救いの喜び
イエスが振り向くとき……信じこむことへの応答
           イエスの治療    
(1995年7月25日今井館伝道聖書集会)

 イエスが病気の治療をする時の、その動機に注目して福音書の記事を集めてみると、そこに三種類の型があることが分かる。第一の型は病人の周囲の人たちの懇請によるもの。第二の型は病人本人の懇請によるもの。第三はイエス自身の発起によるもの。これらを見てみると、人間にとって救いの道はいかなる場合に開かれるのかが見えてくる。救いはまず人がそれを「求め」なければならない。「神は存在するか否か、神が存在するならなぜ病気という不条理があるのか」など、それをあぐらをかいて研究していたり人生に不満を抱いていても救いはこない。面子(めんつ)を捨てて身を投げ出して「なりふりかまわず」体当たりで救いを願わなければならない。「イエスが神の子であるかどうか分からなくても」この人ならきっと治してくれるに違いないと信じ込むとき、その時イエスは「振り向いて」病気の治療をし、肉体はもとより主眼である霊魂の病も癒す。それは病人自身はもとより周囲の人たちの懇請、またイエス自身の一方的な動機で救いが実行される場合もある。これらのイエスの業を知ると、神の心がどこにあるかが少し見えてくる。なぜなら、イエスは神の見えない性質を見える形で表そうとしたからである。

(父上とわたしとは一つである。)わたしを見た者は父上を見たのだ。  
ヨハネ福音書一九章四節

 以下においてイエスの治療の瞬間の状況分析を行う。
(原本において以下には傍線あるもそれをホームページにアップロードできる技術を今のところ持ち合わせたいない)                        

願う人 (傍線)  本人(第一の型)、あるいは身内、周囲の人(第ニの型)
           本人にかかわらず周囲の祈りによっても救いが訪れる事実に注目。

その態度 (傍線)この人ならきっと治して下さるだろうと信じこむ心、姿勢、行動、
           言葉。この姿勢無くして救いは実現しない。

救いの実行決断 (傍線)その信仰に感動して「振り向いて」治療を決断するイエス、 
              その行動と言葉

イエス自身の発起 (傍線)イエスのほうから声をかける。(第三の型)
 

一 癩病人を清める(マタ八・一―四 マル一・四〇―四五 ルカ五・一二―一六)

マタ八・一―四 (塚本訳以下同じ)
01イエスが山を下りてこられると、多くの群衆がついて来た。
02すると一人の癩病人が近寄ってきて、しきりに願って言った、「主よ、(清めてください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから。」
03イエスは手をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、たちまち癩病が清まった。
04イエスはその人に言われる、「だれにも言わないように気をつけよ。ただ(全快したことを)世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モーセが命じた供え者を捧げよ。」"

二節 各種翻訳比較

[口語訳] すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。

[新改訳] すると、ひとりのらい病人がみもとに来て、ひれ伏して言った。「主よ。お心一つで、私をきよめることがおできになります。」

[新共同訳] すると、一人のらい病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。

[塚本訳]すると一人の癩病人が近寄ってきて、しきりに願って言った、「主よ、(清めてください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから。」
 

ニ 百卒長の下男(マタ八・五―一三 ルカ七・一―一〇, 一三・二八―二九)
マタ八・五―一三
05カペナウムに帰られると、一人の百卒長がそばに来て願って
06言った、「主よ、うちの下男が中風で家にねていて、ひどく苦しんでおります。……」
07彼に言われる、「(ユダヤ人の)このわたしが、(異教人のあなたの家に)行ってなおすのか。」
08百卒長は答えた、「主よ、わたしはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるような者ではありません。(ここで)ただ一言、言ってください。そうすれば下男は直ります。
09というのは、わたし自身も指揮権の下にある人間であるのに、わたしの下にも兵卒がいて、これに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、また僕に『これをしろ』と言えば(すぐ)するからです。(ましてあなたのお言葉で、病気が直らないわけはありません。)」
10イエスは聞いて驚き、ついて来た人たちに言われた、「アーメン、わたしは言う、イスラエル人の中でも、こんなりっぱな信仰をもっている者を一人も見たことがない。
11わたしは言う、(最後の日には、このような信仰のあつい)大勢の人が“東から西から”来て、天の国でアブラハムやイサクやヤコブと共に宴会につらなり、
12(かんじんのイスラエル人、すなわち)御国の子供たちは外の真暗闇に放り出
され、そこでわめき、歯ぎしりするであろう。」
13それからイエスは百卒長に言われた、「お帰り。あなたの信じたとおりに成れ。」
するとちょうどその時に、下男は直った。

八節 (各種翻訳比較)

 [口語訳] そこで百卒長は答えて言った、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすれば僕はなおります。

[新改訳] しかし、百人隊長は答えて言った。「主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。ただ、おことばをいただかせてください。そうすれば、私のしもべは直りますから。

[新共同訳] すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。

[塚本訳]百卒長は答えた、「主よ、わたしはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるよ
うな者ではありません。(ここで)ただ一言、言ってください。そうすれば下男は直りま
す。
 

三 ペテロの姑(マタ八・十四―一五 マル 一・二九―三一 ルカ 四・三八―三九)
ルカ四・三八―三九
38イエスは立って礼拝堂を出て、シモンの家に入られた。シモンの姑がひどい熱
病に苦しんでいた。人々が彼女のことを願うと、
39近寄って身をかがめ、熱病を叱りつけられた。すると熱が取れ、彼女はすぐさ
ま起き上がって、彼らをもてなした。

三八節 (各種翻訳比較)

[口語訳] イエスは会堂を出てシモンの家におはいりになった。ところがシモンのしゅうとめが高い熱を病んでいたので、人々は彼女のためにイエスにお願いした。

[新改訳] イエスは立ち上がって会堂を出て、シモンの家にはいられた。すると、シモンのしゅうとめが、ひどい熱で苦しんでいた。人々は彼女のためにイエスにお願いした。

[新共同訳] イエスは会堂を立ち去り、シモンの家にお入りになった。シモンのしゅうとめが高い熱に苦しんでいたので、人々は彼女のことをイエスに頼んだ。

[塚本訳]イエスは立って礼拝堂を出て、シモンの家に入られた。シモンの姑がひどい熱
病に苦しんでいた。人々が彼女のことを願うと、
 

四 病気の治療(マタ八・一六―十七 マル一・三二―三四 ルカ四・四〇―四一)
マタ八・一六―十七 
16夕方になると、人々は悪鬼につかれた者を大勢イエスのところにつれて来た。イエスは言葉をもって霊どもを追い出し、また一人のこらず病人をなおされた。
17“彼はわたし達の煩いを除き、病気を取り去るであろう”と、預言者イザヤをもって言われた言葉が成就するためであった。

一六節 (各種翻訳比較)

[口語訳] 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。

[新改訳] 夕方になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れて来た。そこで、イエスはみことばをもって霊どもを追い出し、また病気の人々をみなお直しになった。

[新共同訳] 夕方になると、人々は悪霊に取りつかれた者を大勢連れて来た。イエスは言葉で悪霊を追い出し、病人を皆いやされた。

[塚本訳]夕方になると、人々は悪鬼につかれた者を大勢イエスのところにつれて来た。
イエスは言葉をもって霊どもを追い出し、また一人のこらず病人をなおされた。
 

五 中風をなおす(マタ九・一―八 マル二・一―一二 ルカ 五・十七―二〇)
マル二・一―一二 
01数日の後、カペナウムにかえられると、家におられることがすぐ知れわたって、
02もはや門口にも場所がないほど、大勢の人が集まってきた。この人たちに御言葉を語っておられると、
03人々が一人の中風の者を、四人にかつがせてつれて来る。
04群衆のためイエスのところにつれて行けないので、おいでになる所の(上の)屋根をはがして穴をあけ、中風の者を担架に寝かせたまま(イエスの前に)吊りおろす。
05イエスはその人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われる、「子よ、いまあなたの罪は赦された。」
06数人の聖書学者がそこに坐っていたが、心の中で考えた、
07「この人はなぜあんなことを言うのだろう。冒涜だ。神お一人のほか、だれが罪を赦せよう。」
08イエスは彼らがひそかにこう考えているのを、すぐ霊で見抜いて、「なんで、そんなことを心の中で考えているのか。
09この中風の者に、あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて担架をかついで歩け、と言うのと、どちらがたやすい(と思う)か。
10では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていることを知らせてやろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われる、
11「あなたに命令する、起きて担架をかついで、家に帰りなさい。」
12すると彼は起き上がり、すぐ担架をかついで、皆の見ている前を出ていった。皆が呆気にとられ、「こんなことはかって見たことがない」と言って、神を讃美した。

四節 (各種翻訳比較)

[口語訳] ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。

[新改訳] 群衆のためにイエスに近づくことができなかったので、その人々はイエスのおられるあたりの屋根をはがし、穴をあけて、中風の人を寝かせたままその床をつり降ろした。

[新共同訳] しかし、群衆に阻まれて、イエスのもとに連れて行くことができなかったので、イエスがおられる辺りの屋根をはがして穴をあけ、病人の寝ている床をつり降ろした。

[塚本訳]群衆のためイエスのところにつれて行けないので、おいでになる
所の(上の)屋根をはがして穴をあけ、中風の者を担架に寝かせたまま(イエスの前に)
吊りおろす。

 

六 役人(ヤイロ)の娘(マタ九・一八―二六 マル五・二一―四三 ルカ八・四〇   
              ―五六)
七 長血の女(同上)

マタ九・一八―二六
18こう話しておられると、そこに一人の(礼拝堂の)役人が進み出て、しきりに願って言った、「わたしの娘がたったいま死にました。それでも、どうか行って、手をのせてやってください。そうすれば生き返りますから。」"
19イエスは立ち上がって彼について行かれた、弟子たちも一しょに。
20するとそこに、十二年も長血にかかっていた女が近寄ってきて、後ろからイエスの上着の裾にさわった。
21「お召物にさわるだけでも、なおるにちがいない」と、ひそかに思ったのである。
22イエスは振り向いて、女を見ながら言われた、「娘よ、安心しなさい、あなたの信仰がなおした。」するとちょうどその時から、女はなおった。
23やがてイエスは役人の家に着いて、笛吹き男と騒いでいる群衆とを見ると、
24言われた、「あちらに行っておれ。少女は死んだのではない、眠っているのだから。」人々はあざ笑っていた。
25群衆が外に出されると、イエスは(部屋に)入っていって少女の手をお取りになった。すると少女は起き上がった。
26この評判がその土地全体に広まった。"

一八節 (各種翻訳比較)

[口語訳] これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。

[新改訳] イエスがこれらのことを話しておられると、見よ、ひとりの会堂管理者が来て、ひれ伏して言った。「私の娘がいま死にました。でも、おいでくださって、娘の上に御手を置いてやってください。そうすれば娘は生き返ります。」

[新共同訳] イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」

[塚本訳]こう話しておられると、そこに一人の(礼拝堂の)役人が進み出て、しきりに
願って言った、「わたしの娘がたったいま死にました。それでも、どうか行って、手をの
せてやってください。そうすれば生き返りますから。」
 

二一節 (各種翻訳比較)

[口語訳] み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。

[新改訳] 「お着物にさわることでもできれば、きっと直る。」と心のうちで考えていたからである。

[新共同訳] 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。

[塚本訳]「お召物にさわるだけでも、なおるにちがいない」と、ひそかに思ったのであ
る。
 

8 二人の盲人(マタ九・二七―三一 マル一〇・四六―五二 ルカ一八・三五―四三)

マタ九・二七―三一
27そこから出かけられると、二人の盲人が「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」
と言って叫びながら、イエスについて来た。
28そして家にかえられると、盲人たちがそばに来たので、イエスが言われる、「わ
たしにそれが出来ると信じるのか。」「はい、主よ」と二人がこたえる。
29そこで彼らの目にさわり、「あなた達の信仰のとおりに成れ」と言われると、
30二人の目があいた。するとイエスは(急に)いきり立ち、二人にむかって、「気
をつけて、だれにも知られないようにせよ」と言われた。
31しかし彼らは出てゆくと、その土地全体にイエスのことをふれまわった。

二八節 (各種翻訳比較)

[口語訳] そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。

[新改訳] 家にはいられると、その盲人たちはみもとにやって来た。イエスが「わたしにそんなことができると信じるのか。」と言われると、彼らは「そうです。主よ。」と言った。

[新共同訳] イエスが家に入ると、盲人たちがそばに寄って来たので、「わたしにできると信じるのか」と言われた。二人は、「はい、主よ」と言った。

[塚本訳]そして家にかえられると、盲人たちがそばに来たので、イエスが言われる、「わ
たしにそれが出来ると信じるのか。」「はい、主よ」と二人がこたえる。
 
 

九 悪鬼につかれた唖(マタ九・三二―三三)

マタ九・三二―三三
32ちょうど二人と入れ違いに、人々が悪鬼につかれた唖をつれて来た。
33悪鬼が追い出されると、唖が物を言うようになった。群衆が驚いて、「こんなこ
とはかってイスラエル人の中で起ったためしがない」と言った。

三二節 (各種翻訳比較)

 [口語訳] 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれて口のきけない人をイエスのところに連れてきた。

[新改訳] この人たちが出て行くと、見よ、悪霊につかれたおしが、みもとに連れて来られた。

[新共同訳] 二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た。

[塚本訳]ちょうど二人と入れ違いに、人々が悪鬼につかれた唖をつれて来た。
 
 

一〇 手なえ(マタ一二・九―十四 マル三・一―六 ルカ六・六―一一)
マタ一二・九―十四
09そこを去って、(ある安息日に)礼拝堂に入られた。"
10するとそこに、片手のなえた人がいた。(パリサイ派の)人々がイエスに、「安息日に病気をなおすことは正しいだろうか」と尋ねた。イエスを訴え出る(口実を見つける)ためであった。
11彼らにこたえられた、「あなた達のうちには羊を一匹持っていて、もしそれが安息日に穴に落ち込めば、引っぱり上げてやらない者がだれかあるだろうか。
12ところで、人間は羊よりもどれだけ大切だか知れない。だから安息日に良いことをするのは正しい。」
13それからその人に言われる、「手をのばせ。」のばすと直って、片方の手のようによくなった。
14パリサイ人たちは出ていって、イエスを殺すことを決議した。

一一節 (各種翻訳比較)

[口語訳] イエスは彼らに言われた、「あなたがたのうちに、一匹の羊を持っている人があるとして、もしそれが安息日に穴に落ちこんだなら、手をかけて引き上げてやらないだろうか。

[新改訳] イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうち、だれかが一匹の羊を持っていて、もしその羊が安息日に穴に落ちたら、それを引き上げてやらないでしょうか。

[新共同訳] そこで、イエスは言われた。「あなたたちのうち、だれか羊を一匹持っていて、それが安息日に穴に落ちた場合、手で引き上げてやらない者がいるだろうか。

[塚本訳]彼らにこたえられた、「あなた達のうちには羊を一匹持っていて、もしそれが安
息日に穴に落ち込めば、引っぱり上げてやらない者がだれかあるだろうか。
 
 

一一 ベルゼブル問答(マタ一二・二二―三二 マル三・二〇―三〇 ルカ一一・十四 
             ―二三)
マタ一二・二二―三二
22そこに、悪鬼につかれた盲の唖をつれて来られたので、それをなおされると、唖が物を言い、目が見えるようになった。
23群衆が皆呆気にとられて言った、「もしかしたらこの人は、ダビデの子ではなかろうか。」
24しかしパリサイ人は聞いて、「悪鬼どもの頭ベルゼブル[悪魔]を使わなければ、この人に悪鬼を追い出せるわけがない」と言った。
25イエスは彼らの考えを知って言われた、「内輪割れをするいかなる国も荒れ果て、内輪割れをするいかなる町も家も立ってゆかない。"
26(同じように)悪魔が悪魔を追い出しているとすれば、それは(悪魔の国が)内輪で割れたのであるから、どうしてその国が立ってゆこう。(だからわたしが悪鬼ども
の頭を使うわけはないではないか。)
27それから、(あなた達の言うように)わたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出すとすれば、(同じことをしている)あなた達の弟子は、いったい何を使って(悪鬼を)追い出しているのか。(まさかベルゼブルではあるまい。)だから(このことについては、)あなた達の弟子に裁判官になってもらったがよかろう。
28しかし、もし(そうでなく、)わたしが神の霊で悪鬼を追い出しているのであったら、それこそ神の国はもうあなた達のところに来ているのである。
29また、まず強い者を縛りあげずに、どうして強い者の家に入って家財道具を掠め取ることが出来ようか。縛ったあとで、その家を掠めるのである。
30(だからわたしは言う、ベルゼブルはすでに縛られている。神と悪魔との戦いは始まっている。)わたしの側に立たない者は、わたしに反対する者、わたしと一しょに集めない者は、散らす者である。
31(あなた達はわたしをもって働く神の霊の働きをベルゼブルの働きと罵った。)だからわたしは言う、人の(犯す)いかなる罪も冒涜も赦していただけるが、御霊の冒涜は赦されない。
32人の子(わたし)を冒涜する者ですら赦していただけるが、聖霊を冒涜する者は、この世でも来るべき世でも(決して)赦されない。

二二節 (各種翻訳比較)

 [口語訳] そのとき、人々が悪霊につかれた盲人で口のきけない人を連れてきたので、イエスは彼をいやして、物を言い、また目が見えるようにされた。

[新改訳] そのとき、悪霊につかれた、目も見えず、口もきけない人が連れて来られた。イエスが彼をいやされたので、そのおしはものを言い、目も見えるようになった。

[新共同訳] そのとき、悪霊に取りつかれて目が見えず口の利けない人が、イエスのところに連れられて来て、イエスがいやされると、ものが言え、目が見えるようになった。

[塚本訳]そこに、悪鬼につかれた盲の唖をつれて来られたので、それをなおされると、
唖が物を言い、目が見えるようになった。"
 
 

一二 カナンの女(スロフェニキヤの女)
             (マタ十五・二一―二八 マル七・二四―三〇)
マタ十五・二一―二八
20人をけがすのこれで、洗わぬ手で食事をすることは人をけがさない。」
21イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方に引っ込まれた。
22すると、その地方生まれの一人のカナンの女が出てきて叫んだ、「主よ、ダビデのお子様よ、どうぞお慈悲を。娘がひどく悪鬼に苦しめられています。」"
23しかしイエスは一言も答えられなかった。弟子たちが来て、願って言った、「願いをかなえてやって、(早く)この女を追い払ってください。どなりながらついて来ますから。」
24イエスは答えられた、「わたしはイスラエルの家のいなくなった羊だけにしか、
遣わされていない。」
25するとその女が来て、しきりに願って言った、「主よ、お助けください。」
26イエスは答えられた、「子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投
げてやるのはよろしくない。」
27しかし女は言った、「主よ、是非どうぞ!小犬どもも、御主人の食卓から落ちる
パン屑をいただくのですから。」
28そこでイエスは答えられた、「ああ、女の人、りっぱな信仰だ。願いどおりに成
れ。」すると、ちょうどその時から、娘は直った。

二七節 (各種翻訳比較)

 [口語訳] すると女は言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。

[新改訳] しかし、女は言った。「主よ。そのとおりです。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます。」

[新共同訳] 女は言った。「主よ、ごもっともです。しかし、小犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。」

[塚本訳]しかし女は言った、「主よ、是非どうぞ!小犬どもも、御主人の食卓から落ちるパン屑をいただくのですから。」
 
 

一三 エパタ(マタ十五・二九―三一 マル七・三一―三七)

マタ十五・二九―三一
29それからイエスはそこを去って、ガリラヤ湖のほとりにかえり、山に上ってそこに坐られた。
30大勢の群衆が足なえ、片輪、盲人、唖、そのほか多くの者をつれてイエスの所に来て、足もとに置いたので、それをなおされた。
31群衆は唖が物を言い、片輪が直り、足なえが歩きまわり、盲人が目が見えるようになったのを見て驚き、イスラエルの神を讃美した。

三〇節 (各種翻訳比較)

[口語訳] すると大ぜいの群衆が、足、手、目や口などが不自由な人々、そのほか多くの人々を連れてきて、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。

[新改訳] すると、大ぜいの人の群れが、足なえ、不具者、盲人、おしの人、そのほかたくさんの人をみもとに連れて来た。そして、彼らをイエスの足もとに置いたので、イエスは彼らをおいやしになった。

[新共同訳] 大勢の群衆が、足の不自由な人、目の見えない人、体の不自由な人、口の利けない人、その他多くの病人を連れて来て、イエスの足もとに横たえたので、イエスはこれらの人々をいやされた。

[塚本訳]大勢の群衆が足なえ、片輪、盲人、唖、そのほか多くの者をつれてイエスの所
に来て、足もとに置いたので、それをなおされた。
 

十四 癲癇をなおす (マタ十七・十四―二一 マル九・十四―二九 ルカ九・三七―
            四三)

マル九・十四―二九
14(山を下りて、ほかの)弟子たちの所にかえって見ると、大勢の群衆が弟子たちを取り巻き、聖書学者たちがこれと議論をしていた。
15群衆はイエス(の姿)を見るが早いか、皆びっくりして、駆けてきて歓迎した。
16イエスが群衆に尋ねられた、「弟子たちと何を議論しているのか。」
17群衆のうちの一人が答えた、「先生、唖の霊につかれている伜をあなたの所につれて来ました。
18この子は霊がつくと所かまわず投げ倒され、泡をふき、歯斬りして、体がこわばってしまいます。それで霊を追い出すことをお弟子たちに頼みましたが、
おできになりませんでした。」
19彼らに答えられる、「ああ不信仰な時代よ、わたしはいつまであなた達の所におればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。その子
をつれて来なさい。」(こう言って群衆のいない所に行かれた。)
20人々がイエスの所につれて来ると、霊はイエスを見るや否や、その子をひどくひきつけさせたので、子は地に倒れ、泡をふきながらころげまわった。
21イエスが父親に尋ねられた、「こうなってから、どのくらいになるか。」父親がこたえた、「子供の時からです。
22霊はこの子を殺そうとして、幾たびか、火の中、水の中に投げ込みました。それでも、もしなんとかお出来になるなら、わたしども(親子)を不憫と思って、お助けください。」
23イエスは言われた、「もしお出来になるなら(と言うの)か。信ずる者にはなんでも出来る。」
24即座にその子供の父親が叫んだ、「信じます。不信仰をお助けください。」
25イエスは群衆が駆けよってくるのを見ると、(急いで)汚れた霊を叱りつけて言われた、「唖と聾の霊、わたしが命令するのだ、この子から出てゆけ、二度と入るな!」
26霊はどなって、はげしくひきつけさせて、出ていった。子は死んだようになったので、多くの人が、「死んだ」と言った。
27イエスはその子の手をとって起された。すると立ち上がった。
28家にかえられると、弟子たちは人のいない時に尋ねた、「なぜわたし達には霊を追い出せなかったのでしょうか。」
29彼らに言われた、「この種類(の霊)は、祈り以外(の手段)では決して出てゆかせることは出来ない。」

二四節 (各種翻訳比較)

[口語訳] その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。

[新改訳] するとすぐに、その子の父は叫んで言った。「信じます。不信仰な私をお助けください。」

[新共同訳] その子の父親はすぐに叫んだ。「信じます。信仰のないわたしをお助けください。」

[塚本訳]即座にその子供の父親が叫んだ、「信じます。不信仰をお助けください。」
 
 

一五 エリコの盲人 (マタ二〇・二九―三四 マル一〇・四六―五二 
             ルカ一八・三五―四三)

マタ二〇・二九―三四
29一行がエリコ(の町)を出ると、大勢の群衆がイエスについて来た。
30すると二人の盲人が道ばたに坐っていたが、イエスのお通りだと聞くと、「主よ、ダビデのお子様よ、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。
30群衆が叱りつけて黙らせようとしたが、二人はますます大声で、「主よ、ダビデのお子様よ、どうぞお慈悲をと言って叫んだ。
32イエスは立ち止まって、二人を呼んで言われた、「何をしてもらいたいのか。」
33彼がこたえる、「主よ、目があくといい。」
34イエスが不憫に思ってその目にさわられると、すぐ見えるようになって、イエスについて行った。

二三節 (各種翻訳比較)

[口語訳] 彼らは言った、「主よ、目をあけていただくことです」。

[新改訳] 彼らはイエスに言った。「主よ。この目をあけていただきたいのです。」

[新共同訳] 二人は、「主よ、目を開けていただきたいのです」と言った。

[塚本訳]彼がこたえる、「主よ、目があくといい。」
 

一六 ナインの若者 (ルカ七・一一―一七)

ルカ七・一一―一七
11そのあとで、ナインという町に行かれた。弟子たちおよび多くの群衆も一しょに行った。12町の門の近くに来られると、ちょうど、ある独り息子が死んで、(棺が)舁き出されるところであった。母は寡婦であった。町の人が大勢その母に付添っていた。
13主は母を見て不憫に思い、「そんなに泣くでない」と言って、
14近寄って棺に手をかけ──担いでいる者は立ち止まった──「若者よ、あなたに言う、起きよ!」と言われた。
15すると死人が起き上がって物を言い出した。イエスは“彼を母に渡された。”
16皆が恐れをいだいて、「大預言者がわたし達の間にあらわれた」とか、「神はその民を心にかけてくださった」とか言って、神を讃美した。
17イエスについてのこの(二つの)言葉は、ユダヤ(人の国)全体とその周囲いたる所に広まった。

一三節 (各種翻訳比較)

[口語訳] 主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。

[新改訳] 主はその母親を見てかわいそうに思い、「泣かなくてもよい。」と言われた。

[新共同訳] 主はこの母親を見て、憐れに思い、「もう泣かなくともよい」と言われた。

[塚本訳]主は母を見て不憫に思い、「そんなに泣くでない」と言って、
 
 

一七 一八年病気の女 (ルカ一三・一〇―一七)

ルカ一三・一〇―一七
10安息日にある礼拝堂で教えておられた。
11その時、そこに十八年も病気の霊につかれている女がいた。体が曲っていて、真直ぐに伸ばすことが出来なかった。
12イエスは女を見て呼びよせ、「女の人、病気は直っている」と言って
13手をのせられると、女はたちどころに体がまっすぐに伸びて、神を讃美した。
14すると礼拝堂監督は、イエスが安息日に病気をなおされたことを憤慨して、群衆に言った、「働くべき日は六日ある。その間に来てなおしてもらったがよかろう。安息日の日にはいけない。」"                          
15主が答えられた、「この偽善者たち、あなた達はだれも、安息日には牛や驢馬を小屋から解いて、水を飲ませにつれてゆかないのか。
16この女はアブラハムの末であるのに、十八年ものあいだ、悪魔が縛っていたのだ。安息の日だからとて、その(悪魔の)縄目から解いてはならなかったのか。」
17こう言われると、(監督はじめ)反対者は皆恥じ入り、群衆は一人のこらず、イ
エスが行われたあらゆる輝かしい御業を喜んだ。

一二節

[口語訳] イエスはこの女を見て、呼びよせ、「女よ、あなたの病気はなおった」と言って、

[新改訳] イエスは、その女を見て、呼び寄せ、「あなたの病気はいやされました。」と言って、

[新共同訳] イエスはその女を見て呼び寄せ、「婦人よ、病気は治った」と言って、

[塚本訳]イエスは女を見て呼びよせ、「女の人、病気は直っている」と言って
 
 

一八 一〇人の癩病人 (ルカ一七・一一―一九)
ルカ一七・一一―一九
11エルサレムへ進んでおられた時のこと、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。
12とある村に入ると、十人の癩病人に出合われた。彼らは(規則どおりに)遠くの方で立ち止まったまま、
13声をはりあげて、「イエス先生、どうぞお慈悲を」と言った。
14イエスは見て言われた、「(全快したことを世間に証明してもらうため、エルサ
レムの宮に)行って体を“祭司たちに見せなさい。”」すると行く途中で、(皆いつとはな
しに体が)清まった。
15ところでそのうちの一人は自分が直ったのを見ると、大声で神を讃美しながら
帰ってきて、
16イエスの足下にひれ伏してお礼を言った。それはサマリヤ人であった。
17イエスは言われた、「十人とも清められたのではなかったか。九人はどこにいるか。
18この外国人一人のほかには、(九人のユダヤ人のうちに)帰ってきて神に栄光を帰する者はだれもないのか。」
19そしてその人に言われた、「さあ立って行きなさい。あなたの信仰がなおしたのだ。」"

一三節 (各種翻訳比較)

[口語訳] 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。

[新改訳] 声を張り上げて、「イエスさま、先生。どうぞあわれんでください。」と言った。

[新共同訳] 声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と言った。

[塚本訳]声をはりあげて、「イエス先生、どうぞお慈悲を」と言った。
 
 
 

一九 ガリラヤにおける第2の奇蹟 (ヨハ四・四六―五四)
ヨハ四・四六―五四
46それから、またガリラヤのカナに行かれた。そこは(前に)水を酒にされた所である。するとカペナウムに(ヘロデ・アンデパス)王の役人がいて、その息子が病気であった。"
47イエスがユダヤからガリラヤに来ておられると聞くと、イエスの所に行き、(カペナウムに)下ってきて息子を直してほしいと頼んだ。息子が死にそうだったのである。
48イエスは言われた、「あなた達は徴[奇蹟]と不思議なことを見なければ、決して信じない。」
49王の役人が、「主よ、子供が死なないうちに(カペナウムに)下ってきてください」と言いつづけると、
50イエスは言われる、「かえりなさい、息子さんはなおった。」その人はイエスの言われた言葉を信じて、かえっていった。
51しかしすでに途中で、僕たちが出迎えて、子供がなおったことを知らせた。
52そこで僕たちに良くなった時間をたずねると、「きのう午後一時に熱が取れた」とこたえた。
53父は、それが「息子さんはなおった」とイエスが言われた時間であることを知り、彼はもちろん、全家族が信じた。
54イエスはこの第二の徴[奇蹟]を、ユダヤからガリラヤに行かれたときに行われた。

五〇節 (各種翻訳比較)

[口語訳] イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。

[新改訳] イエスは彼に言われた。「帰って行きなさい。あなたの息子は直っています。」その人はイエスが言われたことばを信じて、帰途についた。

[新共同訳] イエスは言われた。「帰りなさい。あなたの息子は生きる。」その人は、イエスの言われた言葉を信じて帰って行った。

[塚本訳]イエスは言われる、「かえりなさい、息子さんはなおった。」その人はイエスの
言われた言葉を信じて、かえっていった。
 

二〇 ベテスダ池での奇蹟 (ヨハ五・一―九)

ヨハ五・一―九
01そののちユダヤ人の祭があって、イエスはエルサレムに上られた。
02エルサレムの羊門のわきに、ヘブライ語でベテスダという池があり、(これを取り巻いて)五つの回り廊下があった。
03廊下には大勢の病人──盲人、足なえ、やせ衰えた者などが寝ころがっていた。【水の動くのを待っていたのである。
04それは、主の使がときどき池に下りてきて水をかきまわすので、水がかきまわされたとき真先に(池に)はいった者は、どんな病気にかかっていても、(きっと)直るからであった。】
05するとそこに三十八年病気の人がいた。
06イエスはその人が横になっているのを見、すでに長い間わずらっていることを知ると、「直りたいか」とたずねられた。
07病人が答えた、「主よ、水がかきまわされた時に、わたしを池に入れてくれる者がないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に下りてゆきます。」
08イエスが言われる、「起きて担架をかついて、歩きなさい。」
09するとその人はすぐ直って、担架をかついで歩きまわった。あいにくその日は安息日であった。

六節 (各種翻訳比較)

[口語訳] イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。

[新改訳] イエスは彼が伏せっているのを見、それがもう長い間のことなのを知って、彼に言われた。「よくなりたいか。」

[新共同訳] イエスは、その人が横たわっているのを見、また、もう長い間病気であるのを知って、「良くなりたいか」と言われた。

[塚本訳]」イエスはその人が横になっているのを見、すでに長い間わずらっていることを
知ると、「直りたいか」とたずねられた。
 
 

二一 姦淫の女 (ヨハ七・五三―八・一一)

ヨハ七・五三―八・一一
【53人々はそれぞれ家にかえったが、
01イエスはオリブ山に行かれた。
02次の朝早く、また宮に行かれると、人々が皆あつまってきたので、座って教えておられた。
03すると聖書学者とパリサイ人とが、姦淫の現行犯を押えられた女をつれてきた。みんなの真中に立たせて、
04イエスに言う、「先生、この女は姦淫の現場を押えられたのです。
05モーセは律法で、このような女を石で打ち殺すように命じていますが、あなた
はなんと言われますか。」
06こう言ったのは、イエスを試して、訴え出る口実を見つけるためであった。イエスは身をかがめて、黙って指で地の上に何か書いておられた。
07しかし彼らがしつこく尋ねていると、身を起こして言われた、「あなた達の中で罪(をおかしたこと)のない者が、まずこの女に石を投げつけよ。」
08そしてまた身をかがめて、地の上に何か書いておられた。
09これを聞くと、彼らは皆(良心に責められ、)老人を始めとして、ひとりびとり出ていって、(最後に)ただイエスと、真中に立ったままの女とが残った。
10イエスは身を起こして女に言われた、「女の人、あの人たちはどこにいるのか。だれもあなたを罰しなかったのか。」"
11「主よ、だれも」と女がこたえた。イエスが言われた、「わたしも罰しない。おかえり。今からはもう罪を犯さないように。」】

一〇節 (各種翻訳比較)

[口語訳] そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。

[新改訳] イエスは身を起こして、その女に言われた。「婦人よ。あの人たちは今どこにいますか。あなたを罪に定める者はなかったのですか。」

[新共同訳] イエスは、身を起こして言われた。「婦人よ、あの人たちはどこにいるのか。だれもあなたを罪に定めなかったのか。」

[塚本訳]イエスは身を起こして女に言われた、「女の人、あの人たちはどこにいるのか。だれもあなたを罰しなかったのか。」
 

二二 シロアム池の盲人 (ヨハ九・一―七)

ヨハ九・一―七
01イエスは通りがかりに、生まれつきの盲人を見られた。
02弟子たちが尋ねた、「先生、この人が盲で生まれたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか、両親ですか。」
03イエスは答えられた、「この人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。ただ神の御業がこの人に現われるためである。
04わたし達はわたしを遣わされた方の御業を昼の間にせねばならない。(すぐ)夜が来る。するとだれも働けなくなる。
05世におる間、わたしは世の光である。」
06こう言って地に唾をはき、唾で泥をつくり、その泥を盲人の目に塗って、
07言われた、「行って、シロアム池で洗いなさい。」(シロアムは訳すると「遣わされた者」。)そこで盲人は行って、洗って、見えるようになって、かえって行った。

一節 (各種翻訳比較)

[口語訳] イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。

[新改訳] またイエスは道の途中で、生まれつきの盲人を見られた。

[新共同訳] さて、イエスは通りすがりに、生まれつき目の見えない人を見かけられた。

[塚本訳]イエスは通りがかりに、生まれつきの盲人を見られた。
 
 

二三 ラザロの死 (ヨハ一一・一―四五)

ヨハ一一・一―四五
17さてイエスが(ベタニヤに)行って見られると、ラザロはもう四日も墓の中にあった。
18ベタニヤはエルサレムの近くで、十五スタデオ(三キロ)ばかり離れていた。
19マルタとマリヤの所には、大勢のユダヤ人がラザロの悔やみに来ていた。
20マルタは、イエスが来られると聞くと出迎えにいったが、マリヤは家に坐っていた。
21マルタがイエスに言った、「主よ、あなたがここにいてくださったら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに。
22しかしあなたがお願いになることなら、神様は何でもかなえてくださることを、わたしは今でも知っています。」
23イエスは言われる、「あなたの兄弟は生き返る。」
 

43こう言ったのち、大声で、「ラザロ、出て来い」と叫ばれた。
44死人が手足を包帯で巻かれたまま、(墓から)出てきた。顔は手拭で包まれていた。イエスは「解いてやって(家に)帰らせなさい」と人々に言われた。
45すると、マリヤの所に来てイエスのされたことを見たユダヤ人のうち、多くの者は彼を信じた。

二二節 (各種翻訳比較)

[口語訳] しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。

[新改訳] 今でも私は知っております。あなたが神にお求めになることは何でも、神はあなたにお与えになります。」

[新共同訳] しかし、あなたが神にお願いになることは何でも神はかなえてくださると、わたしは今でも承知しています。」

[塚本訳]しかしあなたがお願いになることなら、神様は何でもかなえてくださることを、わたしは今でも知っています。」