、)
フルギヤ(地方)とガラテヤ地方とを通った。"
"441607","
使徒 16:7","ムシヤ(地方)の境まで来たとき、(さらに北の)ビテニヤ(州)
に進もうとしてみたけれども、(これも)イエスの御霊が許されなかったので、"
"441608","
使徒 16:8","(急いで)ムシヤを横切り、トロアス(の港)に下った。"
"441609","
使徒 16:9","すると(そこである)夜、パウロに幻が見えた。それはひとりのマ
ケドニヤ人で、(わきに)立ち、こう言って頼んだ、「(すぐ)マケドニヤに渡ってきてわ
たし達を助けてください。」"
"441610","
使徒 16:10","パウロがこの幻を見た時、わたし達(一七節マデノ「ワタシ達記
録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)はさっそくマケドニヤ州に出かけることにした。マケドニ
ナの人に福音を説くために、神はわたし達を呼び出されたのだという結論に達したからで
ある。"
"441611","
使徒 16:11","そこでわたし達はトロアスから船出してサモトラケ(島)に直航
し、翌日ネアポリス(の港)についた。"
"441612","
使徒 16:12","そこから(歩いて、)マケドニヤ第一区の町で(ローマの)植民地
であるピリピに行った。わたし達は数日この町に滞在していた。"
"441613","
使徒 16:13","安息の日に、わたし達は(町の)門を出て川ばたにいった。祈り
場がありそうに思ったのである。そして(そこに)坐って、集まってきた婦人たちに話を
した。"
"441614","
使徒 16:14","するとテアテラ町の紫毛織物の商人で、敬信家のルデヤという婦
人が聞いていたが、主はその心を開いてパウロの話に耳を傾けさせられた。"
"441615","
使徒 16:15","彼女が家族と共に洗礼を受けた時、「あなた達がもしわたしを(ほ
んとうに)主を信ずる者とお考えなら、家に来て泊まってください」と言って願い、わた
し達を無理に連れていった。"
"441616","
使徒 16:16","また(ある安息日に、)わたし達は祈り場に行く途中、占いの霊に
つかれたひとりの女奴隷に出合った。この女は占いをして、主人たちに多くの収益を得さ
せていた。"
"441617","
使徒 16:17","パウロとわたし達とのあとについて来て、叫んで言った、「この人
たちはいと高き神の僕です。あなた達に救いの道を伝えられるのです。」"
"441618","
使徒 16:18","幾日も幾日もこうして止めなかったので、ついにパウロは腹を立
て、振り向いてその霊に言った、「イエス・キリストの名で、女から出てゆくことをお前
に命ずる。」するとその瞬間に霊は出ていった。"
"441619","
使徒 16:19","女の主人たちは収益の望みが無くなったのを見て(憤り、)パウロ
とシラスとをつかまえて広場に引っ張ってゆき、役人のところに来て"
"441620","
使徒 16:20","長官たちの前に引き出して言った、「この人たちは(新しい教えを
持って来て)わたし達の町をかき乱しています。ユダヤ人であって、"
"441621","
使徒 16:21","ローマ人たるわたし達が採用しても実行してもよくない習慣を宣
伝しています。」"
"441622","
使徒 16:22","群衆も一緒に立って二人に迫ったので、(あわてた)長官たちは(取
り調べもせずに、)二人の上着をはぎ取って笞で打つようにと命じ、"
"441623","
使徒 16:23","ひどく打たせたのち、牢に入れて、牢番に手抜かりなく見張りを
するようにと命令した。"
"441624","
使徒 16:24","こんな(きびしい)命令を受けたので、牢番は二人を一番奥の牢
に入れ、足に足枷をはめた。"
"441625","
使徒 16:25","パウロとシラスとは夜中ごろ、祈りながら神の讃美の歌をうたっ
ていた。囚人どもは聞き入っていた。"
"441626","
使徒 16:26","すると突然大地震がおこり、牢屋の土台が揺れた。あっと言う間
に戸が皆あいて、すべての囚人の繋ぎが解けてしまった。"
"441627","
使徒 16:27","牢番は目を覚まし、牢の戸があいているのを見ると、囚人どもが
逃げたものと思い、剣を抜いて自決しようとした。"
"441628","
使徒 16:28","するとパウロが大声を出して言った、「早まったことをしなさるな。
みんなここにいるのだから。」"
"441629","
使徒 16:29","牢番は明りを持って来させて(牢の中に)駈けこみ、震えながら
パウロとシラスとの前にひれ伏した。"
"441630","
使徒 16:30","そして二人を外につれだして言った、「先生方、救われるにはどう
しなければならないのですか。」"
"441631","
使徒 16:31","二人が言った、「主イエスを信じなさい。そうすればあなたも家族
も救われる。」"
"441632","
使徒 16:32","そして彼に、家中の者も一緒にして、神の言葉を語った。"
"441633","
使徒 16:33","すると夜のそんな時刻であったが、牢番は二人を(井戸端に)連
れていって打ち傷を洗い、一家こぞってその場で洗礼を受けた。"
"441634","
使徒 16:34","なお二人を(二階にあった)その家に案内してご馳走をし、自分
が神を信ずる者となったことを全家族と共に大いに喜んだ。"
"441635","
使徒 16:35","朝になると、長官たちは警官らを使にやって、「あの人々を釈放せ
よ」と言わせた。"
"441636","
使徒 16:36","牢番はこの言葉をパウロに報告した、「長官たちがあなた方を釈放
するようにと使をよこしました。だからすぐお出なさい、”さよなら、平安あれ。”」"
"441637","
使徒 16:37","しかしパウロは警官らに言った、「長官たちは(いやしくも)ロー
マ市民たるわたし達を、(正式の)裁判もせず公然となぐって、牢に放り込んでおきなが
ら、今になってこっそり出そうとするのか。いけない、実に!自分が来て、わたし達をつ
れだしたらよかろう。」"
"441638","
使徒 16:38","警官らがこの言葉を長官たちに報告すると、ローマ市民であると
聞いて恐れをなし、"
"441639","
使徒 16:39","来て二人を宥め、(牢から)つれだした上、町を立ち去ってもらい
たいと頼んだ。"
"441640","
使徒 16:40","二人は牢を出ると、ルデヤの所に行き、兄弟たちに会って励まし
たのち、(町を)出ていった。"
"441701","
使徒 17:1","彼らはアムポリスとアポロニヤ(の町々)を通過してテサロニケに
行った。そこにはユダヤ人の礼拝堂があった。"
"441702","
使徒 17:2","パウロはいつものとおり入っていって、三度の安息日に聖書に由っ
て彼らに話をした。"
"441703","
使徒 17:3","すなわち救世主は苦しみを受けて(十字架の上に死に、)死人の中
から復活せねばならなかったこと、また、「わたしがあなた達に宣べ伝えているイエス、
この人こそ救世主である」と説き明かし、論証した。"
"441704","
使徒 17:4","すると、中には信じて、パウロとシラスとに従った者もあった。な
お敬神家の異教人の大勢の群と、少なからぬ有力な婦人たちも従った。"
"441705","
使徒 17:5","しかしユダヤ人は嫉妬のあまり、下層社会の無頼漢らと語らって野
次馬を熱め、町(中)を騒がせた。そしてヤソンの家に押しかけて、二人を民衆の前に引
き出そうとした。(ヤソンがかくまっていると思ったのである。)"
"441706","
使徒 17:6","しかし見つからないので、ヤソンと(主の)兄弟数人とを町役人た
ちの前に引っ張っていって、叫んだ、「帝国中をひっかき回したあの人たちがここにも来
ているのを、"
"441707","
使徒 17:7","このヤソンが(家に)かくまっています。あの人たちは皆(ローマ
の皇帝のほかに)イエスという別の王があると言って、帝国の勅令にそむいた行動をして
いるのです。」"
"441708","
使徒 17:8","これを聞いて群衆と町役人とは動揺し、"
"441709","
使徒 17:9","町役人はヤソンとほかの人たち[主の兄弟]から保証金を取った上
で、彼らを釈放した。"
"441710","
使徒 17:10","(テサロニケの)兄弟たちはすぐ夜の間に、パウロとシラスとを
ベレヤへ送り出した。二人はそこに着くと、ユダヤ人の礼拝堂に行った。"
"441711","
使徒 17:11","ここの人たちはテサロニケの者よりもりっぱであり、非常な熱心
をもって御言葉を受け入れ、はたしてその通りであるかどうかと、毎日聖書を調べた。"
"441712","
使徒 17:12","だから彼らのうちの多くの者が信じた。異教人の上流婦人や男子
で、信じた者も少なくなかった。"
"441713","
使徒 17:13","しかしテサロニケのユダヤ人たちは、ベレヤでもパウロによって
神の言葉が宣べ伝えられていることを知ると、やって来て、ここでも群衆をそそのかし、
動揺させた。"
"441714","
使徒 17:14","そこですぐ、(危険を感じた)兄弟たちはパウロを送り出して海の
方へ行かせた。シラスとテモテとはベレヤにのこった。"
"441715","
使徒 17:15","パウロの供をした人たちはアテネに送りとどけると、シラスとテ
モテとに出来るだけ早く来るようにとの言付けを受けて、帰った。"
"441716","
使徒 17:16","パウロはアテネで二人を待っているあいだに、都が偶像だらけで
あるのを見て、その心が怒りに燃えた。"
"441717","
使徒 17:17","それで、礼拝堂ではユダヤ人や敬神家たち、また広場では毎日毎
日そこに居合わせた人たちに、話をした。"
"441718","
使徒 17:18","数人のエピクロス派やストア派の哲学者も彼と会談したが、「この
お喋りはいったい何が言いたいのだろう」と言う者もあれば、「どうも外国の神々の宣伝
者らしい」と言う者もあった。パウロがイエスと復活のこととを伝えていたからである。"
"441719","
使徒 17:19","そこで彼を引っ張ってアレオパゴス[アレスの丘]法院につれて
ゆき、こう言った、「あなたが語っているその新しい教義はいったい何か、教えてもらう
訳にゆくまいか。"
"441720","
使徒 17:20","なんだか妙なことをわたし達の耳に入れるのだから。それで、そ
れはどういうことか知りたいと思う。」――
"441721","
使徒 17:21","アテネ人は皆、またそこに来て仮住いしている外国人も、何か新
しいことを言ったり聞いたりすることばかりに、時間をつぶしていたのである。──"
"441722","
使徒 17:22","パウロはアレオパゴス法院の真中に進み出て言った。「アテネ人諸
君、あなた達はどの点からしても、最高に信心深いようにわたしには見えます。"
"441723","
使徒 17:23","その証拠には、町を通りながらあなた達の聖殿を注意して見てい
たところ、知らぬ神に(献ずる)という銘のある祭壇すらありました。だからあなた達が
(こうして)知らずに敬っているもの、それをわたしは伝えよう。"
"441724","
使徒 17:24",“世界”とその中のもの”すべて“とをお造りになった神は天地の”
主であられるので、(人間の)手で造った宮などにお住みにならない。"
"441725","
使徒 17:25","また何か不自由があるかのように、人間の手によって奉仕される
ことはない。(むしろ反対に、)彼みずからすべての者に命と“息”と(その他)すべての
ものとを“お与えになる”のだから。"
"441726","
使徒 17:26","また一人の人(アダム)から万国民を造り、一定の時期[四季]
と住いの限界とを定めて、彼らを地の全面に住まわせられた。"
"441727","
使徒 17:27","これは神をさがし求めさせるためであって、こうしてあるいは手
探りで彼を発見することもあろうかとの大御心である。また実際のところ、神はわたし達
一人一人から遠く離れてはおられない。"
"441728","
使徒 17:28","わたし達は彼の中に生き、動き、また存在するのだから。あなた
達の詩人たちも言っているとおりです。われわれもそのお方[神]の子孫であるから。"
"441729","
使徒 17:29","だから、わたし達は神の子孫、(すなわち神に造られた者)である
以上、神性を金や銀や石など、(わたし達)人間の技巧や考えで刻んだものに似ていると
考えてはならない。"
"441730","
使徒 17:30","ところで神は(こんな)無知な時代を大目に見ておられるが、今
や人類に対し、どこの者でも皆、悔改めねばならないことをお告げになっています。"
"441731","
使徒 17:31","神は一つの日を決め、その日に御自分の定めた一人の人(イエス)
を使って“正しく(全)世界を裁こうと”計画しておられるからです。そして彼を死人の
中から復活させて、すべての人に(彼が世界を裁くべき人であるという)その保証をお与
えになったのであります。」"
"441732","
使徒 17:32","死人の復活と聞くと、嘲る者もあり、「そのことはまたいつかあな
たに聞こう」と言う者もあった。"
"441733","
使徒 17:33","こんなことで、パウロは彼らの中から出ていった。"
"441734","
使徒 17:34","しかし数人の者は、弟子になって信仰に入った。その中にはアレ
オパゴス法院の裁判官デオヌシオと、ダマリスという婦人と、なおその他の人がいた。"
"441801","
使徒 18:1","その後パウロはアテネを去って、コリントに行った。"
"441802","
使徒 18:2","そこで、偶然アクラというポント生まれのユダヤ人、およびその妻
プリスキラと知合いになった。二人は(皇帝)クラウデオがユダヤ人全体にローマ退去の
命令を出したため、最近イタリヤから来ていたのであった。パウロが彼らを訪ねると、"
"441803","
使徒 18:3","同業であったので、その家に泊まって一緒に仕事をした。職業は天
幕造りであった。"
"441804","
使徒 18:4","パウロは安息日のたびごとに礼拝堂で話をして、ユダヤ人、異教人
の別なく、説得しようとした。"
"441805","
使徒 18:5","しかしシラスとテモテとがマケドニアから下ってきてからは、パウ
ロは(生活の心配がなくなったので)ただ御言葉(を伝えること)に身をゆだね、ユダヤ
人にイエスが(彼らの待ち望んでいる)救世主であることを証しした。"
"441806","
使徒 18:6","しかしユダヤ人にはこれに反対して(イエスを)冒涜するので、パ
ウロは(絶縁のしるしに)上着の塵を払いおとして彼らに言った、「(最後の裁きの日に流
す)あなた達の血の責任は、あなた達自身に負わされる!わたしは良心の咎めなく(あな
た達をすてて、)今からのち異教人へ(伝道に)行く。」"
"441807","
使徒 18:7","そしてそこ[礼拝堂]を去り、テテオ・ユストという敬神家の家に
行っ(て伝道を始め)た。その家は礼拝堂の隣にあった。"
"441808","
使徒 18:8","しかし礼拝堂監督のクリスポは全家族そろって主を信じた。また多
くのコリント人もパウロの話を聞き、つぎつぎに信じて洗礼を受けた。"
"441809","
使徒 18:9","するとある夜主が幻でパウロに言われた、「“恐れることはない。”
語りつづけよ、沈黙するな。"
"441810","
使徒 18:10","“わたしはいつもあなたと一緒にいて、”だれもあなたを襲って害
を加える者はない“のだから。”またこの町にはわたしの民が沢山いるのだから。」"
"441811","
使徒 18:11","そこでパウロは一年六か月の(長い)あいだ(コリントに)とど
まっていて、人々の間で神の言葉を教えた。"
"441812","
使徒 18:12","(その間にこんな事件があった。)ガリオがアカヤ(州)の地方総
督であったとき、(ここの)ユダヤ人はパウロに向かって一せいに立ち上がり、彼を裁判
席に引き出して"
"441813","
使徒 18:13","こう言っ(て訴え)た、「この者は人々を説き伏せて、(われわれ
ユダヤ人の)律法にそむいて神を拝ませようとしています。」"
"441814","
使徒 18:14","そこでパウロが(弁明のため)口を開こうとすると、ガリオがユ
ダヤ人に言った、「ユダヤ人諸君、もしこれが何か不正をしたとか、悪事をはたらいたと
かいうのであったら、わたしはあなた達の希望どおりに訴えを認めるが、"
"441815","
使徒 18:15","問題が(宗教の)教義や、(救世主という)人物や、あなた達の律
法に関するものなら、自分で始末したがよかろう。わたしはそんなことの裁判官になりた
くない。」"
"441816","
使徒 18:16","そして彼らを裁判席から追い出した。"
"441817","
使徒 18:17","するとみんなが礼拝堂監督のソステネをつかまえて、裁判席の前
で袋叩きにした。ガリオは知らぬ顔をしていた。"
"441818","
使徒 18:18","パウロはなお相当の日数引きつづき(コリントに)留まったのち、
(いよいよ)兄弟たちに別れを告げ、船でシリヤへ向けて出発した。プリスキラとアクラ
も一緒であった。(途中)彼はケンクレヤ(の港)で頭を刈った。かねて(ナジル人の)
誓願を立てていた(のが満ちた)からである。"
"441819","
使徒 18:19","一行が(アジヤ州の)エペソに着くと、パウロは(一人で旅行を
続けることにして)二人をそこに残し、自分だけ礼拝堂に入ってユダヤ人に話をした。"
"441820","
使徒 18:20","人々はもっと長く留まっていてもらいたいと頼んだが、承知せず、
"
"441821","
使徒 18:21","「神の御心ならばあなた達の所に引き返してこよう」と言って別
れを告げ、エペソから船出して、"
"441822","
使徒 18:22","カイザリヤに上陸し、(エルサレムに)上って集会(の人々)に挨
拶し、アンテオケに下った。"
"441823","
使徒 18:23","そして(ここで)しばらく時を過ごしたのち、(また旅行に)出か
け、ガラテヤ地方とフルギヤ(地方)とをつぎつぎに通りながら、すべての(主の)弟子
たち(の信仰)を強めた。"
"441824","
使徒 18:24","さて、(パウロがエペソを去ったあとで、エジプトの)アレキサン
ドリヤ生まれのアポロというユダヤ人がエペソに来た。能弁な人で、聖書に精通していた。
"
"441825","
使徒 18:25","この人は主の道[キリスト教]について手ほどきを受けていたが、
情熱をもって語り、またイエスのことを精密に教えていた。ただし、ヨハネの洗礼だけし
か知らなかった。"
"441826","
使徒 18:26","この人が礼拝堂で大胆に話を始めた。プリスキラとアクラとが彼
の話を聞くと、(家に)迎え、なお一層精密に神の道[キリスト教]を説明した。"
"441827","
使徒 18:27","そして彼がアカヤに渡りたいと言ったとき、(エペソの)兄弟達は
(コリントの主の)弟子たちに、彼を歓迎するようにと手紙を書いて勧め励ました。アポ
ロは(コリントに)着くと、(与えられた)恩恵(の福音)によって(そこの)信者に大
いに役だった。"
"441828","
使徒 18:28","彼は聖書によって公然とイエスが救世主であることを示し、痛烈
にユダヤ人を論破したからである。"
"441901","
使徒 19:1","アポロがコリントにいた時、パウロは(小アジヤの)奥地(ガラテ
ヤ、フルギヤ)を通ってエペソに来たが、数人の(主の)弟子に出会って、"
"441902","
使徒 19:2","「あなた達は信仰に入ったとき、聖霊を受けたか」とたずねると、
「それどころか聖霊があることを聞いたことすらありません」とこたえた。"
"441903","
使徒 19:3","「ではいったい何で洗礼を受けたのか」と言うと、彼らが言った、
「ヨハネの洗礼で。」"
"441904","
使徒 19:4","パウロが言った、「ヨハネは(水で)悔改めの洗礼を授けて、自分
のあとに来られる方、すなわちイエスを信ずるように、(そしてその聖霊の洗礼を受ける
ように)と民に言ったのである。」"
"441905","
使徒 19:5","彼らはこれを聞いて、主イエスの名で洗礼を受けた。"
"441906","
使徒 19:6","そしてパウロが彼ら(の頭)に手をのせると、(たちまち)聖霊が
くだって、彼らは霊言を語りまた預言しはじめた。"
"441907","
使徒 19:7","その人たちは皆で十二人ばかりであった。"
"441908","
使徒 19:8","それからパウロは礼拝堂に入って、(ユダヤ人に)三か月の間大胆
に話をし、神の国について説得しようとした。"
"441909","
使徒 19:9","しかし(その中の)数人が頑なで信じようとせず、会衆の前で(キ
リストの)道[キリスト教]の悪口を言った時、彼はその人たちを離れて、(主の)弟子
たちをも引き離し、ツラノの講堂で毎日話をした。"
"441910","
使徒 19:10","これが二年つづいたので、アジヤ(のこの地方)に住んでいる者
は皆、ユダヤ人も異教人も、主の言葉を聞いた。"
"441911","
使徒 19:11","また神はパウロの手で、ただならぬかずかずの奇跡を行われた。"
"441912","
使徒 19:12","彼の肌についた手拭や前掛を取って病人につけると、病気が去り、
悪霊が出てゆくほどであった。"
"441913","
使徒 19:13","そこでユダヤ人である数人の巡回呪師も、試みに悪霊どもにつか
れている者たちに向かって主イエスの名を唱えながら、「パウロが説いているイエスによ
ってお前たちに命令する、(出て行け)」と言った。──"
"441914","
使徒 19:14","このことをしたのは、スケワというユダヤ人の大祭司の七人の息
子たちであった。──"
"441915","
使徒 19:15","ところが一つの悪霊が彼らに答えた、「自分はイエスも知っておれ
ば、パウロもわかっているが、お前たちはいったい何者だ!」"
"441916","
使徒 19:16","そしてその悪霊のついた者は彼らに飛びかかって皆を押えつけ、
打ち負かした。彼らは裸で、怪我をさせられて、その家から逃げだしたほどであった。"
"441917","
使徒 19:17","するとこのことがエペソに住んでいる者全体、ユダヤ人にも異教
人にも知れわたったので、恐れが彼らすべてをおそい、主イエスの名があがめられた。"
"441918","
使徒 19:18","すでに信者になっていた者も沢山来て罪を告白し、自分の(使っ
ていた)魔術の呪文を打ち明けた。"
"441919","
使徒 19:19","また魔術を使っていたかなり多くの人が(魔術の)書物を持ち寄
って、皆の目の前で焼きすてた。その値段を総計すると、銀五万(ドラクマ[二、五00
万円])であった。"
"441920","
使徒 19:20","こうして主の言葉は勢いよく成長し、また力を増した。"
"441921","
使徒 19:21","(エペソで)これらのことが終ると、パウロは(アジヤでの仕事
が一応完成したことを知り、)マケドニヤ、アカヤを通ってエルサレムに行く決心をした。
彼はこう言うのであった、「そこに行ったあとで、わたしはローマをも見なければ成らな
い」と。"
"441922","
使徒 19:22","そこで彼は自分の手助けをしている者の中からテモテとエラスト
との二人を(さきに)マケドニアにやり、自分は(なお)しばらくアジヤに留まった。"
"441923","
使徒 19:23","そのころに、(キリストの)道のことで由々しい騒ぎがおこった。
(それはこういう事件である。)"
"441924","
使徒 19:24","(エペソで)デメテリオという銀細工人が、アルテミス神の(像
の入っている小さな)銀の厨子を造って(売り出し、多くの)職人達に少なからぬ収益を
得させていた。"
"441925","
使徒 19:25","彼は(一日)職人たちと、同じ仕事に関係している者たちとを集
めて言った、「諸君、この商売がわたし達の福の神であることは御承知のとおりだが、"
"441926","
使徒 19:26","あなた達が見もし聞きもするように、あのパウロという奴は、(人
間の)手で出来たものは神ではないと言って、エペソだけでなく、ほとんどアジヤ全体の
大勢の人々を説きつけて、背かせてしまった。"
"441927","
使徒 19:27","これではお互の仕事が信用を失う恐れがあるばかりか、(第一)偉
大なる女神アルテミスのお宮も馬鹿にされ、アジヤ全体はもちろん、世界(中)で拝んで
いるこのお方の御威光までなくなりそうな恐れがある。」"
"441928","
使徒 19:28","これを聞いて彼らは非常に憤慨して、「エペソ人のアルテミス神、
万歳!」と叫んだ。"
"441929","
使徒 19:29","それで町中が上を下への混乱におちいり、一せいに(青天井の)
劇場になだれ込んだ。──パウロの道連れであるマケドニア人のガイオとアリスタルコを
も一緒に引いていった。"
"441930","
使徒 19:30","パウロも民衆の中にわけ入ろうと思ったが、(主の)弟子たちが承
知しなかった。"
"441931","
使徒 19:31","またアジヤ州会の議員で、パウロに好意をもっていた人たちも、
彼の所に使をやって、彼自身は劇場に入らないようにと頼ませた。──"
"441932","
使徒 19:32","さて(劇場では)めいめいがそれぞれ違ったことを叫んでいた。
集会はすっかり混乱し、大部分の者はなんのために集まっているか知らなかったのである。
"
"441933","
使徒 19:33","すると、(事情を聞くため)ユダヤ人たちから前の方に押し出され
たアレキサンデルに、群衆の中のある者が訳を話したので、アレキサンデルは手を振って、
民衆に(ユダヤ人のことを)弁明しようとした。"
"441934","
使徒 19:34","しかしそれがユダヤ人だとわかると、人々は声をそろえて、「エペ
ソ人のアルテミス神、ばんざい!」と二時間ばかりも叫んでいた。"
"441935","
使徒 19:35","そこで(町の)書記が群衆をおし静めて言う、「エペソ人諸君、こ
のエペソ人の町が、偉大なるアルテミス神と天から下ってきた御身体との番人であること
を、知らない人がいったいあるのだろうか。"
"441936","
使徒 19:36","これは争われない事実だから、諸君は静かにしていて、決して軽
はずみなことをしてはならない。"
"441937","
使徒 19:37","諸君は、宮荒しでもなく、われわれの女神を冒涜する者でもない
この人たちを、(ここに)引いてきたではないか。"
"441938","
使徒 19:38","だから、もしデメテリオとその仲間の職人たちとが、だれかを相
手取って請求することがあるなら、(そのために)裁判は開かれ、地方総督もおられるこ
とだから、互に訴訟をやったらよかろう。"
"441939","
使徒 19:39","しかしもし何かそれ以上の(裁判所の扱えない)要求を持ってい
るなら、正式の議会で決定してもらうがよい。"
"441940","
使徒 19:40","今日のことは、この騒擾について申開きの出来るような理由が一
つもないので、暴動の罪に問われる恐れがあるのだから。」彼はこう言って、集会を解散
させた。"
"442001","
使徒 20:1","(デメテリオ)騒動がやんだ後、パウロは(主の)弟子たちを呼ん
で励ました上、別れの挨拶をしてマケドニアへ出かけた。"
"442002","
使徒 20:2","そしてその地方を巡回しながら、言葉をつくして信者たちを励まし
て、ギリシア[アカヤ州]に行った。"
"442003","
使徒 20:3","(そこで)三か月を過ごしたのち、(エルサレムに上るため)シリ
ヤに向かって船出するつもりであったが、彼に対してユダヤ人の陰謀がおこったので、(急
に計画を変え、陸路)マケドニヤを通って帰ることに決心した。"
"442004","
使徒 20:4","彼に付いてゆくのは、プロの子であるベレヤ人ソパテロ、テサロニ
ケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオと(それから)テモテ、アジヤ(州)人テ
キコとトロピモであった。"
"442005","
使徒 20:5","この人たちは先発してトロアスでわたし達(一五節マデノ「ワタシ
達記録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)を待っていた。"
"442006","
使徒 20:6","わたし達の方は種なしパンの祭の日の(終った)後ピリピから船出
して、五日でトロアスの先発隊の所に着き、そこに七日滞在した。"
"442007","
使徒 20:7","週の始めの日[日曜日]に、わたし達はパンを裂くために集まった。
パウロは人々に話をしたが、翌日出発するつもりであったので、夜中まで話が続いた。"
"442008","
使徒 20:8","集まっていた階上の部屋にはランプが沢山ともしてあった。"
"442009","
使徒 20:9","ユテコという一人の青年が窓に腰をかけていたところ、パウロがな
がながと話をするので、深い眠りに落ち、(とうとう)眠りに負けて三階から下に落ちた。
だき起こすと、もう事切れていた。"
"442010","
使徒 20:10","パウロが下りてきて青年の上にのしかかり、抱きしめて(人々に)
言った、「騒ぐことはない。命はあるのだから。」"
"442011","
使徒 20:11","そして(階上に)上がっていって、(一同と)パンを裂いて食べ、
ゆっくり明け方まで話して、それから出かけた。"
"442012","
使徒 20:12","人々は生きかえった少年を(家に)つれて行った。みんなが一方
ならず喜んだ。"
"442013","
使徒 20:13","さてわたし達は(パウロより)先に立って船に乗り、アソス(の
町)に向けて船出した。そこからパウロを船に迎えるつもりであった。彼自身は(アソス
まで)歩いてゆこうとしていたので、そのように言いつけていたからである。"
"442014","
使徒 20:14","アソスで落ち合うと、わたし達は彼を船に迎えてミテレネ(の町)
に行き、"
"442015","
使徒 20:15","そこを出て翌日キヨス(島)の沖合に着き、次の日サモス(島)
に渡り、その次の日に(ミレトの町)に来た。"
"442016","
使徒 20:16","これはパウロがアジヤで暇取らないように、エペソに寄らずに行
くことにきめていたからである。彼は出来ることなら五旬節の祭の日にエルサレムについ
ていたいと、(旅行を)急いだのである。"
"442017","
使徒 20:17","パウロはミレトからエペソに使をやって、そこの集会の長老たち
を呼びよせた。"
"442018","
使徒 20:18","そしてあつまって来ると、こう言った。「あなた達にはこのことが
よくわかっているはずだ、このアジヤの地を踏んだ最初の日から、わたしはいつもあなた
達と一緒にいて、"
"442019","
使徒 20:19","謙遜のかぎりを尽くし、多くの涙を流し、ユダヤ人の陰謀でわた
しに起こったかずかずの試みの間にあって、主に仕えたことが。"
"442020","
使徒 20:20","またあなた達(の救い)に役立つことを、公にでも家庭(の集会
ででも、)人をはばかって知らせなかったり教えなかったりしたことは、何一つないこと
が(あなた達にはわかっているはずだ。)"
"442021","
使徒 20:21","わたしはユダヤ人にも異教人にも、神に帰る悔改めと、わたし達
の主イエスに対する信仰とを、証ししたのであった。"
"442022","
使徒 20:22","(だがいよいよお別れだ。)さあ、わたしは御霊に縛られて、エル
サレムにのぼって行く。そこでどんな目に会うか、わたしは知らない、"
"442023","
使徒 20:23","ただ、聖霊は(預言者たちをもって)到る所の町で、縄目と苦難
とが(あそこで)わたしを待っていると証しをしてくださったことのほかは。"
"442024","
使徒 20:24","しかしわたしは、自分の走るべき道を走りおえて、主イエスから
託された、神の恩恵をつたえる福音を証しする役目をはたすためなら、自分の命のことな
ど口にする値打もないと思う。"
"442025","
使徒 20:25","さあ、もう二度と、あなた達みんなはわたしの顔を見ることはあ
るまい。わたしにはそれがわかっているのだ!ほんとうにわたしはあなた達の間を、御国
(の福音)を説きながら回ったのだ。"
"442026","
使徒 20:26","だから(わたしの福音を聞いた)何人が滅びようとも、わたしは
良心のとがめがないことを、今日はっきりあなた達に言っておく。"
"442027","
使徒 20:27","わたしは人をはばかって、神の御心を全部あなた達に知らせない
ようなことは、しなかったのだから。"
"442028","
使徒 20:28","自分自身に、また(信者の)群全体にも気をつけなさい。聖霊が
あなた達を群の監督にされたのは、神が御自分の(御子の)血で“かち取られた神の”集
会を牧させるためである。"
"442029","
使徒 20:29","わたしが立ち去った後、獰猛な狼どもがあなた達の間に入ってき
て、群を(荒して)容赦しないことが、わたしにわかっている。"
"442030","
使徒 20:30","またあなた達の中からさえ、異端邪説をとなえて、(主の)弟子た
ちを自分の方に引きずりこもうとする者どもがあらわれるであろう。"
"442031","
使徒 20:31","だから目を覚ましていなさい。この三年のあいだ夜昼涙を流しな
がら、たえずあなた達それぞれに注意を与えたことを忘れないように。"
"442032","
使徒 20:32","今わたしは(神なる)主とその恩恵の御言葉とに、あなた達をお
任せする。この御言葉にはあなた達を造りあげ、“すべてのきよめられた人たち”の仲間
に入れ、“(御国の)相続財産を”与える力がある。"
"442033","
使徒 20:33","わたしはだれに対しても、金銀や、(高価な)衣服を欲しがったこ
とはない。"
"442034","
使徒 20:34","この二つの手が、わたしの必要のためにも、わたしと一緒にいる
者たちのためにも働いたことは、あなた達自身が知っている。"
"442035","
使徒 20:35","わたしはあらゆる機会にあなた達に例を示したのだから、あなた
達も同じように一生懸命に働いて、経済的に恵まれない者たちを助けなさい。主イエス御
自身が言われた、『与えるのは貰うより幸いである』という御言葉を忘れずに!」"
"442036","
使徒 20:36","こう言ったあと、ひざまずいて、皆と一緒に祈りはじめた。"
"442037","
使徒 20:37","すると皆が大声で泣き出し、パウロの首に抱きついて接吻してや
まなかった。"
"442038","
使徒 20:38","もう二度と顔を見ることはあるまいと言ったパウロの言葉が、わ
けても悲しかったのである。一同は彼を船まで見送った。"
"442101","
使徒 21:1","わたし達(一八節マデノ「ワタシ達記録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)
は(やっと)彼らを振り切って船出して、まっすぐに進んでコスに、次の日ロドスに、そ
こからパタラ(港)に着いた。"
"442102","
使徒 21:2","そこで(折よく)ピニケへ直航の船を見つけたので、それに乗って
船出した。"
"442103","
使徒 21:3","クプロ(島)が見えたが、それを左手にしたままシリヤへの船路を
つづけ、ツロで上陸した。その船はそこへ積荷をおろすことになっていた。"
"442104","
使徒 21:4","わたし達は(その間に主の)弟子たちをさがし出し、そこに七日滞
在した。彼らは御霊に示されてパウロに、エルサレムに上ってはいけないとくりかえし言
った。"
"442105","
使徒 21:5","しかし(忠告に従わず、七日の)日が過ぎてわたし達が旅立つと、
皆が妻子をつれて町外れまで見送りに来た。わたし達は海岸にひざまずいて祈り、"
"442106","
使徒 21:6","互に別れを惜しんだ。それからわたし達は船に乗り、その人たちは
家に帰った。"
"442107","
使徒 21:7","さてわたし達はツロを出、トレマイに着いて(無事に長い)航海を
終り、(トレマイの)兄弟たちに挨拶して、一日だけ彼らのところに泊まった。"
"442108","
使徒 21:8","翌日立って(陸路)カイザリヤに行き、七人の(世話役の)一人で
ある伝道者ピリポの家に入って、泊まった。"
"442109","
使徒 21:9","ピリポに預言をする未婚の娘が四人あった。"
"442110","
使徒 21:10","幾日も滞在しているうちに、ユダヤからアガボという預言者が下
ってきたが、"
"442111","
使徒 21:11","わたし達の所に来てパウロの帯を取り、(それで)自分の手と足と
を縛って言った、「聖霊がこう言われる、『この帯の持ち主は、エルサレムでこのようにユ
ダヤ人から縛られ、異教人の手に引き渡される』と。」"
"442112","
使徒 21:12","これを聞くと、わたし達も土地の人も、エルサレムに上らないよ
うにと懇願した。"
"442113","
使徒 21:13","その時パウロは答えた、「あなた達は泣いて、わたしの心をくじい
て、どうしようというのか。わたしは主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られる
ことはもちろん、死ぬことさえも覚悟しているのだ。」"
"442114","
使徒 21:14","彼が一向に聞き入れようとしないので、わたし達は、「主の御心が
成りますように!」と言って、口をつぐんだ。"
"442115","
使徒 21:15","(カイザリヤ滞在)数日の後、わたし達は旅支度をしてエルサレ
ムへと上っていった。"
"442116","
使徒 21:16","カイザリヤの(主の)弟子たち数人も一緒に来て、クプロ人マナ
ソンという古い弟子の家に案内した。わたし達は彼のところに泊めてもらった。"
"442117","
使徒 21:17","エルサレムにつくと、兄弟たちが喜んで迎えてくれた。"
"442118","
使徒 21:18","翌日パウロはわたし達と一緒に(主の兄弟の)ヤコブの所に行っ
た。長老たちも皆集まっていた。"
"442119","
使徒 21:19","パウロは彼らに挨拶したあと、神が自分の伝道によって異教人の
間でされたことを、詳しく話してきかせた。"
"442120","
使徒 21:20","彼らはこれを聞いてしばし神を讃美していたが、やがて言った、
「兄弟よ、ユダヤ人ですでに信者になった者が実に何万とあるが、みんな(モーセ)律法
に熱心であることは、あなたも認めている。"
"442121","
使徒 21:21","ところが彼らは、あなたが異教人の中にいるすべてのユダヤ人に、
子供に割礼を施してはならない、(ユダヤ人の)習慣にしたがって歩いてもいけないと言
って、モーセ(律法)に背くように教えているという噂を聞いている。"
"442122","
使徒 21:22","ついては、どうしたらよいだろうか。どの道、あなたが(ここに)
来ていることは彼らの耳にはいるにちがいない。──"
"442123","
使徒 21:23","だからわれわれの言うとおりにしないか。われわれのあいだに(ナ
ジル人の)誓願を立てた者(で、金がなくて願果たしのできない者)が四人ほどいる。"
"442124","
使徒 21:24","あなたはその人たちを引き受け、一緒に清めをして、彼らのため
に(願果たしの)費用を立て替えて頭を剃らせてやったらどうだろう。そうすれば、みん
ながあなたについて噂を聞いたことが根も葉もないことで、あなた自身は律法を守って歩
いていることがわかるだろう。"
"442125","
使徒 21:25","しかし(これはユダヤ人の信者だけのことで、)信者になった異教
人については、(あなたも知っているように、)偶像に供えた物と、血と、絞め殺した動物
と、不品行とを遠ざけるべきことを取り決めて、すでに書き送った。」"
"442126","
使徒 21:26","そこでパウロはその人たちを引き受け、次の日一緒に清めをして
宮に入ってゆき、“清めの日数が”満ちてひとりびとりの(願果たしの)ために捧げ物を
捧げる日のことを、(祭司に)告げた。"
"442127","
使徒 21:27","そして(パウロのための)七日(の清めの日)が終ろうとしてい
る時、アジヤ(のエペソ)から来たユダヤ人たちはパウロを宮で見かけると、群衆をこと
ごとく騒ぎ立たせ、彼に手をかけて、"
"442128","
使徒 21:28","叫んだ、「イスラエル人諸君、手を貸してくれ!これはだれにでも、
どこででも、(イスラエルの)民と律法とこの場所[宮]とを軽蔑することを教える男だ。
なおその上に、(規則にそむいて)異教人までも宮につれ込んで、この神聖な場所はけが
されてしまった。」"
"442129","
使徒 21:29","前にエペソ人トロピモが都で彼と一緒にいるのを彼らは見たので、
その人をパウロが宮につれ込んだと思ったのである。"
"442130","
使徒 21:30","そこで都中が騒ぎ出し、民衆が駈けあつまって来て、パウロをつ
かまえて宮の外に引きずり出した。そしてすぐ(宮の)門はとざされた。"
"442131","
使徒 21:31","人々がパウロを殺そうとしていたとき、エルサレム中が混乱して
いるという報告が(守備)部隊の千卒長に届いた。"
"442132","
使徒 21:32","千卒長はさっそく兵卒と百卒長らとを率いて、(アントニヤの兵営
から)彼らのところに駈けくだった。千卒長と兵卒らとを見ると、彼らはパウロを打つこ
とをやめた。"
"442133","
使徒 21:33","千卒長は近づいてパウロをつかまえ、鎖二つでつなぐようにと命
令したのち、これはいったい何者であるか、何をしたのかと問うた。"
"442134","
使徒 21:34","しかし群衆のめいめいがそれぞれ違ったことをどなり、騒々しく
て確かなことを知ることが出来ないので、パウロを兵営につれて行くようにと命令した。"
"442135","
使徒 21:35","しかし彼が(宮の庭から兵営へ上る)階段にさしかかった時には、
群衆の暴動のために、とうとう兵卒らにかつがれた。"
"442136","
使徒 21:36","民衆の群が「あれを片付けろ」と叫びながら、あとについて来た
からである。"
"442137","
使徒 21:37","兵営につれ込まれようとしたとき、パウロが(ギリシヤ語で)千
卒長に、「よろしかったら一言申し上げたいのですが」と言うと、千卒長が言った、「ギリ
シヤ語がわかるのか。"
"442138","
使徒 21:38","ではお前は、この間一揆を起こして刺客を四千人も荒野に連れだ
した(あの)エジプト人ではないのか。」"
"442139","
使徒 21:39","パウロが言った、「わたしはユダヤ人です。キリキヤの名もない町
ではないタルソの市民です。お願いします、あの民衆に話をすることを許してください。」
"
"442140","
使徒 21:40","許されると、パウロは階段の上に立ち、民衆に向かって手で合図
をし、すっかり静かになったとき、ヘブライ語[アラミ語]で話しかけた。──"
"442201","
使徒 22:1","「兄弟の方々、お父さん方、聞いてください、今弁明します。」─
"
"442202","
使徒 22:2","ヘブライ語で話しかけるのを聞くと、人々はますます静かになった。
パウロは言う。──"
"442203","
使徒 22:3","「わたしはキリキヤのタルソで生まれたユダヤ人ですが、この(エ
ルサレムの)都で育てられ、ガマリエル(先生)の膝下で先祖の律法によって厳格な教育
をうけ、今日の皆さんと同様、神に対して熱心家でありました。"
"442204","
使徒 22:4","わたしはこの(キリストの)道を迫害し、男女の別なく(信者を)
しばって牢に入れ、殺すことをも辞さなかったのであります。"
"442205","
使徒 22:5","このことは大祭司をはじめ元老院全体も、わたしのために証人にな
られるにちがいない。わたしはその方々からダマスコに居る(ユダヤ教の)兄弟たちあて
の添書までもらって、出かけて行ったのです。そこにいる(この道の)者をも縛ってエル
サレムに引いてきて、罰するためでありました。"
"442206","
使徒 22:6","ところが進んでいってダマスコに近づくと、昼ごろ、突然、天から
強い光がさしてわたしのまわりに輝いた。"
"442207","
使徒 22:7","わたしは地べたに倒れて、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害す
るのか』と言う声を聞いた。"
"442208","
使徒 22:8","わたしは答えた、『主よ、あなたはどなたですか。』わたしに言われ
た、『わたしだ、君が迫害しているナザレ人イエスだ。』"
"442209","
使徒 22:9","連れの者たちは光は見えたが、わたしにお話になる方の声は聞こえ
なかった。"
"442210","
使徒 22:10","わたしは言った、『主よ、何をしたらよいのでしょうか。』主は言
われた、『起きてダマスコ(の町)まで行け。そうすればそこで一切は告げられる。君の
することは決めてある。』"
"442211","
使徒 22:11","わたしはその光のまばゆさのために目が見えないので、連れの者
たちに手を引かれてダマスコに行きました。"
"442212","
使徒 22:12","すると(ダマスコに)アナニヤという人がいた。律法的に信心深
く、そこに住むユダヤ人全体に評判がよかったが、"
"442213","
使徒 22:13","わたしの所に来て近寄り、『兄弟サウロよ、見えるようになれ!』
と言った。するとその瞬間に(見えるようになって、)わたしは彼を見上げた。"
"442214","
使徒 22:14","アナニヤは言った、『わたし達の先祖の神はあなたを選んで御心を
知らせ、また正しい人(である主イエス)を見せ、その口から声をお聞かせになったが、"
"442215","
使徒 22:15","それはあなたがいま見たこと聞いたことにつき、全人類に対して
その方のために証人になるからだ。"
"442216","
使徒 22:16","さあ、何をためらっているのか。(すぐ)立って、主の名を呼んで
洗礼を受け、罪を洗いおとしなさい。』"
"442217","
使徒 22:17","それからわたしはエルサレムに帰って宮で祈っていると、我を忘
れた心地になって"
"442218","
使徒 22:18","主にお目にかかった。主は言われた、『急いで、すぐさまエルサレ
ムを出てゆけ。ここの人々は君がわたしの証しをしても、受け入れないのだから。』"
"442219","
使徒 22:19","しかしわたしはこたえた、『主よ、このわたしは、(今まで)あな
たを信ずる者を牢に入れたり礼拝堂で打たせたりしていたことが、あの人たちにはわかっ
ております。"
"442220","
使徒 22:20","またあなたの殉教者ステパノの血が流された時、わたしもそばに
立っていてそれに賛成し、ステパノをやっつける人たちの上着の番をしていました。』"
"442221","
使徒 22:21","主はわたしに言われた、『行け、わたしが君を遠く異教人につかわ
すのだから。』」"
"442222","
使徒 22:22","(静かに聞いていた)人々は、(主から異教人につかわされたのだ
という)パウロのこの言葉まで聞くと、声を張りあげて言った、「こんな奴は地の上から
片付けろ。生かしておいてはならない!」"
"442223","
使徒 22:23","こう叫んで、(石打ちをしようと)上着を脱ぎすてたり、砂を空中
にまき散らしたりしたので、"
"442224","
使徒 22:24","千卒長はパウロを兵営につれ込み、拷問にかけて取り調べるよう
にと命令した。どういう訳で人々が彼に向かってこんなにどなっているのかを、調査しよ
うとしたのであった。"
"442225","
使徒 22:25","(兵卒らが)鞭で打つため(拷問柱に)しばりつけた時、パウロ
はそこに立っていた百卒長に言った、「あなたたちはローマ市民たる者を、しかも(正式
の)裁判もせずに、鞭打ってもよろしいのか。」"
"442226","
使徒 22:26","百卒長はこれを聞くと、(驚いて)千卒長のところに行って報告し
た、「なんということを、しようとされているのです。あの男はローマ市民です。」"
"442227","
使徒 22:27","そこで千卒長が来てパウロに言った、「聞かせてくれ、ほんとうに
君はローマ市民なのか。」「そうです」とパウロが言った。"
"442228","
使徒 22:28","千卒長が答えた、「わたしはかなりの金を出してこの市民権を手に
入れた。」パウロは言った、「いや、わたしは生まれながら(の市民)です。」"
"442229","
使徒 22:29","すると取り調べようとしていた者たちは即座に彼から手を引き、
千卒長も、パウロがローマ市民であると知ると、彼を(不法に)縛らせたので恐ろしくな
った。"
"442230","
使徒 22:30","翌日千卒長は、なぜパウロがユダヤ人に訴えられたのか確かな理
由を知ろうと思い、彼(の鎖)を解いて、大祭司連をはじめ全最高法院に命令して集まら
せた。そしてパウロを(兵営から宮の庭に)つれ下り、彼らの前に立たせた。"
"442301","
使徒 23:1","パウロは最高法院(の役人たち)を見つめて言った、「兄弟の方々、
わたしは今日まで、神の前において良心に少しのやましい所なく歩いてきたのです。」"
"442302","
使徒 23:2","(これを聞いて)大祭司アナニヤは、自分のそばに立っていた者た
ちに命じてパウロの口を打たせた。"
"442303","
使徒 23:3","するとパウロが言った、「白く塗った壁!こんどはあなたが神に打
たれる番だ。律法に従ってわたしを裁判するために(そこに)坐っているそのあなたが、
律法に背いてわたしを打つことを命令するのか。」"
"442304","
使徒 23:4","そばに立っていた者たちが言った、「神の大祭司殿を罵るのか!」"
"442305","
使徒 23:5","パウロがこたえた、「兄弟たち、大祭司殿とは思わなかったのだ。
(悪かった。)”人民を納める者に無礼なことを言ってはならない”と(聖書に)書いてあ
るのだから。」"
"442306","
使徒 23:6","そのときパウロは(役人の)一派はサドカイ人、一派はパリサイ人
であるのを見て取り、法院で叫んだ、「兄弟の方々、わたしはパリサイ人で、しかもパリ
サイ人の子です。いま死人の復活の希望のために裁判されているのです。(わたしは復活
のキリストを見たと言いますから。)」"
"442307","
使徒 23:7","彼がこう言うと、パリサイ人とサドカイ人とのあいだに意見の対立
がおこり、法院が分裂した。"
"442308","
使徒 23:8","なぜならサドカイ人は復活も天使も霊もないと主張するのに対して、
パリサイ人はこれを認めるからである。"
"442309","
使徒 23:9","とうとう大騒ぎになった。数人のパリサイ派の聖書学者は立ち上が
り、こう言ってはげしく論争した、「この人には何の悪いことも認められない。それに、
もし彼に(ダマスコで)霊か天使かが語ったのだったら──(それこそ大変だ!)」"
"442310","
使徒 23:10","こうして意見の対立が激しくなったので、千卒長はパウロが引き
裂かれはしないかと心配し、(守備)部隊に命令して法院に下りてゆかせ、パウロを彼ら
の中から奪い取って兵営につれて来させた。"
"442311","
使徒 23:11","その夜、主が(現われ、)パウロに近づいて言われた、「安心せよ、
あなたは(きっとローマに行くことができる。)エルサレムでわたしのことを証ししたと
同じように、ローマでも証しをせねばならないのだから。」"
"442312","
使徒 23:12","朝になると、ユダヤ人は互に結託して、パウロを殺すまでは食べ
もしない飲みもしないと、呪いをかけて誓った。"
"442313","
使徒 23:13","この盟約に加わった者は四十人以上であった。"
"442314","
使徒 23:14","彼らは大祭司連、長老たちのところに行って言った、「わたし達は
パウロを殺すまでは何も口にしないことを、呪いをかけて固く誓いました。"
"442315","
使徒 23:15","だから、すぐあなた方は最高法院の方々と一緒に(行って)千卒
長に、パウロのことをもっと詳しく取り調べたいという口実で、彼をあなた方のところに
つれ下ってもらうように申し出ていただきたい。(決して迷惑はかけません。)わたし達は
パウロが(法院に)近づく前に、彼を無き者にする手筈をしておきますから。」"
"442316","
使徒 23:16","するとパウロの姉妹の息子がこのたくらみを聞きこみ、兵営に入
ってパウロに報告した。"
"442317","
使徒 23:17","パウロは百卒長を一人呼びよせて言った、「この青年を千卒長の所
につれて行ってもらいたい。何か報告することがあるようだから。」"
"442318","
使徒 23:18","そこで百卒長は青年を連れて千卒長の所に出て言う、「囚人のパウ
ロがわたしを呼んで、この青年をあなたの所につれて出るよう願い出ました。青年は何か
申し上げることがあるようです。」"
"442319","
使徒 23:19","千卒長は青年の手を取り、自分(たち)だけ引っ込んでたずねた、
「わたしに報告することがあるというのは何か。」"
"442320","
使徒 23:20","青年が言った、「ユダヤ人たちは、法院がパウロについて何かもっ
と詳しくたずねたいという口実で、明日(もう一度)彼を法院につれ下ってもらうように
あなたに願い出ることを申し合わせています。"
"442321","
使徒 23:21","だからどうか彼の言葉に耳を傾けないでください。なにしろ彼ら
の中で四十人以上の者がパウロを待ち伏せており、彼を無き者にするまでは食べもしない
飲みもしないと呪いをかけて誓って、いまは手筈ができて、ただあなたのお許しを待って
いるのですから。」"
"442322","
使徒 23:22","そこで千卒長は、「このことをわたしに申し出た」ことは、だれに
も口外しないようにと固く言いつけて、青年を帰した。"
"442323","
使徒 23:23","それから彼は百卒長を二人呼んで言いつけた、「今夜九時に出発し
てカイザリヤまで行くため、歩兵二百を準備せよ。それと騎兵七十、槍兵二百」と。"
"442324","
使徒 23:24","なおパウロを乗せて総督ペリクスの所に安全に送りとどけるため、
馬の用意をするようにと。"
"442325","
使徒 23:25","(総督には)次のような趣意の手紙を書いた。"
"442326","
使徒 23:26","「クラウデオ・ルシヤから総督ペリクス閣下に敬意を表します。"
"442327","
使徒 23:27","この者がユダヤ人に捕えられ、処刑されようとしているのを、ロ
ーマ市民であると聞いたので、手勢を率いて行って救い出しました。"
"442328","
使徒 23:28","そしてユダヤ人が彼を訴える罪状を調査しようと思い、彼らの最
高法院につれて行きましたところ、"
"442329","
使徒 23:29","彼らの律法の問題について訴えられたことがわかり、死罪または
監禁に当るいかなる犯罪もなく、"
"442330","
使徒 23:30","かえって、この者に対して(ユダヤ人による暗殺の)陰謀がある
と通告されましたので、とりあえず閣下のもとに送ることにしました。告発人にも(直接)
閣下の前で彼に対して供述するようにと、命じておきました。」"
"442331","
使徒 23:31","さて歩兵らは命令されたとおり夜の間にパウロをアンテパトリス
に連れて行ったが、"
"442332","
使徒 23:32","翌日は騎兵(だけ)をパウロと共に行かせ、自分らは(エルサレ
ムの)兵営に帰った。"
"442333","
使徒 23:33","騎兵はカイザリヤに着いて手紙を総督に手渡し、パウロをもその
前に引き出した。"
"442334","
使徒 23:34","総督はこれを一読ののち、彼に何州の者であるかを尋ね、キリキ
ヤの者と知ると、"
"442335","
使徒 23:35","「告発人が来た上で(改めて)審問する」と言って、ヘロデ(大
王)の(建てた)総督官舎に監禁することを命令した。"
"442401","
使徒 24:1","五日の後に、大祭司アナニヤは(最高法院の)長老数人とテルトロ
という弁護士とをつれて(カイザリヤに)下り、皆で総督に対しパウロに不利な申し出を
した。"
"442402","
使徒 24:2","パウロが呼び出されると、テルトロは次のように告発の理由を述べ
始めた。「ペリクス閣下、お蔭でわれわれは大なる泰平を楽しみ、また御高配によってこ
の国民のために改善が、"
"442403","
使徒 24:3","あらゆる方面、あらゆる所で行われていることを見て、われわれは
あらゆる感謝を捧げる者であります。"
"442404","
使徒 24:4","しかし長くお耳をけがさないように、手短かに申し上げます。どう
か(世に知られた)御寛容をもってお聞きくださるよう願います。"
"442405","
使徒 24:5","つまりこういうことです。この男は疫病のように、世界中のユダヤ
人の間に紛争をひきおこし、またあのナザレ人の異端の首魁であることを、われわれは確
かめました。"
"442406","
使徒 24:6","そればかりか(異教人をつれ込んでエルサレムの)宮を犯そうとし
ましたので、彼を捕縛したのであります。"
"442407","
使徒 24:7"[以下及び七、八前半無シ]
"442408","
使徒 24:8","お取り調べになれば、われわれが告発しているこの一切のことを、
御自身で彼(の口)からお聞きになることが出来ます。」"
"442409","
使徒 24:9","ユダヤ人たちも事実その通りだと言って、一緒になって攻撃した。
"
"442410","
使徒 24:10","そこでパウロが答えた、総督が話すようにと合図をしたのである。
「あなたが長年この国民の裁判官であ(り、よく下情に通じておられ)ることを承知して
おりますので、安心して自分のことを弁明いたします。"
"442411","
使徒 24:11","(この人たちはわたしがエルサレムを騒がせたように言います
が、)わたしが礼拝のためエルサレムに上ってから十二日以上はたっていないことを、あ
なたは(容易に)お聞きになることが出来ます。(そんな短かい間に、どうして騒動など
起こすことが出来ましょうか。)"
"442412","
使徒 24:12","またこの人たちは、わたしがだれかと議論したり、民衆を煽動し
たりするのを、宮でも、礼拝堂でも、都の中でも見たことはないし、"
"442413","
使徒 24:13","今わたしを告発していることについて、あなたに証拠を提出する
こともで来ません。"
"442414","
使徒 24:14","しかしわたしは次のことは正直に認めます。わたしは(キリスト
の)道に従って、(この人たちと同じ)祖先の神を礼拝しております、この人たちはこれ
を異端と言って(そしって)おりますが。すなわちわたしは(モーセ)律法と預言書[聖
書]とに書いてあることを全部信じ、"
"442415","
使徒 24:15","(また)この人たち自身もいだいている(復活の希望、)正しい人
と正しくない人との復活が来ようとしているという希望を、神に対して持っているのであ
ります。"
"442416","
使徒 24:16","それでわたし自身も(裁きの日の近いことを思って、)神と人とに
対しやましくない良心を持つように、絶えず努力しているのであります。"
"442417","
使徒 24:17","さて、(わたしが捕えられたのはこういう訳です。)わたしは同胞
(である兄弟たち)に寄付金を持って来るため、また(宮で)献げ物をするため、幾年ぶ
りかに(エルサレムに)来たのですが、"
"442418","
使徒 24:18","宮で清めをして献げ物をしている時に──別に人だかりもなく騒
ぎもなかった──人々はわたしを見たのであります。"
"442419","
使徒 24:19","見たのはアジヤから来た数人のユダヤ人ですが、あの人たちはわ
たしに対して何か告発することがあるのなら、(自分で)あなたの前に出て(堂々と)告
発すべきであったのです。"
"442420","
使徒 24:20","あるいはまた(ここにいる)この(エルサレムの)人たち自身も、
わたしが最高法院の前に立ったとき、どんな不正が(わたしに)認められたか、言ってみ
たまえ!"
"442421","
使徒 24:21","『わたしは死人の復活のためにきょうあなた達の前で裁判されて
いるのです』と、みんなの中に立って叫んだその一言のほかに!」"
"442422","
使徒 24:22","するとペリクスは(キリストの)道のことに非常に精通していた
ので、「千卒長ルシヤが(エルサレムから)下ってきた上で、(改めて)お前たちの事件の
判決を下すことにする」と言って、裁判の延期を言い渡した。"
"442423","
使徒 24:23","そして百卒長に命令して(引きつづき)パウロを監禁させたが、
寛大に取り扱わせ、彼の仲間のだれでもが自由に奉仕できるようにした。"
"442424","
使徒 24:24","数日の後ペリクスは、ユダヤ人であるその妻ドルシラと一緒に(監
禁の場所に)来て、パウロを呼び、キリスト・イエスに対する信仰の話を聞いた。"
"442425","
使徒 24:25","ところがパウロの話は、義と、節制と、来るべき(最後の)裁き
とについてだったので、ペリクスは恐ろしくなって、「本日はこれで帰ってよろしい。よ
い折があったら、また呼びにやるから」と言った。"
"442426","
使徒 24:26","彼はまた同時に、パウロから(釈放願いの)金がもらえると望み
をかけていた。そのため何度も何度もパウロを呼んで、話をした。"
"442427","
使徒 24:27","(パウロが監禁されてから)二年たつと、ポルキオ・フェストが
ペリクスの後任になった。ペリクスはユダヤ人の機嫌を取ろうと思って、パウロをつない
だままにしておいた。"
"442501","
使徒 25:1","フェストは任地[ユダヤ州首都カイザリヤ]に着いて三日の後、カ
イザリヤからエルサレムに上った。"
"442502","
使徒 25:2","大祭司連とユダヤの名士たちとはパウロに不利な申し出をして頼み、
"
"442503","
使徒 25:3","自分たちのため特別の計らいをもって、パウロをエルサレムに呼ん
でもらいたいと願うのであった。途中で無き者にしようと、たくらんでいたのである。"
"442504","
使徒 25:4","するとフェストは、パウロはカイザリヤに監禁されている、彼自身
が大急ぎで出かけようと思っていると答え、"
"442505","
使徒 25:5","「だから、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、あなた方の
うちの然るべき者が一緒に下っていって、訴えたらよかろう」と言う。"
"442506","
使徒 25:6","フェストは彼らの間にせいぜい八日か十日滞在して、カイザリヤに
下ってゆき、翌日裁判席に着いて、パウロを引き出すようにと命令した。"
"442507","
使徒 25:7","パウロがあらわれると、エルサレムから下ってきていたユダヤ人た
ちは彼のまわりに立ち、多くの重い罪状を並べ立てたが、証明することが出来なかった。"
"442508","
使徒 25:8","パウロの方では、「わたしはユダヤ人の律法に対しても、宮に対し
ても、皇帝に対しても、何も罪を犯したことはありません」と弁