TATUYA ISHII CONCERT TOUR 2001
ZERO CITY -AQI-
ライブレポート Part 5


【ダンスナンバー!】


 一転明るくなったステージには佐々木フランチェスコ。ハルミ嬢の紹介をしてひっこむかと思いきや、曲にあわせてダンスを披露ただし、これは竜ヶ崎公演以降の話)。若干のリズム遅れもなんのその、ハルミ嬢と絡んでのダンスに場内はびっくり&大受け。曲は【ALWAYS】。♪You gonna' dancing, oh yeah〜というような歌詞のリフレイン(こう聞こえた)だ。景気のいいアップテンポの曲に金子のフルートが響く。途中、キーボードソロ、ドラムソロ、とメンバーの見せ場もありつつ、つつがなく曲は終了。

 階段上には白の上着に黒パンツという揃いの衣装の3人、もちろん中央は石井。後ろの裾が長くなった燕尾服スタイルの上着をひらめかせつつ、定番ダンスナンバーへと突入。

 【DISCO KING】【BOOGIE DEEP IN LOVE】【Oh, My Angel】【我意】へとたたみかける。会場内の温度は一気に上昇。先ほどまでの涙はどこへやら、全体がうねるように動いている。BOOGIE〜ではコンダ&テラシーのダブルソロ、OH,MY ANGELではコンダソロ、と、ここではギター陣が大活躍。楽器を背中に回して弾きまくる姿に歓声が上がっていた。

 


 
【本編最終曲への思い】


   怒濤の4曲が終わり若干長めの暗転。ステージは再び暗めのブルーに沈んでいる。中央に立った石井のしみじみとしたMCが始まった。

(竜ヶ崎公演でのMCを再現してみました)

 10月にシングルが出るんですが、マキシシングルなんですけど『遠くへ…』という。

 人間、長く生きてくると、自分の周りの人が死んでいったりしますよね。おじいちゃんとかおばあちゃんとか。僕の叔父さんも先日亡くなったんですけども。そんとき僕泣いちゃったんですね。一日中声を上げてわんわん泣いたのは何十年かぶりだったんですけど。

だいたい俺は泣かないほうなんですよ。解散したときも泣かなかった男ですから。映画見てちょっと泣いたりするときは、隣に女がいるから泣くんで(客:秘やかな笑い)、本当に泣いてる訳じゃないんです。

 そんな僕が声を上げて泣いちゃって。泣くのって恥ずかしかったりして我慢しちゃったりしますけど、この年になって「泣きたいときは泣いてもいいんだ」って思いましたね。

 叔父さんは優しい人で、いろいろ相談にものってくれたりしてたんですけど。その人が夫婦二人だけで死んでいったという。男と女というのは別の生き物で何もかも違う、その男女が一緒に暮らしていった、その深い絆を感じましたね。親戚も集まったんですけど、病室に入れてくれないんですね。話によると自分の娘も入れなかったということで、「らしい死に方だなぁ」と思いました。

 ミュージシャンというのは、仕事で作る曲と、事件とかショックなことがあって作る曲があるんですね。、この『遠くへ…』というのは、そういう人生の節目の中で湧きでてきた曲でしたね。

 僕のおじいちゃんのときも、僕はコンサートをしていまして、死に目に会えなかったんですけど。たしか横浜アリーナだったと思うんですけど、なんとなくおじいちゃんの話をしたんですね。普段そんな話はしないんですが、「おかーちゃん!」とかは言いますけど、おじいちゃんの話はその当時したことがなかったんですよ。

そんで、ふっと妹を見たら泣きながら踊ってるんですよ。どうしたのかな?と思ってたら、後で聞いたら「何となく涙が出てきてしかたなかった」って言うんですね。で、コンサートが終わってマネージャーが走ってきて「おじいさんが亡くなった」って言って。知らせに来てくれたのかな、俺んとこに、って思いましたね。

 人ってただ死んでいくのではない。ただ死んでいくと言うよりは、生きている人たちに何かを残していくのかもしれないな、と思いました。

 人生というのは"旅"に似ていると思うんです。生まれることが旅の始まりなら、もしかしたら死んでゆくことも新たな旅の始まりなんじゃないか、そういう思いの中で作った曲です。聴いてください、『遠くへ…』。

 初日の東金では聞くことのなかった新曲への思いに、観客それぞれが反応していた。そして本編最終曲【遠くへ…】が始まった。


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